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11月23日、県平和委員会は3年ぶりの日本原基地調査を行い、県内各地から12人が参加しました。奈義町議員で勝田郡平和委員会の森藤政憲さんの調査資料報告を受けたあと、日本原演習場に入り演習場中の訓練場をまわりました。 対戦車射座 オスプレイ来るかも 日本原基地は、現在は大砲を扱う中部方面第13旅団特科隊、ミサイルを扱う高射特科隊、戦車隊の700名弱が駐屯。約1900haを擁する、中四国最大の演習場です。森藤さんは、最近の演習通報から「より実際の戦争に直ぐに通用する訓練、米軍と連携に役立つ訓練に変化している」「オスプレイの飛行訓練の可能性が高まっている」と分析しています。 山の下に虹見えた 2018年の演習通報を見ると、(1)日本型海兵隊で突撃部隊である第15即応機動連隊(善通寺)の演習が急増し、1番多くなっている(2)機動連隊が使用する、高速移動が可能な機動戦闘車(155ミリ砲搭載)が登場した。(3)今までは105ミリ砲が中心だったのに、120ミリ迫撃砲の実弾訓練が行われている。(4)ヘリコプター上空からの機関銃発射訓練(実弾)の実施(5)今年岩国の米軍単独訓練が実施された。(6)ヘリパッドも整備されて、オスプレイが日本に飛来する可能性は高まっていて、町民から不安が高まっている。ことなどが見られるようです。 潜入射場 対戦車誘導弾射座 際立つ実践訓練 無駄な兵器 午後からは、自衛官の先導で日本原演習場の基地見学を行いました。新東弾着地に向けての対戦車射場、弾を避けながら進む訓練場・潜入射場などを見学。700m先の目標向けて誘導弾を撃つ軽対戦車誘導弾射座では、遠くある目標に対して「ほぼ100%の命中率です」と自衛官は胸を張っていました。その他、戦車射場などを見学しました。 また、駐屯地ではリタイア兵器の公開展示をしていたので、終わりに見学。特に「多連装ロケットシステム自走発射機M270」という兵器は、一発で広範囲を無差別攻撃するクラスター兵器の特徴を持っていて、遂に世界でも米軍がイラクで使われただけ、日本では廃車になったいわく付きの兵器です。参加者からは「専守防衛じゃない!日本を守る兵器ではなくっている」などの意見が出されました。 参加者からは「海外派兵のための兵器であり、訓練になっている」「初めて来た。とても広い基地でびっくり」「無駄ばかりで、呆れもするし、怒りもする」「オスプレイは岡山に来て欲しくない」等の感想が聞かれました。 3月に米軍単独訓練 住民の会が津山市へ申し入れ 11月24日、来年3月に米軍海兵隊単独訓練実施がされるとの発表がありました。それを受けて、「ゆるすなー日本原演習場における米海兵隊単独訓練を考える住民の会」(代表 中西 孝)では、27日津山市長に対して「日本原演習場における2021年の米海兵隊単独訓練」についての申し入れを行いました。米軍訓練すべて反対ではあるが、今回はことのほかコロナ感染問題の「終息」まで「訓練は遠慮してほしい、同意できない」との旨を伝えてほしいと要望しました。
2020年11月30日
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「考古図録 京都大学総合博物館収蔵資料目録第3号」京都大学総合博物館 写真はカラー。127p。2017年発行。定価1800円。 編集 京都大学総合博物館 発行 (株)アクディブKEI 目次 頁 考古資料の概要 4 第一部 日本 縄文・弥生時代 9 第二部 日本 古墳時代 33 第三部 日本 古代 63 第四部 中国・朝鮮半島 77 第五部 エジプト 101 付篇 各地の文字資料 107 掲載資料一覧 113 京都大学の収蔵資料目録なので、驚きの視点はない。 京都大学が独自に発掘してきた有名遺跡は多い。 私の関心から縄文・弥生・古墳時代だけ記す。 ・国府遺跡 ・北白川遺跡(吉田キャンパスの東側) ・長野県海戸遺跡の縄文土器 ・神奈川県菊名貝塚 ・沖縄県崎樋川貝塚 ・岡山県津雲貝塚 以上が縄文時代。