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2008.11.25
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カテゴリ: 映画/ヒューマン

「そう、彼女にとっては死んでないのよ。」

スペイン映画なんて、久しぶりのような気がする。
派手が地味かで言えば、地味な部類に入るかもしれない。
だが派手にドンパチやらかすアクション映画ばかりが花というわけではない。
日常的で穏やかな日々に思わぬトラブルがあり、そこで苦悩する人間の生き様が実に見事に表現されている。
作中、死体を片付けるシーンなどを見ると、すわサスペンスかと思いきや、実はこの映画は豊饒な人間ドラマなのである。
とりわけ、女性が強くたくましく生きていくライフスタイルを、機微に描いているのだ。

さてこの作品は、スペインのマドリッドが舞台となっている。

パコは、我が子パウラを見る目つきが尋常ではなく、パウラは不穏なものを感じる。
そしてライムンダが仕事に出かけている間に事件は起きる。
パコはパウラに○○○○を迫るのだった。
驚いたパウラは、キッチンの包丁を持ち出し、パコを刺し殺してしまう。
パウラは実父を殺してしまったことに罪悪感を持つが、実際のところパウラはライムンダの連れ子であり、パコは実父ではなかった。
そしてこの事件が、様々な人間の絡み合う物語の序章となる。

「コレリ大尉のマンドリン」にも出演していたペネロペ・クルスは、断然この「ボルベール」の方が輝いていた。
外見的な美しさというより、烈しい気性とか内に秘めた陰鬱な過去・・・みたいな役柄を通しての演出がピタリとはまっていたような気がする。
驚いたのは作中、レストランの冷凍庫に死体を隠したままお店を営業するという女性の強さだ。
にもかかわらず、作品全体を通しての空気は、狂信的な暗さを感じることもなく淡々としていて、かえって女性を傷つけた役立たずの男が消えてくれてさっぱりした・・・ぐらいの勢いがあるから、客観的に鑑賞したらもの凄いストーリー展開だと思う。
ガンで余命いくばくもない女性、半分痴呆を患い老いて亡くなる女性、○○○○の呪縛に苦しむ女性、様々な苦悩を抱えながらも身体を張って生きていく女性たちの強さを全面に打ち出した作品に仕上げられている。



2006年(西)、2007年(日)公開
【監督】ペドロ・アルモドバル
【出演】ペネロペ・クルス

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)





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最終更新日  2008.11.25 05:57:58 コメントを書く


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