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特許には関心があるほうで、拙著 『中国人に会う前に読もう』 でも66~77ページに 「特許件数が物語る <国の底力> 」 と題して、米国特許商標局に登録された中国の特許件数が平成15年にわずか424件だったこと (ちなみに日本は37,250件) などを書いている。最近読んだ本のなかでは「知財戦記」 とでもいうべき 『インビジブル・エッジ』 (文藝春秋・刊) と警世の書 『「科学技術大国」 中国の真実』 (講談社現代新書) が興味深かった。いずれも特許を正面から扱った本だ。 『インビジブル・エッジ』(文藝春秋・刊) 『「科学技術大国」 中国の真実』 (講談社現代新書)ところが、そもそも 「特許」 って何なのか、じつは何も知らなかったということに、この新刊書を読んで気付かされた:泉 通博(みちひろ)・吉田武弘 著 『研究開発プロフェッショナルのための発明バイブル』 (社団法人発明協会・刊、2,000円+税)。書名がえらく専門家限定を前面に打ち出しているのだけど、むしろ文系のひと向きの本ではないか。数式や化学式など1行もなく、すいすい通読できた。メーカーの経営陣や、産業記事を書く記者など、特許とは何か知っておいたほうがいい人がじつは沢山いるはずだ。番組の内容に合わせて料理や花の香りなどをふりまくテレビ!?昔からある冗談アイディアで、まじめに発明・製造に取り組んだひとがいるかどうか知らないが、たとえばこれをほんとに発明したとしたら特許申請はどんな切り口で行うべきか、といった親しみやすい例で読者を引き込む。Aという発明が特許をとったら、その技術を使って科学実験を行うこともできなくなるのだろうか?(答: 特許が成立した技術を盗用して製品をつくるのは違法だが、その技術で科学実験を行うのは合法。さもないと、特許が科学の進歩を妨げてしまう。)発明を、特許出願前に学会で発表してしまったら、特許は取れるか?(答: 発表をしてしまったばかりに、出願時点に 「公知」 の技術になってしまい新規性がなくなったので、苦心の発明でも特許は認められない。)新しい手術の方法を開発したら、特許は取れるか?(答: 特許があるばかりに、必要な治療ができず人命が失われるといったことがないよう、医療行為に関する発明は特許権が認められない。)特許という 「制度」 もまた、人間の知恵の結晶であることを知らされた。人間ってのがどういう行動をしがちかを見据えつつ、どういう制度設計にすれば科学技術の進歩に役立つか考えた結論が、特許制度には反映されている。そう思ってみると、特許の中身は理系の牙城でも、特許制度のつくりは極めて文系の世界である。*著者の泉 通博氏は、ぼくの弟です。大学卒業後キヤノンで働いていましたが、おととし突然、特許事務所に転職したという知らせをもらってびっくりしたのが昨日のことのよう。今年ぶじに辨理士資格も取りました。
Dec 31, 2010
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今年4月14日にマニラから帰国して以来、海外出張の機会がない。会社の仕事が 100%内勤業務になってしまった。ときどきは国外に出ないと感覚が鈍るから、ソウルや台北にプライベートでふらっと行って来るのもいいかなと思うこのごろ。本屋と食べもの屋に加えて、いまなら画廊めぐりに GO! だな。*台湾の台南市が、八田與一(はった・よいち)顕彰に力を入れるそうだ。『北國新聞』 をフォローしていると折々、八田與一関連のニュースがある。(ブログのネタに困っているひとに こっそり教えたいコツのひとつがこれ。大新聞の報道でなく、地方新聞の報道や論説からこれと思うものを拾ってくるわけですね。ぼくの場合、フォローしている地方紙は 『北國新聞』。残念ながら、四国の地方紙にとんと興味がない。)八田與一夫妻を描く実写ドラマが台湾では既に作られており、映画化の話もあるという。完成が楽しみだ。北國新聞 平成22年12月31日 社説≪新台南市が誕生 八田技師の絆をさらに強く金沢出身の八田與一(はった・よいち)技師が戦前、水利事業に貢献した台湾の台南県と台南市が合併して新制台南市が誕生した。市長に就任した頼清徳氏は金沢市や石川県との交流を促進し、技師の顕彰活動に力を入れる姿勢を示している。来年は八田技師をたたえる記念公園が5月に開園する節目の年となり、市議時代から八田技師の顕彰活動に取り組んできた金沢市の山野之義市長も訪問に意欲を示している。今年は技師を描いたアニメ映画 「パッテンライ!!」 が台湾の学校で巡回上映され、若者たちに技師の足跡が広く紹介されるなど、若い世代の交流の輪も広がっている。新たな台南市の誕生を機に八田技師の絆をさらに強めていきたい。台湾では地方再編により、台南市を含む四つの行政院 (内閣) 直轄市が12月25日に誕生した。