津雲貝塚は京都大学が調査したのか!骨がない。そっちは東大にとられたのだろうか。 縄文から弥生へ。その二つともあるのが、滋賀県滋賀里遺跡である。 唐古遺跡は、流石に遺物が豊富。7頁にもわたって取り扱っている。 須玖岡本遺跡の銅剣やその鋳型、そして甕棺墓。 圧倒的には、椿井大塚山古墳の30面にも及ぶ三角縁神獣鏡、または画文帯神獣鏡、または方格規?四神鏡、四葉座内行花文鏡、である。甲冑、剣やヤリ、鉄鏃、鉄斧などを載せる。 安土瓢箪山古墳の青銅器の数々も。 元稲荷古墳の特殊器台形埴輪と特殊壺形埴輪の現物は、ここにあった。 久津川車塚古墳の石棺の本物もここにある。 なるほど、関西アカデミーの頂点として、優れた逸品は手元に取っておくわけだ。 その割には、ほとんど解説がない。せっかく図録を作ったのだから、これまでの成果を惜しみなく書くべきではないか? 非常に頭にくる。 もうこの博物館には行かない。 「台湾民俗資料 京都大学総合博物館収蔵資料目録第6号」 2019年。カラー75p。確か2200円ほどだったと思う。 編著 岩崎奈緒子 郭美芳 発行 京都大学総合博物館 ほぼ全ての民俗資料に、日本語と台湾語の解説がつく。とても誠実な編集だと思う。改めて、台湾の「民芸」の技術の高さを知る。
2020年11月29日
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「京都大学の歴史」 京都大学大学文書館の図録である。入室無料、図録も無料である。24p 1部カラー。 時計台の下にある資料館。 特に注目すべきは、一章を設けて「滝川事件」をあつかっていることである。 1933年、法学部の滝川幸辰教授(刑法)の学説がマルクス主義的であるとして、文部省が休職を求めたのに対して、法学部教授会は大学の自治に反するとしてこれを拒否した。5月26日に休職処分が発令されると、法学部全教官が総長に辞表を提出し、両者の対立は頂点に達した。その後、いくつかの妥協策も模索されたが、処分は撤回されず、結局法学部専任教官33名のうち21名が京大を去った(翌年までに7名が復職)。法学部は、滝川処分を撤回させられなかっただけでなく、文部省の分断策もあって、「辞職組」と「残留組」に分裂するという二重の痛手を受けることになった。 これは、そのまま現代の学術会議任命問題でも被る問題だろう。 ことは、思想問題ではない。 学問の自治と自由の問題なのである。 戦前は、政府の力が強かった。 果たして現代は、そんなに政府の力が強いのか? 学問の自由を求める市民の力が弱いのか? と、書いた後にこの記事が配信されたが、正にこの資料館のある時計台の上で、学問の自治と自由に関する「事件」が、今日起きたようである。みなさんはどう考えるか? 記事をコピペしておきたい。 京大の時計台記念館を学生が“占拠” 職員とトラブル、機動隊出動し一時騒然 11/27(金) 19:34 毎日新聞 京大の時計台記念館を学生が“占拠” 職員とトラブル、機動隊出動し一時騒然 京都大百周年時計台記念館に上る学生ら。垂れ幕やはしごがかけられ、警察官も出動するなど一時騒然とした=京都市左京区の京大吉田キャンパスで2020年11月27日、読者提供 京都大(京都市左京区)で27日、シンボルの百周年時計台記念館に学生らが登って垂れ幕を出すなどし、制止する職員らとトラブルになった。京都府警の機動隊が大学構内に入って警戒に当たり、周辺は一時騒然となった。けが人や検挙者はなかった。 【学生の占拠騒動があった時計台記念館】 京大では、学生寮の一つ「熊野寮」の祭りで、学生らが時計台に登ることが恒例になっている。これに対し、京大側は「危険な企画」「建造物侵入として刑法に抵触する行為」とし、時計台に登ろうとすれば「警察に通報するなどの法的措置を含め、厳正に対処する」と25日に告示を出していた。 学生らが27日昼、時計台に、はしごをかけると、もみ合いが発生。機動隊員らが現れ、正門から学内に入った。学生らは時計台の上でマイクを握り、周辺ではビラを配布。大学側の「対話拒否の姿勢」を批判するなどした。 府警は毎日新聞の取材に「通報があり、危険防止のため学内に入った。警備態勢の詳細は明かせない」と説明した。【中島怜子、千葉紀和】
