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インフルエンザ治療薬「タミフル」は、服用した小児患者の8%で、この薬が効かなくなる耐性ウイルスが見つかり、同じインフルエンザ治療薬「リレンザ」よりも耐性があらわれやすいことが、東京大などの研究でわかりました。タミフルの耐性ウイルスは多く見つかっていますが、リレンザでは報告はあまりありません。タミフルの使用量が多い分、耐性が出現しやすいとみられていましたが、薬の性質の違いで、あらわれやすさに差がついている可能性があるようです。東大の研究チームは、2005~2009年、季節性インフルエンザでタミフルの治療を受けた4~15歳の72人と、リレンザの治療を受けた同年代の72人を調べました。タミフルのグループは6人(8.3%)で耐性ウイルスが見つかりましたが、リレンザのグループからは見つかりませんでした。薬剤耐性と新しい薬の開発は、イタチゴッコとなりがちですが、耐性のメカニズムを理解し、使い方を工夫することも重要なことだと思います。
2011.01.31
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世界気象機関(WMO)は、各国に異常気象をもたらしている今季のラニーニャ現象が観測史上で最大規模とみられると発表しました。5月初めまで続く可能性があるそうです。ラニーニャは太平洋赤道域の海水温が下がる現象。温かい海水が太平洋の西側に寄せられ、インドネシア近海で上昇気流の勢いが増します。その影響でオーストラリアや東南アジアが豪雨に見舞われました。日本では昨夏の記録的な猛暑や厳冬の一因となっています。今季は海水温の低い海域が広範囲にわたり、太平洋の東と西で上空の気圧差が例年より大きいことなどから、WMOは「過去100年で最強のラニーニャの一つ」としています。ラニーニャとは女の子、という意味です。ラニーニャになると、熱い夏、寒い冬になります。100年間で、最強の女の子の登場ということになります。
2011.01.30
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国立感染症研究所は、全国約5000医療機関を対象にしたインフルエンザの定点調査で、最新の1週間(1月17~23日)の新規患者数が1機関当たり26.41人となり、3週連続で倍増したと発表しました。全国の推定患者数は、約149万人。過去3週に検出されたウイルスは、新型インフルエンザが約85%を占め、残りは大半がA香港型でした。都道府県別では、宮崎が64.49人で最も多く(ここでも宮崎ですね)、沖縄の63.17人、福岡の48.97人、佐賀の48.44人、長崎の47.29人と続いています。全都道府県で増加し、13県で警報レベルの30人を上回りました。年代別では、5~9歳が18.2%、20歳代15.5%、10~14歳13.5%、30歳代13.5%、0~4歳11.5%で、20~30歳代が患者の約4割を占めた前週に比べ、今回は14歳以下の小児への広がりが目立っています。厚生労働省は、2月上旬ごろまで増加が続くとみて、注意を呼びかけています。新型インフルエンザは、流行の時期や、感染者の年齢など、いろいろな姿をみせています。一人目の感染者であんなに大騒ぎしたのが、嘘のように、当たり前の疾患になりました。
2011.01.29
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ヒトの腸内にすむビフィズス菌は、酢酸を作り出すことで細菌による病気の発症を防いでいることを、理化学研究所などのチームがマウスを使った実験で確かめました。体によいとされるビフィズス菌が腸内で働く仕組みを解明したのは初めてだそうです。研究では、無菌のマウスに特定のビフィズス菌を1週間経口投与し、その後に、下痢などを引き起こす病原性大腸菌O157を感染させて腸内を調べました。その結果、O157による血液中の毒素量が、ビフィズス菌を与えていないマウスに比べて5分の1以下に抑えられていました。与えていないマウスはこの毒素で死亡しました。このほか、大腸の細胞を使った実験から、酢酸が細胞を保護してO157から守っていることがわかったそうです。また、別のビフィズス菌では酢酸を作る量が少なく、血中の毒素量を減らせなかった、としています。腸を守るためには、どんなビフィズス菌をどう接種すればいいのか、さらなる研究が待たれます(お腹弱いので)。
2011.01.28
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鳥取県倉吉市蔵内の地下約250メートルからくみ上げられる天然水(商品名・白山命水)に、マウスの実験で、飲用すると脂肪肝になりにくい効果が確認できたとして、鳥取大学医学部の研究グループがが日本成人病(生活習慣病)学会で発表しました。研究グループは、白山命水を与えるマウスと水道水を与えるマウス7匹ずつに、ココアバターなど脂肪分の多い餌を12週間にわたって食べさせ、それぞれの肝細胞を比較しました。白山命水を飲んでいたマウスの肝細胞は、脂肪肝の指標となる中性脂肪やコレステロール値の上昇が水道水を飲んだマウスの約2分の1に抑えられたそうです。メカニズムは不明ですが、白山命水は抗酸化力が強いといい「脂肪がたまることによる肝機能の低下が、抗酸化力の何らかの作用で抑制された可能性がある。仕組みを解明し、人の肝臓にも効果があるかを確かめたい」とコメントしています。1年ほどまえに、倉吉に行きましたが、水たくさん飲んでおけばよかったかなぁ、なんて考えています。
2011.01.27
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人工衛星を使った太陽光発電の実用化に向け、三菱電機や京大、宇宙航空研究開発機構などが、電力をマイクロ波に変換する技術の実証実験をこの春にも始めるそうです。宇宙を模した空間でマイクロ波を10m伝送するもので、成功すれば、2025年以降の宇宙太陽光発電の実用化に弾みがつきそうです。宇宙太陽光発電は、地上の太陽光発電よりも10倍も高効率とされ、夢の発電システムとして注目されています。宇宙での太陽光の強さは地上の2倍で、日照時間は、雲などで遮られることがある地上の4~5倍になるためです。三菱電機は、長さ約200mの楕円形の発電システムを備えた小型衛星を40基打ち上げ、原子力発電所1基分(約100万kw)の電力をまかなう「ソーラーバード」構想を提唱しています。具体的には、赤道上空3万6000キロの静止軌道にある人工衛星で、光を鏡で集めて発電し、電力をマイクロ波に変換して地上に送る仕組みです。マイクロ波は、人体に影響のない電波に調整し、海上などに設けた数キロ四方の受電設備で受け取り、再び電力に変換する、というものです。自然の力による発電は、いろいろトライされていますが、その中でも、なかなか期待できる技術に思えます。ところで、宇宙から送ってくるマイクロ波の下を通っても大丈夫なんでしょうか。ちょっと、気になります。
