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Dec 11, 2022
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ReviveTheGunSword 灰蘇の剣銃 29 「第六区北側の戦闘」


 ――第六区北側のゲート付近

 侵入した戦闘フレーム機、装甲車両はぬかるみに足を取られ立往生していた。歩兵たちも肩の深さ程度もある緩いぬかるみで作業は捗っていない。

「クソ!こんなトラップ仕掛けやがって!!」

 戦闘フレーム機は動けば動くほど嵌りこんでおり両足部分は完全に沈んでいる。第六の抵抗勢力を追って先に進んだ歩兵部隊は細い道を選んだ為ぬかるみのトラップに掛からなかった。しかしその先にはハートが潜んでおり半数以上が彼女の犠牲となったのだ。

「大したもんやな……」

 少し離れた建物の屋上から暗視双眼鏡で眺めている兜金大河。その横にはハート。

「……」

「無口なやっちゃな、まぁええおしゃべりしとる場合でもないな。ワシら G/T はここで奴らを迎え撃つ。この付近の住民の避難も終わったしな、お前んところのボスにそう伝えといてくれ」

「分かった」

 屋上の床に沈んで消えるハート。

「ホンマにあの院瀬見の部隊に勝てそうやぞ……粘って敵を諦めさす気でおったが」

 院瀬見としても長時間の戦闘は避けたいはずと兜金大河は読んでいた。戦闘が長引けば第三地区からの通報で警察は動かざるを得なくなる、そうなれば院瀬見としても放置しておくわけにはいかない。そうすればとりあえずは撤退させられる。第二の襲撃も考えられたがまずは今回の襲撃を止めなければ先は無い。

「オイ!彪(たけし)!西側はどうなっとる?」

G/T の部下木津彪に聞く。

「めちゃくちゃいい調子ですぜ! LOKI の連中のおかげで殆ど侵入させてないとの事!!」

「そうか」

 兜金大河は喜ぶと同時に突如加勢に現れた LOKI の強さが引っかかった。

「(ホンマになにもんやあいつら……諸田は別として LOKI は信用してええんか)」

 ***

「ギシュウアアアアアアアアアッ」

 崩壊した橋の下で派閥兵らと戦闘をしていた緑の獣シャパリュは自分の弾薬が切れたことに気付きイラついた。

 この場で食事を続ければ爆発する弾丸の精製も可能であったが敵の数は多く耐久力も高い。更に怪人化で常人を超える体力で迫ってくるため食事の余裕はなかった。

『そろそろ退くでござるよシャパリュ』

 シャパリュのランドセル型カバンから声がした。 LOKI のメンバーでサムライのアンバーの物。カバンの中にはアンバーの分身の小さな蛸が潜んでシャパリュに声を伝えていた。盗聴の心配のない LOKI メンバー専用の連絡手段。

