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私の生業は【保険代理店】です。保険代理店には【専属代理店】と、【乗合代理店】とがある。【専属代理店】とは、どこかの保険会社(一つのブランド)だけを扱う代理店。【乗合代理店】とは、複数の保険会社の商品を扱う代理店。お客様からすればあまり違いがわからないかも知れない。【あの代理店は○△火災の専属だ】とか、【あそこは乗合代理店だ】と言う言い方をする。こんな言い方は一般のお客様はまずしないので、これは業界用語と言えるでしょう。因みに【乗合】とは、一つの代理店に複数のいろいろな保険会社が乗っかって取引している事。【乗合バス】みたいな言い方です。だからなぜこんな呼び名が出来たかと言うと、保険会社立場から見た代理店の形態を言ったのが始まりなのではと思う。一般の人には関心ない事かも知れないが、これを言わないと話が始まらないので…お客様である運送会社社長と私の会話。私 「社長。そろそろ貨物保険の満期が来ます。今年も直近の決算書をいただけますか?」個人向けの保険と違い、法人向け保険はその会社の年間売上、つまり活動量に対して保険金を計算するのが一般的である。社長 「そうですか解りました。」とその運送会社の決算書写しを頂戴して早速見積もりを行ってみる。私 「社長。昨年度は3億円の売上に対して年間約90万円の保険料でした。」社長 「そうだったね。」私 「前期の決算で売上5.4億円になっておられるので、私の計算では保険料が約150万円位になると思います。」社長 「えっ!そんなになる?売上が伸びたと言っても燃料代等の経費は余計にかかっているので、利益が比例して伸びている訳じゃないんだよね。なんとかならないかなぁ?」私 「よく解りました。保険会社と交渉しますのでしばらくお時間を下さい。」私はここで一旦自分の事務所に戻り、保険会社とのオンラインシステムで、取りあえず4社の保険会社の見積もりを作ってみる。どこの保険会社も150万円前後の保険料でにたりよったり。「やっぱりな」と思いながら、何社かの保険会社の担当者に電話をかけてみる。その内容は、私と社長との会話をそのまま伝えて、「保険料安く出来る?」と聞くのである。代理店(販売店)の私が保険料を決める事は出来ない。決めるのは保険会社(メーカー)だからである。はじめのY社Z社は「検討して明日電話します。」という返事。次にひそかに期待しているX社に電話をする。私 「計算ソフトでは150万円なんだけどなんとかなる?」X社 「わかりました。出来る限りやりましょう30分でお返事します。」この会社のこういう前のめりな態度は好きだ。最後に今までこの運送会社の保険を掛けていたW社に電話をする。私 「これこれこういう訳なんだけど、いくらか安くならない?」W社 「えーっ厳しいです。もしかして他社にも聞いてるんですか?」私 「うん。申訳ないけど聞いてるよ。」W社 「うちよりよそが安いと、契約がそっちに行っちゃうっんですか?」私 「そう。でもチャンスは平等だから頑張ってみてよ。」W社 「えーっ!はい解りました。上司と相談します。」と、電話を切ったと同時にX社からのメールが届く。メールを開くと「お見積書 ○○運送御中 95万円」私 「おおーX社やる気だな。55万円引くかぁ」私は電話を取って、「保険会社と保険料の交渉をしていますので、明日中には回答が出揃うと思いますのでもう1日時間を下さい。」と伝えた。そして翌朝、Y社Z社から見積もりメールが届いていたましたが、いづれもX社よりも保険料は高い。残るはW社だが、昨日半べそをかいていたW社の担当者君のために、X社の手の内を教えてあげる事にする。私 「おはよう。昨日の件、X社は95万円だからこれ以下ならW社で行くよ。」W社 「そうですかぁ。今交渉中ですが95万円は厳しいかも・・・」私 「そっか。とにかく今日1日待ってるよ。」保険会社に限った事ではありまでんが、ほとんどの会社に売上の予算と言うものがあります。【昨年対比○○%】と言うものです。W社の担当者君にとっては、今年も予算に組入れているこの運送会社の保険が、他社にとられてしまうと予算達成が出来ません。上司にも良い報告が出来ないのです。サラリーマンの彼の立場はよく解ります。そして夕方に一枚のFAXが届きます。