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油断をしていたら喘息気味に風邪をひきましたorz最近は嬉しい事もそれなりに多いはずなのですが気分はやっぱり下降線です。気持ちを盛り上げようと気張っても長続きしない…まぁそれは良いとして(良くないけど…『†Princesse du sang†』の方は光ノ章と月ノ章の交差点に漸く辿り着き次からは双方共に1章に突入します。このまま1章を書くのもありですが、いろいろと推敲したくもあります。先に進む前に練り直したい設定もありますしね(汗それとラグナウェル篇、【血の章】又は短編を書くのもありだと感じています。あと、用語集や人物紹介などが-†Curse of blood†-の時のままなのでそこら辺もどうにかしないといけません。・・・・年末は恒例のアルバイトも追加されるので仕事も忙しくなります。趣味に割ける時間も限られるので、悩みは尽きない今日この頃でした。
2008/09/28
今日、友人から「これで悩み解決だね」などと言われて初めて気づいたこの事実。ヘビーユーザーに、ワンランク上のサービスをご提供すべく、月額100円で10月1日から開始されるらしい【楽天ブログPlus】管理画面は最低限の項目しか見ないので言われなければ永遠に気づかなかったかも…そういえば、半月ぐらい前に、そういう関係のアンケートがあったような無かったような気もしますヾ(▼ヘ▼;)んでもって追加される機能は…1.画像容量が50MB⇒20GBにパワーアップ2.スパム排除機能もパワーアップの2つだけ…なにかいろいろと物足りないです。画像1枚辺り500KBのままでは20GBの魅力が半減。迷惑スパム排除なら、書き込み認証機能を…タグ制限はどうなったの?明らかに、アフェリユーザー向けの機能強化ですね┃電柱┃∀`)ガッカリデスでも、前進する事はなによりも大事なので今後に期待します。
2008/09/27

・・・・・・・・・・・・・・・・・・『†Princesse du sang†』月ノ章 0-09【潜入】―ミュークSIDE― ミュークは甲板を振り仰ぎ、無言で傍らの少女に顎をしゃくる。ルムは躊躇なく縄を辿り、するすると船腹を登っていった。ミュークは重力を無視したような少女の身のこなしに惚れ惚れしながらも、先行したルムの後を追い船腹に脚を掛け慎重に一歩一歩登っていく。巧い具合に船の側面に固着した貝が足場になっているようだ。多少のぎこちなさはあったがミュークの手際もなかなかのものであった。 二人は甲板に上がると、航海灯の光を避け、照明の届かぬ夜の闇に身を潜める。 「さて……」 ミュークは独り言のように呟くと、船の構造を大まかに把握するべく周囲に目を走らせる。こういった作業は本来、レムが最も得意とするところだが、この場に居ないものをとやかくいっても仕方ない。 ミュークは今いる位置を後方甲板付近だと確認すると、更に船の全体像を推し量る。 教会船は上甲板に船首楼、船央楼、船尾楼を設けられた三島型の型であるようだ。 船首楼は展望台、船央楼は半球を重ねた3層構造をしており船尾楼に座す聖堂へと続く身廊が伸びている。それぞれの楼閣からは帆柱が伸び、船央楼の主柱の上には物見台が設置されていた。 「ゴハン……」 何を思ったか唐突にルムがそう呟いた。人差し指を口に咥え物欲しそうだ。 他に気を張っていた為に今まで気づかなかったが、確かに食欲をそそる香ばしい匂いが潮風に運ばれ周辺にも漂っていた。考えてみれば大灯台に着いてから碌な食事をとっていない。屍族の強靭な生体機能は一週間やそこら食事を抜いたところで死ぬ事はない。だが、ルムは屍族には珍しい大食漢であった。今回、計画性に欠けた行程を組んだせいでルムの数少ない楽しみを奪ってしまったのは確かだ。事が済んだら少女の貪欲な胃袋が満足するまで贅沢をさせてやろうと秘かにミュークは心に決める。 「どうやら、夕餉の時刻らしいが……此方には返って好都合じゃな。 下手に寝静まった輩を相手にするより警戒が緩む分、動きやすくもなろう」 それを裏付けるように船央楼付近の甲板には泥酔した水夫がひとり転がっている。 「丁度よい、あの者に役に立って貰うとするかの」 そう云うとミュークは泥酔状態で船縁に寄りかかる水夫へと無造作に近づいていく。男は時折、思い出したかのように手にした酒瓶を呷っている。 「そこの男」 「…んあっ? うぃ~ひっく……見ない顔、ひっく…だなぁ…新入りかぁ~?」 男はミュークの呼びかけに、下げていた頭を気怠そうに上げる。かなり酔っているようで呂律が回っていない。視点も定まっておらず正常な判断は出来ていない様子だった。 ミュークの双眸に深い紅色の輝きが宿る。すると男は魅入られたようにその視線を外す事が出来なくなる。 「聖女は何処におる?」 無造作にただそれだけを訪ねる。 「な、なにを…言って……」 ミュークの声は残響のように男の脳内に浸透していた。まるで心の奥底を覗かれているような感覚に陥っていた。 暫くしてミュークは満足したように頷くと、 「わかった」 血統アルカナ“女教皇”の力。その双璧のひとつ“マインドリード”を行使したミュークは、男の意識の表層に浮かぶ記憶を撫でるように掬い上げていた。男が泥酔状態だった事もあり大した抵抗もなく目標の意識に潜り込めていた。 ここに至り漸く只ならぬ異変を感じた男は、助けを呼ぼうと大きく口を開きかけたが、それよりも一瞬早くミュークの右腕が男の喉元を塞ぐ。男の声は蚊の鳴くような悲鳴に留まり、他の誰の耳にも届く事はなかった。ミュークは片膝を折ると、左の掌を男の額へと伸ばす。男の目は恐怖に見開かれていた。ミュークはそれを正面から見つめそっと呟く。 「お主はここで何も見てはおらん。 早々に持ち場へと帰るがいい」 すると男の身体は痙攣するように一度震えた。そのままふらふらと立ち上がり夢遊病者のような足取りでその場から歩き去った。 ―――マインドコントロール それが女教皇の継承者に与えられたもう一つの力であった。 血統アルカナ“女教皇”は人の心を操り読み解く力。その力の本質は、ウィズイッドの血族間でも継承者のみに知らされ秘匿されてきた。大屍族達は互いの血統アルカナが宿す力を畏怖し警戒していたからこそ、現在まで安易な衝突が避けられてきたのだ。他者に自らの力の種別や系統を見抜かれる事はあっても、その発動条件や本質自体は不可侵のものだ。