「ギイイイイイ……」

『目的は敵の全滅ではござらんよ。殿(クリムゾン)が敵の大将を取れば終わるのでな』

「ギギギ」

 高速バック宙返りであっという間に上に登り、派閥兵らを睨みつけるとシャパリュは後方のアンバーの元へと退いていった。

 後方のバリケードの傍に止まっているトラックの荷台にアンバーは立っていた。

「ギィ!」

「戻ったな、おぬしは食いしん坊でござるからな。ほれ、たんと食うがいいたこ焼きより肉の方が好きであろう?」

 アンバーはスイカほどの大きさのケバブをシャパリュに渡す。自身は好物のたこ焼きを食べている。

「トニトルス、北側の様子はどうでござるか?」

 アンバーは小蛸を使って上空を飛んでいる第六区全体の様子を伺っている白い羽のシスター・トニトルスに問いかける。

『主(クリムゾン)は敵の大将がいる部隊と接触、ハートは作戦通り北側から侵入した部隊を混乱に陥れて足止めをしている』

「拙者とシャパリュは次は鈴村功太朗の護衛に入る。凄みのある少年と交代だ、確か名前は諸田和音であったか」

『アンバー、シャパリュ、主の狙い通り存分に LOKI の力を見せつけたか?』

「ちと拙者もシャパリュも暴れ足らんが力は見せつけてやったわ」「ギィギィ!!」

 たこ焼きとケバブをほおばりながらアンバーとシャパリュは言った。

***

 クリムゾンの操る戦闘フレーム機が院瀬見の戦闘フレーム機を組み伏せる。邪魔者を押さえつけたクリムゾンは影彦の乗る装甲車両に向かって走る。

「させん!」

 二人の軽装兵怪人が立ちふさがる。ヘルメットの顔下半分から昆虫めいた口部が見えている。一人は両腕がカマキリ状、一人は右手が鞭状であった。

「影彦さんと話がしたいと言ってるのですが?」

「させんとこちらは言った」

「うっとうしいですわね。ハート!こちらに!!」

 クリムゾンが叫ぶと地面から黒い影が飛び出した。呼びかけに応じハートが現れた。

「ハート、邪魔する者は全て始末なさい」「了解しましたクリムゾン様」

「チェリャアアアアアアア!!」

 ハートに一斉に飛び掛かる軽装怪人。地面に吸い込まれるように消えて回避するハート。その隙にクリムゾンは駆ける。

 クリムゾンに向けられるアサルトライフル、ショットガン、プラズマライフルの一斉掃射は全てコートの変形で受け流しすれ違いざまに怪人らを発火していく。

「と、止めろ!!奴を食い止めろ!!私の居場所を特定されてるぞ!!」

「お任せあれ!!」

 装甲車から飛び出したのは諸田和音を襲ったブラックヴァリーエージェントの同僚・翼真。キリギリスめいた怪人となっていた。

「忍法爆炎遁!!」

 キリギリスの脚力で飛び上がって印を結びクナイを投げつけるキリギリス忍者。クリムゾンは右に躱して回避。追撃の手裏剣は金の杖剣で弾いた。避けたクナイが次々と爆発、クリムゾンの背中を爆風が襲う。それに合わせキリギリス忍者は背負った身の丈ほどもある手裏剣を全身を使って投げつける。ジェット噴射で超高速回転の巨大手裏剣。

「爆炎+鉄骨を切り裂く巨大手裏剣の回避不可能な二重攻撃だ!」

 爆炎で体を焼きながら吹き飛ばし回避不可能な状態を作り出しての巨大手裏剣投擲。この必殺のコンボは様々なサイバネ、同業者を葬り去ってきた為、翼真は自信を持っていた。キリギリスの力を得てこの必殺コンボは数種類のパターンを使い分けできるようになった。必殺コンボの後は真っ二つに避けた肉体が転がるだけ、そのつもりだった。

「空中で……停止している……だと!?」

 クリムゾンに命中した爆炎は消えて霧に、巨大手裏剣は砂に変わって霧散していく。

「馬鹿な!」

「中々の術でしたよ。かなりの衝撃をくらいましたわ」

 着地して砂を払うクリムゾン。骸骨の空双眸の奥で赤い光が見えた。

「ありえん……」

「貴方の技術は凄いものですよ。ですがわたくしにダメージを与えるには至りません」

「オオオオオオオオオオッ!!」

 クナイを連射しながら突進するキリギリス忍者、ぬかるみに足を囚われ転倒する。

「ごぼっ……!?」

「半径 3 メートルの地面を泥に変えました」

 クリムゾンの金杖剣が地面に突き刺さっている。

「さようなら」

 泥の中から巨大な手が現れキリギリス忍者を掴み地面に沈んでいく。

「ごぼぼぼぼぼ……」

 泥は徐々に赤みを帯びマグマへと変わる。沈められたキリギリス忍者は成す術もなく燃え尽きた。

 クリムゾンは金杖剣を振る、するとマグマは蛇の如く四方に伸び様子を伺っていた怪人兵に降り注ぐ。

「ぎゃああああ!」「ぐあああああああ!」「ごあああああああ!」「ぎええええええ!」

 軽装兵の耐火温度は 500 度。マグマの 1200 度には耐えられない。

「来るな来るな来るな!!」

 影彦は慌てて装甲車内にある自動装甲装着装置に腰を下ろす。 3 秒で専用超重装甲を身にまとう。神名のパワードスーツを参考に開発した地球環境全適応型戦闘スーツのプロトタイプである。