そこには【107万円】とありました。私 「もしもし。○○君?今FAX見たよ。」W社 「ええ。95万円は無理でしたけど、なんとかこれで行ってもらえませんか?」私 「んっ?それはちょっと無理なんじゃない?」W社 「いやぁ。お願いしますなんとかウチで行ってください。」私 「気持ちは解るよ。でもそれはできないよやっぱり。」W社 「なんとかお願いします。年間12万円と言う事は、月々は1万円程しか変らないでしょ。」私 「1万円しか?1万円もだろ?そういう事を言っちゃダメよ。」W社 「あっそうでした。ゴメンナサイ。」私 「うんいいんだよ。お客様は少しでも安くを当然求めてるんだよ。今は特にね。」W社 「はいそうですね。」私 「ウチも君やW社に恨まれたくはないけど、少しでも安くていいものを提供するという事をぶれるわけには行かないんだよ。」W社 「はいわかります。」私 「ごめんね。ウチも必死なんよある意味。」W社 「はい。またなんか有ったらお願いします。」最後は消え入りそうな声になっている担当者君でしたが・・・保険屋さんの舞台裏をちょっと知って貰いたくて書いてみました。
2008.08.30
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つい先日、62歳の主婦Aさんに生命保険をお申込いただきました。『終身医療保険』いわゆる入院保険なんですが、この年代の保険料って『本当に高いなあ』っていつも思います。もちろん出来るだけ安い保険会社を選んでお申込頂きましたが、そんなに飛び抜けて安い保険会社がある訳もありません。結果的にお支払いただく保険料は、決して小さい金額ではありません。もっと若い年代の人と比べたらAさんの保険料が高いのは仕方ない。それはもちろんそうなんですが、なにかいつも胸にモヤモヤしたものがあるのです。もしかしたら、仕方なくなんかないんじゃないかと。私事で大変恐縮ですが、私の父親『正弘さん』は昭和10年生まれの73歳です。今『正弘さん』は入院保険には加入していません。彼の加入していた生命保険の医療保険は、彼が70歳の時に満期となって終了したのです。彼は何も保険に入っていない事を、なんだか心細く感じているそうです。どうして彼はそうに思っているのに、今流行の『終身医療保険』に加入していないのでしょうか?それはこの年代の人に共通する事情があります。10年程前までは70歳以上の人は病院に行っても無料でした。診察料も薬代も入院費用も全て無料だったのです。『正弘さん』だけでなくこの年代の人はそのつもりで生きてきました。彼の父親、私からみたら祖父にあたる『八十二(ヤソジ)さん』は、亡くなる前長い入院をしていましたが、家族は医療費を負担していません。そんな時代ですから、70才を超える年齢まで保障する入院保険売れる訳がありません。はじめからそんなものは無かったのです。現在、70歳以上の人にも患者負担が必要となり、時を同じくして各保険会社から一斉に終身の入院保険が発売されはじめた時には、『正弘さん』は60歳をとうに越えていましたが、60歳を過ぎた頃から糖尿病が出始めた彼に加入できる医療保険は有りません。この前久しぶりに父子でこの事を話した時に、彼の言った『ホンマにどーしてくれる訳?』という軽口に、息子である私は思わず吹き出してしまいましたが、公的な医療制度。大きく言えば社会保障制度が変革(改革とも)する時には、笑い事では済まされない深刻な事態に陥る方が、端的に言えば『お金が無いので病院に行けない。』方や、『保険料を払えず保険証が無い。』と言った方が、少なくない数でいらっしゃる事は、メディア等でも良くとりあげられています。話は変わりますが、先頃インターネットのYahooが、「高負担・高福祉という北欧型」がいいか?それとも「低負担・低福祉な米国型」な社会がいいですか?というアンケートをしていました。結果は「高負担・高福祉という北欧型」を望むが70%「低負担・低福祉な米国型」がいい。は30%でした。このアンケートはある与党の大物政治家がインタビューで、「国民の皆さんには、高負担・高負担の北欧型社会か、低負担・低福祉な米国型でいくのかにするかを考えてもらいたい。」という発言をうけて実施したアンケートだと説明がありました。こういう発言を平然とやってのける時点で、私的には大変気に入らないのですが、それは一旦脇に置いておいて、貴方の言う通り、個人個人が考えてみる事にしましょう。