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2006年05月19日
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カテゴリ: 沖縄関係
沖縄八重山の民話「赤馬」
昔々、
石垣島・宮良(ミヤラ)村に、独り暮らしの馬乗り名人大城師番という人がいました。
ある日、
この大城師番が海辺を散歩中、遥か沖に小さな影を見つけました。
「はて、何かな?」
目を凝らしてみると、南の沖の波間に馬の頭が見えました。
それは、こちらに向かって泳いで来るではありませんか。
「この先は島など無い、よくそんな場所から泳いだものだ」

馬は、砂浜に水を滴らせ、体中から湯気を出しながら上がってきた。
大きく見事な鹿毛(かげ)の馬でした。
「こんな立派な馬は、この八重山にはいないはず。さあさあ、飼い主の所に帰りなさい」
と言い、追い立てるようにすれども、師番の側を離れようとしなかった。
むしろ、この馬は師番の飼い馬かと間違えるほど、おとなしく後をついて来ました。

師番は、独り暮らしの馬乗り。
その馬に乗ってみたいとも思いました。
馬は、喜ぶ様な仕草をしながら、師番を背に乗せました。
タテガミを握り、
「ハイ!」
すると、その速い事、空を飛ぶような速さでした。


現れないので師番は、この馬を「赤馬」と名付けて自分の家で飼うことにしました。
この名馬赤馬の話は、八重山中の評判になりました。
やがて、
その噂は首里の王にも届きました。
琉球王府から

という命令がきました。
師番は、赤馬を船に乗せ、幾日もかかり、はるばる石垣島から本島首里城に着きました。
待ちかねていたのは、王でした。
早速、馬をご覧になり、
「評判通りの立派な馬だ。では、乗ってみよう」
と、王は赤馬に跨りますが、かけ声をかけても、ムチで叩いても馬は前に進もうとしませんでした。
そればかりか、急に暴れ出して王を振り落とそうとしました。
怒った王は、
「こんな暴れ馬は、殺してしまえ」
と、家来達に命令しました。
馬役人は驚いて師番を呼び、こう言います。
「この馬は、こんな暴れ馬だとは思えない。試しにお前が乗ってみなさい」
と言いました。
師番が赤馬に近づくと、今まで暴れていた事が嘘のようにおとなしくなりました。
「ハイ!」
疾風のように走り出しました。
これを見た王は、
「この馬は、神様がお前に授けた馬のようだ。誰もこの馬をお前から取る事はできない」
と言い、赤馬は師番の元に返されました。
師番は赤馬を連れて帰ることができました。

ところが、
この事がまた噂になり、赤馬の評判はますます高まり、薩摩の殿様の耳にまで届きました。
「大城師番、馬を献上せよ」
薩摩の殿様から命令がきました。
師番は
「仕方ない。命令だからな。今度は一緒には行けないんだよ」
師番は、石垣の港で赤馬を乗せた船を見送りました。

その船は、石垣の港から出るや否や、急に嵐が起こり船は港に吹き戻されました。
すると赤馬は、船に結わえ付けていた手綱を引き切り、人々が止めることができないうちに、船から飛び下りました。
港を泳ぎ、船着きを駆け上り、まっしぐらに師番の家に駆け戻ります。
すると、家の周りを三回廻り、ばたりと倒れました。
師番は慌てて駆け寄り、抱きかかえます。
赤馬は、師番に首を抱かれながら死んでしまいました。

八重山民謡「赤馬節」(本調子)

SP盤復元による沖縄音楽(うた)の精髄(下) SP盤復元による沖縄音楽(うた)の精髄(下)
八重山謡 八重山謡
琉球の民謡 金井喜久子 著  (復刻版) 琉球の民謡 金井喜久子 著  (復刻版)
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最終更新日  2006年05月19日 08時01分25秒
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