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2012年01月11日

1/11(水)

おはようございます。
1月ももうすぐ折り返し、早いですね。あっという間。
こうして、やると決めていたことがなし崩しになっていくのでしょう（笑）。
エンジンかけて頑張らなくては、今ならまだ大丈夫。
年始の誓いを今年こそはきっちり果たしていきたいと思います。
応援してね！

曽根圭介『鼻』角川ホラー文庫。

近未来の東京では、「テング」と呼ばれる人々が、ナチスドイツのユダヤ人のように迫害され、特別区へと送られ悲惨な最期を迎えていた。

一方、連続幼女失踪事件を追っている「俺」は、過去、少女暴行傷害事件を起こし逮捕された「マスク男」を執拗にマークしていた。「俺」には体臭恐怖症ともいうべき病気があって、他人が鼻をクンクン鳴らしているのに敏感に反応し、殴り倒してしまうという癖があった。

私はレジスタンス主導者から、テングの人々を救うために、手術を施し、「ブタ」と呼ばれる一般人に偽装させることを要請されていたが断っていた。
過去、1度だけそれを行ったのはリカに対してだけだったのだ。

「俺」はその捜査手法が批判を浴び、捜査本部を外されたが、そんなことにお構いなく聞き込みを続けていた。そして、「マスク男」が逮捕されたのは、じつの娘を傷つけたからであったことがわかった。そして、「マスク男」自身も、過去通り魔に遭い、その時に負った傷が原因でイジメに遭い、陰にこもる様になりナチス関係の本を読み漁る気味悪い男とレッテルを張られていることもわかったのだった。

「私」と「俺」が交錯する時、驚愕の真相が明らかになるのだった。

そう、「私」＝「マスク男」で、「俺」に過去、鼻を切り落とされたことで差別にさらされ、ヒトラーに傾倒することになったのだった。そして、いつしか鼻のない人間こそが一般人で、鼻を削ぎ落す行為は英雄的な善行であると確信し、それで実の娘の鼻を切り取ることにしたのだ。
そして、ついには近所の女の子を拉致して、新たな善行を施すことにしたのだ。

一見、何の繋がりもない2つの話が並行して進んでいって、それが最終的に一つになるのですが、何とも言えない不気味さが良かったかも。
この作品は日本ホラー小説大賞短編賞受賞作ですが、この翌月に「沈底魚」が第53回江戸川乱歩賞を受賞し、「沈底魚」の方が先に単行本化されたので、デビュー作であって、デビュー作でないような感じです。
この作品の他、短編2編が収録されています。