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暑中お見舞い用のイラストです。08年度の暑中お見舞い絵は、プルミエールとアリエッタの水着姿となりました。アリエッタを塗ったのは今回が初めてなんですよね。設定した時よりも髪のウネクネが当社比30%ぐらいUPしています( ^∀^)ノ水着に関してもそんなに描いたことが無いので彩色時に、如何に濡れた感じを醸しだそうかと意識しながらヌリヌリしました。あと、アリエッタの水着の縞々を縦じまと横じまのどちらにしようかで、意味も無く悩みました(笑出来るだけ融通が利く方法で塗りたいのですが、いろいろと精進が足りないようで、巧くいかない事が多いです。実は、彩色中に何度か構図が変わっているので、そこら辺が考慮の一端でした・・・まだまだ未熟です。
2008/07/29
原画を取り込む為にスキャナ君を繋いでみると、修復不可能&致命的などと、イヤ~ンな宣告をされた今日この頃。トーンの削りカスが貼りついても、笑って許してくれた君・・・高い所から落としても、文句ひとつ言わなかった君・・・人目に晒せないようなモノを挟んでも、寛大な心で受け入れてくれた君・・・「まだ、逝くには早すぎるよー」と背中(背面)を叩いて、サスってみましたら、無事息を吹き返しました。もう、やだなー死んだ振りなんて、次やったら本気で殴るからね♪そろそろ買い替え時かもしれない・・・
2008/07/19
気合を入れて暑中お見舞いイラストを描かないといけないので暫く、こちらは更新出来ないかもしれません。あと、ちょっとサボり気味だったので、某MMOで新規さんのお世話をしなくては・・・┃電柱┃∀`)イヤハヤそれと、今年は『うさぎ風船』用にも暑中か残暑のお見舞い絵を描こうかなと考えています。去年はサボりましたしね・・・(汗ここの暑中(残暑)お見舞い絵は丁度、小説モドキが大小むねむね戦争中?なのでプルミエールとアリエッタの水着姿辺りにしたいと考えています。トロピカルにドキが胸々になれたら良いなー(* ̄∇ ̄*)
2008/07/18

・・・・・・・・・・・・・・・・・・『†Princesse du sang†』光ノ章 0-09【聖船】下b―シャルロットSIDE― 「ふぅ・・・」 アリエッタは少しでも元気を取り戻そうと身近な皿にフォークを向ける。 ―――カツン・・・カツン 本来そこに在るべき子羊の骨付きローストの柔らかな感触が感じられない。 どちらかというと硬質な音が響いている。 不思議に思ったアリエッタが食卓の上を見渡すと、空き皿の山だけが雑然と散乱していた。 向かいの席で自らの食欲に対して謹厳実直だったプルミエールの姿も既に無い。 「・・・・」 アリエッタは恨めしげに天蓋のついた寝台に目を向ける。そこには他人の分まで余計に平らげたプルミエールが無造作に寝転んでいた。フリル状のドレスの裾が捲くれあがって白い下着が丸見えである。 この船にもおかしな趣味の人がいるかもしれないし、もう少し気を使っても良さそうなのだがプルミエールという少女は、アリエッタ同様に他者の悪意には鈍感であった。ただアリエッタと違い善意や好意にも無頓着なので、正に天上天下唯我独尊である。 プルミエールは魔法石の首飾りを人差し指で突きながらブツブツとなにやら毒づいている。 その動きが不自然に、はた―――と固まる。プルミエールは左右色彩の異なる団栗眼を大きく見開いたまま硬直していた。次第にその小さな体がぷるぷると震えだす。 「あ、あの、プルミエールさま・・・どうかしましたですか・・・?」 常人が食する限界を明らかに越えていたこともあり、食あたりか何かかと心配になったアリエッタが恐る恐る尋ねる。 出来れば、航海中ずっと寝込んでいてくれればいいな―――などと不謹慎に思ったりもしたが、ちょっぴり生まれた下克上の心意気をアリエッタはそっと飲み込む。バレたらことである。恨まれるというより、きっと呪われるだろう。 「シャル姉さま~~~~~~~~~~~っ!!」 ―――ビクっ!? 「(~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!)」 実はアリエッタもすっかり忘れていた名前がプルミエールの口から飛び出す。 「アリアリ!! シャル姉さまはどこですかっ!?」 プルミエールは寝台からバッ―――と飛び起きたかと思うと、自分とアリエッタの軌道上に存在する全て蹴散らしながらアリエッタに詰め寄ってくる。周囲に散乱する食器や盃が甲高い音を響かせながら跳ね回る。 当たり前ではあるが、この教会船にシャルロットやフィーナは搭乗していない。 よって、この質問は、答え方によって命の危険を伴う。 「あは、あははハハ・・・そ、そろそろイプス岬沖ですねぇ」 アリエッタは心の奥底から一握りぐらいの勇気を振り絞り話題を逸らしてみた。 「ふ・ざ・け・る・にゃ♪」 プルミエールは何かドス黒っぽいものを含む眼差しでアリエッタを睨みつけた。 自分も今まで忘れておいてふざけるなも何もないものだが、理屈が通じるようなら苦労はしない。 「も、もちろん冗談ですよ!!」 力いっぱい前言を撤回するアリエッタ。 この難局をどうにかやり過ごせば、アレシャイム教皇領に到着後、後から追ってくるであろうフィーナ隊長等と合流し、全てを有耶無耶に出来るかもしれない。 だが、現時点で巫女姫が偽者だと教会側に知られれば、不信感や責任問題が先に立ってしまう。結果、一番伏せておきたい部分だけが浮き彫りされてしまう。 ―――そう、誰の責任だと・・・ 「・・・(私だけ不幸になるのはイヤですぅ~グス)」 意外にも冷静に事の成り行きを推察していたアリエッタであった。 