2020年11月27日
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せっかく京都に赴いて、一万円以上叩いて図録を持って帰ったので、幾つかを紹介しておきたい。 「向日丘陵の前期古墳」 2004年特別展図録 40p 総カラー 値段500円? 総論、元稲荷古墳、寺戸大塚古墳、寺戸大塚古墳の三角縁獣神鏡、妙見山古墳、北山古墳・五塚原古墳、一本松塚古墳を扱う。本文は都出比呂志、近藤喬一であり、この手の図録としては例外的にわかりやすく、総合的。 乙訓地域の古墳の変遷の表と地図を見てほしい。 盟主墳の断絶と移動が3回起きているのを説明している。 すなわち、4世紀末から5世紀前葉。それ以前には「向日系譜」として、元稲荷、寺戸大塚、北山、一本松原、妙見山、五塚原がある。 そのあと、5世紀末に長岡系譜、山田系譜に移り、 そのあと、6世紀前葉に再び向日系譜(物集女車塚古墳)に戻り、6世紀後半に長岡系譜に移っているらしい。 この3回を、都出比呂志は、箸墓古墳、伝応神陵古墳、今城塚古墳に対応させている。 この図録は発掘時の写真を多量に掲載していて貴重。 また、元稲荷の特殊器台形・壺形埴輪を丁寧に掲載していて嬉しかった。この埴輪が、箸墓古墳や都月1号墳と類似していると都出さんが述べていることに、私としては興奮した。 その他の解説も非常に丁寧。特に、寺戸大塚古墳出土品の解説は勘で含めるようだ。 「常設展示図録 長岡京の歴史と文化」 1984年発行 2011年2度目の改訂版発行 40p 向井市文化資料館編集発行 長岡京の発掘は現在も続いていて、改訂も暫く経つと行っているようだ。そういう意味では誠実な図録である。 早川和子さんが、4枚の再現絵を描いてくれていて、イメージがしやすい図録になっている。また、比較的文字も大きくしようと努力しているし、写真は全部カラーである。長岡京学習の入門編としては最適。 「再現 長岡京」 2001年発行 2015年2度目の改訂版発行 49p 向井市埋蔵文化財センター編集・向井市発行 写真は1色から2色刷りではあるが、情報量は文化資料館のそれよりも遥かに多い。もっとも前著は展示遺物の解説という縛りがあったのに、こちらには無いし、最近の発行なので、更に最近知見を入れることができたからだろう。 「常設展示図録 城陽の歴史と文化財」 2007年発行 40p 1000円? 写真はカラー 城陽市歴史民俗資料館発行 資料館のリニューアルを機に内容を一新したらしいが、芝原古墳の3世紀末の前方後方墳であることの記載がない。非常に見劣りがする図録。
2020年11月26日
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「吉備の大王の物語」藤井正 文芸社 弥生時代、国の無い状態から、やがて倭国乱れる時を過ぎて、日本の少なくとも西日本が統一されたのは3世紀だと言われている。その物語は、本来は日本史上最大の事件のはずである。時代小説を書くのならば、外すべきではないイシューのはずだ。しかし作品はない。何故ならば、文献資料が一切ないからである。事件から50年以内に書かれた文献ならまだしも、記紀は300年以上経っている。 まともな作家は、この時代を書かない。だとすれば、アングラ作家が挑戦するのだろう。そうやって、時々現れる作品がある。コレはそのうちの一つである。一生懸命書いているとは思うが、ダメだった。考古学文献も読んで、いろいろ参考にしているが、知識として入れているだけで、至る所に現代的表現を使用していているし、キャラも立っていない。小説の形を借りた歴史評論になっている。 ‥‥と書いているのは、私には私なりの「物語」が既にあるからであって、こういう批評は作者にとって迷惑でしかないとは思う。