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※続きです※推敲はフリーページ内で致します『†Princesse du sang†』 光ノ章 3-05【真実】光ノ章 3-05【真実】―シャルロットSIDE― 一同が古き殿堂に足を踏み入れると、そこは高い吹き抜けの円天井の広間になっていた。 「こいつはスゴイな……」 エドゥアルトが感嘆の息を洩らす。 高みに配置されたステンドグラスから差し込む金緑光が、薄暗い神殿内を霊妙に浮かび上がらせていた。 古代神アアル=セナートルは勿論のこと、【法】や【混沌】の末神に到るまで様々な神像が立ち並び、数多の礼拝堂や祭壇が、絢爛豪華な装飾によって覆いつくされている。 それは宗教施設というよりも宗教芸術と称した方が的確な表現かもしれない。 「あれは?」 シャルロットの視線が前方に並べ置かれたふたつの神像に留まる。 ひとつはベルムーテスでは最もよく知られる女神メナディエル。 神剣アンネ・シュティフを携え、壮麗な全身鎧に身を包んだ乙女の像。 そして、その隣には、四本の腕を上下左右に振り広げ、三匹の大蛇を胴体に巻きつけた多臂神像があった。 「それはグラトリエル。 冥府の支配者たる“死せざる王だよ、人族の娘」 鋭く、それでいて透き通るような声音がシャルロットを打つ。 いつからそこに居たのか、主祭壇の前に初老の男が佇んでいた。 白髪紅眼、黒光りする円筒形の帽子に同色の燕尾服、片手で蝙蝠傘をついた場違いな出で立ちである。 「シャルロットさま、お下がりください」 ミルフィーナがシャルロットを庇うように背後に下がらせる。 男から只ならぬ気配を感じ取ったようだ。 「珍しく客人が訪れたかと思えば、とんだ厄介者が混じっているようだな」 一同を見回した燕尾服の男の表情が、ノーラの腕のなかの首座に気づいて、不機嫌そうに歪む。 「ふん、こんな偏狭で隠居暮らしを続けてきた瘋癲屍族には云われたくないわ」 対する首人の方も、負けず劣らず不満げに返した。 「やはり屍族なのか!? だが、なぜ教会の聖地に屍族が紛れ込んでいる?」 ミルフィーナが腰元の長剣の柄に手を添えて問い質す。 どうにか抜刀を堪えたのは、先のやり取りから首人と面識があると察したからであろう。 「心配は要らぬ。 こ奴、身形は一見風変わりじゃが、中身は至って常識人じゃ。 実害がない点だけは保証しよう」 首人が微妙な言い回しで殺気立つミルフィーナに自制を促す。 加えて、目の前の屍族が聖剣戦争以前から、この天の島で墓守を担っていることを告げた。 「久しいなアルフォンヌよ。 それに暫く見ない内に随分と珍妙な姿になったものだな」 「余計なお世話じゃ」 名も無き屍族の皮肉に、首人が眉根を逆立てる。 「ふむ、やはり首人殿はウィズイッドの大屍族さまであったか」 と、会話に割り込んだエドゥアルトが笑顔で首座の正面に回り込む。 首人自身がシャルロットに明かした過去から、一同も薄々とその素性を察してはいた。 更に当該の人物名と合致したことで、確証を得たようである。 「表立っては名を明かせぬ理由があったからの」 首人は居心地が悪そうにエドゥアルトから視線を逸らす。 ヤガ=カルプフェルト王国に於いて、大屍族アルフォンヌ・ウィズイッドは、反逆罪で処刑されたと公布されている。 その件となんらかの関係があるのだろう。 「それでこのような場所に何用かね?」 名も無き屍族の言葉が一同を現実に引き戻す。 「なに、大した用件ではない。 この地に眠る神剣アンネシュティフを頂戴しに参った」 首人アルフォンヌが平然と言い放つと、名も無き屍族の紅眼が如実に見開かれた。 「それが何を意味するか、理解できぬわけではあるまい」 「無論じゃ。 そこの娘はアルジャベータの血脈に連なりし者じゃ。 彼女に逢う資格としては十分であろうよ」 首人アルフォンヌの意味深な視線が傍らのシャルロットに向かう。 