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私の場合,ミックスというトータルバランスの概念は電子オルガンから始まった.電子オルガンでまともに音色エディットし始めたのが中学校くらいから(遅っ!?)そこからDTM,DAWへと発展していった.そんなわけで徐々に広がった音を混ぜるというカテゴリー.小規模から除所に大きくなっていって思うことは,結局のところ音の追求の行きつくところはPA(ミックスやマスタリング含む)だということである.私自信,12/4chのミキサーを手に入れたのが中学生(←どう考えても変態)お陰でPAの知識は人並み程度についたけど最近はPAって結局のところ電気事情を知らないといけないのではないかと感じるようになってきた.ソフト屋からエレキ屋に移行した意義を社会人5年目でやっと見出せるようになった気がする(雑な大人だな)だが一般的にはPAってなかなか勉強出来ないと思う.音楽系の専門学校にあるPA専攻ってのが一番近道なのか?でも,おそらくPA科には電気電子のプロはいないのではないかと思う.結局,その時教わる人が今までに培ってきたノウハウが中心で理論は後回しになっていることが多いと思う(勿論間違いがなければ問題ないんだろうけど)学問ではないのだから仕方がないけどクラシックのピアノ科や作曲科の人たちは音楽理論を展開するのになんだか損した気分にはならないだろうか…と思うのは私だけかもしれないが(苦笑)正直,PA屋って電気博士とは思えない.見た目の話をするのは大変申し訳ないが金髪で革パンはいていかにもって人が実は電気博士号を持っていたらチョット笑ってしまう(実在していたらごめんなさい)冗談はさておき,PA屋の中には個々のノウハウで仕事をしている人も混在するのだ.(勿論,ちゃんと電気電子の理論を熟知している人も存在するとは思うが・・・)DIの使い方一つとったってPA屋によってまちまちだったりするわけだから不思議な世界である.ちなみに,よくいわれるDIのヒミツを電気的観点から紐解いてみるとどうだろうか?"DIは電源供給より電池のが音がいい"・・・???理屈なしに言い切るPAさんをしり目にちょっと考えてみる.ダイレクトボックスにはアクティブタイプとパッシブタイプがある.ここでいう電源配給というのはアクティブタイプのDIにファンタム電源供給をするかDCアダプターで供給することではないかと推測される.レコーディングの現場では音の収録を妨げることはなるべく避けたい.その時のその瞬間の音が2度と再現できないから当然だかが,DIと言えば楽器と卓をつなぐ重要な危機で電池で駆動させれば電池が切れた際,音が鳴らなくなるのはもちろんである.では,そのリスクを背負ってまでして何故先人たちは"電池"というのか?理由を聞くと奇妙な返答があったりする"電池のが音が太い","音に迫力がある","臨場感あふれる",・・・もういいよ(苦笑)そんなもんは好みの問題だ.問題はそうじゃない.ノイズの話である.通常,電源配給によって動作する機材は基本的にDC/DCコンバータといったICにて駆動電圧をコントロールして使用する.ファンタム電源の場合MIXERや配給機器の仕様により9V,18V,24V,48VとまちまちであるがDIの中では5Vとかで動いていたりするのである.入力電圧を動作電圧である5Vとかに落とす為にDC/DCコンバータを用いるのである.DC/DCコンバータは人間には全く追いつくことがないような早い周期で電源のON/OFFを繰り返して出力電圧をコントロールするという機構を持っている.なので,早い周期とはいえ電圧が常に上下しているのである.この電圧上下によって発生する発信が結果ノイズのようになることがある.もちろんDC/DCコンバータの入出力端にはLCフィルタだとかがあり,悪影響がないレベルまでON/OFF時のスイッチングノイズのようなものを押さえる設計がされるわけだが,レコーディングの現場ではそれすらも影響すると考えられるのである.ただ,ここで注意してほしいのは,では電池なら絶対発生しないかということである.答えは微妙だ・・・正確にはYESのものもNOのものも存在すると考えられる.電池駆動で動いているDIの電源系統によるのだが例えば9V電池を6Vとかに落として回路を動かしていたらどうだろうか?先ほどと同じくDC/DCコンバータが使われる可能性が高くなれば現象は同じくなるのだ.だが,中には9Vを18Vなど上昇させて使用する回路も存在する.この場合は先ほどのようなスイッチングノイズ的現象のリスクはなくなると考えられる.長くなってしまったが結論を言うと結局はDIの内部回路により善し悪しが違うということである.都市伝説とまでは言わないまでも先人達の"電池駆動音質最良理論"は絶対なるものではないということである.音は結局電気に変換されているわけだから電気をクリーンにするのが全てと謳う人もいるけど,電気を程良く汚して得られた音がマッチすることだってある.だから電気理論の最良が現実音の最良と言うわけでは決してない.結局,人が耳で聴いて最良なら,経路上に減衰したり位相反転を繰り返していたりする箇所が存在しても構わないのだろう.そう考えると理論では表せない世界ともいいかえられそうではある.音楽理論が後付けのようにPA理論も後付けされる日がいつかは訪れるのだろうけど,音は生き物.人が進化を遂げるとともに好みが変化すれば理論も法律のように"そうあるべきもの"でしかなくなってしまうのである.だから,今できることは自分が満足できる音をつくること.そして,徐々に人に支持される音へと進化を遂げさせることが重要だと思うようにしている.ちなみに私は独学PA知識をなんちゃって電気理論で裏付けして今の知識になっているだから,まだまだわからないことだらけで他人に展開する程の知識は残念ながらない.