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2015年08月21日
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「戦後日本史」福井紳一 講談社+α文庫

とっても熱く、わかりやすく、詳しく、驚きに満ちた「戦後史」でした。

学者の書いた戦後史ではなく、駿河予備校講師による受験生向けの歴史講義であることに大きな特徴がある。私は知らなかったのだが、最近の大学入試、日本史のうち戦後史の出題の配点・分量が増えているらしい。一橋や慶應義塾経済のように、年によっては1/3まであてる大学もあるらしい。これは著者の言うように大学からの「高校教育は現代史をやれ」というメッセージだろう。

受験生にはその点で有用、大人はどうか。私を含めて高校ではほとんど現代史は習っていないから、現代史の学び直しとしてはかなり有用である。

これは2011年11月発行の同書の訂正・加筆版だそうだが、単なる加筆ではなくて、今、現代を批判的な視点で見ているところがすごい。2015年6月の95%以上の憲法学者が安全保障関連法案に対して違憲だと明言していることも記し、そこに至る「歴史」がわかるように書かれているという意味でも画期的である。

例えば、著者の安倍晋三批判は痛烈である。2005年の「ポツダム宣言は原爆二個落とした後に叩きつけられた」「満州は攻め入ってつくったわけではない」発言を、「思わず椅子からずり落ちそうになった」と著者は言う。そのように「政治家としての資質」を疑問視して「序」は始められている。よって、本屋の店頭に跋扈している歴史修正主義への批判は、この本で紙数を割いて語られているだろう。教育指導要領で制限された高校の授業では、決して出来ないことだ。

著者もいっているように、戦後史を系統的に知らなければ、現代のような激動期、目隠しのまま高速道路を歩いているようなものだろう。ニュースや新聞の内容を読み取るためには、戦後史が必要不可欠である。

私はこの本を大いに共感持って読んだが、もちろんそれは入り口にすぎない。細かく見れば、問題点もある。著者は全共闘の運動をベタ褒めしているのだが、その批判的な視点(特に連合赤軍事件や浅間山荘事件に至った経緯やその後の影響)については、ほとんど書いていない。これから学園生活を送る受験生に対しては、それはあまりにも不親切だと思う。

受験生は、大学に入った後は是非とも学友や先生との討論、学問的な学びによって、真実に近づいて欲しいと思う。
2015年8月16日読了





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最終更新日  2015年08月21日 12時44分24秒 コメントを書く
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