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※続きです※推敲はフリーページ内で致します『†Princesse du sang†』 月ノ章 3-09【取引】月ノ章 3-09【取引】―ミュークSIDE― 「調査隊を襲ったのは、見たこともない魔蟲の大群だったそうです」 カタリナが静かな声音で事実を告げる。 「遺跡に巣食っていた古代蟲の類ではないのかや?」 ミュークが別の可能性を示唆する。 「魔蟲たちの動きは、まるで何者かに操られていたかのように統制がとれたものだったようです。 ミューク卿はこの地で蟲を使役する術式をご存知ですか?」 「いや……だが―――」 オルカザードの血族が千年壺毒(蠱毒)と呼ばれる太古の秘法を操ることは、一部の者たちの間では周知の事実である。 それというのも、同家は屍族や人族の王侯貴族を相手に、現代医学では完治不可能な病の治療を、蠱道を用いて行なっていたからだ。 無論、莫大な謝金を対価としてである。 「では、少し目先を変えてみましょう。 件の遺跡は、当初、巨人族の遺跡と目されていました」 曖昧に言葉を濁すミュークに、カタリナは話題の転換を図る。 「巨人族の遺跡じゃと―――いや、その物言いから察するに、貴老は別のモノと考えておるようじゃな」 ミュークにはカタリナの意図が読み切れなかった。 「ええ、第三次調査団の分析の結果、その遺跡は巨大な墳墓であると確証が得られています」 「ほう、それは珍しいの」 ミュークは顎先に指を添えて、考えるような仕草を見せる。 過去、巨人族に墓を作るといった概念はなかったらしく、現在まで墓地遺跡の類は確認されていない。 無論、此度の発掘が初例となれば、考古学史に残る新事実である。 「地質調査の結果は、過去に発見された巨人族の遺跡と同等の分析結果を得ているそうです。 もっとも、襲撃の件で発掘は中断しておりますので、玄室の扉はまだ開かれてはいません。 しかし、襲撃者の目的が玄室の内部にあることは間違いないでしょう」 「なるほど、そうなると、賊の狙いは副葬品の類と考えるのが妥当じゃな。 つまり、襲撃者は玄室に何があるかを知った上で行動している可能性があると……」 ミュークもカタリナの含意を読み取ったようだ。 人族の歴史が明確に形作られるのは、聖剣戦争を遡ること数百年余りであり、黎明期の遺跡に関する研究も進んではいるが、憶測の域を脱しない程度のものである。 要するに、人族には類似事項が存在しない古代遺跡の内部を推し量る術がない。 憎たらしいほど柔和に微笑むカタリナに対して、ミュークが再度口を開く、 「それで、オルカザード家というわけか……」 「ウィズイッド家はオルカザード家と遠縁にあたり、親交も深いと聞き及んでいます」 カタリナの察する通り、ウィズイッド家は古くからオルカザード家と交友があった。 もっとも、それはミュークの母アルフォンヌ・ウィズイッドの代で途絶えてはいたが、話を持ちかける相手としては適切であろう。 「貴老は再び同様の襲撃があると予想しておるのか?」 「はい、国を挙げての発掘調査として、それなりの警備体制を敷いたことが幸いしましたが、次も同様の結果になるとは限りません。 いえ、前回とて、相手が本気ならば防ぎきれなかったでしょう」 カタリナの言葉に虚勢や自虐は感じられない。 感情論を抜きにして、適確に状況を分析しているようだ。 「大体の話は呑み込めたが、ワチキにも何かと都合があるのじゃがな」 ミュークが奥歯にモノのはさまったような口調で返す。 流石にプルミエールを人質にシャルロットを拐かす計画があるとは言えないようだ。 「アルル=モアにおいては、わたしの一存で、手元に留めてありますが、ウィズイッド家には、遅かれ早かれ教皇庁、又はアダマストルから国家転覆を狙う重罪人として手配が回る筈。 ですが、この取引に応じてくだされば、教会船の一件に関してだけは、公王カタリナ・アヴィスの名で、貴女方の無実を証言する証人となりましょう。 加えてアルル=モア公国はウィズイッド家と同盟を締結したと、国内外に公式開示致します」 カタリナはまたとない好条件をミュークに提示する。 屍族を異端視するメナディエル正教圏でも、聖剣戦争時の恩恵に報いる為、ウィズイッド家とオルカザード家の両家に関しては異端除外措置が採られていた。 しかし、ウィズイッド家はヤガ=カルプフェルト王国で国家反逆罪に問われて、その後ろ盾を失って以降、他の屍族同様に、異端の烙印を捺されている。 ここで、アルル=モア公国に盟友として歓待されれば、少なくとも同盟国のアダマストルとサリナハーム領内では追っ手や審問官から逃げ回る必要はなくなるだろう。 双子に安住の地を用意できれば、ミュークの肩の荷も多少は下りるというものだ。 「それだけの待遇が約束されるならば、断る理由もない」 言葉とは裏腹に、ミュークは厄介事を惰性に甘受することに慣れつつある自分に、内心で溜息をついていた。 取引の応否に関わらず、面倒ごとに巻き込まれることは避けきれないようだった。 ==============================================血の章との接触……いろんな意味で危険です(汗)
