全7件 (7件中 1-7件目)
1
人というのはおもしろいもので、日々、街の喧騒やギスギスした人間関係に疲労困憊していると、にわかに田舎ののんびりした環境にあこがれる。雪をかぶった遠い山並みや、すっかり稲刈りされた田んぼや、白鷺の戯れる河川敷など、なんだか素朴でありのままの自然に囲まれて生き返った心地になるのだ。ところがその一方で、衣類や装飾品、食べる物に至るまで、都会人を気取ってかあるいは単に嗜好のためか、名の知れたブランドにこだわってしまうという一面もある。「田舎は好きだけど、やっぱり街じゃないと・・・」これが本音ではなかろうか。両者どちらが欠けても人としての心の拠り所、文明の進歩は、バランスを崩してしまう。 街は田舎を、田舎は街を、それぞれが互いを意識し、共存していくのが望ましい。大昔のような自給自足、物々交換の時代ならいざ知らず、我々は荒涼とした資本主義経済の中を歩んで行かねばならない。否が応でも、お金を稼ぎ出すことで生活を営んでいかねばならない。今や、我々の生活の保障はお金のあるなしによって左右されるというのが実情なのだから。冷たく硬いアスファルトや、無尽蔵な車の往来、犬も歩けばファーストフード店にあたり、夏は涼風を、冬は陽射しを遮る高層ビルに囲まれて、我々は自分のやり方で生きる道を探って行かねばならない。(無論、全ての人にとって生きることが過酷な環境にあるとは限らないが)そんな中、吟遊映人も含め、どれほどの人々が映画によってつかの間の平安を与えられていることか。映画の中には非日常性が感じられ、娯楽に値する興奮がある。隣りにいる人を気にせず、自分の感性のおもむくまま楽しむことが出来る。つまり、独りを楽しむことが出来るのだ。それは言わば、孤独が孤独ではなくなる瞬間なのだ。世知辛い昨今、人目を意識した趣味や、流行に乗せられることなく、我々はこれまで通り心ゆくまで映画を楽しめる精神を忘れずに持ち続けようではないか。皆様、本年も創作室Yにおける吟遊映人のつたない記事を閲覧いただきまして、本当にありがとうございました。どうぞ、良いお年をお迎え下さい。『どうしてそんなに映画が好きなのですかと聞かれたときの、私の答えは、人を愛し得ることを教えてくれた映画、そう答えるのが一番私には正直な答えかもしれない』(淀川長治のことばより)また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2010.12.31
コメント(0)
「俺とエルヴィスの違いを知ってるか!?」「ええ、あんたはバカ」「俺は生きてて奴は死人」「あんたが死んだ後、誰がお墓参りに来てくれる? 母親でも来ないわ。でもグレースランドには100年後も・・・」「イカれた女だぜ!」ジョン・マッデン監督がメガホンを取り、しかもミッキー・ロークにダイアン・レインという出演者の顔ぶれからして、作品が不出来なわけがない。とは言え、ジョン・マッデン監督のこれまでの作品からすると、かなり毛色が違うことは確かである。代表作である「恋におちたシェイクスピア」などを念頭に置いたファンからすれば、ちょっと残念な演出かもしれない。本作「キルショット」は、マフィアの殺し屋アーマンドが、ひょんなことから知り合ったチンピラのリッチーと係わることで、様々なトラブルに遭遇する。冷酷非情であるはずのアーマンドが、ささいな情と感傷に囚われ、ラストを迎えるまでのプロセスを追ったものだが、犯罪・アクションモノとしては甘めの気がしないでもない。吟遊映人が一箇所、納得がいかなかったのは、リッチーの女のアパートでアーマンドも世話になった後、アーマンドとリッチーは出て行くことになった場面だ。さて二人が車に乗り込み出発しようとしたところ、リッチーが忘れ物を取りに再び女のところへ戻る。実はこれは、女を殺害するためなのだが、アーマンドの表情からしてリッチーがこれからしようとしている行為に気付きながらも止めないのだ。エルヴィス・プレスリーが大好きで、根は悪気のない女だった。