日本の政令市に相当し、財政面で他の県や市より優遇され、八田技師の関連事業の強化も期待される。先の市長選で当選した最大野党の民主進歩党の頼清徳市長は、与党国民党の馬英九政権の下で八田技師の記念事業が進められている点について、「八田技師の功績を顕彰する点では同じ立場であり、台南市長として取り組んでいきたい」とし、金沢市、石川県との交流を継続、強化していく方針を明確にしている。選挙戦でもたびたび八田技師に言及し、顕彰事業として八田技師夫妻の映画化を挙げている。台湾では八田技師が建設した烏山頭(うさんとう)ダムの世界遺産登録運動の取り組みや八田夫妻を描くドラマが放映されるなど、八田技師にあらためて光があてられており、映画化もぜひ実現してもらいたい。烏山頭ダムの近くで台湾政府が整備している 「八田與一記念公園」 は、八田技師の命日にあたる来年5月8日のオープンを目指している。「“パッテンライ” の家に家具を贈ろうキャンペーン」 で石川県から寄せられた家具や調度品も展示され、八田技師を通じた石川と台湾の交流に弾みがつく。金沢、石川と新台南市との信頼関係を深め、日台の懸け橋となった技師の功績をより多くの人に伝えていきたい。≫
Dec 31, 2010
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パスポートを見ると、今年 (平成22年) は海外へ2度しか行っていない。フィリピンの事業投資先の会議でマニラへ。ぼくが売り子として商社の主担当をした、思い入れの深い大型ガスタービン発電所。ルソン島南方の海底から出る天然ガスを焚いて最新鋭技術のガスタービンを回し120万キロワットの電力をルソン島の電力網に供給する。フィリピン経済への貢献は大きい。融資組成からプラント建設 (平成11年3月開始)、協業した米国企業破産の対応、運転開始 (平成14年6月) 後の完工遅延賠償金交渉まで、商社マンとして多様な経験をさせてもらった。いま振り返ると、感謝の思いがこみ上げる。わが勤務先は、韓国電力公社とともにプラント建設と事業投資の両面から参画している。日本・韓国・フィリピン・米国を結ぶ画期的な案件で、靖國神社の英霊にも胸を張ってご報告できる。プロジェクト成立は、日本経済新聞の1面の第2ニュースに扱われるくらいの価値があったのだが、共同出資した九州の会社が地元ニュースとして先にリークしてしまった。一般紙の、たかが地方ニュースとして大きな記事にされてしまった。おかげで、正式にプレス発表したとき、日経は企業面のベタ記事として10行ほど書いただけだった。広報対応をしくじった。念のために言っておくが、ぼくの書きものに日経批判が多いのはこれが原因ではない。平成15年にプロジェクトが隣りの事業投資部へ全面移管され担当から外れたが、その後ぼく自身が事業投資のほうへ移り、平成20年に再び担当することになった。(といっても、手を動かす仕事は後輩社員がやってくれる状態で、ラクだった…。)5年ほどの間に、関係する各企業の面々はそっくり入れ替わっていた。プロジェクトは、確実に継承された。今年 (平成22年) 5月に小さな組織替えがあり、ぼくはこのプロジェクトの担当から外れた。うれしかったのは、組織替えに伴ってマニラ支店の現地社員 Dennis Villasper 君がわが社の代表のひとりとして事業投資先の役員に加わったことだ。プロジェクトに関わり始めた平成10年頃の上司 (マニラ支店にも勤務したひとだ) に報告したら、ことのほか喜んでくれた。プロジェクトには、ドラマがある。*久々にパスポートを鞄から出してめくるうち、フィリピン Ilijan (イリハン) 発電所のことを長々と書いてしまった。心残りなのは、ルソン島南部にある発電所の運営事務所にフィリピンと韓国の旗は立っているが日本の国旗がないことだ。プロジェクトには、韓国電力が51%、日本企業4社が49% 出資している。日本の国旗もあって当然なのだが、運転・保守を韓国電力の子会社に任せきっていて現地に日本人はひとりもいない。ときどき日本のメーカーの指導員が保守点検のために短期滞在するだけ。ぼくとしたことが、日本国旗のことはけっきょく言い出しそびれてしまった。日本の融資銀行団の発電所視察などあれば、それを機に日章旗も並べて掲揚してもらう手があるなぁなどと思いつつ、一点だけほんの小さな曇りの残るプロジェクトだ。発電所の運転は順調である。毎月ぼくのところにも月次報告が来る。
Dec 31, 2010