……「はい。考えました。」貴方の言う通りに、一人一人の国民が自分なりの答えを用意したとしましょう。さて、みんなが考えたこの『答』を、ではどうやって汲み取ってくれるのでしょう。62歳の主婦Aさんが、73歳の『正弘さん』が、Yahooアンケートに答えた人達や、それこそ皆が真剣に考えたとします。この『我々の考え』を代議士に託す場所は選挙しかありません。いままで「社会保障はこうします!具体的にはこうです!」と言って選挙に臨んだ、候補者や政党が有ったでしょうか?選挙の時にはとたんに抽象的な事しか言わないのは、与野党に共通する悪いところです。Aさんも『正弘さん』も少し若い私も、もっと若い人達も、10年後、20年後にどうなるのを示してくれなくては、どれくらいの準備が必要なのかもわかりません。私たちが扱う民間の『生命保険』は社会保障の補完に過ぎないのです。せめて『我が党は社会保障制度をこうします。』ぐらいは明確にしてもらいたいと切に願います。そんなに難しい事は言ってないだろ?『改革します』?それじゃ解らないよ(゜o゜)
2008.08.26
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ヤフーのトピックスにこんなニュースがあった。社保改革への要望、過去10年で最多 8月18日12時36分配信 医療介護CBニュース 今後、政府に力を入れてほしい分野として、医療や年金などの社会保障構造改革を挙げる人が7割を超えることが、内閣府が実施した「国民生活に関する世論調査」の結果から分かった。これは、現在の形での集計が始まった98年以降では最多の水準で、改革を望む割合は、女性の方がより高かった。 調査は、現在や今後の生活に関する意識や要望を明らかにする目的で、今年6月12日-29日に掛けて実施。全国の成人1万人が対象で、6146人から回答を得た(有効回答率61.5%)。 それによると、今後、政府に力を入れてほしい分野として「医療、年金等の社会保障構造改革」を挙げた人は全体の72.8%で、昨年の同調査の72.4%から微増。これに「高齢化対策」57.2%が続いた。 社会保障改革に対する要望は、06年に72.7%と7割を超え、98年以降最多になった。今回は、これを2年ぶりに更新した。 社会保障改革を望む人の割合は、男性が67.7%だったのに対し、女性は77.3%だった。特に、主婦の78.5%が改革を望んでいた。 また、年代別では40歳代が76.7%と最も多く、これに50歳代の74.8%が続いた。40歳代女性の8割以上が改革を望んでいることも分かった。 国民生活に関する世論調査このニュースをご存知の方いらっしゃるでしょうか?私は見てませんが、テレビのニュースでもやっていたらしです。「医療、年金等の社会保障構造改革」を挙げた人は全体の72.8%「うんまぁそうだろうな」思います。この10~15年の間、日本は社会保障を小さくしてきた。保障が小さくなる事で、個人負担が増えた。こういった事に不安を感じる人が多いのでしょう。政府は大きくなる社会保障費を賄いきれない。社会保障サービスを小さくする『改革』を行ってきた。「国民の皆さんには自助努力をお願いします。」と呼びかけをしながら。この『改革』が、国民のコンセンサスを得てのものならば、是非もない事ではあるかもしれないが、民意を得て、納得ずくでサービス削減の『改革』だとして、その割にはこのアンケート結果は多すぎるのではないか?それにしても、「構造改革」を望むかどうか、こんな漠然としたアンケートとってどうすんの?大きな社会保障への転換も『構造改革』なら、小さな政府小さな社会保障も『構造改革』だ。このアンケート結果で何がわかるのかが、私には解らない。それはさておき、年々増えるアンケートの数字平成20年に「医療・年金等の社会保障構造改革」72.8%平成15年は「医療・年金等の社会保障構造改革」61.9%平成11年は「社会保障・社会福祉の充実」 54.1%平成元年は 「社会保障・社会福祉の充実」 38.0%なるほど・・・ん?ちょっとへんだぞ?平成11年まで「社会保障・社会福祉の充実」だったのに途中から「医療・年金等の社会保障構造改革」になっているぞ…どうして言葉を変えたの?「充実」とは、中身をよくすると言うような意味だが、「構造改革」なら、サービスを大きくしてもそうだし、逆に小さくしても「改革」と言えなくはない。平成21年にアンケートをとる時に、ぜひ私も加えて欲しい。「医療・年金等の社会保障構造改革」と答える前に、「構造改革」って何ですか?って質問したい。是非そうして欲しい。
