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インサーション調整部分でも記載したセンド/リターン端子のようなものである.出力部分にあるセンド/リターン端子は基本的にチャンネルミックスされた後段に挿める形で存在することが多い.扱い方は同じだがミキサー内部ミックス音→外部エフェクト→ミキサー出力端子という構成になるため,個々のチャンネル毎にレベルコントロールすることはできないうえ,エフェクトによる音量増加(ダイナミクス系はもちろんリバーブやディレイといった空間系も原音のコピーが加わるため実質音量が増加する場合がある)出力レベルを気にしないと過大出力になって歪んでしまう可能性があるので注意が必要だ.モデルによってはインサーション後にレベルインディケータへ送られるものもある.詳しくはブロックダイヤログ等を確認してほしい.内臓型インサーションエフェクト外部のインサーションエフェクトと考え方は同じである.各チャンネルからのセンドレベルを調節できるものは調整部分の説明と同意.接続詳細は仕様書のブロックダイヤログ等を確認してほしい.トータルエフェクトインサーション同様,チャンネルミックスの後段にあるエフェクタ.最近ではアナログでもDSPのマルチエフェクタが内蔵されているケースが多い.一般的にはグラフィックイコライザーやダイナミクス系のエフェクターを内蔵している.インサーションで記述したもの同様,過大出力になって歪んでしまう可能性があるので注意して扱ってほしい.イコライザーに関しては調整部分で記述した通りだが,ここでのグラフィックイコライザの目的は音場をまとめる用と考えるのが妥当.『ミックスはいいんだけどどこかの周波数が多めに聞こえてきてバランスが悪い』とか,『ある特定周波数でフィードバックやハウリングが発生するけど原因がどうやらメインスピーカからの出戻りのようである』など出力端で少しいじれば改善できるところを極所的にコントロールしたいときに使うのがベストである.~ブレイクタイム~周波数別のレベル確認は非常に困難で,耳で聞き分けるためには熟練の能力が必要不可欠である.もちろん,そこには好み等もあり人それぞれの主観は定義できるものではない.ただし,統一させるべく便利なツールもある.それが音声用のスペクトラムアナライザーともいうべくPHONIC社のPAA3である.筆者も出先へは必ず持ち込むようにしている.要は現状の音が可聴範囲である20Hz~20kHz間でどの周波数にどのくらいの音圧が含まれているかを可視化できるツールである.これを使うとフィードバックする周波数も一目瞭然.わかりにくい低音の音溜まりもピンポイントに周波数が特定できて非常に便利なのである.最終ミックスもフラットなものにするとき等,目安になる.ただし,気を付けなければならないのは周波数対音圧で表示されているものをそのまま横均一を目指してしまうと聴感上は4KHz周辺が大きくなってしまう.これには等ラウドネス曲線など複雑な理論が絡んでくるのでイメージで覚えておいてほしい.人の耳は周波数によって感度が異なる.低・高音はもともと聞こえにくく3~5KHzあたりは聞き取りやすいのである.この法則は出力音量によっても多少前後するため,現場のケースによってレベル差も変わるといってよいと思う.ラウドネスメータと呼ばれるラウドネスレベルを視覚化できるツールもあるにはあるが残念ながらハードウェア機器は一般ツールとして入手できる代物ではない.現場でもオーディオインターフェースを用いてマスタリングソフト等に付属するツールを用いるケースすらあるが,これをどこでも再現するのはいささか大変である.脱線してしまったが,トータルエフェクトはこのように出音そのものを左右する位置にある.ミキサーの一部といっても過言ではないのだ.使い方を誤れば,それまで作り上げたミックスの過程そのものを崩してしまいかねないため,気を付けて使用してほしい.わからないならやみくもに使わず封印するのも間違った選択ではないだろう.BUS,AUXバスやオグジュアリアウトはいわばサブ出力端子である.基本的にはメインアウトとは別系統として用いるわけだが,サブウーファの説明でも述べた通り,メインアウトの補助として用いることもできる.バス等のサブ出力ポートは各チャンネル毎にレベル調整ができる仕様となっている.機器の規模によって自由度はまちまちだが,ライブハウスでステージモニタスピーカの音量を個別に扱う場合などに使用するのもこのポートである.また,これらのサブ出力が非常に多くのチャンネル数を誇る機器ではMTR(マルチトラックレコーダ)にパラで接続してレコーディングポートとして用いることもある.その他に,エフェクタへつなげばインサーションのセンドとしても扱うことができるため,センドチャンネルが足らないときに活用ができる(Returnはオーディオトラックとして空いているチャンネルに入れればよい)バスの数が多ければもしもの時に役に立つといえるだろう.モニターアウトメインミックスと同等のものが出力されることが多い.基本的にはレコーディング等でモニタスピーカを別の部屋に置いたりするときに用いる.メインとヴォリュームが分かれているのであればトータルリバーブを挿してインサーションとして使うこともできるだろう.また,EQを接続してコンプレッサのピーク調整用音源として用いる等も可能である.CD(TAPE)IN主に,BGM再生等に用いるデッキ各種を接続するポートである.一般的にRCAで接続するタイプが多く,コントロール部分にあたる回路は直接通らず出力端に存在しているため,機種によって色々な法則や制限がある.仕様書を確認して使用してほしい.REC OUTメインアウト直近にある出力でRCAで接続するタイプが多い.2chでの録音時に用いることができる.ライブハウス等でしばしば見受けられる"ラインアウト録音"によるCD配布やDVD作成にはこれが用いられていることが多い.ヘッドフォンアウト基本的にメインアウトをヘッドフォンで聞けるようにした端子.細かくエディットするために用いることが多いため,ヘッドフォン専用に各チャンネル毎ミュート等の機能を備えている機種もある.以上が出力部分についてのまとめである.ここに記載されている以外にもディジタルI/OやI/F等があるモデルもあるだろう.入力,調整,出力における基本的な流れは変わらないのでわからない箇所は仕様書をよく確認して使用してほしい.最近ではカテゴリー5や6のケーブルを用いて最大100mを伝送できるマルチボックス等が利用可能なモデルもある.規格が変わっても臆せず,用途に合わせて臨機応変に各種技術を扱えるようになってほしい.ここまで,色々な理論を並べて理屈の上でも効率の良い解釈の仕方を紹介したつもりである.ただ,いかなる場合でもミックスの決め手は聴感が最も重要であることを忘れないでほしい.本内容に最後までお付き合いいただいた皆様に感謝する.あなたにとって,素敵なPAライフを送れる手助けになっていれば幸いである.