しかし、このままではアリエッタが、たった今命名した“全部なかったことにしちゃおう計画”がおじゃんである。 「そ・れ・で?」 プルミエールが威嚇するように、アリエッタとの間合いを詰める。 主人の怒気を敏感に察知したアリエッタが数歩後ずさりする。 そんなやりとりが、数秒続いたが――― ―――ドンっ 背中に何か堅いものが当たる感触を感じる。いつの間に壁際に追い込まれていた。 「あ、あの・・・おっ、怒らないで聞いてくださいますかぁ?」 時が経過するほど選択の幅が狭くなっていく点は人生と同じようだ。 精神と肉体、両方の逃げ場を失ったアリエッタは、残酷な現実の前に茫然としながらも、捨て身の交渉に打ってでようとしているようだった。 「うにゅ、プルとアリアリの間にぶすいはむよーです」 幼馴染を“下僕”扱いするのは不粋ではないのかと一瞬考えたアリエッタであったが、今はそれどころではない。 命の危険が迫っているのである。答え方を間違えれば確実に“お仕置き”が待ち構えているのだ。海の藻屑となった自分の姿を想像してしまい、アリエッタの顔色は青から白色に変わっていた。 「・・・ぜ、絶対に怒りませんですかぁ?」 いろいろと信じられないアリエッタは、捨てられた子犬のような眼で再度確認をする。 「うにゅ」 表面上は神妙そうにコクンと頷くプルミエール。 よく見ると、こめかみの青筋がぴくぴくとしていた。どうやら彼女の我慢の臨界点はすぐそこまで迫っているようだ。 「ぜ、絶対の絶対で・・ん?・・・んぎゅ~」 みなまで言わせずにプルミエールの手がアリエッタの喉をむんずと掴む。そのまま、両手で細首を締め上げながら、ガクガクとアリエッタの身体を揺すっている。 「さっさと、こ・た・え・ろ♪」 プルミエールは引き攣った笑顔でアリエッタに答えを促す。 「ぐ、ぐぐ・・・ぐるぢぃぃ・・・れふぅ~」 ぱしぱしと必死にプルミエールの手を叩くアリエッタ。 「(まじゅい・・・死んじゃう・・・)」 アリエッタが下僕的に2階級特進を覚悟した時――― ―――ギィィィィ ふたりの背後で扉の開く音が響いた。 そこには、見慣れないふたつの小さな人影。 「わちきはミューク・ウィズイッド。 以後、お見知りおきをお願いするのじゃ」 内の一人、短めの茶髪を綺麗に肩上で揃えた娘が優雅な所作で腰を折ると、プルミエールに向けて深々と一礼した。それにしても胸が大きい。身を屈めたことにより更に強調されている。あのアリエッタよりも一回り、いやふた回りは大きいだろう。まさに“巨大”と形容するのが相応しい胸の持ち主だった。 プルミエールの瞳が殺気を帯びた三白眼になっていることからも、それが知れる。 「お主がシャルロット姫じゃな? 誠に不躾で申し訳ないのじゃが・・・わちきに拐かされてくれるかの」 きっと、とても言い難い事である筈の言葉をさらりと云ってのけた。 そうだ、日記の続きを書かないと―――アリエッタは完全に現実逃避を始めていた。==============================================================※推敲はフリーページ内で行ないます。さて、これでプルとアリアリの珍道中は【ミューク篇】へと移行する事となります。【ミューク偏】はそれでなくても、個性の強い人が多いので大変な事になりそうです(汗==============================================================
2008/07/15

※料理描写を多数改稿致しました。・・・・・・・・・・・・・・・・・・『†Princesse du sang†』光ノ章 0-09【聖船】下a―シャルロットSIDE―--------------------------------------------------------------- こうかい日記 ~1日目~(晴れ) わたしは今日、気づいたら船に乗っていました。 船に乗るのは生まれてはじめてです。グラグラと揺れてとても怖いです。 きっと、とっても不幸なのですが、負けずにがんばろうと思います。-------------------------------------------------------------- こうかい日記 ~2日目~(くもりのち晴れ) わたしとプルミエールさまが乗り込んだ船、アメナディル号は首都ナイトクランを出航して以来、とても順調なこうかいを続けているようです。 お日様がたかくなる頃には、プルミエールさまも本格的な活動期に入りちょこまかと動きまわっておられました・・・ どうやら船員さん達の作業に興味をお持ちになったらしく、“帆布の手入れ”、“風や波の読み方”などをはじめ、細かい雑用にまで首を突っ込んでいらっしゃいます。いろいろと無理難題をおしつけられ、怪我をされた船員さんが数名でてしまい少し心配です・・・ でも、バルバロト船長や船員さんたちとはとても仲良しなので、わたしとしてはありがたいです。 あらくれ者どうし気があうのかもしれません。-------------------------------------------------------------- こうかい日記 ~3日目~(晴れていたかも?) いくら待ってもプルミエール様が教会船の礼拝堂にあらわれません。 ザゼル司祭も、世話係りの女神官の方も血相を変えて船内を探し回っていました。 どうやら、早朝礼拝がイヤだったらしく、トンズラしたようです。 日も暮れかけたころ、厨房の大なべの中で発見されました。隠れ疲れて眠りこけていたようです。 できるだけ、教会の方たちとも仲良しになってほしいです。-------------------------------------------------------------- こうかい日記 ~4日目~(快晴) いつの間にか、バルバロト船長の片腕にまでのし上がったプルミエールさま。 