未完成のブログ

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Jul 29, 2024
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カテゴリ: DHHU
DHHUその21

「久しぶりだな吹雪、二郎。それに土蜘蛛に大蝦蟇か」

 続いて黒渦から華月が登場。ケン、滑田と続く。

「先代! どうしてここに……碁盤の目町から出れないはずでは?」

 吹雪の全身から嫌な汗が流れる。

「そう怯えるな。センジョーがらみの仕事で地上に出てきておるのだ。疑うなら仙丈隼磨に確認してみるか?」

 音もなくふわりと吹雪に近づく。吹雪の間合いのギリギリ外に立っている。

「華月さん……タレント黒谷月としての仕事ですか?」

 二郎は華月が吹雪を視線で制しているのに気付き笑顔で質問する。



「え? これを知ってるんですか?」

「まあな」華月は周囲を見渡し「どうやら二郎たちはこの周囲に居た異空間結界から漏れ出した影を始末したようだな」と嬉しそうに言った。

「そこの少年は?」

「勇者ケン・シーア。異空間結界を排除し真邪王の封印を目的としている。シーア財団は聞いたことあるか?」

「まぁ名前くらいは」

「どうも、ケン・シーアです。華月さん達には協力していただいてます。ダンジョンから漏れだした影の始末ありがとうございました」

 ケンはハキハキと少年らしからぬ落ち着きで言い放った。

「すごいな、その歳で……俺は木城二郎。こちらは白峰吹雪さん、あっちが奥寺舞子に周防美古都さん」

「あ……白峰……」

 ケンは華月と吹雪の関係を一瞬で理解した。

「……」 



「あ~あ、ほらここに居ると碌な事にならない。さっさとマスドに行きましょ」

 舞子はため息をつきながらも糸のトラップ準備をしながら言った。

「土蜘蛛」「ん? 何?」

 華月の問いかけにめんどくさそうに応える舞子。

「しばらく忙しくなりそうだぞ?」華月はダンジョンを指して言った。



 舞子はセンジョーから連絡が来ることを予測した。そしてそれは現実となり『ヴァルキリー』のメンバー4人は街中のダンジョンの見張りに出向くことになるのである。

 自転車で去っていく4人、華月は最後に吹雪に目を合わせて見送った。

「……吹雪の奴め。あれから殆ど鍛錬しておらんな」

「まぁエクレシアの仕事で戦う事もなさそうでしたし今日久しぶりに実戦だったのでは?」

 黒谷は華月に近づいて言った。

「当主選を勝ち抜く気概も感じられん。端から諦めておるのか?」

「さぁどうでしょうね……白峰家・三特性の内『護』の特性ですから吹雪様は。ああ見えて内に秘めるものがあるのでは? 雪名様と同じで」

「我には理解できん奴だ。同じ『撃』特性の霄や冬華が我は好きだぞ。母上と同じ『睦』の特性を持つ霞もあまり理解できてるとは言えん」

 それを聞いてケンは納得した。同じ白峰家でも華月と吹雪のタイプが全く違う事に。

「今は異空間結界の攻略に集中だ、行くぞケン、滑田」

「はい!」「は~い」

 ダンジョンに潜り込むケン達4人。入った途端蒸気に包まれる。

「毒ではない……ですね」

 ジークベルトは一瞬でドーム状の防壁を展開して全員を包み込んだ。

「視界が悪いな」

 華月は周囲を見渡す。

「虎狩りの戦士召喚!」

 ケンは防壁の外に虎狩りの戦士を召喚。片刃の湾曲した剣を二本持ち小刻みに動かしている。

「勇者の召喚は代々シーア財団の勇者が作り上げてきたものだと昔セイに聞いたがケンはまだ自分の召喚者もしくは道具を作っていないのか?」

「……どうしてそう思うのです?」

 華月の言葉に驚きながら言うケン。

「何となくだ。お前はまだ成人しておらずこれから数多くの事を経験しそれから自分だけの召喚札を生涯かけて作るのか、それとも今の歳だからこそ一生刻み込まれる強烈な思入れの物を作るのか少し気になっただけだ」

「えっと……」

「今言うべきではなかったな。攻略に集中しよう」

 華月は昔を思い出していた。ケンとユウの父親であるセイと少しの間ではあったが共に過ごした時の事を。その時に召喚カードの話を聞いた。

 セイは華月と出会う前に渾身の一枚を作り上げたというそれを誇らしげに見せて説明した。忍者のカードだった。それまでにもシーア財団には忍者のカードは存在していた。工作員として複数を召喚するものであった。
 セイが作り上げた忍者のカードは創作物に登場する英雄的で超人な忍者。多彩な術と驚異的な身体能力で戦う者で『ジライヤ』と名付けた。