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おすましミニチュアダックスフント。どんな材料で作ったか、わかりますか?つややかな表面をみると、蝋(ろう)で作ったみたいですが。愛嬌のあるゴリラです。瀬畑 亮(せはた・りょう)さんの 「セロテープアート」。なんと材料は、これ。セロハンテープです。瀬畑さんは子供のころからセロテープで造形する楽しさにはまって、ついに新たなジャンルを開いてしまった。セロテープメーカーのニチバンの協賛も得て、普通のセロテープよりも薄い素材で作られた特注品を使っています。透明色と、青、黄、赤、白、黒。素材が薄いので、1層だけだととても淡い色です。だから混色も自在なのです。気負いありげな兎です。耳と鼻の桃色がいい色でしょ。セロテープアートのことは、日本経済新聞の文化面で読んだことがありました。だから、銀座一丁目の Oギャラリー から個展開催の案内をもらったとき「おぉ! 実物が見られるぞ」と、わくわく。画廊に行ったら、実物はもちろん、作者の瀬畑 亮さんとお父さまにもお会いできました。「ブログで紹介していただけるなら、写真を撮ってもいいですよ。ちょっと触ってみますか」と、ゴリラ君をひょいと持ち上げてぼくに渡してくれたのでした。瀬畑さんは、造形だけでなく絵画表現にも挑んでいます。薄い色つきセロテープを貼り重ねて混色し、透明感・奥行き感のある絵に仕上げます。ジャンルを題して 「セロ版画」。「セロハン+画」 を 「セロ+版画」 と語呂合わせ。写真の下列が、セロテープを貼り重ねて作ったオリジナル。上列の作品は、オリジナルをコピープリントしたものに透明なセロテープを貼り重ねて、質感をオリジナルに限りなく近づけたもの。透明感・奥行き感までオリジナルを再現しています。セロ版画でつくった立方体を組み合わせたオブジェ。題して 「セロキューブ」。画廊の床に据えてモーターで回転させています。未来のいろんな可能性が見える個展です。銀座一丁目4-9 の Oギャラリー で12月28日まで。(27日は午後8時まで、28日は午後5時まで。)
Dec 26, 2010
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代官山の The Obsession Gallery は11月23日に続いて2度目です。画廊というより、趣味ゆたかな知識人のゆったりした書斎に入れていただいたような居心地。気に入っております。妖艶な装飾美。女性の頭部は別の生地に描き、裏に綿を詰めて盛り上げたあと、丁寧に縫いつけてあります。手作り感いっぱい ―― 作家の思いが伝わります。ぼくが釘付けになってしまったのは、部屋の隅にさりげなく置かれたスケートボード。 セクシーでダーク。この女の情念は重すぎずウェットすぎず、なぜかオシャレに吹き上がって来るんですね。目ぢからとマニキュア、ペディキュアのちいさな魔性。 親切なギャラリストの押野明子さんが「この女性はディズニーの The Haunted Mansion のキャラなんです。目元のシャドーで納得ですね。背景の金箔のおかげで、おしゃれな仕上がりです」とても欲しかったのですが、今回は我慢しました。ちなみに12万円台のお値段です。クリスマスらしいリースですが、ジャポネスクな女の面がオペラ座の怪人の仮面のように埋め込まれていたり、蜘蛛が垂れていたりと、隠し技が。えてして、隠し技をつかう作家は、自己中心症に陥って絵を汚くしてしまいますが、岡村透子さんの作品はあくまでオシャレなんですね。ここ3年間で、東京だけでなく、サンクトペテルブルク、モスクワ、マイアミ、ニューヨーク、シカゴと、海外でも個展を開いています。和洋を行き交うオシャレな手作り感に、いずれの国の人もはまってしまうのだと思います。作家の岡村透子さんは、昭和47年生まれ、日大写真学科卒。The Obsession Gallery での個展は12月26日午後6時まで。地図 はこちら。
Dec 25, 2010
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「プライド」 祭りの12月でした。12月1日の初日から19日の千穐楽までシアタークリエで4公演を観劇しました。演劇 + 笹本玲奈・新妻聖子コンサートイベント と言ってもいい、贅沢でしかも心ゆさぶる舞台でした。笹本玲奈・新妻聖子の対談が、産経 WEB に掲載されています:大石静脚本のドロドロ愛憎劇を 「コテコテに!」 新妻聖子&笹本玲奈初日の舞台挨拶で新妻さんが「本日は、世界初演の 『プライド』 です。……世界初演、ってずいぶん大きく出ちゃったでしょ! 海外で上演されてもいい作品だと、思いませんか」と、心はなやいで語っていました。この音楽劇、俳優は4人で、セットも簡素。女優ふたりには飛び切りの歌唱力が要求されますが、舞台にかけやすい。海外版初演は台湾でプロデュースして、中国語で台北・台中・高雄で公演、というのはどうでしょう。もちろん、俳優は台湾人という前提です。ストーリーから言って、日本か台湾、韓国あたりの話にせざるをえない。アジア人のヨーロッパ留学というのがプロットの核になる部分ですから。シアタークリエ前の看板ミュージカルではなく、音楽劇。