短い時間なら舵を任されるようになっていました。 怖いのではやく船を降りたいです。誰か助けてください・・・・ ・ ・ ・ 「アリアリ・・・ナニしているのですか?」 アリアリ・・・ナニをしているの――― そこまで書いてしまって、アリエッタは羊皮紙の束から顔を上げ周囲を見渡す。 ここは、アリエッタに宛がわれた“ちょっと小奇麗なだけ”の船室とは違い装飾の趣・居住性の良さとも最上級の特等船室だった。室内には食欲をそそる香ばしい匂いが充満している。 金満家の好むような絢爛豪華な宝飾とは大分異なるが、赴きのある繊細な意匠が凝らされた装飾は見るものの心を奪うのに十分に思える。 部屋の主人―――プルミエールと目が合うとアリエッタは慌てて開いていた冊子を閉じる。 「なんですかソレは~?」 プルミエールが怪訝そうな目を向けてくる。その視線の先にはアリエッタが後生大事に抱えている手記らしきもの。表紙の原皮には『アリアリのこうかい日記』と表記されていた。そのままだと、“航海”ではなく“後悔”ともとれる表題だ。 「あぅ・・・な、なんでもありませんですぅ」 アリエッタはまるで悪戯が見つかってしまった子供のように、慌てて日記を後ろに隠す。見られて困るような事なら書かなければ良いのだが、アリエッタにとっては幼い頃から続けてきた日課でもあるので仕方が無い。 「うにぃ・・・アリアリはお気楽でイイですねぇ」 聞き捨てならないプルミエールの言葉だが、アリエッタにしてみれば日記の事を追求されるよりは遥かにましであった。 普段なら、一度興味を抱いたら死ぬまで喰いついて放さない性分のプルミエールである。他人の秘密に食指を伸ばさないのはとても珍しい。どうやら今の彼女は他に心を奪われる何かがあるらしい。 「うにゅ~・・・なにか大切なコトをわすれている気がしますですぅ」 かわいい呻き声を洩らしながら蒸し大海老にかぶりつくプルミエール。そのまま小首を何度も傾げている。いや、殻ごと食いちぎろうとしているのかもしれない。 二人の目の前、綺麗なレースのあしらわれた純白の机掛けの上には、アリエッタが見たこともないような豪勢な料理が所狭しと並んでいる。 蒸し大海老のステパノ風 竜鳥と自家製ハーブの腸詰 牛肉と天霧茸のパイ包み 子豚の丸ごと石窯焼き 子羊の骨付きロースト ジャガイモとポロネギの冷製ポタージュ ・ ・ ・ 今回の航海には、7枢機卿の中でも美食家として名高いハンス卿のお抱え料理人が同行している。おそらく彼が惜しみなくその腕を振るったのであろう。 見目も美しく食べてしまうのが勿体ないぐらいな料理の数々。それらを食事作法というより、肉食獣が獲物を喰らう感じで次々と胃袋に収めていくプルミエール。 それに引き換えアリエッタはと云えば、中央から睨んでいる子豚の恨めしげな姿に完全に腰が退けてしまっている。子豚の暗い瞳孔と出来るだけ視線を合わせないようにと必死である。 そもそもアリエッタにとって、この船旅でプルミエールと共に食事をとるのは今夜の晩餐がはじめてである。ある程度予想はしていたが、正直この尋常ならざる料理の数と量に唖然としていた。 寄航することのない長期の航海は、物資を調達する術が皆無に等しく、水や糧食などは必要最低限度に節約するのが常道である。 供された料理を大量に残せば少しは調節されるのだが、プルミエールが毎食きれいに平らげてしまうので、その都度料理の量が増えてしまい現状に至るのかもしれない。 「はう・・・」 この分では何処かの港に寄港しなければ、糧食が尽きるのも時間の問題かもしれない。 そう考えたアリエッタが今日何度目かの溜息を吐く。船に乗り込んでからずっとこの調子である。 溜息を一回つくごとに、寿命が一年縮むという風説が真実ならば、この珍道中の間に、アリエッタの寿命は完全に尽きてしまうことだろう。 船員達との関係はとても良好なプルミエールであった。しかし、この教会船の聖職者達との関係は完全に冷え切っていた。それは、早朝礼拝や歓迎の式典など、メナデェルの礼典を全く無視した彼女の自由奔放な性格が悪い方に災いしていたからだ。 そんなプルミエールの尻拭いをアリエッタは一手に背負い込んでいたのである。 今日も何か気にそぐわない事でもあったのだろう。この特等船室の扉の中央にでかでかと“きょーかいカンケイ者は立ち入りキンシ”などと下手な字で書かれた掛札が立てかけられている。 そんなこんなで、困り果てたザゼル司祭からプルミエールの今後について嘆願されたアリエッタ。彼女は多少頬を引き攣らせてはいたがその頼みを快く承諾した。これでこの船旅の間、プルミエールの身の回りのお世話はアリエッタが担当することに決まってしまったようである。まさに自己犠牲の塊のような少女であった。==============================================================※推敲はフリーページ内で行ないます。半角10000文字をオーバーしそうだったのでPART分け致しました(汗最初は普通に書いたのですが、何を思ったか日記形式などを取り入れてみましたが、う~ん・・・大幅、改訂の予感・・・==============================================================
2008/07/14