2011/02/27

※文字数制限を超えたので二つに分けます※推敲はフリーページ内で致します『†Princesse du sang†』 月ノ章 3-09【取引】月ノ章 3-09【取引】―ミュークSIDE― カタリナは貴賓室から人払いを済ませると、応接用の長椅子をミュークに勧める。 革張りの座面に腰を下ろしたミュークの両脇には、伝書鳩顔負けの帰巣本能でレムリアとルムファムが居座っていた。 「そろそろ腹を割って話したいものじゃな」 ミュークの両眼が正面からカタリナを射抜く。 一国の公主が手ずから罪人の捕縛に乗り出すなど通例ならあり得ない。 しかも、カタリナはその相手が二十二家に名を連ねるウィズイッド家の大屍族だと存知していた。 ならば、ミュークに直接の用向きがあると考えたほうが自然だろう。 「話が早くて大変結構ですが、これから話すことは他言無用でお願いします」 カタリナは鮮やかな手つきで陶磁器製の茶器を扱い人数分の香草茶を瑠璃碗に注ぐ。 既に老齢の域に達している筈だが、容貌といい物腰といい精彩で気品に満ち溢れていた。 見ているだけで引き込まれるようである。 「要らぬ心配じゃ。 そう思うからこそ、貴老はこの席を用意したのじゃろう?」 「それは違います。 こんなにも面白いことを人任せにしたら勿体無いでしょう。 それに、先が見えないからこそ、決断には意義が生まれるのです」 「やれやれ、プルミエール嬢の性格は父方から受け継がれたものであるらしい」 子供のように微笑むカタリナに、ミュークは呆れて両肩をすくめてみせた。 ちなみに、話がややこしくなるので、プルミエールは兵士たちに担がれて強制的に退席済みである。 「ですが、わたしの価値観をアルル=モアの民にまで強いることはできません。 王族の役割とは民が安定した生活を送れる世界を築くことにあるからです」 カタリナはそこで一度言葉を切り、ひたと対座するミュークを見据えて、 「そして、その為にはミューク卿の助力が必要なのです。 単刀直入に申します。 貴女方にオルカザード家の意志を確認して欲しいのです」 「オルカザード家じゃと……」 気を取り直す間も無くミュークは息を呑んだ。 オルカザード家はウィズイッド家と並び、二十二家の大屍族の家系に名を連ねる名門血族である。 ウィズイッド家が没落した今、名実共に西大陸最大の上級屍族と考えて間違いないだろう。 「まさか、今からウルムドラに向かえとでも云うつもりかや?」 ミュークが訝しげに眉を顰めた。 オルカザード領はアルル=モアから北方に位置するクロスメイデン公国を抜け、白竜の峰を越えた先に広がる。 そこはウルムドラと呼ばれる氷河地帯に閉ざされた極寒の大地であり、踏破するには屍族であっても最低限の防寒具は必要だろう。 無論、騎馬や騾馬など一般的な移動手段は使えない。 「そんな手間はお掛けさせません。 先方から此方においでくださっていますから」 「なんじゃ、オルカザードの者をアンディーンに迎えておるのか?」 ミュークの知る限り、オルカザード家は、一般的な屍族の価値観と比較しても、人族に対して好意的な部類に属するだろう。 聖剣戦争後も、同家は旧態依然の統治体制を固持してはいたが、暴政を敷くようなことはなかった。 領民は一定期間ごとの、血の提供を代償に、飢餓や疫病とは無縁の生活を営むことを約束されていたのである。 現当主ルドルフ・オルカザードも人前に姿を現すことはなかったが、犯罪や不義を等しく裁き、厳格な統治者であると聞き及んでいた。 「いえ、招かざるお客さまと言った方が正確かもしれません。 一昨日のことですが、とある遺跡に派遣した調査団が襲撃を受けて壊滅的な被害を被りました」 まるで他人事のように、カタリナはさらりと言ってのける。 いや、努めて冷静に言葉を連ねているようだ。 「なぜ、それだけでオルカザード家の仕業だと断定できるのじゃ? ワチキならまず墓荒しや盗掘者の類だと考えるがの」 ミュークも己の指摘が的確さに欠けていることは承知していた。 組織だった盗掘団ならば、一国の調査隊を敵に回すような愚行は犯さないだろう。 「襲撃者は屍族でも、そして人族でもなかったと、生存者から報告を受けています」 「ほう」 ミュークの両眼が好奇に彩られる。 ==============================================
2011/02/27