心に沁みる歌が、ストーリーに巧みに織り込まれて登場しますが、セリフを歌うわけではないから、ストレートプレイ + 歌 = 音楽劇 なのです。笹本玲奈さんの「愛の讃歌」と White Christmas.新妻聖子さんの「島唄」「故郷(ふるさと)」。ふたりのデュエットの Wind Beneath My Wings は、千穐楽のアンコール曲になりました。そして、この作品のオリジナル曲 Invocation と Life も忘れられない。ぜひ CD にしてもらいたいものです。4回の観劇の感想をブログのメモから転記すると:12月1日:お芝居とライブコンサートを二重で楽しめる贅沢。初日挨拶もあり、満足です。期待を上回る出来でした。佐々木喜英さんのナチュラルな演技に舌を巻いた。力のある男優さん。12月5日:新妻さんが、時を経たワインのように花開いた。初日には悪役一辺倒だった冒頭部分に人間味が増した。「ふるさと」 の絶唱に深い感動を得た。笹本さんの White Christmas が一段とよくなっていた。でも、ストレートプレイはまだ固さがある。演じている役と笹本玲奈が別の存在であることを陰に陽に主張している感じがぬぐえない。鈴木一真さんの終局の感情移入に確実な進境あり。12月14日:笹本さんの演技にようやく丸みが出て、役と玲奈がひとつになった。新妻さんも演技の緩急のメリハリが一段とついて、才能が存分に開花。新たないのちに捧げる後半のオリジナル曲 "Life" が心と脳に沁みた。連日の上演で、古典曲の歌唱は高音がやや苦しそう。NHK の録画カメラが2台入っていたが、風邪で咳をする人多し。12月19日:千穐楽公演。観劇4度目となると、歌よりもセリフが心に沁みた。スタンディング・オヴェーションが収まらず、最後はアンコール曲として第1幕のデュエットを2人に歌ってもらえた。12月の 「プライド祭り」 これにて仕舞。劇場アイドルのクリエちゃんも 「プライド」 ヴァージョンです千穐楽の舞台挨拶を再録しましょう。佐々木喜英(よしひで)さん:「ふりかえれば、3時間 × 25公演。ぼくはストーリーの上では愛するひとを奪われるだけという一番の被害者なので (笑) 、毎回とてもハードでしたが、3人の大先輩たちに支えられて無事に舞台をつとめることができました」笹本玲奈さん:「毎舞台、はげしく責められる役で身が縮む思いでした (笑) 。ダンスもないし動きの少ない劇で、疲れないだろうと思われがちなんですが、今までにないとてもハードな公演でした。観ていただいたお客さま、演奏の皆さん、そしてここにいる3人とこうして共に演じられたことを誇りに思います。」笹本さんは初日挨拶では新妻さんと初の共演ができたことを深いよろこびをこめて熱く語っていました。鈴木一真(かずま)さん:「制作発表会のとき、『年長者として若い3人を支えてひっぱっていく』 みたいなことを言ってしまったのですが、いま思うと恥ずかしくて。じつは、ぼくだけ別の仕事が入ってしまって練習の前半はほとんど参加できず、毎日お菓子の差し入れとか打ち上げの場所の予約しかできませんでした (笑) 。たいへんな迷惑をかけてしまいました。プログラムの自己紹介に 「音楽の力を感じたあの瞬間」 という欄があって、そこにぼくはじつにつまらないことを書いているのですが、今はっきりと、この 『プライド』 こそぼくのベストの音楽体験だったと断言します。練習でふたりが歌うのを聞きながら、何度も涙を流しました。公演中でも気をゆるしていると涙が出てきてしまうので、そうならないようにダースベーダーの曲を頭のなかに流していました (笑) 。音楽が好きだった父は2年前に亡くなってしまったんですが、もしこの舞台を見せてあげられたらどんなに喜んだか。でも、母はきょう客席で見ていてくれてます。ぼくを、生んでくれて、ほんとうにありがとう!」新妻聖子さん:「19日間、25公演、まっくろな萌役をやらせていただきました。案外楽しみながら演じていたんですが、でも人をののしったりするシーンはとってもエネルギーをつかうんです。今回は、オペラの場面を吹き替えなしで女優が歌ってしまうというのもひとつの試みで、いろんなことにトライした舞台でした。支えてくださった皆さま、ほんとうに、ありがとうございました」
Dec 20, 2010