統計的に人間の平均寿命が最も長くなる睡眠量は7時間だそうです。え~と、私の睡眠時間は、っと・・・・・・Σ( ̄□ ̄;)・・・ふぅ、人より早く死ねるって、 し・あ・わ・せ(*゚□゚)ノ☆)`ν゚)・;'.、クハッ!!いや、しかし、考え方を変えてみよう。他人様より3~4時間長く起きているという事は、一年で1277.5時間も得をしているのではないか!?そう、私には1年が418日ぐらいあるのである┃壁┃∀`)ナンテコッタイ常人が80歳まで生きた場合の総活動時間が約496400時間、私の一日の活動時間が平均20時間だとすれば、単純計算、68歳まで生きれば、常人の80歳分に相当する!!つまり、目標68歳!ビバ68歳!!(*゜∀゜*)丿69歳になったら、むしろ勝ち!!と、いうのはどうでしょうか?================================================P.S.ブログのホーム(TOP)が【†Curse of blood†】のままだったので、【†Princesse du sang†】に変更致しました。
2008/07/10

・・・・・・・・・・・・・・・・・・『†Princesse du sang†』光ノ章 0-08【聖船】中―シャルロットSIDE― 甲板に上がると、遠巻きに人集りが出来上がり、二人の少女に対し奇異と好奇の視線が無遠慮に投げかけられていた。 「そういえば、迎えの使者を宮殿の方に差し遣わせておいたのですが、ご存知あり・・・」 ―――ジャーーン、ジャーーン、ジャーーン・・・・ ザゼル司祭の問い掛けは、甲高く鳴り響いた銅鑼の音に掻き消されていた。 船の出港を告げる甲高い音色に、甲板に集まっていた神官・船員達が慌ただしく動き出す。 ―――瞬間、ふっと周囲が陰る。 逆光の中、目前に巨大な影がヌッと山のように聳えていた。 「俺はバルバロト。 この教会船アメナディル号の船長を17年・・・いや、16年か?・・・確かアレは・・・あ~っ、駄目だ・・・細かいことは覚えられん。 まぁ、きっと20年ぐらいやっている筈だ。 姫さんも、大船に乗ったつもりでいてくれて俺個人は一向に構わない」 バルバロト船長は豪快に自己紹介を済ませると、その髭面をニタリと歪めて人懐っこそうに笑う。巨人族と見紛うばかりの巨躯に真っ黒な長衣を纏い、無造作に垂らされた長髪の先を幾本もの三つ編みにしている。左目には頭部から被るようなカタチの特異な眼帯をしていた。海賊を抽象化して絵に描いたら、きっとこのようになるのだろう。 それにしても、大雑把な性格である。目が粗すぎて水没しそうだ。 隣でザゼル司祭があからさまに顔を顰めていた。 「うにゅ、よきにはからいなさいですぅ♪」 漢と漢の友情を誓い合うようにガッチリと力強い握手をするプルミエールとバルバロト船長。このコンビは要注意だ。アリエッタの胸中で不幸を司る警鐘が鳴る。それと同時に僅かな引っ掛かりを感じていた。 「・・・(―――でも、バルバロトって名前)」 しかし、幾ら思い出そうとしても途切れた記憶は甦らなかった。頭の中に靄がかかったように釈然としなかったが、今はどうでもよい問題だと自分を納得させる。 「バルバロト! 船を勝手に出航させてしまうとは、一体誰の了解を得てこのような真似を致した!!」 ザゼル司祭が不満の声もあらわにバルバロトに詰め寄る。 「あんただよ司祭殿。 この姫さんを乗せたら直ちに出向しろと言っていたのは何処の誰だったのか忘れたのかい?」 「なっ・・・いや、しかし・・・」 ザゼル司祭は鼻白んだまま、絶句している。 「そこの姫さんを危険に晒すわけにはいかないから、あんたもコソコソとやっているのだろう? それに海に出たら俺の領分だ。 ココから先、余計な命令を受ける謂れはないぜ」 プルミエールを鼻で指すと、バルバロトは鈍った肩の筋肉を解すように、腕を回している。そこに王族や聖位に対する、畏敬の念などそこには微塵も感じられなかった。 「きっ貴様! 誰のお陰で日の光を浴びれるようになったと思っている! 永獄牢に投獄されていたお前を助けてやったのは・・・」 バルバロトの発する威圧感にザゼル司祭は完全に圧倒されていた。 「それは、俺様の腕を欲したあんたの勝手な差し金だったのだろう? それに、“司祭様”に恩義を感じていなけりゃ、“いもしない神”の手先と称して、教皇庁におべんちゃらをとることに奔放するばかりの教会船の船長なんてとっくの昔にやめてらーな」 この場に、異端審問官がいたら、死罪、よくて流刑になっているだろう言葉を臆しもせずに言ってのける。 近くにいた船員からも忍び笑いが洩れている。 「私ばかりかメナディルの御名まで冒涜しようとは、自分が何を言っているのか、わかっておるのかっ!?」 こうまで云われてはもはや後には退けなくなっていた。顔を真っ赤にしてバルバロトを怒鳴りつけるザゼル司祭。血圧が上がっていく様が目に見えてわかった。 「おっ、と説教は後々、今はもっと大事な“コト”があるんじゃないですかい?」 そういって、プルミエールとアリエッタの方に目配せする。 「くっ・・・後日、きつく処罰が下ると覚えておくがよい・・・」 「お~、怖い怖い」 バルバロト船長は、その広い両肩を僅かに狭め気怠そうにしていたが、不意に大きく息を吸い込むと、 「まぁ、それでだ。 このアメナディル号は、イプス岬を抜け、サリナハーム東岸を北上した後、ソウルガイス諸島群ルブリス島を目指す予定だ」 話は変わってと、プルミエールとアリエッタに向けて目的地までの進路を簡潔に説明する。この時期に南西から吹き込む季節風を捉えるには最適の進路である。だが、南方から吹く暖かな季節風とリザロス湾沿岸の寒流がぶつかる海上は局地的な濃霧地帯で、イプス岬方面にかけては、視界を閉ざす濃い霧が帯状となって常に発生している。その周辺は荒々しい岩礁帯でもあり、座礁した船の残骸が数多く横たわり、この界隈の船乗りの間では“船の墓場”とも呼ばれていた。 通常の航行ならば、イプス岬は大きく迂回する進路をとるのが通例であった。 