最近、音声読み上げソフトに興味があります。有名どころを掻い摘んで試用させて頂きましたが、東芝さまの「TO SPEAK」と、先日、発売した一太郎2011創の「詠太」が(HOYAの音声合成ソフトウェア VoiceText)良い感じでした。ただ、小説モドキの校正に使用するだけなので、必要不可欠というわけでもなく、他にもいろいろと触ってみてから購入するかどうか決めたいと思います。
2011/02/21

※続きです※推敲はフリーページ内で致します『†Princesse du sang†』 月ノ章 3-08【取引】月ノ章 3-08【取引】―ミュークSIDE― 「あら、逃げ出す前に訊きたいことがあるのではなくって?」 扉口で成り行きを見守っていたユイリーンが、頃合を見計らったように口を開いた。 アダマストルの第三王女は足早にカタリナの左隣に立ち並ぶと、試すような視線をミュークへと投げかけた。 「蛍輝石じゃな?」 「やっぱり気づいてた♪ そしてご名答です。 お察しの通り、レムリアさんの首に巻かれているのは、蛍輝石の封印具です。 屍族が忌み嫌う天然蛍輝石を、太古の錬成技法で結晶級にまで純度を高めて、我が機関が開発した装飾具に埋め込んであります。 本来なら発光に費やされる蛍輝石の正の霊的原水を、屍族の肉体に強制的に流し込むことにより、魂魄に宿る負の霊的原水と相互干渉を行い対消滅を引き起こす仕組みですわ。 まだ試験段階だったのですが、先日、偶々、研究素材が手に入ったので試させてもらいましたのよ」 ユイリーンは得意気に専門知識を披露する。 その表情は自信に満ち溢れていた。 「レムを実験台にしたのか」 朝陽を雲塊が閉ざし、貴賓室に影が堕ちる。 ミュークの両眼が冥紅に染まっていた。 そこに見えるのは明確な怒りの感情であった。 「ミュークさま、ダメです」 レムリアの制止の声もミュークには届かない。 いや、届いてはいるのだろうが、屍族の少年の言葉が、まるでユイリーンの身を案じているように聞こえ、余計に腹が立っているのかもしれない。 「拘束後の被験者に反作用・副作用の類は無いと確証はありましたわ。 それに、これは将来的に人族と屍族の共存にも繋がる有意義な研究で……」 ユイリーンの声が次第に消え入るように小さくなる。 大屍族が血族でもない配下の屍族の身を案じるなど、想定外だったのだろう。 事実、世間一般で認知される屍族の姿と、ミュークの気質は掛け離れている。 「云いたいことはそれだけかや?」 ミュークが踏み出した分だけ、気圧されるようにユイリーンが背後に退く。 貴賓室に緊張が走り、扉口で甲冑に身を固めた兵士たちが片手を剣の柄に伸ばす。 命令があればいつでも室内に飛び込める体勢であった。 「お待ちなさい。 その封印具はたとえ大屍族であろうと外すことは適いません。 ここでわたしたちを害すれば、その子は一生、チカラを封じられたまま生き続けることになりますよ」 カタリナがミュークの腕を掴み、自制を促す。 「そのようなこと後でどうにでもなるわ」 しかし、ミュークは全く聞く耳をもたず、老公女の腕を邪険に振り払う。 それを見た兵士たちが怒気を孕んで室内に雪崩れ込もうとするが、ルムファムの幼げな美貌が眼前に立ち塞がり、一瞬、兵士たちの気勢が緩む―――そこに、空気を風食する轟音と共に、羽毛が巻き上がり、数本の白刃が絡めとられる。 屍族の少女の手には、寝台から抜き取った厚手の敷布が握られていた。 舞い上がる白羽が視界を閉ざす中、ミュークの手指が、壁際に追詰めたユイリーンに伸ばされる。 「人族の分際でワチキのモノを掠め盗ろうとした罰をその身に刻み―――ンガっ」 誰もが交渉は決裂したと諦めかけた時、ミュークの後頭部を予期せぬ衝撃が襲う。 勿論、武術の嗜みなど皆無なミュークに受身など取れるわけもなく、無様な姿勢でその場にもんどり打つ。 「まったくシツケがなっていませんです」 羽毛の霧が晴れると、いつの間にやら荒縄から抜け出したプルミエールが、拳を振り下ろした体勢でミュークの背後に佇んでいた。 当事者二人とルムファムを除く全員が唖然とその光景を見つめていた。 屍族を素手で殴り倒す人間など、明らかに規格外である。 「く、いきなり殴るとはどういった了見じゃ!?」 立ち上がったミュークが抗議の声をあげる。 正気を取り戻したようで、口調もいつもの調子に戻っていた。 もっとも当のプルミエールは、醜態を晒して気まずそうに逃げ回るユイリーンを茶化して遊んでいる。 「お互いプルミエールに救われたようですね」 カタリナは胸を撫で下ろすように大きく息を吐くと、ミュークに同意を求めた。 「認めたくない……認めたくはないが、そのようじゃな」 ミュークとカタリナはお互いに顔を見合わせて苦笑しあう。 誰よりも空気を読まないプルミエールが、この場で一番冷静、いや、いつも通りであったようだ。 ==============================================封印具とアダマストルの内乱の件が、今後の展開を大きく左右します。特に封印具の開発は、今後、屍血姫や覚醒した屍族たちとの戦いの中で必要不可欠になります。まぁ、ルムファムが覚醒すれば、大抵の敵は素手で倒せるのですけどね(笑)