December 24, 2013
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第三章出力部分調整部分では音の定位や音量について各チャンネルごとに整えてきた.出力部分ではそれらをスピーカやアウトボード(エフェクター等の外部機器)とのつながりを含めた使い方を紐解いていこうと思う.尚,本章では入力時同様に物理的な計算が多用される個所もたくさんある.某Q&Aサイトなどでは公式なしでざっくり計算された値だけの回答や正確には正しくない(そのケースだけに則った回答等含む)表現がされていることもあるので注意してほしい.出力部分の構成ほとんど,前章の調整部分で解説してしまったのでかぶっている部分もある.調整部分は入出力をコントロールする部分でもあるので密接であるため,ご了承願いたい.・メインアウト:ミキサーの出力用にコントロールした全パラメータを生かした音が出てくる出力.・SUB:サブウーファー用端子.出力端のチャンネルミックス音を低域のみにローパスした出力にして出すものが多い.・インサーション:出力端等にエフェクトを挿むための端子.場合によっては各ソース毎に割り振れるものもある.詳しくはブロックダイヤログを参照.・内臓型インサーションエフェクト:各チャンネルからのセンドレベルに合わせて使用できる内臓エフェクト.考え方はインサーションエフェクトと同じ.一般的には空間系を装備していることが多い・トータルエフェクト:出力端に内臓されているエフェクト.メインアウトから他のエフェクトにつなぐのと同等の位置づけ.一般的にはグラフィックイコライザーやコンプレッサまたリミッターといったダイナミクス系を装備していることが多い・BUS,AUX:メインアウト以外に出力できるアウトプット.各チャンネル毎に音量を決められる場合は,モニタースピーカ用の出力として用いられるケースが多い.・モニターアウト:出力のモニタリングと解釈してメインアウト(トータルエフェクト前段等)と同じミックスが出てくるものがある.基本はBUS,AUXと同じ.・CD(TAPE)IN:出力端にスループットとして備え付けられている入力端子.外部の再生機(CD,MD,DAT,DVD,BD他)等,エフェクトなどを通さずにつなぐ機器専用のポート.・REC OUT:2chミックス直後の音を外部のレコーダへつなぐためのポート.・ヘッドフォンアウト:メインアウトをヘッドフォンで視聴するためにインピーダンス調整した端子.基本的には出力全般と内外部のエフェクトを接続,コントロールする箇所と解釈できるわけだが,逆に言う出力数を決めている箇所といえる.メインアウトは一般的に2chステレオ+サブウーファー1~2(ホームシアター用語では2.1ch等と置き換えられたりできるだろうか)で構成されることが多い.最近ではディジタルミキサーの機能で5.1chや7.1ch出力が可能なものもあるが,ここでは基本的に2chステレオ出力を例にする.メインアウトメインスピーカから出す用の出力端子である.最終的な2chミックスを作り出している箇所といえるため,フルレンジスピーカを接続するのが一般的.出力にはパワードタイプと呼ばれるアンプ内蔵していないスピーカへ音声を送れるアンプ内蔵型のミキサーと通常のオーディオ信号が出力されるミキサーがある.オーディオ信号が出るミキサーの場合はメインアウト→パワーアンプ→スピーカでパワードミキサーの出力信号と同じ状態になる.この時に気を付けないといけないのがインピーダンス(Ω)数と電力(W)である.スピーカやパワーアンプまたパワードミキサーには必ず4Ω250Wとか記載されている.インピーダンス同様に出し側(パワーアンプ)は受け側(スピーカ)の許容を超えてはいけない.例えばスピーカが4Ω時800Wまでの時パワーアンプが4Ω時250Wなら問題ないわけだが逆に同じスピーカにパワーアンプが4Ω時1000Wで出力最大にしてつないでしまうと出力オーバー時にはスピーカが破損(発煙,発火を伴う場合がある)してしまうことになる.スピーカの振動を司る中央部は平気で100度を超えたりするため,非常に危険である.オーム数に関しても同じでパワーアンプ(例:4Ω)>スピーカ(例:2.66Ω)の場合パワーアンプに必要以上の負荷がかかってしまい破損に至る可能性が出てくる.内部のトランス等が発火したりした場合,部品総取り替えでも直せないなんてオチになりかねない.入力部分のインピーダンスマッチングと同じ考え方なので注意してほしい.また,ライブハウスなどのフロアスピーカでもカスケード的に1つのアンプから2つのスピーカへつないで出力を稼いだりすることがある(並列接続)つなぐ機器が増えれば電気的なオーム数が変化するのは何となく理解できるだろうか?このオーム数の計算がややこしい(作法を覚えてしまえば計算機1つで解決できる!!)aスピーカとbスピーカを並列で1つのアンプからつなぐ場合は以下の公式で求められる(並列スピーカを1つのスピーカと考えた場合のオーム数が=xになる)x=(a*b)/(a+b)分母が小さいので元の数字より小さくなるのは想像つくだろうか.簡単に例題をやってみるとこんな感じである.イ)4=(8*8)/(8+8)ロ)2.66...=(4*8)/(4+8)ハ)5.33...=(16*8)/(16+8)この計算を見れば何となく同じオーム数値のスピーカを偶数個でつなぐと計算しやすいのがわかるだろうか(これを踏まえ一般的に現場では同オーム数を偶数個接続する)アリーナや野外特設ステージ等で巨大なスピーカラックを見たときにこれを知っている人は,事前に相当綿密な計算をしていることが想像できると思う.ちなみに,オーム数値はそのまま出力効率と考えることができる.仮に4Ωのアンプに上記イ,ロ,ハをつなぐとこんな感じである.(アンプオーム数/スピーカの合成オーム数)※出力効率はパーセンテージ表記であれば×100イ)4/4=1 出力効率100%ロ)4/2.66=1.50 出力効率150%ハ)4/5.33=0.75 出力効率75%ここで注目してほしいのはロ)の出力効率が150%である.これはアンプが最大出力時,ロ)のスピーカセッティングでは50%も多く負荷がかかるということになる.もしかするとオーバーロードでパワーアンプが破損したりするかもしれない.故に,ここで使える組み合わせはイ)とハ)になるわけだが,ハ)はアンプを最大にしても能力の75%しか使っていないことになる.音量が足りているのであれば問題はないのだが,それでも音量が足りないのであれば損失している25%を何とか稼ぎたいものである.ではイ)はどうだろうか.損失量で言えばゼロということになる.アンプの最大=スピーカの最大ということは非常に効率が良いことになる.ただし,気を付けないといけないのはパワーアンプとしてはギリギリでマージンゼロとも取れる.設計値的な記載内容が個体差でバラつくことはないはずなので破損になることがあればクレームものではあるのだが,少しでも安心したいのであればパワーアンプの出力を1dBとか下げてマージンを稼げばよいと思う.ミキサーという観点からは脱線してしまったわけだが,メイン出力はメインスピーカに直結する部分であり,パワーアンプのことを考えなければならないのである(パワードミキサーの場合はミキサーにアンプも内臓されているので当然考える必要がある)尚,パワーアンプにおけるワット数の数値にはRMSとMAX(プログラムと記載されるケースもある)の2通りの記載がある.~Photo~500W(RMS) Input 880Hz Sine Waveこのグラフを見るとわかる通り音声波形はACと考えられ,振幅が開始されている中心500のメモリ位置がRMS,1000の位置が最大値(MAX)と読めるのである.なので,アンプに500W(RMS)と書かれている場合は,特別な記載がない限り下:0W,上:1000Wということになる.スピーカの最大許容が仮に500W(Max)の機材だったら完全にNGなのがわかるだろうか.これらも考慮してつながなければいけないことになる.ちなみに,直/並列接続時の出力電圧に関してはスピーカの数分だけ合計と考えるため公式にするまでもなく以下の通り加算合計になる.例:a→500W,b→250W,c→150W,d→300W x=a+b+c+d 500+250+150+300∴1200Wもちろん,前述した通りアンプ(出し側)の電力 < スピーカ(受け側)の電力はしっかり守らないと最悪の場合スピーカが発煙,発火する可能性もあるので注意してほしい.メインアウトというより,パワーアンプとスピーカについての解説になってしまったが,結局は音を出すための出力ポートであるため知っておかなければならないことではあるのだ.仮に,モニタースピーカにつなぐミキサーとして考える場合はあまり関係のない話かもしれない.尚,出力端子はXLRやTRSまたTSやRCAと用途に合わせて色々形状が異なる.入力部分の応用で考えれば迷うことはないだろう.SUBモデルによって名称が異なることもあるかもしれない.このポートはサブウーファ(超低音)等の特化型スピーカ専用の出力ポートである(機種によってはウーファーやツイータまたスーパーツイータ等の専用ポートを持つ場合もある)※以下,現場でよく用いられるサブウーファだけに焦点を当てて説明するサブウーファとは低音出力に特化したスピーカのことでホールやアリーナまたクラブなど音が分散してしまいがちな場所で用いられることが多い.ホームシアターなどでも○.1ch等と記載されているものはサブウーファーが付いているという意味になる.サブウーファーは基本的に120Hz以下だとか80Hz以下を出力することに特化している.逆に言うと通常のスピーカで低周波までカバーするのは大変なのだ(ラウドネスの観点から考えれば想像つくだろう)ミキサーについているサブウーファー専用出力はこれらを踏まえて2ミックスされた箇所の音源をモノラル化しローパスフィルター(ハイカット)を通して出力しているのが最もポピュラーである.サブウーファーのモデルによってはアンプ内蔵かつこのローパスフィルター内臓のものもあり,通常のBUSからの音源でもLowのみを出してくれるものもある.エフェクト等の効果により輪郭を失った音源にてLowに回り込むのを防ぐ場合は特定の楽器のみをBUSへ送ってこのようなサブウーファーにLow専用音源を送る裏ワザもあるだろう.音場の状態を見ながら機材を選び,試行錯誤するのもありかもしれない.後半へ続く