まー,GND LIFT(グランドリフトスイッチ)は回路Aと回路Bがケーブルで接続された際,仮に回路Bのグランドが0Vtypのところ120mVとか浮いていたら回路Aの機器がその影響を受けてGNDが一緒に浮いてしまい結果0Vにならないと不都合な回路が異常を起こしたりして音にノイズが発生したりDCオフセットをしないと波形が浮いてしまったりする現象であるとか理論的に言ったって音楽家にはチンプンカンプンだろうというと思う(出音主義ならノイズが乗ってないならOKでも,まーいいんだけど)XLRの話ついでにもう少し蘊蓄を並べてみると・・・過去にXLRケーブルの2ピンと3ピンどちらをHOT(正相)にするかが定義されていなかった時代(~1992年くらいまでだったかと)につくられた機器は2-3ピンが逆のものも混在するために位相反転の仕組みができたが,現在では音の変化(例えばマイクを隣接してならべた際に磁気抵抗の都合で振動が逆転してしまう)等を修復するためにも多用されたりしている(だが,電気的な位相反転を視覚的に調べるすべはほとんどないため聴感上の判断にゆだねられている.経験がものを言う世界である)上の内容に付随してダイナミックマイクにファンタム電源を流してしまった際,使用したダイナミックマイクが2pin-3pin反転していてHOT-GNDショート状態になったりすると,なんとグランドに最悪の場合48Vが流れてしまう(ファンタム電源は18Vや24Vもあるので48Vとばかりも言えない)これがどんな影響があるかというと・・・マイクはグリップやグリルが鉄(導体)で出来ている.そして,ほとんどの場合,フレームはGNDと間接的または直接的に接続されているのだ.おぉー48V-DCがグリップに流れる~~~カンが鋭い人ならGND浮いてるから電流が発生しない=電気は流れないと想像がつくと思う.しかし、、、エレキギターを持ってグリルに口を誤って付けたりするとあら不思議,マイク-人-ギター-シールド-(間にアンプがあるかも)-DI-XLR-卓(←あくまで経路の例)といった感じで人間を通過するという危険な48Vの回路が出来上がってしまう!人間に48Vが一瞬でも流れようものなら接点はやけどするだろうし,ほんの少しの間でも流れ続ければ最悪の場合,死に至る危険性があるのだ.こう考えるとPA屋って実は電気工事士の資格を持っていないといけない気がする(よーし今すぐユー○ャン)、、、が,電気工事士は自ら施工しない場合は除く.PA機器って接続先を脱着するのはPA屋だが電源系統そのものを施工しているわけじゃない・・・壁コンセントに延長ケーブルをつないで電気ポットをつけるのに国家資格が必要じゃ一般人は電化製品を扱えないもんね.それと同じで設置された施設で機器を接続するだけでは法律違反にも何にもならない.人命にかかわる内容を知らずにやっているPA屋も数多く混在している.自分でもある程度知っておき,事前に注意しておくことが重要だと思わずにはいられない.
August 29, 2013
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前回はキーボードを含む個々の楽器での設定方法を書いたわけですが今回はそれに合わせたDAWミックスの微調整等トータル面について手短に紹介します.○トータルミックスは各楽器のために隙間を空けておこう!手法としては前回S90ESとD-DECKにて特徴づけた周波数,ここでは例題として800Hzと1.2kHzとしていますのでこの800Hzと1.2kHzをトータルで少し削ってあげるというシンプルなもの.ただ,これだけでは団子が防ぎきれないので,個々の音(例えばバスドラは250Hzだったとか)の周波数帯域を調べて800Hzと1.2KHzが重なりすぎていないか?なども調べていきます.周波数が密集していそうなら各楽器側の周波数を移動するか,DAW側のデータをいじって調節します.曲毎に1曲目のS90ESピアノ音色は800Hz,2曲目のE.Pianoは1kHzとかしていると音色流用が効かなかったりと不都合が多くなりますので基本的にはどこかをベースにして落とし所を決めていきます.このようにしてトータルサウンドに演奏部分の隙間を空けておくことで,演奏を重ねても割れない,団子にならないサウンドをつくることができるわけです.勿論,音圧で調整できることもありますが私たちは広域の周波数を手弾きしています(特にTomサイドはベースから上ものまでほんとに広範囲なんですね)もはや,音量でどうこうできるレベルではないわけです.T'sLABの場合はこの後,練習しては録音して,ドラムが引っ込みすぎてないか?とかD-DECKの音はU.K.,L.K.,P.K.それぞれのパートがしっかり聞こえてくるか?とかを事細かくチェックしていくわけです.ただし,全部やっていたら時間がいくらあっても足りませんし,本来の演奏練習をしている時間が取れませんのでリズム,ボトムがある程度調整できたら後は個々の奏者が"意図して聞こえてほしい音"が埋もれていないことをしっかり確認する程度で収まることもあります.蛇足ですが楽器奏者ならどんな楽器の奏者でも重要なことが"意図して聞こえてほしい音"と"裏方に徹する音"などの使い分けをしっかりしていおくことです.音色作りの上でも演奏の上でも明確にしておいて損はありません.例えばイントロのリードギターがガンガン出てきて「おぉー!かっこいい」まではよかったのにAメロからのクリーンカッティングもピッキングノイズがガンガン聞こえるほどに演奏してしまってはうるさくて"本来出てきてほしいヴォーカル"が聞こえなくなります.これは先ほどの"意図する音"をトータルに考えられない奏者側の問題になるわけですがバンド内ではそれらの指摘がうまくできないことがあるわけです(理由が分からなかったり言えない立場だったりとケースバイケースですが・・・)ですので,まずは演奏(個人練)を始める前に譜面や音源を聞きながらざっくりと「イントロはギターがメインで」,「Fillではベースのフレーズが重要」,「AメロはVocalが少し力を抜いた感じでも聞こえる程度に」といった具合にメンバー全員でレベル合わせするのがトラブルがなく,より説得力のあるサウンド作りができると思います(残念?