未完成のブログ

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Apr 3, 2022
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柄留:ブラックコーヒーは飲めない。


ReviveTheGunSword灰蘇の剣銃8「疑惑の探偵」

 和音君の最高のご飯を頂いて、楽しいお話をして眠った。

 ―夢を見た。

 夢の中のボクは子供。目の前の女の子はくせっ毛でネコみたいにしなやかで気分屋。

 夏休みの間だけ彼女はボクの街で過ごしてた。出会ったきっかけは公園でたまたま隣のベンチに座ったそれだけだった。彼女は正直者で純粋で悪を許さない子だった。ボクがサイバネ者に絡まれた時も小さな体で果敢に挑んでいった。

 そして両腕を失った。

 しばらくして彼女は両腕をサイバネ化してた。お金持ちだったので再生医療をするかと思ってたのだけど、新しい腕が気に入ったのだそうだ。


 相変わらず可愛くてネコみたいな子だったけど。次の年また次の年と会うたびに彼女は体のサイバネ化を進め、最後に会った18歳の時にはほぼ全身サイバネ化していた。

『今年でこっちに来るのは終わりだと思う』

 そう言った。危なっかしい所はあったし不良っぽい子だったけど素直で決して弱い者いじめや悪事を働くようなことはしなかった。

 でも―

 最後に別れた時の彼女の思いつめたような表情が気になって頭から離れなかった。

 だからボクは―



「んぁぁぁ……おはよー和音君……」

「起きたな。顔を洗って着替えてこい、朝食にするぞ」

「はぁい」

 洗面所に行くと洗濯されてきちんと畳まれたボクの服がカゴに用意してあった。

「あ!」



「……うっわ~超恥ずかしい」

 借りていた妹ちゃんの服を洗濯機に放り込みボクは自分の服に着替える。

「はーあっついあっつい……」

 鏡の前のボクは顔が真っ赤なのがわかった。

 顔を洗ってボクは出来るだけ平静を装ってリビングに戻る。



「いやーあははははーあついなーって」

「ああ、まだ残暑が厳しいからな。エアコンつけるか」

 和音君が朝ごはんを持ってきてくれた。ベーコンエッグにトースト、コーヒーだ。

「砂糖とミルクはどうする?」

「両方一個入れて」

 ぼんやりとTVを見ながらおいしい朝ごはんを食べる。夢を見た気がするけどもう忘れてしまった……その事で和音君に聞こうとしたけど仕方ない。

「病院に亜瑠の様子を見に行ってから守山探偵事務所に行くぞ」

「おっけー」

 妹ちゃんのお見舞いの間ボクは病院の向かいのコンビニで時間を潰す。病院2階のロビーから歩道橋で繋がっている超便利なコンビニ。病院の中にあるコンビニとは違ってこっちは広くて一般的なスーパーと同じくらいの広さ。

「下着とタオルと歯ブラシと……シャンプーとリンスに化粧水……」

 妹ちゃんの買い置きの新品ばかりを使う訳にもいかないからボクは自分で必要なものを買う。……和音君のくれたおこづかいなんだけどね。

 必要な物を買ってボクは店内にあるイートインスペースでジュースを飲んで待つ。
 ここ数年で病院のセキュリティも厳しくなったとかでIDの無いボクは妹ちゃんの顔を直接見る事は出来ない。直接見れば何か思い出すかもしれないけど……

「うわああああん!風船がー!!」

 窓の外を見ていると今時めずらしい風船を持った子供が叫んだ。うっかり手を離してしまったんだね。

「あ!」

 そこに颯爽と現れた和音君が大ジャンプで風船をキャッチ!子供に渡してあげてる。

「うーん王道なイケメンムーヴ……」

 和音君カッコいい!だけど今のジャンプちょっと高すぎなかった?3階分くらいいってた……いやまぁボクも多分あれぐらい跳べるけど。サイバネが普通な世の中だから皆特に驚いてない。