「まっ心配しなさんな・・・この大海原はガキの頃から俺様の庭のようなもんだ。 以前は世界中の海を股にかけて暴れまわっていたしな。 死の海域だかなんだか知らねえが、俺様にかかればお茶の子さいさい、赤子の手を捻るようなもんだ・・・・がっははははっ!」 バルバロト船長の本気とも冗談ともとれる大言に、周囲の船員から感嘆と冷やかしの混じりあった口笛が一斉に響いた。 「おいおい、また船長が“あの馬鹿話”をはじめたぞ!」 風向きに合わせ、帆の角度を調節していた船員が、殊更周囲に聞こえるように大声で冗談めかす。 「てめえっ何言ってやがる、俺様の聞くも涙、語るも涙の感動秘話。 まともに聞いたら涙ちょちょ切れで死屍累々なんだぞっ!!」 「ア、ハ・・ハハ・・・」 アリエッタが乾いた笑いを洩らす。 なぜ、死人がでるのかは不明だが―――間違いない。このバルバロト船長はプルミエールと同質同類の人間だ。即ち、大変な航海になりそうだ。 「そこの姫さんとかわいい騎士殿もさっさと船から降ろさないと、笑い死にしちまいますぜ!」 今度は頭上から冷やかしの声。アリエッタが空を見上げると、マストと物見台の間に脚をかけ、器用にバランスをとっているヒョロっとした船員の姿があった。 が、アリエッタと視線が合うと突然、バランスを崩す。 「わっとっとっ・・・あ、あぶね~」 「あわわ・・・」 それを直に目撃したアリエッタも、血の気が引く思いで目を丸くしている。 「かわいい騎士様が眩しすぎて、危うくおっちぬところだったぜ・・・・ぜぇぜぇ」 なにか意味のわからないことを呟いている。 彼の位置からアリエッタを見れば、その広いおでこに太陽光がキラキラと反射している。それが原因でというわけではないようだが、何かに気を取られて足を踏み外したのは確かだろう。 それにしても、港を出港してから、既にかなり時間が経過している、今更、降ろすもないものである。 「てめえら全員ヤキ入れんぞっ! 残らず海に叩き込んでやるっ!!」 逃げ惑う船員達を追い掛け回すバルバロト船長。だが、その体格が災いしてか、まるで小回りが利いていない。どうやらこの余興は暫くの間続きそうだった。 「ヤレヤレ・・・まったく、ひとさわがせですねー」 呆れたように溜息混じりの吐息をつくプルミエール。アリエッタも彼女に同意しかけ―――やっぱり、やめた。 「(プルミエール様がソレを言いますか・・・?)」 無論、忠実なる下僕なので口にだしては言わなかった。==============================================================※推敲はフリーページ内で行ないます。夜は時間の進み方が非常に早く感じます。いつの間にか3時間とか平気で経過してしまいますヾ(▼ヘ▼;)==============================================================
2008/07/08
今回の推敲は今までと違いかなり重要です(汗掻い摘んで書くと、後々、登場予定だった小型飛空挺“ワイバーン”を闇商人との取引の段階で入手する運びに変更です。============================================================月ノ章 0-02【闇商】上【改稿/密売品→小型飛空挺】 さも、自分は関係ないといった風な様子で肩を竦めるミューク。 「・・・わ、わかった・・・それで今日の御用向きはなんだい?」 顔中に油汗を浮かべたまま引き攣った愛想笑いを浮かべるゴルダ。 「プリウスの実・・・」 公には取引されていないプリウスの実を得る為にこの闇市を訪れたわけか、ゴルダはそう内心で納得すると、僅かに余裕を取り戻していた。 「・・・それと、“ワイバーン”を一機、用立てて貰いたい」 「なっ!?」 絶句するゴルダ。 「冗談・・・ではないようだな・・・」 ミュークの指す“ワイバーン”とは小型飛空挺の異称である。 この空中移動装置はその動力に蒸気機関が使用されている。 機体に積み込まれた小型の蒸気機関が、頭部に備え付けられたプロペラを回転させることにより空気を後方に押し出し、その反動で推進力を得ることが出来る。 その名称は機影を模る前進翼が、既に絶滅したと云われる竜族の亜種ワイバーンのそれに見えることから、そう名づけられていた。 ちなみに“蒸気機関”とは巨人族が有した失われた技術“ロストテクノロジー”のひとつであり、3古種の一角である巨人族との交流は遥か昔に途絶えいる現在では、ロストテクノロジーを有した飛空挺の価値は計り知れないものである。勿論、個人で所有できるようなものではない。 ゴルダは数日前の競売で、深海から発掘された“ワイバーン”を、幸運にもガープ金貨5000枚で競り落としていた。動力源が失われていない“ワイバーン”の価値はそれでも安価だったといって差し支えないだろう。 西大陸で最も広く流通するガープ金貨1枚は、同銀貨10枚に匹敵し、銅貨なら100枚分の価値があった。ちなみにこのバールペオル大陸において、ガープ銀貨1枚あれば、7日間は衣食住に困らない。 恐らく、目の前の屍族はその情報を何処からか聞きつけてきたのだろう。 ゴルダもその筋では名を馳せた闇商人である。商売の話となれば気後れはしていなかった。彼は自ら隊商を率い数多くの危険な遠征を成功させている。ヘリソンのように同業者を騙し討ちするようなやり方で、商王の地位まで登り詰めた臆病者とは明らかに違っていた。 ミュークの姿を、つま先から、頭の先まで、ねめつけるように観察すると、 「・・・何処でそのような情報を仕入れられたのかは存じませんが、当店に“ワイバーン”などという大層なシロモノは置いてありませんな」----------------------中略---------------------- 帳場の影に隠された鍵の束を手に取り、隠し部屋に姿を消したルムの姿を、ゴルダは絶望に満ちた表情で見送る。