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人の肝臓の細胞(肝細胞)を体外で培養し、その主要な機能を維持することに、名古屋大学の研究グループが世界で初めて成功しました。肝細胞を体外で培養し、機能を維持することは困難でしたが、研究グループは肝細胞の一つ「FLC―4細胞」に着目し、生体内部の環境により近づけるため、シャーレ上で立体的に培養できるよう工夫しました。その結果、血液の主成分のアルブミンを始め、分解作用のあるたんぱく質を作り出すなど、肝細胞の主要な機能維持が確認できたそうです。肝臓での薬の分解機能は人種によって差が大きいことが知られています。この方法で日本人由来の肝細胞を培養することによって、日本人に合った安全な新薬開発に役立てられるほか、臓器提供者が足りない肝移植に代わる人工肝臓に道を開く成果として注目されています。
2011.09.30
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政府は、災害観測用の小型衛星1基を2012年末にも打ち上げる方針を固めました。経済産業省が12年度予算の概算要求に37億円を要求します。東日本大震災の被災地の画像を撮影していた地球観測衛星「だいち」が4月に故障したため、政府は当初、12年度中の完成を目指していた小型衛星の開発と打ち上げを前倒しし、災害監視に投入することにしました。打ち上げ予定の小型衛星の重量は500kgで「だいち」の約8分の1と軽いものです。経産省は総額90億円をかけて10年度から3か年計画で開発を進めていました。小型衛星は90分で地球を1周し、晴天の昼間には地上を約50センチ単位の高精度で撮影できる光学衛星で、画像の解像度も「だいち」に比べて大幅に高まるそうです。日本の衛星で、東日本大震災の復興を見守ることはできませんでしたが、新たな活躍を期待したいと思います。
2011.09.30
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NASAは、制御不能なまま大気圏に再突入した大気観測衛星(UARS)の落下場所は、南太平洋と発表しました。NASAが観測データを詳しく分析し、衛星の再突入は24日午前0時(日本時間午後1時)、南緯14.1度、東経189.8度と特定しました。米領サモアの上空にあたります。破片はこの地点から北東方向へ数百kmにわたり、キリバス共和国の周辺海域に散らばったとみられています。NASAは「目撃した人はいなかっただろう」としています。人にあたる確率で、脅かしてくれましたが、とりあえず、事故などはなかったようです。
2011.09.29
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脳出血を引き起こす危険性が高い特殊な虫歯菌を、大阪大の研究チームが見つけました。この菌に感染した人が高血圧になったり喫煙したりすると、発症率が高まるそうです。この虫歯菌は、皮膚や骨などになるコラーゲンと結合するたんぱく質を作る特殊な種類で、脳出血患者74人を調べると27%が感染していたそうです。健康な35人でも9%が感染していましたが、この菌に感染することで脳出血の危険性は4倍高まるそうです。研究チームは、人から採取したこの菌をマウスに感染させて実験したところ、脳の血管内皮に傷をつけると、この菌が下層のコラーゲン繊維にどんどん集まり、血小板による傷の修復が間に合わず出血を起こしたそうです。この菌があってもすぐに脳出血を起こすわけではありませんが、高血圧や加齢、喫煙で血管内皮が弱ったり、傷ついたりすると、発症率が上がるとみられています。歯をちゃんとみがけば、脳出血も防げるということになるのでしょうか。
2011.09.29
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WHOは、世界91か国の約1100都市の大気汚染度を比べた一覧表を初めて公表しました。途上国や新興国の汚染が深刻なほか、日本など先進国でも、WHOが環境保全の目安として推奨する指針値を超える都市が多かったそうです。WHOは1立方mの大気中にある10μm以下の微粒子状物質(PM10)の濃度で汚染度を比べました。指針値は20μg。ワースト1位はイラン南部の産油都市アフワズ(372μg)で、同2位はウランバートル、同3位はイラン西部サナンダジでした。東京は23μg、大阪は27μgで、いずれも指針値を上回ったそうです。日本の空も、きれいな空気とはなかなかいえないようです。
2011.09.28