「おおーい和音くーん!」

 店を出て和音君と合流する。「さ、行くぞ」とだけ言ってすぐにバス停に向かって歩き出す。バス停に到着すると既にバスは出発待ちだった、乗り込んですぐに発車した。

「守山探偵事務所のある第四区で降りるからな」

「うん」

 他の乗客は十人くらいでお年寄りが多い。病院から乗るのだからそうだよね。次の停留所で高校生くらいの男の子たちが乗ってきた。ボクをチラ見したのは見逃さない。

「おい、なんでもたれかかるんだ」

「えへへー何となく……ボクと和音君って傍から見てどう見えるのかな?」

「知らん」

「和音君さっきから携帯で何見てるの?」

「名前のリストだ。Mから始まる女性の名前のな。柄留も見てみろ何か引っかかる名前があるかもしれんぞ?」

「Mって蒐魅の偽名じゃないの?」

「決めつけるな、まずは名前のリストを見るんだ」

「はぁい」

 しかしMから始まる名前多すぎ……全世界のリストなんて見てられないよ……

 しぶしぶ眺めてるうちに降りる停留所に到着した。英語名でピンとくるものは無かったね。このリストにはあと9ヶ国分ある……

「む、和音君。昨日話した七曲キョウヤからメッセが入った」

「それは後だな。まずは守山探偵事務所だ」

 既読スルーも何か面倒な事になりそうなので見ないでおく。

 和音君の後をついて守山探偵事務所に到着した。ビルの3階で監視カメラにゴツイ金属扉の所だった。

『どうぞ諸田さんお入りください』

 インターホンの声がしてロックの開く音がした。面倒くさい二重扉を抜けてやっと事務所に入れた。

「やぁ待ってました。さぁどうぞおかけになって。そちらの女性は例の方ですね」

「そうだ」

「守山罅助といいます」

 如何にも作ったビジネススマイルを向ける守山罅助。後はハッキリした喋り方に声量、バチバチに目を合わせてくる。初対面から相手を油断させない立ち回りがうまい男だ。

「柄留だよ」

 グレイブラスターは0.5秒で出現から発射まで多分できる。妙な動きをしたらすぐに麻酔弾を打ち込んでやる。

「念のため先ほどの二重扉でスキャンさせてもらいました。お二人とも携帯はそちらの箱にどうぞ」

 アルミっぽい箱に携帯を入れさせられた。和音君は特に緊張もしていない様子。
 七曲キョウヤとはまた違うちょっと嫌な感じがする。

「そうぞおかけになって下さい。すぐに資料を持ってきますので」

 凄く体が沈みこむソファだ。咄嗟に立ち上がれないし机は透明のプレートで作られた重そうな物。壁際でパーテーションもあるからもしもの時はグレイブラスターをぶっ放す!

「……眉間に皺を寄せてどうしたんだ柄留?」

「居心地悪いなーって……和音君は平気そうだけど」

「一度来てるからな」

 数十秒後守山罅助はもう一人男を連れて戻ってきた。助手の剛力猛というらしい。

「まずはこちらをご覧になって下さい」

 守山罅助はノートPCの画面をボクたちに見せる。そこにはCGで作った顔があった。

「これはMのモンタージュです、剛力君が作ってくれました。Mを見た剛力君のお父さんの証言を基に一晩で作り上げてくれました」

「これがM……」「むむ……」

 金髪の女の子だ。ちょっと影のある表情で顔立ちは整っている、年齢はボクたちと近い感じ。でも……ボクにも妹ちゃんにも似てない。

「ますますわからなくなった……なんでとくぞーさんはボクを見てMだなんて言ったのだろう?」

「え?」

 守山罅助が反応した。
 あ、そりゃそっか。亡くなったはずのとくぞーさんの話が出てきたんだから。

「祖父と面識があるのですか柄留さん?」

「えっと……あるのかも?記憶喪失なのでなんとも……」

「なるほど、記憶の混乱ですか。差し支えなければ柄留さん、祖父の話を思い出せるだけ話してもらえますか?」

「いいけど……」

 ICカードの事は言うべきか言わないでおくべきか。和音君の顔を見ると難しい顔をしていた。

「和音君?」

「……柄留、後で話す。今は嘘は無しで守山さんに『徳三さん』の事を話せ」

「う、うん」

 とくぞーさんを強調した!?……って事はそれ以外は嘘は無しで言わないでいいことはそのまま隠してればいいんだよね?

「えっと……とくぞーさんとは路地で……」

 ICカードの事は敢えて言わないでホームレスとの繋がりとかを話した。

「なるほど……それだけですか?何かを受け取ったりしたとかは?」

「うーん……受け取ったような何もなかったような?記憶があいまいで……」

「そうですか……ま、その辺はこちらでホームレスの事を調べておきます」

「守山さん、いいですか」

 和音君が切り出した。

「妹の亜瑠の足取りを得る為にこの探偵事務所に来たわけですが……依頼料などの話を先にしませんか。このまま後で請求されても困りますので」

「それはごもっとも。モンタージュに関しては初回サービスという形にしています。比留山陶子刑事の紹介でもありますしね」

 守山罅助はノートPCを閉じて自分自身の携帯端末を取り出した。

「探し人の場合相場は20万~30万円となります。探す範囲や日数かかる経費などで変わりますがこのオータムホースシティ内なら一日2万で引き受けますよ。成功報酬として10万は頂きます。更に……」