2011/02/20

※文字数制限を超えたので二つに分けます※推敲はフリーページ内で致します『†Princesse du sang†』 月ノ章 3-08【取引】月ノ章 3-08【取引】―ミュークSIDE― 「リナリナ! むむっ、ユイユイとレムレムまで……」 プルミエールが驚きの声をあげる。 どうやら、扉口に現れた人影に幾つか見覚えがあるようだ。 内の一者、銀髪の老女は、露台に吊るされたプルミエールに視線を送って軽く苦笑すると、 「相変わらず元気そうですね」 そう言って流れるような足取りで貴賓室へと足を踏み入れた。 簡素な身形にやつしてはいたが、高貴な血筋であることは間違いない。 隠しようのない気品と威厳が一挙一動から溢れだしていたからである。 ミュークも同様に歩を進めて、両者はちょうど部屋の中央で向かい合うかたちになった。 「貴老が名に聞くカタリナ・アヴィスかえ?」 「はい。 二十二家の大屍族ともなれば全てお見通しのようですわね。 それとも貴女が特別なのかしら、ミューク・ウィズイッド卿」 ミュークの不躾な問いに銀髪の老女―――カタリナ・アヴィスは柔和な微笑みを浮かべて、そう切り返してきた。 「チッ、食えないババァじゃな」 ミュークが小さく舌打をする。 誰何せずに相手の正体を看破して、心理戦の機先を制しようと試みたが、敢え無く相殺されたのだ。 更に「それはお互い様です」と皮肉まで返品される。 もっとも、ミュークの場合、“記憶探知”の能力を使うまでもなく、様々な要因が事前に提供されていた為、この程度の推量は容易であった。 問題はカタリナの方で、ミュークを屍族と、そしてウィズイッドの血族と裏付ける為には、情報の漏洩者が必要不可欠であり、それは状況から考えて間違いなく、 「レム、其方喋ったな」 「うう……申し訳ありません」 ミュークに睨まれたレムリアが兵士に両腕を捉われたままで、器用に身を縮こませる。 「あら、レムリアさんを責めるのはお門違いですわ。 彼の自白・自供の類があろうとなかろうと、遅かれ早かれこうなったのですから」 長い銀髪を大きなリボンで結った少女が、小馬鹿にしたような口調と共にミュークの視界に割り込んできた。 まるで、レムリアは自分のモノだと言わんばかりの態度である。 「そんな小娘にたぶらかされおってからに」 迂闊に動くことも出来ずにミュークは歯噛みする。 憎まれ口こそ叩いてはいるが、本心では直ぐにでもレムリアを手元に引き入れたいところであるのだろう。 「ユイリーンの言葉は真実です。 数日前、教会船アメナディル号から特使が到着しました。 この意味はお分かりでしょう?」 カタリナが不足する事実を補うことで、食い違った見解の整合性を図った。 現状は、この水都で内情を知る者とプルミエールが接触すれば、十分起こり得る事態である。 教会船で名を明かしてしまったミュークにも責任の一端はあるだろう。 特に此度の一件に限れば、ミュークの油断が招いた産物であり、泳がされていた節もあるプルミエールの元にノコノコ合流してしまったことなど、愚の骨頂ともいえた。 ミュークは扉口で生意気な口を利く銀髪の少女―――ユイリーンから視線を外すと、再度カタリナと向き合う。 「なるほどの、寧ろ一国の姫君の大事にしては対応が遅すぎたとも云えるくらいじゃな」 そして、大きく息を吐いて肩を竦めた。 「それは致し方ありません。 教皇庁に続きアダマストルでも内乱が生じている今、上位機関からの指示確認に手間取り、手配が遅れたのでしょう」 カタリナは「融通の利かないお役所仕事の悲しい性です」と更に付け加えて、苦笑いをする。 「(アダマストルで内乱?)」 ミュークは怪訝に眉根を寄せて、カタリナの言葉を脳内で反芻した。 アダマストルを出立してからまだ一月も経っていない。 滞在時も内乱の兆しどころか、不穏な噂ひとつ耳にしていなかったのであるから、腑に落ちないのも当然である。 「どうやらウィズイッド家は、アダマストルの件について無関係のようですわね」 得心したカタリナが軽く指先を鳴らすと、扉口に控えていた兵士がレムリアの拘束を解く。 「ミュークさま~」 解放されたレムリアが、今にも泣き出しそうな声をだしてミュークに抱きついてくる。 「余計な心配をかけおってからに―――ん?」 ミュークは無事を確かめるように、レムリアの頬や肩を掌で撫でる。 と、やにわにミュークの指先が弾かれたように痙攣した。 少年の首筋を包む見慣れぬ首環に触れた瞬間、得体の知れない脱力感に見舞われたのである。 「レム、身体に異常はないのかや?」 「は、はい。 ちょっと気怠いぐらいで、特に問題はありません」 レムリアの返答に変わった様子はない。 よく見れば若干顔色が優れないようにも思えたが、内に潜む微妙な機微を感じ取ることは適わなかった。 「これで此方に敵意が無いことはお分かり頂けたかしら?」 