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ベルリンマラソンが25日行われ、男子でケニアのパトリック・マカウが世界新記録で2連覇を果たしました。マカウは、27キロ過ぎで従来の記録保持者エチオピアのハイレ・ゲブレシラシエを振り切り、従来の記録を21秒上回る、2時間3分38秒の世界新記録で優勝しました。2時間3分38秒ですので、1km2分56秒を切るスピードになります。昔は、マラソンでは1km3分、2時間6分35秒を切るのは難しいと思われていましたが、98年に初めて2時間6分5秒の記録が出ると、翌99年だけでも3人が6分35秒を切りました。壁と思われていた記録が、一度破られると次々と新記録がでることがありますが、マラソンもそんな感じですね。ちなみに、日本人で 6分35秒を切っているのは、高岡選手一人だけです。ちなみに、従来、マラソンはコースによって条件が違うので、これまでの記録を上回っても、「最高記録」と言われていました。「世界最高記録」というやつです。ですが、2004年、国際陸連は記録公認諸条件を整備したことから、マラソンを含む道路競技の記録も「新記録」と表現されるようになっています。当然、今回の記録も世界新記録です。なお、個人的な話ですが、今年も東京マラソン申し込みました。競争率は約10倍だそうです。万一当選した場合は、「世界新記録×2」を目標にしようと思っていたのですが、このハードルも、一段高くなってしまいました。
2011.09.27
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体に毛を生えさせるスイッチを入れる物質を、米エール大学の研究チームがマウスを使った実験で発見しました。人間の毛髪にも同じ仕組みがあると考えられ、脱毛症治療などへの応用が期待されます。動物の毛は、毛の元になる「幹細胞」が分裂や変化を繰り返すことで生えます。ですが、幹細胞が何をきっかけに変化を始めるのかは、わかっていませんでした。研究チームは、毛根の周りにある「脂肪前駆細胞」に注目し、その数を調べたところ、毛が成長する直前に増えていました。脂肪前駆細胞ができないようにマウスの遺伝子を操作すると、毛は成長しなかったそうです。さらに脂肪前駆細胞の働きを調べた結果、この細胞が「PDGF」というたんぱく質を作り、PDGFが毛の幹細胞に作用して毛が生え始めることがわかりました。このPDGFを投与すれば、発毛につながるのでしょうか。新しい発毛剤の開発につながるかもしれません。
2011.09.26
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東日本大震災によって破壊された沿岸域の海洋生態系を再生しようと、文部科学省は新たな研究拠点「東北マリンサイエンス拠点」づくりを始めるそうです。地元の大学や自治体、企業を中心に海外の研究機関とも連携し、この拠点を中心に運用する調査研究船も建造します。科学技術を使い、三陸沖の漁業の復興や新たな産業の創出への貢献をめざしています。岩手県にある東京大学国際沿岸海洋研究センター、宮城県の東北大学複合生態フィールド教育研究センター、海洋研究開発機構などが中心となります。地元の意向を踏まえ、長期的に取り組む計画で、研究船の建造費約110億円と合わせ、計約130億円を第3次補正予算に盛り込む予定となっています。もちろん地上設備の再建も重要ですが、海洋生態の復活も大きな課題といえます。大きな働きを期待したいと思います。
2011.09.25
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名古屋大などの国際研究グループは、物質を構成する素粒子の一種であるニュートリノが、光の速度より速く飛んでいるとする観測結果を発表しました。現代物理学の基礎であるアインシュタインの特殊相対性理論では、宇宙で最も速いのは光だとしています。今回の結果は同理論と矛盾しており、観測結果が事実なら物理学を根底から揺るがす可能性があります。この観測結果が得られたのは、スイス・ジュネーブ郊外にある欧州合同原子核研究機関(CERN)の「OPERA実験」です。ニュートリノ(ミュー型)を加速器という装置で打ち出し、約730km離れたイタリアのグランサッソー地下研究所へ地中を通して飛ばしました。光はこの距離を0.0024秒で飛びますが、今回の観測によって、ニュートリノは光より1億分の6秒早く到達していることが分かりました。これは、光の速度より0.0025%だけ速く飛んだことを示しています。ニュートリノの飛行速度を巡っては、2007年に米国の研究チームが論文を発表しています。しかし、この時は誤差と区別がつかなかったため、「光速と差がない」と結論づけられました。今回は原子時計を備えた全地球測位システム(GPS)と光学測量を組み合わせ、3年間かけて約1万5000個分の飛行速度を精緻に測定した結果、誤差を考慮しても、光速を超えていると判断したようです。この観測結果は現代物理学では説明できません。今回の発表は、物理学全体への影響が大きいため、解釈は加えず、他グループの実験による検証を求めたものだそうです。現代物理の基礎を揺るがしかねない発見です。今後の議論の行方が気になります。
2011.09.24