だがリッチーは、自分が懇意にしていた女であるにもかかわらず、顔を見られていることから殺害してしまう。また、アーマンドもそれを暗黙のうちに実行させてしまう。この演出は、他の監督ならいざ知らず、これまでのジョン・マッデン監督的に果たしていかがなものだろう、と考えさせられてしまった。組織の依頼で、ある男の殺しを引き受けたアーマンド(ブラック・バード)は、殺しの手引きをした女も殺害してしまう。アーマンドが相応の報酬の催促をしたところ、マフィアのボスの女を殺したことで、逆に追われる身となってしまう。ある日、アーマンドが飲み屋から出て来たところ、チンピラのリッチーに絡まれる。リッチーの目的は、アーマンドの乗っているキャデラックにあったのだが、アーマンドがプロの殺し屋であることを知ると、リッチーは「二人で組もう」と誘いをかけて来るのだった。もともとミッキー・ロークという人は、テロリストやマフィアなど、とにかく犯罪者の役が妙に似合ってしまう役者さんなのだ。本作のおいても、主人公アーマンド役はハマリ役で、カーメン役のダイアン・レイン共々、見事なキャスティングであった。演技に関しては無論申し分なく、非の打ちどころがなかった。暗く、陰鬱になりがちな犯罪モノであるが、最後の場面で別居中のカーメンとウェインが抱擁するところで救われる。乾いた描写の中に、一筋の光が射し込むような作品であった。2009年(米)公開 ※日本では劇場未公開 【監督】ジョン・マッデン【出演】ミッキー・ローク、ダイアン・レインまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2010.12.21
コメント(0)
「昔の曲はいい」「80年代が最高よ」「そう、ガンズ・アンド・ローゼズ」「モトリー・クルー、デフ・レパード」「でもニルヴァーナの登場で・・・」「楽しさがぶち壊しよ」「ああ、90年代は大嫌いだ」昔、デパートの屋上などでヒーローモノのショーが催されたものだ。正義の味方が悪い奴らをやっつけて、それを見ている子どもたちが大喜びするという、お約束のあれだ。着ぐるみを被って奮闘している彼らは、もちろん普通の人間で、ショーが終われば正義も悪もない。意外に仲良しだったりして、「この後、一杯どうだい?」なんて会話が飛び交っているに違いない。本作「レスラー」も、プロレスラーたちの内幕をドキュメンタリータッチで描いたヒューマン・ドラマである。リングの上ではいかにも憎々しげに振る舞う悪役レスラーも、一たびリングから降りて楽屋に戻ると、ヒーロー役レスラーと抱擁し、「お疲れさま」と言い合って互いをねぎらうのだ。レスラーにとってリングは完全に舞台であり、観客を興奮させ、夢中にさせるためのエンターテインメントなのだ。そういう大イベントが、レスラー一人一人の体を張ったショーであることに気付いてしまった時、我々はその勇姿に悲哀さえ覚えるであろう。本作「レスラー」は、他に拠り所がなく、ただレスリングをするしか能のない男の生き様を淡々と追うもので、ヴェネツィア国際映画祭において金獅子賞を受賞している。80年代、プロレス界では大人気を博したランディも、すでに50歳を越えていた。現在は、生活のためにスーパーで働きながらレスラーも続けていた。一人身のランディの楽しみは、風俗店に出かけ、馴染みのストリッパーであるキャシディと一杯飲むことだった。そんな折、試合直後、ランディは突然の吐き気をもよおし、意識を失う。ランディは心筋梗塞で、心臓のバイパス手術を受け、医師からはレスラーを引退するようにとドクター・ストップをかけられるのだった。80年代と言えば、日本は空前のバブル期で、それはおそらくアメリカでも似たような現象だったに違いない。ランディ役に扮したミッキー・ロークも、実際に80年代はそのセクシーな容姿と出で立ちが世間で持て囃され、セックス・シンボルとしてハリウッドに君臨していたのだから。それがいつ頃からだろう、ミッキー・ロークの人気は、まるで潮が引いていくように話題にも上らなくなってしまった。