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2013.05.30
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カテゴリ: 映画/ラブ
【ヒアアフター】
20130530

「死んだらどうなるの?」
「急に何だ? 電気が消えておしまい」
「それだけ? ただそれだけなの?」
「真っ暗闇だ。電気は点かない。永遠の暗闇さ」


クリント・イーストウッドがメガホンを取った映画は、これまでにも何本かあるが、実際イーストウッドの得意とする分野は、ラブ・ストーリーであろう。
それも道ならぬ恋的な、何かを背負った、あるいは孤独の影を感じるとでも言おうか。

そういういわく付きのラブである。
『ヒアアフター』もその一つで、ラブ・ストーリーに完結している。
内容は三つのストーリーが交叉する構成となっていて、ラストで上手い具合に融合する。

この作品の見どころは、ズバリ、明と暗のギャップだ。
例えば、リゾート地でバカンスを楽しむ有名ジャーナリストが、津波にのまれるまでを“明”とすると、その後、番組を降板し、自分がデカデカと掲載された看板から別の女性キャスターの看板に取替えられ、恋人の心が別の女性に移っていくところは“暗”となる。
また、料理教室に通い始めたジョージが、隣の女性とペアを組んで二人仲良く料理を作るところを“明”とすると、女性がジョージの霊能力に引いてしまい料理教室に来なくなり、ジョージが一人ポツンと料理を作るシーンは“暗”となる。
この対比が見事に表現されていて、これこそ正にイーストウッドのラブの世界観とも言える。


その際、突然の津波に見舞われ、一時は死に掛けてしまう。
だが、どうにか水を吐き出し、九死に一生を得る。
2.ジョージは、兄に頼まれ、気のすすまない死者との対話を引き受けた。
これが最後だと約束しながらも、霊能力を持つジョージを頼って来る者が後を絶たない。
だがジョージは、霊能者としての自分が忌わしく、人生を変えたいと思い、イタリア料理の教室に通うことにした。
3.ロンドンで、薬物中毒の母親とまだ小学生の双子の兄弟が細々と暮らしていた。
ある日、双子の兄は薬局へお使いに出掛けたところ、不良グループに追いかけられ、交通事故に遭い亡くなってしまう。
これまでずっと兄に頼りきりだった弟のマーカスは、ショックの余り兄の死を受け入れられない。
その後、母親は立ち直るために施設へ入所。
マーカスは里親に預けられることになった。

この作品のラストは、何とも言えない、甘美でメランコリックな演出となっている。

ロンドンの街角にあるオープンカフェで、ジョージがマリーを見つけるという、とてもナチュラルな、それでいて胸がときめくようなロマンスを感じるから不思議だ。
イーストウッド監督の十八番を、改めて認識した作品だ。

2010年(米)、2011年(日)公開
【監督】クリント・イーストウッド
【出演】マット・デイモン、セシル・ドゥ・フランス

20130124aisatsu





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最終更新日  2014.01.10 09:48:48
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