「こういう小説もあって良い」という感想が正しい感想なのだろうけど、私はもしかして違和感ありまくりでも作品としてまとめた力技に嫉妬しているのかもしれない。 そもそも私がこの作品を是非読みたいと思ったのは、統一の立役者を卑弥呼でもなく、大和の王でもなく、吉備の大王にしたからである。考古学知見を持っていれば、それは「あり得る想定」ではあるのだが、おそらくこの作品はその嚆矢だろうとは思う。そこだけは評価できる。あとはホント申し訳ないけれども、違和感、異論ばかり。 一応Amazon上の「説明」から「あらすじ」を引用。 197年、吉備のある若い王が「纒向」に出向くことを決めた。しかし、近畿の長髄彦と出雲のオオナムチも同じ場所に向かっていた。だれよりも早い纒向入りを目指し、若王は見事なまでにその理想を実現していく。神話に登場する数々の人物たちの姿を追いながら、多くの謎に包まれた若王の姿を描く。――この若王とは、一体誰のことなのか。今までにない、型破りな古代小説誕生。 この後、近畿・吉備・出雲の大王からなるヤマト連合政権が北九州の邪馬台国の卑弥呼に戦争を仕掛けて破り、吸収していく様を描く。 全部書くとキリがないので、最大の違和感を3点述べる。 (1)登場人物たちは、何故か戦争をして勝たないと目的を達することができないと固く信じている。しかし、犠牲を払って戦争をする理由がどうしても見つけることができなかった。一方、彼らの最大の行動規範であるはずの「宗教的信念」は描かれない。登場人物は、中世戦争史観で動いているのかもしれない。 (2)どうして記紀神話との整合性を持たせようとするのか、私には理解出来ない。それと、魏志倭人伝との整合性もつけようとしているので、かなり無理筋の物語になっている。記紀神話は軽く見るべきだというのが私の意見である。 (3)都がなぜヤマトになったのか?説得力ある理由を提示できていない。 私としては、記紀も倭人伝も無視した「統一物語」を作れないかと模索している。そんなら早く書けよ、と言われそうだ。その通りでございます。
2020年11月25日
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「痕跡本のすすめ」古沢和宏 太田出版 「言葉はこうして生き残った」の河野道和さんがすすめていた本を紐解いた。痕跡本を読むことも本の愉しみ方のひとつだと思う。 著者は、とてもユニークな痕跡本を約60冊用意する。そこから様々な「物語」を読み解く。ただし、推理小説とは違って、「答え」はない。そういう推理小説は嫌いだと思う人には物足らないかもしれない。私は考古学ファンで、いつも答えのないサスペンスに接しているようなものなので、「あゝこういう角度から、本という〈遺物〉も楽しめばいいんだ!」と再発見した。そしてこの本、「造り」という点でも様々な工夫があります。奥付にも仕掛けがある。装丁屋さんにも参考になりそうな本です。河野道和さんありがとうございました! 痕跡本には時に深い「物語」がある。特に本に書き込みをした年齢と手放した年齢との差を、古沢さんと同じように私も推理する。そこから、複雑な人生(妄想)が私の頭の中に展開されていくだろう。 「高橋亮子 ボクちゃんーその世界」(1977年)この「画集」に挟み込まれた画と同じ雑誌の切り抜き。わたしも一時期マンガ単行本を買い集めていたことがあるので、この人の気持ちもわかる気がする。 ‥‥18歳。新しい大学生活に膨大な雑誌は持っていけない。お母さんに言われた様に雑誌を処分することに決めた。中学生の頃から大好きだった高橋亮子先生の画集を買った。雑誌の処分の合間に画集と同じ絵を切り抜いて挟み込んだ。雑誌にはわたしの甘酸っぱい思い出の全てがある気がした。時を隔てて、2005年。46歳。子供に恥ずかしくて、隠してきたさまざまな趣味の本は一括して処分して、子供の自立を機会にわたしも自立する。‥‥などなど。 或いは、私の「蔵書」の「痕跡本」の行末を推理する。痕跡本なので、ひと山100円どころか、古本屋行きさえも検討されなくて、ブルドーザーがゴミとして処分する未来は、あえて見ない。私はスマホを手にする前は、本の終わりの奥付やカバーの裏に読んだ直後の感想を書くことが多かった。その後に「ワープロ」で清書すると、わりと良い書評がかけるからである。細かくびっしりと書いた痕跡本は、やがて私の蔵書が「◯◯文庫」として郷土の図書館に寄贈された後に、研究者の研究対象となる。やがて一冊の評伝にまとめられて‥‥いかん、妄想とはいえ書いていること自体が恥ずかしくなってきた。 これからは、ひと山百円のワゴンを見るのが楽しくなりそうだ。