2011.01.26
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武田薬品工業が、2013年4月入社の新卒採用から、英語力を測る学力テスト「TOEIC」(990点満点)で730点以上の取得を義務づけると発表しました。通訳業務や海外赴任を前提とする採用を除いて、国内大手企業が新卒採用でTOEICの基準点を設けるのは極めて珍しく、他の大手企業の採用活動にも影響を与えそうです。730点以上は「通常会話は完全に理解できる」水準だそうで、このレベルは、受験者の1割強にとどまっているそうです。武田薬品は、海外事業や研究開発体制の強化のために、外国人研究者の採用や海外の新薬候補品を持っているベンチャー企業のM&Aを積極化させています。採用条件に高い英語力を明示することで、海外事業や研究開発の強化に対応できる人材を獲得する狙いがありそうです。武田薬品は、医薬品の営業、MRの中途採用にも積極的ですが、最近入社された方も、あまり英語が得意にはみえませんでした。能力を見極めて採用する中途入社は、別なのかもしれません。
2011.01.25
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厚生労働省は、多くの抗生物質を分解し無効にしてしまう酵素「NDM1」を持つ新型の多剤耐性肺炎桿菌が昨秋、埼玉県内の病院に入院していた80代女性から検出されたと発表しました。NDM1を持つ細菌はインドや欧米で広がっており、国内での確認は3例目です。そのうち2例は感染経路が不明で、厚労省は「すでに国内に定着している可能性もある」として、特に抵抗力の弱い患者が集まる医療機関に注意を呼びかけています。この症例は、厚労省が昨年9~12月に実施した多剤耐性菌の全国実態調査でわかったものです。女性は昨年10月、消化管出血で入院し、退院後に別の病気で再入院し、12月に亡くなっています。10月の入院時に採取した尿を国立感染症研究所が分析しました。怖がりすぎる必要はありませんが、世界的に、抗生剤の使い方を見直すチャンスととらえるべきでしょう。
2011.01.24
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探査機はやぶさが持ち帰った小惑星イトカワの微粒子の本格的な分析作業が、大型放射光施設「スプリング8」で始まっています。大きさ0.03~0.1mmの微粒子約40個を強力なX線による高性能CT装置にかけます。1個につき約1800枚の輪切り画像を40分かけて撮影し、内部構造まで分かる精密な立体画像を作る予定です。12人、24時間態勢で臨み、5日間ですべての作業を終えます。試料はその後、東京大や京都大などにも順次送られ、組成や生物の原材料になる有機物の有無などが6月末まで調べられます。「はやぶさの冒険」最終章、といったところですね。結果が待たれます。
2011.01.24
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血管を詰まらせる血栓をできにくくして脳卒中を予防する新しい抗凝固薬の製造・販売が承認され、今春にも国内で発売される見通しとなりました。ちなみに、新薬は、開発、動物実験、臨床試験、申請、製造・販売承認、薬価収載、発売、となります。従来、使われてきたのは、「ワルファリン」(商品名のワーファリンの方が有名ですが)です。1950年代から使われているワルファリンは、心房細動後の脳卒中予防のほか、人工関節や人工心臓弁の装着など血栓ができやすい手術の後に欠かせません。ワルファリンは血液中の凝固成分を増やすビタミンKの作用を抑える薬なので、納豆やクロレラなどビタミンKを豊富に含む食品は食べられませんでした。しかし、もっと問題なのは、有効血中濃度の範囲が狭いということです。濃度が低ければ、血栓ができるし、濃度が上がれば、出血の可能性が高まります。同じ投与量でも、様々な要因で変動するので、コントロールが難しいという問題がありました。そのため、頻繁に検査をすることが必要で、病院では処方できても、開業医では難しいという見方もありました。しかし、ワルファリンに変わる薬剤はなく(アスピリンは安全ですが、こうした用途には効果が少ない)、安全に使用できる薬剤が求められていました。べーリンガーインゲルハイムが開発した「プラザキサ」(成分名ダビガトラン・エテキシラート)は、血液を固めるトロンビンという酵素に直接作用するもので、「心房細動」の患者が1日2回服用すると、従来薬よりも35%、脳卒中や全身性塞栓症の発症が減ったという結果が得られているそうです。長嶋前監督の脳梗塞も心房細動が原因といわれています。日本でも急増中の心房細動治療に、大きな意味を持つ薬となりそうです。
2011.01.23
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宇宙航空研究開発機構と情報通信研究機構は、昨年4月に故障した国際宇宙ステーション(ISS)のオゾン層観測装置による観測再開を断念すると、国の宇宙開発委員会に報告しました。装置の開発費は約35億円で、1年間観測する予定でしたが、故障まで半年観測しただけで終わりました。故障したのは装置内の米国製半導体だそうですが、宇宙飛行士による部品交換も検討したものの、代替品の準備などに今後1年以上かかり、別の関連機器にも不調があるため断念したそうです。同じ半導体を使った海外の衛星でもトラブルはなく、故障原因は特定できていません。故障しても、その原因が分かれば、次に生かせるわけですが、観測もできず(半分はできましたが)、原因も分からず、と残念な結果になってしまいました。
2011.01.22