ながらT'sLABではこの辺はツーカー状態なので打ち合わせなしのぶっつけでもほとんど観点がずれることはありません.こればかりは電子オルガン~DTM~DAWで培ってきた2人のトータルバランス力のたまものなのかもしれません)"意図する音"を捉えても自分の楽器はどう対応するのかがわからない時には簡単な方法があります.それは目立たなければならないソロやイントロなどの音まず作り,それを中心に他の部分で使う音はそこから減算していくという方法です.減算には音量,音色,周波数といった色んな観点からのアプローチがあります.ケースバイケースなのでどこがマストはありませんがギターを例に取ればピッキング方法や右手の力コントロール等の弾き方で調節する場合,VolumeやToneまたピックアップの切り替え等ギター本体で調節する場合と色々あるわけですがライブで舞い上がってそんなことは細かく調節できないと思うなら最初から引っ込む音色にエフェクター側で作りこむという手段があるわけですね.マルチエフェクターを使用しているのであればマスターボリュームを絞ってかつEQで周波数減算してしまいましょう.ヴォリュームだけでコントロールするとどうしても"聞こえない"事を気にしてしまいがちです.EQで加工することで"聞こえて欲しい"ところだけを取り出せるため,他の奏者の邪魔にならずに自分の音も埋もれさせないという何ともトラブル知らずな音作りが可能になるわけですね.イントロでは中域+高域の周波数を少し持ち上げ気味にしていたところをAメロからは低域を極端にカットし中域も聞こえてほしいところだけQで持ち上げてあげれば引っ込みすぎずでも主張しすぎずになったりします(これは楽曲や楽器の音色感で異なりますのであくまで一例です)お得意の脱線を堂々としてしまいましたが結局,T'sLABが全部の音を2人だけで管理し,お互いに理論付けや聴感バランスを揃えてやっているから無得る技ではあるためどんなバンドでも明日から実践出来る内容ではありません.ただ,各楽器奏者が同じような思想を持ち音作り時に気をつけることで全体の推進力が増しよりクリーンで聞きやすい音楽になるということは間違いありません.バンドで聞こえない音があるなぁ~と思ったら皆で音量を下げることから始めましょう!このような考えをバンドマンでも持ちたいのであれば個人練習の時に出音を極端に気にしないことです.「ああしたい,こうしたい」と,色々欲求が出てくるかもしれませんが個人練習は弾けるようになることが大前提で練習すべきです.私もフレーズの練習時はピアノの音色やEGをフラットにした矩形波の音色などで間違えがごまかせない練習をして,音作りはまとまった時間をつくってがっちり作り,バンド練習の時にトータルバランスをみて音色感の修正を課題として持ち帰る(必ず録音して)ようにしています.音色切り替えのタイミングなどがあるのである程度弾けるようになってきたら実際の音に差し替えて練習に切り替えればいいことですので(弾けていれば音色切り替えの余裕は自ずと生まれてくるものですので)T'sLABは楽器構成が特殊(私たちはそう思っていませんが)なので常にこんなことを考えながらトータルバランスをとっています.そのため,演奏前の下準備がものすごく時間がかかるんですね.ただし,残念ながら出音は各会場のPA機器やフロア形状により得意な周波数,苦手な周波数というのがが出てきてしまいますので限界はあります.私たちはそれを少しでも防ぐために取りあえず,お互いに持ちよっているヘッドフォン×2とメインで使用しているGENELECのモニタスピーカ,そして,今回から導入されたフロアPAに最も近いSTAGEPAS600iの出音で色々確認しています.最低限PAさんが頭を抱えないサウンドを持っていくことが大前提といったところですね.それでいて,バンドに負けない音圧間を稼ぐ(何とも欲張り)こういう積み重ねが"出音"を気にするということなんだと私たちは思っています.T.S.D.&FRIENDS等バンド体制になっても同じことです.ギターがコードを奏でるときは,なるべく中域がかぶらないようにEQで削ってあげて,ベースと同じパートをユニゾるときは低域をカットしておきます.単品(ピアノのソロコンサートみたいな)で弾くとあり得ないくらい薄っぺらい音になりますがアンサンブルで必要なのは音の厚みを飽和させないように必要なところだけを表現することです.ベースとユニゾるなら低音はベースが鳴らしています.キーボードがエレピでユニゾンしているなら欲しいのはエレピのコリっとした音の部分といった具合に必要な音は限られてきます.最悪,そこだけでも聞こえてくればお客様には表現したい音は意図して伝わりますし「あ,鍵盤が重なってるな」って思ってもらえるものです.私にとって最も難しいのはギターの歪に対抗する音色作りだけですね.こればかりはどう頑張っても音圧的には勝てません.言わば矩形波で制限値オーバーのドライブありきな音で演奏しているわけですから.そういう時は網の目をくぐる思いで抜け穴(最も少ない周波数)を探出します.誰にも言わずに黙々EQ調整して音色に反映し,次の機会にはしれっと対策音を奏でる."音が聞こえる"ことに誰も気がつかないけど誰からも"キーボード聞こえない"と言われないようになっていればしめたものです.もしかして,私って超悪者?!いえいえ,そういうつもりはありませんけどね(苦笑)3回に分けてイコライザを使った音作りについて紹介してきましたがいかがだったでしょうか?周波数だとかHzだとか,ややこしくてわからないという人もいたかもしれません.要は単独演奏以外での音作りで大切なことは欲張らなということです.自分の音だけが満足できる音に仕上がるのではなく全体としてバランスを崩さないように時には"減算する"という音作りを心がけると音圧を稼がなくてもバンド内で埋もれない音を奏でられる奏者になれると思います.
