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Dec 31, 2022
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柄留:グレイブラスターの使いすぎの影響がある


ReviveTheGunSword 灰蘇の剣銃 30 「覚醒と変革」

 影彦派閥は LOKI の襲撃で混乱、西側と北側に戦力を分けた。西側二本の橋の一つは崩壊し残る橋を通って影彦派閥は侵攻してきた。圧倒的火力の派閥兵を街に入れるわけにはいかない。第六区の連中を下がらせてオレが前に出る。

『和音君!一人で行くの!?』

 携帯から柄留の声がした。

「大丈夫だ問題ない。徐々に力は増しているし思い出したことも色々ある。お前は LOKI を見張っておいて欲しい」

『わかった~……』

 柄留には LOKI を見張らせる。オレはオレの出来る事をする。

 オレの目の前には軽く 2 メートルを超える怪人が二人。一人はカマキリと日本鎧が組み合わさった姿、もう一人はクワガタと西洋鎧が組み合わさった姿だ。連中は武装したアーマー兵を待機させ大型の怪人だけが前に出てきた。

「怪人になってお前がどれほど異常な存在かって解るぞ少年……なぁ」

「我らはお前の力を分析していた。 DMC 怪人のハンマーキングを赤子の手をひねるよりも容易く仕留めた映像を見ていた」

「それで?」

「通常の兵器、人間では相手にするのは犠牲が多くなりすぎる。お前が怪人なのかそれとも超能力者なのかわからんがここは超進化した我らが相手をすることにする。そしてここで負けようとも戦闘データは無駄にはならん、何れお前を追い詰めるようになるのだ」

「いいだろう。オレも徐々に力を解放できて嬉しいんだ」

 オレがそう言い終わると同時にカマキリとクワガタの怪人は同時に襲ってきた。常人ではあり得ない速度で距離を詰めてくる怪人。ハンドガンを片手に撃って来る。

 皮膚を硬化させて腕を前にして迎え撃ち弾丸は拳と腕で弾く。左右に分かれたカマキリとクワガタは同時にオレの足と頭を狙って鎌と化した手と爪を振るう。

「シャア!」「ウルア!」

 錐もみ側宙捻りで同時攻撃を回避。着地と同時に横蹴りでカマキリを竜の息吹でクワガタを吹き飛ばす

「ゲハッ」「ゴヘェ」

 怪人は転倒するがすぐに立ち上がった。なるほどこれまでの敵とは違うようだ。

「まさか回避された上で反撃までされるとは」「いてぇじゃねえかよ……」

「何故お前たちは怪人になっている? DMC と関わっているのか?」

「 DMC などと関りは無い。だがこの怪人化については無関係ではないな」

「それでいいのか?怪人になどなってしまって良かったのか?」

「良いわけがないだろう……これは生存する為に仕方なく成っただけの事。改造手術で怪人化した連中と違い強制的に変えられた我々はもう人間の姿になる事は不可能、怪人として生きていくしかないのだ。だからこそ覚悟は決まった」

「誰がお前たちを変えた」

「女だな。突撃前に装備のチェックをしていた時突然足元にヘドロのようなものが絡みついてきた。成す術もなく飲み込まれ気が付けばこの姿、目の前には知らない女が立っていたそいつがヘドロを操って見せたのですぐにそいつの仕業だと理解した」

「その女が DMC だと名乗ったのか?」

「女は DMC の怪人化に関わっていることを話した。手術で誕生した怪人との違いを説明してすぐにヘドロと共に消えた。それだけだ……なにがなんだか解らないまま作戦が始まり勢いで怪人化を受け入れたのだ。この作戦に失敗すれば俺たちに居場所はないことが明白」