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じつは最近、通勤時に耳栓が手放せない。列車の社内アナウンスが音割れするほどうるさかったり、しつこかったりするので、その対策だ。使ってみると調子がいい。たまに耳栓を忘れると落ち着かない。駅のマツモトキヨシで新しいのを買い求める。ぼくの部屋は耳栓だらけだ。最近では背広のポケットに2組の耳栓を忍ばせてある。通勤電車の車掌は静かなほうがいい。録音の女性の声だけで十分だ。しゃべることがサービスだと勘違いしているワンマンショー車掌を集めて、説教してやりたい。いちばん腹が立つのが、地下鉄内のこういうアナウンス。「ただいま大手町を3分遅れで発車いたしました。お急ぎのところご迷惑をおかけしております。申し訳ありません」「まもなく北千住、北千住に到着いたします。5分の遅れとなっております。北千住、4分の遅れです。深くおわびいたします」4分の遅れで特急電車がどれほどわびるか知らないが、二重橋前から乗ったぼくにとっては大手町での3分遅延が北千住まで来て4分遅延になった、つごう1分の遅延である。3~4分ごとに来る地下鉄の 「4分遅れ」 に気付くのは、運転手と車掌しかいない。それを大仰に謝ってみせる自己チューぶりにあきれる。こんなことで深くわびていたら、10分遅れたら土下座する気だろうか。30分運転が止まったら、駅長が切腹するのだろうか。車掌本人は、じつは申し訳ないとはつゆほども思っていない。だから、「深くおわびします」 を軽薄に口にできる。それが見え見え。しつこい自己陶酔アナウンス。いらいらする。耳栓をしててもね。このとんだ勘違い車掌は千代田線の担当らしく、1ヶ月に1回は不快な独演会に付き合うはめになる。東京地下鉄は、社員教育の方向を間違ってはいないか。公共の場の快適さとは何か、議論してもらいたい。
Dec 20, 2010
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きのうのブログ 「廃棄する前に競売にかけてはどうか <40万冊の特許情報、効率優先で廃棄>」 の続報である。日経記事によれば、大阪府立特許情報センターがたかが文書保管経費削減のために貴重な 「満洲国公報」 まで廃棄してしまうように読める。そういう非常識を平気でやってしまうのが近頃の行政組織だ、という基本認識がぼくにはある。これは、抗議をしてもしようがないから、文書の有償引取りを大阪府立特許情報センターに申し出た。もちろん、42万冊を引き取るつもりはない。日本の文書は必ず東京に同じものがあるのだからこれは除外し、中国(満洲国含む)や台湾・朝鮮・東南アジアの文書に限って引き取りたいので、整理・梱包・発送の実費を教えてほしいと伝えた。日本各地の図書館や文庫と連絡をとって寄贈先を探そうと考えた。費用持ち出しの 「文化財の商社マン」 をやろうとしたわけだ。*大阪府立特許情報センターから返答があった。結果はあっさりしていた。まず、注目の 「満洲国公報」 だが、これは以下のように移管先が決まっていた:◆ 特許・意匠関連 ・昭和11~15年分は、大阪府公文書館へ ・昭和16~19年分は、工業所有権情報・研修館 (INPIT) へ◆ 商標関連 ・昭和9~15年分は、大阪府公文書館へ ・昭和16~18年分は、工業所有権情報・研修館(INPIT)へ日本の海外統治地域の文書としては、朝鮮の特許文書も若干ながら所蔵あり、これも移管先が決まったとのこと。台湾の文書は、・専利公報 (特許、実用新案、意匠): 昭和55年12月からのもの、約6,900冊・商標公報 (商標): 昭和55年12月からのもの、約1,200冊のみだという。中国・韓国の特許文書は基本的に電子媒体のものしか所蔵しておらず、その他のアジア諸国の特許文書は蒐集していないという。*台湾の昭和55年以降の文書なら、台北でもきちんと保管されているであろうことは容易に想像がつく。わたしが出る幕ではない。文書引取りの申し入れは鄭重に取り下げさせていただいた。あらためて日経の記事を読むと、ちょいと煽っているところがある。過去の文書も容易に電子検索できる時代には、原本が地球上のどこかでしっかり保管されておれば、重複文書の廃棄は許容されると思う。きのうのブログで、文書コレクションは競売にかければよいのにそれをしないのは怠慢行政の暴挙であると書いた。一般論としては、これは依然として正しいと思っているが、今回の大阪府立特許情報センターの措置は妥当性を欠くものではないと理解できた。懇切に答えてくださった大阪府立特許情報センターのかたに、あらためて御礼申し上げます。
Dec 15, 2010
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幕末・明治維新期の浮世絵に似て、国内人には価値が見えないということだろうか。焼き捨てられるのは重複資料がほとんどなのだろうと推測はするが、≪70年余にわたって収集してきた国内外の特許情報が大量に廃棄される。その数は40万冊に及ぶ。≫という報道があった。(日経、平22・12・14、文化面 「文化往来」)≪大阪府の橋下徹知事の見直し方針で、大阪府立特許情報センターの閲覧室が廃止されるのに伴っての措置。≫≪日本の特許以外に30年代から収集してきた米国特許公報、明細書のほか欧州諸国の特許など、さらには戦前の満洲国公報に至るまで、歴史的価値があり、ネットでは探しにくい特許を収蔵。独自の索引を作って情報を探しやすくしていたため、根強い利用者も少なくなかった。≫≪全体で約42万冊のうち1万6000冊は大阪府公文書館、九州大学などが引き取る見込みだが、大半は焼却の運命にある。処分するには惜しいが、効率がすべてに優先する今を反映する話である。≫*満洲国の公報など、かならず有償で引き取りたいという人がいる。置き場を維持する経費ほどのカネに困って焼却するというなら、競売にかけてカネに替えることを考えてはどうか。まとまったコレクションなわけだから、ネット上で公募すれば買取人は必ず現れる。子供でも考え付くであろうそういう努力もしない。怠慢行政の暴挙である。⇒ 続報はこちら