だが、彼の本当の不幸はルムが見た目とは裏腹に大雑把な性格であったことであろう。 「ミューク様、テキトウに持ってきた・・・」 両手に抱えきれないほどの密書を載せて戻ってきたルムの姿。それを見たゴルダは口をあんぐりと開けたまま硬直していた。============================================================月ノ章 0-03【闇商】下【改稿/会話全般】 「か、勘弁してくれっ・・・。 それらは所属する商会や収税官との契約上で使用する証書なんだ・・・そんなものを公表されたら身の破滅だ・・・この世界でやっていけなくなっちまうどころか殺されちまう・・・」 裏の世界で商売をしている身であるゴルダなら、叩けばそれなりの埃がでてくるのは当たり前である。こういった証書を手早く処分せずに残しておいたゴルダの油断が招いた結果であろう。だが、ゴルダからしてみれば、それらは身の破滅を招くものであると同時に、保全を図る為のものでもあった。何時、命を狙われてもおかしくない商売である。いざとなればそれらの証書を逆手にとることも出来ると考えていたのだが、今回は、それが裏目にでたようだ。 鑑定台の上に無造作に置かれた書類の山に、ゴルダは呻吟していた。 知ってか知らずか、ルムの持ってきた書類には商会や、公には出来ない機関の捺印が捺されたものばかり。 ナイトクランのような大都市では、ゴルダのような闇商人であっても、一定の商会に所属しなければ有益な情報や知識を得るのは難しい。 個々の商会は定めた期間内に、指定した稀少品をどれだけ納品できるか。それを実力の指標とし、商会員をランク付けしていた。無論、有能な商人ほど貴重な商談が任され、得難い情報も与えられる。 「わちきを騙そうとした罰じゃ・・・と、云いたいところじゃが・・・」 ミュークは勿体をつけて含みを持たせる。彼女は十分にゴルダの焦慮を駆り立てた後、さりげなく華奢な細顎に添えた人差し指をピンと立てる。 「これをわちきに進呈して頂けるのならば、見逃してやってもよいぞよ」 ミュークは一枚の書類を手に取るとペラペラと振って見せる。 それは、飛空挺の所有者としての証明書であった。驚きに見開かれたゴルダの両眼―――それが諦めたようにゆっくりと閉じる。 「・・・わ、わかりました」 ゴルダは苦々しくそれを了承した。 「それと、これは怪我の治療費と諸々の代金じゃ」 そういって、ミュークは帳場の上に一枚の古ぼけた金貨を置く。 「こ、これは・・・セナートル金貨!?」============================================================
2008/07/06
さて、今日も今日とて推敲の嵐です。相も変わらず未熟ですねツン(○ゝω・)σ((´Д`●)) ダメダメデス そして、最近私の鬱状態に拍車をかける出来事が!!ピザーラのメニューから若鶏のハーブ焼きがまたもやなくなりましたヾ(▼ヘ▼;)センゲツマデアッタノニ・・・勧められた変なチキン頼んだけど、骨が2本ある方が食べ難いです・・・(汗でも、いいさ・・・今はシチリアオレンジという心の友がいるから┃電柱┃∀`)レイトウミカンニマケナイデピザやパスタなんてタダのオマケです!!・・・(*゚□゚)ノ☆)`ν゚)・;'.、クハッ!!============================================================光ノ章 0-03【霊鈴】【追加/使者の描写】 「シャルロット様、先刻、教会からの使者を本宮に迎え入れております。只今、賓客として白の間にて丁重に歓迎させて頂いておりますれば・・・早急に接見されたほうが宜しいかと・・・」 まわりくどい物言いだが、要するに急いで欲しいのだろう。============================================================月ノ章 0-00【屍族】【改稿/会話全般】 「ミューク・ウィズイッド殿。 貴女のような偉大なる屍族を、我が居塔に招待できるとは光栄の至りであります」 そう言ったのは、悪趣味なほど金銀珠玉でその身を飾り立てた小太りな男。 商王ヘリソンである。その眼差しは興奮と緊張の為か、少し落ち着かない。 「商王殿はその噂に違わぬ器量の持ち主のようじゃな。 異端者でもあり流謫の身でもあるわちきをその懐に抱き、このように歓待して戴けるとは―――フフフ・・・」 ミューク・ウィズイッドと名指しされた人物は、豪奢な肘掛椅子に悠揚に腰を沈めている。 綺麗な栗色の髪を肩上で短く切り揃え、白蝋の肌に綺麗な鼻筋。一見、一六、七の少年のようにも見える面立ちであったが、紅い長衣の胸元が大きな曲線を浮き彫りしていることから、この人物が女性であることがわかる。 その佇まいは理知的で精錬された雰囲気を醸しているのだが、常に物憂いな紅色眼と小さな身の丈がそれらを幼げな印象に変えていた。 「これは、ご謙遜を・・・ウィズイッド家と云えば、屍族の中でも名門中の名門。 偉大なるエルダーの血脈を受け継ぎし者。 時が時ならば、この地に覇をなしていたのは・・・」 「ウィズイッドは、同族である屍族達にすら裏切り者の烙印を捺された一族。 たとえ聖剣戦争の勝者が入れ替わったとしても、この地に覇など唱えてはおるまいな」 ヘリソンの畏敬の言葉をあえて遮ると、ミュークは自嘲気に微笑む。----------------------中略---------------------- 「だが、我々は貴女の、屍族としての特異な『力』を必要としている」 「ふむ」 屍族との接触は教会の法で禁じられている。