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気管支ぜんそくなどのたんを切る武田薬品の消炎剤「ダーゼン」の効果を再確認する試験で、期待される効果が認められなかったことが、厚生労働省の医薬品再評価部会で報告されました。効かないことが確定すれば、承認取り消しの可能性もありますが、さらに検証の必要があるとして、継続審議を決めました。ダーゼン(一般名セラペプターゼ)は1968年に承認された、医師の処方が必要な飲み薬です。慢性副鼻腔炎などの炎症抑制にも使われ、年間約67億円(2009年度)を売り上げています。同社が2000~2009年、慢性気管支炎の患者311人のうち156人にダーゼン、155人に偽薬を投与して比較したところ、いずれも6割以上の患者で症状が改善し、差がありませんでした。部会では、ダーゼンに似た薬も検討すべきだとの意見も出ているようです。武田薬品は「コメントは控えたい」としています。この内容は、業界では、かなり早くから話題になっていました。10年以上前にも、脳代謝賦活薬などが承認取り消しとなっています。効果がない薬に医療費を使うのは無駄、というのは正論ですが、なかなか難しい問題もあります。科学的(統計学的に)に効果が認められるというのと、臨床錠有用である、ということの間にも大きな違いがあります。今回の報道からも、「いままで効かない薬をのまされていた」と感情的に捉えるのでなく、医薬品とはなにか、ということについて、オープンに議論していく必要がありそうです。効果と副作用という面の薬のメリット、デメリットだけでなく、医療経済から見た医薬品という観点でも、考えるべきことはたくさんあります。専門家が出した結論に従うだけでなく、何を、どんな観点で議論しているのか、関心を持つ必要がありそうです。
2011.01.21
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先日、3時間ほど飛行機に乗ることになり、ジャンボジェット(もうすぐ引退?)の2階の窓側の座席を指定していました。満席の機内の2階席にいってみると、窓側の私の席から3席に、2歳と4歳ぐらいの子供とその両親と思われる家族連れが座っていました(小さい子はお母さんの膝の上)。おそらく事前改札で登場し、3席をキープしていたようです。CAの方が気づいて、家族連れの方にシートの確認をお願いしたたところ、ポケットやら、座席上の収納庫のカバンやらを探しまくったあげく、座席は真ん中と通路側の2座席で(当然ですが)、もうひとつは1列前だったようです。家族連れの「困ったなー」という独り言(?)も、わざとらしくは感じましたが、子供も小さいようなので、座席をかわることにし、CAから1列前の通路側を指示され、座りました。ところが、座席を間違えたといって、前の方から女性が座席を探しながらやってきました。手にした搭乗券のシートNoは、私の座っている通路側の席!!。私が座るのは、真ん中の席でした。思わず、席を譲った後ろの席の人に「通路側じゃなかったんですか」と聞いたら平然と「はい」との返事。最初からわかっていたのに、自分たちが都合良く座れれば、換わってくれた人間がどうなってもいい、という感じでした。あるいは、真ん中の席などといったらかわってくれないかも、と考えたのかもしれません。おかげで窮屈な状態で3時間を過ごすことになりました。降りるときに、改めてお礼などいわれたら気恥ずかしい(というか言われたくない気分)ので、後ろの家族連れとなるべく顔を合わせないように先に降りようとしましたが、余計な心配だったようです。結果的に隣に立つことになりましたが、無視されました。おそらく、子供と座っていればどけろとは言われないだろうという、確信犯(使い方違いますか?)だったのでしょう。まあ、追い出して窓側に座っても、楽しいフライトとはならなかったでしょうから、災難と思うしかありませんが・・。今どきの日本人ってこんなもん・・なのでしょうか。
2011.01.20
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朝から脳を活発に働かせるには糖分だけでなく、バランス良く栄養をとる必要があると、(脳を鍛えるで有名な)東北大の川島隆太教授が呼びかけています。脳のエネルギーは糖分、といわれてきましたが、糖分に偏った食事だと脳は効率よく働かないという調査結果もある、とコメントしています。科学技術振興機構(JST)が2004~2009年に全国の小学生951人に実施した研究で、朝ごはんのおかずが「ない」または「少ない」と答えた子ほど、記憶力や図形認識などのテストの成績が低い傾向がみられたそうです。そこで2009年、朝ごはんを食べる習慣のある大学生6人(少ない!!)を対象に、朝食として(1)水だけ(2)糖分だけ(3)たんぱく質や脂肪、ビタミン、ミネラルも含む流動食、を食べてもらったそうです。その後、単純計算や機能的磁気共鳴断層撮影(fMRI)で撮影しながら記憶テストを3回実施したところ、(1)や(2)に比べ、(3)は脳の働きが活発だった、としています。疲労感や集中力も、(3)の食事の方が改善されたそうです。朝ごはんをただ食べるだけでなく、その質も大事だと結論づけています。川島教授は「朝ごはんに菓子パンやジュースだけでは頭が十分働かない可能性がある」と指摘しているそうです。報道では実験手法が明記されていませんが、6名なので、3つの食事パターンを、1、2、3、 1、3、2、 2、1、3、 2、3、1、・・・・と違う順番になるように並べ替えて、各自が3回ずつテストを受けたのでしょう。比較的少ない人数でできるがクロスオーバーと呼ばれる手法ですが、6名はあまりにも少なくないでしょうか。また、結論も、「脳には糖分だけでは不十分」となっていますが、脳が糖以外の栄養素を利用していることを検討したわけではなく、バランスのいい食事が大事という当たり前のことを(わずか)6名で検証しただけに思えます。有名教授の試験なら、こんな内容でも大きく報道されるというのも、どうなんでしょうか。
2011.01.20