December 23, 2013
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その他のレベル上記以外でのレベル調節に用いる箇所である.ミキサーによって呼びなが変わったりすることもあるので仕様書と照らし合わせて目的にあった使い方をしよう.・EFXこれは各チャンネルの音を内臓エフェクトへ送るレベルを決める箇所である.最近はコンパクトのアナログミキサーでもDSPで実現するディジタルエフェクトを内臓しているものがたくさんある.EFXセンド(ここでのセンドとは送り出しの意味)をコントロールするとエフェクトにこの音をどのくらい送るかを決めることができるので別途あるエフェクトのヴォリュームを上げると各チャンネルのセンド量に応じてエフェクトがかかる仕組みである.基本的に内臓エフェクトはL/Rに50/50で送られているため左右バランスは決められないことが多いが,ほとんどの場合リバーブやディレイ等の空間系であるため音量バランスのみで十分使える.ものによってはコーラス,フランジャー,フェーザー(左記は設定値違いで呼び名が変わっているモジュレーション系統のエフェクト)等,多種多様に使えるものもあるので臨機応変に活用しよう.・BUS,AUXバスやオグジュアリアウトセンドはマスターとは別にミックスした音を鳴らす場合に用いるポートであるYAMAHA製のアナログミキサーだと型番に12/4などと書いてあったりするがこれは12ch入力4chサブ出力を意味しているのである.活用方法としてはマスターアウト→マスタースピーカバスorオグジュアリアウト→各種モニタースピーカとつなげばよい.例えばBUS1にキーボードを返してくれと言われたらキーボードチャンネルにあるBUS1ツマミを+方向へ傾ければよい小型のミキサーではBUS1/2がつまみ1つでコントロールできるようになっていて,片方にしか送り出せないものもある.詳しくはミキサーの仕様書を見て判断してほしい.また,AUXは外部エフェクト用のセンドポートとして用いられることもある.外部エフェクターの入力にAUXを挿すとAUXのレベルが上記EFXセンドと同じ役割になる.Return端子がないモデルはEFX用にチャンネルを確保してエフェクトチャンネルとしてヴォリュームを決めればよい(例:エフェクターアウト→10/11ch)この時,出力インピーダンスと入力インピーダンスに気を付けてほしい.ギター用のコンパクトエフェクターなどは基本的にHiZ入力専用で作っているためそのままAUXに挿しても出てくる音量が小さかったりしてしまうので仕様書と照らし合わせてインピーダンスマッチングさせて使用を心掛けよう.・INSERTAUXでのエフェクト接続と同じ考え方.ただし,各チャンネルにあるINSERT端子やINSERTセンドレベルは個々のチャンネル専用のものである.INSERT端子は基本的にYケーブルという入力部分で紹介したT=OUT,R=Return,S=GNDでの接続であることが多い.OUT端子→エフェクトインプット/エフェクトアウト→RETURN端子で接続すれば専用エフェクトを通した音がチャンネルに流れてくる.詳しくはブロックダイヤグラム等を参照にしてほしいが基本的には入力インピーダンス調整後の音→InsertEFX→Volumeといった感じで間に差し込むイメージである.コンプレッサやリミッターなどダイナミクス系のエフェクトを挿すのがベターである.AUXで紹介した内容同様にインピーダンスに注意してほしい.以上が,調整部分の紹介である.個々の役割を説明したのみでほとんど説明書と同じ感じになってしまったかもしれないがあくまでここでは最低限の理論と"耳"が重要である.各箇所の役割がわかったら耳で確認しながらなるべく音を削って調節してほしい.次回は,出力部分について簡単に説明したいと思う.
December 22, 2013
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第二章調整部分入力部分ではインピーダンスマッチングやレベル調節など音声信号に密着した非常にアカデミックな内容となってしまった.すべてを理解しているあなたは,ほとんどミキサーを的確に扱えるといっても過言ではないかもしれない.本章ではより音楽的な部分についての説明をしていきたいと思う.コントロール部分の構成・HPF: ハイパスフィルター(またはローカット)80Hz以下や120Hz以下など音声の低帯域をカットするためのスイッチ.ボーカルマイクなど低音が溜まって悪さをする箇所は初めからカットしておける.・EQ:アナログであれば2~4バンド程度の周波数固定タイプイコライザーがついている.ディジタルだと周波数などが細かく決められるパラメトリック仕様になっていることが多い.・PAN:パンニングとは右にあるのか左にあるのか等,音の定位を決めるもの.出力がステレオでないミキサーの場合は省かれている.・Volume:ヴォリュームとはチャンネルごとの音量を決める部分.ディジタルの一部にはムービングフェーダーと呼ばれるモーターで設定位置に自動移動できるものもある.コンパクトな簡易ミキサーではツマミで代用される.・EFX,BUS,AUX,INSERT:エフェクトレベル,バスレベル,オグジュアリアウトそしてインサーションI/Oと各種入出力へ送るレベル設定箇所.ミキサーの取扱説明書には必ずブロックダイヤグラムなどがついているため,各種つまみは信号がどの状態で扱うものか一目できる.それに基づいて各レベルをコントロールする.エフェクトや別ミックスのモニタースピーカなどを使用しないのであればもちろんレベル調節の必要はない簡単な注釈とともに各項目を列挙したわけだが,モデルによってはもっと複雑なものもあるかもしれない(最近は入力端にコンプレッサ等が入っているモデルもあるため)いずれも,やみくもにいじるのではなく理屈がある程度あったうえで扱わないと出音が崩壊するので気を付けて欲しい.この調節は理論こそあるものの,その先は音場によってケースバイケースになるため,自分の耳だけが頼りである.ヘッドフォンでしっかり作りこんでも会場でなっている他のインストアンプやモニタースピーカなどによっても出かたは変わるし,ハコ鳴りによって反響感も全然変わる.もっと言えば集客が多いと布に音が吸収されてしまい周波数成分や反響成分が全く異なってしまうこともある.これらは自己の耳を頼りに細かくエディットする必要があるので調整部分で必要な能力は入力部分と打って変わって理論以上の聴感能力,すなわち音を聞き分ける能力ということになる.逆に言うとここに書けることでは解決しないという何とも企画潰しな話なのだが,一応は理論的に解釈できる部分の説明は可能なのでそれらを紹介していきたいと思う.HPFとEQローディーさんが"She-Ha-Har,Check-One-Two"とマイクを持って発音しながらモニタースピーカのまわりをまわっている様子を見たことがあるだろうか?これは音の鳴り,すなわち音場の周波数特性を調べているのである.また,一度収音された音が各スピーカから鳴りスピーカからの音までもがマイクで収録されて発生してしまうハウリングを防ぐためにも行っている.熟練のローディーさんになるとこのテスト発音で「1.2kあたりを-2dB」とか指示が出せるのだ.ハイパスフィルターやEQ(イコライザー)はそこで役に立つ.基本的に人の声平均で300~800Hz程度(P-Pでは100~1.6k位まで)でありそれ以下またはそれ以上の周波数は逆に言うと不要成分となる.ただし,高域には倍音成分が発生していることがあり削りすぎると音が細くなりすぎてしまうため全カットはしない.逆に低域というのは非常に音場の中で溜まる(周波数成分が多く出る)ことがあるのである.故に,マイクからの収録音で,特に低域があまり出すぎてほしくないヴォーカルパートなどでは最初から80Hzや120Hz以下をカットすることが一般的である.もちろん,音場に合わせて設定するためハイパスを使用しないこともまれにある.これ自体は出音を聞いて判断する必要があるため経験則が必須である.最近は簡易の音声帯域専用のスペクトラムアナライザも存在し,ある程度は目で周波数特性を追うことができるようになったが,出音を確認せずに調節するのは味見をしないで料理を作ることと同等である.