「……神殺しの血統の片割れか。 ……そうか、ならば我に止めることはできぬな」 名も無き屍族は重たい息を吐いて、シャルロットを見やる。 「神殺し? それはどういう意味ですか!?」 成り行きを見守っていたシャルロットが口を開く。 到底無視できぬ発言があったのだから当然だ。 「この地には緑眼の聖母の魂が封印されている」 「緑眼の聖母?」 聞きなれぬ単語にシャルロットが訊ね返す。 「リュズレイ家の祖先、聖女アルジャベータがその身に宿した威霊―――其方たち人族には女神メナディエルといった方が分かりやすいかな?」 「女神メナディルが……ここに……」 シャルロットの顔に当惑の色が滲み出る。 途方もない展望を見せる会話の行方に、ふたりの屍族を除く全員が息を呑んでいた。 「もっとも、封印されているのはメナディエルの霊体のみで、肉体の方は遥か以前に滅んでいる」 「それが事実だとして、なぜリュズレイの血脈が“神殺し”と徒名されるのですか?」 シャルロットは内心の動揺を抑えて言葉を選ぶ。 相手の婉曲な言い回しに、苛立ちよりも不安を掻き立てられているようだった。 「よかろう、其方には全てを知る権利がある」 名も無き屍族は燕尾服の襟元を両手で正すと続けて口を開いた。 「其方たち人族も知っての通り、聖女アルジャベータは女神をその身に降臨させて、永きに亘る屍族との抗争に終止符を打った」 「聖剣戦争ですね」 シャルロットの言葉に、名も無き屍族が肯首する。 アルジャベータの存在なくして、人族の勝利はあり得なかっただろう。 それほどまでに屍族と人族の個体能力には歴然たる隔たりがあった。 「だが、アルジャベータにとって本当の戦いは戦役後に訪れたといっても過言ではない」 「それはどのような意味で仰られるのですか?」 シャルロットは小首を傾げて問い掛ける。 多大なる犠牲を払った戦後の復興と考えれば理屈は通るが、名も無き屍族の口振りから、そうでないことは明白だった。 「その身に宿した女神の魂との戦いだよ。 メナディエルは必ずしも善なるものではなかったのだ。 いや、その真逆―――女神は人族を疎み憎悪していたといった方が正確かもしれない」 「そんな……」 シャルロットが絶句する。 思うように言葉が続かなかった。 「精神を蝕む孤独な戦いに、アルジャベータの心身は日に日に衰弱していった。 もし、女神の不滅の魂を封じ込めていた器が崩壊すれば、彼の邪悪なる意思が、この世界に解き放たれることになる。 そうなれば、人族の死滅は時間の問題となっていただろう」 「聖女一人に咎を背負わせて、恩恵を被った他の人族共は何もしなかったのかい?」 エドゥアルトが口を挟む。 それはこの場に集う人族全ての疑問を代弁したものだった。 「無論、当時扱える魔法薬や錬金術から屍霊術に至るまで、様々な方法が試された」 「なるほど、やる気はあったが役立たずだっただけか」 エドゥアルトの身も蓋もない物言いに、首人アルフォンヌが自嘲的な笑みを浮かべる。 戦後間も無く、乱れた人心を治める為には女神の名を貶めるわけにはいかなかったのだろう。 計画の全てが、教会がひた隠しにする真実の一部として、秘密裏に処理された。 「そして、聖女アルジャベータは死の淵で最後の手段を講じることになる」 名も無き屍族が言葉を切ると、水を打ったような沈黙がその場を支配した。 暫しの静寂が続き――― 「最後の……手段ですか?」 耐え切れなくなったシャルロットが擦れた声で尋ね返す。 「もっとも近しい存在に命じて、己の肉体共々、女神を封印したのだよ。 その役割を担ったのが初代教皇アグリウスタ。 アルジャベータをもっともよく理解し、互いに想い合っていた男だ」 「くっ………」 「そんなことが可能なのですか?」 言葉を失ったシャルロットに代わりミルフィーナが疑問を口にする。 人の手で神を封印するなど、到底信じられる話ではなかったのだろう。 「神剣アシュタリータを用いれば可能だよ。 