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想像力が未来を切り拓く

想像力が未来を切り拓く

2005/04/13
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ペイオフ関連でもうひとつ話をします。そう、金です。今までにも何度か、どうして金を取り上げないのかというリクエストもありましたので、この機会にちょっとだけ触れることにします。

黄金色に輝く金の延べ棒や金貨を見ると王宮貴族を連想し夢見心地になってしまうかもしれませんが、現実である経済的な価値は別物と考える冷徹さが必要です。前回の海外口座の時にも書きましたが、どういうリスクを想定しているのか、預金との違いを把握した上で、自分にとって相応しいかを判断することが重要です。

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フィナンシャル・プランナーを対象にした年に一度の集まりであるFPフェアに参加したことがあります。スポンサー企業の中に、FP業務関連の金融機関やデータ加工・ソフト開発などの会社に混じって、貴金属商の企業がブース出展していました。意外感があったので覗いて見ると、「富裕層から金の問い合わせを受け対応に困っているFPが多いから出展するとウケますよ」と知人から云われ試しに出したという。確かに、次から次とFPが寄ってきては見本の金地金や金貨を見て、どう買えばいのか熱心に尋ねていきました。用意していたパンフレットが一挙になくなっているのをみると関心の高さは疑うべくもないようです。

2002年のペイオフ(一部)解禁の際、爆発的に金の販売額が増加したことは記憶に新しいのですが、先日の新聞報道では金の人気が再燃しているとのことです。今回のペイオフ全面解禁や日本の財政赤字拡大への不安から、「安全資産」「無価値にならない資産」として見直されていることが理由のようです。

何かとセールスに対し懐疑的な当欄は、ペイオフをネタに金を勧めるトークに対しても今ひとつ釈然としない気がしています。ペイオフ解禁で預金から逃げる資金は、「安全性」を求めてのことですが、金はどういう意味で安全なのかが曖昧なことです。

ペイオフ解禁は金融機関の破綻リスクを預金者に負わせることを意味しますが、金の保有は、金価格の変動リスクを投資家に負わせるものです。金価格が右肩上がりでなかった事実、そして今後も上下変動を繰り返すであろう予想からは、とても金が「安全」とは云えません。仮に、安全という言葉で元本が保証されかのようなイメージを植え付け、預金者を釣るであれば許されるものではありません。

しかし、価格変動を承知の上で金を保有する人たちもいます。特に富裕層に多く見られると云われています。本当かウソか、中には、金地金を1トンも購入し、貸し金庫に保管した投資家もいると聞きます。この人たちの関心事はペイオフという一金融機関のリスクではなく、日本の財政危機やそれに伴う円暴落のリスクを懸念しています。前回の海外口座開設の時と同じです。

但し、気をつけて下さい。もし、日本や円に対する懸念であれば、外貨資産を保有することでリスクを回避することができます。何故保管が面倒でコストのかかる金でなくてはならないのでしょうか。日本のリスクを海外逃避するにしても、第一金は持ち運ぶのに重くて大変です。しかも、金は利息や配当などのキャッシュフローを産みません。もし金融資産に投資していたら得られたであろう利息や配当を放棄していることになります。問題は、そうしたデメリットがあっても、それを埋め合わせるだけのメリット、すなわち価格上昇があるのかという点です。



gold

最近の価格は430ドル(1トロイオンス当り)ですが、なるほど5年前の2000年の280ドルと比べると相当な値上がりをしています。金投資で儲けたという人が話すのはウソではありません。しかし、もう少し長く見てみると、90年代中盤は400ドル近辺、80年代後半は450―500ドル、80年当初にあっては700-800ドルで推移していたことが分かります。この25年間を見る限りにおいて、金はとても長期投資として勧められるものではなかったと云って良いでしょう。

それでは、今後も金投資は永遠にダメなのかと訊かれれば、これは将来のことであり何とも分かりかねるのですが、金が再度脚光を浴びるかどうかのポイントを知っておくのは参考になると思います。

金価格の動きは、大まかに云うと、基軸通貨であり建値通貨でもある米ドル次第というのを理解しておくべきです。過去において金が上昇したのは、米ドルがインフレにより購買力(=1ドルの使い出)を失う時、米国の経済ファンダメンタルズが悪化し米国からの資金流出からドルがユーロや円に対し弱くなる時、テロなどの有事が発生し経済・金融活動が阻害されそうな時などです。

逆に云うと、インフレが落ち着いていて米ドルへの信頼が揺らぐことがなければ、利息も産まない金をわざわざ保有する必要はないと考えて良いでしょう。80年以降金の価格が基調として下落してきたのは、70年代の2度にわたる石油ショックの猛烈なインフレが収束し、ディスインフレの時代に入り、ドルの購買力を失うリスクが縮小したことが大きな要因と云えます。

インフレ懸念は大きくなくても、米国の経常収支が悪化し、財政赤字も拡大する情況になると米ドルへの信任が下がり、ドル安になるケースがあります。2000年以降のドル安もその一例ですが、こうした時は金価格が上昇し易いと云えます。この場合留意すべきは、ドル安が齎した金価格の上昇(ドルベース)は、ユーロや円から見た場合(ユーロベース/円ベース)は、ユーロ高/円高の分だけ相殺されてしまい、さほど大きな動きとはなりません。ドルの下落で齎された金価格の上昇を、金の資産価値が大幅に上がったと云って大はしゃぎするのは偏った見方と云えるでしょう。

(例)1ドル=130円、金が300ドルの時(02年春)、円ベースでの金は39,000円。1ドル=105円、金が430ドルの時(05年春)、円ベースでの金は45,150円。
この間、ドルベースでは43%の上昇ですが、円ベースでは16%の上昇に留まります。

      *************

金は信用リスクとは無縁な「非負債性」の資産であり、永遠の「通貨」であることから投資対象として見直されるべきだという論調がありますが、これも大げさな表現と思います。貴金属の実物資産である以上、発行体があるはずもなく、当然デフォルトの問題が起こり得ない訳ですが、金に限らず、銀であっても銅であってもその点では同じです。非負債性などと難しい言葉を使用して、さも深遠で重要なことを示唆しているかのような説明には一般投資家を惑わす嫌らしさを感じます。

また通貨といって他の金属と区別するのも今日では問題だと思います。金が通貨であった時期はありましたし、通貨が金を本位としていた時期、つまり、自国の貨幣を一定量の金によって定義した時期がありました。銀行券を中央銀行に持ち込めば、その固定比率で金と交換してくれる時期があったのは事実ですが、今日それはできません。交換手段として金を商品の対価に差し出す人は一般的ではありません。通貨というには基本的な性格を失ってしまっているのです。
ドルやユーロ・円などの通貨が機能しなくなる日が来ない限り、つまり中央銀行が信頼を失わない世界にあっては、金が通貨としてかつてのような役割を果たすことはないだろうと思われます。



金が意味するものは、ペイオフより遥かに大きなテーマを基にしているのであり、そうした危機感を持つ人が金投資を本来検討すべきであると思います。





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最終更新日  2005/04/18 01:13:30 AM
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