2020年11月23日
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「声の網」星新一 角川文庫 13日昼過ぎ、ブクログのhotaruさんの本書のレビューを読んで、私はその10分後にはネットで本を注文し、次の日の夕方には本を手にしていた。読み終わったのが17日の午後。これは、私が未だアナログ人間だからそんなに遅くなったのであって、ホントは直ぐに電子書籍を買って、夕方まで音声朗読で聴いて、音声入力でその日のうちに感想を書くことも出来た。そうしたら、皆さんは早ければ13日のうちにこのレビューを読むことができただろう。これが2020年11月段階の技術力である。 ところが、今から50年前1970年に、未来で実現するほぼ凡ゆるネット技術を連作短編に描いた作家がいた。本の書評は紙でしか読めず、感銘を受けて読もうとすれば本屋に赴いて、無ければ注文し、数週間待たなければ手に入れることの出来ず、それを読んで書評を書けば掲載されるのは早くて2ヶ月後、たいていは3ヶ月後という時代に、である。 安部公房(『第四間氷期』)にしても、星新一にしても、彼らはタイムマシンで一回「未来」を垣間見ているのではないか、と穿ってしまう様な才能を見せている。それが描けた理由は、おそらく2つあるだろう。 ひとつはコンピューターの可能性をよく知っていた。ただ、それだけで未来の社会を生き生きとは描けない。 ひとつは人間に対する根本的な理解「教養」があったからだろうと思う。 この作品に関して言えば、 「ヒトは秘密を持たなければ生きていけない」 という理解である。「声の網」は、そのヒトの性質を使って、さまざまなことを仕掛ける。 もし、星新一の「洞察」がホンモノならば、ここで書かれていて、未だ現実化していないか、しつつあるものが有れば、私もこれから起きる未来を予測することができるかもしれない。本末転倒かもしれないけれど。 曰く。 ・オンライン診療では、希望家庭に「小型脳波測定器」が配られていて、それで測定値が即時医者に送られる。 ←1部実現しているか? ・evernoteみたいな「情報銀行」クラウドに蓄積された「記憶」をもとに「新アイデア」を考えてくれる。 ←ちなみにこの「秘密の倉庫」を、著者は「当人は貴重極まりないもののような気になっているが、内容はとるにたらない、くだらないもの」なんだよと、喝破している。 ・「情報銀行」の秘密データによって当人の「性格分析」も行う。 ←もしかして、既に何処かやってる? ・「情報銀行」によって、各銀行は密かにブラックリスト(お金使いの荒い人、賭博好きの人)の共有もしている。 ←おゝ怖! ・ワザと事件を起こして、それによって「ビッグデータ」がどのように変化するか、測定する。 ・あらゆるweb情報、通信情報を「傍受」「分析」して、あらかじめ反抗を予測し、それを未然に防ぐ。 ←未だ現実化していないことを切に願います。 なんか、私たちが気がついていないだけで、全部既に実現している気がしてきた。でも、そうなっていると物凄く恐ろしい。
2020年11月22日