2008.08.19
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「あの人こんな事を言ってるらしいよ。」と人づてに噂話を聞くと、『えっあの人がそんな事をっ』と驚いてしまう事がある。そんな時は大抵教えてくれた人も、「どう面白いでしょ。」という自慢げな顔をしている。噂話とは無責任なもので、それに関った人に話の趣旨を勝手に変えられたり、わざと膨らませられたりもする。それもこれも全部『あの人が言った事』になってしまう。まあそれが噂話の楽しい所、面白い所だ。だから自分の言葉が人づてに噂されているのかと思うと、「大丈夫かおい。」と思ったりもするが、いくら心配しても及ばない事なので、「まあ大丈夫だろう」と無事を願うよりほかない。そんな訳で、特に大切な事は慎重に話すようにしている。私の場合は。プルルルルル…と携帯が鳴る。私 「はい。お世話になります。」「ちょっとええ?」という、低く迫力ある声の主はお客様の塚正英元(48)さんだ。私 「はい。いいですよどうぞ。」塚正さん 「 わしのツレが(私の友人が)、自動車保険の更新の時に『対物なんとか特約を付けましょう。さもないと古い車と事故をした時に対物保険がおりませんよ。』と保険屋から言われたれらしいんだけど、その話あるの?」面倒見のよい塚正さんは友人から相談を持ちかけられている。契約している自動車保険。その満期の時に『対物なんとか特約』を付けるよう言われた。その説明がどうも腑に落ちないので、口伝に私の所のこの話が来たのである。私 「古い車と事故をしたら保険が使えない?『対物なんとか特約』ですか。もう少し詳しく聞いてませんか?」もうこの時は塚正さんが言っているのか、おおよその察しはついていたが『えっ保険屋さんがそんな事をっ?』と思って念には念を押す事に。塚正さん 「例えばな。古い『スカイラインGT-R』にぶつけたとするわな。古い車だから保険屋は『価値がない』と判断する。例えば10万円と。仮に修理代が100万円掛かったとしても保険では10万円までしか払われないので、差額は自分で払わないといけないと。この保険屋の言う事は本当かな?」話は判った。やっぱり『あれ』の事だ。しかし、『本当か?』と問われても、あくまで人づてに聞く話しだ。逢った事もない保険屋さんの事を、どうこう言い難い。つまり『聞き違えでは?』と思った私は一瞬返答に困った。。私 「だいたい解りましたが、今の話は違っていますね。」塚正さんの例えが違っていると答えたつもりなだが、塚正さん 「やっぱりな。あの保険屋は嘘を言ってるんだなっ。」私 「いやちょっと待って。そうじゃなくて…」今度は私の言葉が人づてにその保険屋さんの所まで戻ってしまいかねない。塚正さん 「嘘を教えて保障を付けさそうという魂胆だな。」私 「いや、そうは言ってませんよ。塚正さんの例えは違っていると言う事です。」やっぱり『その保険屋さんの話は嘘だ』という私の言葉が、今来た道を引き返そうとしている。こうやって話はちょっとづつややこしくなっていくものだ。それは防がなければいけない。 私 「説明しますね。古いスカイラインGT-Rにぶつけたとします。その車に(市場の)時価格があれば、古いからといって10万円だとは保険会社も言いません。修理代が幾らかかったとしても、その時価格を超えない限り対物保険金は支払われます。」塚正さん 「その『対物なんとか特約』は付けてなくても?」私 「そうです。それは『対物超過費用特約』(注)と言って、時価格が本当に低い車にぶつけたような場合、本当なそんなに価値がない車でも50万円までは修理代を払っても良いですよ。という特約です。またその特約を付けていなくても契約者が自己負担なんて事にはなりませんよ。」塚正さん 「だからやっぱり嘘なんだろ?」私 「ちょっと言いにくいんですが、塚正さんかそのお友達が聞き違えかもしれませんよ。」塚正さん 「そんなことは無いと思うけどなぁ。」