「ワチキ等を見逃すというのかえ?」 ミュークは軽く首を振って、レムリアを下がらせるとカタリナに尋ねる。 老公女の言葉に偽りはないだろう。 それは、殺気や害心といった気配に敏感なルムファムが動かないことからも判断できた。 「さすがに無条件というわけには参りませんが、それは取引次第です。 なにより、アダマストルの一件とは無関係でも、教会船への密航や王族の拐取など、事情を訊かねばならないことが山ほど残っています」 「ふん、交換条件を持ちかけるのならば、レムを解放したのは軽率じゃったな。 ワチキ等が逃げ出す可能性も考慮して然るべきじゃろうに」 ミュークの口唇にひとの悪そうな笑みが宿った。 ここ天上貴賓室は地上五階の高さに位置している。 人族相手なら、入扉を固めさえすれば脱出は困難だろうが、屍族であれば、露台から飛び降りるという選択肢もある。 無傷とはいかないまでも、余程打ち所が悪くない限り死ぬことはないだろう。 ミュークの運動音痴振りでは例外の方に当てはまりそうだが、それを進んで教える義理もない。 ==============================================
2011/02/20

※推敲はフリーページ内で致します『†Princesse du sang†』 月ノ章 3-07【取引】月ノ章 3-07【取引】―ミュークSIDE― ここは、水都アンディーンでも最たる歴史と格式を誇る高級宿“水面の銀月亭”の一室。 一見の客は入れない王室御用達の天上貴賓室である。 現在、この部屋の主は、お忍びで訪れたアダマストルの第二王女だった。 アルル=モア公国外務部から発行された滞在公認書と共に、半ば押しかけ状態で居座っているのだ。 「ふんふん~♪ タランランラン」 プルミエールは鼻歌を口ずさみながら、新品の下着を穿いて、衝立式の衣架から特注の衣装を手繰り寄せた―――紅と紫で縁取られた武闘着で、少女が纏うと、動きやすさを重視するように幼い肢体に密着する造りである。 続けて、大きな鈴が愛らしいお碗型の頭飾りを左右で結った髪束の根元に差して挟む。 最後に、竜の爪があしらわれた篭手と長靴を身に着けて、装着感を確かめるようにその場で軽く一回転する。 「うにゅ、ピッタリです♪」 満足気に頷いたプルミーエルは、大窓に歩み寄り目下に広がる水都の街並みを睥睨しつつ、 「ついにこの日が来ましたです。 愚民どもめ、つかの間の平和を味わうがよいです。 にゃはははははははっ……」 何処ぞの魔王のような台詞を吐き捨てた。 「アホかー!!」 と、静観をぶち壊す怒号と共に、窓硝子を突き破った靴裏がプルミエールの顔面にめり込む。 「ぐぶはっ! ……なにやつ!? って、なんだミュクミュクですか。 まったく、ひとさわがせですね」 大袈裟にひっくり返ったプルミエールが、即座に飛び起きて身構える。 大窓から続く露台の上に、二つの人影が降り立っていた。 首長竜の捕獲から無事帰還したミュークとルムファムである。 「それはこっちの台詞じゃ! 待ち合わせの場所に一向に現れぬ故、こっちは一晩中、水都を探し回ったのじゃぞ。 運よく其方らしき人物がこの宿に出入りしている噂を耳にしたからよかったようなものを……」 ミュークが怒り心頭といった面持ちで声を荒げる。 おまけに、居場所を突き止めてからが更に問題だった。 長い旅路と首長竜の一件で、衣服はボロボロ、体中傷だらけといった有様なので、宿に足を踏み入れるなり不審者と勘違いされて、警備兵に通報された挙句、一度は門前払いをされていたのだ。 仕方なく裏手から宿の外壁をよじ登り、屋根沿いに忍び込んで今に至るわけである。 「むー、ワガママさんですね。 ちゃんとお舟は届けましたですよ」 「まぁ、その点に関してだけは褒めて使わす」 口振りから察するに、しっかり本大会への登録は済ませてきたようだ。 ミュークが渋々ながら怒りの矛先を収めると、 「土産だ」 ルムファムが満を持したように、一抱えはありそうな球体をプルミエールに差し出す。 「むむ、良き心得です。 ルムルムは親友に昇格です。 ところでコレはなんですか?」 プルミエールが蒼と黒の斑模様の円球をコツコツと指先で叩きながら訊ねる。 「タマゴだ」 「おいしいのですか?」 「きっと」 物騒なやり取りが、人族と屍族のふたりの少女の間で交わされていた。 「これこれ、それは食する為に持ち帰ったのではない。 あのまま水巣に放置しても目覚めが悪い故、人道的配慮で持ち帰ったのじゃ。 大会が終われば首長竜共々、水巣に返すつもりじゃから余計な手出しをするではないぞ」 ミュークが慌てて会話に割ってはいる。 通常なら冗談と解釈するところだが、何処までも本気なふたり組みなので、予防線を張ったのかもしれない。 しかし、本来屍族とは傲慢かつ独善的な血族意識と、血も涙もない冷酷無比さを併せ持つ種族であり、この一件からもミュークの変わり者振りが窺えた。 