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●昨年、ノーベル化学賞を受賞した根岸英一・米パデュー大特別教授らが、文部科学省を訪れ、二酸化炭素から様々な有機化合物を作り出す「人工光合成」の研究プロジェクトの推進を提案しました。植物が行っている光合成を人工的に実現することで、石油資源の枯渇や地球温暖化など人類が抱える問題の解決を狙う、というものです。根岸さんらが開発した「クロスカップリング」をはじめ、現在は多くの有機合成技術があるが、光をエネルギー源に、二酸化炭素を有用な物質に変換する人工光合成は実現していません(少なくとも実用化は)。根岸さんらの研究プロジェクト創設の呼びかけには、全国の120人以上の研究者が賛同しました。●金属の触媒を使って、二酸化炭素から医薬品やプラスチックの合成に利用可能な炭素資源に変換する手法を、東京工業大学の研究グループが開発しました。「厄介者」の二酸化炭素を資源として有効活用できれば、化石燃料の枯渇や環境問題などの解決にもつながると期待されています。二酸化炭素は非常に安定しており、反応しにくいため、工業的な利用は、尿素やポリカーボネートの生産など一部に限られていました。研究グループは、炭素化合物の反応性を高める金属触媒のロジウムに着目。ロジウムが結合しやすいように工夫した炭素化合物を使うと、ロジウムの働きで、炭素―水素の化学結合が切れやすくなり、二酸化炭素と結びつくことを発見しました。●人工光合成は、確かに期待される技術ではありますが、人工光合成で二酸化炭素を減らせるかというと、なかなか難しい問題があります。面積あたりでみると光合成の効率は決して高くありません。これは、変換効率ではなく、太陽のの光自体が、薄く広く降り注いでいるからですが。これを克服するためには、効率を飛躍的に上げるか(難しそうですが)、低コストで広い面積の光を集められるようにする技術が必要になりそうです。東工大の手法は、クロスカップリングにもつかわれる金属のロジウムを触媒とした技術で、直接人工光合成の実用化には結び付かなくとも、二酸化炭素の利用技術として注目できるものだと思います。温暖化対策も、少し、違う方向が見えてきたようです。
2011.01.19
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院内感染の原因になり、抗生物質が効かないメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)には、自分の毒素や動きを抑える遺伝子があることを、東京大の研究グループが見つけました。研究グループは「自分の病原性を抑えて、宿主の人間と共存する戦略だろう」とコメントしています。この遺伝子があると、菌が出す毒素の量は半分以下になり、菌の動きが鈍りました。その結果、マウスが生き残る時間が10倍近くに延びたそうです。もともとMRSAは、抵抗力が弱った人が感染すると病気を起こしやすいとされてきましたが、海外では、プールや温泉などで健康な人にも集団感染を起こしていることが報告されています。健康な人たちの集団感染の原因として、今回見つけた遺伝子がないタイプの菌が考えられるそうです。ちなみに、研究グループは大学発ベンチャー「ゲノム創薬研究所」を立ち上げ、カイコを使って見つけたMRSAに効く抗生物質「カイコシン」を開発中だそうです。少し前に、多剤耐性の細菌アシネトバクターが問題になりました。アシネトバクターは感染力も、毒性も弱い最近です。アシネトバクターの院内感染による死亡例について報じられていましたが、この菌で死亡したというよりは、死が近いぐらい体力が落ちているとこの菌に感染する、といった方がいいぐらいです。こうした菌にくらべ、MRSAの危険度は非常に高いものがあります。怖がりすぎる必要はありませんが、きちんとした対応が必要な耐性菌なのは間違いないと思います。
2011.01.18
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試験の直前、不安な気持ちを書き留めるだけで、重圧に負けず本来の実力が発揮できる、という研究成果を米シカゴ大学の研究チームが発表しました。研究チームは大学生87人を2グループに分け、2回にわたり数学テストを実施しました。2回目は好成績の場合に報酬を約束するなど、できるだけ緊張感を高めました。2回目のテストの直前10分間、テストへの気持ちを作文に書くよう指示されたグループは、1回目より成績が向上し、中でも「怖い」「間違えそうだ」など、不安な気持ちを書いた人の向上が目立ったそうです。一方、静かに着席してテストを待ったり、試験と無関係な日常の出来事を書いたりするように指示されたグループは、1回目より成績が下がりました。高校の最上級生106人を対象に、期末テストで同様の実験を行ったところ、ほぼ同じ結果だったそうです。研究チームは「試験前の作文には、過去のつらい体験を文章にして心の傷をいやす心理療法と似た効果があるのでは」と推測しています。センター試験は終わりましたが、まだまだ受験シーズンは続きます。受験生はちょっと試してみてもいいかもしれません(そういえば我が家にもいたような・・)。
2011.01.17
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米IBMが4年がかりで開発したスーパーコンピューター「ワトソン」(ちなみにシャーロックホームズの相棒ではなく、IBMの創業者の名前のようです)が来月、米CBSテレビの人気クイズ番組で、この番組のクイズ王と対戦することになりました。IBMは1997年に「ディープブルー」でチェスの世界チャンピオンを負かし、人工知能の能力を見せつけました。早押しクイズでも、コンピューターが人間をしのぐことができるかどうか、注目されています。ワトソンは90台の大型コンピュータ(別の報道では750台のサーバでしたが・・)で構成され、毎秒80兆回の計算をこなすそうです。インターネットには接続しませんいが、辞書や百科事典など100万冊分の情報を持つデータベースを備えており、クイズの答えを短時間で探索できるそうです。ちなみに、13日にニューヨークで行われた「練習試合」では、対戦が予定されている賞金王と連勝記録保持者の2人の男性と登場し、「考古学者の夫とともに、シリアの失われた都市を発掘しようとしたミステリー作家は?(正解はアガサ・クリスティ)」といった問題を音声認識機能で理解し、次々と正解を人工音声で述べて勝利したそうです。人工知能の分野は以前から注目されていた分野です。早押しクイズでクイズ王に勝てるというのは、かなり高い目標といえそうです。さらに、上の目標として、「なぞなぞ」で人間に勝てる時、というのはどうでしょうか。