継承者以外にそれを知られる事は、力そのものを封じられるのと同じだと言っても差支えはないだろう。少なくとも聖剣戦争以前の大屍族達はそうやってお互いを牽制しあって力の均衡を保っていた。 ミュークは闇に溶け込むように巨大な船央楼の外周を沿うように移動する。船首側の扉まで周ると、そこには上甲板から船央楼内部へと続く扉、その両脇に上層の操舵室と下層の下級船室へと続く階段が見える。ミュークは周囲に人の気配がないことを確認すると僅かに扉を開けて中の様子を窺う。薄っすらと洋燈の明かりに照らし出された通路の両側には同じような船室が続いている。長い廊下には赤絨毯が敷かれていた。その先、正面奥には上層へと続く階段が見える。男の記憶通り船央楼中層は教会関係者の居住区となっているようだ。 「教会の運命を左右するような貴賓を乗せている割に無用心じゃな」 口ではそう言ったが、死海と呼ばれるこの危険地帯で外敵への警戒が緩む事はミュークの思惑通りだった。船の航行すらままならないこの海域で、海賊や私掠船の襲撃があるとは通常は考えない。特にこの船が教会船である以上国籍がある後者はまずありないといって差し支えないだろう。見張りと呼べるような者は殆ど居なく。その注意は外敵の侵入ではなく自然の脅威へと向けられている。交代で警備をしている者もいるようだが、無警戒といってよいほどのものだ。 ミュークはそこに生じる心の隙をつこうと考えていた。彼女は人間がそういった常識や常道といったものに縛られがちな生物だと良く理解していたからだ。 十分に隙を窺って、ミュークは扉の陰から躍り出る。そのまま大胆且つ慎重に狭い廊下を走り抜け、上層へと続く階段へと向かっていた。 一見、無謀とも見える突貫であったが、ミュークには十分な勝算があった。この船の聖職者達は下層にある大広間で揃って食事をとる習慣があり、今はその時間であると読み取った記憶が語りかけていたからである。例え浸入を発見されても相手が少人数ならばどのようにも対処が出来る自信があったし、船室に残った者達にしても室外から多少の物音が生じても、この時間なら不審に思われることはないだろう。なにより波に揺られぎしぎしと軋む床は多少の物音なら掻き消してくれた。ミュークの抱く唯一の難点は、後から追随するルムの気配が全く察せられず振り返らねばその姿を確認出来ないことぐらいだ。 階段を駆け上がると、通路の両脇に高位神官達の船室が並んでいる。ここは外部の階段からは辿り着けない特殊な構造となっている。 ミュークは息を整えると先程の水夫から読み取った記憶を脳内で反復する。間も無く、男が聖女の存在を意識した際に表層へと浮かんだ記憶の断片のひとつを探り当てる。 ―――聖女の居る特等船室は上層の最奥にある ミュークは記憶を確認すると、足早に貴賓室の方向へと歩みを進める。長くその場に留まっていた方が見つかる危険性が高まり迅速に事を運ぶ必要があった。 他の船室よりも重厚な扉が目前に迫った時、室内から言い争うような声が聞こえてきた。まだ幼い、舌足らずな少女の声だ。両開きの扉が僅かに開いており中から光が漏れていた。そっと室内を覗いたミュークが僅かに考えるような仕草を見せた。 中には流れるような金色の長い髪を頭の左右で纏めた年の頃12、3歳に見える愛らしい少女。一目見て印象に残るのはその瞳である。少女の瞳に宿ったオッドアイの輝きが神秘的であった。目元を彩った朱丹と紫丹の化粧が一層それを際立たせている。それともう一人、金髪の少女になぜか首を絞められて、垂れ目がちな瞳から大粒の涙を溢れさせている従者らしき少女。こちらの少女も負けず劣らずミュークの食指をそそった。 恐らく金髪の少女がシャルロット姫で間違いないのだろう。噂によると聖女は深窓の美姫と名高かったのだが、目の前の少女は美しいというより可愛らしい形容した方がしっくりくる。口伝とは存外に当てにならないもの。そもそもシャルロット・リュズレイは籠姫として人目に晒されずに育てられたのだから尚更だろう。 「(それにしても、愛らしいの……)」 ミュークは何処か恍惚とした表情だ。まるで少女の金銀妖眼に魅了されてしまったようである。ごくりと大きく喉を鳴らすと、ミュークはルムに向かいにっと笑う。 「あの娘をわちきのモノにしたい」 ルムの耳元でそう呟いた。 「……」 ルムは無表情であったが、明らかに何か言いたげだ。 ミュークはそんなルムの様子に、ひとつ咳払いをすると、 「し、下心などないぞ。 そ、そうじゃ! 聖女を手荒に扱うわけにもいかぬから仕方なくそうしたほうが良いかなと考えたわけで…。 やっ、やましい気持ちなどこれっぽっちも……」 どうやらミュークは無類の美童美少女趣味であったらしい。 だが、ミュークの公私混同にもルムは取り立てて逆らつもりはなく、彼女の苦しい弁明が窮する前にコクリと頷く。ミュークにすれば連れてきたのがルムで幸いした。これがレムであったならば明らかに一悶着したことだろう。 ルムの了解を取るとミュークはうれしそうに頬を緩めた。そして、何を思ったか後先考えずに勢い良く扉を開け放つ。 「お主がシャルロット姫じゃな。 誠に不躾で申し訳ないのじゃが・・・わちきに拐かされてくれんかの?」 欲望とは人間屍族問わず正常な判断を狂わせるらしい。レムが大灯台で抱いた危惧は確かに的を射ていたようだ。==============================================================※推敲はフリーページ内で行ないます。今回も書き殴り過ぎて訂正箇所が多そうな回です(汗ふぅ……これで月ノ章も0章終了です==============================================================
2008/09/25