もっとも、当の本人は屍族であることに、一種の選民意識を抱いており、面と向かって矛盾点を指摘されたら、さぞ困惑することだろう。 「むっ、ケチケチですね」 「否、ミュークさまは道楽的散財主義者だ」 ルムファムがプルミエールの発言を即座に否定する。 ただし、弁護ではなく事実認識なので、守銭奴扱いされた方が幾分マシかもしれない。 「ゴホン、ワチキのことはどうでもよい。 それより、なぜこのような場所におる?」 ひとつ咳払いをしたミュークが、優雅で広々とした客室を見渡して話題を転換する。 水都を出立する時、残りの所持金の全てをレムリアに預けてはいたが、安宿に泊まるのが関の山な微々たるものであった。 どのような経緯で首都の一等地に店を構えるような高級宿に宿泊しているのか、疑問に思うのも当然である。 「うにゅ、ユイユイからお小遣いを貰ったのです♪」 「ユイユイ? それは其方の妹ユイリーン・リュズレイのことかや?」 プルミエールが渾名で指し示す人物に、ミュークも即座に思い至ったようだ。 だが、それは同時にプルミエールの行動が一部の人族に筒抜けである事実を示していた。 ミュークの目的を考えれば甚だ都合の悪い事態に陥ったといえるだろう。 「レムの奴め……あれほど注意して行動するようにと―――ん? そういえばレムの姿が見えぬがどうしたのじゃ?」 ミュークも最初は雑用でもこなしているのだろうと、大して気に留めていなかったのだが、一向に姿を現す気配がないレムリアを不審に思ったようである。 「レムレム……なつかしい名前です」 プルミエールはフッと遠い目をして、まるで昔話でもするように語りだした。 ・ ・ ・ 数刻後――― 「というわけです。 おしい下僕をなくしたです」 プルミエールは少なくとも表面上は鎮痛な面持ちで瞑目していた。 「なるほどな、つまり、其方はレムの身柄を担保に小遣いを貰って、快適に過ごしていたわけじゃな」 ミュークはひょいとプルミエールの身体を持ち上げると、侵入に用いた荒縄の先端に少女の身体を括りつける。 露台の上に即席の人間振り子が出来上がった。 「はっ、油断したです」 「さて、選択肢はふたつじゃ。 ここで日干しになって息絶えるか。 レムを取り戻す為にその身を削って尽力するか。 プルミエール嬢はどちらが好みかや?」 ミュークはこめかみをヒクヒクと痙攣させながら選択を迫る。 「ヒトの命はとってもとーときモノだと聞いたことがありますです」 「つまり?」 「プルの命のためにも、レムレムを悪の手先からとりもどすです」 最初からこうなることは分かりそうなものだが、良く言えば自分に正直なのだろう。 「そうと決まれば善は急げじゃ、レムリアの元に案内して―――」 「その必要はありません」 ミュークの言葉を凛と澄んだ声が打ち消す。 貴賓室の扉が開け放たれ、銀髪の老女とまだ幼い少女が現れる。 背後には完全武装の兵士たちが立ち並び、両腕を拘束されたレムリアの姿があった。 ==============================================月ノ章が血ノ章と密接に関わる分岐点に突入します。
2011/02/14

※続きです※推敲はフリーページ内で致します『†Princesse du sang†』 月ノ章 3-06【捕竜】月ノ章 3-06【捕竜】―ミュークSIDE― 「ルム、出来るだけ首長竜の注意を惹きつけるように立ち回れるかや?」 「承知」 ミュークの問い掛けにルムファムがコクリと頷いた。 屍族の少女は首長竜を挑発するように抜き放った長剣で水面を打つと、湖水を切り裂きながら水巣の側面に回り込んでいく。 「さて、ワチキも成すべき事を成すとするかの」 ミュークは首長竜の注意が逸れたことを確認した後、精神を集中させて水巣へと近づいていく。 水に浸かった足元から、身を切るような冷たさが伝わってきた。 「ふぅ、永続的な強制力が何処まで持続するかは分らぬが……。 試してみるしかなかろうな」 どうやら、教会船での脱出劇と同様に、対象の“精神操作”を行なうつもりらしい。 通常、首長竜を服従させる為には、長い時間をかけて専門の調教師が訓練を施す必要がある。 野生の首長竜であれば、人工繁殖した場合より更に手間が掛かるであろう。 そういった手順を全て省く腹積もりであるようだった。 「こっちだ」 水巣に飛び乗ったルムファムに、身の毛もよだつ咆哮が応える。 怒りに任せて喰らいつく獰猛な顎門を、屍族の少女は肘と膝で挟み込み強制的に閉ざす。 そして、間髪入れずに竜族共通の弱点とされる眉間に掌底を叩き込んだ。 だが、首長竜はまるで動じた様子を見せずに、長い尾を鞭のように振るってくる。 その巨体からは想像できないほど俊敏な動きだった。 「くっ」 ルムファムは身を捩るのと同時に、長剣の腹で丸太のような尾を叩き伏せる。 更に立て続けに、鈍い打撃音と水飛沫が宙を舞い、衝撃に耐え切れず、広刃が捩じ切られたように半ばから千切れ飛んだ。 