2011.01.16
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国立感染症研究所は14日、全国約5000医療機関を対象にしたインフルエンザの定点調査で、最新の1週間(1月3~9日)の新規患者数が1医療機関当たり5.06人となり、前週(2.3人)から倍増したと発表しました。12週連続の増加で、新型インフルエンザが約6割を占めています。都道府県別では、沖縄が25.9人で最も多く、福岡(11.53人)と佐賀(11.41人)も、注意報レベルの10人を超えました。感染研は、流行のピークは1月末~2月になると予想しています。今日から、センター試験ですね。インフルエンザも受験生だけは避けてあげてほしいと思います。
2011.01.15
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米国のシカゴ大とエモリー大などの研究チームが、2009年に流行した新型の豚インフルエンザにかかったが回復した患者が広い範囲のインフルエンザを予防できる抗体を持っていることを突き止めました。ウイルスの変異によらず効く「万能ワクチン」の開発につながる可能性がある発見と見られています。研究チームは、新型インフルエンザのワクチンを開発するため、21~45歳の患者9人の血液から抗体の遺伝子を特定しました。その遺伝子から86種類の抗体を作り、ハツカネズミに各種のインフルエンザのウイルスを与えて反応を確かめました。その結果、5種類の抗体では、過去10年ほどの間に流行したすべてのH1N1型ウイルスに対して予防効果があったそうです。また、「スペイン風邪」を起こした型や、毒性が強いH5N1型(鳥インフルエンザ)にも効果がありました。インフルエンザのウイルスの型は、表面に突き出る棒のようなたんぱく質の形状で決まりますが、今回見つかった抗体は、変異しやすい先端部ではなく、あまり変化しない「軸」の部分に反応しやすく、広範囲のウイルスに効くようです。季節性インフルエンザに感染すると、体内に抗体ができますが、別の型が流行すると予防効果は期待できず、次の流行期に広がる型を予想して製造されるワクチンを接種する必要があります。「万能ワクチン」ができれば、抗体の効き目が残っている間は新たな接種の必要がなくなって副反応のリスクが減るほか、製造コストの低減などが期待されます。実際の臨床に応用されるためには、有効性と安全性、特にアレルギー反応の有無など、慎重に評価していく必要はありますが、強毒性の新型インフルエンザの対策にも期待できる成果といえます。
2011.01.14
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なかなか来ないバスを待ち続けるか、あきらめて歩くか、といった辛抱強く待つかどうかの意思決定にかかわるとみられる神経伝達物質を、独立行政法人の沖縄科学技術研究基盤整備機構神経計算ユニットの研究チームがラット実験で突きとめました。うつ病などの原因解明につながる成果とと期待されています。研究チームはうつ病や睡眠にかかわる神経伝達物質セロトニンに着目し、報酬のために待つかどうかの判断にかかわっているとの仮説を立てました。ラットがエサ場や水場に着くとすぐエサや水が得られる場合と、4秒待たないと得られない場合とで、脳内のセロトニンの働きを調べました。すると、4秒待つときの方がセロトニンの放出が高まり、濃度が上昇しました。さらに、大脳にセロトニンを送る神経細胞の活動を電極で測ると、待っている間に活動が高まり、あきらめてしまう場合に弱まることがわかったそうです。これまで、セロトニンの働きを抑えると衝動的に目先の利益を選びがちなことは実験で示されていましたが、辛抱強さとのかかわりまでは、未解明でした。人間が頭の中で度どのように判断しているのかは、ブラックボックスですが、その一端が少し見える成果かもしれません。
2011.01.13
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様々な細胞に変化できる胚性幹細胞(ES細胞)を使って、心臓の拍動のリズムを刻むペースメーカー細胞を作ることに、鳥取大の久留一郎教授(再生医療)らがマウスで成功しました。細胞をマウスより大きいラットの弱った心臓に移植すると、心臓の拍動が活発になることも確認し、人でも実現すれば、不整脈などの根本治療になると期待されています。心臓の拍動は、司令塔であるペースメーカー細胞(洞結節細胞)の電気信号が制御しています。この電気信号に異常が発生すると徐脈性(脈の遅い)不整脈となります。徐脈性不整脈の治療法としては、電気刺激を与える心臓ペースメーカーの埋め込み手術が中心です。国内では年間約6万人がこの手術を受けていますが、電磁波の影響を受けやすいほか自律神経の活動に合わせてリズムを変えられないなどの欠点がありました。正確には、心房がちゃんと動いているようなタイプの不整脈では(完全房室ブロックなど)、心房にあわせて心室をコントロールするペースメーカーもありますが、心拍数をコントロールする洞結節自体に異常がある場合は、日常生活にも不自由がありました。有望な再生治療のひとつになりそうです。
2011.01.13
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体質的な薄毛は、毛髪の元になる細胞が足りないのではなく、その細胞が次の段階に変化できないことが原因であることを、米ペンシルベニア大学などの研究チームが突きとめたそうです。この細胞変化を促す薬が開発できれば、薄毛の新たな治療法になる可能性がありそうです。毛が生える際には、頭皮にある「幹細胞」が別の「前駆細胞」に変わり、それが「毛母細胞」「角化細胞」などに変化して毛髪になるそうです。研究チームは、体質的に薄毛の男性型脱毛症患者54人(40~65歳)の頭皮を採取し、細胞の種類と数を調べました。薄毛部分と毛が生えた部分を比べたところ、幹細胞の数はほとんど同じでした。ところが、前駆細胞の数は、薄毛部分で10分の1に減っていました。薄毛の治療薬も多くなってきましたが、まだまだ新しい治療法が生まれそうです。それにしても複雑なメカニズムで毛髪ができているのですね。生えてるだけで(多少白くとも)感謝しないといけないと感じたニュースです。
2011.01.12