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厚生労働省は、ワクチンメーカー「北里第一三共ワクチン」が製造した季節性インフルエンザワクチン約236万本について、出荷前の検査で、原液の中に鳥類の関節炎の原因となる「トリレオウイルス」が混入していることが分かり、出荷ができなくなった、と発表しました。厚労省によると、この影響で、今冬の季節性インフルエンザワクチンの出荷量の見込みは約2700万本に減り、需要予測(最大2800万本)を下回ることになりまが、同社や他メーカーが追加生産する動きもあり、「現時点では影響は小さいと考えられる」としています。もともと、ワクチンの性質上、他のウイルスの混入の可能性をゼロにはなりにくい、ということがあります。事前に見つかったことで、影響は最小限ですみそうです。
2011.09.23
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昨日の台風はすごい風でした。沖縄付近で停滞していたのに、一挙に日本を縦断していきました。移動速度も50kmをこえ、一気に通り過ぎた感じです。都内でも、交通機関が大混乱でした。たまたま、某大学で研究会でしたので、一番ひどい時は建物の中で、仕事が終わって出てきたときは、雨もやみ、雲も切れていました。それにしても、自然の力の凄さを見せつけられる思いでした。
2011.09.22
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同志社大は、銅や亜鉛などの金属を鉱石から取り出す製錬に必要な電力量を2、3割減らせる技術を開発したと発表しました。この技術を世界中の亜鉛生産に使うと、年間で原子力発電所5基分の節約になるそうです。携帯電話などの「都市鉱山」からコバルトなどの希少金属(レアメタル)を回収するのにも使えます。利用したのは、電気分解を利用する製錬法の一つ「電解採取法」だそうです。粉々に砕いた鉱石から金属を水に溶け出させ、その水溶液に電圧をかけると、マイナスの電極(陰極)に目的の金属だけがくっつき、プラスの電極(陽極)では酸素が発生します。この陽極の表面にイリジウムなどの化合物の薄い層をつくると、必要なエネルギーを10分の1以下に減らすことができました。その結果、必要な電力量が銅で29%、亜鉛で18%減ったそうです。時節柄、節電に注目があつまっているなかで、注目すべき成果といえそうです。
2011.09.21
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北海道函館市の公立はこだて未来大の学生3人が、モーターなどの動力なしに歩くロボットの連続歩行時間で、ギネス世界記録(13時間45分)を大幅に更新する快挙を達成しました。ロボットの材料費はわずか5000円だそうです。製作したのは三上貞芳教授(人工知能)の研究室の学生3人で、高さ76cmのアルミ製。下り斜度5度、分速3メートルのルームランナー上で歩行を始めました。ペンギンのように左右に揺れながら昼も夜も倒れずに歩き続け、目標の100時間を達成しました。学生らは近く、ギネス記録に申請するそうです。動力のない二足歩行ロボットは、坂道で前に倒れる力を利用し、左右の脚を振り子のように繰り出して進みます。つまずかず脚を交互に出す動作の安定が難しく、従来の記録は2009年に名古屋工大の研究グループが、ひざや股関節などでバランスをとり転倒を防ぐ仕組みを持つロボットを開発し、成し遂げていました。今回のはこだて未来大のロボットは、発泡スチロール製の足裏の形を工夫して長時間の歩行に成功しました。このロボットは、長い下り坂ならずっと歩き続けることができるわけです。ただし、分速3mですので、時速180m。今回100時間、つまり約4日間で歩いた総距離は18kmです。なかなか微妙な距離ですね。
2011.09.20
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北海道函館市の公立はこだて未来大の学生3人が、モーターなどの動力なしに歩くロボットの連続歩行時間で、ギネス世界記録(13時間45分)を大幅に更新する快挙を達成しました。ロボットの材料費はわずか5000円だそうです。製作したのは三上貞芳教授(人工知能)の研究室の学生3人で、高さ76cmのアルミ製。下り斜度5度、分速3メートルのルームランナー上で歩行を始めました。ペンギンのように左右に揺れながら昼も夜も倒れずに歩き続け、目標の100時間を達成しました。学生らは近く、ギネス記録に申請するそうです。動力のない二足歩行ロボットは、坂道で前に倒れる力を利用し、左右の脚を振り子のように繰り出して進みます。つまずかず脚を交互に出す動作の安定が難しく、従来の記録は2009年に名古屋工大の研究グループが、ひざや股関節などでバランスをとり転倒を防ぐ仕組みを持つロボットを開発し、成し遂げていました。今回のはこだて未来大のロボットは、発泡スチロール製の足裏の形を工夫して長時間の歩行に成功しました。このロボットは、長い下り坂ならずっと歩き続けることができるわけです。ただし、分速3mですので、時速180m。今回100時間、つまり約4日間で歩いた総距離は18kmです。なかなか微妙な距離ですね。