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今月の映画評「ビリーブ 未来への大逆転」 ルース・ベイダー・ギンズバーグ(愛称RBG)。今年9月に最高裁判事のまま87歳で亡くなってしまいました。トランプは選挙を待たずに後任に保守派判事を指名して、のちのち問題となる人工妊娠中絶や移民政策を有利に進めようとしているとして国民の反発を買いました。死せるRGB、生ける米国選挙を走らす。現代米国女性権利拡張運動の代表者です。 その彼女が、一番最初に性差別の裁判で勝利した時のことを描いたのが、この作品です。え、ネタバレですって?でも題名からして既にネタバレじゃないですか。だから私も期待せずに観たのです。 そしたら、意外なことばかりでとてもドキドキしました。60年代当時、あのアメリカでさえ、女性はハーバード大学を首席で卒業しても弁護士になれなかったのです。ハーバード大学の法科大学院に進むことのできた女性はほんの9人のみ。学部長は女性弁護士は不要だと言わんばかりにバカにする。弁護士事務所へは「女性、母親、ユダヤ系」ということで就職できない。男性社会の前に、女性差別の裁判は必ず負けていました。 1970年、RGBはひょんなことから「未婚男性ということで介護の所得控除を受けれない」事例を知り、訴訟の準備を始めます。これが性差別撤廃の突破口になると思ったのです。 それでも男性の助力は得られないで、目の前にそびえ立つ壁は厚く高い。次から次へと困難がやってきます。理解ある夫の協力や、反抗期だった娘の助言のもと、さあて「未来への大逆転」は訪れるか、というお話です。 「未来」は、いくつかある選択肢を「ひとつひとつ闘いとって」選んだ結果の集まりなのだとわかります。ポスターは、男性ばかりがひとつの方向に向かっていますが、ひときわ小柄な赤い服をきた女性が反対方向を向いて胸を張っている写真です。「スターウォーズ」のスピンオフ「ローグ・ワン」で主演を勝ち取ったフェリシティ・ジョーンズが、今回も主役として見事に闘っています。現代の「#ME TOO運動」も歴史的に出るべくして出た運動なのだと思いました。そして、日本も変わらざるを得ない。なぜならば、「現実はとうの昔に変わっているのだから」。 (2018年米国ミミ・レダー監督作品 レンタル可能)
2020年11月21日
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最後の三作品。比較的佳作が多かった月でした。 「星の子」 後半研修旅行に行った本部の大きさから言えば、日本にある新興宗教の何番目かに数えられる規模だと思う。 毎日、カッパのような格好をして水を受け、会員価格で全ての飲み水をミネラルウォーターより高い水を買い、時々宗教用具を買って、おそらく両親は決して生活は破綻しないが、かなりの額をつぎ込んでいると思える。 よくある宗教家族である。それ以外は、普通の愛すべき家族であり、中学教師の暴言を「アイツ性格悪いね」と批判するぐらいの友達は持っている。中学3年生の女の子に寄り添う物語。 姉はそんな両親から5年前に飛び出している(おそらく15歳のころ)。15歳の主人公は、両親から自立は考えられない。本陣幹部の言動は、何を考えているのかわからない。ホントに自立しようとしたならば、世界とは何か、に自分の考えを持たなくてはならない。姉は反発だけで出たのかもしれない。けれども真面目な主人公にそれが可能とも思えない。もし出ようとしたならば、叔父さん家に入ることもできるという、選択肢は与えられているが、暫くはそのカードは切らないだろう。どうすればいいか。突発に終わる。 芦田愛菜さん本人はどう思うのか?きっと何人からも聞かれたと思う。でもおそらく答えないだろう。 神はいるか、どうか? 大人も、ほとんどの人は答えられないからだ。 研修の見た目は怪しさ満載ではあるが、違法ギリギリのところでやっている気がする。 どうすればいいのか? 本を読め! としか言えない。 ところで、冒頭の映画紹介は、8編ともに邦画だった。洋画の公開予定がほとんどない。これは歴史的な公開状況である。 STORY 父(永瀬正敏)と母(原田知世)から惜しみない愛情を注がれて育ってきた、中学3年生のちひろ(芦田愛菜)。両親は病弱だった幼少期の彼女の体を海路(高良健吾)と昇子(黒木華)が幹部を務める怪しげな宗教が治してくれたと信じて、深く信仰するようになっていた。