Dec 14, 2010
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今年のぼく自身のベストニュースは不倫でも転職でもなく、北千住のシアター1010でドラマ・リーディング教室に参加したことでした。2週間が経ち、早くも遠い過去のように思えますが、その話を少々。芥川龍之介の 「魔術」 と 「杜子春」、ふたつの短篇を選んだのは、ドラマ・リーディングを指導してくださった 「演劇集団キャラメルボックス」 の成井 豊(なるい・ゆたか)さん。著名な演出家の成井さんは、龍之介と江戸川乱歩に心酔しています。だから、いまサンシャイン劇場で公演中の 「サンタクロースが歌ってくれた」 も、龍之介と乱歩が主人公なのです。ぼくの分担は、「魔術」 ではセリフ一言の老婆と前半一部分の地の文、「杜子春」では即興風の独唱もある仙人の役でした。11月28日にシアター1010の稽古場で、多彩な照明と効果音入りの朗読発表会を開いていただき、14名の生徒 (14歳から80歳まで) が舞台に坐ったのでありました。教室は9月18日に始まり11月27日まで土曜午前2時間ずつ8回。そして11月28日に2時間のリハーサルの後、午後2時から本番。お客さまは、14名の生徒たちの親族知人30~40名というところ。演劇界のプロによるレッスンとパフォーマンスの機会をコンパクトにまとめたすばらしい企画を格安の参加料で提供してくださったシアター1010に、あらためて心からお礼を申し上げたいと思います。*ドラマ・リーディング。訳せば 「劇読み」。脚本を読むのだろうと当然おもっていたわけですが、これが、ちがうのですね。大部分が地の文からなる短篇小説の 「杜子春」 を読むわけですから。セリフに思いをこめるのは、これは当然でしょう。地の文をどう読むかが勝負どころ。おすまししてアナウンサーがニュースを読む口調の対極。地の文の隅々までドラマ性を盛り上げる。読み上げるのではなく、語る。聴いている人の脳に、活字が投影されるのではなく、いのちがそのまま伝わるように。地の文を 「語る」 のです。講談のように。ほとんど失われた 「講談」 という文化は、ほとんど北朝鮮のアナウンサーの専売特許になりつつありますが、これに俄然、現代の血を通わせるわけですね。じつはぼくは図らずも、まさにこのドラマ・リーディングを自分なりに試みていたことがあって、それを2年前、平成20年11月15日に第2回読者イベントで披露したことがあります。演目は吉屋信子(よしや・のぶこ)の短篇小説 「鬼火」。大正琴のポロポロロンを折おりアクセントに爪弾きながら語り読みをしたわけですが、いま思えば地の文の読みがアナウンサー気取りで、“うまく” 読もうとしていた。それではいかんわけです。「うまく読もう」 と邪心を起こした途端に、ドラマ・リーディングは破綻する。語り手になりきれるかどうか。語り手の軌道を疾走できるかどうか。勝負はそこです。*レッスンは、演劇集団キャラメルボックスの成井 豊さんと白井 直(しらい・なお)さんがほぼ交互に担当してくださいました。第1回のコマでは成井さんの語る平成の演劇事情がいきなり面白く、そして試しに朗読をしたところぼくの力むことのない読み口にいきなり注目していただいて、これはうれしかった。演劇や朗読に、他人とはちがう関わり方をしてきたという自負がありましたから。脚本を読んでいくのであれば、登場人物ひとりひとりの性格・境遇の分析 (=役作り) がだいじな要素。でも、地の文が大きな比重を占めるドラマ・リーディングでは、「読むのではなく語る」 を体感するのがだいじ。そこで、第2回のコマは 「自分が好きなこと」 についての作文をみんなの前で 「語る」 ように読むというセッションでした。担当は白井さんで、ノセ方がうまいかたなのです。発声法や言葉のキャッチボールの基礎訓練のさわりを体験し、教室も後半に入ると 「魔術」 ・ 「杜子春」 の読みに入りました。「杜子春」 の仙人役は志願してでもやりたかったので、成井さんに割り振っていただいてとてもうれしかった。役づくりは、ぼくなりには笠 智衆(りゅう・ちしゅう)さんでした。