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2017.06.04
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カテゴリ: 映画/ラブ
【アニー・ホール】
20170604



恋愛と結婚というものが、必ずしも一致しないことぐらいは、大人ならだれだってわかる。
若いうちは恋愛の延長線上に結婚があると思い込んでいる。
でもそのうち、恋愛というものが幻想であったことを目の当たりにするのだ。
現実というのは、ときに残酷だ。
どんなに好きでも長く一緒にいれば喧嘩もするし、憎くもなるし、幻滅もする。
そういう二人がひとたび「恋愛」という枠組みから解放され「友だち」という関係におさまったとき、びっくりするほどしっくりするのだから皮肉なものである。
だれが言い出したのか忘れたけれど、「結婚するなら二番目に好きな人がいい」というのはまんざらでもない。
相手と程よい距離間があった方が、ベタッとした関係より長続きするという過去のデータがあるからだ。

今回、私は『アニー・ホール』をレンタルしてみた。

ウディ・アレン監督の代表作なのだが、人間の営みは時代にほとんど左右されないらしく、現代でもまったく違和感はない。
ざっくり言ってしまえば、男女の恋愛が一筋縄ではいかないところを絶妙に表現している。

ストーリーはこうだ。
コメディアンのアルビー・シンガーがアニー・ホールと出会ったのは、友人と一緒に行ったテニスクラブである。
二人はなんとなく仲良くなっていった。
アルビーはアニーにあれやこれやと自分の生い立ちを告白する。
ニューヨークのブルックリンで育ち、幼少期から神経質で屁理屈をこねる、ませた子どもであったこと。
2回婚歴があり、2回とも離婚していること。
そして15年間ずっとセラピーにかかっていることなどである。
一方、アニーも付き合って来た彼氏について語り、家族との食事にアルビーを誘ったりした。
アルビーはアニーが教養のないことをコンプレックスに感じていると思い、大学で学ぶことを提案した。

そうでもしなければ気持ちが冷めてしまってモチベーションを維持できなかったからだ。
だが二人は少しずつギクシャクし、関係が悪くなっていく。
アニーは大学の教授と関係を持ち始め、アルビーも別の女性と付き合い始める。
こうして二人の関係は切れたかに思えたが・・・

『アニー・ホール』はアカデミー賞受賞作品であり、ウディ・アレン作品の中でもとりわけ人気の高いものらしい。(ウィキペディア参照)

もしかしたら、今の私の気分的なものが左右したのかもしれない。
男女の惚れたはれたについて、さほど興味がなくなって来ているのも事実だし、ラブ・ストーリーならせめてハッピーエンドにして欲しいという、映画に対する願望もあるからだ。

おもしろい演出だなと思ったのは、作中でアルビーとアニーがそれぞれのセリフ以外に、心の声が字幕で表されているシーンである。
さらには、主人公のアルビーがカメラ目線で視聴者に問いかけるシーンがあり、ウディ・アレン監督オリジナルの表現技法があちこちに垣間見られる。
この作品が人気なのは、当時としては斬新な演出や、男女の出会いから別れを万人が共鳴できるものに完成させた点であろう。
恋愛が永遠のものではないことはわかっていても、人はいつだってだれかを愛さずにはいられない。
出会いと別れを繰り返すのが男女の常。
私はこの作品からそういう人間の性(さが)を感じずにはいられなかった。
ラブ・ストーリーにしてはあまりに現実的で、夢や希望の入る余地さえない作品に思えた。


1977年(米)、1978年(日)公開
【監督】ウディ・アレン
【出演】ウディ・アレン、ダイアン・キートン


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最終更新日  2017.06.04 06:51:38
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