ある日、ちひろは新任の教師・南(岡田将生)に心を奪われてしまう。思いを募らせる中、夜の公園で奇妙な儀式をする両親を南に目撃された上に、その心をさらに揺さぶる事件が起きる。 キャスト 芦田愛菜、岡田将生、大友康平、高良健吾、黒木華、蒔田彩珠、新音、池谷のぶえ、池内万作、宇野祥平、見上愛、赤澤巴菜乃、田村飛呂人、大谷麻衣、永瀬正敏、原田知世 スタッフ 監督・脚本:大森立嗣 原作:今村夏子 音楽:世武裕子 撮影:槇憲治 照明:水野研一 2020年10月25日 MOVIX倉敷 ★★★★ 「浅田家!」 泣き虫、小虫、浅田政志の物語。 「やがてプロの写真家として歩み始めるが、写真を撮ることの意味を模索するうちに撮れなくなってしまう。そんなとき、東日本大震災が発生する。」撮れなくなっていた、という描写は一切ない。この紹介文酷いな。 泣くこと4回。わざとらしい涙は一切なく、全て自然に、ほぼ全て事実なんだろうな、と想像できる範囲で、時々笑いを取りながら泣き笑い映画を作っていた。 家族って、いいな、と思う。 それだけの作品だけど、普遍性がある作品。 クライマックスに持っていた家族写真のエピソードよりも、途中に挟まれる三つほどの家族写真エピソードに感動した。 ところで、始まる前の予告編11篇全てが邦画だった。予告編の数、その内容ともに、もう2度と起きない珍事だと思う。 STORY 家族を被写体にした卒業制作が高評価を得た浅田政志(二宮和也)は、専門学校卒業後、さまざまな状況を設定して両親、兄と共にコスプレした姿を収めた家族写真を撮影した写真集「浅田家」を出版し、脚光を浴びる。やがてプロの写真家として歩み始めるが、写真を撮ることの意味を模索するうちに撮れなくなってしまう。そんなとき、東日本大震災が発生する。 キャスト 二宮和也、妻夫木聡、黒木華、菅田将暉、風吹ジュン、平田満、渡辺真起子、北村有起哉、野波麻帆 スタッフ 監督・脚本:中野量太 脚本:菅野友恵 企画・プロデュース:小川真司 原案:浅田政志 2020年10月27日 MOVIX倉敷 ★★★★ https://asadake.jp/sp/index.html 「朝が来る」 河瀬直美監督は、長撮りで台詞さえ決めずにドキュメンタリーのように撮るのが有名だった。けれども、「あん」から方針を撤回したのかもしれない。少なくとも、主要人物の台詞はキチンと決まっている。もちろん、準備段階で作中人物と同じ体験を長くさせる等の仕掛けはまだあるが、編集の妙もあってかなりサスペンスフルなつくりにもなっていた。 エンドロールを見てビックリした。 何処にも、役者以外の人が出ているという表示がない。 あの人も、あの人も、みんな演技だというのか? だとすれば、みんな無名の名優ばかりだ。 山下リオと同期の女の子で、誕生日ケーキで泣いた女の子の名前はどうなんだ?あれが演技というのか?説明会で出てきた朴訥な親子はどうなんだ? どうしてエンドロールで説明がないのか? かなりリアルな養子縁組の実態。 いろんなことがあるからこそ、 それへの条件は厳しい。 だからこそ、の子宝なのだ。 だからこその、人生なのだ。 もっとその先を知りたかったけど、でもあれで充分だと思う。 もちろん、蒔田彩珠は良かった。永作博美、井浦新も良かったけど、浅田美代子がまるで樹木希林が乗り移ったような枯れた演技をしていた。 見どころ ドラマ化もされた直木賞作家・辻村深月の小説を映画化。特別養子縁組で男児を迎えた夫婦と、子供を手放す幼い母親の葛藤と人生を描く。キャストは『八日目の蝉』などの永作博美をはじめ、井浦新、蒔田彩珠、浅田美代子ら。『殯(もがり)の森』などの河瀬直美監督がメガホンを取り、『凶悪』などの高橋泉が河瀬監督と共同で脚本を手掛けた。 あらすじ 子供に恵まれなかった栗原佐都子(永作博美)と夫の清和(井浦新)は、特別養子縁組の制度を通じて男児を家族に迎える。それから6年、朝斗と名付けた息子の成長を見守る夫妻は平穏な毎日を過ごしていた。ある日、朝斗の生みの母親で片倉ひかりと名乗る女性(蒔田彩珠)から「子供を返してほしい」という電話がかかってくる。 