ハイパスフィルターではLowを右肩上がりにカット(ローシェルビング等という)するわけだが,各種EQは極所的にコントロールするために使用する.機種によって設定されている周波数は異なるが3バンド程度であれば一般的にHi→10kHz(ハイシェルビング),Mid→2.5kHz(ピーキング※テント型に変化),Low→100Hz(ローシェルビング)あたりで設定されていることが多い.基本的にはやみくもにいじらないことが重要で聴感上でも視感上でもできる限り均一になるように"削っていく"のが基本である.尚,マイクのハウリングをこのEQで押さえることもできるが,周波数を変えられない固定EQだと非常に難しい.この調節にはトータルEQでもできるためフラットな音作り用と割り切って使うのもありかもしれない(ただし,トータルEQは出音に影響を与えるためできる限り各チャンネル毎に解消しておくことが望ましい)いずれにしても機材によってケースバイケースでの対応が迫られると思う.ディジタルミキサーで各チャンネル毎にパラメトリックEQがあったりアナログでも4-5ポジションEQでピーキングの周波数が移動できるなどの自由度が高い場合はそこで細かくエディットしてしまうのがベストである.このように,ミキシングコンソール内でのEQは外的要因などを鎮圧させたりするものであり,楽器個々の音質調整用では決してない(むしろ,ミキサーに入ってきた音を大きくコントロールすることは極めて難しい)よくある『ベースアンプのダイレクトをミキサーに送ってもらったらブーミー(ブースとしすぎ)で困った』とかをミキサーでコントロールするのが極めて難しいことが理解できるだろうか?基本的にDIで生音を卓に送りたがるPAはこの辺を懸念してのことであることをご承知いただきたい.どうしても,アンプサウンドを卓に送りたいのであれば最低限ミックスで困ることのない出音での提供を心掛けられる奏者にならなければならないことになるが不特定多数の奏者が混在する対バンでは難しいことである.入力から出力に至るまで頭を巡らせてどこで調節するのが最適かを把握するためにも調整部分ではあくまでフラットからのコントロールを心掛けよう.Panパンニングのことで音の定位を決めるための部分である.5.1chなどになると複雑だが2chであれば基本はL~Rの間で決めるものである.上記は一例である.会場では客席にインストスピーカが向いている等,メインスピーカ以外での発音があったりするため,つまみの位置がズバリ会場での鳴り位置になるとは限らない.左右バランスが悪ければ時には左にいるギターの1人を右に移すこともあるため見た目に翻弄されない出音重視のセッティングが基本である.昔の音源ではJazzバーの雰囲気を出すためにドラムがやや右,ピアノがやや左等の意図的なパンニングもある.あくまでケースバイケースなので違和感になり過ぎないレベルで会場の位置関係に合わせるというのももちろんいいだろう.また,たとえば中央にばかり集中してしまうとこじんまりしてしまったりするので,広がりを持たせるために大きくパンニングすることもある.これも,ケースバイケースである.尚,パンというのは基本的に左右の音量バランスで作り上げるものである.故に中央なら50/50(音量五分で左右どちらからも鳴る状態)左全開なら左100/右0,右全開なら左0/右100といった感じである.空間エフェクトとしてのDeleyを応用するなら原音を70/30の位置にしてインサートのDeleyを30/70にすると左右バランスを崩さずに原音を左にずらすことができるという手法が使える.このようにエフェクトを考慮したパンニングも技の一つである.Volume各チャンネルの音量レベルを決める箇所である.コンパクトなものであればツマミタイプ,大型のものであればフェーダータイプが採用されている.また,ディジタルミキサーの一部にはムービングフェーダーと呼ばれるモーターが仕込まれているものもある(おそらく初-中級者のほとんどはこれにあこがれるのではないかと思うが実際使ってみるとアクセススピードが上がりはするが絶対必要かどうかはチャンネル数などによると私は思ってしまう)出音のレベル調整なので一番わかりやすい個所ではある.ただ,初心者にありがちなのは聞こえない音をどんどん上げてしまうということ.基本的にEQでも話した通りレベルは上げる方向に考えるのではなく下げる方向に考えるのが鉄則である.また,音量に限ってはいきなり0db付近に持ってくると何かトラブルがあったとき(たとえばマイクが落下したとかケーブルが抜けたとか)爆音が出かねない.未使用チャンネルは-∞(音量ゼロ)またはMUTEボタンがあるモデルではMUTEしておく必要がある.小会場でよくあるのは外音にほとんど反映させていないドラムが爆音過ぎてヴォーカルやキーボードが隠れてしまうという現象.基本的にはPAではどうすることもできなくなってしまうので周りの音量を無理にあげるのではなく時には奏者に遠慮してもらうよう配慮するのもPAの仕事であることを覚えておいてほしい(ほとんど嫌われ役ではある)なお,音量ではどうしても解決できない問題がある.それはどう頑張っても楽器毎に音量差があるということから生まれる埋もれである.ヴォーカルマイクはどんなに頑張っても人の声が出せる範囲が限界でありギターアンプのように出力の限り上げられるわけではない.同じマイクで収音すればフェーダーがVocal→+12dB,Gtr→-30dBでもフラットなバランスにならないかもしれない.これには限界があるということを覚えておいてほしい.そしてそんなときに役に立つのが前述で出てきたEQである.EQとは特定周波数を持ち上げたり削ったりするいわばフィルターみたいなものである.と,いうことは特徴付けをコントロールする応用が可能なのだ.たとえばギターもヴォーカルも500Hzあたりが溜まってしまってどうしてもVocalが引っ込んでしまうならギターの500Hz周辺を削りだし,Vocalの500Hzあたりを少し持ち上げてあげればいい.たったそれだけでヴォリューム据え置きでも音が前に出てくるのだ.ヴォリュームコントロールだけではなくEQを用いた複合技で解決できるようになれば調整部分のプロといっても過言ではないだろう.後半へ続く~
December 21, 2013
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終末問題Q:弾き語りのギターリストがマイクとエレキアコースティックギターそして,リズムマシンを接続したいと言っています.最低何チャンネルのミキサーでどのように接続する必要があるでしょうか?なお,今回ギターはエレアコ内蔵のピックアップからラインで卓へ送る形を指定されていることとします.また,会場はステージ⇔卓間10m以上あり,24chのバランス接続型マルチボックスが常設されています.A:下記の通り~用意するもの~・MIC入力が2~4chとステレオ入力があるミキサー(ファンタム電源あり)・ダイレクトボックス1~3個(ミキサーにファンタムがない場合はパッシヴのもの,1つはステレオ仕様でもOK)・マイク1本(特別指定がないのでダイナミックを使用)接続方法はケースバイケースだが以下が参考例.近い接続を実現できていればOK.ただし違う理由をしっかり言葉にできるように!注意点・マルチが全チャンネルXLRとは限らないが24chバランス接続なのでTRSかXLRでしか接続できないのでミキサーは少なくとも最低3ch以上XLRである必要がある(最少はリズムボックスをモノラルで受ける前提)・HiZ出力のギターからくるラインをXLR型のマルチで卓まで送るためDIが必須・リズムマシンの出力端構造がバランスかアンバランスかの判断できないためDIを用いる(ステレオの指定はない為,最低1ch分を確保)・今回はサウンドホールからギター音を収録しないのでVocal用マイクが1本本章最後に入力部分の解説通り機器によって仕様がまちまちだ.ミキサーを扱うということは逆にいえば全ての接続機器(楽器やマイク)について熟知している必要があるということだ.最低限,わからなければまず仕様書を読む!これは癖にしておいて欲しい.この章を読み終わったあなたは以下の意味が完全にわかるはずだ.わからない場合は理解できるまで調べ読み返して次の章に移っていただきたい.PA屋のつぶやき・マイクの出力インピーダンスが600Ωで端子はXLRコネクタなのでXLRケーブルを使う・ミキサー側もXLRコネクタがある場合はXLR端子を使用.ただし,マイクの出力インピーダンスが600Ωに対し機器側の入力インピーダンスが2.5kΩなので多少減衰する可能性があるためGAINを少し上げ目にしてからレベル調節をする必要がある可能性がある(ピーク用のパイロットランプを参考にS/N比が少なくなるようGAINはなるべくギリギリまで上げる)・マイクも1992年以前に製造されている可能性があるためHOT/COLDが反転しているとも考えられるため位相反転をするかどうか注意して出音を確認するetc...これらの事が瞬時に現場で頭に浮かぶまたは行動に出る人は初めて入力のプロになれるだろう.PA屋は思いのほか勉学家でなければならないといえるのかもしれない.次回はミキサーの中心部分である調整部分について見ていきたいと思う.