本作で久しぶりにミッキー・ロークを目の当たりにした時、正直、昔の彼の洗練されたカッコ良さからは遠くかけ離れ、別人かと思ってしまった。だが、彼の歩んで来たこの20年の月日と、主人公ランディとがオーバーラップし、作品は見事なまでの出来栄えとなって完成された。ミッキー・ロークが役者人生全てをかけ、渾身の演技で望んだ役柄だからこそ、そこには嘘がなく、真実が見えた。さらに、ブルース・スプリングスティーンの主題歌が流れて来た時、不器用な男の生き様が孤高に感じられる瞬間だった。我々は一様に年を取る生きものであることを忘れてはならない。この作品は、我々人間の越えられない本質をえぐるように表現した、最高のヒューマン・ドラマであった。2008年(米)、2009年(日)公開【監督】ダーレン・アロノフスキー【出演】ミッキー・ローク、マリサ・トメイまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2010.12.17
コメント(0)
「たまには優しい言葉を(かけてよ)」「何度も言ってるだろ。俺が愛せるのはお前だけだ。それが不服か?」「もういい、忘れて」「お前がこの不死の夢を形にする手助けをした。百通りの人生を生きる俺の栄えある証人がお前なんだ」この作品に恐怖を覚えるのは他でもない。動機が不明でどんな利益があっての殺害なのかが、全く分からないからだ。普通一般的には、例えば復讐心だったり、利害にからむことだったり、あるいは精神に異常があったりなどが殺人の伏線として挿入される。だが「パーフェクト・ゲッタウェイ」は、幸せな新婚夫婦の、記念のビデオ撮影から始まるため、ついつい主役二人に感情移入してしまい、単純に物語の内幕を探ろうとしてしまう。そうしたところ、ストーリー半ばに差し掛かっても犯人がよく分からない。そういった読めないストーリー展開ほど、恐怖を煽るものはない。サスペンスモノとしては、成功していると言えよう。ハワイのカウアイ島を訪れたクリフとシドニー。二人はハネムーンのために、ハワイで最も美しいと言われるビーチを目指していた。途中、ケイルとクレオというカップルが、クリフらの乗る車をヒッチハイクして乗り込んで来たが、二人の素行の悪さが気になり、結局車から降りてもらう。その後、クリフらは成り行きで、たくましくワイルドなニックとジーナというカップルと出会い、行動を共にする。ところがそんな中、観光中の若い女性らから、オアフ島で新婚カップルが惨殺されたという情報を聞くのだった。本作の主人公シドニー役に扮するのは、ミラ・ジョヴォヴィッチである。この女優さんは、あどけなさの中に何やら秘めた魔力を持ち合わせているようで、いつも一目置いてしまう。代表作に「ジャンヌ・ダルク」や「バイオハザード」シリーズがあるが、一心不乱に立ち向かって行く姿は、正に狂気の沙汰で、映像の世界といえども度肝を抜いてしまう迫力なのだ。もう一人の主役スティーヴ・ザーンは、本作においてクリフ役として出演しているが、この人物、実はコメディアンなのだとか。そう言われてみれば、役柄もどこか滑稽で垢抜けない三枚目で、メガネがずり落ちそうな雰囲気を上手い具合にかもし出していた。「パーフェクト・ゲッタウェイ」は、なかなか読めないストーリー展開と、煽られる恐怖感で、スリラー好きには申し分のない一作であった。2009年(米)、2010年(日)公開【監督】デヴィッド・トゥーヒー【出演】ミラ・ジョヴォヴィッチ、スティーヴ・ザーンまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2010.12.13
コメント(0)