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寒冷地の大気や地下水を活用した節電スーパーコンピュータを、東京工業大学が新年度から5年計画で研究開発するそうです。国際的に激化しているスパコンの開発競争では、大型化に伴う消費電力の増大が大きな技術課題で、その3~5割が冷却用に消費されています。自然冷却の導入により、総消費電力を現在より約4割削減する計画です。自然の力を利用する際、安定性が課題になります。計画では、北海道大学に小型コンピュータを入れたコンテナを置き、東京より年平均で7度低い大気のほか、地下水や雪氷などで排熱を処理し、コンピューターの安定した稼働を試すそうです。また、全国の大学、研究機関を結ぶ国立情報学研究所の超高速通信回線を使って、北大に置いたコンピュータを東京から遠隔操作し、大量のデータを送受信したり、回路をつなぎ替えたりする実験も行う、としています。コンピュータを寒冷地に置くというのも、通信スピードが飛躍的に高まったから可能になったことではありますが、これからいろいろな意味で応用が期待される分野ではあります。
2011.01.12
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火星探査車のオポチュニティーが撮影した火星から見える日暮れの映像です(リンクにはしていません)。http://www.youtube.com/watch?v=VIksHVxEH2c空気が薄く、レイリー散乱しやすい青い光の方が見えるということでしょうか。地球と異なり、大気の中長い距離通る夕暮れでも、赤い光は突き抜けてしまっているようです。
2011.01.12
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月の岩石には、月の誕生時に月表面に落下した多数の彗星由来の水が含まれていることを、北海道大学と米国の国際研究チームが突き止めました。地球の海水の1割もの、彗星の水の可能性があるそうです。月の起源は45億年前、地球に火星サイズの天体が衝突し、宇宙空間に飛び散ったマグマが固まり冷えた「巨大衝突説」が有力と考えられています。研究チームは、月の岩石の起源を調べるため、有人月着陸船アポロが1969~72年に持ち帰った43億~32億年前の岩石を使い、同じ原子でも質量が違う「同位体」を区別できる、北大の特殊な顕微鏡で分析しました。その結果、月の岩石の結晶中に微量の水を発見し、さらにこの水は重い水素原子(重水素)の比率が高く、地球の水より彗星の水に近いことがわかったそうです。月に豊富な水があるというのは、正直イメージしにくいものがありますが、月の成分が地球のマグマよりも彗星の成分に近いとしたら、今まで考えられていた月の起源も、見直しされる可能性もありそうです。
2011.01.11
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昨日の報道です。●歩くのが速い高齢者ほど長生きする傾向があるという研究結果を、米ピッツバーグ大学の医師らがまとめた。研究チームは、65歳以上の男女計3万4485人の歩行速度を記録した過去のデータを解析。普通に歩いた時の速さは、平均で秒速0.92m(時速約3.3km)だったが、どの年齢でも秒速1m以上で歩く人は比較的長く生き、歩くのが速い人ほど余命が長かった。一方、同0.6m以下の人は早く亡くなることが多かった。●この内容から、何がいえるでしょうか。1.歩くのが速く人は長生きなので、長生きしたければ速く歩いた方がよい2.高齢者の歩く速さを測れば、どのくらい長生きできるかわかるこの2つ、同じことをいっているようですが、大きな違いがあります。1 は、歩くのが早いと長生き、つまり、「速く歩く」という原因によって「長生き」という結果になるという因果関係を想定しています。これに対し、2は因果関係の有無に影響されません。「因果関係がない」とは、どんな場合でしょうか。この例でいえば、「心肺機能が良く筋力が強ければ、歩くのも速く、長生きする」が考えられます。つまり、歩く速さと余命は、いずれも心肺機能や筋力の影響を受けているわけで、歩く速さと長生きに因果関係はない、ということになります。因果関係がない場合、筋力のないひとが長生きのために早歩きしても、転んで骨折、寝たきりになる可能性すらあります。よくいわれる例が、「血圧が高いと年収が多い」です。これは、年齢が上がることで、血圧が上昇し、(年功序列で)収入が増えます。血圧と収入に相関関係はあっても、因果関係はありません(だから血圧を上げても収入は増えません)。血圧と収入といったわかりやすい例なら、間違う人はいないと思いますが、相関関係と因果関係の取り違えはいたるところにあります。勘違いなら仕方ありませんが、マスコミでも区別せずにつかっていることがよくあります。もっとひどいのは単なる相関を意図的に因果関係とすりかえて宣伝している例もあります。ちなみに、上記報道では、以下のように続いていました。●速く歩くには強い心肺機能や筋力が必要で、歩行速度が健康度の目安になったと考えられる。現在、高齢者の余命を予測する良い指標はないため、研究チームは「歩行速度に注目すれば、高齢者の健康管理などに役立つ」と話している。●これは、上で挙げた2の考え方で、因果関係を想定せず、相関関係として評価しているコメントだといえます。
2011.01.10
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わずかな光で色が変わる「光センサー分子」を奈良先端科学技術大学院大の研究チームが開発しました。この分子で録画用ディスクを作ると、地上デジタル放送が6時間録画できる現在のブルーレイの100倍以上の記録が可能で、書き込みに必要な電力も100分の1以下に抑えられるそうです。光センサー分子は、光が当たると色や形が変わります。研究チームは人間の目の中にあるセンサー分子に注目し、どんな形が、光と反応しやすいか探りました。その成果を生かし、ほぼ100%光と反応する分子を作ることができたそうです。これまでのブルーレイなどはレーザーの熱で分子を変化させて記録します。そのため、大きな電力が必要で、記録に時間もかかります。今回の分子は、熱でなく光に反応するので、ほとんど無駄がなく、電力は100分の1以下、読み書きの速さも10倍以上になるそうです。また、この光センサー分子は理論的には100層にも重ねて使うことができます。光でくっつく接着剤や高密度な半導体の製造などにも応用できるそうです。これ以外にも、昨年東大から、熱ではなく、光で相転移する物質も発表されていました。開発競争が激しくなりそうです。昔はPCでCDに書き込みができるようになっただけで、感激していましたが、技術の進歩のスピードは素晴らしいですね。ブルーレイの容量拡大や、次のディスクの開発も進んでいるようですが、「光センサーディスク」も、次世代ディスクの開発にも影響する技術となりそうです。