月ノ章_00-00【屍族】※謎の男の顔を覆い隠したヴェールを仮面に変更それに伴う細かい描写の訂正============================================================月ノ章_00-01~02【闇商】&03~04【双子】※/襤褸の外衣を修道女の衣に変更それに伴う細部描写の訂正【改稿&追加/闇商店の冒頭&修道衣の描写】 その人物は漆黒のヴェールの上に同系色の外套を纏っていた。衣の内側から黒地に赤と金の糸でメナディエルの紋章が刺繍された胸掛けが見える。 それはこの大陸では珍しくないメナディエル教の修道女の格好であった。 「ここはアンタのような人が来る場所じゃない」 最初は驚いたゴルダであったが相手が修道女だとわかると、早く出て行けと言わんばかりに手を振る。 しかし、口調とは裏腹にゴルダの心は落ち着かなかった。 相手はヴェールを目深に被っている為、その表情は見えない。なにより薄暗い店内の陰影に溶け込むように立っている姿が不気味だった。 「教会への寄付なら他を当たってくれ……」 ゴルダの声に反応した目の前の修道女が僅かに視線を上げたように見えた。 得体の知れない恐怖がゴルダの精神を束縛していた。金縛りにあったかのように身体が硬直して動かない。自然と呼吸が荒くなっていた。一瞬、垣間見えた紅色の双眸がゴルダを捉えて離さない。 「ま、まさか……屍……」【改稿&追加/集積場内の会話】 「俺はウェイト=ドライデン。 ここの技師長みたいなものだ。 それでなんのようだ? 神の奇跡も序に間に合っているぞ……と言ってもそれも違うらしいが」 ミューク達が偽りの修道女に身を窶している事を見抜いてのウェイトの言葉。 「この“ワイバーン”を受け取りに来た」 ミュークは目深に被ったヴェールをその外套ごと脱ぎ落し、素顔を晒す。 男の瞳に射抜くような眼光が宿る。============================================================月ノ章_00-06【凶兆】※岬が湿原に侵食されている描写を以下の変更点によって訂正【追加/湿原の終焉】 暫く進むと大地から感じる感触が次第に変わっていく。どうやら長く続いた湿原での行程も終焉を迎えそうだった。視界は尚も悪いが、岸壁を削る波の音が聞こえだした。【改稿/大灯台の位置】 ミュークは歩みを止め、目前に聳える強大な建築物を見上げる。それはイプス岬の切り立った断崖上に鎮座していた。============================================================
2008/09/22

・・・・・・・・・・・・・・・・・・『†Princesse du sang†』月ノ章 0-08【死海】―ミュークSIDE― 双子が昼と夜を交互に見張るようになって二日目の夜――― 「ミューク様~!!」 岬の断崖で独り見張りに立っていたレムが息を弾ませながら大灯台へと駆け込んできた。しかし、そこにミュークの姿はない。驚いたレムが慌てて周辺を探し回っていると、何処からか打ちつける波の音に混じり人の話し声が聞こえてくる。 注意深く声の発生源を辿っていくと、それはイプス岬の東側に広がる海岸線の方向から聞こえてくるようだ。レムは傾斜のきつい地形を慎重に降りていく。すると、今まで霧の中に沈んでいた海辺の様子が視認できた。 「うわぁ…」 波打ち際には、まるで巨大な魔物に食い散らかされたように船の残骸が数多く横たわっていた。近海で座礁した船が海流の影響でこの砂浜に打上げられているようだ。 更に注意深く辺りを見回すと、浜辺から突き出た岩礁の前でミュークが手招きをしている。その隣にはルムが当たり前のように付き添っていた。 「何処にもいらっしゃらないから心配しました。 ルムがいれば大抵の外敵は退けられるでしょうが油断は禁物ですよ」 レムは自らの抱く危惧を述べると、ミュークの傍らで佇むルムを横目でちらりと見やり嘆息する。それから、ご自分のお立場を良くお考えになってくださいと付け加えた。ミュークを守る為に必要である直接的な力を持ちえない自分に歯痒くもあるのだろう。レムは多少口うるさくなっても己に出来る形で忠誠を示そうと懸命であった。 「そうじゃな、心に留めて置くとしよう」 ミュークはレムの子供らしからぬ気苦労を苦笑しつつも受け止める。 「それより、何か報告すべきことがあるのではないかの?」 少年が見張りの任を放り出してここにいる理由を問いただすミューク。 「あ、そうでした。 ミューク様の読み通り、西の方向に航行灯らしき明かりを確認できました」 「そうか、それは重畳。 丁度、此方もこれを探し当てたところじゃ」 その眼下には打ち寄せる白波に揺られるように小船が佇んでいた。航海カヌーを一回り小さくしたような船艇である。漁労用なのだろう。石錘、釣針、銛などが船縁に括りつけてあった。 「船の墓場と謂われるこの場所でなら廃船のひとつやふたつ直に見つかると楽観しておったが、想像以上に良いものが手に入った。 集落で仕入れた糧食の中に海の魚を使った干物があったので、ある程度想定はしていたが案の定じゃったな」 そう言うとミュークは楽しげに笑った。 「ほれっ」 棒状で先が平たい物体がレムに手渡される。最初、少年はそれが何であるか分からなかったのか、持ち手を換えながら不思議そうに観察する。だが、不意に何かに思い至ったのか血の気が引いたように顔面蒼白になった。レムの知る限りこれは船の推進力を得る為に使用する道具。櫂と呼ばれるものであった。 「……」 「どうしたのじゃレム?」 無言で硬直したレムを不審に思ったのかミュークが気遣わしげに声を掛ける。 「あ、あの、まさかこのボロ舟で教会船に乗り込むおつもりですか?」 さして遠くない未来を予感したレムが己の抱いた念慮の是非を確かめる。 最低限の条件を満たすように波間に浮かんではいるのだが、所々に木材の腐食した部分も目立ち如何にも頼り無い。 「そうじゃが……何か問題があるかの?」 「でっかく、おおありです! もし海に落ちてしまったどうするおつもりですか!? 僕たち屍族は水に浮くことができないのですよ!!」 さも、当然といった風に返してくるミュークに憮然たる面持ちで反論するレム。ミュークの身を案じてのことだろうが、レム本人にも何か含むところがありそうだった。今もミュークやルムが足首付近まで海水に浸かっているのにも関わらず、レムはといえば水に濡れないように少し離れた砂浜から意見しているのだからあからさまである。 「落ちなければ問題ないじゃろう」 「で、ですがっ……」 数瞬、口吃ったレムであったが、 「そ、そうだ! ワイバーンを使って空から教会船に乗り込むというのはどうでしょう?」 「駄目じゃ、この霧の中を慣れないレムの操縦で飛び回るのは自殺行為じゃ」 再び、返す言葉が見つからず苦しげなレム。が、名案が浮かんだのか再び口を開く。 「それなら…」 「場所を変えていう意見は却下じゃぞ。 この件には何か裏がありそうじゃから出来るだけ秘密裏に事を進めたい。 