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さて、10月歌舞伎は、なんと言っても夜がよさそう。と、期待していました。そして、今、すっかり満足して、私はのどをゴロゴロ鳴らす猫みたいになっているところです。図らずも、いや、図ったのか、夜の部には、”悪い男”が3人揃ったのでした。トップバッターは、『仮名手本忠臣蔵』の、斧定九郎。市川海老蔵。昼間、曽我五郎を演ってた時のクスクス笑いは全くなかったです。最後に、ゴックンという、かすかな音がしたかもね。この斧定九郎、ワルの中のワル。人殺しをした後で、じっくり、身だしなみを整えるのです。袂(たもと)をしぼり、髪を撫でつけ、背筋を伸ばす。セリフは、たった一言。奪った金を数えて「五十両。」親にも見離された彼のいでたちは、全身白塗りで、黒い紋付。白と黒だけの、浪人姿です。この、モノクロな男は、原作では、むさい野良男だったんですって。それを、役者が、なんとかしようと工夫し、悪の結晶みたいな定九郎を作り上げた。これ、初演の時、すごい評判を取ったらしい。まあ、むさい時には、黒澤明の映画みたいだったんでしょう。この役。でも、リアルは、歌舞伎に似合わない。昇華させなきゃなりません。役者の工夫って、凄いもんです。舞台と、映画は、全く違うんですよね。で、定九郎は、鉄砲で撃たれてあっけなく死ぬんだけど、舞台の真ん中で、たった一人で、口から血がドバーッ。白い太ももをビビビ・・と染め、どう。と、倒れ、白、黒、赤 の美しい最後を遂げる。表現し切れません。見てないとねえ。伝えられないねえ。この役は、まさに、海老蔵!!!なんだけど・・・いつか機会があったら、この海老蔵の錦絵を見てくださいませ。冥途のみやげに。定九郎ってヤツは、吸う息吐く息が、既にワルなんだよね。救いがない。悪の広っぱに、理由なく立っている。なんていうか、言い訳なしのドラキュラみたいなもので、存在そのものが悪なのね。そういう意味では、あまりに非現実的なので、美しいと感じてしまう。若い子が、ワルをカッコいいと思うとき、生活感のない、こういう男を想像しているんだろうなあ。長くなったけど、次。松本幸四郎の『髪結い新三』こちらは、チンピラです。面白かったです。話も、幸四郎も。幸四郎は、『ラ・マンチャの男』が私の中では、ベストで、歌舞伎を見ても今ひとつ、物足りなくて、新劇の方が好きだなあ。と、思っていたのですが、新三は、ばっちりでした。フランスのギャング映画みたい。明るくて、調子が良くて、適当に抜けてて、がめつい。粋で、ハンサムで、声がいい。これ、初役なんだそうです。もっと、若い頃からやってたらよかったのにね。きっと、代表作になったんじゃないかしら。いえ、名優に対して、余計なお世話でした。新三は、大棚のお嬢さんを誘拐して、身代金を取ろうとするんです。でも、逃げも隠れもしないのね。だって、彼に言わせると、お嬢さんは、新三に惚れて自分からやってきたんだって、わけ。結局、たいした金にもならず、開放するんだけど、「会いたくなったら、また、おいで。」なんて、お嬢に、声をかけちゃう。かっこいい、やくざな男なんですの。そして、最後に、『早野勘平』。お軽勘平って、聞いたことがあるでしょ?こいつが、一番、始末が悪い。私、嫌い。おっと、続きは、今度です。
October 27, 2006
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娘の学校は、フランシスコ・ザビエルさんと、因縁浅からぬ関係にあるらしく、今年は、ザビエルさん誕生500年記念行事がいろいろあります。で、その中のひとつ。イグナチオ教会で、グレゴリオ聖歌の夕べ。というのがあって、行ってきました。スペインから布教のために、はるばる来られた10人ほどの神父さんたちの、伴奏なし。の歌声です。なんとなく、聖歌隊を想像していたのですが、それとは違って、もっと、西洋風声明???一人が歌いはじめると、それに合わせて、さざ波のように、他の人の歌声が重なり、やわらかく、包み込むように、続いていきます。ああ、私が悪かった。!! ごめんなさい。私は、いろんな過ちを犯しました。羨ましがったり食べたがったり、怠けたり、悪口を言ったり、と、自然に反省してしまいます。Oh、私の大好きなものは、みんな罪深いものばかりなのね。まあ、そんなわけで、ひととき、敬虔な気持ちになりました。このグレゴリオ聖歌。織田信長や、豊臣秀吉も聞いたんですよね。しかし、こういう発声法(柔らかい)は、全く、日本に定着しなかったんですね。なぜだろう。誰か、教えてくださいませ。
October 25, 2006