December 20, 2013
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次に,各コネクタについて説明していく.表に戻ってもらうとその種類の多さに愕然とするかもしれないが問題なのはコネクタの種類ではなく接続ケーブルが同じでも扱い方が変わるということが多々あることやレベル差によって扱い方が異なるということなのだ.アナログとディジタルの表をみて気がついた方がいるかもしれないが既に音声方式の間でもXLRは両方に使われている.端子自体やケーブルは基本的に同じだが信号そのものが違うので挿さるからと言って受け側のマイクライン用XLR端子にAES/EBUの信号を入力させればたちまち異音が発生,場合によってはスピーカ等が破損することもある.端子の形状を知ると,なんだか使える気になってしまうのだがミキサー,PA屋の奥深さはその内部の信号を扱う受け側と出し側の機器を理解しなければならないということにあるのだ.決してド素人には触れられないところなのでしっかり理解して最低限のルールは覚えておこう.各種コネクタケーブル選定時に必要な図なのでケーブルのオス/メスの形状や内部配線の構造を覚えておき適切な接続をしよう.・XLRコネクタ:お馴染なマイクケーブル等で接続して扱うことが多いコネクタケーブルになる.XLRコネクタは俗にキャノンコネクタとも呼ばれているがキャノンとはメーカー名であるITT CANNONのこと(現場ではどちらでも通じるので特別意識する必要はないが雑学程度に)3ピンの線でそれぞれ独立してつながっている.ディジタル用のものだと110Ωにインピーダンスマッチされて設計されており内部配線もツイストペアになっているピンがある等,通常のアナログケーブルとは構造が違う(値段もその分高い)※アナログの音声接続時,ケーブル自体のインピーダンスは音声に影響をほとんど与えないので設計自体で定義されていない.ディジタル用をアナログに用いても問題はない.PA用ミキサーのアナログ入力部分にはこのXLRコネクタで構成されていることがしばしばある.その理由はXLRはバランス接続と呼ばれる特殊な構成で成り立っており平たく言えば外来ノイズに強い仕組みになっているためだ.特に,スタジオやホールでは各楽器とミキサーとの距離が10mも20mも場合によっては50mも100mも離れていることがあるため必然的にケーブルが長くなるのだ.ギターなどに使われるフォンケーブル(アンバランス接続)では外来ノイズの影響が激しくてブーとかザーという音がひどすぎて演奏どころではなくなってしまうためDI等の変換器を中継してベース等のアンバランス信号→バランスに変換しXLRでミキサーまで送るという方法が用いられているというわけだ.アナログ音声信号であれば代表的なマイク接続やDI接続時に用いられており,信号も入力インピーダンスが100~10kΩ程度,出力インピーダンスが100~600Ω程度だ.各3ピンは,1pinがGND,2pinがHot(正相),3pinがCOLD(逆相)と定義されている(1992年より前のミキサーやマイク等には2pinと3pinが逆転しているものもあるので注意,DIやミキサーにある位相反転スイッチ(以降SW)はもともとこのようなイレギュラーを防ぐために付いていた.現場でケーブルチェックすることがあっても各種機材の回路構成までは見ることができないのでほとんどは聴感上での判断だ.違和感があれば反転といった使われ方になる)尚,変換コネクタや特殊ケーブル(例えば破格のXLRのバランス-TSフォンのアンバランス)などでは形状がこの類ではない場合がある.素性が分からない怪しいケーブルはなるべく避けよう・TRS(接続機器の使い方により異なる):TRSとはTip⇒先端,Ring⇒中央の輪,Sleeve⇒根元の略称だ.インピーダンスの説明時に接続機器の使い方により異なると記載したが,これはTRSのラインをどのように使うかによって異なるということを示している(XLRも同じではあるのだが基本はマイクやそれらに合わせたインピーダンスで用いられることが多いので補足しない)代表的なものではヘッドフォンのステレオ端子もTRS.ただし,T=Left ch,R=Right ch,S=GNDと使われており,言わば2chの信号と1つのグランドから成り立っている使い方になる.この接続方法からしばしばステレオフォンプラグと言われている.もうひとつの例としてはXLRと同じバランス接続だ.T⇒Hot,R⇒COLD(逆もある),S⇒GNDという使い方になる.お分かりの通りステレオ仕様とは全く構成が異なりこちらは信号としては1chしか扱えないのだがバランス接続なのでXLR同様外来ノイズに強いということになる(接続出来る機器の出力インピーダンスがマイクと異なる事があるので接続時には過大入力にならないよう取り扱に注意)ミキサーのインサーション端子や入力端子にもしばしば使われているがインサーションの場合はT=Out ch,R=Return(逆もある) ch,S=GNDで入力端子の場合はXLR同様のT⇒Hot,R⇒COLD(逆もある),S⇒GNDである.入力端子の場合,ミキサーの内部回路側で保護していたりするとその端子に次に紹介するTSを挿すこともできる機種がある.その場合は仕様書に"バランス/アンバランス"どちらでも挿せる旨が記載されているはずなのでTRSバランスフォン等と記載されている場合は形状が似ているからと言ってTSフォンを挿すなどしてはいけない(強引にRing側をSleeveにつなぐ形になるため故障の原因になる場合がある)形状:1/4"標準TRSフォーンコネクタ(φ6.3mm),1/8"ミニTRSフォーンコネクタ(φ3.5mm),等・TS(HiZなら入1M程度,出15k程度):TRSのRingなし版だ.必然的にGNDで1系統使ってしまうのでもう一系統は通常の信号ということになる.XLRやTRSで出てきたバランス接続(Hot/Cold)が実現しない為,対比表現としてアンバランス接続と言われることがある.代表例としてはギターやベース等のHiZ機器接続に使われたりキーボードなどの接続に使われたりしている.HiZと記載したのはハイインピーダンスという意味でギター等の場合入力が1MΩ程度,出力が15kΩ程度という非常に高い数値からこのように呼ばれている.尚,キーボードやオーディオ機器をこれと比較してLowインピーダンス機器と言ったりすることもある.ギターやベースのケーブルを俗に"シールド"と言うのはシールド皮膜されたケーブルを用いている為である(TSのSleeve側がケーブルのシールドを使って接続される)脱線してしまったが,このように信号線とシールド線で構成されているフォン型端子をTSという.形状:1/4"標準TSフォーンコネクタ(φ6.3mm),1/8"ミニTSフォーンコネクタ(φ3.5mm),等・RCA:民生機器のアナログ音声接続等の度々使われるピンプラグタイプのもの.DJ機器のアナログ音声もこのタイプが主流である.作法的には白がLeft(左チャンネル)赤がRight(右チャンネル)である.デッキタイプの機器でしばしば使われるためミキサーでもステレオ入力ポートやTAPE IN,REC OUTとして装備していることがある.アナログ接続においてはXLR/TRSフォンなければTSフォンなければRCAというような順番で使われるためミックス作業で使うのはもしもの時の予備ポートと考えられることもある模様.形状がS/PDIFのコアキシャル(同軸)と似ているため混同するが,S/PDIF接続には75Ωにインピーダンスマッチングされたケーブルを使用する.間違ってもアナログRCAピンにコアキシャルOUTからの信号を入れたりしないよう注意してほしい.XLRのAES/EBU同様に最悪の場合スピーカ等が破損する恐れがある.・スピコン:アンプ-スピーカ間の接続やスピーカの並列接続に用いられるコネクタケーブル.入力インピーダンス4Ω~16Ω程度,出力インピーダンス0Ω程度である.