彼の剣は別名“生命の剣”と謂われる業物で、斬りつけた相手を殺傷するのではなく、再生する能力を秘めている。 アルジャベータは己の心臓に神剣を打ち込み、半永久的な神の器となったのだ」 「待ってください。 それではアルジャベータは……」 シャルロットが狼狽の気配を漂わせる。 どうやら、ひとつの結論に思い至ってしまったようだ。 「生きておるよ。 この大神殿の冷たい地の底で、愛するアグリウスタの亡骸と共にな」 名も無き屍族の言葉は、長い余韻を残して静謐な空気に溶けて消えた。 ==============================================帰宅後、一気に書き上げたので、推敲が大変そうです(汗)
2011/06/28

※文字数制限を超えたので二つに分けます※推敲はフリーページ内で致します『†Princesse du sang†』 光ノ章 3-05【真実】光ノ章 3-05【真実】―シャルロットSIDE― 「(神々の集いし大地―――天の島タルタロス……小さい頃、絵本で見た世界……)」 シャルロットが幼き日の感慨に浸る。 海面にそびえ立つ巨大な断崖の中腹から表出した伏流水が、海岸瀑となって簾状に流れ落ちる様は、超自然の驚異と称して差し障りのないものだった。 「こいつは近づくことも容易ではなさそうだな」 エドゥアルトの言葉通り、目に見えて船足が衰えている。 海面直下した水流が白波を引き起こし、船の接近を阻害しているようだ。 「どうするね?」 一同の背後から船長であるエルグの声が響く。 自他認める物臭者な彼が態々甲板まで出向く辺り、事態は急を要しているのであろう。 「構わぬ。 このまま突っ込むのじゃ」 首人の指示にエルグが頷くと、周辺の水夫たちが一斉に動き出す。 瞬く間に帆船は縦帆を展開して、前方から吹き付ける滝風を間切って突き進んでいく。 「おいおい、本気か」 瀑布の水飛沫が降り注ぐなか、エドゥアルトが天を仰いで首を振った。 次第に船の揺れが激しくなり、 「シャルロットさま、掴まってください」 ミルフィーナはシャルロットを抱き寄せると、帆柱の先端の滑車から垂れる荒縄を手繰り寄せて身体を固定する。 他の者も同様に船縁や船楼の外壁に手を掛けて、落下する水流から身を守る態勢になった。 「きゃあ……」 シャルロットの悲鳴とほぼ同時に、凄まじい水量がノーディン号を襲い、押し潰された帆柱が地響きのような音を立てて捩じ折れる。 少女の視界が黒く塗りつぶされ―――次の瞬間、周囲はおぼろげな幽光に包まれていた。 「ここは……」 シャルロットは小さく身震いすると、不安そうに視線を巡らす 。 海岸瀑を抜けた先は、広大な洞穴となっていた。 「どうやら海光苔が群生しているようだな」 エドゥアルトの言葉通り、岸壁一面が小型のコケ植物で覆われていた。 海光苔は天上から降り注ぐ僅かな陽光を利用して、金緑色の反射光を生み出しているようだ。 「あれは!?」 水路を進む内、最初にそれに気づいたのはミルフィーナだった。 暗がりの正面に、真っ白な神殿が浮かび上がっていた。 引き寄せられるようにノーディン号は神殿の鎮座する孤島の桟橋に接舷する。 「必要ないだろうが、武運を祈っておこう」 エルグが首人に声を掛ける。 「うむ、そうありたいものじゃな。 それと、船の修繕にはあのデカブツを叩き起こして扱使ってくれて結構じゃ」 意味深に言い残すと、首人はノーラを急き立てて、陸の人となる。 後を追うように、ミルフィーナがシャルロットの手を取って桟橋を渡り、シーラとエドゥアルトがそれに続いた。 ・ ・ ・ ==============================================
2011/06/28