「その通り。この第六区を完全に掌握すれば俺たちはここで生きていける。あの女もまた現れて怪人化を解くやもしれん。つまりその為に邪魔なお前も始末しなければならん」

「第六区なら怪人であろうと誰も関与してこないという訳か」

 顎を蹴られたカマキリ怪人、胸に龍の息吹を受けたクワガタ怪人は再びハンドガンと鎌、爪を構える。

「シャシャー!」「ウリャリャー!」

 羽を広げて突進する二体、ハンドガンの銃弾で牽制しながら接近戦を仕掛けてくる。

「フゥゥ」

 弾丸、鎌、爪を腕で弾いて側面に回り込む。この程度の動き山での訓練に比べたらどうという事は無い。

 ――山での訓練か。

「(……なぜ忘れていた)」

 オレは一人で山で訓練をして力の使い方や体を鍛えたのではない。ついこの前までそう思い込んでいた。この街に来て怪人らと戦い徐々に龍の力を解放してきた。それで思い出したのか。

 山には妹の亜瑠と入っていたのだ。そして訓練の相手は……僧を名乗る男だった。

 名前は……輸波(ユバ)を名乗り曾祖父の知り合いと言い放った。

「(そうだ……思い出してきた。あの男からうちの家が龍に連なる者だと聞かされた)」

 オレと亜瑠が 15 歳になった時あの男はオレ達に何かしたのだ。そのせいで輸波徒の記憶はあいまいになり龍の力も抑えられた。

『成すべき事、しかるべき機が訪れた時、龍の力と記憶は解放されよう』

 あの男は不思議な力と武術を使っていた。

「(あの男の力……仙術と言ったか?亜瑠は適性からそれをメインに。オレは古布志宇知(こぶしうち)と呼んでいた武術をメインに叩き込まれたんだ」

 記憶が繋がってきた。様々な武術を地元で学んだ時に驚くほど吸収できたのはあの男に叩き込まれた古布志宇知が生かされていたのだ。

 平らな場所で無くても、暗闇でも、複数相手でも戦えるようにオレと亜瑠は訓練された。龍の力の暴走を抑える目的と活かす為に。

「(この怪人など輸波や奴のうごかすからくり人形に比べたら大したことはない)」

 輸波ならコイツらを鮮やかに制圧するだろう。亜瑠なら敵の戦意を奪って無力化するだろう。オレは……叩きのめすのみ。

「動きが変わった!?」「攻撃が当たらん!!」

 カマキリ怪人の銃弾を弾いてクワガタに命中させて腕を捻る。体制を崩したところに足を払って投げカマキリに衝突させる。そしていつもより息を大きく吸い込み龍の息吹を放つ。

 オレの口から熱線が発射された。カマキリとクワガタは炎に包まれながら吹き飛び橋の欄干に衝突して川に落ちていった。自分の体が薄っすらと青緑のオーラに包まれているのが見える。

「スウウウウウ……」

 更に大きく息を吸う。今度は出力は下げて広範囲に龍の息吹を放つことにする。橋を渡って来る派閥兵を吹き飛ばす為に。

「ハアアアアアア……」

 ゆっくりと勢いを殺す事を意識して放つ。オレの口から大量の炎がとびだす。扇状に広がり突撃してきた派閥兵を飲み込んで押し返す。

 体が熱い。

 眼が冴える。

 夜である事を忘れるほどに視界がクリアだ。

 沸き上がる力に思わず咆哮をしてしまいそうになる。

「なんだあれは……」「大河さんかそれ以上の……」

 後方で声がする。 G/T の連中だろう。

 携帯が鳴った、また柄留だ。

『和音くーん!マジでドラゴンなんだねー!!』

「なんの用だ?」

『いやその……ボクのお気持ち表明というか』

「切るぞ、雑談してる暇はない。奴らを追い返さないとならんからな」

『ボクもそっち行きたいな~ LOKI の連中見張ってるの疲れるし』

「 30 分もかからん、大人しく待ってろ」

『はぁい……』

 右手を見る。薄っすらと青白いオーラが包み込んでいる。その形は人間離れした凹凸のある皮膚で指先には鋭い爪。

「……」

 近くに転倒した車があるのでサイドミラーをもぎ取って自分の姿を見る。

「……なるほど」

 全身を包み込む青白いオーラ。額から枝分かれした角の、腰からは足よりも太い尾の、背中からは翼のオーラが見えた。

「輸波が封印していた力が完全に解放された……確かにこれは日常生活においては不便。地元の平和な街では不要なものだ」

 ―亜瑠もこの街で覚醒したのだろうか?