2011.09.20
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Google ローカルショッピンググーグルは、インターネット上で購入できる商品やオンラインショップに関する情報を整理して、調べやすくする目的で昨年10月に開始したサービスである「Google ショッピング」において、今までは検索できなかった、近くの店舗で買える商品を検索できる「Google ローカルショッピング」を、提供開始すると発表しました。例えば、電球が切れてしまったので急遽買わなければならなくなり、Google ショッピングで [LED電球] と検索した場合、それぞれの検索結果に、地図のピンアイコンと「付近の店舗」と表記されます。「付近の店舗」というのは、検索結果の上部にある「お住まいの地域」に設定した場所に基づいて検索されます。「付近の店舗」をクリックすると、商品ページに周辺の地図とともに近くの店舗の在庫や価格、営業時間などの情報を一覧できます。さらに、店舗をクリックすると、地図上に吹き出しが表示され、その店舗までの行き方(ルート)を調べることも可能です。例えば、[ステンレス保温水筒] のように商品ページがない商品の場合には、「付近の店舗」をクリックすると、検索結果ページに直接ローカルショッピングの結果が表示されます。ちょっと試してみましたが、住まいは埼玉になっていますが、ピックアップされた店舗は、ほとんどの場合都内でした。まあ、協賛企業を募っていくことで、もっときめ細かく表示されるようになるとは思いますが。ローカルショッピングのローンチパートナーとして、東急ハンズ、西鉄ストア、阪急リテールズ(ブックファースト)、マツモトキヨシ、ヨドバシカメラ、良品計画(無印良品)、ローソンHMVエンタテイメントが賛同しているそうです。これなら、ほとんど都内というのもうなずけます。ちなみに、今朝の段階では、大手マスコミは取り上げていないようですが、なにか理由があるのでしょうか。
2011.09.19
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先ほど寺田寅彦の「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、 正当にこわがることはなかなかむつかしい」というのを引用しましたが、これって、放射能問題にも、あてはまることですね。重い言葉です。
2011.09.18
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東日本大震災が発生してから半年の間に、東京都など首都圏でマグニチュード3以上の地震が起きる頻度が、震災前の6.6倍に上ったことが、東京大学地震研究所の調査で明らかになりました。大規模な地震が起きる危険性も高まっている可能性があるようです。地震研は東京都、神奈川県、千葉県などの首都圏、半径約70kmの範囲で起きた地震を震災前後で比較しました。その結果、震災前は5年間で約500回だったM3以上の地震が、震災後は半年で347回起きており、地震活動が活発化していることが明らかでした。なんとも不気味なデータです。最近、地震慣れしている雰囲気がありますが、もう一度気を引き締めた方がよさそうです。どんな災害に対しても同様ですが、軽視せず、怖がり過ぎず、適度に恐れることが(難しいですが)、大事です。「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、 正当にこわがることはなかなかむつかしい」(寺田 寅彦)
2011.09.18
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九州大の研究グループが、安価なニッケルを触媒に使った燃料電池の開発に成功しました。性能を高めれば、高価な白金を使う従来の燃料電池に代わるものとして、普及が期待できそうです。研究グループは2008年、常温、常圧の水中で水素から電子を取り出すニッケル系分子触媒(研究グループの小江教授の小江触媒)の開発に世界で初めて成功し、この触媒を電極に使った燃料電池の開発に取り組んでいました。燃料電池は、二酸化炭素を排出しないエネルギー源として期待されています。水素と酸素を結びつける化学反応をさせて電気を発生させますが、その過程では、水素との間で電子を受け渡しする触媒が欠かせません。しかし、触媒に使われる白金は埋蔵量が限られ、1g5千円近いコストです。燃料電池車に使う場合は1台に100gほど必要になります(それだけで50万円)。反応の過程で、腐食性の強い過酸化水素が生じる欠点もあります。この小江触媒なら主原料のニッケルは1グラムあたり約1.8円と安く、全体のコストを抑えられる上に、過酸化水素の生成率もゼロだそうです。未来のエネルギー源として期待されている燃料電池ですが、水素をどう貯蔵するかや反応の触媒など、多くの課題がありました。今回の発見はかなり大きな進歩といえそうです。