 自分で作り上げた召喚カードは成長させやすく、着装できるタイプの勇者の場合強化の幅が大きい。

 セイは小さい頃から忍者が好きで忍者の創作物を好んで見ていた。ダンジョンを攻略中に完全にイメージが固まり生み出したのであった。
 最初はうまく操れず視覚共有も部分着装もぎこちなかったが根気よく『ジライヤ』を使い続け他のどのカードよりも使いこなせるようになった。

「セイのジライヤのように良い札が作れるといいな」

「は、はい……」

 華月と目を少し合わせてそむけるケン。ケンの中ではもうイメージは出来ていた。それまでは漠然と二つの特性をもった魔法戦士をイメージしていたが今は完全に別の二体を作ることを考えている。

 サモナータイプのケンは召喚者を作るのに向いている。着装タイプのユウは召喚物を作るのに向いている。バランスタイプは数は多く作れないがどちらも作れる。

 召喚者の場合、子供の頃に作った者の方がベストパートナーになりやすく、召喚物の場合歳を重ねるほど強力なものを生み出せるとされている。

「(ユウはきっと勇者にふさわしい武器防具を作るだろう……じゃあ俺はパートナーとしても着装にしても強い最強の召喚者を作る! シーア財団の為にも!!)」

「真邪王……」

 真邪王の仮の姿と声を聴いた時ケンは動悸がするのを感じた。それは忘れてはいけない記憶の為である。

「あの声……沙那……」

 今は亡き幼馴染の名前を呟くケン。全身を血まみれになりながら兄ユウの目の前で逝ってしまった沙那。ユウは何があったのかを頑なに話そうとしない。

「勇者のトラウマに関係する姿に変身するってのは本当だったんだ」

 ケンは自分の方が先に真邪王に遭遇していればどのような姿になっただろうと考える。

「……と、今はそんな事を考えている時じゃない。華月さん! ジークベルトさん! 滑田君!」

 数センチ先も見えない蒸気の中ケンは声を上げる。

「返事がない……分断されたかな」

「なんだーい?」滑田の声が後ろからした。

「滑田君! 良かった無事だね。華月さん達は?」

「分かんない……歩いてたら偶然ケン君見つけたんだ。しかし蒸し暑いねここ」

「そうだね……」

 全身から噴き出す汗、ケンと滑田は水を被ったような状態だった。

「闇雲に動いても良くない気がする。かといってこのままじゃ蒸し暑さで体力が奪われる」

「どうしよう?」

「とりあえず……【モニターマン】と【伝書フクロウ】を召喚!」

 モニターマンは他者の視界を映し出せる能力を持ち伝書フクロウは必ず対象の人物に向かって飛んでいく。

「伝書フクロウ! 華月さんに向かって飛べ!」「ホロッホー!」

 蒸気の中を飛んでいく伝書フクロウ。モニターマンの画面には蒸気しか映っていない。

「展開したはずのファランクスがカードに戻ってる……再召喚してモニターマンと接続。360度の視界を12の分割画面で表示!」

 ケンは自分と滑田を中心に12体のファランクスを召喚、モニターマンと視界を共有する。

「これでしばらく待とう、30分待っても伝書フクロウに反応が無かったら手あたり次第ダンジョンを破壊してみる」

「うん」

***

 華月は一人石畳の上を歩いていた。

「幻術の類か。それにしてもこれは趣味が悪いな」

 華月の目の前には旧白峰邸。石畳の両側には黒いスーツを着た男達が頭を下げて並んでいる。

「おかえりなさいませお嬢様!」

 一斉に声を上げる男達。

「ふん……なんの茶番だこれは。我の子供時代の記憶を何処からか読んだか?」

「お嬢、当主がお呼びです。お急ぎください」

 眼鏡をかけた鋭い目つきの男が声をかけてきた。

「吉良……伝次郎」「は」

 眼鏡の男は現当主白峰雪名の世話役である吉良伝左衛門の父・伝次郎である。

「(この先、屋敷の奥には母上が居るとでも? 面白い茶番に付き合ってやるか)」

「お嬢?」伝次郎が声をかける。

「聞こえておる、母上が呼んでるのだろうすぐに向かう」

 懐かしい屋敷を進む華月、奥の間の襖を開けると中央に正座をしている黒い着物の女性の姿が見えた。

 白峰華奈

 華月の母である。

「戻りました母上」

「座りなさい華月、話はそれからです」

 懐かしい顔だと華月は思った。

「今日は何の話ですか母上」

「身に覚えがないと? 相変わらずですね貴女は。それはいいでしょう、呼んだのは全国行脚の話の事です」

「その事ですか」

 華月は思い出しながら華奈との会話を続ける。

「全国行脚をせずとも既に自分は当主としてふさわしい力を持っていると思いますが? 試してみますか母上、今この場で」