 ボクと和音君に手をかざして笑みを浮かべる守山罅助。

「依頼人のあなた達が協力してくれるのなら更に料金は下がります。その場合一日1万円で成功報酬も半額の5万円にしましょう。一日で解決すれば6万円のみで済みます」

「……そうですか」

「どうします?あ、即断していただかなくても大丈夫ですよ。もしその気になったのならまた連絡してもらえれば」

「やる気ですよ。ただ少しまだ用事が残っているので夕方に再度来ます」

「わかりました、お待ちしております」

 和音君は立ち上がった。携帯を返してもらってすぐに事務所を出ていく。そのまま黙ったまましばらく歩いてバス停に。

「柄留」

「なぁに?」

「引っかかることがあるぞ。守山徳三氏の事だ」

「ん?」

「比留山刑事はオレに『元刑事の守山徳三氏がやっている探偵事務所』と言ったんだ」 

「うん」

「おかしくないか?やっていたならわかる」

「あっ!……でもとくぞーさん死んだの知らないのかも?それか言い間違えとか?」

「現職の刑事だぞ?それは考えにくい……」

「それもそっか……じゃあ何で罅助はとくぞーさんは死んだなんて言ったんだろ?」

「わからんが考えられるのは……徳三氏は死んだも同然の状態である。もしくは罅助は偽者で徳三氏の死に関係してる何者かのなりすましか」

「警察がとくぞーさんを死亡扱いしてないのなら……なんで罅助がとくぞーさんが死んだ事にしたのか気になるね」

「ああ、だから柄留。亜瑠の捜索依頼を罅助に協力しつつその辺を探らないか?比留山刑事にもその事は話しておく」

「いいけど妹ちゃんの事が最優先だしとくぞーさんの事は別に警察に任せたらよくない?」

「……全て繋がりそうな予感がするんだ。お前の事も亜瑠の事も。だからこの街で何が起きていたのか知る必要がある」

「わかった。ボクは和音君についていくよ」

「よし……それなら次は兜金蒐魅の事だな。お前の見たコンテナまで行こう、そこにAH探偵事務所の七曲キョウヤを呼び出すんだ」

「おっけー!」

「まだ連絡するなよ?オレたちがコンテナについてからだ」

「うん」

 ボクと和音くんはバスに乗って第五地区のコンテナに向かう。バスの中で和音君はメモ帳に顔を描いてた。

「あ!さっきのモンタージュのMだ!凄い!!」

「ああそうだ、しっかりと脳に焼きつけたからな。こうやって記憶した映像をスケッチするのは得意なんだ」

「それって刀鍛冶に活かす為に日頃からやってるってコト?」

「そうだ。良いと思ったもの気になったものをこうやって描いておくのが癖になってる。このMのモンタージュを七曲キョウヤに見せて反応を見る」

「おお~……」

 和音君って探偵の才能があるのかも?
 ふむ……そしたらボクは助手かな。【名探偵カズネ&える!!】

 そんな事を考えながらバスに乗っていたら目的地の第五地区に到着した。
 コンテナまでの道のりは覚えているから和音君を案内する。

「……柄留、いつでも動ける準備をしろ。何人もの気配を感じる」

「むむ……わかった」

 警戒しながら兜金蒐魅のコンテナに着いた。すると他のコンテナや資材の影からぞろぞろと仮面の男達が現れた!

「……何者だお前ら」

 仮面の男の一人が言った。

「その声、先日のひったくり犯だな?」

「!?テメェそういやそうか……あの時の邪魔しやがった優男」

「ひったくりの次は集団暴行か?」「黙れ!!」

 ざっと見て仮面の男達は5人。グレイブラスターで一気に制圧出来ないことも無い。

「そのコンテナはよそ者が勝手に触っていいもんじゃねえんだよ!!」

「よそ者かどうかまだ判らない。おまえ、七曲キョウヤって男を知ってるだろ?」

「な!?なぜそれを!!」

「……やはりな。今すぐそいつと話がしたい」

続く





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Last updated  Apr 3, 2022 11:26:34 PM
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長月(ながつき) @ Re[1]:Fallout:NewVegas 第1話2話「目覚め」(11/19) Keyさんへ ありがとうございますがんばり…
久 遠@ Re:FalloutNewvegas121話「ストレンジトランスミッション!」(07/20) やほーい(=゚ω゚)ノ 何周遅れか分からないけ…
長月(ながつき) @ Re[1]:近況(12/30) あけましておめでとうございます。 今年も…
久 遠@ Re:近況(12/30) あけましておめでとうございます。 今年…
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