日々精進なり  <武蔵野東ラグビー部>

日々精進なり <武蔵野東ラグビー部>

2011年03月31日
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カテゴリ: 大震災
及川先生に道案内をしてもらって、被災地を歩いた。

(及川先生は、本校が釜石合宿が始まったきっかけ( ブログ参照 )を作り、成功に導いてくれた人。地元の歯医者さん。及川先生は本校ラグビー部が創部した直後に釜石シーウェーブスをきっかけに私が知り合い、釜石という土地が、武蔵野東ラグビー部を受け入れる立役者になってくれた人。どんなに忙しくてもグランドに来ては写真を撮り、八幡平まで来ることもしばしば。そして歯科検診をしてくれたり、チームのレギュラーにはマウスガードを作ってくれる。それもスペシャルカラーリングとネームとエンブレムまで入れてくれるほど。
練習の合間に歯科医院で歯型を取る際には、練習に支障を来さないようにと、練習直後の汗と泥まみれの部員を、綺麗な診察室にビニールシートを全面に敷いて受け入れてくれた。そして、医院のモニターには本校部員の合宿の様子がスライドショーで流れている。また、東京での三送会。大会ではチームが2つ勝てば早朝に釜石を出て試合の応援にも来てくれた。
合宿では部員に苦言、叱咤もしてくる本当の愛情を持った先生。)

鼻をつく臭いは更に強くなり、道があった場所だけが急場をしのぐかのように瓦礫が撤去されていた。

歩きながら先生は、その場所その場所の方々の安否を教えてくれたが、助かった人よりも

亡くなってしまった人の方が多かった気がする。

隣の方は、震災直後に挨拶を交わして以降姿が見えず、数日後に向かいの家にある瓦礫の下から発見されたそうだ。



建物ごと流されて、歯科医院の先に流され大破しているほどで、町の配置を崩す津波の威力を物語っていた。

DSCF1623.jpg

先生は今、隣にあるご実家と思われる場所の3階に住んでいるそうだ。

1階は濁流が流れたのか、ガラスもドアも大破して、2階も床の部分は泥に覆われていた。

2階の奥には震災の直前に亡くなった御尊父の祭壇があった。

当然、水道が来ていないので水は汲みに行き、便所は小さいのはトイレに流し、大は紙おむつにするそうだ。

車一杯に積んだ支援物資の一部を差し上げて、先生に託す為に集めた有志からの義援金を手渡し。

3階でお茶でもと言われて御邪魔した。

しかし、その3階から見た景色で更に驚いた。

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祭になると人々がごった返したメインストリートは瓦礫の山。

そして、高い場所から眺めると1階部分、2階部分、3階部分と、まるでグラデーションのように、

線が入って破壊度が違っている。そう、3階部分以上はまるで無傷なのだ。

DSCF1634.jpg



先生の握手は固く力強かった。

数分前に「患者の電子カルテがハードディスクに入ったまま5000件分水の底に、、」

と涙を浮かべていた先生の言葉。そして、「復興するったって、どうすればいいのか、、」

「この土地にまた住めるようになるのか、、」というポツリポツリと出てくる言葉や、

「瓦礫を少し動かすと、ご遺体が出てくるんですよ。誰か分からないものが多いけど、、」



言葉が頭の中を巡ったまま固く握手をして、必ず再び訪れることを先生と自分に誓った。


市街地を後にして、車で山を越えると釜石商工という学校がある。

ここは、本来であれば今の時期に合宿予定していた学校。

学校の一角には合宿施設があり寝泊まりでき風呂の施設も完備されている。

少し高台にあった学校は無傷。また、新校舎に建て替えた直後ということで、

耐震構造がしっかりしていたらしい。

そこへラグビーグッズを届けることも今回の目的の一つだった。

駐車場に車が入ると、すぐに阿部先生が出迎えてくれた。

まずは無事を喜び再開の握手。元シーウェーブスの選手だった阿部先生。

とても固く力強い握手だった。そして、目からは大粒の涙がこぼれていた。

「まさか、本当に来るなんて、、」言葉を詰まらせる阿部先生。

今回は、我がチームの物資だけでなく、ラグビー用品店のセプター、スズキスポーツから

スパイク十数足、ソックス40本、ジャージやトレーナー、ボールは50個。

そして、東京だけでなく、三重県の四日市農芸、大分文理大学の厚意も運んできた。

荷下ろしした後に、来週は古ジャージやカバン、生徒や卒業生の普段着、靴なども送ることを告げた。

DSCF1617.jpg

聞けば、部員の家も半分ほど流されてしまったそうだ。

流された家からは、着の身着のまま逃げたので、ほぼ全ての日用品を失ったとのこと。

しかし地域によっては全く違う状況、、、

? ? ?

不思議な感覚がようやく自分で理解でき始めた。

震災被害のみならず津波の大打撃は、高低差と地域差を生んでいた。

その後、我々は町を回りそれを痛感し理解し、今何が必要か見えてきた。





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最終更新日  2011年03月31日 14時03分32秒
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