 あの時言った言葉とは違う事を言い放つ華月。

「(あの時「そんなもの意味などありません、周りの者たちなど自分が黙らせてやります」と我は言ったがさぁどうだ?)」

「言葉が過ぎますよ華月。才能や力は既に私を超えているのでしょう、しかし当主の力は私にあり貴女の弱点も知り尽くしています。ここで私と貴女がやり合えば結果はどうあれ白峰家は揺らぎますよ? そんな事も分かりませんか?」

「一度全力で母上とやり合ってみたいと常々考えていたのです。妖の極道者や人間の反社組織の相手などもう飽き飽きです。母上を負かした後に同盟を組んでいる神野悪五郎も山ン本五郎左衛門も、そして緊張状態が続いている大天狗も九尾も我が打倒して見せれば誰も文句は言えないはずです」

 華月はわざと大げさに挑発めいた発言をする。

「どうしました華月、様子が変ですよ?」

「それはそうでしょう、ここに居る我は貴女が知るよりずっと未来の華月なのですから」

「?」

 華奈はゆっくりと立ち上がり華月に向かって歩き出す。その様子を見て華月は笑みを浮かべた。

「馬鹿め! 母上がそのような歩き方をするか!」

 中段突きを放つ華月。咄嗟に防御の姿勢をとる華奈(幻)後方に吹き飛ばされ壁に激突する。

「がは……華月様……」

 ジークベルトの声がした。華奈の姿はジークベルトへと変わる。

「幻術は解けたか? ジークベルト」

「幼い華月様と楽しく遊んでいたはずが急に殴られてなんのことやら」

「冗談を言う余裕はあるな。さては貴様、幻術に掛かったふりをして遊んでいたな?」

「はははこのような機会そうそうありませんからね。さてこれは蒸気に魔力が含まれていますね……同士討ちでもさせたかったのでしょう」

「そのようだな、ではケンと滑田を探すぞ」「はい」

 旧白峰邸は徐々に薄れて消えていく。

「ジークベルト、貴様は母上を見たか?」

「華奈様を? いえ、あのお方が呼んでいると黒服に声を掛けられそのまま旧白峰邸に来ましたので。そこで華月様の相手をしてやってほしいと」

「そうか……」

「どうされました?」

「いや、貴様も見たのかと思っただけだ懐かしさを感じたのでな」

「そうでしたか、私は華奈様には感謝していますよ華月様を産んで下さったのでね」

「そうか……」

 華月は幻術はダンジョンの主の力ではないと考える。真邪王の邪眼によるものだと。ダンジョンに入る前に真邪王はダンジョンに入れたかがっていた。この仕掛けが理由だと。

「蒸気だけのダンジョンではないでしょうね……この臭い何か気が付きませんか?」

「小麦と動物を煮込んだ臭いか?」

「まぁ所謂ラーメン屋の匂いですねぇ……このダンジョンはテーマがラーメン屋。そこに真邪王が乗っかっているのでしょう」

「……意味が分からんが主の思入れが強いのか」

「ダンジョン主はラーメンに関係するものですかね」

「何か来るぞ」

 迫って来る気配、蒸気を切り裂き現れたのは長く巨大な物体。小麦の麺で造られた龍であった。

「ギャオオオオオオオオオン!」

「麺の龍だと!?」「これはまた珍妙な……」

「へいお待ちー!」

 タオルを頭に巻き腕まくりをしたTシャツ、作業ズボンに長靴、腕組をしたジンガの配下である大池が麺龍の頭に乗っている。

「勇者の方を狙うべきなんだろうけど……アンタらを放置する方が危険だと勘が働いた」

「ここの主だな」

「左様、俺は大池。麺好きの用心棒って所だ」

「我は白峰華月」「黒谷ジークベルトと申します」

「いやはや……格というものがありますねぇ。仕留めるのは難儀しそうだ、あの【人斬りマサ】のダンジョンを犠牲者無しで突破するんだもんなぁ」

「ならば真邪王に助けを求めるが良い。我は一向に構わんぞ」

続く





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Last updated  Jul 29, 2024 12:00:55 AM
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長月(ながつき) @ Re[1]:Fallout:NewVegas 第1話2話「目覚め」(11/19) Keyさんへ ありがとうございますがんばり…
久 遠@ Re:FalloutNewvegas121話「ストレンジトランスミッション!」(07/20) やほーい(=゚ω゚)ノ 何周遅れか分からないけ…
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