August 29, 2013
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前回はT'sLABのミックスにて発生してしまった音団子(周波数ダマ)による音楽に与えるデメリットを紹介したわけですが今回は,その音団子をどのように防げばよいのかを詳しく書いていきたいと思います.○周波数のコントロールはEQとフィルター!?周波数をコントロールするのに最も適しているのがイコライザー(EQ)です.周波数を5バンドとか30バンドとかに区切って音量調整のごとく特定周波数を調整できるグラフィックイコライザーや4つ程度のパラメータでフィルターのようにコントロールするパラメトリックイコライザーがあります.シンセサイザーの場合,インサーション等ではパラメトリック型が,トータルではグラフィック型が内蔵されていることが多いですが,基本的には他のエフェクトと同時に立ち上げるためエフェクト数の制限で使えない場合があったりします.そんな時にEQの代わりにフィルターとレゾナンスで特定周波数を特徴付けしたり,一音色を2つの特徴的な音で作り上げたり(ベースなら,ブースト系の低音とスラップ系のアタック音など)と工夫を凝らし,最後にトータルEQで各パートの周波数をコントロールすることでダマにならない音作りを実現するという手法があります.では,実際にはどのようなエディットが効果的なのか見ていきましょう.※ここからの内容は鍵盤楽器に限らず個々のどの楽器にも反映できる内容になりますので参考にしてみてくださいD-DECKやS90ESのマスターEQはある程度特定の周波数をざっくりしか調整できません.と,言うことでD-DECKとS90ESのEQを各種重ならないように周波数を少し持ち上げ,相手の周波数の辺りを下げておきます(これが前述の最後のトータルEQの工程になります)例えば(ほんの一例です)D-DECKが1.2KHz付近持ち上げで800Hz付近を下げるときはS90ESは800Hz付近を持ちあげ1.2KHz付近を下げます.これは,パラメトリックでもグライコでもかまいません.ただし,パラメトリックで実現する場合はQを調節して持ちあげる周波数が広範囲にならないようにする必要があります.ほとんどは音色が急激に変化するほどいじりません.これだけでも普通に効果があります.※場合により極端にいじる事もあります.T'sLABの場合はほとんどが同社のPCM系波形ということもありダマになりにくいながらも近い周波数帯が溜まっていきやすいのでS90ES側を基本的に極端な加工にしてトリッキーありきにしてしまうことも多いです.応用でセッション等の時,各々が持ち込んだスピーカで皆Volumeを上げてしまうと出力が小さい楽器や鍵盤のように専用スピーカーにつながない楽器は埋もれてしまいます.これは近い周波数等がフロア中で混在し,音量が嵩んだ分だけ波形的にも潰れてしまうためおさまりどころがない楽器の音は聞こえなくなってしまうということなのです.これを知っている鍵盤奏者さんは必ず楽器側のEQで,ある特定周波数だけ上げるんですが一般的にセッション会場などに常設されている楽器は初級~中級クラスのステージピアノ系の楽器がほとんどでEQが直ぐに触れないパラメータだったりするため自ずとVolumだけを上下する羽目になります.少し機転がきく人なら音色感を犠牲にしてフィルターとレゾナンスでノッチフィルター的に特定周波数を持ちあげる裏技を披露するかもしれません(これが前述のフィルターを用いたEQ代役の裏技の応用になります)話を戻しますと,要するに周波数が埋まってきたときに他の楽器にはない(少ない)周波数を残してある楽器は埋もれることなく聞こえるという原理です.基本的にはレコーディングのプロジェクトデータをミックスする際も全く同じことをやるんです.そうしないと,重ねていけば重ねていくほど波形は加算されてしまいますので録音波形に潜む音に反映されないのに無駄に存在してしまう余分な周波数がどんどん重なって結果として濁ってしまいます.よく各楽器のプレーヤーさんの中に「俺が作った音がステージで再現されない」とPAさんや現場のアンプに文句を言う人がいますがもしかするとその音色って全体的な周波数を奪うようなセッティングになっていたりしませんか?そんな音をアンサンブルの中で奏でれば,たちまち音はダマになる(濁る)わけです.PAさんはスピーカから割れた音を出すわけにはいかないと3~5バンド程度の各チャンネルにあるEQですかさず加工します.結果,"意図しない音"に聞こえてくるわけです.言い方を変えればCD等からアーティストの音色をコピーするときはこれを逆算するPA知識が必要になるということが何となく理解できるでしょうか?CDミックスやライブミックスはPAがトータルバランスを整えて作り上げた音です.使っている機器からPAが削った音や他の音でかき消された音までも再現しなければアーティストの作った音にはならないのです.アンプシミュレータやマルチエフェクタのプリセット音色にあるアーティスト音色はどの楽曲のどの音を目指したかがわかるものもあります.何故,この音をつくった人はこの音色感にしたのか?という観点でもう一度聞き比べてみると自ずと見えなかった何かが見えるかもしれません.ただ,弦楽器の場合は楽器が全く同じで音も全く同じでも,弦にあたるピッキングひとつで全く音色が変わるなんてオチがありますので難しいところですけども・・・またまた脱線してしまいましたが,要はマルチエフェクター等に装備されているEQは"ねいろ"を修正に使用したりすると,より自分の好みに合わせることができるスグレものですが,その反面で特徴的な周波数帯域を増やしてしまう(他の楽器の入り込む余地をなくす)可能性があるという危険性も持っていることになるわけです.楽器のボリュームと同じで会場でも一番大きな音の楽器に合わせて"上げていく"のではなく,極力音量を下げていくことでバランスを保てるバンドは非常に締まりのある聞きやすいバンドになります.EQの使い方も基本は同じで溜まりやすい周波数を削っていくという使い方がベストです.ロックなどでもヴォーカルの歌詞が聞き取れるバンドはこの辺がしっかり出来上がっている証拠なのです.ただ,プロでもPAさんを抱えてしまったりするとプレーヤー個人はこんなことを考えずにやりたい放題やります.