なればこそこの場所を選んだのじゃ」 皆までどころか何も言わせて貰えなかったレムが、がっくりと肩を落とす。 どちらにしても今からワイバーンを停泊させた集落まで戻っていては教会船を見失ってしまうだろう。それがわかっているだけに代案としては機能していない。 「無理強いはせん。 レム、お主はこれを持ってここで待っておれ」 そういってミュークが手渡してきたのは、黒布に包まれた拳大の球体だった。 「灯台内を探索中に拾った蛍輝石じゃ」 すっぽりと布地に覆われていても脈動するような輝きがレムの掌に伝わってくる。それは皮膚が焼けるような感触だった。レムはその熱量に驚いて蛍輝石を取り落としそうになる。慌てて櫂を持つ手を放し両手で掴みなおす。 「あ、あの…なぜコレを? い、いえ、それより、僕もミューク様のお役に立ちたいです! 決して足手纏いにはなりませんからお供させてください!!」 「まあ、落ち着くのじゃ。 心配しなくともこれも重要な役割じゃ。危険度からいえばこちらの方が高いかもしれんほどにな」 レムが水を怖がる事は予想の範疇だったらしく、ミュークは無理に付き合わそうとは考えていなかったのだろう。出来るだけ少年の自尊心を傷つけないよう配慮した上で、予め別の持ち場を用意していたようだ。 「わちきらが教会船に乗り込んで一刻が経過したらその包みを開け、なかの蛍輝石を砕くのじゃ。 その輝きが帰路を示す良い目印となるじゃろう。 最初は別の方法をいくつか考えておったのじゃが、せっかくじゃしコレを使わせて貰うことにした。 それとこれは注意事項じゃ。 純度の高い蛍輝石の放つ光は屍族の身体には毒となる。 包みを解く時と石を砕く際には細心の注意を払うのじゃぞ」 「うぅ…」 まだ何か言いたそうなレムであったが、渋々ながら引き下がる。 隣ではいつの間にやら近寄ってきていたルムが砂浜に落ちた櫂を拾い上げていた。 「レム、後のことは頼んだぞ」 ミュークもこれ以上余計な手間を掛ける訳にもいかず、落胆したままのレムをその場に残し、出立しようとしていた。彼女は片手で船縁を掴むと半ばまで砂浜に乗り上げた小船を水面へと向けて力強く押し込む。小船が海面に浮かび上がる寸前に船に飛び乗ると、ルムから櫂を受け取り勢い良く漕ぎだす。既に平坦な海岸線からも教会船らしき光が確認できていた。 教会船の放つ蛍輝石の輝きは闇に蠢くものを魅了する誘蛾灯のように周囲の闇に浮かび上がっている。 船を漕ぎ出すとイプス沖の海域が船の墓場と謂われる所以をミュークは身をもって体験していた。その最たる特徴でもある濃霧が齎す視認障害は現在、問題ではない。蛍輝石のお陰で教会船の位置を見失う事はない。だが目標を捕捉出来なければ意味が無い。この海域は潮流が弱く、風も少ない。それらの影響で藻の一種が海面上に異常繁殖していたのだ。ここはルム一人に任せた方が効率が良いと判断したのだろう。ミュークは少女に櫂を預けると、自らは船の先導役に徹することに決めたようだった。ルムはミュークの考えていた以上に的確に船を操っていた。ミュークの指示通り座礁した船の残骸と暗礁の間を縫うように進む。この少女は意外に繊細な作業にも向いているのかもしれない。ミュークは少女の多彩な才能に内心舌を巻いていた。 暫く船を漕ぎ続けると、ミューク達の目にも教会船の巨大な船影がくっきりと捉えられるようになっていた。物見台にいる船員に気づかれないよう船縁に沿うように身を低くする。ミュークは座礁船の残骸の陰で小船を停止させると、教会船の航路とその接舷地点を推し量る。それから小船の船縁に無造作に括りつけられていた太い荒縄を外し、船首の出っ張りに幾重にも巻き付けきつく縛り直した。教会船の巨大な船体が近づいてくる事を確認すると、先端に錨を結びつけた荒縄の片側を投げ縄のように回転させる。そして、教会船から此方が死角となる後方の船腹まで通過したのを見計らって掌のそれを空中に放る。錨は見事に教会船の船縁に引っ掛かった。ミュークが力を籠めて荒縄引くと小船は引き込まれるように教会船との距離を縮め、鈍い音をたてその側面に接舷する事に成功していた。教会船がかなり速度を落した状態で航行していた事が幸いしたのだろう。乱反射波の影響も殆ど受けることはなかった。ミュークはほっと胸を撫で下ろすと、もう一度気を引き締めるように口唇を閉じる。==============================================================※推敲はフリーページ内で行ないます。次で偽者の聖女(プルミエール)と出会うところまで辿り着けるだろうか…※少しだけ訂正==============================================================
2008/09/19
……朝早く起きるクセがついてしまったようです。一昨日ぐらい前からウチのガレージに鈴虫が一匹迷い込んだらしく、首輪についている鈴の音と勘違いをして、幾度もガレージを確認してはがっかりする日々です。よく聞けば音的には全く似てないのですけどね。幸せだったかな、幸せであってくれたらいいなと未だに想っています。驕りと言われるのかもしれないけど、大切な存在の為に何も出来なかった自分はやはり情けない。理想と現実とでは程遠いです。優れた人間に感化されても、ただそれだけでは星を見ているのと変わらないのでしょうね。それとは関係ないと思うけど、毎年この時期になると様々なことに対するやる気が急降下します。気候もすごし易くなり、ホッと一息つくと言うか、気が抜ける感じなのかな……ああ、そうアレです!旅にでたい?そんな感じです。仕事も趣味も、好きなことにも嫌いなことにも苦しい時はたくさんあって、もう少し融通の利く自分でありたいと感じたりもするけど、そこから得られることもあるからどっこいどっこいなのかな?でも、得られるモノの価値と失うモノの価値が常に同等であれば、後悔する筈もないから、やっぱり違うのかも……考えるまでもないか、比べるべくもないから大切だと感じるのでしょうしね……
2008/09/18