「あ……」

 影彦が立ち上がった時装甲車の中にはコートを着たルビー色骸骨が立っていた。

「ようやく会えましたわ。ですがすぐにさよならです時間が惜しいので」

「な!?」

 クリムゾンの金杖剣が超高速で伸びる。影彦の専用アーマーは自動回避システムを搭載していたが感知出来ずに易々と触れさせてしまった。金杖剣は胸から装甲と同化、アーマー内では警告の表示。影彦はパニックを起こし放電して撃退を試みるもそれがかえって悪化を招いた。金杖剣は電撃をエネルギーに変え同化の速度を増す。

「あ、ああああああっ!あああああああああああああああああ!!」

 院瀬見の最新技術を発揮できないままアーマーは沈黙。全身を金色に変えその後液体に変化して影彦の体から離れた。

「鈴村影彦、および院瀬見の新型アーマーのデータ収集完了しましたマスター」

 金の液体金属から声がした。徐々に伸びあがり一糸まとわぬ影彦の姿となって表面の色を人体の物にかえていく。

「ひいいい!!」

 腰が抜けた影彦は尻もちをついたまま後ずさりする。

「ご苦労様【来夢】」

 クリムゾンは液体金属に向かってそう言った。

「な、なんなななななんだそれは!!お前は何だ骸骨!!」

「わたくしは LOKI のクリムゾンと言ったはずです。こちらの子は【来夢】。この子はわたくしの大切なパートナー Super  L ife Medical Equipment 通称 SliME 」

 来夢がクリムゾンを包み込むと幼さの残る若い女性へと姿を変えた。その姿はクリムゾンの骨格に最も適した姿に。元々そうであったかのような容姿。

「解らん………意味不明だ……液体金属の AI 搭載型ロボットなど……聞いたことも無い」

「まだこの SliME を 知るものは僅かです。この世に 3 体しか無い存在ですので」

「お、俺をどうする気だ!!」

「貴方はわたくしの操り人形となり鈴村功太朗の為に動くのです。第六区は鈴村功太朗によって救われるというシナリオの為に」

「そ、そんな事がうまくいくわけがない。他の派閥も警察も市長も黙っていないぞ!」

「さてそれはどうでしょうか?第六区に限りませんが人の恨み執念と恩を甘く見てはいけませんよ」

「く……」

 幼さを残した整った顔立ちのクリムゾンの鋭い眼光に気圧される影彦。骸骨の時とは違う恐ろしさ。

『人の恨み執念と恩を甘く見てはいけない』

 この言葉にただならぬ力が込められているのを影彦は感じた。

「影彦派閥は半数を生き残らせて功太朗派閥に加える予定でしたがイレギュラーが発生しましたので……全滅ですね。どこの誰が余計な事をしてくれたのか知りませんが怪人化とは……なので貴方に命じます。兵は退かせずにひたすら突撃させなさい。第六区も多くの犠牲が出るでしょうが LOKI の他にも強力な者達がいるので派閥の勝利はあり得ません」