2011.09.17
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愛媛大学プロテオ医学研究センターの研究グループが、高血圧のリスクを高める28種類の遺伝子を特定しました。新薬の開発のほか、遺伝子の違いに合わせた予防や治療法の開発につながる可能性があります。欧米など海外の研究機関と共同で、国内外の約26万人を対象とした遺伝子解析を実施し、高血圧患者とそうでない人との違いを調べました。日本人を含む東アジア人では、28種類のうち9種類の遺伝子が関係していました。このうち4種が高リスク型だった場合、そうでない人に比べて、高血圧にかかるリスクが最大で2倍ほどだったそうです。日本人の4000万人が高血圧(くする出治療しているのは、そのうち半分ぐらい)といわれています。各個人に適した治療に繋がることを期待したいと思います(血圧高めな1人として)。
2011.09.16
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台風による高潮で、潮位が東京湾で最大3.3m、伊勢湾で同5.6m上昇する可能性があることが、防災科学技術研究所の分析でわかりました。東京湾の場合、現在の防災基準を上回る高さで、地球温暖化が進むと、さらに約1m潮位が高くなると予想しており、温暖化を見据えた、高潮対策が必要なようです。高潮は、台風により潮位が高くなる現象で、陸上に浸水する恐れもあります。これまで東京湾では「東京湾台風」(1917年)の2.3m、伊勢湾は「伊勢湾台風」(59年)の3.5メートルが観測史上最大の潮位でした。防災科学技術研究は最新モデルを使い、二つの台風の通過コースを変えて起こりうる最大級の高潮を計算したところ、東京湾で3.3mに達し、現在の高潮対策のもとになる防災基準である2~3mを上回りました。「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が予測する2099年の気候では、海水温の上昇効果も加わり、東京湾で4.1m、伊勢湾でも現在の防災基準である5~6mを上回る6.9mになっています。高潮の原因は、気圧の低下によって海面が吸い上げられることと、岸に向かって吹き寄せる風と考えられています。1気圧は、水の柱10mに相当しますので、1割低下した900hPaなら、海面は1m上昇します。また、これ以外にも、降水や湾の固有振動などが関連することもあるようです。さらに、高潮と満潮が重なれば、さらに海面上昇します。十分な注意が必要です。
2011.09.15
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目の網膜の黄斑と呼ばれる部分の異常で視力が低下する中高年の病気「加齢黄斑変性」の発症に関係する遺伝子を、九州大の研究グループが発見しました。この遺伝子が特定のタイプだと、発症のリスクが約1.4倍高まるそうです。研究グループは「見つかった遺伝子を調べれば事前に発症のリスクが高いかどうかを判断でき、早期の発見、予防につながる」とコメントしています。この病気は網膜の中心の黄斑の障害で、視野の中心が暗く見えたり、ゆがんで見えたりします。厚生労働省によると、50代以上で発症し、日本では成人の失明原因の4位で推定患者数は約35万人です。研究グループは、日本人患者約1500人と正常な約1万8千人の遺伝子のわずかな個人差を調べ、「TNFRSF10A」と呼ばれる遺伝子の塩基配列の違いが影響していることを発見しました。患者に多く見られるタイプでは、遺伝子が特定のたんぱく質と結合し、網膜の炎症などを引き起こしやすくしているとの結果が出ました。ちなみに、この病気に気づくには、片目でみて、ゆがんでいないかどうかを確認することだそうです。ある程度有効な治療法もありますが、20万円ほどする注射を目の中に注射します。月に1回で3回投与します。保険はききますが、3割負担でも結構な金額です。この薬のメーカーも、「視界がゆがんだら病院へ」のキャンペーンをしています。健康のためではありますが、薬の売り上げにつながるという面もありそうです。
2011.09.14
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宇宙航空研究開発機構(JAXA)は9日、2015年以降に金星軌道への再投入を目指している探査機「あかつき」のエンジンの試験噴射を7日にした結果、当初予想していた推進力の13%程度しか出なかったと発表しました。JAXAによると、試験では昨年12月に異常があった軌道制御用エンジンを2秒間噴射したところ、燃焼室の破損や噴射器が正常に機能していない可能性があったそうです。今後、さらに5秒間の噴射試験を行い、推進能力を再確認することになります。JAXAは、軌道制御用エンジンが使えなくても、別の姿勢制御用エンジンで金星に再投入できるとしています。ただし、より金星に近い軌道への投入には短時間で急ブレーキをかける必要があり、推進力の小さい姿勢制御用エンジンでは、当初の予定より金星から遠い位置で観測する軌道に投入せざるを得ないそうです。なにかとトラブル続きのあかつきですが、なんとか困難を乗り切って、金星観測用軌道への再投入に成功してほしいものです。