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人は一生の間にどれ位の人に出会うことが出来るのかわからないけれど、私が自分の人生で感謝しているのは、本や映画、お芝居の登場人物が、実際の人間と同じくらいか、それ以上の存在感で感じられることです。このおかげで、私は長い海外生活も耐えることが出来たし、今も、孤独ではないんだと思うの。もちろん、家族や、周りの人も大切なんだけれど、想像の世界というか、心の世界をもう一つ持っていられると強くなれるんです。で、前々回の続きになるんだけど、10月歌舞伎の「芦屋道満大内鑑」(あしやどうまんおおうちかがみ)という演目。この道満さんと、ちょっと楽しい出会いがありました。出会いの場所は、ブックオフ。105円の本棚が、私のベストプレイスです。そこで、見つけたのが、これ。陰陽師(おんみょうじ)(龍笛ノ巻)夢枕獏の「陰陽師シリーズ」は、人気があるのですぐ、105円コーナーに来てくれます。そのため私は、定価で買ったことはありませんが、大好きなのです。ほんとです。今回も、これ、まだ、読んでないぞ。と、嬉しかったわ。で、早速読み進むと、なんか、どこかで聞いたような名前が出てきました。芦屋道満誰だっけ?ごく、最近、目にしたような・・・・いずれにしても、この古臭い名前は、歌舞伎に出て来るタイプです。こういうときは、こんなような本を持っていると便利。索引がついていて、演目や登場人物が説明してあります。歌舞伎ア・ラ・カルトそうか、10月の演目だったんだ。しかし、その芦屋道満とやら、いったいあのお芝居に出て来たんでしょうか。全然記憶がないのよね。でも、「陰陽師」には、変な汚いおじいさん、自分勝手なおじいさんとして登場してきます。彼は、陰陽師のひとりで、いつも勝手なことをして安倍晴明に後始末をさせているのです。ああそうか、芦屋道満って、こういう人だったのか。歌舞伎の題名になるくらいだから、もっと、有名人かと思ったら、案外、脇役っぽくておかしい。さて、この安倍晴明、野村萬斎の当たり役ですよね。夢枕獏も、あとがきで、この人をおいてはいない。と書いていました。むしろ、萬斎がモデルでこの小説が出来たのではないかと、思うほどです。一度、狂言で本物を見てみたいです。是非。野村萬斎/陰陽師と、まあ、これだけの話です。いったい、これは、誰だろう。どんな人だろう。と、特に調べるわけでもなく、なんとなく、心の隅に引っかかっていたような人のことが、思いがけなく他の本の中で生き生きと出てきたりすると、ああ、この本、面白かった。と、満足しちゃいます。好奇心が満たされるって、いうか。出会いだなあ。と、思う。安倍晴明にしても、信田の森の狐の子。という生い立ちが、歌舞伎を見てなるほどと思う。本が先か、芝居が先か、それらが混ざり合って、イメージが出来てくる。それが、楽しい。キツネ色にこんがり焼けてくるんです。黄金色のラスク 甘さ控えめ♪こんがりきつね色 陰陽師2 は、これは、駄作よ。深キョンが競演。下手だなあ。「富豪刑事」の方がいいです。陰陽師1のキョンキョンの方がよかったね。陰陽師(おんみょうじ)2(とぅ)最後に、晴明の親友、源博雅、笛の名手として今も有名ですが、彼がまた、いい。でも伊東英明には、無理があるよね。もう少し、誰か、いなかったのかなあ。決して、ボケの役にはなってほしくなかったです。純粋さは買うんだけれど。恋しくばたづね来てみよ和泉なる信田の森のうらみ葛の葉晴明は、信田の森に、母を訪ねて行ったのかしら。キツネは、化けるとき、葉っぱを頭に乗せるんですよね。確か。
October 17, 2006
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こんな風に歌舞伎に夢中になると、いったい、その魅力は何かなあ。と、時々考えます。やっぱり、荒唐無稽、なんでも有り。って、とこがいいんですよね。例えば、私が、締め切りを控えた歌舞伎の脚本家だったとする。”おい、脚本家。そろそろ新しい本は出来たんだろうな。稽古にかからねえと、間にあわねえぜ。””うーん、ひとつ、やりたいのがあるんだけど、ちょっと危険なんだ。””危険?ご法度か?どんな話でえ。言ってみな。”ある時代に、雅姫(みやびひめ)ってお姫様がいらした。姫は、やっとの思いで子どもを生んだが、残念ながら、女の子だった。世継ぎは、男と決まっている。しかし、女だって良いじゃないか。かわいいし。そこへ、待った!!!!どうやら、3人目が出来たみたい。男の子だヨン。と、弟夫婦。さ、どうする、さあ、さあ、さあ、あ、さあさあさあさあ・・・”なあるほど。で、配役は?””雅姫は、玉三郎。その、夫は、染五郎かな。で、弟嫁が菊の助で、弟は、これは、やっぱり中村獅童かねえ。””ふmmふmm。あぶねえな。””