日々精進なり  <武蔵野東ラグビー部>

日々精進なり <武蔵野東ラグビー部>

2008年09月24日
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カテゴリ: ラグビー本舗
彼は前回の試合で膝を負傷して退場していた。

だから、前回の試合後から今回の試合前日まで安静状態で過ごしていた。

試合に出るか、それともレギュラーを明け渡すか。

彼の中でも葛藤があったのだろう。

試合前日、

「おい。膝の状態はどうなんだ?痛みは?」

と私が聞くと、

「全然痛くないです!!」と彼は答えた。

明らかに嘘だ。




私はそれでも、彼をスタメンで使った。


試合当日。

試合直前の彼に話しかけた。

「痛くないのが嘘だというのはわかってるよ。ただ、チームの一員として、

自分がリザーブの選手より動けないと判断したら、手を挙げろよ。

そしたら、交代だ。チームの勝利を考えたら、それが勇気だからな。」

彼は真剣な目をしながら頷いた。

高校生の年齢で、フォアザチームに徹するのは難しい。

自分が試合に出たいし、最後の瞬間までグランドに立っていたいという理屈が先行する。

それが高校生だから。

それでも仲間を信じて、交代時期を自分で判断するのは本当に難しいことなのだ。




明日を引きずりながら、冷静な顔つきで手を挙げていた。

私はすぐに交代メンバーに声をかけた。

ところが、、

交代するはずの16番の選手が興奮最高潮で我を忘れて、Tシャツを着たままグランドに出ようとしていたのだ。

私は、この状態で冷静なプレーが出来るはずがないと判断した。



そこで出した結論。

「19番のTを出す。」

19番のTとは、、以前に紹介した彼。

http://plaza.rakuten.co.jp/onebig10/diary/200809100000/


怪我をして、それを隠しながら練習していたら悪化。

結果的に試合に出られなくなってしまい、勝ち続ければ治癒することから、

みんなにエールを送り続けている彼である。


今回は、有事の際には出場することもあろうかと、リザーブに入れていたのだ。


「おい!!T!!出るぞ!!」

彼は声がかかったので驚いていた。

「は、、はい!!」

「ただなぁ、16番を落ち着かせるための時間帯だけだぜ。

2、3プレーでまた退くが、その間無理はするなよ。まだ感知していないんだからな。」

彼は、その言葉を冷静に聞き取り、深く頷きグランドへ飛び出していった。

その瞬間、グランドに異変が!!

観客席からは大歓声!!

そして、足を引きずり退場する彼と固い握手をしてチームメイトの元へ。

チームメイトが大騒ぎしながら19番を迎え入れたのである。

19番の今までの苦悩を知っている仲間の心に火がついたのだ。


引き替えに、自ら手を挙げてグランドから出てきた彼は、私にすがりついて泣いた。

「すみません!!」

号泣する彼を受け止めた私も涙が出てきた。

1年前の菅平、城西大学戦でも同じ光景があり、何故だかそれが思い出された。

「よくやった。そして、よくぞ勇気を振り絞ったな!!

まだ、みんなが闘っているぜ!しっかり見届けよう!!」

彼はベンチに座って声援を送った。


3プレー後、落ち着いた16番をグランドへ入れた。

当然、19番は数分間の試合出場の後、グランドから退いた。

しかし、数分間でも試合に出られた19番の表情は輝いていた。

笑顔で握手すると、負傷退場した彼とも言葉を交わし、声援を送った。


様々なドラマが彼らを育て、順調ではなかった学校生活が彼らを強くした。

試合の途中ではあったが、そんなことを思いながら、涙が出てきた。


点数だけではわからないドラマがある。

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最終更新日  2008年09月24日 11時49分33秒
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