2011.09.13
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この秋、人工衛星の破片が空から降ってくる 可能性があるそうです。ちなみに、世界のだれかに当たる確 率は3200分の1だと、米航空宇宙局(NAS A)が発表しました。衛星は、1991年に打ち上げられた大気観測衛星 「UARS」(約6トン)で、2005年に運 用を終え、現在は高度約250キロ付近を漂っ ています。高度は徐々に下がっており、9月下旬 から10月上旬にかけて、大気圏に突入する見 通しです。軌道の角度からみて、破片が落ちるのは赤道 を挟んだ北緯57度~南緯57度の間で、日本 を含む世界の広い範囲が対象地域になります、破片の一つが、世界のだれかに当た る確率は3200分の1ですが、「自分に当たる確 率」にすると、21兆分の1になるそうです。ただし、破片が有害で ある可能性はほとんどないものの、さわらな いほうがいいそうです。。
2011.09.12
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東日本大震災を受け、気象庁は、強い地震の 揺れでも針が振り切れない地震計(広帯域強震 計)を全国に増設することを決めました。海外の大地震を観測するための技術も導入 し、より精度の高い巨大地震の観測を目指します。 海外の地震規模を迅速に算出するシステムを独 自に運用している気象庁庁精密地震観測室(長野 市)の手法を技術改良により活用することも検 討しています。気象庁が使っている地震の規模の算出法は、 マグニチュード(M)8以上の巨大地震では正 確な規模を求められないそうです。大震災では多くの地 震計が振り切れてしまったため、発生3分後に はM7・9と過小に評価。M9・0と算出する までに2日かかっていました。それだけすごい地震だったともいえますが、今後の対応は、考える必要があるでしょう。使われる日が来ないのが、一番ではありますが。
2011.09.11
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エイズの原因となるヒト免疫不全ウイルス(HIV)が変異することで、感染後短期間で発症するケースが増えていることが、国立国際医療研究センターエイズ治療・研究開発センターの調査でわかりました。HIV感染後でも、治療薬で発症を大幅に遅らせることができるようになっていますが、短期で発症するケースが増えると、こうした治療は難しくなります。2011年度に日本国内の数施設、12年度は韓国も加えた10施設以上で調査する計画で、2000症例以上を集めることを目指すそうです。病気と治療のイタチごっこ状態ともいえますが、対抗するには、地道な調査・研究を積み重ねるしかないでしょう。
2011.09.10
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いったん完治したと考えられていたB型肝炎が、リウマチや血液がんなどの治療薬で体の免疫が低下したことをきっかけに再発し、劇症肝炎を起こして死亡する例があることが厚生労働省研究班などの調査でわかりました。近年、強い免疫抑制作用のある新薬や治療法が相次いで登場し、治療効果を上げていますが、想定外の肝炎の再発の危険が明らかになり、ウイルス検査体制の整備が課題となってきました。B型肝炎ウイルスの感染歴のある人は50歳以上では約2割、全国で1000万人以上とみられています。そのうち100万~130万人が血中にウイルス抗原が検出される持続感染者(キャリア)です。問題なのは感染しても自然に治り、自分でも感染したことを知らない人が多いことです。しかし、治ってもウイルスの遺伝子は体内に潜み続けます。近年、免疫抑制効果の高い薬が相次いで登場し、治療をきっかけに再発する例が出てきました。研究班が2010年度から、全国約100施設で感染歴のある患者235人を調べたところ、リウマチや血液がんなどの治療中に14人(6%)でウイルスが再活性化していたそうです。厚労省研究班の劇症肝炎の全国調査では、2004年から2009年にB型肝炎ウイルスの感染歴がある17人が、悪性リンパ腫や白血病、乳がんなどの治療をきっかけに劇症肝炎を発症していました。これとは別に2009年、兵庫県内で感染歴のある70歳代の女性がリウマチの治療後に劇症肝炎を起こしたという報告もあります。いずれも通常の劇症肝炎より治療が難しく、全員が死亡しています。強い効果があれば、それだけ様々な影響も強くなります。それだけに使い方が重要です。