「君の娘が(オペするのか)?」「そうよ。私は麻酔係でこの子が名外科医よ」「5歳だろ?!」「(いいえ)9歳よ。でも4歳の時からやってるの」今年はつくづくSF映画が充実していると思う。とにかくしっかりとしたテーマに基づき、人類の近未来のあり方を問うている作品が多く、どれも秀逸なのだ。風刺を越えたナンセンスは、実にSF的で、小説の世界観を映像の域まで見事に広げている。人情とビジネスの狭間を、器用に割り切れなくなった人間が、世の中から追われる身となっていく姿など、あまりにも冷酷な資本主義の行き詰まりを想像せずにはいられない。人間の命さえも金で買うことのできる社会になった時、果たして人類に命の重さなどを説く倫理観など、存在し得るのであろうか?近未来、病気や事故などで臓器に損傷ができた場合、人工臓器を付けることで延命が叶う世の中となっていた。この人工臓器の販売は、アメリカのユニオン社が担っており、莫大な利益を上げていた。 高額な人工臓器は、一括で支払えない患者のために、ローン返済が可能となっていた。 だが万が一、支払いに遅延が生じた場合、回収人を差し向け、生きている人間から容赦なく臓器を回収するのだった。この作品のポイントとなるのは、やはり主人公レミーが、人工臓器の回収中に不慮の事故に遭い、心臓の損傷を受けてしまうところであろう。このことにより、それまでレポ・メンとして鬼のような仕事人だったレミー自身が、人工心臓を取り付けられたことで負債を抱える身となってしまうのだ。皮肉なことに、自分がレポ・メンに追われる身となり初めて恐怖感や絶望感を思い知らされるくだりは、この作品の核心部であろう。作品は、たとえそれがビジネスであろうと、割り切ることのできる合法的殺人など存在してはならないのだと主張している。傾きかけた人類の未来には、暗澹とした世界がはびこるのが関の山なのだ、と訴えているものだろうか?いや、吟遊映人はそうは思わない。人類崩壊の予感に反して、純粋に平和な世の中を実現するために、一体我々に何ができるだろうかと、本作は警鐘を鳴らしているのだ。我々は常に、高雅な文明に対して客観性を保ち、生命を脅かす権力を真っ向から見据えなくてはならない。生きることをいたずらな習慣にするのではなく、己が生まれて来た目的に立ち返り、人生とは愛と死の実現にあることを信じなければならぬであろう。※レポゼッション・メン・・・人工臓器の回収人の意。2010年公開【監督】ミゲル・サポクニック【出演】ジュード・ロウ、フォレスト・ウィテカーまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2010.12.09
コメント(0)
「あのオルロフが現れたのは謎だった。誰かが仕掛けたの。・・・ウインターよ」「ウインターが?! 奴がミサイルを発射しかけたと? お前が世界を救ったと?」「そうよ、信じて」「たいした言い訳だ!」吟遊映人にこの作品を勧めてくれた友人は、「やっぱりこういうのはいいなー。ボクはつくづくアクションが大好きなんだ」と、大絶賛。何はともあれ、さっそく「ソルト」を観てみることにした。友人が絶賛するだけのことはあって、もう最初から最後まで一息に観てしまった。やっぱりアクションというのは、このぐらい臨場感があって、ドキドキハラハラさせられると、かえって爽快になるものなのだ。難解なストーリー展開に苛立つこともなければ、ありきたりなトリックにうんざりすることもない。ただひたすら、次から次へとふりかかって来るトラブルを回避するために戦い、防ぎ、逃げ出し、そしてまた戦う。これこそがスパイ・アクション映画としての醍醐味であろう。吟遊映人は単純なので、こういう作品を観た後は必ず自分もCIAエージェントになりきる(?)から不思議だし、笑える。(FBIが登場する場合は、FBIになりきる)もうそなると、吟遊映人にとっての映画の影響力は、相当なものなのだ。CIAエージェントであるイヴリン・ソルトは、結婚記念日のため帰宅を急いでいた。ところがロシアからの亡命者でオルロフという人物が捕らえられ、尋問を担当するよう頼まれる。オルロフはソルトを相手に、思いもかけない衝撃的な告白を始めるのだった。それは、大統領を暗殺するために、小さいころより特別な訓練を受けて来たロシア人スパイが行動を起こすと。