ココとほぼ同時期に始めた伝奇モノの方は短編の集合体のような構成で書いています。心理描写を中心に書いているので、空間的には伝奇モノの方が書いていて楽しいです。でも、大きな規模で世界を創りたいと思えばやはりファンタジーは絶品の素材ですよね。コチラの小説モドキは行き当たりバッタリの長編なので、細々とした設定を何処まで消化したのか忘れていることも多々です。あれっコレ書いたかな?う~ん……という展開の連続だったり(汗日頃から頭の中で展開や用語を考えているのでごちゃまぜになってしまいます……しかも、途中にイラストなどを挟むと、良い意味でも悪い意味でも気持ちがリセットされて……(゚ー゚;Aアセアセふむ、いつも通り何の脈略もありませんでした。想うように書けるようになりたいです。なれたらなれたで違うものを求めるのでしょうけどね┃電柱┃∀`)イヤハヤ正直、日記で何を書いたかもよく覚えていないから、同じような事結構書いていますよねヾ(▼ヘ▼;)ただ、日記で書いていることなど自分に都合の良いように解釈、取り繕っていることが殆どだから、そんなものはどうでも良かったりする。
2008/09/15

小説モドキの方でルムに倒された“彷徨うもの”です。今回は、怪物や人外などの外皮の質感を醸し出す練習だったのですが…明らかに失敗!(ノ≧∇≦)ノ ミ ┸┸ ムキーーーー!!!最初から巧くいくとは思っていませんでしたが、むむーこの手のモノは描いたり彩色出来たりしないと後々都合が悪くなる予感がするので精進しないと…orz※ちょっとだけ訂正
2008/09/14

・・・・・・・・・・・・・・・・・・『†Princesse du sang†』月ノ章 0-07【灯台】―ミュークSIDE― 「ふぅ……そうでした。 ミューク様、なぜメナディエルの聖女を誘拐するなんて大事になってしまわれたのですか?」 どこか古い夢のような余韻に心地よく浸っていたレムが思い出したように口を開く。先程より口調は穏かだが、投げかけられる視線が殊更真摯なもので、逃げ場を失ったミュークは居心地が悪そうだ。 「面白い匂いがする人間に会った」 ミュークのあけっぴろげな答えに、レムは深い嘆息をすると続ける、 「その面白い人間がミューク様にこの話を持ちかけたのですね?」 「うむ、それに、わちきも聖女という存在に興味があったしの」 その答えには何か釈然としないものがあるようで、とても嫌そうな顔をするレム。 「うぅ……ミューク様のご趣味に文句を言うつもりはありませんが……」 その趣味とやらでだいぶ泣かされた経緯があるらしくレムは釈然としないようだった。かなりの時間を掛け、少年は諦めたように言葉を搾り出す。 「でも、それは今更ですね…。 でも、なぜミューク様に? 聖女を誘拐するような依頼なら屍族であるよりも人間の方が都合が良いでしょうに」 「さあ、どうじゃろうな。 そ奴は“女教皇”の力の一端が“マインドリード”だと知っておるようじゃった」 ミュークが髪をかき上げる所作を見せる。その癖がいつものそれであると理解したレムは答えがでるのをじっと待つ。 “女教皇”の渇きの力“マインドリード”は読心術のように直感や経験に頼るものではない。 知的生物の思考や深層心理をその言葉通りに“視る”力である。常に力を解放し続ければ、周囲の人間が無防備に抱く表層の心理程度ならならば垂れ流し状態で聞こえてくる程だ。だが、その力も万能ではなく、心の深層や、断片化された記憶を辿るには一定の制約や条件を満たさなければならなかった。 聖女の心の底にある何かを探らせる為に自分を利用しようとしたのか―――ミュークは早々にひとつの結論を導きだしていた。他に擁立する根拠がなかったせいもある。 「わちきと聖女を接触させること事態が依頼主の目的とも考えられるな」 口には出したが、それらの示唆するところはわからない。ミュークの抱く疑念や懸念も、推測の域をでないことは、なによりも本人がわかっているようだ。 「考えるだけ無駄じゃな。 なればこそ、わちきはここにいるわけじゃしの」 「そういえば、なぜここなのですか? 夜間、僕たちに見張りをさせているのは? それにミューク様も僕たちが居ない間、何かをされているようですし……。 なにより、いつも事が起こるまで僕たちには何も教えてくれないのはあんまりです」 畳み掛けるようなレムの舌鋒にミュークは僅かに身を引いてしまう。どうやら、先程までとは立場が完全に逆転したようだ。 レムにしてもこんなところまで連れてこられた本当の理由を知りたいようだった。 「最期の問いの答えならば簡単じゃ。 最初に目的を云えば、反対されるからに決まっておるからじゃよ」 口をぽかんと空けたまま硬直するレム。 ミュークの言い分は身も蓋もなかった。無論、そのままでは少し可哀そうに思い、ミュークは依頼を承諾した際に知り得た情報を事細かに説明した。聖女が教皇庁まで秘密裏に護送される件。それに合わせたようにリザロス湾に入港した教皇庁御用達の教会船についても。 ミューク自身、レムにも伝えておく事が有益だと感じたのだろう。 「なるほど、僕とルムが海を見張っていた理由はわかりました。 ですが、その教会船が態々、この航路をとるという保証は……」 「その心配はいらぬ。 教会船の船長とは旧知の仲じゃ。 あの毛むくじゃらは迂回や遠回りという言葉を知らぬ。 必ずこちら側の航路を選ぶはずじゃ」 ミュークがそういうのなら間違いないのだろう。レムは自分自身にそう言い聞かせていた。 「でも、それなら夜間だけでなく、日中も見張らないとまずいのではないでしょうか? 出航した日時からこの海域に到達する大まかな刻限はわかるでしょうが、天候次第で船足は幾らでも変わってしまうと本で読んだことがあります。 それに、この濃霧なら陽の光も大した負担にはなりません。 お命じになられれば僕たちは喜んで……」 「若いうちから気苦労が多いと、体調や表情に滲み出て老け顔になると聞いた事がある」 「うっ……」 言葉を詰まらせたレムが、誰のせいだと言わんばかりにミュークを睨む。 「ふふふ、まぁ落ち着くのじゃ。 イプス岬沖の航行は夜間にとういのが船乗りの間では定石じゃ」 「そうなのですか?」 レムが不思議そうに問い返してくる。夜間でも、星の位置で夜の航海が可能な技術が存在していることはレムも知っていたが、生憎この濃霧地帯ではそれは適わないと思われた。 「霧の中では白色光は乱反射してかえって視界が悪くなってしまうが、蛍輝石は脈動するその瞬間、強烈な単一色の光を放つ。それは純粋で波長が長い分、陽の光よりも霧の中でも通り易い」 「なるほど、灯台の明かりは蛍輝石を利用しているものが多い……この近海での航行はそういった理由で夜間に絞られるわけですね」 レムの感嘆に満更でもなさそうに微笑むミューク。 いつの間にやら講義の体を為していた二人の問答だったが、ミュークの腕の中でそれまでじっとしていたルムがもぞもぞと動きだす。 「ルムには退屈な話じゃったかの?」 ミュークは子供を揶揄するように話しかけると、半眼のまま振り向いたレムが一言、 「灯台…壊れてる」 少女は少しばかり憮然とした調子でぼそりと呟いた。 「「…………」」 肝心な部分に欠陥をきたした講義は弟子、師匠役共に閉口してしまい唐突に終了した。==============================================================※推敲はフリーページ内で行ないます。2時までに書き上げるつもりがこんな時間にorz==============================================================