その禁を犯してまで接近してきた彼らの思惑にミュークは少なからず興味を抱いていた。彼の誘いに応じたのもそんな気まぐれからであった。しかし、今となっては、それ以上に物欲に塗れた目の前の男に吐き気を覚えていた。 「じゃが、商王殿は屍族という存在を何か勘違いしておられるようじゃな・・・。 わちきが素直にお主達人間の願いを聞き届けるとでも思っておるのかや?」 ミュークは嘲るように周囲を見渡す。 ヘリソンの周囲を固める三つの影が、不機嫌に眉をしかめる気配が伝わる。皆、肉の壁のような、異様な体格をしている彼らはヘリソンの私兵である。 「む、無論、謝礼は弾ませていただきましょう・・・ 金銭――黄金、宝石望むがままですぞ・・・」 ヘリソンは取り繕った笑みを浮かべると得意気にその短い両腕を左右に広げた。額には尋常ならざる量の汗の粒が浮かんでいる。彼は目の前の没落した屍族を、物欲のみで用意に操れると考えていたのかもしれない。 人間が屍族に抱く根源的な恐怖が、徐々にヘルソンの精神を蝕んでいく。 「つまらぬ」 「そっ、それでは、どのような形をお望みか?」 突き放した物言いに、虚をつかれたヘリソンは狼狽を隠せず、円卓に身をのりだしていた。 「それは商王殿自らで考えるがよかろう」 冷たく突き放した物言いに、ヘリソンは答えに窮する。※その他、少々============================================================
2008/07/05

・・・・・・・・・・・・・・・・・・『†Princesse du sang†』光ノ章 0-07【聖船】上―シャルロットSIDE― リザロス湾を彩る紺碧の海面は鏡のように穏かだった。 貿易船や軍艦の停泊する大港の奥に、白大理石を貴重に様々な貴石で模様を施された公室専用の小さな港がある。 そこは周囲の喧騒から隔離された特別な空間であった―――が、平穏な朝は早々に終わりを告げようとしていた。 「むかー! “愚民”のぶんざいでナマイキですねっ!!」 舌足らずな子供っぽい声が、周囲の静観をぶち壊すように響き渡る。 「ここを通すわけには参りません。どうぞおひきとり下さい」 教会船の停泊した桟橋の上で繰り返される押し問答。 勿論、騒動の源はプルミエールとアリエッタである。 アリエッタから事のあらましを聞きだしたプルミエールは、意気揚々と目的の場所に辿り着いていた。その背後には、まるでこの世の終わりだとでもいうように、がっくりと肩を落としたアリエッタの姿。 相手が王族とはいえ機密事項を漏洩したことがバレれば、ガーディアンの正式叙勲は暫くの間、見送られそうである。 ―――ガルルルル・・・ 「おっ、おひきとりを・・・」 警備の神官兵も、噛みつかんばかりに身を乗り出してくる少女に、明らかに気後れしてしまっている。もう一人の少女が、抱きつくように背後から身動きを封じていなければ、本当に噛みつかれていただろう。 唐突に現れ、船に乗せろと一点張りの少女に、神官兵はほとほと困り果てた様子だった。まるで従う様子がないどころか、会話さえ成立しない。いや、会話が成立しないから、従わないのか? そんなどうでもいい疑問さえ浮かんでいた。 それに、少女の装いは明らかに貴族階級の人間のソレであったから、神官兵も下手に手出しが出来ないでいた。 「なにを騒いでおる。 余計な揉め事は起こさぬようにと、あれほど苦言を呈しておいたであろうに・・・」 外の騒ぎを聞きつけたのか、船上から金糸銀糸で縁取りされた聖職衣を纏った白髪の老人が現れる。 「申し訳ありません船上司祭様。 この少女がどうしても船に乗せろと聞かないもので・・・」 船上司祭とは教会船に乗り込む聖職者のうち、最も位が高い者に贈られる称号である。 司祭不在の孤島や小教区に司牧訪問する目的で造られた教会船には、本格的な礼拝堂が設けてあることが通例であった。ようするに、船上司祭とは、海上でのミサをはじめとする秘跡を執り行う最高責任者である。 老司祭は二人の少女を注意深く観察している―――と、その視線が不意に目の前の少女の胸元で留まる。 「お嬢さん、もし宜しければ、それを拙僧にみせては戴けませんかな?」 そう言って、プルミエールの緩やかな起伏の上で、太陽の光を虹色に反射する宝飾を指差す。それは姉であるシャルロットより託された首飾りだった。 「むむっ、えっちぃですね。 アリアリ、ぼこボコのぎったんギッタンにやっつけてしまいなさいですぅ!!」 プルミエールは小さな胸を両手で隠すようにすると、アリエッタをけしかけようとする。 言葉のあやを読むという事を知らない娘だった。 アリエッタは数歩後ずさると、首が千切れてしまうのではないかと思うぐらい、ブンブンと左右に振っている。 この大陸において、聖職者に対する傷害は、異端者扱いをされ流刑地おくりが通例である。それに、アダマストルでは宗教的な罪は大小を問わず教会の意向により“神の法廷”で裁かれることになっている。そこに公国の法が立ち入る隙はない。 アリエッタも、流石にこんなつまらない事で犯罪者になりたくはないようだ。 老司祭は口をポカンと空けたまま唖然としていた―――が、理不尽な命令を下された気弱そうな少女の助けを求める視線に気づく。今にも潤んだ涙が零れ落ちそうであった。 老司祭はひとつ、咳払いをすると、 「い、いや、その首飾りのほうです」 「・・・う~ん、あげませんよ?」 数瞬の沈黙の後、思いのほか素直に首飾りを手渡すプルミエール。 僅かに頬を赤く染めていることから、流石に今の勘違いは恥かしかったらしい。 「すぐにお返しします。 ご安心くだされ」 老司祭は手にした首飾りを、極めて慎重に取り扱う。 