その人物はなんと、オルロフを尋問しているソルトであると。本作「ソルト」の主人公イヴリン・ソルトに扮するのは、アンジェリーナ・ジョリーである。スタイルバツグンで、身のこなしがスピーディーで、しかも目力のある彼女にピッタリの役柄であった。走るトラックからトラックへと乗り移るアクションは、見事なものだった。どの程度スタントマンが介入したか知らないが、今にも転がり落ちそうなシーンなど、思わず目を覆いたくなってしまったほどだ。また、男性に変装して警備員の目を眩ませる場面など、スパイらしいスパイという感じで、素直にカッコイイと思った。ウインター役のリーヴ・シュレイバーは、とにかく声がいい!このクールな声質だけで、俄然CIAっぽいから不思議だ。この役者さんは、アニメの声優などをやらせたら、必ずや頭角を現すに違いない。ラストは、何やら続編を想像せずにはいられないところでエンディング・ロールが流れる。思いきり次回が楽しみな作品であった。2010年公開【監督】フィリップ・ノイル【出演】アンジェリーナ・ジョリー、リーヴ・シュレイバーまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2010.12.05
コメント(0)
「サム、失敗するよ」「どうして?」「君が起きてからすべてを記録してる。僕のメモリを調べられたら君が危険だ。消去してくれ。君の出発後、再起動する」「いいのか?」「君を守るのが僕の仕事だ」今年はどういうわけか、近未来を予測するようなSFモノが充実していた。とにかく新しい形なのだ。また、奥行が感じられる。本作「MOON」を手掛けた監督の年齢を調べたら、なんと吟遊映人と同い年で、しかも誕生日は数日しか違わない。封建的なしがらみの根強い映画界にあって、いよいよその業界でも世代交代が行なわれ始めたのかもしれない。作品のテーマは、ずばり、“企業と労働者”そして“自我”である。捉え方は人それぞれだろうが、クローン人間が登場することで作品のテーマはグッと深みを増す。人工的に生産されたクローン人間に、人権はないのか?企業の馬車馬となって働き、生涯を終えていくだけのロボットに過ぎないのか?いや、クローンにだって自我はある。なぜならクローンは、列記とした人間なのだから。と、そういう倫理的な意味合いが色濃く感じられた。さらに、企業VS労働者という点については、もっとあからさまで、過度な成長を遂げた資本主義社会を暗に批難しているようだ。近未来、宇宙飛行士のサム・ベルは、ルナ産業との契約で3年間、月に派遣されている。 月面で採掘されているヘリウム3を地球へ送る仕事である。だが、作業員はサム一人きりで、基地には他に人工知能を搭載したロボット、ガーディが話し相手兼助手としているに過ぎない。あまりの孤独な日々に、独り言も増え、苛立ちを隠せない。そんなある日、月面で作業車を操縦中に事故を起こしてしまう。しかし、気付くとサムは診療室で手当てを受け、ベッドに寝かされているのだった。作品に出て来る基地の名前や、衛星通信機に映る企業側の人物を見ると、どうやら韓国資本の企業のようだ。これをどう受け止めたら良いだろう?吟遊映人としての見解はこうだ。近未来、宇宙開発の先端を担うのは、アメリカでもロシアでもなく、無論、日本でもなく、なんと韓国なのだ、と作品は予測しているのだ。これは、世間一般の常識から言っても、当たらずも遠からずで、我々はなるほどと肯かずにはおられまい。本作「MOON」を製作したのはイギリスの映画会社であるが、さすがに重厚にして格調高く、とかくB級に陥りがちなSF作品を、テーマ性の強いリアリティのあるものに仕上げている。非常に完成度の高い、新しいSF映画であった。2009年(英)、2010年(日)公開【監督】ダンカン・ジョーンズ【出演】サム・ロックウェル また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2010.12.01
コメント(0)
全7件 (7件中 1-7件目)
1