2008/09/11

・・・・・・・・・・・・・・・・・・『†Princesse du sang†』月ノ章 0-07【灯台】―ミュークSIDE― 雷を伴った激しい雷雨が一日中、降り続いていた。 「こう続くと鬱陶しいものじゃな」 ミュークは物憂げな表情で外套から滴る水滴を払い落とすと独り言ちた。そのまま腕を伸ばし香油ランプに明かりを燈す。頼り無げな光がぼんやりと周囲を照らしだした。 瓦礫に埋もれてしまった回廊などもあり全てを見て回ることは叶わなかったが、それを差し引いてもミュークの想像を遥かに上回る規模であった。 ミュークの知る限り、テトラモルフ大灯台は有史以前に建てられたものである。黒歴史と呼ばれるその時代に、この巨大な塔を築き上げた文明の主には複数の説があった。なかには神代にまで遡るものも存在している。しかし、黒歴史に関しては教皇庁アレシャイムの大図書館でも、一部の高位聖職者以外は閲覧を禁止されている禁書である為、屍族であるミュークにそれを確かめる術はない。屍族で唯一真実を知りえていたであろう屍族、大灯台の守護者であったグリムデンの血統は既に断たれてしまっている。 「うぅ……最悪だ…」 ミュークが思案に耽っていると、レムの情けない声が硬質な足音と共に静寂な空間に響く。見張りに出しておいた双子が帰ってきたらしい。レムとルムはミュークに頼まれ、イプス岬沖を航行する船がないか、偵察に出かけていたのだった。 「ミューク様、なにも異常はありませんでした」 「ご苦労じゃったな」 目の前で眉間に皺を寄せたレムが雨に濡れた身体を執拗にふき取っていた。屍族は程度の差こそあれ、生理的に水に濡れる事を嫌悪する。屍族は水に浮く事ができず、流れる水を越える事ができない。そういった生態的な特徴があるからだ。なによりレムは“超”がつくほどの潔癖症であった。それでも、ミュークの放蕩癖に振り回される間に大分融通が利くようにはなっていたのだが、水に濡れることだけは未だに抵抗があるようだ。 一方、共に見張りに出ていたルムはというと、水滴が零れ落ちる長い髪を無造作に垂らしたまま佇んでいる。此方は此方で何事にも無頓着過ぎる。一見、感情というものが欠如しているようにも思える。容姿の造形は瓜二つであるが、その中身は似ても似つかない双子であった。 ミュークは溜息をひとつ吐きルムを手招きする。無言で側に擦り寄ってきたルムの髪を伝う水滴を綺麗な刺繍の施された絹製の手巾で丁寧に拭きとる。それを見咎めたレムの眉間の皺が更に深くなる。 「ミューク様…そろそろココに来た理由を教えてください。 それにメナディエルの聖女を誘拐するなど正気の沙汰とは思えません。 どういう事なのか、僕たちにもわかるように説明してください」 レムの口調は普段より強めであった。雨に濡れたのがよほど嫌だったのか、最初ミュークはそう思慮したが、 「あと、ルム、それぐらい自分で出来ないかな? ミューク様のお手を煩わせるのも大概にしない、僕は血を分けた兄として恥ずかしいよ!!」 更に、鼻息も荒くルムを非難するレム。後者の方が明らかに語気の荒さが増している。どうやら、彼のご機嫌が斜めである理由はこちらの方に分があるようだ。レムがしっかりしている分、ミュークがルムに気を掛ける割合は自然と多くなる。だが、レムからすればミュークの寵愛をルムが独占しているように見えるのだろう。 「…わたしが姉。 レムは一昨年までおねしょしてた」 「な、なななななななっ―――そっそんなのウソだっ!!」 ルムの思わぬ反撃に顔を真っ赤にして反論するレム。 「そ、それに、ルムはがさつで無神経で優しさなんて欠片もないし、誰の目にも僕の方が年長者として相応しいよ!」 実の所、ミューク自身もこの双子のどちらが戸籍上の年長者であるのか知らなかった。他者からすればどうでも良いことなのだが、本人達にとっては各々に矜持するものがあるらしい。どちらにしても、今のミュークは笑いを堪えるのに必死でそれどころではなかった。 「ミューク様、コレ殺してもいい?」 「ダメに決まっておるじゃろ」 何処まで本気なのか、流石に笑い事では済まされないルムの言葉を速攻で否認するミューク。レムはといえば、ルムの宣戦布告に一瞬鼻白んだようにも見えたが、後退りそうな脚を気力で押し止め、此方も負けじとルムを睨み返す。 「ふたりとも、わちきは今、甚だ迷惑しておるぞ」 最初は黙ってこのやり取りを楽しんでいたミュークも、一触即発な双子の様子に呆れ、事態を収拾することに決めたようだった。 レムは直に自らの短慮さに気づいたらしく、苦しげに呻く。 「すいません・・・」 ルムは最初から最期まで何事もなかったかのように静かに佇んでいる。ミュークはふたりの頭を軽く小突くと、双方を一抱えに抱き寄せてその場に腰をおろす。 「わちきにとってはどちらも欠けがえのない存在じゃ。 そこに優劣をつけようとは思わぬ」 その言葉に恥かしげに顔を赤らめるレム。ルムは叩かれた理由に皆目検討がつかないらしく、小突かれた額を不思議そうに指先で抑えていた。 場が静寂に包まれると雨脚の音色が殊更際立って聞こえてくる。それは長い間終わらないリズムを繋げていた。香油ランプの炎がまるで意志を持つように揺れている。 いつの間にか、3つの影は互いの感触を確かめ合うように身を寄せ合っていた。屍族の身体からぬくもりを感じることは無い。だが、その本質は心で感じとるものである。屍族であるが故に人間よりも近づける真理もある。それをこの双子に出来うる限り伝えておきたいとミュークは感じていた。==============================================================※推敲はフリーページ内で行ないます。半角一万文字オーバーしていたので二つに分けます==============================================================