 アーマー兵の一斉射撃を受けるが全て龍のオーラで弾き返す。圧倒的質量で無い限り何の力も込められていない武器はこの龍の力には通じない。

「撃て撃て撃てー!!」「なんだ!?なんで効かないんだ!!」「ひいいいいいいっ!」

 炎を纏わない龍の波動で数十人のアーマー兵を吹き飛ばして昏倒させる。この場にいる影彦派閥全員を昏倒させれば終わる。後の面倒ごとは比留山刑事と鈴村功太朗に任せればいい。

 オレは影彦派閥を斃し、次に DMC を壊滅させる。

 シンプルだ。

「いやはや……ここまでとは」「ゲホゲホ……強すぎんだろ」

 カマキリとクワガタが上がってきた。装甲は吹き飛び虫の外骨格は剥き出し。所々破損して体液がにじみ出ている。

「まだやるか?」

「そうしたいところだが……1%も勝ち目はなさそうだ」「化け物ってのはお前の事だぜ……お前ならあのヘドロの魔女をぶちのめしてくれそうだ」

「投降するならこれ以上攻撃は加えない。 DMC を潰すついでにヘドロの魔女と会えば潰す」

「投降しよう……」「ところでお前は何の為に第六区で院瀬見と戦う事に?」

「妹とその親友の為、オレ自身が許せないと感じたからだ」

「そうかその姿……」「龍の逆鱗に触れたって訳かい……」

 カマキリとクワガタは頭に手を置いて伏せる。その姿を見たアーマー兵たちも武器を捨て座り込んでいく。

 『和音君!北側にいる影彦から連絡があったみたい!!降参して功太朗の元につくってさ!!』

 柄留が通信してきた。

「そうか、じゃあオレはそちらに戻る」

***

 ――数時間後。日は高くなり昼前。

 影彦と残りの影彦派閥の連中は LOKI と功太朗が連れて第六区の廃校に移動した。 G/T と罅助、柄留、オレは兜金大河のアジトで待機している。

「一件落着という訳には中々ならん……と」

 大河はタバコの煙を吐きながらモニター越しの比留山陶子刑事に言った。

『これでもあり得ないくらい迅速に動いているのよ。院瀬見より速く動けただけありがたいと思って欲しいわね』

「で、どうすりゃいいんだ?第六区に怪人どもが済むのは構わねえがまたあの規模の戦闘を仕掛けられたらたまらん」

『橋の崩壊は事故、北の騒動はテロリストが起こしたことにして警察が鎮圧。北側は第三区のエリア内だから警察も動かしやすかった。だからしばらくは大人しくしていて。 G/T の人間にも第六区からは出ないように言い聞かせて欲しい。鈴村功太朗が院瀬見と交渉してうまくいけばもう第六区は【見捨てられた地区】ではなくなるから』

「どういうことだ?」

『院瀬見の第六区の事業開発に鈴村功太朗と影彦が共同で取り組むことになってそのチームに第六区の住民を入れるって話よ。影彦側も怪人姿の部下たちを世間から隠せるし第六区の住民も正式に院瀬見の雇われになるからもう他の地区からの襲撃には晒されないはず』

「……けっ!結局は院瀬見のいいようになるんか!まぁでもこの話が上手くまとまれば職にあぶれて犯罪に走る奴も激減するやろうしな……」

『どちらにとってもいい話であることは確かよ。これに関して気に入らないと感じる者は少なくないでしょうけど反抗して台無しにするまでいかないかと。邪魔が入るとすれば DMC かしら』