と少し納得の行かない様子だったが、私の話は理解してくれたはずだ。私 「よかったらそのお友達から直接お電話頂けますか?そのほうが良いと思いますよ。」と一旦話を終えた。人づてに聞く『えっそんな事をっ?』という話は、関った人を辿っていくのが良いと私は思っている。これ以上ややこしくしない為に。電話を切って少し不安を覚えた私は、すぐに保険会社に電話をして確認したが、私の説明は間違ってはいない。少し安心した。その翌日、塚正さんのお友達からお電話を頂いたが、やっぱり塚正さんと同じ事を話されていた。という事はやっぱり、その保険屋さんの説明が違っていたか。或いは伝え方が良くなかったので、塚正さんのお友達が間違って理解したか。その結末は私の所に聞こえてはこないが、二人の間で再度話し合えば、すぐに誤解は解けるだろう。納得の行かない話をされたら他の人に相談するのも一つの手ですが、その本人に『なんで?』『どうして?』と納得行くまで問うのが、一番ではないでしょうか?パンフレットや約款など、書面を示しての説明を要求してもよいでしょう。『お金は大事…♪』なので納得のいかない買物はなさらない様に。ウチも気をつけます。(注)対物超過修理費用対物賠償保険金を支払う 相手自動車の修理費が自価格を上回りその差額を実際に負担した場合に「差額×過失割合」(50万円限度)を限度に保険金を支払う特約。
2008.08.17
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それから約1時間後。今度はまた別の運送会社の社員さんからの電話。田丸さん 「事故の相談なんですけど、いいですか?」私 「トラックの事故ですか?」この会社のトラックは、ウチで自動車保険にご加入いただいている。私も自然と仕事モードのスイッチが入る。田丸さん 「いえ。ウチの嫁がさっき事故したんですが…いいですか?」私 「あっそうですか。いいですよ。」田丸さん個人はウチのお客様ではない。したがって仕事モードではないが、やはりこの奥さんが去年事故に遭った時にも何かと相談を受けていたので、知らん顔も出来ない。まあ乗りかかった船である。私 「どんな事故でしたか?」田丸さん 「嫁が自家用車で黄色点滅の交差点を通過中に横から来たクルマにぶつけられたんです。」私 「そうですか。大変でしたね。ケガは?」田丸さんの奥さんは去年の交通事故で今もまだ治療中(通院)である。田丸さん 「ケガは大丈夫です。この事故の過失割合はどうなりますか?」今日は過失割合の話が続く日だ。私 「まだ過失割合の話は早いと思いますが、黄色の点滅なら横は赤色点滅か一時停止。20:80が基本的な割合でしょう。」田丸さん 「そうですよね。では横からの車が急に飛び出してきた場合はどうです?」私 「…」今日はこの手の話が続く日だ。そのどちらも、『自分に有利な考え方や解釈を聞きたい』に聞こえる。そりゃあそう言ってあげてもいい。どちらにしても、『ウチ』は直接関係していないし責任もない。でもそうした所で、『あまり言い話にはならんだろう。』という事も保険屋としての経験上解っている。私 「本当にどう思うか言ってもいいですか?」田丸さん 「えっ?はい。」私 「仮に相手が一時停止せずにぶつかって来たとしても、こちらも減速して回避しようとして居ないのなら、それはヤッパリ20:80ですよ。」田丸さん 「えっ?そうなんです?」田丸さんの声色は明らかに曇っている。しかし、私も言い出した以上は引っ込みがつかない。私 「はっきり言うけどごめんね。」 「相手は減速せず、こちらがブレーキを踏んで回避していたのにぶつかったのなら話は別だけど、そうではないんじゃない?」田丸さん 「たぶん。普通に走っていたんだと思います…」私 「なぜ20%責任が黄色点滅側にも有るかと言うと、それは回避可能だからなんです。優先車であっても避けなくていいんじゃないんです。」田丸さん 「はぁ?」私はもう止まらない。私 「確かにこちらが優先です。しかし、一旦停止せずに飛び出して来る車がいるかも知れない。というつもりで運転していれば避ける事が出来たかも知れませんよね。」田丸さん 「それは、そうかも知れません…」私 「でもそうしていない。だとしたら優先車にも責任はあるでしょう。」田丸さんご夫婦は二人とも車を運転する仕事に就いていた。