こういうことを知っているプレーヤーさんはプロの中でも一握りなんですね.周りをよく見てよく聞く演奏家を目指したいならこの辺は絶対に避けられない重要なポイントです.ということで,以上のことをまとめると以下のように演奏楽器側を調節をすることになります.・インサーションエフェクトや内部エフェクトで全体のバランスを整える(エレピのこの音が際立って欲しいとかはここで調整)・内部エフェクトが使用中で加工できない時はフィルターとレゾナンスを用いて各レイヤー音ごとに特性周波数を決め打ちする・トータルEQで個々の楽器の周波数特性を決め打ちする(S90ESは800,D-DECKは1.2kといった具合に)今回はキーボード2台での設定方法を中心に各音色での音団子防止技&プチ知識(←こっちのが絶対多いよね^^;)書いたわけですが次回はそれらを見越したトータルバランスの考え方,T'sLABの最終的なDAWミックス手法やバンド内での音トラブル解決法について記述したいと思います.
August 28, 2013
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先週末24日は栃木県くずう原人まつり(T'sLAB),そして翌25日は長野県塩尻音楽祭(T.S.D.&FRIENDS)に出演しました.怒涛のライブ三昧が終わり今週は抜け殻状態です.本当はアルバム制作に戻りたいのですが2カ月間フランケンシュタイナーズ→T'sLAB→T.S.D.&FRIENDSと初物だらけのステージを繰り広げただけに全く庶務が手付かずだったので一昨日も昨日もPCに座ってはHP更新したり各種文書作成したりガーバーデータ作成したり,セッション飲み会のPA表作成したり,中古機材売却の準備したり,etc...と大忙しです.今週中にビデオ編集(MIYAGIGの時から終わってない・・・というか昨年のレコーディング映像すら編集してないorz)したいと思っていたのですがよく考えたら今週来週と休日はプライベートな用事で,再来週には予感のVocalレコーディング・・・おーい,今月も休みないじゃないか!状態だということに今更気がついたわけで。。。せっせと10月の予定まで確認したら既に10月下旬まで予定埋まってるしorzこの分だとFankaeeR!のプラクティスはおそらく12月くらいまで本腰入れられないなと推測されます.「ま,1カ月あれば形になるだろう」と,また性懲りもなくテキトーなことをぬかし始めているわけです.ま,それはさておき今回のT'sLAB(←これはいつもだけど)やT.S.D.&FRIENDSではキーボードの役割がものすごく重要でした.と,言うことで突然ですが私なりに他のバンドの時とは違う精密な音作りの裏側を解説しようかと思います.●T'sLABに学ぶ周波数からの音作り秘話皆さんご存知かもしれませんがT'sLABはツインキーボードユニットです.弾き語りとかではなく全て鍵盤楽器で表現することにこだわったユニットなのです.ギターやベース,管楽器など手弾きできるところは手動でドラムやシーケンスなど打ち込みの部分はトコトン打ち込みで出来る限り"こうありたい音"をつくりこみ表現しています.前回の5月にT'sLAB1年ぶりのライブということで今までのOKラインをNGとし,より高いステップに挑もうと躍起になって準備しました.しかしながら我々らしいトラップにはまってしまいました.全体の周波数帯域が収まりすぎていて自分たちが演奏を重ねると割れぎみになる,音が密集しすぎて自分たちの演奏が聞こえないという現象が発生してしまいました.アレンジに頭を回して必死に作りこんでいたので,いざ演奏を重ねたら音圧や周波数的に飽和してしまったとうことです.練習した時のライン録りをしっかりGENELECで視聴して微調整すれば防げたのですが全然時間が足りませんでした.(あの時2人ともGW休日全部返上して9:00~28:00まで毎日作業していたもんなー仕事より断然大変だった)今回はこの辺を中心に修正しつつ,演奏精度の飛躍に挑戦しました.演奏は練習あるのみだからさておき今回は音の飽和をどのように解決していったかにスポット当ててお話ししようと思います.○重ねるときは音団子に気をつけろ!既にお気付きかと思いますがT'sLABはバンド編成の楽器とほとんど同じ周波数を使います.俗にいえばCDに収録できる全帯域を2人で奏でていることになります.ピアノ一本で下鍵盤から最高音までガシガシ弾くのであればそれほど困らないのですがベースとバスドラだとかギターとエレピだとかシンセリードとブラスセッションだとか,周波数の近い楽器を沢山使うことになります.そんなこと言ったら生楽器のバンドだって同じじゃないかと言われてしまうわけですが,生楽器での表現ではギターはギターアンプの特性である程度固定周波数が決まってきたりベースとバスドラムは周波数がかぶらないようにPAさんが事前にEQで加工したりとそれぞれのポイントで同じ周波数が重なりすぎない工夫がされています(ほとんどPAさんが演奏家の知らないところで頑張っているのです)T'sLABの場合はこれらがすべてミックスされて卓へ送り込まれるため音団子(周波数が密集して音がダマになった状態)状態になった波形をPAで処理するのが非常に困難なのです.なので事前の作りこみの段階である程度ダマになる周波数を確認し,音作りやDAWミックスの段階で出音想定ミックスを完成させなければならないということなのです.ドラムやシーケンスパターン等DAW環境で作りこめる部分は各楽器ごとにグラフィックイコライザーやパラメトリックイコライザーによりダマにならないミックスを作り上げることが事前に出来ます.ただ,生演奏の鍵盤楽器が発音する広範囲な帯域の音は各楽器で処理しなければなりません.DAWミックスの時のようにVSTプラグインをガンガン立ち上げて同じようにEQ加工出来ればそれは非常に楽なわけですが,そのために高級なディジタルミキサーやDAWシステムを持ち歩いて会場ごとにエディト調整なんてしていたら時間がいくらあっても足りません.故に,楽器本体範囲内でミックス時と同等なことを実現することになります.楽器によってはEQが複数立ち上げられないとか,EQ事態に制限があるなどの不都合が多々あります.そんななかでも色々工夫を凝らすことで近いことを実現できる方法があるのです.次回はその辺を裏技を交えつつより細かく紹介していきたいと思います.