「陶子、 DMC ってのは結局院瀬見の関係なんだろう?」

『ええ、表向きは無関係のカルト集団だけど実際は繋がっている。 DMC は解体させなければならないけど尻尾切りして無関係を貫くでしょうね』

「だが潰すと」

『ようやく捕まえた尻尾ですもの、引きずり出して叩き潰すわ。それで少しはこの街の治安バランスも良くなるはずよ』

「直接叩くのは難しいからはみ出している部分を潰していくってぇ訳か」

『貴方にも期待しているわ大河』

「警察には出来ねぇことをやらせるつもりなんやろう?相変わらず偉そうな女や」

『また何かあればこちらから連絡するわ。第六区の住民への説明と誘導お願いね』

「貸しだぞ陶子……」

 そこで通信は切れた。

「これからアホ程忙しなるな……」

 大河は吸いかけのタバコに火をつけて大きく煙を吐いた。

「……で、諸田。お前はどうする? LOKI が連れて行った鈴村功太朗と影彦を見張るんか?」

「いや、オレは DMC を潰しに行く。比留山刑事たちだけでは怪人に対抗できるとは思えないからな。時間をかければ奴らに逃げられる」

「陶子らが逮捕状を取ってる間に踏み込んで敵のボスを捕まえるんやな?」

「ああ、一気にやってやる。後の事は比留山刑事らに任せる」

「ボクも一緒に行く!絶対に行く!!」

 柄留が近づいてきた。左目が充血している。

「自分の身は自分で守れるな?」

「うん、和音君の足は引っ張らないむしろ助ける!」

「そうか、なら自分の体調にも気をつけろ。左目が充血しているぞ?グレイブラスターの影響じゃないのか?」

「え!マジ!?」

 柄留は慌ててアジトの鏡を覗き込む。

「ホントだぁ……ちょっとバカスカ撃ちすぎたのかもね。 G ウェポンつくるのに大分弾撃ったから」 

「しばらく休んでろ」

「え?待って和音君もう行くの?そもそも DMC のボスの居場所第五の中央塔であってるの?」

「外れてたらその辺の奴に聞くまでだ。時間をかければ奴らに逃げられる一気にやる」

「ひょえー……超電撃作戦……わかったボクも行く!グレイブラスター使うの控えたら多分大丈夫だし待ってるの嫌!!ダメって言われても付いて行く!!」

「無理するなよ?オレが退けと言ったら絶対に退くんだぞ?」

「うん!」

「バイクを借りるぞ兜金大河」

 オレはこの前借りたバイクを見る。

「ああ、使ったってくれ!飾ってても意味ないしな」

 サイドカー付きバイクに跨ってエンジンをかける。サイドカーには柄留が飛び込んだ。

 朝日はまだ見えないが周囲は明るくなり始めている。第六地区の荒れたアスファルトの道路をバイクで走り抜ける。橋を渡りサイドカーを見ると柄留はうとうとしていた。

『よぉー和音っち』

 七曲キョウヤからの通信が入った。

「何だ?用があるなら無駄話は無しで言ってくれ」

『冷てーじゃないの、まぁいい。そのバイクを使ったって事は俺っちに追跡されても問題無いって事だよな?……警戒しなくても後ろから狙ったりとかしねえって。ただ勝手に付いて行って好きに動かせてもらうって事を一応伝えたくてね。ほらコソコソしてたら蒐魅……柄留チャンに撃たれちまうかもしれねえしナ!』

「精々巻き込まれないようにな。オレはお前に配慮などしない」

『オッケー十分気を付けるわ。そんじゃーなー』

 一々癇に障る奴だ。龍の力が徐々に解放され感情の高ぶりが激しい。七曲キョウヤを見かけた時に潰さないように気を付けなければ。

 第五地区に入ると無数のドローンが飛んでいるのが見える。警戒を強めている。それならそれで構わない DMC の戦力を引きずり出して潰すまでだ。

続く






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Last updated  Dec 31, 2022 03:35:04 PM
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長月(ながつき) @ Re[1]:Fallout:NewVegas 第1話2話「目覚め」(11/19) Keyさんへ ありがとうございますがんばり…
久 遠@ Re:FalloutNewvegas121話「ストレンジトランスミッション!」(07/20) やほーい(=゚ω゚)ノ 何周遅れか分からないけ…
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久 遠@ Re:近況(12/30) あけましておめでとうございます。 今年…
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