久々に押入れのお掃除をしていたら、学生時代のラクガキが大量発掘されました。内訳すると大体こんな感じです。悠久幻想曲【40%】テイルズ【30%】ゼノサーガ(ゼノギアス)【15%】星方武侠アウトロースター【5%】HUNTER×HUNTER【4%】その他【6%】「テイルズ」と「ゼノサーガ」は学生時代に同作品の同人誌を制作していたので、必然的に多くなるのは想像の範疇です。でも、思ったより「悠久」が多かったですね(汗)キャラ的にはメロディとエイシャが目立ってました。昔は生粋のけもなー(ry
2011/06/25
姉さんビックニュースです!!http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110621-00000024-reu-bus_all1700─1870年に出版された書籍などが対象と言う事は、ま、まさか…ヴァチカンのZコレクションにも名を連ねるミサ・ジ・レクイエム・ペル・シュジャイの写本も(ry※ちょっぴり修正
2011/06/21

『†Princesse du sang†』 光ノ章 3-04【船旅】光ノ章 3-04【船旅】―シャルロットSIDE― シャルロットは手ずから身支度を済ませて船室の扉を開く。 室外に控えていたミルフィーナの表情が一瞬穏やかに緩むが、直ぐに口唇を引き締めて騎士の礼とった。 「シャルロットさま、よくお眠りになられましたか? お加減が優れぬようなら、このままお部屋でお休みになられても―――」 「いいえ、大丈夫です」 シャルロットは小さく首を横に振ると、女騎士団長の申し出をやんわり断った。 幼少の砌より、相談役として接していたせいか、心情の微妙な機微まで一目で読み取られてしまう。 もっとも、それはお互い様で、ミルフィーナの言動の裏側に潜む緊張も同様に筒抜けであった。 「それに首人さまが皆を集めるようにと言ったのならば、私だけ向かわぬわけには参りません」 「御意に、ですが無理だけはなさらぬようにお願いします」 シャルロットは内心で苦笑しつつ、船内廊下を進み甲板に上がる。 途端に、濃い潮の香りが少女の胸を満たした。 「心地よい風……」 船縁に歩み寄ったシャルロットは、吹き流される金髪を軽く手の平で撫で上げる。 吸い込まれるような蒼が少女の視界を覆いつくしていた。 「これはシャルロット姫、お顔の色が若干優れぬようだな。 眠れぬ夜は、いつでも俺の腕を枕代わりにお貸しするが、如何かな?」 そこに、歯の浮くような台詞と共に、エドゥアルトが現れた。 思いの外鋭い観察眼にミルフィーナの眉間に皺が寄る。 「遠慮させて頂きます」 「ふむ、対価のことなら気にすることはないぞ。 聖誕祭でも拝聴したが、海の魔性セイレーンの歌声もかくやあらむ姫の美声を夜毎枕元で囁かれれば、男冥利に尽きるところだからな」 シャルロットとエドゥアルトが全く噛み合わない会話を展開していると、船首楼甲板の方向から双子の騎士―――シーラとノーラが小走りに駆け寄ってきた。 しかも、どういった了見か、ノーラに至っては何処ぞの地方部族さながらに、頭の上に首座を載せ抱えている。 「まったく思い出すだけで怖気が走りよるわ。 図体だけデカくても、露聊かも役に立たぬ奴じゃ」 ノーラの頭の上の首人はなぜか怒り心頭であった。 「は、はぁ……」 事態を呑み込めず、シャルロットが間の抜けた返答をする。 よくよく話を聞いてみると、昨晩の見回り当番だったノーラが甲板上で卒倒している巨躯の異形を発見して一騒動あったらしい。 首座の方は運良く船縁に引っ掛かり事無きを得ていたようだが、首人にとっては正に急死に一生の事態であったようだ。 ちなみに、巨躯の異形はただの船酔いだったらしく、それがまた首人の怒りに拍車を掛けていた。 「危うく暗い海の底で、無駄に一生を費やすところじゃったわ」 と、続けて首人が吐き捨てる。 「でも、船酔いということは、乗船してから十日余り、ずっと我慢していらしたのですわね」 シャルロットが感心したようにズレた感想を漏らす。 処刑人の面々は、常時円錐型の覆面で顔を覆っている為、表情が読み取れないことも災いしたようだ。 