偐万葉田舎家持歌集

偐万葉田舎家持歌集

2020.04.20
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​  ​昨​ 日(19日)は、久々に少し遠くまで銀輪散歩をしてまいりました。
 というのも、地元の花園中央公園のライラックの花が数日前あたりから咲き始めたからである。
 ライラックは和名がムラサキハシドイ。
 ムラサキハシドイが咲き出したのなら、ハシドイも咲き出しているのではないか、という単純明快な理由からの銀輪行でありましたが、見事に空振りでした。
 そのハシドイというのは、当ブログの過去記事をお読みになったお方は覚えて居られるかも知れないが、大阪市内、大川べりを毛馬閘門へと行く途中の、毛馬橋東詰南側の公園にある2本の木のことである。
(その位置は下記<参考>の2番記事に掲載の地図に図示されている。)
<参考>
 1.​ 蕪村公園と奇妙な実のなる木 2019.7.14.
 2. 囲碁例会・奇妙な形の実のなる木再訪 2019.8.7.
 3. 奇妙な形の実のなる木はハシドイという名前でした  2019.9.20.
 4.​ 囲碁例会・ハシドイの実が弾け出しました。 ​ 2019.10.2.
 5.​ 囲碁例会・名探偵コナンとハシドイ ​ 2019.11.6.

 そのハシドイに行く前に、先ずは花園中央公園のライラックの花をご覧いただきましょう。

(ライラック)<参考> ライラック ​・Wikipedia

(同上)
​ ライラックは英語のLilacから、フランス語のLilasからのリラという呼び方も目にする。
 「リラ冷え」などという言葉があるが、これを「ライラック冷え」などと言い換えることは、語感の上からも許されないだろう(笑)。
 和名はムラサキハシドイ(紫丁香花)。
 ヨーロッパ原産の植物である。
 ムラサキハシドイという命名は、日本には既に在来の近縁種ハシドイという木が存在したから。
 どちらが本家かなどは無用の議論であるが、和名の付けられ方からはハシドイが本家でムラサキハシドイことライラックが分家と言うべきである。しかし、知名度はライラック、リラがずっと上。ハシドイという名を知る人は少数だろう。本家ハシドイもいささか肩身が狭いのである。​


(同上)
​ ライラックの学名はSyringa vulgaris、
 ハシドイの学名はSyringa recticulata、
 syringaとは笛という意味だそうで、この木で笛を作ったことに由来するという。​


(同上)
 上の4枚の写真は4月16日撮影のもの。
 その少し前(4月2日)は、こんな状態でした。

(ライラックの蕾)

(同上)

(同上)
 では、同じ仲間と思われるハシドイはどんな花を咲かせるのか、期待が高まったところで、昨日のハシドイの木はこんな風でした。

(ハシドイ)
 花らしきもの、蕾らしきものも見えない。
 中ほどから上の方にかけての枝先には、昨年の実の弾けた後の残骸と思われるものが未だ残っている。枝先に茶色っぽく見えているのがそれです。

(同上)※ ハシドイ ​・Wikipedia
 もう1本の方の木の高い枝先に見えているのが花芽なのかどうか。
 もしそうなら、花が咲くのはかなり先のこと。
 そうではなくて、これも葉となるだけの新芽であるなら、今年は花が咲かない、従って実も生らないということになるが、イマイチよくわからないというのが現状であります。

(同上)
 まったくの期待外れでありましたが、ネットなどで調べるとハシドイの開花は6~7月とのこと。ライラックの開花時期は4~5月であるから、ライラックの花が咲いたからハシドイもと考えたヤカモチは「もの知らずの先走り」であったという次第。まあ、再挑戦の機会を与えていただいたと前向きな解釈をして置きましょうか。
 しかし、この記事の納まりをどうしてくれる、という問題はまた別。
 ということで、ハシドイという名が「端集い」が変化したものという説に掛けての駄洒落で、「はしつどい」ならぬ「はしやすめ」で、復路にて撮影の花の写真でもご覧いただくことにします、という苦し紛れの辻褄合わせであります。
 先ずは、大阪城公園のツルニチニチソウの群落です。

(大阪城公園のツルニチニチソウ)
 ツルニチニチソウは道端でもよく見かける花で、珍しくもないのだが、これだけの群落となると、珍しく、見応えもあります。
 こちらは「端
(はし) 集い」ではなく「中​ (なか) ​集い」または「大 (おお) ​集い」であるから、ナツドイまたはオツドイである。