2011.09.09
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校庭などで放射能を除染するためにはぎ取った表面の汚染土から、放射性物質を効率よく取り除く手法を東北大の研究チームが開発し、実証実験を宮城・福島両県で始まっています。水洗いして粒子の細かい粘土だけを抽出するというもので、放射性セシウムが粘土に付着しやすい性質を利用しています。粘土を取り除いた後の汚染土は放射線量が大幅に減って再利用が可能になるほか、廃棄物も減らせます。ただ、粘土の含有率によって除染効果も廃棄物の減容率も異なるそうです。研究チームは4月、福島市の聖心三育保育園で実証実験をしています。園庭700平方メートルの汚染土を表面から5ミリ分、計7トンはぎ取り、水を混ぜた後、手動のミキサーで砂利と泥水に分けました。さらに泥水を洗濯機で脱水し、粘土だけ分離。分離した粘土ははぎ取った汚染土の重さの8%でした。粘土の分離除去作業の後に検出された放射性セシウムは、元の測定値(1キロあたり3万ベクレル)の25分の1に減ったそうです。放射能の問題で避難地区にされている所では、除染できるかどうかが、大きな問題です。避難解除にはより効率よく、安全に除染できる方法の確立がかかせないでしょう。
2011.09.08
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アルコールの多量摂取などが引き金になるとされる急性膵炎の発症にかかわる遺伝子を、秋田大の研究チームが世界で初めて特定しました。遺伝子の特定ができたことで、急性膵炎の新しい治療法や薬の開発に向け、大きな前進となりそうです。研究チームは、膵臓から分泌される消化酵素の排出を調節する遺伝子「インターフェロン制御因子2」に着目しました。この遺伝子を持たないマウスの膵臓が、正常なものに比べ白く変色していることに気付き、2008年から急性膵炎とこの遺伝子との関連を研究していました。研究の結果、この遺伝子を持たないマウスは膵臓から消化酵素が排出されず、膵臓内に消化酵素が蓄積していました。この消化酵素が膵臓自体を消化して炎症を起こし、急性膵炎と同じ症状になることがわかったそうです。急性膵炎は、軽症~中等症の場合でも数%の致死率があり、重症急性膵炎の場合の致死率は30%以上と、非常に重篤な疾患です。新しい治療法の開発が待たれる所です。
2011.09.07
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東北沖で、東日本大震災と同じマグニチュード9クラスの巨大地震が最短では260年間隔で起きるという試算を、東北大の内田直希助教がまとめました。東北地方が乗っているプレートの下には、太平洋側から西方向に別のプレートが徐々に沈み込んでいて、プレート境界に徐々に「ひずみ」がたまっていきます。このひずみを解消しようとして地震が繰り返し起きていますが、岩石の凹凸の具合などによりプレート同士が元々強くくっついているほど、ひずみが頻繁には解消されず、比較的短期間で大きなひずみがたまってしまうそうです。内田助教は、東北沖で度々起きている小さい地震や、プレートの動く速度を解析できる全地球測位システム(GPS)のデータなどを活用し、今回の震源域のプレート間のくっつき度合いを算定しました。M9の巨大地震を起こすひずみがどのくらいの年月でたまるか計算したところ、最も強くくっついている場合で260年、くっつき度合いが弱い場合では880年との結果が出たそうです。地層から津波の発生頻度をみた研究では、巨大地震による津波は500~1000年間隔で東北沿岸を襲ってきたとされていますが、より短い期間でエネルギーがたまる場合があることも考慮する必要があるようです。
2011.09.06
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台風12号は、上陸した西日本だけでなく、東日本にも激しい風雨をもたらしました。台風が時間をかけて大型化し、南東の海上から湿った空気が大量に流れ込んだためと見られています。北半球では、台風に向かって周囲から流れ込む風は反時計回りの向きになる(自転の影響で風が右に曲がるからですが)。台風が北上する時、東側では、台風を追いかける形で吹き込む南東方向からの風が強くなります。台風12号の進路の東側にあたる関東や中部地方には、南東から盛んに吹き込む風が、太平洋上の暖かく湿った空気を大量に運んできました。こうした影響の及ぶ範囲が、台風12号は非常に広く、北上が遅く、8月25日の発生から西日本上陸までに約10日もかかり、その間に勢力を増しました。北上を妨げたのは、日本海付近まで張り出した太平洋高気圧で、この高気圧からの風が周囲に吹き出し、台風の行く手を阻んでいたようです。しかも、通常は日本上空を吹いて台風を東へ押し流す偏西風が、この高気圧によって北へ押し上げられています。いりいろな条件がかさなったとはいえ、津浪の被害を思わせるようなすさまじい降水量です。