でしょ? こんなのかけたら、人は入るかもしれないが、後ろに手が回るんじゃ・・・””いんや、そうじゃねえ。来月は、これで行く。旬の話題をひっさらってこそ、傾ぶき者の心意気よ。それより、アブねえのは、ひとり欠けてやしませんか?って、ことよ。””????””海老蔵だよ。あれが出なきゃァ、ばあさん達が騒ぐだろう。よし、その、生まれたての赤ん坊。海老蔵にやっていただきましょう。””えっ? だって、赤ん坊を?””そうよ、80男が、16の小娘を、演じきるのが歌舞伎ってもんだ。赤ん坊くらい、演れないでどうする。そうだ!そん時、青いハンカチを忘れんなよ。いまどきの王子は、青いハンカチなしじゃ、かっこつかねえぜえええ。”なんちゃって。
October 12, 2006
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10月歌舞伎座の昼の部、行ってきました。この昼の部は、行こうかやめようか、迷ったんですが、まあまあのお席がとれたので、という程度のもので・・・・ところで、歌舞伎は、今いち。っという理由は、難しそう、高そう、男が、女のかっこして、気持ち悪いと、まあ、こんな感じですよね。きっと。私も、今回、名優「魁春 」の、松本幸四郎の倍くらいありそうな胴回りをした女形を見ていたら、あくびばっかりだもん。なんで、男のくせに、女のかっこで、しな作って踊りたいんだろう。って、思っちゃいますもん。じゃあ、行かなきゃいいのに、と、思うけど、見たい舞台もあるわけで、ここんとこがむずかしい。一、 あしやどうまんおおうちかがみ芦屋道満大内鑑 葛の葉葛の葉/葛の葉姫 魁春 さて、「葛の葉」これは、前から見たかったんです。かの、「陰陽師」でブレイクした、”安倍晴明”の母親は、信田の狐だった。というお話。狐にしては、太かった。狸みたいだった。でも、早変わり、お習字、と、見ごたえはあり。やっぱり、一度は、見たいお芝居ね。ニ、 ことぶきそがのたいめん寿曽我対面工藤祐経 團十郎 曽我十郎 菊之助 曽我五郎 海老蔵 これは、文句なし。可愛かった!!なんといっても、日本にいなかったので歌舞伎を見たくても見られなかったわけで、菊の助も、海老蔵も、初めてなんです。これが、生かァ。しかし、質問ですが、なんで、海老蔵がセリフを言うと、客席から笑い声が起こるの?いつも、そうなの?確かに、荒削りな感じで、声も不明瞭。元気でやんちゃな感じ。あの含み笑いのさざなみは、思わずもれるのか、可愛くてため息ついてるのか、ナンなんだ?次回、確かめねば。三、 いちのたにふたばぐんき一谷嫩軍記 熊谷陣屋熊谷直実 幸四郎 源義経 團十郎 藤の方 魁春 相模 芝翫 これは、眠かった。薬飲んでたけど、全然、効かなかった!!!生首抱いて、太目の女形ふたりが身もだえすると、あーあ、やってらんない。と、思ってしまった。歌舞伎初心者の、観劇日記でした。
October 11, 2006
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テニスAIGオープンの準決勝に行ってきました。遂に、世界最強のテニスプレーヤーのロジャー・フェデラーの生を見て来ました。いやあ、やっぱり、すごい!!!何がすごいって、強い!!!だって、相手も決して弱い選手ではなく、USオープンでアガシを破った時速200キロサーブの持ち主ベッカーなんだけれども、全然、歯がたたない。全く、別世界。日本の皆さんのために、サービスとして少し長くコートにいました。って、感じ。だって、ぴったり、1時間で試合終了ですよ。1:00試合時間が、コートサイドに出るんだけど、1:00なんて、終了時間、考えられますか?時給1時間。って、感じよねえ。フェデラーの試合は、テレビで見ていると、強すぎて面白くない。今回、生を見たら、はあ、なるほど。って、思っちゃった。だって、余裕があるから、思いっきり打つ必要がないのよね。だから、ミスしない。すごい、選手だ。こんな凄い人なのに、日本のテニスは、マスコミに受けないよね。今、日本のトップ男子テニスプレーヤーが誰か、即答できる人って、ほとんどいないんじゃないか?添田豪君ですけどね。それは、ともかく、フェデラーは、タイガーウッズと同じくらいすごいアスリートなんだって事を、是非、アピールしたいです。今日は決勝。相手は、イギリスの貴公子ヘンマン。昨日の、ヘンマンVS李 の試合は、白熱して最高でした。ちょっと年取ったけど、ヘンマン、がんばれ。はっきり言って、テレビで見るよりハンサムだった。ごっくん。ファイトお!!
October 8, 2006
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