August 28, 2013
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盆休み,無事にT'sLAB集合真夏の暑さに今にも溶けそうな中,連日S30の改造をしながら8/24(土)に控えている"くずう原人祭"フリーステージの準備を行いました.今回はメインのS90ESにKX61というMIDIキーボードのみのシンプルな構成.翌日,塩尻音楽祭で演奏するT.S.D.のサポート時のセッティングと同じにするためV-SYNTH GTは外しました.音源は全部S90ESなので今までの音色遺産が使えるのですが前回演奏した曲はV-SYNTH GTでつくってしまったため全て作り直し.丸一日を費やす羽目になってしまいましたが納得いく音色をつくりこんだので結果オーライということにします.MIYA GIGから3カ月も開いてしまい,その間アルバム制作にかこつけて練習を怠っていたため思いだすのに苦悩しています.ちなみに,T'sLABの練習にもとうとうSTAGEPAS600i(小規模PA)が登場.ダイレクトボックス込みでトータルバランスをチェックしている集団なのに今度はPAにまで手を伸ばした.(勿論,本番は会場セッティングのまま.今後はPAなしのカフェとかでも演奏ができるようになるぜb)1度Tomが結婚式のOP演奏&余興で使った限りだが既に不満が…ミキサーパワーアンプ間にやっぱりパラメトリックEQとかマスターコンプを入れるインサーションが欲しい!!!T'sの備品だというのに早速分解欲が…インサーションの改造なんて音声信号経路間にスイッチ付きのフォン端子を取り付けるだけだから簡単なんですねー(いうほど使うのかが問題)一応,これでも改造する前は悩みます.故障したときのメーカー保証は利かなくなるので自分の中では50k以下で購入したものに限るとしているのですが…最近は改造箇所が直ぐに浮かぶせいでざっくり勘定になっています.T'sのライブを見ているお客さんならお目にかかったことがあるかもしれませんが,ミラー加工された某メーカーのショルダーキーボードなんて当時中古なのに52kもしたんです.なのに翌年には分解して一部のコントロール部分を改造,そして数年後にはボディーがミラー加工されてしまったんですね…現在もMIDIワイヤレスを内蔵化しDCアダプターでも駆動できるように改造中(回路図は既に書き終えているんですけど,プリント基板起こしたり組み立てしたりする時間がないのです)SATAGEPAS購入後すぐに追加モニターとして購入したCLASSIC PROのCP12MPというパワードスピーカに至ってはS90ESで88鍵分のピアノ音色にて音出しチェックして「この周波数落ち込むわー」とか不満をいいつつも直ぐ分解&改造(赤丸の端子:XLR→コンボ)DIに至っては20kの高級モデルだろうがなんだろうが必ず一回は中身のトランスとかIC(←シルク消されてるのがほとんどなのに)チェック.買ったものは買ったまま使うのがいいのかなんなのかは判らないですがいつか壊して痛い目見る気がするにはするのです・・・尚,既に改造待ちの機材が4台あります.・S30(出力周辺を改造中1カ年計画だったが既に2年目に突入.早く組み上げてあげないと使う機会なくなっちゃうわ)・ノートPC用FAN(ステージでキーパネルからクーリング構造のPCを使用する際に熱暴走しないようにと作成したFANを拡張.USBハブを追加して動作状態までいったのですが,電源入力時に突入電流でDC/DCコンバータがクラッシュしてしまったので現在改善するべく回路変更中)・KX5MIDIワイヤレス化(外部MIDI接続との切り替えを有効化,またDCアダプタ駆動も実現…2年前に既に回路出来上がったのにまだつくってないorz地味に回路図だけがVer.Upを繰り返している)・S/PDIF(光⇔同軸)の信号変換機を作成(基板は組みあがったのですが,むき出しでは危ないのでアクリル板を加工してケース作成中)こうなると演奏がメインか楽器類の改造がメインかわからなくなってきます(少なくとも演奏
August 21, 2013
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最近,あまりシンセサイザーという楽器が目立たないように思う.ここ5年くらいは各社ハイエンド機種もやりたいことがなくなってメモリの大容量化が主な仕様変更なんてのがざらだ.PCM音源系のシンセなんだからもちろんメモリが膨大になりサンプルが音程毎やベロシティ毎により細かくなれば表現力が上がるというのは理屈として成り立っているわけだが(それでもPCの容量にかなうはずもなくVSTのようにはいかないわけだが)過去機種のような冒険心は一切ない.その背景には景気と経済が密接に絡んでいることは容易にわかる.アナログシンセが数十年の時を経て再び脚光を浴び始めたのも2002年頃だろうか,Moog社の復活や元Sequential Circuitsの技術者Dave Smith氏がDave Smith Instruments社を発足したことによりminimoogやProphetの後継機種がアナログシンセで復活.細く長くモジュラーシンセをつくり続けていたAnalogSystemsやDoepferなどのメーカーが日本国内でも認知度を上げていったのも同時期くらいじゃないかと思う(私も当時Doepfer A100,Analog Solutions VOSTORKまたAlesis A6 Andromedaなどのアナログシンセを購入しようかと本気で悩んだ・・・あげくMinimoog VOYAGERを購入)そしてここ1年くらいでまたアナログの波が戻ってきた.KORGのMS20miniの発売がそれを物語っているといえよう.