19日の万葉ウオーク下見の記事は先日終了しましたが、香具山の北東の山裾斜面に広がる「万葉の森」での写真は割愛して居りました。
それを今日はアップすることと致します。
万葉歌に詠われている樹木については、それも思い付くままに記して置きますので併せお楽しみ下さいませ。
(ノリウツギ)
<参考> ノリウツギ
(糊空木)Wikipedia
(ナギ)
<参考> ナギ
(梛)Wikipedia
垂仁天皇の命によって 田道間守 が常世の国(蓬莱山)から持ち帰った不老長寿の果実、「 非時 の 香菓 」は橘の実のこととされるが、タチバナは古代人の賞玩した植物で、万葉集にも多く詠まれている。大伴家持の歌(万葉集巻18-4111)は、田道間守がこの実を持ち帰ったことから歌い起して橘を讃えているが、その反歌を上げて置きましょう。小生が橘の万葉歌として先ず思い浮かぶのがこの歌であるから。
たちばなは 花にも実にも 見つれども
いや時じくに なほし見がほし
(大伴家持 万葉集巻18-4112)
(注)ここでの「時じくに」は、「季節外れ」ではなく「永遠に」「常に」の
意味の方ですな。
橘の姓は「源平藤橘」と称される代表的な姓であるが、美努王の妻で後に藤原不比等の妻となって光明子を産む、県犬養三千代に下された「橘姓」がその最初である。美努王と三千代の間の子である葛城王が臣下に下るに当り、母の姓を継いで橘諸兄と名乗るのは、天平8年(736年)のことである。大伴家持の上の歌は、家持と諸兄の関係から推測すれば、橘諸兄を意識して作られたものではないかと思われる。
(同上)
<参考> タチバナ
(橘)Wikipedia
クヌギは、漢字では「檪」、「椚」とも「橡」とも書きますが、「橡」の字はトチ(栃)にも当てられるからややこしい。万葉では「くぬぎ」と言わず「つるばみ」と言っていますな。クヌギは「国木」から来ているらしいが、国中を「くぬち」と言っていますから、そんな「木・気」もしますな(笑)。
橡の 一重の衣 うらもなく あるらむ児ゆゑ 恋ひ渡るかも
(万葉集巻12-2968)
<つるばみの一重の衣のように裏もなく無心で、私のことを気にもと
めていないらしい、あの子ゆえに、私は恋い続けることだ。>
(クヌギ) (ウメモドキ)
<参考> クヌギ
(橡・檪)Wikipedia
ウメモドキ
(梅擬)Wikipedia
ウメモドキの木に落ちていた枯葉を手に取るとカメムシがいました。キバラカメムシという洒落たデザインの虫です。
(キバラヘリカメムシ)<参考> キバラヘリカメムシ (虫ナビ)
さすがにカメムシは万葉には登場しませんが、亀は2首登場します。
どちらも長歌ですが、一つは「藤原宮の役 (えだち)
の民の作れる歌」(巻1-50)で、「 ・・ふみ負へる くすしき亀も 新代と・・
」とある。
もう一つは「夫君 (せのきみ)
に恋ふる歌」(巻16-3811)で、
「 ・・亀もな焼きそ 恋ひしくに いたきわが身ぞ・・
」とある。
「亀は萬年の齢を経、鶴も千代をや重ぬらん
」は謡曲「鶴亀」の一節ですが、万葉的には「 亀は万葉に二首を得、鶴も四と七重ぬらん
」でありますな。鶴は47首も登場します。
カメムシ曰く「ワシはカメシマへんが、ワシからどんどん話が脱線しているような・・。」
(注)カメシマへん=カマシマへん、大阪弁。「構いません。」の意。
ごもっとも、話を戻して、このカメムシはウメモドキにつく虫らしい。梅も万葉を代表する花であるが、似て非なるウメモドキ(梅擬)は詠われない。よって、カメムシとウメモドキは似合っているのである。
本日は、この辺で、「おアトよろしいようで。」( つづく
)
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