2008/09/11

先日、家に帰ると、私用の誕生日ケーキが冷蔵庫内に用意されていました。箱ごと私室に持ち込んでコッソリ激写。その場で撮れない小心モノです┃冷蔵庫┃∀`)イヤ、ダッテハズイやっぱり、誕生日とクリスマスにはケーキがないと寂しいよね。コチラはいつもと違うケーキ屋さんで買ったケーキチョコとバナナをみっくすしたケーキが美味でした(*゜∀゜*)丿
2008/09/10
月ノ章_00-06【凶兆】【追加/ルム戦闘描写】 それは、武器の性能ではなく少女の並外れた膂力の賜物だろう。【追加/ルム戦闘後の描写】 だが、舞い上がった暗紫色の血液が水面に落ちるよりも先に、その姿は実体を失うと掻き消すように霧散していった。 「終わった」 ルムはあれだけの大立ち回りを演じておきながら、息ひとつ乱していない。 「うむ、ご苦労じゃった。 怪我はないかの?」 事も無げに戻ってきたルムの頭を撫でながらミュークはその労を労う。 「ない」 ミュークはゆっくりと頷く。ルムの表情はどことなく誇らしげに見えた。 二人のやり取りが終わるとミュークの纏う外套の袖口がそっと引かれた。【追加/屍族の慣習】 古くから屍族には近親婚という慣習があった。それは力ある血族間でほど顕著におこなわれていた。血統の純潔を尊ぶが為に異質な血が混ざる事を忌避していたのだろう。============================================================※その他細部改稿
2008/09/08

・・・・・・・・・・・・・・・・・・『†Princesse du sang†』月ノ章 0-06【凶兆】―ミュークSIDE― ワイバーンを駆ったミューク達一行は半日ほどでサリナハーム南東アセリエル大湿原に到着していた。 アセリエル大湿原はサリナハーム南方に広がる広大な低層湿原である。その最南端にイプス岬があり、そこがミューク達の目的地でもある。岬周辺の海域は局地的な濃霧地帯として有名だが、その内陸部は一層深い霧に包まれていた。 静寂を突き破る鈍い金属音――― 続けざま夜闇に華麗な白刃が煌めく。一呼吸おいて糸を引くように水面に何かが落ちた。触手のような生物が苦悶にのたうつように水面を叩いている。それはやがて周囲の闇に溶け込むように消失した。 「……安物」 ルムはぼそりと呟く。 人間の胴体をひと薙ぎで横断出来そうな広刃が衝撃に耐え切れずひしゃげたように折れ曲がっていた。だが、少女の双腕で踊る重量級の戦斧は勢いを落とすどころか、闇の中から襲い来る長大な触手を次々と薙ぎ払う。 「レム、どうやらアレはこちら側の住人ではないようじゃ。 ルムには要らぬ心配じゃとは思うが用意だけは怠らぬようにするのじゃぞ」 離れた場所からルムの戦いぶりを見守っていたミュークがレムに目配せする。 レムは慌てたように肩に担いだ大剣を鞘から抜き放つ。一瞬、ルムの加勢にはいるのかと思われたが、そうではなかった。彼は何を思ったか自らの親指を小さく噛み切ると流れ出る血液で刀身の表面に奇怪なシンボルや記号を描きこんでいく。 「それにしても“彷徨うもの”が今更、具現化しておるとは……」 ミュークの云う“彷徨うもの”とは女神グラトリエルが産み落とした闇の眷属たちを指す。 本来、グラトリエルの存在なくして顕界に現出することが適わない幽界に身を置くもの達である。 その時、敵の本体の位置を測り損ねていたルムの瞳に僅かだが暗闇の奥で蠢く異形が見えた。それを好機と見取ってか、ルムは大きく踏み込むと戦斧を叩きつけるように振り下ろす。しかし、まるで手ごたえが無かった。まるで幻を相手にしているかのようにそれは虚ろであった。ルムの体勢が僅かに崩れた隙をついて四方から触手が迫る。 「ルム!!」 その声に呼応したように背後に跳ね飛ぶルム。そのまま刀身の潰れた戦斧を投げ捨てると、虚空を縫って飛来した大剣の柄をいとも簡単に把持する。 「簡易的だけど屍霊文字を施しておいたよ。 一度だけなら“力”を損なうことなく扱える」 投擲したままの姿勢でレムが叫ぶ。 ルムの半眼がすっと閉じられる。手にした一刀に右手を添えるとその短躯を傾ける。突きの構えである。刀身に刻まれた屍霊文字から青白い輝きが漏れる。 勝負は一瞬だった。 次の瞬間、屍霊文字を宿した刀身は異形の心臓を刺し貫いていた。 断末魔の間際、夜よりも更に濃い闇色の鱗に覆われた異形の姿がはっきりと見て取れた。だが、この世ならざる影はすぐに霧散していった。 事も無げに戻ってきたルムを労うようにミュークはその頭を撫でてやる。ルムの表情はどことなく誇らしげに見えた。 「ミューク様…なぜあのような魔物が?」 傍らのレムの声は僅かに震えていた。 ミュークは返答に窮したわけでもなく、僅かに押し黙ったが、 「考えられる原因は二つだけじゃな。 この地そのものに幽界に繋がる何かがあるのか。若しくは、グラトリエルを呪縛する封印が弱まっているかのどちらかじゃな・・・」 グラトリエルは神代において彼の女神メナディエルによって封印されている。今更その封を解こうとする者などいる筈がなかった。少なくともミュークはそう考えている。 だが、屍族もグラトリエルの腕に抱かれた闇の眷属である。闇の女神の復活を望む者がいても不思議ではない。しかし、それは同時に正気の沙汰ではないだろう。グラトリエルが甦れば間違いなく世界は滅ぶと思えるからだ。 「考えても答えは出ないじゃろう。 それに嫌な風を感じる、先を急ぐぞ」 刻下、ミューク達はアセリエル大湿原にいる。獣道とも水の通り道ともつかない護岸寄りの細道を注意深く徒行していたところ先程の事態に襲われたわけだ。この大湿原には古亀、沼地鹿などの小動物から、首刈り竜や一角蜥蜴などの危険な竜亜種も生息している。特に首刈り竜は人間なども平気で襲う大型の肉食獣である。その巨体を泥土の中に潜めて、近づいた獲物を水中に引きずり込み窒息させる。その後、十分獲物を弱らせるとその頭部のみを食い千切り捕食する。首刈り竜という名はその独特の習性から名付けられたものであった。だが、それらは全て現世に存在する生物である。ミューク達屍族にとっては油断さえしなければ恐れるほどのものではない。 