メーカーとしてアナログ回路の機器を再製造するのは勇気がいることであり非常に喜ばしいことではあるのだが,逆にいえばヴィンテージシンセの状態維持に限界が来ているという捉え方も出来なくはない.現に,私の所有してるSystem100mはすこぶる調子がいい(震災でロータリースイッチが破損してしまい修理はしたわけだが)のだが,そんなSystem100mも中古購入した6年前は100k前後だったのに今では中古相場200kを超えてしまっている.それだけ正常品のたま数が減っているのと同時に代替え部品がなくなったり技術者が引退してしまったりと壊れた機器を直せなくなっているとも想像できる.アナログシンセの醍醐味は回路がアナログであるということである.(ツマミ等によるUIのわかりやすさももちろんだが,それだけであればアナログモデリングでも代用は可能)これは部品そのものが発音部分であるVCOの波形を作り出しているわけで,部品の特性が変化したりしただけで音のキャラクターが変わってしまうというリスクを抱えている.逆にいえば唯一無人の楽器になるわけなのだが.ようするにオリジナルはオリジナル部品からしか生まれないわけで部品が存在しなければ代替え可能なものは復活出来るのだが,全く同じものではなくなるという可能性が潜んでいるのだ.また,部品精度も30年前のそれとはまったく異なる.温度特性ひとつとっても昔は部品自体が大きく環境温度に左右される表面積が大きかったのに対し最近は部品も小さく温特も非常に優秀になり,良く言えば安定した回路になっていくわけだが,逆を言えば昔のアナログシンセ特有の不安定さから生まれる図太さみたいなものが必然的に失われてしまうなんてこともあるわけだ.もちろん,それがライブやレコーディングでどれほどの恩恵を受けるのかは神のみぞ知るといえるほどのレベルというか,むしろ不安定要素は演奏に支障をきたす可能性すらある.オールドアメ車を「故障するのも醍醐味」という人にはピッチが安定するまでに30分とか電源を入れておかないといけないなんていうアナログシンセは愛おしく思うだろうしモチベーションが上がる素材としてはぴったりかもしれないが,それが万人うけするというわけではない.そんなわけで一部の人たちにいとっては涙ものであるアナログ復活劇.まるで子供帰りしたかのようなシンセサイザー市場だが別の視点から今,新たな機種が注目されている.VST音源をそのままリアルタイムパフォーマンスに使用可能にする機材,Muse Research社の"RECEPTOR"である.実は同メーカーからこの機種の前進が日本でも発売されたのは2003年頃なのだ.その頃からVST市場は沸騰しておりハードウェア音源として使いたいという人は多くいたわけだが,レイテンシーをギリギリまで追い込むためにはPCスペックを必要とし,何よりもいかなる会場でも安定して再生できなければならないという壁が非常に高く一般的ではなかった.それを可能にしようとしたのが"RECEPTOR"だった.当時,日本円でも200k以下でありシンセ1台に匹敵していたわけだがVSTを本番使えるのであればとプロミュージシャンはこぞって使用した.ただし,問題点も多数あった.その中でも一番頭を悩ませたのがライセンスだ.ドングルタイプであってもイーサネット経由であって中身はほとんどPCと同じためライセンス取得は出来るわけだが,制作でも使用するVSTをライブに持ち出すために再度2ライセンス目を購入する必要がある.これが一般人にはまったくもって向かないわけで…1ライセンスで制作でもハードウェアとしてこれを使用すると割り切るとVSTの強みである音色ごとシーケンスデータに保存するという手軽さが失われてしまいどっち付かずになる.ライブでも,画面が見れないため会場でのチョットした音色変更もプリセットで用意しておいた音を加工するためには画面やマウスなどが必要になったりと全く持って手軽ではなかった.結局,一般認的には浸透しきらなかったのだ.そして昨年,市場では限界すら感じられるPCM音源シンセをしり目にVSTを持ちだすコンセプトが再び復活した.モデルも複数あり,用途別に使い分けられるように工夫されている.・RECEPTOR VIPこちらは2chのライン/マイクインプットを持つモデル.Hi-z入力がないのは残念だがDIを用いればギタリストにも使用できる.エフェクトのVSTiをインストールすれば,夢のアンプ&エフェクトシステムを2Uサイズで持ち出せるすぐれものだ.・RECEPTOR 2+ CLASSICこちらは旧RECEPTORの後継モデルとも言えるべくモデル.アナログの2chL/R入出力やディジタル出力が装備されておりソフトシンセを持ちだすのに威力を発揮できる.スタジオワークでも本領発揮できるといえよう.・RECEPTOR TRIO / RECEPTOR QU4TTRO現段階では発表のみで発売時期が未定だが,8ch入力を備えたレコーディングモデル.バンドレコーディングなどでVSTiプラグインをハードウェアとして使用すればメインPCに負荷を与えずに掛け録りもインサーションも思いのままだろう.本モデルは前モデルでの欠点を多く克服していると言っていい.