笠さんを脳裡に思い浮かべながら、笠さんならこう喋るにちがいないと思う喋り方を演じてみた。舞台や映画で見たことのある俳優さんのイメージを演じるというのが、ぼくなりの役作りの安易な知恵でした。そしたら、白井さんから「ゆっくりすぎる。もっとスピード感があったほうがいい。この仙人はかなりパワフルなので、空気をえぐるような力をこめるといい」とアドバイスをされて、笠 智衆さんの霧は自ずと吹き飛んでしまった。笠 智衆というオブラートの向こうにある仙人ではなく、「杜子春」 の仙人そのものになる。ひとことで他人を吹っ切れさせることができるなんて、演出のアドバイスの力って、すばらしい。地の文の読みも、「もっと思いをこめていい。ほんとにオーバーな読み方だったら指摘しますから、聞き手を巻き込んでいく読みをしてください」と煽っていただいたおかげでアナウンサー調脱出ができました。*ドラマ・リーディングは、台本を覚える必要はありません。けれども理想をいえば、台本はちらりと参考に見るていどにとどめたほうがいいと思って、とくに 「魔術」 の地の文は暗記し、客席に向かって語るようにしました。これまで何度かプロの役者さんの朗読劇を見たことがあるのですが、ほとんど台本から目を離さない様子が不満で仕方なかった。白石加代子さんの源氏物語の語りは例外で、台本を片手に舞台を縦横に動く。朗読劇は本来そういうふうにエネルギーがあふれるべきで、紙との対話になっては絶対にいけないと思うわけです。という信念から、自分が読む箇所はできるだけ暗記したのですが、ほかの人たちと行うリハーサルがほんの数回だから、やはり台本なしでは自分の出番のタイミングを体で覚えるところまでいかない。そういう意味で、手元の台本は不可欠でした。「魔術」 の地の文をぼくと掛け合いで読んだ女性がいました。上手ではあるがちょいと気取った朗読調のかたで、ぼくの熱い語り口とうまくつながらなかった。本番前のリハーサルのあと、成井 豊さんが「もっと、語ろうとしてみてください」と、そのかたにアドバイスしました。本番前の1時間、その方なりに努力するうち革命が起き、本番ではそれまでの朗読調が打って変わって、あふれるような語り口。ぼくも掛け合いが気持ちよかった。本番の魔力です。本番の魔力は、すばらしくもあり、こわくもあります。魔力に押しつぶされないつもりでいたけれど、仙人のセリフでは後半立て続けに2度も言い間違いをしてしまった。ひとりで練習していたときには間違えたことのない箇所で。台本を見ながら読んでいれば決して間違えないのに、中途半端に背伸びをしたらこのざまだ……と一瞬自分を責めて、頭が真っ白になってしまった。ふと、朗読に間が空いている。あれ? ……ま、まずい! ぼくが読む番だ!他のふたりが読んで、再び仙人のセリフのところに来ていた。なのに、ぼくはくよくよとその前のことを考えていたのです。惨事になる前に朗読に復帰できたけれど、この失敗は、舞台のうえで仙人の役から心が離れてしまったからでした。素人まるだしです。*今月は演劇を7本みます。シアター・クリエの音楽劇 「プライド」 を4回も観るから、今月はやや特別なのだけど、まぁ少なくとも毎週1度はお芝居に行くわけです。自分も時には舞台でチョイ役をやれればどんなにいいだろうと思いますが、現実にはそういうわけにはいかないし、それに第一、語ってみたいのは主役級のセリフだろ。そんな欲求を満たしてくれるのがドラマ・リーディングであるわけで、これからも自分なりに深めてみたいし、来年もレッスンがあればぜひ参加したいものです。来年4月には、ぼくの読者イベントで 「杜子春」 をやってみたいと思っています。そのままでは長すぎるので芥川龍之介の小説は半分くらいに削る。それとともに、龍之介がモトネタにした唐の李復言の 「杜子春伝」 もドラマ・リーディング用に編集して、日・中の杜子春を両方とも劇読みしちゃうわけですね。そこから、比較文明論まで行ければいいな。こつこつと準備を始めたいと思っています。
Dec 12, 2010
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案内をいただきとても楽しみで、松本慎吾 さんの個展は初日の夜に行った。ブログで紹介したいと伝えたら、写真を撮ってもいいですよと言われたので、4作ご披露。気がついたら銀座煉瓦画廊 (銀座四丁目13-18) での個展は12日午後4時まで。あと1時間しか残っていない!松本さん、集客のお役に立てず、ほんとにすみません。とはいえ、まずこちらをご覧ください。題して Spider Crab. 高脚蟹であります。しかもメカニックな。胴体の下のところに、出入りのためのハッチが描きこまれているところも気にいっているのであります。日本画の渋い色調と、メカニックなデザインのすてきなミスマッチが、たまらない魅力です。山口 晃 の世界を海洋生物界に展開したみたいな。