再出発日記

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2006年06月14日
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新・ちくま文学の森(6)

ロバート・フロスト  川本こうじ・訳

『雪の夜、森のそばに足をとめて』
この森の持ち主がだれなのか、おおかた見当はついている。
もっとも彼の家は村のなかだから、
私がこんなところに足をとめ、彼の森が
雪で一杯になるのを眺めているとは気がつくまい。



森はまことに美しく、暗く、そして深い。
だがわたしにはまだ、果たすべき約束があり、

眠る前に、何マイルもの道のりがある。

わたしが思うにその森は、死期が近い人だけに見える「何か」なのだろう。この作品集には他に、老いを意識し始めた女と男の金と欲がからんだ会話劇を描いた林芙美子の 『晩菊』、 終末医療の患者の心理をありありと描いた耕治人の『 そうかもしれない 』、「ウォー、ウォー」と叫びながら凄絶に死にゆくリツ子の臨終を描いた壇一雄の『 終わりの火 』、『「じゃあおれはもう死んじゃうよ」と何の表情もない、穏やかな目であった。わたしにも特別の感動も涙も無かった。別れだと知った。「はい」と一ト言。別れすらが終わったのであった。』謹厳、静かな父親の死を書いた幸田文の『 終焉 』。等々がある。

あとがきで編者の鶴見俊輔は意外にもこんなことを書いていた。
「二月ほどまえ、癌の告知を受けたとき、医者との会話がとぎれず、気分として普通の状態が続いた。ところが、そのすぐあとで看護婦が血圧と脈をはかりに来たときの記録によると、血圧は153-91、脈は99で、ふだん(その日の朝には血圧122-95、脈85)よりやや高く、わたしのからだはこどものころよりにぶくなったなりに、告知にこたえていた。」
「なぜ生きるかの理論は、なぜ自殺しないかの理論と背中あわせである。」

この本の発行は1995年。だとすれば、鶴見の癌は何とか転移を免れたのだろう。去年九条の会の事務局長小森陽一氏が講演でこんなうち明け話をした。九条の会の一周年を記念しての講演会の打ち合わせで鶴見俊輔がこういったという。「だれか一人はくたばるかと思ったけど、なんとかもったね」そのブラックジョークにわたし一人が笑ってしまって会場の失笑を買ったのである。だけどこのあとがきを読んで、鶴見俊輔はほとんど本気で言ったのだと思った。そしてわたしたちは本気で彼らの覚悟を知らなくてはいけない。

6月10日、 九条の会・全国交流集会 9条守ろう! ブロガーズ・リンク で、集会の内容をしっかりレポートしてくれている。思うに、今のところ、最も詳しいレポートなのではないだろうか。

そこで、 鶴見俊輔 はこういうことを言っていた。
「戦争を起こす文明に、耄碌人として反対する」

三木睦子 さんにいたっては
私たち九人は、もうそろそろ、力つきます (笑い)。いあ、実はそうでもないんですよ(笑い)。
 私たちに、平和をもたらすのは、私たちの心からです。やさしくて、楽しい世界にしようではありませんか。みんなが楽しみを持てる世界にしようではありませんか」

本当に彼らは命がけで戦っている。

彼らの思いを引き継ぐ若者がもっともっと育たないと、この運動はジリ貧になってしまう。全国集会には案外若者が参加していたそうだ。今回は会場制限で人数が限られたし、日程も一日だけだったが、来年は憲法共同センターなどの力を利用してもっと大きい会場で、2日がかりぐらいで交流集会をしたらどうだろう。年寄りはともかく、若者は「刺激」を貰うと大きく化ける。全国の経験の交流を聞くだけ、あるいは自分で発言することで、大きく成長するだろう。そして加藤周一の言うように 、「老人と若者の連帯」 も、リアル世界で顔をつき合わせて2日ぐらい話をすると、大きく進展するかもしれない。今から来年に向けて準備していってはどうだろうか。





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最終更新日  2006年06月14日 22時07分46秒 コメント(8) | コメントを書く


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