なぜなら,初回からバンドルとしてKomplete 8がインストールされてくるのだ(Komplete 9が発売されている現時点でどうなっているかはわからない)日本では未発売だがこのモデルは今後のシンセサイザーへ大きな影響をもたらすことと思う.また,SM ProAudio社のV-MACHINEも同カテゴリの商品だ.RECEPTORシリーズと違い何よりも魅力的なのは値段だ!IK MultimediaのSampleTank2.5 SE他がプリインストールされているにもかかわらず3万円台で買えるという素晴らしさ.ただしドングル等を用いたライセンス認証を行わなければ動作しないVSTプラグインは残念ながら使えない.そして,Openlab社のNekoシリーズは同種カテゴリーのハイエンドモデルと言えるスペックだ.何よりも魅力は鍵盤とモニターそしてキーボードにコントロールとまさに必要なものが全て1台に収まっている素晴らしさ.ただし値段が相当高い.と,いうことであたかも最強シンセのごとく紹介してしまったわけだが,現状で販売されているシンセサイザーや今後発売されるシンセサイザーが負い目を感じるかというとそういうわけではない.専用ハードには専用ハードの良さがある."RECEPTOR"はあくまでVSTありきでありVSTを必要としないユーザーにとっては何の御利益もないわけだし,専用ハードのように1個体としてのバランスを保った飽和しない音色感は多様なソフトをインストールして構成するマシンには絶対に得ることはできない.また,専用ハードであるシンセサイザーはソフトシンセのように自由に大容量期用媒体へ大量のサンプルを確保するということは出来ないわけだが,その分DSPなどがもたらすダイレクトなプレイヤビリティーが非常に高い.ちなみに,このカテゴリーは決して新しいものではない.旧モデルが存在することももちろんだが,実際,Arturia社のOriginシリーズはハード内部で各種シンセエミュレーションを立ち上げて思いのままに立ち上げてオリジナルシンセを創りだす仕組みは非常に近いし,インド発のラップトップシンセサイザーのUse Audio社のPlugiatorも音源を購入しオリジナルシンセをつくるという意味ではコンセプトが近い.専用音源を購入し,自分の好きなシンセプラグインを加えるという法則は90年終わりの頃に各社がハード基板で作成していたプラグインシステムというかたちで存在したわけで"RECEPTOR"はまさにそのシステムがメーカーという枠組みを超え,自由度が増した現代版といえる.結論からいえば今までの楽器に新しいカテゴリーが増えると考えてよいのではないだろうか.ステージピアノは必要な音色を直ぐ呼び出せるかわりに音を加工する自由度が低い.PCM系シンセサイザーはプリセットが膨大で,急な音色要り用時には,ある程度音色を把握しておく必要があるが音を加工するという意味では特化している.そして今後展開されるであろう次世代シンセサイザー.プラグインホスト(色々な呼び名がある模様)は独自の音を持っていないためソフトは自分で探しインストールする必要があるわけだが(プリインストールされているものもあるためあけたらすぐに演奏できるものもある)その自由度が音を作り出す無限の可能性を持っているといえよう.ともあれ,それぞれ長所と短所があるわけで決して最高峰は存在しない.生産コストが下がり,アップデートもソフトウェアという手軽さから容易に可能.ただ,メーカーとしてどちらがいいのかは難しい(回路屋の仕事が他シフトするもソフト屋の仕事が増えそう)ユーザーとしては好きな鍵盤と好きな音源を手軽に持ち出せるという意味で非常に自由度が高くなったといえるが,この市場が大きく展開するか否かは正直まだ判らない.メーカーとしても採算をどこで取るのかが難しいし,自分たち独自の"音"はもちろん楽器の"売り"が不鮮明になる危険性がある.また,ユーザー側としてもVSTプラグインという特性を知る必要があるし,どのソフトシンセがどのような特徴を持っているのかを熟知して初めてインストールをして使用できるというある意味ではわずらわしさが付きまとう.遅かれ早かれ何れVSTをハードウェアに用いたハイブリットは必ず投入されることになる.DSPの中で複数のプラグインエフェクトが動作するZoomのマルチストンプエフェクターやレコーディング補助エフェクトをDSPで実現しているMR816などのオーディオインターフェースが市場に受け入れられ,その技術をエンドユーザーが称賛している通り,ユーザーは手軽にソフトエミュレートを用いたシステムの自由度と手軽さを間違いなく求めているからだ.将来的にどのような形になるかは判らないが,まずは通常のPCMシンセにモデリング音源が自由に組み替え出来る仕組みは市場のハイエンドクラスに投入されるのではないかと想像出来るわけだが(既に各社,独自の音源を差し替えられるという近い仕組みを導入したシンセがある),それが"VST"というソフトの受け皿へと変更されていくか否かは現段階では予測不能.ただ,技術的実現が可能なことは"RECEPTOR"がものがったっていることは言うまでもない.自由度が高い分,玄人向けかつマニアックな機器になってしまったこの手の機器は市場で受け入れられるのか,またソフトウェアを受ける箱をつくる羽目になるかもしれないメーカー各社がこの大人の事情をどうとらえるかが今後のシンセ業界の注目点と言えるのではないかと私は思う.
August 1, 2013
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