2011.01.09
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光と熱(温度差)のどちらからでも電気を作り出せる発電素子を、富士通研究所が開発しました。1種類の素材だけで光と熱の両方から発電できる装置は世界初だそうです。体の状態をチェックする健康モニターなど、24時間動く必要のある小型機器の電源として、数年後の実用を目指しています。素子の材料は、ポリ3ヘキシルチオフェンという有機化合物。光を受けたり、温度差が生じたりすると、電気を出す性質があります。プラスチックフィルム(縦4センチ、横5センチ)の上にこの化合物の膜を作り、フィルムを4枚つなげたところ、室内の光で1000分の1ワット発電したそうです。ただし、熱の方は、20~50度の温度差で1億分の1ワット程度の電力とのことですので、実用化までの道のりはまだ遠そうです。
2011.01.08
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人体が医薬品を異物として解毒したり、がん細胞が抗がん剤を排出したりする防御網をかいくぐり、抗がん剤をがん細胞の奥まで運べる微細カプセルの開発に、東京大などが成功しました。効率的ながん治療を可能にする成果と見られています。カプセルの大きさは、ウイルスとほぼ同じ直径10万分の4mm。表面が水になじむよう素材を工夫し、血液中にまぎれさせて人体の免疫機能に捕捉されないようにしました。また、薬剤耐性を獲得したがん細胞は少ない分子からなる抗がん剤を外へ排出するポンプのような構造を持つため、細胞が取り込む栄養分に見せかけるよう、分子の数が多いカプセルを設計したそうです。その結果、カプセルはがん細胞の遺伝子が収納された核の近くまで届いて初めて破壊されるようになり、抗がん剤が遺伝子の働きを邪魔してがん細胞の増殖を抑制できるようになりました。こうした技術はDDS(ドラッグデリバリーシステム)と呼ばれています。ちょうど薬を配達するイメージです。この技術は、応用範囲も広く、様々な抗がん剤に応用できるメリットがあります。患者のQOLの面から、在宅での抗がん剤治療が注目されている中、大きな期待が持てる技術といえそうです。
2011.01.07
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国産のエイズ予防ワクチンとしては初めてとなる臨床試験を、国立感染症研究所などが2012年から米国で始めるそうです。エイズワクチンは世界で開発が進められていますが、実用化した製品はまだありません。研究チームは動物実験でワクチンの感染予防効果を確認しており、世界初の実用化をめざしています。臨床試験には、東京大医科学研究所とベンチャー企業「ディナベック」が参加し、非営利組織の国際エイズワクチン推進構想(IAVI)が資金提供します。開発したのは、「センダイウイルス」という人間に病気を起こさないレトロウイルスを使ったワクチンです。このウイルスに、エイズウイルスのたんぱく質を作る遺伝子を組み込んで、未感染者に注射します。体内でこの遺伝子からエイズウイルスのたんぱく質が作られると、エイズウイルスが感染した細胞を狙い撃ちする免疫細胞ができ、発症を予防するという仕組みです。有効性・安全性が確認できれば、エイズ克服への大きな一歩になるかもしれません。
2011.01.06
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政府は、日本版GPS(全地球測位システム)を構築するため、準天頂衛星「みちびき」の同型機と静止衛星を、2014年から2年程度の間に集中的に6~7機打ち上げる方針を固めました。アジア太平洋全域を対象に、現在のGPSより10倍高い精度で測位できる体制を整えます。打ち上げなどにかかる計2000億円規模の費用には民間資金を活用する方針です。背景として、米国のGPSの本来の目的は軍事利用のため、有事などの際に民間向けの電波の発信までも妨害される可能性が挙げられます。なお、カーナビゲーションなどの精度は現在の10倍高まり、誤差は1メートルまで小さくなる点については、受信するGPSも、高精度のものにする必要があり、今使っているGPSの精度が上がる、ということではないそうです。それでも、日本独自でGPSが運用できる体制ができることは、歓迎すべきことだと思います。
2011.01.06
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英国の小学生グループが書いた論文が、英王立協会の発行する科学誌「バイオロジー・レターズ」に12月末、掲載されました。子供の論文が権威ある学術誌に載るのは極めて珍しいことです。執筆者は、英デボン州にあるブラックオートン小学校の8~10歳の児童25人。科学の授業の一環でマルハナバチを飼育し、ハチがどうやって蜜のある花を見つけるのか調べようと、様々な色のライトを表示できる箱を使い、ハチを観察しました。黄色いライトの真ん中にある青いライトや、逆に青いライトに囲まれた黄色いライトに、砂糖水を仕込んでハチの行動を調べたところ、ハチは砂糖水がなくても真ん中のライトに飛んでいくようになったそうです。学術誌に掲載されるためには、内容の素晴らしさの他に、いくつかのハードルがあります。まだ、発表されていないことであること、研究方法が理にかなっていること、論文としてで完成度が一定レベルに達していること、です。論文の執筆者に名前が載った25人には、論文は一生の宝物になるでしょう。おそらく、指導者の力が大きいのだとは思いますが、小さい時から、正統な科学に触れることは重要なことだと思います。科学離れを防ぐために、面白おかしい実験ばかり注目されていますが、ちょっと考えさせられるニュースでした。