スピーカの仕様に合わせてスピーカの許容を絶対に超えないようにセッティングする必要がある(超えると最悪の場合スピーカ等が破損する恐れがある)なお,基本は並列接続しか出来ないが特殊ケーブルで直列接続することも出来る(ギターのキャビネット内部配線は直列も存在するため入力部分のΩ数で確認)尚,今回はミキサーに関連しない為説明を省くがスピーカのインピーダンス計算は単純な加・減・乗・除算ではないので素人は並列接続等をやってはいけない.その他に,DIN端子(MIDIケーブル等に使われている)があるが,音声に直接は関係ないので省略する.必要あれば機材の仕様書を確認してほしい(miniXLRはXLRの小さい版でミキサーではあまり使われないが内部構造はXLRと同等)全て説明した後にこういうことを書くのはよくないかもしれないが,接続コネクタの形状はあくまで形に過ぎない(電気的な話では芯線の太さや形状に対し定格電流とか定格電圧など色々法則があるわけだがオーディオ信号の振幅レベルでは効率うんぬんを除けばどのケーブルもある程度使えてしまう)要は扱っている信号が何で,どういう目的を持って各信号や各配線を接続させなければいけないのかはケーブル内を通る信号の種類によって決まっているのだということである.分からないときは,仕様書を確認し直したりするなどが必要になるため,常に色々な仕様の詳細を押さえておくと便利である.入力に関連する機材端子と信号について理解できたあなたは初めて入力部分に触れることができるといえよう.それでは,ここからは入力を手助けする周辺機器の紹介に移る.既に言葉が出てきている機器もあるので参考にして欲しい.・アッテネータ:ライン出力レベルの信号をマイク入力レベルに変換するなどレベルマッチングを行うべくツール.パワーアッテネータというスピーカ出力信号をラインレベルに変換する機器もある.・ダイレクトボックス:HiZ出力やライン出力レベルの信号をマイク入力レベルに変換する.プリアンプと呼ばれる意図的に音質変化をさせる機能やアンプシミュレータ等のエフェクトが内蔵されているものもある.・パワーアンプ(プリメインアンプ,AVアンプ含む):ライン出力レベルの信号をスピーカ入力レベルへ変換.・マイクプリアンプ:マイク出力レベルの信号をライン入力レベルに変換.真空管を使ったものや,DSPを内蔵しているものもあり純粋なレベル変換器ではない.・ヘッドホンアンプ:ラインレベルをヘッドフォン入力レベルに変換する機材.ラインレベルが出し側で調節できる場合はヴォリュームを押さえるだけでも対応できるが過大入力の可能性がある.また,ヘッドフォン出力レベルをラインレベルまで持ち上げる上昇トランスも存在するがメジャーではない.これだけ連ねてもまだ入力部分しか解説していないことに気が付いただろうか?正直,文章でミキサーについて紐解くのは容易ではないのだ.尚,ミキサーにはアッテネータ(ATT)やPAD(-XXdB)など,入力レベルを変換する装置がついていることがある.エレキギター等,インピーダンスが大きく異なるものではほとんど使えないが,たとえばオーディオ機器(10kΩ)→マイク(600Ω)程度であれば音量そのものを下げるだけでも過大入力を防ぐことが可能である(PAD等ででボタンを押すと-20dBなどができる場合がある)また,逆にマイクを直接挿す場合でもミキサーによっては余裕を持たせるため,入力インピーダンスが数kΩという設計になっているため,レベルが多少落ち込むことがある.その場合は入力直後にあるGAINという内部アンプのボリュームを少し上げることで解消できる.ただし,正確なインピーダンスを現場では図れないため大抵の機種は入力音量の状態をLEDインディケータ等で見ることができる.最大音量時に少し点灯する程度にレベル調節するとよい(フェーダーを上げて稼ぐとS/Nが悪くなるので,できる限り入力端でレベルを均一にする)いずれも使い方を間違えると音圧が稼げなかったりS/N比(サウンド対ノイズの比率のこと)が悪くなる(要するにノイズが大きく聞こえる状態)場合があるため,接続機器の状況を適切かつ的確に判断しもっとも効率のよい方法を用いる必要がある.総まとめとして以下の終末問題をやってみてほしい.考えられる事を全て列挙して抜けがないかをチェックしておこうまとめへ続く~
December 19, 2013
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第一章入力部分入力とは字の如く音の入口になる.各楽器とつながるところと考えていただければよいと思う.入力端子には色々な方式がある.見た目こそ同じでも,内部構造が全く異なる部分もあり機器の設計内容によっては思わぬアクシデントにつながる場合がある."わからない"からテキトーではなく,わかるまでじっくりと頭に叩き込み"適当"に使用する必要がある.最も頭を使う部分といってもいい箇所かもしれないので頭脳戦で挑もう.入力部分入力を知るためには信号の種類ならびに端子(コネクタ)を知っている必要がある.それでは早速,信号の種類と端子について説明していくわけだが,専門用語の如く複雑な名称がたくさん出てくるので簡単に表現するためにサウンドミキサーでしばしば用いられる音声方式と端子の表を以下に用意した.単一導体音声信号 バナナコネクタ アナログ音声信号 TRS(1/4標準フォン,1/8ミニフォン等) TS(左記同様) XLR MiniXLR RCA DIN スピコン ディジタル音声信号 オプティカル(ミニプラグ型,角型) コアキシャル(RCA) XLR 記載しただけでも1つずつ説明するには何ページあっても足りないが必要最低限に絞って記載していく.・単一導体音声信号とはこれはケーブルの中の線が1本しかないケーブルを用いる接続全般を言う.とは言ってもバナナコネクタ等ではよく"+"と"-"で2本ついになっていることがあるわけだが,要するにシールドという信号とは別の配線(俗にGNDなどと呼ばれるような基準信号みたいなもの)がない,すなわち信号そのものだけを接続する方式として"+"で1本"-"で1本ということなのだ.バナナケーブルはよく家庭用AV機器のAVR(リピータ・アンプ)とスピーカを接続する際に用いられる.PA機器周りではほとんど使われないが,稀に小型のパワーアンプ等に用いられる.・アナログ音声信号とは字のごとくケーブルの信号そのものの振幅が音そのものの波になる信号全般を指す.コネクタの種類がたくさんあるわけだが,レベルも用途もまちまちであり,各機器に合わせて選定しないといけない最もややこしい信号になる.アナログミキサーを扱う上では一番複雑で一番多用される信号なので後ほど信号レベル別に細かく見ていく.・ディジタル音声信号とはアナログは波形の振幅がそのまま音の波として扱われると記述したわけだが,ディジタルは同じ電気信号でも扱い方が全く異なる.ディジタルも色々な方式があり端子が同じでも内部の信号形式が違うと全く通信が成り立たず音に変換されない.例えて言うなれば日本人とフランス人がお互いの公用語で話しても通じないということと同じだ.ここではあまり深く突っ込まずに方式名と端子の紹介をしておく程度にする.AES/EBU:業務用ミキサーでしばしば用いられるディジタル信号方式で,データ転送方式(信号プロトコル)としては後述にて出てくるS/PDIFとほぼ同一のものだ.S/PDIF:ディジタル音声方式の中で最近では最もメジャーな方式だが接続端子が2種類ある.1つはオプティカル(光)を用いた光ディジタル音声端子でもう1つはコアキシャル(同軸)を用いた同軸ディジタル音声端子だ.データ方式は全く同じだが,信号形態が光と同軸で異なるため,回路的に単純変換が出来ず相互の変換器があまり出回っていない.一時期,家庭用AV機にはオプティカル,民生機にはコアキシャルなどが多かったのだが,現状でも互いにメリット/デメリットがあり統一されていないのが現状.一部では短距離ならコアキシャル,長距離ならオプティカルと分ける人もいるがミックスの世界では取り扱いがほとんど同等でつながる端子に合わせるのがベターだろう.以上が信号についての解説とする.ややこしいかもしれないが,この段階で目が点になっている人は実機を触れながらもう一度読み直しておくことをお勧めする.