再出発日記

再出発日記

PR

フリーページ

お気に入りブログ

5/17-3:茨城県・水… New! 天地 はるなさん

映画「ジョン・ラー… New! shchan_3さん

ヨンウ(永友)会 - … New! はんらさん

源氏物語〔2帖帚木 … New! Photo USMさん

「光る君へ」と枕草… New! 七詩さん

カレンダー

2021年12月28日
XML
テーマ: 本日の1冊(3685)


蓑虫山人‥‥ 。絵の技術にはムラがあり、立派な人物でもなければ有名でもない。定職にも就かず、各地で人の好意に甘え、勝手に遺跡を発掘し、変な格好をして変な行動をして、ー死に方に立派もなにもないものだがー風呂上がりにのぼせて死んでしまったような人物だ。(28p)

何故、こんな人物のために、こんな立派な書物を作ったのか?図版と写真が非常に豊富。雑誌「Discover Japan」連載をまとめた。

要は好奇心の塊なのである。旅が好きで、たまたま出会った縄文遺物が好きで、勝手に発掘する中で、明治20年、亀ヶ岡遺跡の最初の紹介者にもなる。あの国宝級の遮光土器(宇宙人の姿をしたヤツ)が出た遺跡である(おそらく蓑虫山人が発掘者)。そういうわけで、縄文時代のフリーペーパーを10数年前から作ってきた望月昭秀さんにしてみれば、他人のようには見えないのだろう。私も、とても親近感が湧いた。

幕末、岐阜県の豪農の家に生まれ、家を飛び出し、放浪の人生を送る。池大雅や渡辺崋山、鉄斎などの南画を見様見真似で描いていて、絵日記を残している。俳諧も好きだった。若き日は勤王の志士の真似事?もしている。大ボラ吹きなので眉唾モノなのだけど、西郷隆盛と月照の心中を助けたのは自分だと言っているらしい。でも絶対ウソとも言い切れない。ともかく、現代ユーチューバー顔負けの「やってみよう」精神に溢れている。また、南画の絵はお世辞にも美術品とは言い難いが、味があり、現代流行りのマンガエッセイのように感じる。読んでいくうちに誰でも蓑虫山人を好きになってゆく。不思議な本だ。

後書きを読むと、意外にも写真家・田附勝さんの方から企画を持ち出したのだという。放浪して、地方の素封家と仲良くなって、観光地をプロデュースして、博物館を作る夢を生涯持つ。対象者の懐に飛び込むことを常とする写真家の田附さんとしては、なんとなく通じるところがあるのかもしれない。

有名ではないけど、無名じゃない。
あゝこんな風に人生を送れたら、どんなに良いだろ。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2021年12月28日 11時02分51秒
コメントを書く
[読書(ノンフィクション12~)] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

キーワードサーチ

▼キーワード検索

コメント新着

永田誠@ Re:アーカイブス加藤周一の映像 1(02/13) いまはデイリーモーションに移りました。 …
韓国好き@ Re:幽霊が見えたら教えてください 韓旅9-2 ソウル(11/14) 死体置き場にライトを当てたら声が聞こえ…
韓国好き@ Re:幽霊が見えたら教えてください 韓旅9-2 ソウル(11/14) 死体置き場にライトを当てたら声が聞こえ…
生まれる前@ Re:バージンブルース(11/04) いい風景です。 万引きで逃げ回るなんて…
aki@ Re:書評「図書館の魔女(4)」(02/26) 日本有事と急がれる改憲、大変恐縮とは存…
北村隆志@ Re:書評 加藤周一の「雑種文化」(01/18) 初めまして。加藤周一HPのリンクからお邪…
ななし@ Re:「消されたマンガ」表現の自由とは(04/30) 2012年に発表された『未病』は?
ポンボ @ Re:書評「図書館の魔女(4)」(02/26) お元気ですか? 心配致しております。 お…
むちゃばあ@ Re:そのとき 小森香子詩選集(08/11) はじめまして むちゃばあと申します 昨日…
KUMA0504 @ Re[1]:書評「どっちがどっち まぎらわしい生きものたち」(02/26) はんらさんへ 今気がつきました。ごめんな…

バックナンバー

・2024年06月
・2024年05月
・2024年04月
・2024年03月
・2024年02月
・2024年01月
・2023年12月
・2023年11月

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: