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2010年02月27日
無からの有、その原点
テーマ:
教師のつぶやき(795)
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叔父が末期がんだと知ったのは、先月のことだった。
日程調整をして、話ができるうちに会いたかった。
叔父は、四国の宇和島に入院中。
全身がパンパンに腫れてしまって、
その原因は肝機能腎機能の低下によるものだといっていた。
叔父は、若い頃に片足を失った。
片方になった足までが象のように腫れていたという。
叔父は母方の親族であることは知っていた。しかし、どうやら血縁は薄かったようだ。
親の違う異母兄弟とも最近になって聞いた。
当時、私の叔父への印象は、「片足の男」だ。
若い時に交通事故に遭い、左足を切断した。
それ以降は義足をつけて生活していたのだが、運動能力の凄まじさは目をむいた。
急流の川に潜って魚を捕り、岩場を手2本と足1本で猿顔負けくらいに駆け回る。
そして、手先も器用で高級時計の修理専門の会社でも働いていた。
そんな叔父は、結婚して子どもを持ち、その後様々な困難にであったらしい。
そして、その困難に立ち向かうことができず、
自ら命を絶とうとしたことが度々あったようだ。
私が高校生の頃。
離婚後、自暴自棄になっていた叔父を心配して、母親と祖母が長距離電話をしていた。
「本当に、心配ねぇ、、電話しても出ないのよ。」
「電話帳調べて、すぐに近くの警察署か派出所に連絡だよ!窓を破ってでも
入ってもらうんだ!一刻を争うよ!!!」
昔から、グッと、、ピンと、、モヤモヤっとする時があった。
先行きが見えるような気がするのだ。
父親からは、「気持ちが悪がられるから口にするな」と言われていたが、
尋常ではない私の口ぶり、慌てぶりに母は驚きすぐに駐在所に連絡をしたそうだ。
トイレの窓を破って入室。
叔父は、倒れていた。洗剤か農薬を飲んだらしかった。
それ以来、叔父は私に「命の恩人」と呼ぶようになった。
その後、私の結婚式に来た時の叔父は満面の笑みで「いゃー!めでたいぜぇ~!」
と言って、珍しくピシッと着たタキシードに似合わない笑顔でいた事を覚えている。
それから、、10年後。
私の父が亡くなった。
父を義兄(アニキ)!と大変慕っていた叔父は、
通夜が終わった後、宴会場で大騒ぎする集団(故人の意志で盛大に飲んで欲しいという)
から離れ、仏壇の前で泣き崩れる叔父。
「アニキ!アニキが死ぬるんならぁ、、俺も、、俺も死ぬる!!」
と、泣いていたのである。
私は叔父のそばにより、「死ぬ」なんて口にしてはいけないと話をしたが、
冷静さを失った叔父は同じ事を繰り返して叫んだ。
私は、叔父の胸ぐらを掴んで、
「バカヤロー!!生きていたくても、死んだ親父の分まで生きるんだ!!
人間はなぁ!死ぬその時まで一生懸命生きるんだよ!!!」と叫んだ。
叔父はがっくり下を向き、、ようやく納得した。
「死ぬ時まで、一生懸命生きるんだよ」
そう言った。確かに。
故に、、末期がんの叔父に話をしたくて宇和島に向かう決心をした。
しかし、
享年63歳。 2月27日早朝 「死ぬ時」を迎えてしまった。
入院中の叔父と一言話すために宇和島に向かうはずだったのに、
葬儀に、墓参りに行くことになってしまった。
ただ一言、
「お疲れ様でした。一生懸命生きましたね!
その節は失礼なことを言ってすみませんでした。」
そう言いたかった。
墓前に先行をたむけて、心の中でそう祈った。
そして、、、
現在、グランドもない学校で、スポーツ優秀生徒のいない学校で、
ない、ない、ない、、ないないづくしの環境で、
それでも頑張れるのは、あなたのおかげです。
小さい頃から、「片足がないからなんちゃない!逆足が残っちょる!!」
を見せられてきた私にとって、貴方の生き様はお手本でしたから。
無いから故に、工夫する。そうすれば、素晴らしいものが生まれる
無からの有。
ありがとうございました。
そして、お疲れ様でした。
叔父の遺影についてお子さんが語った
「20年近く前の結婚式の写真らしいんですよ、、
正装で唯一笑った写真がこれしかなかったんですよ。」
遺影は、タキシードで満面の笑み。
そう、私の結婚式の写真だった。
合掌
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最終更新日 2010年03月04日 09時00分10秒
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