2011.09.05
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米疾病対策センター(CDC)は、米国内で乳幼児2人が新種の豚インフルエンザウイルス(H3N2型)に感染したと発表しました。豚インフルエンザの感染は2005年~2010年で21例の報告がありますが、今回のウイルスは、遺伝子の一部が2009年に世界的に流行した新型インフルエンザ(H1N1型)のものに置き換わっていました。2人はすでに回復しており、感染の広がりはありませんが、CDCでは監視の強化を呼びかけています。1人は中西部インディアナ州の男児で、7月に発熱やせきなどで病院を訪れました。豚との接触はなかったようですが、世話をしていた乳母に豚との接触が確認されました(ということは人から人に感染?)。もう1人は東部ペンシルベニア州の女児で、8月に発熱などの症状で病院で検査を受けました。数日前に農業祭で、豚と接触したとみられています。2人の感染に関連はありませんが、遺伝子の一部が置き換わっていた点では共通していました。遺伝子の改変で、感染力や毒性が変わってくることがあります。しかも、人から人への感染している可能性があるので、十分な注意が必要でしょう。
2011.09.04
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古川聡さんら6人が滞在中の国際宇宙ステーション(ISS)が、近く無人になる可能性があるそうです。24日のロシアのロケット打ち上げ失敗の影響で交代の飛行士の打ち上げが遅れると、古川さんらの帰還に間に合わなくなるようです。ISSには帰還用のソユーズ宇宙船が二つドッキングしており、それを使って9月には米ロの3飛行士が、11月には古川さんら3人が帰還する予定です。ソユーズには設計寿命があり、宇宙航空研究開発機構によると、古川さんらが乗るソユーズは12月下旬までには帰還させる必要があります。しかし24日に無人補給船プログレスを載せたロケットの打ち上げに失敗したロシア宇宙庁は、安全性の確認のため交代要員を乗せるソユーズの打ち上げを遅らせる見通しで、無人化が現実味を帯びてきました。2000年に飛行士のISS長期滞在が始まって以来、初めての事態です。ちなみに、ISSは地上からでも十分に操作できるようですが、日本の実験棟「きぼう」での科学実験はできなくなります。安全第一ではありますが、なんともさみしい事態です。
2011.09.03
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気象庁は、今夏(6~8月)の日本の平均気温が、1898年以降の114年間で4番目に高かったと発表しました。全国17地点で観測したデータを比較したもので、平均気温が観測史上最も高かった昨夏と比べると、6、7月の気温は同程度でしたが、8月は低かったそうです。気象庁は「昨夏と違い、8月に太平洋高気圧が弱まる時期があった。高気圧の勢力の変動に呼応し、全国的に気温の変動が大きかった」としています。猛暑日の日数は東日本で平年を上回った地点が多く、前橋市では、これまでの日数記録を更新しています。さすがに、去年ほどではないものの、節電で迎えたこの夏、間違いなく熱かったようです。
2011.09.02
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広島大の研究グループがうつ病の診断に、脳細胞を活性化するたんぱく質の遺伝子の働き具合を指標とする新しい方法を開発しました。採血から2日後にほぼ確実に診断できるそうです。うつ病の診断は、医師の臨床所見による主観的判断で行われていますが、客観的な診断が期待できるようです。研究グループによると、このたんぱく質は記憶や神経細胞の発達に必要な「脳由来神経栄養因子(BDNF)」で、うつ病患者の血液中には相対的に少ないことに着目しました。中程度のうつ病で、59~30歳の男女計20人の血液を採取し、BDNFを作り出す遺伝子の働きを調べた結果、遺伝子が働き出す初期の部分をみると、20人全員の血液で、ほとんど機能していないことを確認しました。急増しているうつ病ですが、昔は少なかったというのもおかしな話で、おそらく診断されていなかったのだろうと思います。うつ病なのに、うつ病と診断されず怠け者呼ばわりされるのも不幸ですが、うつ病でないのに、うつ病として扱われるのもいいことではないでしょう。うつ病に対して、客観的な診断ができるということは非常に意義あることだと思います。ただし、うつ病のひとをどれだけもれなく診断できるか(感度)と、健康な人をどれだけ「うつびょうではない」と診断できるか(特異度)の両面から、検証を重ねることは不可欠です。
2011.09.01
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