日々精進なり  <武蔵野東ラグビー部>

日々精進なり <武蔵野東ラグビー部>

2005年10月12日
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おそらく、お母さんの頭の中にもそんな出来事が渦巻いていたのであろう。新一年生の保護者が集まる席で、全員が黙ってお母さんを見つめている。

「無理です。私には出来ません!!」
「そんなことありませんよ!頑張りましょう!」
「結局、私の育て方が悪かったっていうことでしょう!?」
「そんなことは言っていません!!今までの誰に責任があったかではなく、これからどうしようかと言っているのです!!」
ロビーや談話室で僕と大声で言い争ったこと。

「待ちなさい!」「うるせーな!離せよ!」と彼と格闘したこと。
そして、「先生、3年間本当にお世話になりました。」と、卒業式で見せたからの大粒の涙のこと。
多くのことが去来して、ただただ、滝のような涙が流れ演題の上を濡らし続けた。



「いろいろあると思います。先生も頑固で、私も戸惑ったこともあります、、。皆さんもそうかも知れません。

 でも!!信じていいと思います!ここでは、みんな一生懸命ですから!!」最後に声を張り上げるお母さん。会場では、声をあげて泣いている保護者もいる。きっと、我が子や自分のこととだぶらせて考えたのだろう。ハンカチを出して涙ぐんでいるお母さんも大多数であった。


「すみません。下手な話で。本当にすみませんでした。」深々と頭を下げるお母さんに拍手の波が押し寄せた。保護者会に出席した全員のお母さんが拍手喝采していた。僕も目頭が熱くなった。今まで、話術によって人に何かを伝え導くことを一生懸命考えてきたのだが、この時ばかりは話術が人を感動させたのではないと実感した。その人が体験したことの大きさと、人柄が聴衆に何かを伝えたのだ。3年間の試行錯誤と格闘が、見事に伝わったのである。

会が終わった後に、出席した保護者から感想が寄せられた。いずれも「感動しました。」「子どもも、そして、私もこの学校で頑張ろうと思いました。」というプラス思考のものばかりであった。それを読みながら僕はあることを感じた。

「教育とは理路整然とカリキュラムを整え、綺麗に上手に教えることだけでは片手落ちで、そこに情熱や真剣味があるからこそ子どもに何かを伝えられるのである。システムの構築に重点をおくのではなく、親身になって、こだわってこそ現場の教員。一緒に泣けるからこそ子どもの気持ちを動かせるんだ。」強くそう感じた。

数多くの子どもをあずかる身として、ともすれば機械的に多くの物事を処理しがちだが、泥にまみれるような格闘が人を変えると確信したのだ。

私も学んだ。話術ではなく、人柄が人の感動を呼ぶ。

<終わり>




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最終更新日  2005年10月24日 14時02分50秒
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