ディジタルとアナログを間違えて挿してしまったり,単一導体のラインをGNDと挿したりすると異状を起こしたり最悪破損する恐れもある.今度はアナログ信号をクローズアップして見ていこう.信号内容は同じだが,レベルが異なると前述で述べた.PA屋の見かたとしては仕様書にしばしば記載されるインピーダンスを元に考えることになる.入力部で最もややこしいのがこのインピーダンスだ.出力機器のインピーダンスに合わせて中継機材やケーブル選定が必要になるので注意していただきたい.プロでも間違えて扱っているケースが多々あり,非常に難しい部分であるがミキサーを扱う場合に限らず電気,電子楽器を使う上では非常に重要なポイントなのでしっかりと押さえよう.度々,楽器奏者によっては『そんなのPAに任せれば』と言う人がいるが,楽器の出口を管理できない人はいつになってもこだわりの音に決め手が付かないといっても過言ではない.アマチュアとプロの違いが大きく分かれる部分でもあるのでPAに興味がなくても覚えておいて損はない(いずれどこかで絶対覚える羽目になる)インピーダンスの考え方についてはダイレクトボックス(以後,DIと略す)の説明で前回記載しているのでここではフランクな表現で簡単に説明しておく.インピーダンスとは度々"抵抗"と表現されることがある.電気の世界での抵抗はレジスタ(resistor)なわけだがインピーダンスは全くな別物であり特殊な機器でなければ計測すら出来ない.ここではそんな難しいことは抜きにして簡単に考えてもらうために例を表してみる.(以下,あくまでイメージ.正確な表現とはいえないので予めご了承願いたい)ここにバケツと水がある.水を受けるバケツの許容量を入力インピーダンスとおき蛇口から出る水の量を出力インピーダンスとしようインピーダンスはしばしば600Ωインピーダンスとか10kΩインピーダンス等と書かれる.これを水に合わせてリットルと表現することとする.インピーダンスの考え方は出力インピーダンス(水の量)が入力インピーダンス(バケツの大きさ)を超えてはならない.バケツに水を入れると考えれば自ずとわかると思う.受けるバケツが10kリットルなのに蛇口からでる水が15kリットルでは5kリットルは捨てることになってしまう(もったいない)出来る限りぴったりの数字または入力インピーダンス(バケツの許容)を超えない程度に近い値で合わせるのが効率よく水をバケツに入れることができると想像できるだろうか?このように,インピーダンスは常に入力より出力が小さい値かつ,近い値で揃えなければ効率が悪くなってしまう.マイク(XLRコネクタ)を例にすると出力インピーダンスが約100~600Ω程度で入力インピーダンスは100Ω~10kΩだ.非常にバラツキがあると思われるかもしれない.メーカーによって基準がバラバラなのは確か(ミキサーを例にすると入力がYAMAHAは3k,4kとかMackeyは2.5とか)そのバラツキを埋めるためにマイクプリアンプ(マイクの出力インピーダンス600Ω程度をラインレベル10k程度に持ちあげる機材)やアッテネータ(減衰器のことでDIなどで用いられるPADやミキサーなどにあるATTなどのスイッチもこの一種)を用いるなど音を入力する部分から非常に色々考えなければならないことがたくさんあるのだ.長くなってしったが,インピーダンスについては以上.後半へ続く~
December 19, 2013
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ミキシングとはミキシングとはおおざっぱに言うと複数の音をミックスする作業全般を示している.ミックスに使用されるミキサーの事をミキシング・コンソールという.しかし,音楽現場におけるミックスという作業はそんな一言でまとめられる内容ではない.ただ音を合わせるだけならド素人でも勿論簡単だ.簡易でもミキシングコンソールさえあれば誰だってできるのだ.しかし,一重にミックスといってもステージ上やコンテンツでは奏者の演奏音を効果的かつ飽和・崩壊しないように2ch(ステレオ)等の視聴音として完成させなければならないし,コンテンツでは一般大衆向けに売られている多種多様な発音機器にて限られたチャンネル(ステレオや5.1chサラウンド等)で制作者の意図した音として表現されなければならない.と,言うことで今回はミックスという作業についてミキサーの使い方や考え方に焦点を当て初心者でも理解できるように説明をしていきたいと思う.私自身素人だし,特別な勉強をしてきたわけではない.ここで紹介するのはあくまで一般論や原理などから理論付けをしたり,現場作業の上で培ったノウハウの総まとめになる.記載内容には飛躍表現もあることを予めご了承いただきたい.尚,CD等のコンテンツもフロアPAも扱うミキサーの基本構造と扱い方の基礎は同じだ.ただし,目的が大きく異なるため同じものでも扱い方が異なるところもある.ここでは基本フロアPA寄りに記載している.ミキサーとは音について一切触れない状態だが早速,ミキサーという機材について説明していきたいと思う.ミキサーとはミキシング・コンソールと呼ばれるスタジオやステージにあるツマミやフェーダーが付いた機器のことであり,業界ではその様相から"卓"とも呼ばれている.YAMAHA MG10/2写真にあるのはアナログミキサーと呼ばれる機材になる.小型の小規模用であり,10chの入力と2系統の出力を持ったミキサーになる.スタジオ現場等でよく見られる80mmや100mmといったフェーダーこそ付いていないが,その代りにツマミを起用してコンパクトにまとめてある.もちろんアナログミキサーとしての基本構成は変わらない.ミキサーとは冒頭で述べたとおり音を混ぜ合わせる機械である.ディジタルでもアナログでもその用途は変わらない.少しアカデミックな話だが,ディジタルとアナログの違いを先に述べておく.・アナログ:フェーダーやツマミ部分がアナログ回路で音声信号はダイレクトに部品をかえしているため個体差が多少なりとも存在する.・ディジタル:入力後の音を一度アナログ-ディジタル変換(以降A/D変換)し,フェーダーやツマミ,エフェクト等の処理のほとんどをディジタル波形で取り扱う(入力端のGAINやPAD等は,アナログ回路で処理する部分も混在する.また安いモデル等によっては出力端で初めてA/D変換しエフェクトのみディジタル処理というものもある)そのため,音質劣化がしにくく高音質のままを維持しながらの波形加工が可能.また,ツマミやフェーダーもディジタル処理なので表面上に16ch分のフェーダーでも裏に数倍のチャンネルを構えボタン一つで切り替えてのオペレートができることから筺体の省スペース化が可能である.私が初めてミキサーを触れた(購入した)のが中学3年の頃だ(YAMAHAのMX12/4を57% OFFで購入12ch入力で4chのグループアウトがあったアナログの定番モデル)実は間違った買い物で目的は後に見出す形となったのだが,機器に触れ沢山の失敗を繰り返したことで非常に遠回り(おそらく10年以上かかっている)しながらもバカなりに色々わかるようになった.悪いことは言わない.あなたはミキサーやミックス作業に少しでも興味があるからこそこのページを見ているのだろう.1~2万程度あれば汎用的な小型のアナログミキサーが1台手に入る.バンドル版のDAWソフトでも勿論同じ内容が確認できるが,以降の項目は出来る限り実機に触れて沢山失敗を重ねながら理解して読んでほしい.ミキサーは大きく3つの要素で構成されているミキサーを大分類に分けて説明すると3つの要素から成り立っているといえる.・入力部分:音を受ける部分だ.見た目はただ端子があるだけだが次の章を読み終えて理解できればこれが1つの分類になる理由が自ずと見えてくるはずだ.・調整部分:各音を調節する部分だ.この段階ではまだ各チャンネルは1つずつ分かれていると考えていい・出力部分:音の出口.ミキサーに関連するエフェクトの処理などもここに関係してくるしスピーカの数もこの一環であり非常に単純そうで難しい部分だ.以後,この3つの要素を3回に分けて解説したいと思う.