2011.01.05
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金星を回る軌道に入れなかった探査機「あかつき」について、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が、現在の軌道を微修正して金星周辺の小惑星も観測させる方向で検討しているそうです。金星の周回軌道投入に再挑戦するのは6年後で、技術的にも燃料の残存量からみてもギリギリです。その間を有効に活用する道を探ることにしたようです。地球の軌道より太陽に近い軌道の小惑星は、主な探査機による観測記録がなく、観測できれば貴重なデータになります。JAXAの関係者によると、すでに見つかっている金星周辺にある複数の小惑星のうち、二つを観測できる可能性があるそうです。あかつきの軌道をどう変えればその小惑星にうまく近づくことができ、その後さらに金星に向かえるか、など詳しい軌道計算を進めています。金星近くの小惑星は太陽の光や熱を多く受けています。このため、表面の成分にどんな影響が出ているか注目されており、小惑星の近くを通り過ぎながら撮影することで成分分析に役立てたいとしています。小惑星の多くは火星から木星の間にあります。NASA(米航空宇宙局)の探査機「ガリレオ」や欧州宇宙機関の「ロゼッタ」、日本の「はやぶさ」などで観測例がありますが、いずれも地球より外側の小惑星です。。ただし、あかつきは、燃料が減っていることや燃料系の部品の故障で推進力が7割程度に落ちています。6年後には観測機器も設計寿命を超えており、再投入できても金星を予定通り観測するのは厳しいと見られています。金星の軌道に入れなかった「あかつき」ですが、どうすれば、どれだけのことができるのか、冷静に判断し、実行していくという姿勢が、6年後に実を結ぶよう、期待したいと思います。
2011.01.04
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乳がんで乳房を切除した患者のために、九州大や大阪大などは今春に複数の国立大や医療機関などによる研究組織を設立し、本人の幹細胞を使って乳房を再生させる治験に乗り出すそうです。乳房修復は現在、シリコーンや本人の脂肪移植が主流です。しかしシリコーンには感染症の危険性があり、脂肪は体内に吸収され効果が持続しないなどの欠点が指摘されています。また健康保険も適用されません(美容整形の範疇)。一方、幹細胞は体を作る大もとの細胞で特定の細胞に変化したり自分をコピーしたりできます。九州大などの再建法は、本人の腹部から200~400mL前後の脂肪を採取し、専用の分離器で幹細胞を多く含む細胞群を取り出し、乳房を失った部分の筋肉と皮膚の間に2~3mLずつ30~40回注入し、生着すると修復されます。拒絶反応が起きにくく、より自然な形になるそうです。確かに、乳房再建は、直接命にかかわるわけではありませんが、QOLの面からは非常に重要な治療だと思います。
2011.01.03
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政府は、地球温暖化問題に関する閣僚委員会を開き、2020年までに温室効果ガスを1990年比で25%削減するという政府目標達成に向けた主要3施策の基本方針を確認しました。焦点だった温室効果ガスの国内排出量取引制度の取り扱いについては「慎重に検討を行う」との表現にとどめ、事実上、導入を先送りすることになりました。温室効果ガスの国内排出量取引制度は、原則として企業にガスの排出上限を設け、排出量の過不足分を企業間で取引するものです。市場原理を通じて、ガス削減を進めるという狙いがあります。環境省などでは2013年度の導入を目指しており、今年度内にも具体的な制度設計に着手する必要がありました。基本方針では、この制度について「地球温暖化対策の柱」と評価する一方、「企業経営への行き過ぎた介入、マネーゲームの助長といった懸念がある」と指摘し、国内の産業への負担や雇用への影響などを見極めながら、「(導入は)慎重に検討を行う」としました。重要であると評価しながらも、導入した場合の政府への批判が怖い、ということのようです。「口は出すけど、腰が引けてる」という最近の政府の姿勢が見えるようです(いいすぎ?)。
2011.01.02
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人の妊娠高血圧症候群に近いモデルのマウスづくりに、大阪大の医学部と微生物病研究所の研究チームが世界で初めて成功しました。このマウスで、高脂血症の治療薬のスタチンが母マウスの血圧を下げることも確認しています。妊娠高血圧症候群は妊婦の約1割が罹患するといわれています。妊娠に伴って血圧が異常に高くなり、足がむくんだり血管が破れやすくなったりして、重症だと母子の命にかかわります。胎盤の血管がうまく育たないことが原因の一つとされます。研究チームは胎盤の血管を育ちにくくする遺伝子を着床前のマウスの胚に入れ、人の妊娠高血圧症と同じ症状を起こすマウスをまず作りました。このマウスを妊娠させ、高血圧の発症前にスタチンを与えたところ、血圧は妊娠中も正常の範囲にとどまりました。胎盤の成長も2割ほどよくなったそうです。赤ちゃんの体重も、スタチンを与えなかった母マウスの赤ちゃんと比べて15%重くなりました。スタチンは血液中のコレステロール値を下げる働きのほか、心筋梗塞や脳血管障害を起こしにくくすることが知られています。ただ、いまの市販薬は赤ちゃんに奇形が生じる可能性があるとして、妊婦には原則として使えません。まだまだ、研究は始まったばかりですが、成果によっては、日本だけでなく、途上国の周産期死亡を減らせる可能性があるのではないかと期待されています。
2011.01.01
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皆様 あけましておめでとうございます。昨年はどんな年だったでしょうか。今年はどんな年になるでしょうか。昨年もいろいろなことがあった年でしたが、今年はいろいろな意味でそれ以上の年になりそうです。資本である体を大事に1年を乗り切りたいと思います。今年もよろしくお願いします。
2011.01.01
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