​​​​
(同上)
 そして、早くも藤の花が満開です。
 ハシドイの花は白色のようですが、白いライラックの花を家に持ち込むと不吉なことが起こるとされているようですから、本家ハシドイは「そんなことは本家の知ったこっちゃない。分家のムラサキが流したフェイクだ。」と申して居りますが、ここは紫系統の花を続けることとした次第。
 中央大通りを東へと走って帰る復路で、中央環状道路を渡って少し東に行った交差点の右に横枕春日神社というのがある。その神社の南側に隣接する小さな公園があり、その一角に藤棚がある。その藤棚の下のベンチで一休みしたのですが、そこに咲いていた藤の花が下の写真です。
 垂れ下がるような豊かな花房ではなく、少し貧相な藤である。しかし見方によっては、却って野趣があっていいなどと思ったりもする。正岡子規が病床で見た藤もこんな風に短い房であったのだろうか。

( かめ ) にさす 藤の花ぶさ みじかければ
      たゝみの上に とどかざりけり (正岡子規)

 この歌は中学だか高校だかは忘れたが、教科書に出ていたと記憶する。

(藤の花)
 正岡子規の上の歌は、彼が病床で藤の花を詠んだ一連の歌の中の1首であるが、その中にこんな歌もある。

藤なみの 花をし見れば 奈良のみかど
(  きやう ) のみかどの 昔こひしも (正岡子規)

 当ブログは偐万葉と言うタイトルであるから、奈良のみかどではないが、万葉歌も取り上げないとなるまい。
 藤の花の万葉歌で好きな歌はこれだろうか。

藤波の 影なす海の 底清み  ( しづ ) く石をも 珠とそわが見る
                  (大伴家持 万葉集巻 19-4199

 この歌は、その題詞に「十二日に、布勢の水海に遊覧し、多古の湾に船泊てして藤の花を望み見、各々懐を述べて作れる歌四首」とあるように、天平勝宝2年(750年)4月12日に、大伴家持が、内蔵縄麻呂、久米広縄、久米継麻呂らと布勢の水海に遊覧した時の歌である。
 この時、大伴家持は越中守。越中の国府は現在の高岡市伏木にあった。布勢の水海は、伏木の海岸から北上、氷見市に入った付近の内陸側にあった広大な鹹水湖である。
 国府から近いこともあって、都からの使節や客をこの湖での遊覧でもてなしたようである。

(布勢水海の地図)
 この歌の歌碑は、氷見市下田子の藤波神社境内に建っている。
 2012年11月に銀輪散歩でこの藤波神社を訪れているが、藤の花の季節ではなかったので、境内に藤棚があったかどうかなどは記憶にない。
<参考>
氷見銀輪散歩(4)・布勢の円山、藤波神社から氷見港へ ​ 2012.11.8.


​​​
(同上)

(同上)
 さて、この藤棚のある公園、横枕春日神社の南隣の公園と言っても、何処ともご理解できないでしょうから、地図を貼って置きます。
 まあ、場所を何処と示すことが意味を持つような公園ではありませんが、ご参考までに、という次第。

(横枕春日神社と隣接の藤棚のある公園位置図)
 囲碁例会の折など、中央大通りを帰る場合は、外​環状道路までかその手前の吉田駅前付近まで東上し、そこで右折し南方向へ走るということが多いのですが、昨日はかなり手前で右折したことになります。
 外環状道路まで走った場合はそのまま自宅へ、吉田駅前付近やそれよりも手前で右折した場合は花園中央公園に立ち寄ってから帰ることが多い。昨日もそのパターンでありました。
​​​ 中央大通りの深江橋交差点に差し掛かった時、左から走って来た消防車が「こちらは大阪市役所です。大阪府は新型コロナの特別警戒地域に指定されています。生活を維持するために必要な場合以外の外出は自粛しましょう。」というような意味のアナウンスをしていました。銀輪散歩もだんだんと何やら後ろめたいような気になってまいります。
 ところで、冒頭の方で「リラ冷え」という言葉があると書きましたが、ヤカモチ自身はこの言葉を使ったという記憶はなく、その意味も曖昧でありましたので調べてみると、これは北海道発の言葉だそうな。春から初夏へと向かう北海道ではライラックの咲く頃に急に寒くなることがあり、それをリラ冷えと言うのだそうです。桜の頃の「花冷え」と同じで「寒の戻り」のことです。
 この言葉を最初に使ったのは俳人の榛谷美枝子(故人)さんだそうで、1960年代から自身の俳句にこの言葉を季語のように使った俳句をいくつも発表されたそうな。1970年代になって作家の渡辺淳一(故人)氏が「リラ冷えの街」という小説を発表されたことで、この言葉が一般に広まったのだとのこと。してみれば、ヤカモチもその小説は読んでいないものの、その流れで知った言葉であったのかも知れない。
リラ冷えの 北の街から 南まで コロナ冷えなる 日の本の街 (冷和家持)
コロナ冷え かこつオ氏より 架電あり
      よしなしごとの あれやこれやを (冷和家持)