「安物」 後方に一回転して、距離をとったルムファムの額にはふつふつと汗の粒が滲み出ていた。 見事な身のこなしで首長竜を翻弄してはいるが、流石に限界が近いようだ。 「ルム……」 ミュークも次第に劣勢に追い込まれるルムファムの姿に、焦りの色を隠せない。 「あと少しじゃ……」 必死に自制して、一歩、一歩、永劫にも感じられる距離を詰めていく。 既に水位は長衣の腰元まで達し、温冷感も麻痺しかけた頃、目前に蒼紫の鱗に覆われた首長竜の背部が聳えていることに気づく。 『我が血の一滴は不滅なる契約となりろう』 ミュークは高らかに呪約の言霊を唱えると、親指の先を前歯で噛み切る。 と、その時だった。 首長竜が甲高い咆哮と共に身を捩り、弾き飛ばされたミュークが体勢を崩す。 続けて、のたうつ尾に強打された左上腕部に焼けるような痛みが走った。 「くっ」 衝撃に霞むミュークの視界のなかで、首長竜の頸部が根元から蠕動していた。 それは首長竜が強酸の息を吐く前兆運動であった。 「ここまでか……」 ミュークは半ば死を覚悟して、きつく両眼を閉じる。 次の瞬間、強烈な風圧がミュークの頭髪を吹き散らす。 しかし、衣服の溶ける不快な臭いが鼻を突くだけで、身体に異変は感じられなかった。 「ルム!?」 恐る恐る目を見開いたミュークの眼前にルムファムの姿があった。 屍族の少女は片手を水面に振り下ろした体勢で振り落ちる水滴の雨に打たれている。 咄嗟にミュークと首長竜の間に割り込むと、水飛沫を巻き上げて酸の息の直撃を逃れていたようだ。 無論、全てを避けきれたわけではなく、溶け落ちた外衣の内側には痛々しい火傷症状が見て取れた。 幼い肌から流れ落ちた鮮血が、青く澄んだ地下水と溶解して冥らい闇が広がっている。 「問題ない」 ルムファムが首長竜に向けて顎をしゃくる。 心配より先に、ヤルべきことをヤレと言わんばかりである。 『命ずる―――我が意に背くことなかれ』 ミュークはどうにか集中を保ったまま、蒼紫の鱗に触媒の血を塗りつけた。 すると瞬く間に、首長竜の両眼から意志の光が消えて、主人に傅くように巨躯を丸める。 「ルム、怪我の具合をみせるのじゃ」 ミュークは軽く首を振ると、焦燥感に突き動かされるようにルムファムを抱き寄せる。 首長竜ばかりか、自身の負傷すら省みずに屍族の少女の安否を気遣っていた。 「ヤレヤレだな」 ルムファムは心底疲れたように一言零すと、そのままミュークの腕のなかで意識を失ってしまう。 いつも能面のように無表情な顔が、何処か綻んでいるような錯覚をミュークは覚えたのだった。 ==============================================やっつけ感があるので、後々推敲が入ると思われます。
2011/02/07

※文字数制限を超えたので二つに分けます※推敲はフリーページ内で致します『†Princesse du sang†』 月ノ章 3-06【捕竜】月ノ章 3-06【捕竜】―ミュークSIDE― ロア湖は極めて高い塩分濃度を誇り、本来内陸では見られない海産物の生息も確認されている。 同湖が大陸移動によって陸地に閉じ込められた海跡湖であることは、地質学的・生物学的な見地からも立証されている事実であった。 「あった」 ルムファムが湖岸にそそり立つ断崖の下から顔をだす。 「ご苦労じゃったな」 ミュークは岩棚から重い腰を上げると、少女の声に応えるように片手を掲げる。 ロア湖に点在する海蝕洞巡りを始めてから、飽きるほど繰り返された一連のやり取りである。 「一か八かの賭けだったが、素直に東海岸に向かった方が正解じゃったか……」 もっとも、ミュークの言動から鑑みるに、望んだ成果は上がってはいないようである。 本来、首長竜の捕獲を目的とするならば、水棲竜亜種の生息地として名高いザルタニア湾に向かうのが筋である。 しかし、アルル=モア公国領の最東端に位置するザルタニア湾までは、王都から不眠不休で歩いても丸々一昼夜は掛かる。 往復に費やされる時間を差し引けば、捕竜に割ける猶予は一日が限界であった。 古来より大型竜亜種の捕獲とは、大掛かりな仕掛けを駆使して尚、命懸けの狩猟である。 嘗てはアルル=モア公国にも、首長竜の捕獲を生業とする軍団が存在したが、個体数が少ない上に生け捕りが非常に困難である為、現在では人工繁殖が進んでいる。 到底一日やそこらでどうにかなる問題ではない。 更に、地理に不慣れな点まで考慮すれば、結果は火を見るより明らかであった。 結局、不確定要素が山積する難題に合理的な解決策は見出されず、 「いや、元が海であるのならば、ここにも首長竜の生き残りがおる筈じゃ」 と、安易に結論付けたわけである。 勿論、ロア湖近隣の漁村で聞き込みを繰り返して、首長竜の目撃例を確認した上での判断だが、ミュークの物臭な気質と柔軟な思考回路が生んだ逆転の発想ともいえた。 