「う、うむ……、確かにその点だけは評価に値するが―――いや、最初から体調のことを申告しておれば、このようなことにはならなかったのじゃ」 旗色の変化を敏感に感じ取ったのか、首人の語気が弱まる。 「それでノーラがあの大きな方の代わりを?」 「はい」 シャルロットの疑問に、ノーラが困ったように頷く。 どうやら、なし崩し的に後任になってしまったようで、乗り気でないことは訊くまでもない。 もっとも、正常な神経の持ち主、特に年頃の娘なら尚更に、喋る生首を四六時中持ち歩くことに抵抗を覚えるのも当然である。 「俺も昨夜は首人殿の愚痴に付き合わされて寝不足気味でね。 悩める一般信徒を救済することも聖女の大切な務めだと思うのだが?」 エドゥアルトが更にどうでもよい方向に話を蒸し返して、食い下がる。 「そんなに眠りたければ、我が剣で永眠させてやろうか?」 「謹んで辞退申し上げよう。 それよりも、首人殿は何か用件があったのではないのかな?」 ミルフィーナの右手が長剣の柄に伸びる寸前に、エドゥアルトが慌てて話題を逸らす。 「おう、そうじゃった。 其方たちに集まって貰ったのは他でもない。 そろそろ目的地が見える頃合だと思っての」 首人が思い出したかのように、右舷前方に顎をしゃくる。 目を凝らすと、遥か彼方の水平線、空と海に溶け込むように浮かぶ島影が肉眼でも視認できた。 「あの島がですか?」 シャルロットが訝しげに尋ね返す。 遠目には、断崖が切り立つ剥き出しの岩山にしか見えない。 平面になった頭頂部に葉の茂った木々が確認できるが人跡の気配も皆無に思えからだ。 「そうじゃ、何を隠そうあの島こそ―――」 「天の島タルタロスだろ?」 首人の言葉を継いだのはエドゥアルトだった。 驚きの視線が青年へと集中する。 「ほう、よくわかったの」 「この船が辿った航路と星の位置から推察しただけさ。 ま、確信が持てたのは二日ほど前のことだがね」 エドゥアルトはいけしゃあしゃあと言ってのける。 「貴様っ、なぜ黙っていた! タルタロスは教会でも立ち入りを禁じられた聖域の筈。 それを……」 「知っていたら、どうにかなるとでも思ったのかい?」 激昂するミルフィーナにエドゥアルトが鋭く切り返す。 確かに、神剣アンネシュティフがタルタロスに在るのならば他に選択肢はない。 要するに首人もエドゥアルトも、ミルフィーナが反対することを想定して、これまで黙っていたのだ。 「し、しかし……」 ミルフィーナが言い淀む。 出立前ならいざ知らず、ここまで来てしまっては流石に別の手段を講じろという方が横暴だと理解しているのだろう。 「ミルフィーナ卿の胸中は察するに余りある。 これ以上、シャルロット姫に教会の禁忌を侵させたくないのであろう。 だが三神具は、持ち主の資質を問う霊宝とされている。 それはリュズレイ家に伝わる霊環アシュタリータの例をとっても明白じゃろう。 故に、一時的に教会法に反することになっても、神剣の所有者となれば、後ろ指を差される心配はあるまい」 首人が理を唱えてミルフィーナを諭す。 「フィーナ、わたしはアナタを助け出すために、既に重罪人となっていますわ。 今更、罪がひとつやふたつ増えてもどうってことありません」 「シャルロットさま……」 そう言われてはミルフィーナに立つ瀬がない。 いや、だからこそ、これ以上罪を重ねてほしくないのだろう。 「それに、フィーナにはわたしがこれから為すべき事を見守る義務があります」 シャルロットは決然と断言してのける。 過去を悔やむ暇があるのなら、前へ進む手助けをしろと言っているのだ。 それは己を苛む罪悪感と、同様の心の痛みを抱いているであろうミルフィーナを鼓舞する意味合いもあった。 「シャルロットさまはお変わりになられました」 随分と間を置いて、ミルフィーナがぽつりと零す。 「そうですか?」 「はい、とても意地悪に……。 そして、お強くなられました」 ミルフィーナは口唇を笑みのカタチに緩めると、静かに瞑目する。 それから、天啓でも受けたかのようにその場で肩膝を折った。 「意地悪は余計でしょ?」 僅かに頬を膨らませたシャルロットは、ゆっくりとミルフィーナに手を差し伸べる。 ==============================================※推敲はフリーページ内で行います
