2004.01.24
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ラストサムライはオレが必ず観なければならない映画だと思っていた。

なんとなく侍が好きだし、キルビルを観に行ったときに流れていた予告編の騎馬武者の映像に痺れてしまっていたし、公開されてから聞く評判に悪いものがなかったことや、同僚や友人もみな口をそろえて、良かった、感動した、泣いたというようなことしか言わなかったことなどがその理由だ。

こすりつけは正月にはもう同作品を見ていてそのとき、「日本人であることを誇りに思う」という評価をオレに刷り込んだ。会社の同僚である(リブ)タイラさんは「もう一度観てもいい、DVDは買ってしまうかも」とこれも大絶賛で、キュートな銀行員にいたっては「映画館で泣いてしまったの何年ぶりかわかりません」というようなことを言っていた。ランキングは常に1位だし、2週間前に観ようと思って行った池袋では立見だと言われて失意のまま帰ってきた。いよいよもって観なければいられない事態になってきた。しかし池袋のシネマサンシャインでまた意味もなく行列の最後尾に並ぶのは嫌だったので、違う映画館を探した。「ワーナーマイカルシネマズ板橋」。池袋より遠いが、全席指定だから無駄に並ぶ必要はないし無駄に広い空間も心地よく、安っぽいレストランも充実していて時間も無駄にならない。施設は最高だった。

磐石の布陣でオレは待望のラストサムライを鑑賞したが、結論から言うと、ものすごくつまらなかった。

つまらないと思わせる要素はいくらでもあったが、でも最低最悪、というわけではなく、いい部分もいくつかあって、まず戦闘シーンはめちゃめちゃカッコよかったし、どういうわけか忍者が出てきたときのアクションシーンもものすごくよかった。確かに渡辺謙の演技もよかったし、ボブ役の福本清三さんもよかった。ちなみに福本さんは、大部屋出身の斬られ役一筋として有名な老人である。しかしこの映画の中で一番カッコよかったのは真田広之だ。多分彼は、関ヶ原の島左近をイメージして役づくりしたかもしれないとオレは勝手に思っている。トム・渡辺・真田の3人が鎧を着て騎馬隊の先頭を駆けるシーンはぞくぞくした。
黒澤明ばりかそれ以上かとも思ったが、よくよく考えてみたら、大将や指揮官が先頭で行軍するなんてありえない。

ありえない、ということをいったらこの映画は壊滅するわけだけで、ディテールをいちいち掘り下げてけなすつもりはないが、一つだけ言わせてもらうと、ラストシーン、敵方の兵隊たちが感極まって土下座するシーンだ。侍たちに敬意をはらっているといことを表現したかった意図はわかるし、そのシーンでは周囲からだいぶすすり泣きが聞こえたが、オレはいっきに冷めてしまった。

日本人が誰かに対して敬意を示す表現が「土下座」ってどういうことよ。それに感動してるおまえらって、どういうことよ。「土下座」って、無条件に従属するとか、リスクなしに謝罪するとかそういうことだろうよ。土下座には「誇り」のかけらもないんだよ。
権威に対してやたら「お辞儀」させるのもかなり気になった。お辞儀を強いられている町民や農民の意思はまるで感じられなかった。それをいうなら、戦場で死ぬる兵士の痛みや苦しみがまるで感じられなかった。黒澤明が描く戦闘シーンは壮絶でスリリングでファンタジックだけれども、非常にリアルだ。なぜリアルかというと、戦うことの悲しさや死ぬ奴の「痛み」が伝わってくるからだ。


最低だ。





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最終更新日  2004.01.25 01:33:37
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