なにより、元から穴だらけの大博打なので、多少綻びが増えても取り繕う必要などなかったのである。 「こっち」 先導するルムファムに続き、ミュークは覚束ない足取りで岩場を下っていく。 ゴツゴツした崖地を暫く進むと、目前に 黒々と顎を広げた岩窟が姿を現す。 「いい加減、当たりクジを引いて帰途に着きたいものじゃ。 レムがいないと不便でならぬ」 洞口で立ち止まったミュークが疲れたように独り言つ。 これまでの探索では、岩盤の陥没や崩落に始まり、地底に溜まった毒霧を吸い込んで卒倒するなど碌な目に遭っていなかった。 不幸の集積体たるレムリアが同行していないことで、ミュークは因果応報とも自業自得ともいえる役割を演じていたのである。 一方、ルムファムは臆することなく岩窟に足を踏み入れていった。 少女の背中には己の身の丈ほどの白刃が担がれている。 残り少ない手持ちを遣り繰りして入手した長剣である。 一見して、刃こぼれが目立つ安物で、切断力には期待できそうにない。 しかし、幅広で肉厚な刀身は屍族の強靭な膂力で扱えば、打撃武器としてなら十分役に立つ代物であろう。 「ふむ、思いの外規模の大きな岩屋であったようじゃな」 ミュークの感嘆の声と湿った靴音が岩窟内に長い尾を引いて反響する。 洞穴は曲線を描くように緩やかに下方へと傾斜しており、屍族の暗視眼を以てしても、最深部を見通すことは適わなかった。 加えて、少しでも気を抜くと濡れた岩肌に足を取られそうになる。 「いる」 と、僅かに歩みを緩めたルムファムが事実のみを簡潔に伝えた。 「それは重畳じゃな」 ミュークの表情に安堵と警戒の念が宿る。 前方に狭まった岩壁の裂け目があり、隙間から金緑色の光が零れ出ていた。 明かりに誘われるように、洞壁の隙間を潜り抜けると、唐突に視界が金緑色の光に覆われる。 「これは……」 視力を取り戻したミュークは言葉を失った。 蜿蜒と続いた横穴が開け、現れた岩窟の最深部は岩肌一面に群生した光苔によって幻想的に彩られていた。 そこは半ば水没して、地底湖の様相を呈している。 「人工繁殖された首長竜とは似て非なるものだと実感せざるを得ないの」 息を呑むミュークの正面、巨大な空洞の中心に枯れ草や流木で築かれた水巣が在り、その上に岩窟の主が悠然と横たわっていた。 退化した四肢と、蒼紫の鱗に覆われた姿は、竜というより巨大な蛇に近い。 首長竜はアルル=モア公国の象徴的存在であり、王家の紋章にも描かれる国獣として広く認知されている。 加えて、古くから水上艇の騎竜にも利用されている為、同国民にとっては馴染みの深い対象でもあった。 しかし、その生態に関しては、十分に解き明かされてはおらず、まだ謎の部分が多い。 一般的な知識としては、気性は温厚で魚介類を主食としていること。 危険を察知すると、水中に強酸を撒き散らして獲物の視界を奪う習性があること。 そして、雌雄同体で十年に一度訪れる産卵期にさえ注意すれば、襲われる心配はないという点なのだが、 「タマゴ」 ルムファムが首長竜のヒレ状に広がった前足の間を指差す。 そこには、蒼と黒の斑模様が浮き上がった球体がひとつ。 信じたくはなかったが、ミュークも同様の見解を抱いていた。 「随分と間が悪い時機に訪れたようじゃな」 小さく舌打したミュークの眼前で、首長竜の幾重にも巻かれたとぐろが警戒するように解かれていく。 どうやら、不意の侵入者を撃退するつもりのようだ。 ==============================================
2011/02/07
「バクマン」って面白いですよね。「GA」のあるあるネタも好きでしたけど、バクマンに関しては、「あー、熱くていいなー」と毎週思います(笑)なにより漫画を描きたくなります。私も子供の頃は漫画家になりたいって思っていた時期があって、今よりも遥かに絵を描いていた気がします。くそー何処で途切れたんだろうなああいった熱い気持ちorz
2011/02/05
まんが日本昔ばなしDVD-BOX 第1集&第2集を予約しました。作業BGM代わりに聞く(見る?)予定です。相変わらず、作業中に流すのは、「FFシリーズ」と「MISIA」さまがベースなのですが、ファンタジーで“王道を強く意識”したい場合は、「ルナ」「グランディア」「サガ」「聖剣」のサントラCDを回してます。若しくは、「テイルズ」のテーマソングをよく聴いています。伝奇モノの時は「ニトロ」や「シーズ」、最近では「朧村正」「大神」「蟲師」などもよく聴いてます。※追伸昨夜のイラストを高画質verに差し替えておきました。カットバンは外れていないので悪しからず。※追伸の追伸日曜日、買い物中に風邪をお持ち帰りしていました。盗難物として、お心当たりがある方はご一報ください。謹んでお返し致します
2011/02/01
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