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2006年05月31日
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カテゴリ: 邦画(05・06)
昨日、今年のカンヌの受賞作は9.11の流れを受けて政治的な作品がそろったが、日本にはいまだその気配はない、と 書いた 今村昌平氏の死去 の報が流れた。今村昌平はカンヌで二冠を達成し、しかもその遺作は9.11をテーマにした世界の監督たちのオムニバスだったので、余計になんかすごい 偶然 を感じる。

遺作は「セプテンバー11」(製作02年)という作品である。

クロード・ルルーシュは恋愛映画を作り、ショー・ペンは老夫婦の別れを崩れゆくビルを背景に描いてみる。イランで、エジプトで、ボスニア・ヘルツェゴヴィナで、イスラエルで、インドで、アフリカで、それぞれの監督たちは自国の国民の声を聞きながらもこの事件の衝撃と矛盾をどのように描くかもがいていた。最も批判的に描いたのは、皮肉にもイラク戦争で米国とともに戦うことになる英国の作家であり、今回のカンヌパルムドームを受賞したケン・ローチであった。彼が描いたのは1973年の9月11日。アメリカが干渉したチリの軍事クーデターであった。彼の面目躍如たる11分だった。

そして日本は今村昌平監督だった。 残念ながらこの作品があってもなお、わたしは「日本に(現代の危機を語ろうとする)その気配は未だ無い」としか言いようが無い。 作品の時代背景は戦中の村。出てくる俳優陣はまさに今村組の豪華メンバー。田口トモロヲ、麻生久美子、倍賞美津子、柄本明、丹波哲郎、北村和夫、久しぶりの緒形拳、市原悦子である。カンヌ俳優役所広司に至ってはただ座っているだけ。しかし作品は、「戦争の影」は全て「個人の情念の世界」に埋もれてしまった。(今村昇平らしいといえばそうなのだか……)世界に発するオムニバス作品の一作としては、失敗作といわざるを得なかった。まあ、最後に素晴らしい作品で終わるという監督はほとんどいないので、これはこれでよし。この作品を見れば、監督が残した日本への宿題がわかるかもしれない。

監督の評価は「 にっぽん昆虫記」「復讐するは我にあり」「うなぎ」





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最終更新日  2006年05月31日 21時41分09秒 コメント(7) | コメントを書く


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