2011/06/20
グラボを差し替えたら、ちょっぴり不具合が続いたのでリカバリしました。とりあえず、メ-ル&WEB関連の設定と最低限のお絵かきソフトとエディター、契約中のウイルス対策ソフトを入れておきましたが、画面上がすっきりしていて新鮮です。あと、再びE君が登校拒否になる可能性も捨て切れなかったので、※うーたん先生の教務日誌(E君が行方不明)箱を開けた時にケーブルを外し調整後、ドライバの再インストールをしてE君対策もしておきました。今のところちゃんと登校してます(笑)
2011/06/16

シャルロット・リュズレイです。珍しくコッチでも、厚塗り風味にヌリヌリしました。サークルでは厚塗りをすることが多いのですが、作風的には「†Princesse du sang†」の方が合っていますよね。
2011/06/13
1.ベットの中(夜限定イベント)2.お風呂の中(でも、書くものを持ち込むと発生率半減)3.トイレの中(↑上に同じ)4.夢の中(だが、無理があった)5.電車の中(なぜか行き限定)深い意味はないです。
2011/06/09

『†Princesse du sang†』 光ノ章 3-03【船旅】光ノ章 3-03【船旅】―シャルロットSIDE― シャルロット一行が乗り込んだ中型の全装帆船は、ガザロフオード近海から東岸に沿って南下する寒流と、この時期特有の季節風に乗って、順調な航海を続けていた。 ここに到る経緯は些か複雑で、事は隠れ家のあったジャッジサイドから南方に位置する小さな沿岸集落ドリエルから始まる。 そこは、教皇庁アレシャイムが座すルブルス島のシーザ港と比べて規模こそ劣るが海港もあり、独特の雰囲気が流れる活気に溢れた漁村であった。 その性格上、関門港内に於いての船舶国籍証書の提示も必要なく、出入港の規制も緩い。 漁船を装った海賊船や私掠船なども数多く紛れ込んでおり、そこに目をつけた首人は、国籍不明の不定期船と航行契約を結んだのである。 ・ ・ ・ 「いい加減に目的地を教えてくれてもよいと思うが?」 船長室の扉を潜り抜けたエドゥアルトが、開口一番に不満を漏らす。 座椅子に腰を落とした浅黒い肌をした痩身の男―――この船ノーディン号の船長エルグが無表情のまま、立てた親指で奥の船室を指した。 「揃いも揃って無粋なことを申すな。 着いてからのお楽しみじゃ」 紗幕で遮られた続き部屋から首人の声が響き、 「私奴もそこの不埒者と同意見です。 一事が万事にならない為に、心構えは必要です」 首座を抱えた巨躯の異形―――円錐状の黒覆面に十六と刻まれた処刑人が、続けた声の主ミルフィーナを伴って姿を現す。 数刻前、エドゥアルトと同様の理由でミルフィーナも船長室を訪れていたのだ。 「ミルフィーナ卿もそう思うか。 確かに国が違えばご婦人方の趣味趣向にも多彩な変化が生じる。 何より問題なのは民族や種族によって美しさの基準が違うところだな。 以前某国で絶世の美女と謳われる貴族の姫君に夜這いを……いや、偶々迷い込んだ眠り姫の寝室で、俺の三倍はありそうな肥満体を目にした時は愕然としたものだ。 お国変われば美人の基準もこれほどまでに変わるものかとね。 あの時は本当に散々な目に……」 「海の藻屑になりたくないのなら、その口を閉じなさい」 ミルフィーナは、無駄口をたたくエドゥアルトを不機嫌に一喝する。 その表情は、騎士の気高き忠心を邪な煩悩と一緒くたにされて心外だと如実に物語っていた。 「なんだ、賛同してくれたのではないのか」 「誰がそのような世迷言に同ずるものか。 そもそも其方はシャルロットさまにご執心だと聞いているが?」 