暫く進むと湿地帯の南東部に差し掛かったことがわかった。視界は尚も悪いが、岸壁を削る波の音が聞こえだしたからだ。それに夜風に煽られた甘い香がミューク達の鼻腔をくすぐる。ルルワインと呼ばれる美麗な多年草だ。この時期にイプス岬周辺の塩湿地帯に群棲するアルナ科に属する植物である。美しい花を咲かせることで有名なアルナ科の植物であるが、その実は観賞用よりも、寧ろ食用に重宝されている。その球根を都に持っていけばひと山で銀貨1枚程度の価値があった。 「本当に誰もいませんね」 利発そうな碧眼を左右に動かしながらレムが言った。 ワイバーンを停泊させた集落で聞いた話の通りイプス岬周辺の警備はもぬけのからであった。ミューク達の降り立った小さな集落は、計らずも屍族に好意的であった。そこで、水や糧食、武器、防寒用の羊皮など一通りの装備品を入手することができた。元々、サリナハーム南東は嘗て、エルダーの一人であったグリムデンの一族が治めていた領域である。この地に住む土着人種は古くからの慣わしや個別の宗教をとても大事にしていた。彼らは定められた周期で人身御供を要求するグリムデンの支配下であった頃の恐怖よりも、この地に根付いた慣習を破壊するサリナハーム公国の封建的支配に反感を抱いているようだった。 「大灯台は元々“運命の輪”の継承血族グリムデンの根城であった。 聖剣戦争で大屍族ベルムード三世は滅ぼされ、今ではサリナハーム公国の監視下にある筈じゃが・・・」 ルムの台詞を受けてミュークが続ける。 「この国は目下、内乱の只中じゃ。ここは歴史的には意味のある場所じゃが、戦略的に守る価値はない。 無駄に兵を割く事を避けたのじゃろう。 それだけ宰相派が率いる反乱軍との戦況が拮抗しているともいえるの・・・ん?」 噂をすればなんとやらだ。唐突にそれは現れた。視界を閉ざす霧の裂け目から天を突くような巨大な影がぼんやりと浮かび上がる。 ミュークは歩みを止め、目前に聳える強大な建築物を見上げる。それはイプス岬周辺に広がる大湿原に飲み込まれるように鎮座していた。 ―――テトラモルフ大灯台 ベルムード三世は二人の屍血姫と共にこの大灯台で滅びたとされている。灼熱の業火に灼かれたその身体は灰さえも残らずに消失したと教皇庁から正式発表されていた。 ミュークは幼き頃に一度だけグリムデン当主との面識があった。彼は自らの滅びをただ享受するほど愚かでも怠惰でもない。むしろ屍族には珍しく温厚で思慮深い人物であった。あのベルムート三世が抗いもせずにこの地で滅びたとは今でも信じられなかった。無論、今更そのような感慨を抱いてもどうにかなるわけでもない。 大灯台はその周辺を倒壊した石碑に取り囲まれていた。 天井の尖塔部分が中段から焼け落ちて内部の骨組みを露呈している。赤茶けた外壁には蔓状の植物が生い茂っていた。壁面に嵌めこまれた窓枠から煤が出た跡が見て取れる。 「ミューク様、“運命の輪”の血統アルカナは失われてしまったのですか?」 “運命の輪”はミュークの持つ“女教皇”と並び二十二家の血統アルカナ(渇き力)のひとつである。レムとて屍族に生まれたのだから気になるのも当然であろう。 「ベルムード三世には後継者たる血族がおらんかった。 その“力”は消失したと考えて間違いないじゃろうな・・・」 ミュークは複雑な表情を浮かべていた。嘗て栄華を誇った屍族の支配が衰退したのは、その繁殖能力の低さも要因のひとつだと考えていたからである。 「他の誰かが“運命の輪”を継承した可能性はないのですか?」 「血統アルカナはその名が示す通り二十二家其々の血脈に宿る力じゃ。 それを他の器に移すことは禁忌とされておるが・・・前例がないわけではないの」 ミュークは表面上の否定をし、その可能性があることだけを示す。そして、ひとり倒壊した石碑へ歩み寄る。ミュークは静かに瞑目すると懐からプリウスの実を数個とりだし、それを掌中で握りつぶした。 赤い雫がミュークの手首を伝い崩れた石碑に零れ落ちる。それは石面にゆっくりと染み込み、周囲の闇と同化していった。 「滅びへの手向けなど低俗で愚かしい所作じゃが・・・」 ミュークは自分自身を皮肉るように呟く。 「……ミューク様?」 レムはそんなミュークの姿に複雑な心境であるようだった。気遣わしげに背後から様子を窺う。 「心配は要らぬ。 ただの嫌がらせじゃよ」 ミュークは破顔すると、双子の元へ戻ろうとし―――不意に空を見上げる。 東の空で雷鳴が轟いていた。 それから幾許もせずに、夜の帳に包まれた世界を白い筋が埋め尽くした。 「わ、わ――――――っ!!」 突然の豪雨に、レムは罠にかかった子ネズミのようにジタバタと慌てだす。 雨風を避ける為に、ミューク達は倒壊した大門を乗り越え大灯台へと潜り込む。 内部は外界より更に深い闇に包まれていた。撃ちつける雨粒の量は少ないが、半壊した天井は最上階まで抜け落ち、その役目を十分に果たしてはいなかった。ミュークは闇に目が慣れるのを待ち、雨露を凌げそうな場所を探す。周囲は闇に包まれてはいるが、屍族はタペタム層を網膜の下に有する事により暗視の力を持つ。しかし、その力もまた万能ではない。光の全く存在しない空間で、細かい作業を行う事は不可能だ。 注意深く観察すると、半壊した螺旋階段の支柱周りの階層部分だけは瓦解せずにその形状を保っている。ミュークは双子を促すと足早に崩れかけた雨除けの下に退避する。一時的に雨露を凌ぐにはこれで十分事足りそうに思えた。==============================================================※推敲はフリーページ内で行ないます。詰め込みすぎた感が……でも、そろそろね(汗==============================================================
2008/09/07
もう、一週間以上経つし、心のどこかでは諦めている自分もいて、気持ちは何処か宙ぶらりんです。猫として幸せだったかどうかはシャム自身にしかわからないけど、今まで飼っていたどの猫よりも愛情を注がれていたのは確かでした。生きているのなら誰か良い人に拾われていてくれれば幸いです。あの子が幸せなら私はそれだけで十分です。だからそう願う事にします。
2008/09/05
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