今年8月に京橋三丁目のアートスペース羅針盤の6人展で見て、「もし金持ちだったら、購入して常設展示してくれる小学校に寄付したい」と思った。これはぼくなりの最上の褒め言葉です。いわゆる 「美術の通」 だけでなく万人にイメージ新体験のよろこびを与える作品。出会った子供たちは発想の枠を思い切り広げることができて、人生がちょっぴり変わるに違いない、そんな作品。題して Amagiri. 護衛艦 「あまぎり」 の横須賀寄港に取材した作品。メカニック魚介シリーズを描く前は、こういう写実ものを描いていたのだそうです。松本慎吾さんは昭和50年東京生まれ、多摩美術大大学院の修士課程・日本画専攻修了。今回の個展の案内葉書に使ったのはこちらの作品。題して Ryujinsama. 龍神さまは、満艦飾の原動機つき龍の落とし子。痛快です。題して Fiddler Crab. 潮招き。 (Wikipedia で潮招きの中国語を調べたら “招潮蟹” だって! 日本語の直訳なのが、おもしろい。)大きな鋏がしっかり松本慎吾していて、メカニック。渋く銀箔が置かれて、いい出来です。売価2万円だったので、これは買おうかどうしようか画廊で 3分ほど迷いました。最近買いすぎていて断念しちゃったけど、ごめんなさい!来年も、ご活躍を楽しみにしています。
Dec 12, 2010
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この逆説に、しびれた。≪「ひきこもり」 は国民の多くが豊かさを共有できる社会でないと起こりえない。中国は、これからです。ひきこもりは、未成熟のあらわれ。一般に、社会が未成熟だと個人は成熟しますが、社会が成熟すると個人は未成熟になる。インフラが整っているから未成熟な個人でも生きていけるのです。≫日本経済新聞 平成22年12月4日夕刊に、斎藤 環(たまき)さんのインタビューが出ていた。題して 「ひきこもりの高齢化」。社会が成熟すると個人は未成熟になる。「社会」をひっくり返して、「会社」としても通用しそうに思える。会社が成熟すると、社員は未成熟になる。あるいは、こうも言える。経済が成熟すると、未成熟な政党がのさばる。わたしはいまだかつて民主党が政権党たるべく期待したことは1秒もない。しかし、それを期待する愚かな国民が跋扈した。経済が爛熟したためだ。バブル後20年の停滞という爛熟。こどもに政権を渡してみようという、罪な遊び心。「いや、自分は、切羽詰って民主党に投票したのだ」 というひとがいたら、精神分析をしてさしあげたい。*斎藤 環さんの著に『博士の奇妙な思春期』『戦闘美少女の精神分析』『ひきこもりから見た未来』。絶妙なタイトル。こんど、読んでみたい。
Dec 5, 2010
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「総合商社」 は日本だけにある企業形態だと、かねてより さんざん言われてきた。この本を読んで、イギリスの大商社が貿易取引と投資を車の両輪として企業経営をすすめてきた姿を知り、「総合商社」 という業態がそれなりの普遍性をもっていることを実感した。世界史や世界地理で読んだ東南アジアの「プランテーション」経営の主体もまた商社だったとは。たしかにそういう業態の事業が、わが勤務先にもたんとある。ぼくの勤務先も資源会社兼貿易会社になりつつあって、「○○商事」 というより 「○○リーソーシズ」 と改名したほうがいいかもしれない状況だが、そういう展開もべつに日本の総合商社の専売特許ではなく、すでにイギリスの商社が長らく歩んできた ひとつの道だった。イギリスの商社も、本業から縁遠い製造業や、知見の薄い国での事業投資で失敗を重ねたらしい。身につまされる。日本の総合商社と異なり、イギリス商社の大部分は事業売却で消滅してしまった。明暗を分けたのは、日本とイギリスの製造業のちからの差と、政府による支援の差であった、と本書は書く。う~ん、日本の 「政府による支援」 は、傍(はた)で想像するほどのものは存在しないと思いますが……。*平成12年の時点で、イギリスの多国籍商社と呼べるのは3社。John Swire & Sons 社は従業員12万人、Jardine Matheson 社は従業員17万人というから、そのうち1社だけで日本の総合商社全部を合わせたような規模だ。こりゃ、バケモノだァ!いったいどういう経営内容なのか、今度しらべてみたい。2社ともに同族所有の会社で、かつ香港に根を張っている。のこり1社は Lonrho Africa 社。殖民地支配の残骸管理者みたいな名前だ。平成10年に Lonrho Africa 社の従業員は2万5千人というから、これまたバケモノに近い。商社に関わりのある人間にとっては、興味の幅を広げてくれる本だ。
Dec 5, 2010
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