中央に埋め込まれた魔法石と、それを取り巻くように施された繊細な銀細工。彼はその紋様に見覚えがあった。そして首飾りの裏側を確認すると、抱いていた自信が確信に変わる。 「非礼の数々、弁解の余地もありませぬ。 ご無礼の段は平にご容赦下され」 老司祭は、プルミエールに首飾りを返すと畏まって低頭する。 アリエッタどころかプルミエールまでも、きょとんとしている。 「何をしておる、早く此方のお二人を教会船へとお通しするのだ」 事態を飲み込めず唖然としている神官兵を叱責する老司祭。 「しっ、しかし、 関係なきものは誰であろうと此処を通すなと・・・」 釈然としないのか、異義を申し立てようとするが、更なる怒声が降りかかる。 「馬鹿者っ! このお方こそ我らがお持ち申し上げていた貴人であらせられるぞっ!!」 雷鳴に打たれたかのように、身を堅くする神官兵。 「も、申し訳ありませんっ・・・想像していたお姿と大分相違がありましたもので・・・」 現実は小説よりも奇なりとはよく言ったものだ。この場合は、当てはまらないのだが・・・ 「どうぞ、こちらへ」 神官兵が脇へ退くと、老司祭はプルミエールを甲板へと丁重に先導する。プルミエールは神官兵に向けて、勝ち誇ったように八重歯を剥き出しにすると、悪戯っ子のように微笑む。根に持つタイプでもあるようだ。 残されたアリエッタは、あたふたと周囲を見回して思わぬ展開にとり乱していた。 「ん?・・・守護者の騎士様もどうぞこちらへ」 どうやら、彼女の上衣に縫いこまれた紋章が、あの娘子軍として名高い“ガーディアン”のものである事にも気づいていたようだ。正規の守護騎士と間違われ、一瞬うれしそうな顔になるが、このままでは事態のややこしさに拍車をかけてしまう。 「あ、あの・・・きっと、人違・・・」 そこまで、言いかけてはたと気づく。 誤解だとわかってしまったら、船に乗れなくなる。そうなればプルミエールは理不尽に暴れだすだろう。その怒りの矛先が果たして何処に向けられるか? この場でこの見事に噛み合ってしまった勘違いの連鎖。それに気づいている人間が、自分だけだという事実にアリエッタは愕然とする。同時に、ガクガクと膝が笑うほどの身震いが彼女を襲う。 「(こ、このままじゃ・・・ぜ、ぜんぶ、私のせいになっちゃいますぅ~)」 「ど、どうされました・・・?」 顔面蒼白で今にも身投げでもしそうなアリエッタの様子に、老司祭も言葉を詰まらせる。 「い、いえー・・・えへへ」 アリエッタは不自然な作り笑いを浮かべる。もう悪魔に売るものは何も残っていない。これ以上、何も失うものはないと自分を納得させる―――そうしないと、心が折れそうであった。当の“悪魔”はというと、甲板へと掛かる渡し板の上から、いつも通りに無い胸を張っていた。相変わらず偉そうである。勿論、下僕なので口にだしてそんなことは言わないし、言えない。 「申し遅れました。私はこの教会船の司祭を努めるザゼルと申します」 アリエッタの不自然な態度に老司祭は一瞬、眉を顰めて訝しんだが、彼の興味はもう一人の少女に集中しているようだ。 「それでは、参りましょう」 プルミエールの手をとって、その甲に恭しく口づけをする。それは“メナディエルの祝福”と呼ばれ、自らより高い聖位を持つ者の手の甲に接吻する行為は、神聖で儀礼的な意味がある。 プルミエールは王族ではあるが、宗教的に高い地位にいるわけではない。ようするに、この老人も何か思い違いをしている。 それは、そういった待遇に何の疑いも持たないプルミエールの堂に入った態度も災いしている。 3人の姿が甲板に消えると、一人残された神官兵は、空を見上げる。 ・ ・ ・ 「あ、あれが、美姫と噂された、アダマストルの巫女姫・・・シャルロット様?」==============================================================※推敲はフリーページ内で行ないます。あれっ・・・本筋はシリアスな筈なのに・・・(汗==============================================================
2008/07/03
帰宅後、仮眠をしていました。今から、気分もノリノリ(※死後)で小説モドキでも書こうかなと思っていましたが・・・鬱orzこんな時は好きなゲームでもやるのが一番なのですが、そもそも、私の一番好きなゲームはドレなのか・・・ジャンルがRPGである事に疑いの余地はないと思います。加えてスグに思い浮かぶシリーズは【テイルズ】【サガ】【ルナ】【グランディア】【ワイルドアームズ】辺りです。無意識でも、意識的だとしても【テイルズ】を最初に書いているのできっとこのシリーズが一番好きなのかもしれません。君の代わりなんていないからー(*゚□゚)ノ☆)`ν゚)・;'.、クハッ!!優れたRPGと聞かれたら、【サガ】辺りを最初に挙げそうなのですけどね(笑ただ、好きって気持ちには、それ以上の何かがきっとあるのだと思います。どちらにしても、一番感化されたのが【テイルズ】なのは間違いありません。ハジメテつくった版権同人が【TOD】でしたしねー┃電柱┃∀`)今の自分は、ひとつの作品を他の何かと比べてばかりいて、それそのものを真っ直ぐに、純粋に視れなくなっている気がします。自分の気持ちなのだから、他と比べる必要も、指標となる何かなど、必要ない筈なのにね・・・他と比べるべくもなく、それを好きでいることが私の好きであることの理想です。でも、それには達観の極値に至るか、限りなく純粋な心を手に入れるしか道はないようです。記憶喪失って手もありますね♪さて、小説モドキ書きます。
2008/07/03
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