December 18, 2013
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最近の悩みの一つにリズム感がある.とはいっても実は,最近に始まったことではなくさかのぼると小学校の頃から変わらない悩みなのかもしれない…今年の初めにT'sLABの猛練習をするべくYAMAHA CLICK STATIONを机上に出した.続く夏に,結成したアマチュアバンドT.S.D.&Friendsに参加した時も大活躍だった.デジタルだとあまり意味がなかったりするけどLED光でも"間"を感じることは出来る.このメトロノーム,すごいのはクリック音を自在に調節出来ること.例えば四分音符=120に8分音符のクリックを小さく入れたり四分三連のみにしてみたりとかがツマミのボリュームバランスで決められるようになっているのだ.その他,MIDI同期機能やタップテンポで調節できるのも便利である.でも,個人的には振り子の付いたアナログのメトロノームが一番よかったりする.何がって?振り子が見えるということがだ.あの,重りが端に行くまでの間がすごく重要自分自身に走っているとか遅れてるとかが絶対基準ではなく相対基準で目視できるからである.これは,他の奏者と演奏する時に最も近い状態であると私は考えている.昔,T.SYKTANTってFusionバンドでドラムを叩いていたときに買った,『ドラマーのための全知識(リットーミュージック)』という本で読んだ内容に妙に感心したのを覚えている.その内容は"バンドのリズムはドラマーだけが打ちだすものではない"ということ.中~高校時代にJ-FusionのE.ベースを必死にコピーしまくっていた私には直感的に何を言っているのかがわかった.ファンクやフュージョンのベースって常に倍テンポのリズムを体で押さえておかないと演奏出来ない曲がたくさんある(8ビートも常に16分で取る見たいな感じ)だから表でたたき出しているリズムだけでは演奏が出来ないから頭で常に裏の拍を感じなければならない為,メトロノームも『ツ・ツ・ツ・ツ』というメインのクリック音を元にツ(ク)ツ(ク)ツ(ク)ツ(ク)と重りが中間にくる"あいだ"も頭の中で数える必要があった(16分ならもうひとつのツクをカッコ内に追加)私はこれを「休符を演奏する」とか「間を演奏する」って表現して捉えていた.ミュート演奏はまさにこの延長線上である(←私は格好先行だったからこればっかり練習してたけど)お陰で,ドラマーがいる時も全く同じ思考にならざる得ない為,常に自分自身でもリズムを刻み続けなければならないのだ.しかも,FusionやJazzってドラムが自由に行き来することがあるから表のビートを他の楽器に任せてFillを叩いたりとかが当たり前にある.こういう場合当然の如く他の楽器が全く同じタイム感を持ってビートを刻んでいないと次のフレーズに入れなかったりする.ドラムのソロからのキメに戻るパターンなんてのはいい例だろう.で,こういう思考のボトムラインが演奏するとどうなるか.一見,破綻しそうに見えるんだがそこは人間ドラマーは"他人の音を聞きながら"自分のリズムを叩き出す.ベーシストは自分のリズムをきっちり保ちながらドラマーのリズムを聞く.結果,2人のグルーヴが気持ち良い新たなグルーヴを産む.勿論,前提として2人が演奏曲をきっちりとらえておく必要はあるかもしれない.これがリアルに感じられたのがTRIXの公演で須藤さんのベースを弾かせてもらった時だった.熊谷さんがドラムで引っ張ってくれるのがわかるんだが決して全部持っていかれている状態にはならなかった.高校時代にFusionやファンクで鍛えておいて本当に良かったと思った瞬間だった.(ただし,お陰でキーボーディストの窪田さんから「いや,お前のリズムの取り方はキーボーディストじゃないだろ」(爆)って言われたけど…)話を戻すと,バンドって全員が個々に持っているリズム感が1つになることで成り立つ.だからドラマーだけにリズムの基準を押しつけているバンドは絶対に破綻する.これが成立するのは完ぺきなマスターである打ち込みの時だけである.それを裏付けるべくプロベーシストの教則ビデオ等では"打ち込みに合わせる"という項目がわかれていることが多い打ち込みは特別扱いされている.それはリズムの捉え方やリズムに対する構え方が根本的に違うということを遠回しに言っているのだ.誰にも言われずにそれに気がつく人は少数だろう.一生,気がつけない人もいるんじゃないだろうかとすら思うくらい難しい事らしい.最初の相対と絶対を人間ドラマーと打ち込みに当てはめると・人と合わせる=相対リズム・打ち込みと合わせる=絶対リズムである.4分で刻む電子メトロノームが打ち込みと考えれば理解できるだろう.LEDが光った瞬間は絶対時間である.そこに一瞬でもあっていなければ"合っていない"ととらえられる可能性が高い.八分音符をクリック音に混ぜても先ほどの四分音符を50/50にしたきっちり半分の位置に入る事になる.聴感上感じるようなズレは一瞬たりとも発生しない.(演算の誤差とかで100%ではないにしても人間の感じられない世界の話しである)これが重りのメトロノームになると振り子の時間は相当な精度できっちり決まっているが振り子の位置の考え方は人それぞれ揺れる.まー言葉にしてみても,やはり難しい・・・残念ながら私には初心者が納得できるように説明すべく術を持っていないようだ.おそらくここに書いている内容は感覚的に理解できている人には"言いたいことはわかる"と受け取れても全くわかっていない人は"は?"って感じだと思う(言いたいことはわかるけど音楽によってとらえ方が違うという人はそもそもこんな記事を読まなくていいと思う.私自身は音楽は根底では全てつながっているからジャンル等による違いはないと考えている)私は,クラシックピアノでメトロノーム練習をそして電子オルガンで打ち込みに合わせる練習を知らないうちにやっていたからバンドに入っても何ら違和感なかった.基準リズムは自分でたたき出していて,メンバーとの隙間を"フィーリング"で埋めるというスタイルである.本来はこれが"フィーリング"の正しい使い方.リズムを"フィーリング"が重要と言ってしまうバンドはおそらくこの基準が逆転しているに違いない.フィーリングが前提にあって,ドラマーがマスターになっているに違いない.修正はおそらく不可能に近いと思う.ちなみに,T.SYKTANTというバンドではプラクティスの時に面白い試みをした.これも『ドラマーの全て』に書いてあった内容を実行したのだがフロアPAにCLICK MASTERの音を返したのだ.要するに爆音でメンバー全員がクリックを聞ける状態で演奏するというもの.遅い曲ならなおのことこの効果がわかる(確か,私たちもEverythingのカバーでこれを試したはず)コードが不安でモタる瞬間やドラマーが必ずズレるFillなどが全員で共有できる.言い訳ができない状態になると人間は必死に合わせる努力をするものだ.リズムは結構なぁなぁになりやすい.それを明確に正してくれるという意味でこの練習法は是非バンドでやってもらいたい.後は,早い曲を50%とかの早さ(テンポ140→70とか)で合わせる練習.これは非常にしんどい.だが,早いパッセージなどで流れてしまう曖昧な演奏が全て裸にされる.恥ずかしいけどものすごく意味がある訓練なのだ.これは間を待てるかどうかという練習と苦手なフレーズのチェック,そして何よりもリズムを大切にとらえられているかを自分に再認識させるトレーニングの複合(クラシックピアノや吹奏楽ではお馴染の手法だろう)である.完璧に弾けるまでテンポを一切上げてはいけない.弾けなかったら同じ場所を前後数小節をかんで無限ループする.遅いテンポなら誰が聞いても他人の間違えが耳につくから正直ドSの何物でもない訳だが、、、私は中学の時へヴィメタの練習ですらこれを実施していた.ギタリストも勿論道連れにして.嫌がられるんだけど徐々にテンポを早くすると絶対に破綻する所が出てきてインテンポだと何となく弾けていない箇所だったりして,それを境に次のフレーズが弾けなくなったりしているのがわかってくると,ギタリストも必死に練習する.気が付くとインテンポでもミスなしリズム破綻なしの状態になってユニゾンが気持ち悪いくらい気持ちよく重なる(170テンポの十六分音符とかですら)こうやって中学時代の私たちはストラトバリウスのBlackDiamondをコピーしていたのだ.今となっては懐かしい話だけど最近は逆に,この頃の自分たちを見習わないといけないとつくづく思う.こういう練習を重ねてきたからこそリズムに対する考え方や捉え方が人と少しずれているのかもしれないが,以外にも数多くの人たちと共感を得ていたりするから不思議である.残念なことに社会人バンドをやり始めて出会ったアマチュアミュージシャンのほとんどがドラマーに全負担を負わせていた.見ていて辛いのは言うまでもない・・・バンドで誰かがドラマーに向かって「お前がモタるからズレる!」と決めつけてしまう集団は今から小学校に入るくらいのつもりでリズムトレーニングの基礎からやり直すべきかもしれない.私は,恵まれたことに学生時代のメンツが意外とその辺が語らずに理解できているメンツだった(考えてみれば,バリバリの吹奏楽上がりや俺の打ち込み楽曲で前述のトレーニングを耐えてきた集団だったんだもんな・・・)まとめとして正しい表現と言えるか分からないが,簡単に例えるならバンド内での"リズム"は夫婦生活と似ているのではないだろうか.歩調を互いに合わせる事ができる夫婦はどんなにケンカしたってどこかで互いに譲り合い二人三脚しているものである.しかし,どちらかが度を越して全く歩調を合わせる気がなかったり,相手に頼りっぱなしになっている場合,どんなに片方が頑張ってもいつかは疲れて崩れてしまうだろう.こうやって考えると音楽って小さな1つの人生なのかもしれない.そしてバンドは小さな1つの家族なのかもしれない.あぁ,リズムを蔑ろにしていた自分が恥ずかしくなってきたぞ・・・さ,今日から私と一緒にメトロノームとの会話を練習に取り入れよう!
December 17, 2013
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