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2012.02.12
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カテゴリ: 映画/ラブ
20120212


「私よ、リナ」
「やぁ」
「言っておきたくて・・・あなたがどんな人でも・・・さっきキスしてほしかったの」

「ほんとに?」
「・・・ほんとよ」

ポール・トーマス・アンダーソン監督の表現する世界観は、一言で言えば“変わっている”。
カテゴリなら【ラブ】や【コメディ】に区分される作品だと思うが、一般的な恋愛映画とは一線を画す。
カンヌ受賞作というクレジットに踊らされ、期待して視聴した日には、ちょっと残念な気持ちになる。

だが、“胸のときめくような”“せつなくなるような”“紆余曲折ある”恋愛ドラマを好しとする者には、この作品で描かれている世界は、まるでパニック映画だ。
ポール・トーマス・アンダーソンという若き天才が作った映画は異質で、視聴者が心地良い共鳴に浸るタイプのものとは違う。
『パンチドランク・ラブ』を評価するもしないも、ひとえに各人の好みによる。

ロサンゼルスの郊外が舞台。
まじめな青年バリー・イーガンは、工場に勤める販売営業マン。
ある日の早朝、バリーがコーヒーを飲んでいると、道端にオルガンが捨てられていく。

さらに、隣の自動車整備工場に車の修理を依頼しに女性がやって来る。
その女性はリナと言い、バリーの姉の職場の同僚だった。
バリーには何人もの姉がいて、幼い頃より、からかわれたり口うるさく言われたせいで、事あるごとに情緒不安定に陥った。
ささいなことで窓ガラスをメチャクチャに割ってしまったり、女性に対する強い不信感があった。
そんなバリーのひそかな楽しみは、特典の付いた、4個パックのプリンを大人買いすることだった。


ポール・トーマス・アンダーソン監督のスゴさの一つに、キャスティングがあげられるかもしれない。
主人公バリーに扮するのはアダム・サンドラーで、実はこの人コメディアンらしい。
ちょっとお笑いの人とは思えない演技力で、女性不信に苦悩する情緒不安定なキレやすい男、というキャラを見事に演じ切っている。
さらにヒロイン役リナに扮するのがエミリー・ワトソン。
この女優さんの薄幸そうな顔立ちと言ったらない。

こういう俳優陣の顔ぶれや、映画人の好みそうな演出は、全て監督の計算し尽くされた映画的センスによるものだろう。
既存の恋愛映画に飽き飽きしている方々にオススメだ。

2002年(米)、2003年(日)公開 【監督】ポール・トーマス・アンダーソン 【出演】アダム・サンドラー、エミリー・ワトソン、フィリップ・シーモア・ホフマン

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)





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最終更新日  2012.02.12 08:06:10
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