「ふむ、ミルフィーナ卿が俺とシャルロット姫の仲をご公認してくださるとは有難―――っと、危ない危ない」 白光が走る寸前、咄嗟に飛び退いたエドゥアルトだったが、前髪を数本剣風に吹き散らされる。 「そこに直れ、我が剣の錆びにしてくれる!」 抜刀したミルフィーナが両肩をわなわなと震わせて、エドゥアルトの胸元に長剣の切っ先を突きつけた。 相も変わらずシャルロットのことになると見境を失くすが、当人にその自覚はない。 「眉目麗しい士族の令嬢に言い寄られるのは望むところだが、刃物沙汰は勘弁願いたいな」 「剣を抜け。 無抵抗の者を斬り伏せるわけにはいかぬからな」 両手を上げて後退りするエドゥアルトに眉を逆立てて詰め寄るミルフィーナ。 「さっき問答無用で斬りかかってきたではないか」 「くっ……あ、あれは手加減していたから数には入らない」 痛い所を突かれたミルフィーナが言い淀む。 「そういう問題なのか?」 「う、うるさい。 その二枚舌を三枚におろし―――って……待て、決闘に応じないつもりか!?」 「生憎、美人に向ける剣は持ち合わせていないものでね」 ミルフィーナは逃げ出したエドゥアルトを追いかけて、騒がしく船長室を後にした。 「まったく騒々しい奴らじゃな」 ・ ・ ・ 不慣れな船旅にシャルロットはなかなか寝付けずにいた。 波に揺られる角灯の炎が、船室を光と影の舞踏室に変貌させている。 少女はひとり幻影の宴から取り残されたように、木組みの天井を見上げて憂いの深海に沈む。 ―――わたしの役割も全て終わりだと思っていた 十六度目のアルジャベータ聖誕祭を迎えて、聖女としての束縛から解き放たれると信じていた。 それが今では、聖女であったことを否定され、苦しみ抜いた籠姫としての過去と共に、自分の存在理由すら失くしかけている。 ―――それでも、わたしは…… 自分が自分である意味を見つける為に、己を模らなければならない。 例えそれが、他者の信念や利己利潤を満たすだけのものであってもだ。 何も変わらない、成す術もなく運命に翻弄される日々、ただ―――そこに唯一救いがあるとしたら、過去を受け入れ、未来へと踏み出す意志が今のシャルロットにあることだ。 ―――わたしには大切なヒトを守る為、そしてふたりのお母様が味わった悲しみを二度と繰り返させない為に、為すべき事がある。 それはきっと、教皇となり、教会の実権を握れば可能なことだろう。 シャルロットが心に秘めた想いは、聖女としてでも、王女としてでもなく、ひとりの少女の願いであった。 ==============================================
2011/06/08
立て込んでまして日記を書けませんでしたが、保護した野良猫の前脚は截断しなくて済みそうです。ただ、どうしても外に出たがるので、完治したら避妊手術をして、外猫生活になりそうです。仔猫の方は、近所の子供が飼ってくださる方を探してくれて、乳離れするまで預かり状態です。最終的に人間の温かさに触れられる事象となって、疲れたけれど、いろいろな意味で安心しました。などと、締め括りかけましたが、まだ、動物病院通いは続くのですけどね(汗)
2011/06/07
屍族の耳尖らせたい問題急浮上(∀`*ゞ)テヘッ元々、屍族=吸血鬼の設定なので、屍族キャラの耳先を尖らせたほうが良かったかなと、今更ながらに感じています。設定当初、外見は人族に瓜二つといったコンセプトが自分の中にあったので今の形ですが、最近、「青祓」とか「アスタロッテ」のお絵かきをしていて、耳がツンだと、ドキがムネムネ(謎)なのも事実であって……ただ、『†Princesse du sang†』 には、絶滅設定ですが、妖精族もいるので、其方との区別もあるんですよね(汗)うーむ
2011/06/02
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