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2012.01.29
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カテゴリ: 映画/ヒューマン

「娘は私が性的イタズラをしたと思っているんだ。私にひどいことをされたと思い込んでる」
「・・・手を出したの?」
「・・・分からん」

この作品を手がけたポール・トーマス・アンダーソン監督は、やっぱり天才だ。
映画的センスにあふれ、観る者をグッと惹きつけて離さない、豊かな表現力を感じる。

『マグノリア』の全体からかもし出される、暗く、陰鬱な、人々のどうしようもない悲痛な嘆き。
自分で自分を持て余すワケありの者たちに、一筋の光を当てている。
この見事な感情の流出は、最後の最後になって、キリストの復活にも似た奇跡を起こす。


どのパターンも最悪な関係で、修復など不可能に思える。
だが必要なのは、修復などではなく、癒しと救いなのだということが分かる。
忌わしい過去に囚われ続ける、弱く哀しい人々が、まやかしの名声やドラッグの力を借りて、生きている姿。
この描写の素晴らしさと言ったらどうだ!
とにかく、観る者を圧倒させる。

舞台はロサンゼルスの郊外、ヴァレー。
資産家で、若い妻リンダを持つアールは、すでに末期症状だった。
ある時、アールは、献身的な介護士のフィルに息子探しを依頼する。
アールと先妻との間に儲けた息子だが、妻子を捨てた過去を持っていたのだ。
その息子は現在、フランク・T・J・マッキーと名乗り、モテない男を奮起させ、性コウイのノウハウを教えるカリスマとして人気を集めていた。
一方、人気番組の司会者であるジミー・ゲイターも、ガンを宣告され、余命いくばくもない立場にあった。

クローディアには、過去、父親との間に忌わしい体験があった。
そんな彼女はドラッグに溺れることで、過去や今の自分から逃避するのだった。
そんな彼女と出会うのが、生真面目な警察官ジム。
さらに、テレビのクイズ番組で天才少年として人気を集めていたスタンリー。
スタンリーは本番前にトイレに行けず、ついには本番中に漏らしてしまうというトラブルが発生。

様々な苦悩を抱える男女が織り成す人生模様。

この作品に出演している俳優陣の力の入れようたるや、並々ならぬものを感じる。
トム・クルーズもその一人なのだが、これまでのキャリアと比較しても、実に思い切ったキャラクターに挑んでいる。
しかも、その役を熱演していて、驚くほど自分をさらけ出している。すごい。
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さらに、フィリップ・シーモア・ホフマンやウィリアム・H・メイシーの、いかにも現実味のあるキャラクターづくりは、この作品をしっかりと地に足の着いた内容に完成させている。
濃厚で、灰汁が強く、一度観たら忘れられないようなインパクトがあるが、同時に、ポール・トーマス・アンダーソン監督の芸術的手腕に脱帽してしまうのだ。

1999年公開
【監督】ポール・トーマス・アンダーソン
【出演】トム・クルーズ、ジュリアン・ムーア、ウィリアム・H・メイシー

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)





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最終更新日  2012.01.29 08:13:22 コメントを書く


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