「ま、待ってくれ助けてくれ………」

「わたくしの操り人形でいるうちは死なせませんよ?ああ、他の派閥とのトラブル等は自分で解決してくださいそれでは」

 秋馬昊菜は影彦の胸を刺し心臓に金杖剣で鎖を巻きつけた。

「これで生殺与奪の権利はわたくしに。心臓に取り付けた鎖は来夢とリンクしていますのでいつでも握りつぶすことができます。わたくしの事も来夢の事も話せば死にます」

「あああああ……うあああああああああああ……」

「何を言ってはいけないのか、どう行動すればいいのかよく考えてくださいね?そうすれば貴方は長生きできる。まぁ露払いくらいはしますとも」

「ダメだ!殺される!!自分の派閥を全滅させて生きていられるものか!!」

「やり手の貴方なら生き残れると信じています」

 頭を抱えて床を転がる影彦を置いてクリムゾンは骸骨姿に変え装甲車から出る。外に広がっていた光景はハートが兵たちを肉塊に変えた後の金属と血と肉の海であった。

「クリムゾン様」

 声をかけるハート。

「集合場所に行きましょうハート」

***

 第六区の中央にある G/T のガレージに LOKI は集合する。鈴村功太朗は戦闘フレーム機に座ったままタブレットを操作して戦闘の状況を確認している。

「影彦の説得は失敗したのか……」

「ええ、残念ながら。何かに怯えるように必死でしたわ」

 クリムゾンは功太朗の戦闘フレーム機の腕に飛び乗って言った。

「影彦の派閥と全面戦闘か……第六区の人たちが戦っているのにここで私はじっとしていていいのだろうか?」

「北側の戦力はほぼ鎮圧、西側からの主力部隊も時間の問題です。貴方は自分の身を守ることを考えてください。そして勝った後にどうするのかが大事です」

「勝った後の事か……クリムゾン、君が影彦から得た情報によると第六区は都市開発計画により空港へと変えられる予定だとか」

「ええ、そうです。もはや第六区空港建設計画は決定してしまってるようですね。では貴方はどうすればいいか」

「……これから計画を廃止させるよりは……影彦派閥の代わりに私がここを担当して第六区の住民に対して出来るだけ配慮する……」

「はい。そして空港建設計画の人員は他派閥に取り込まれた貴方の元派閥メンバーと第六区の住民」

「そんな上手くいくだろうか?」

「いきますとも、貴方の人柄、話上手、熱意、思いやり、情熱それに LOKI の力があれば影彦派閥では成し遂げられなかった事も容易に可能です。ここから始まるのです」

「私は院瀬見を変えられるのか?」

「貴方とわたくし達で変えるのです」

 功太朗の見つめるカメラの画像には西側の諸田和音と大型の怪人たちの戦闘。北側の派閥兵と戦う兜金大河+ G/T のメンバーたち。

「このガレージは LOKI が守ります」

「ボクもいるんだけど」

 グレイブラスターを回しながら入ってきたのは柄留。 LOKI の見張りとガレージの防衛をかねてここに戻ってきた。

「おや、そうでした。北側では貴女の出番はありませんでしたね」

「それは別にいいんだけど……結構押してたはずなのにあっさり退いたのはなんで?」

「補給と現状把握の為ですよ。貴女こそ殆ど前には出ずに後方居ましたね何故です?」

「 LOKI が怪しいからだよ。前行って後ろからなんかされるの嫌だったからね」

「それで後ろから見ててどう判断しました?」

「……とりあえず様子見でいいかなって。街と功太朗の為に動いてるのは本当っぽいし。ボクはこの街を……特に第六区がマシになればいいなーって思ってるんだ」

「じゃあ味方ですね」

「ま、とりあえずは……」

 柄留はクリムゾンに近づかない。戦闘を目撃して彼女の金杖剣、術の範囲には入らないと決めた。それと同時に数時間前のことを思い出した。功太朗のアジトで目の前で話をしていたことにゾッとした。

「不思議な力を持った柄留さん。これからも LOKI と仲良くしましょう、勿論あの幻獣のようなオーラを放つ諸田和音さんとも」

 クリムゾンはタブレットの画像を見て言った。和音が大型の怪人 2 体を同時に叩き伏せている所であった。

続く






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Last updated  Dec 11, 2022 11:04:55 PM
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長月(ながつき) @ Re[1]:Fallout:NewVegas 第1話2話「目覚め」(11/19) Keyさんへ ありがとうございますがんばり…
久 遠@ Re:FalloutNewvegas121話「ストレンジトランスミッション!」(07/20) やほーい(=゚ω゚)ノ 何周遅れか分からないけ…
長月(ながつき) @ Re[1]:近況(12/30) あけましておめでとうございます。 今年も…
久 遠@ Re:近況(12/30) あけましておめでとうございます。 今年…
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くおん@ Re:FalloutNewvegas103話「Vault22」(07/09) やあ( ´ ▽ ` )ノ EDーEとの意思疎通方法、…

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