日々精進なり  <武蔵野東ラグビー部>

日々精進なり <武蔵野東ラグビー部>

2005年09月30日
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さすがにダダシも驚いて僕の方に身を乗り出してきた。
「どこ行くんすか、、」
心なしか、声が弾んでいる。
「まあ、だまってろ!」

近くの自動販売機で缶コーヒーを買って学校とは反対側の中央公園へ車を走らせた。

午前10:00の中央公園はのどかなものだ。
心地よい春の日差しに日向ぼっこする人。のんびりした日差しが暖かい。ここでは時間が止まっているようにさえ感じられる。散歩する老夫婦。犬を連れている人。公園の片隅で太極拳に没頭している人もいる。学校のあわただしさがウソのような、静かな時の流れ。
僕たちは野球場を横切って、広場のベンチに腰掛けた。
怪訝そうに少し距離をおいて坐るタダシに

「ありがとうございます。」と受け取った。
「もう、ホットの時期もお終いだな。もうすぐ暑くなるぞ。」
「そうっすね・・・」
「夏は何やんだ?サッカーか?野球か?それとも、海でサーフィンか?その茶髪、サーファーに憧れてんだろ?」
「サーファーには憧れていません・・・。サッカーは好きだけど、中1で辞めちゃったし・・・。先生、こんな所にいていいんすか?」
突然不安そうに、自身のなさそうな目で僕の顔をのぞき込んだ。
「おぉっ?うん。良いんじゃないか?迎えに行って時間がかかったことにすりゃ。だって、誰もわかんねぇだろう。その代わり、秘密だぞ。油売ってたことばれたら、首があぶないからな!」
くすくす笑う彼。あどけない笑い声がなぜか胸に詰まった。いつもそんな風に笑っていて欲しいのに・・・。
「学校の先生でも、内緒事ってあるんすね。」
「あたりまえだろ!先生だって嫌になることだってあるよ。フッと息を抜きたくなることだって。一生懸命将来を考えて、そんでもって少しでも学校を楽しいようにしようとしたって、生徒は朝から揃わないしな、、。」
「すみません。俺のことっすね。」

「いいんです・・・。そうっすか・・・。」
彼は、缶コーヒーを飲み干した。そして僕たちは学校に向かった。

迎えに行けば、タダシは学校に来た。ただ、迎えに行かないと、来なかった。そんな状態が続く中、宿泊指導や今後のアプローチなどの相談もあり、両親に午後7:30に学校に来てもらうことになった。



7:40分。お母さんとお父さんが揃った。
長身で、白髪混じりのお父さん。ギョロッとした目の他は、タダシそっくりである。

「いえ。そんなことありませんよ。お父さんこそ、お忙しいのにお呼び立てして申し訳ない。」
彼についての話が始まった。
「だいたいだな、お前がだらしないからだ!!お前がついていて、なぜ学校に行かせられないんだ!!」
お父さんが語気を荒げて、お母さんに話すが、お母さんはジッと下を向いている。
大抵の場合、教育方針が統一されずに子供が不安になる場合が多い。
「あなただって、お母さんの言いなりじゃない!!」
姑の話だろうか、お母さんは目に涙を一杯ためている。
「まぁまぁ、お父さんもお母さんも落ち着いて。こうなった犯人探しをしても仕方ないんです。『どうだった』じゃなくて、『どうする』を話し合うために来ていただいたんでしょう。喧嘩してもはじまらないんです。」
不登校になってしまった原因探しは大切だが、その追及は夫婦の責任のなすり合いにもなってしまう。原因究明よりも、その原因を知ったうえでの指導法を探したいのだが、今回は無理のようだ。

<続く、、>

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最終更新日  2005年09月30日 11時59分51秒
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