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最終更新日  2020.04.20 18:38:54
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Re:ハシドイの花やいかにと(04/20)  
小万知 さん
アッ!ヤカモチ様に通じました(笑)
初夏に咲く花が咲き出したのでそろそろかな~?でもヤカモチ様の囲碁の集まりも中止にされて梅田までは出られないだろうな、なんて勝手に思っておりました。確かめに行って下さり有難うございました。
昨年教えて頂いたハシドイの花、<枝の端に集う花の意>がとても印象に残っておりました。
お写真で見せていただくと、枝先に見えるのはきっと花芽ですね。少し早かったかも知れませんが瑞々しい若葉が見られ嬉しいです。
おまけにライラックやツルニチニチソウのお集い、青空に映える藤花の美しさなどを見せていただきたっぷり楽しませていただきました。
花冷えや花散らしの雨や花にまつわる言葉あそびも楽しめる春、行く春までもう少し楽しめそうです。 (2020.04.21 00:27:50)

小万知さんへ  
けん家持  さん
  >アッ!ヤカモチ様に通じました(笑)
 小万知さんもハシドイの花のこと、気に掛けて居られましたか。
 小生も気にしていて、花園中央公園のライラックが咲き出したら、様子を見に行こうと決めていました。まさかハシドイの開花がライラックより2か月も遅いとは知りませんでした。
 開花時期をネットで調べたついでにライラックとハシドイの学名も知ることとなりましたが、その学名からもハシドイの花の様子が推測できそうです。
 ライラックがSyringa vulgarisで「普通のSyringa」という意味であるのに対して、ハシドイは、Syringa recticulataで「細かい網のようなSyringa」という意味になっていますから、スモークツリーみたいな花なのではないかと思います。
 ところで、syringeという英語は注射器ですが、スペルから見て、注射器の語源は、このラテン語のようです。
  >枝先に見えるのはきっと花芽ですね。
 そうであることを願っています。5月下旬~6月上旬頃に「第二次探索隊」を出す予定です(笑)。
 まあ、ハシドイはこんな状態ですから端に追いやって「ハシオイ」と改名、ライラックやツルニチニチソウやフジなどお馴染みの花をお楽しみいただくこととしました。
はしどひは はしに追ひやれ 今はもや ふじの波立つ 青き空見よ (藤家持) (2020.04.21 09:04:32)

Re:ハシドイの花やいかにと(04/20)  
ふろう閑人  さん
ハシドイって?? と思いましたらリラの事でしたか。
リラ=ライラックと分かるのにかなり間が有りましたが=ハシドイとは今の今しりませんでした。
リラなら♫リラの花咲く頃♬ と懐かして、聴こうと思い検索すると岡本敦郎のが出て来て、あれれと思いながら聞いても、私の思う歌と違うのです。更に検索すると高英男のが出て来て、これだと聴き入りました。 (2020.04.21 11:22:01)

ふろう閑人さんへ  
けん家持  さん
  >ハシドイって??・・リラ=ライラックと
   分かるのにかなり間が有りましたが=ハ
   シドイとは今の今しりませんでした。
 小生もハシドイという名を知ったのは昨年の9月のことに過ぎません。その時にライラックがムラサキハシドイという和名であることも知ったのですが、まあ、似たようなものですな。
  >リラなら♫リラの花咲く頃♬ と・・
 そうですか。小生はその歌、存じ上げませんが、日本語的には、促音を含むライラックよりもリラの方が歌詞に使いやすいでしょうね。最近のカタカナ、英語まじりのアップテンポな曲ならどちらでも同じかもですが(笑)。
(2020.04.21 17:07:53)

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