私 「奥さんも以前はトラックのプロドライバーだったし、田丸さんは今もそうですよね。」田丸さん 「はい。」私 「そでならなおのこと、『相手が悪いから事故が起こった』という考え方はしないほうがいいと思いますよ。」田丸さん 「そうですか?」私 「もしかすると20:80から10:90になる事は有るかも知れません。しかし今はなんともいえません。」田丸さん 「そうですか。」私はそろそろやめておこうと思いながら、私 「差し出がましい事を言ってすいません。でももしこの事故で奥さんに万一のことがあったとしたら、『相手が悪い』といってお金を貰えば済む話ではないでしょう?」田丸さん 「そうです。」私 「田丸さんの(運送)会社トラックでもそうですけど、同じような事故をして荷物が届けられなかったりしたら、『相手が悪かったんだ』と言っても荷主さんには通用しませんね。」田丸さん 「はい。」私 「相手が悪かったとしても自分さえしっかりしていればほとんどの事故は起こりません。言い方があれだったらゴメンナサイ。事故の直後に『相手が悪い』と言うのはあまり感心しません。」と、こんな話です。田丸さんはその前の話を知らないので驚かれたかも知れない。言い過ぎてしまった事は私も解っている。事故を繰り返す人・会社は、過失割合にこだわる傾向が強い。保険屋さんも過失割合の話をお客さんにしすぎるのはもしかすると良くないかもしれない。無茶な運転の車がいても、事故しない人はしない。無事是名馬で行って欲しい。一言多かったな…
2008.08.05
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「今朝、ウチのトラックが事故をしたんです。が、こういうのって過失割合ってどうなるんでしょ?」と、お付き合いをさせて頂いているある運送会社の管理職、梅さん(35)から電話があった。「どんな事故だった?」と短くこたえる私。保険代理店の返答としては、いかにもそっけないように聞こえるかも知れないが、現在この運送会社からは自動車保険をご契約いただいていない。ウチの保険に入ってないから『そっけない』のだと梅さんに思われても仕方ない。事故の様子を詳細に聞いて『過失割合は?』の質問に私なりの判断を答えても、結局はウチは事故処理・示談交渉に参加しないのだ。『あまり無責任な事は言いたくない。』いたずらに梅さんに期待を持たせるような事は言いたくない。それに、事故の直後、まだ相手の様子もよく解らないうちから、『過失割合は…』の話を持ち出すのはあまり感心しない…まあどちらにしても、こういう話をもちかけられたら、「あまりめったな事は言わないでおこう。」と思う。梅さん 「止まっていた車にぶつかったんです。」私 「それって追突だよね?」梅さん 「そうですね…、でも相手も道路を塞いでいたのだから…」私 「うん…?」梅さん 「相手にもいくらか責任はあると思うんですが…。」私 「う~ん。なんとも言えないけど…」 「確かにそういう事が裁判で認められる事はある。」 「でも最初からそういうつもりで、『止まっていたもの悪い』と言う話をするのはどうかと思うよ。」梅さんと私は、この運送会社のトラックが起こす交通事故の数を、「どうすれば減らす事ができるか?」について常々話し合っている。ドライバー一人一人の意識の問題だと言う共通認識も持っていたはずだ。私 「先ずは被害者への謝罪。次に再発防止の対策。過失割合の話はそれからにしたほうがいいと思うよ。」 「最初から『おたくも悪い』って話はしないほうがいいんじゃない?」梅さん 「そうですかねぇ。」私 「出すぎた事を言ったかも知れないね。ごめんね。」たしかに交通事故はどんな会社にとっても決して小さくはない問題で、事故件数が多く損害額がかさむと、保険料が高くなり会社経営を圧迫する。管理職としての梅さんの気持ちも良く理解できるが、もしかするとこの会社で一番問題なのは、ドライバー、一人一人の意識ではないかもしれないと思った。私のような保険屋さん、梅さんのような管理職、この会社の経営トップが、『なんでお前たち事故をするんだ。』と言っている間はこの問題は平行線のままなのかもしれません。もちろん交通事故を減らさなくていいと言うのなら問題ではないが。
2008.08.05
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