キャスト 永作博美(栗原佐都子) 井浦新(栗原清和) 蒔田彩珠(片倉ひかり) 浅田美代子(浅見静恵) 田中偉登(麻生巧) 佐藤令旺(栗原朝斗) 中島ひろ子(片倉貴子) 平原テツ(片倉勝) 駒井蓮(片倉美咲) 山下リオ 森田想 堀内正美 山本浩司 三浦誠己 池津祥子 若葉竜也 青木崇高 利重剛(浜野剛) スタッフ 原作 辻村深月 監督・脚本 河瀬直美 共同脚本 高橋泉 音楽 小瀬村晶 An Ton That 主題歌 C&K 製作総指揮 木下直哉 プロデューサー 武部由実子 撮影 月永雄太 榊原直記 照明 太田康裕 録音 森英司 録音・サウンドデザイナー ロマン・ディムニー 美術 塩川節子 編集 ティナ・バス 渋谷陽一 スタイリスト 小林身和子 アメイク 小泉尚子 ラインプロデューサー 齋藤寛朗 制作担当 小野山哲史 助監督 甲斐聖太郎 2020年10月29日 TOHOシネマズ岡南 ★★★★ http://asagakuru-movie.jp/
2020年11月20日
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「82年生まれ、キム・ジヨン」 映画版は、現代パートが半分以上を占め、コン・ユ演じる夫が、ともすると妻を思おやり助け支える理想的な夫のように描かれていた。映画だけ観た人は、何故キム・ジヨンが「憑依」に陥ったか何割かは理解できないかもしれない。しかし、彼女と結婚した経緯や、子供ができて退職した経緯で、夫が必ずしも味方ではなかったことは容易に想像できるわけで、彼があんなにも一生懸命だったのは、病気が発症したからだという穿った見方もできるのである。 クライマックスを祖母に憑依したジヨンと母親との対面場面に持っていき、さらには原作では反論出来なかった「ママ虫」という韓国独特の子持ち貶めの場面を持っていくことで、鑑賞者にスカッとさせる脚本に切り替えている。更には、医者の病状報告という体裁だった原作を作り替え、ラスト場面を希望あるものに変えた。これが映画作法だろう。 見終わった時に、なんとか泣かせて前に向かせる。その作法はスッキリはしないけど、悪くはない。ただし、ジヨンの中学時代や大学、就活時代のエピソードは全部抜かせて、説得力はなくした。鑑賞者が試されている。そんな作品である。 STORY 結婚を機に仕事を辞めたジヨン(チョン・ユミ)は育児と家事に忙殺され、時に閉じ込められているような感覚に陥ることがあった。ある日、ジヨンは他人が乗り移ったかのような言動をするようになり、さらにその時の記憶は全くなくなっていた。夫のデヒョン(コン・ユ)はジヨンにその真実を告げることができずにいた。 キャスト チョン・ユミ、コン・ユ、キム・ミギョン、コン・ミンジョン、キム・ソンチョル、イ・オル、リュ・アヨン、イ・ボンリョン スタッフ 監督:キム・ドヨン 脚本:ユ・ヨンア 原作:チョ・ナムジュ 撮影:イ・ソンジェ 2020年10月13日 MOVIX倉敷 ★★★★ 「スペシャルズ 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話」 「パブリック 図書館の奇跡」みたいに運営者と利用者がタッグを組んで、何かやらかす物語かと思いきや、原則彼らは何もしません。 それに「笑いと涙で」という煽り文句も、ビンとこないで、「笑い」ってあの下ネタのことならば、ちょっとフランスジョークはわからないと言っておきましょう。 それでも良かった。 自閉症を真正面からリアルに扱い、毎日が戦争の日々を、よくまあ描いたと思う。 見どころ 『最強のふたり』などのエリック・トレダノとオリヴィエ・ナカシュの監督コンビが、社会からはじき出された子供たちを救った男性たちの実話を映画化。ドロップアウトした若者たちが自閉症の子供たちを世話する施設に携わる二人が、閉鎖の危機に追い込まれながらも奮闘する。施設の代表を『ゴーギャン タヒチ、楽園への旅』などのヴァンサン・カッセル、共に働く友人を『永遠のジャンゴ』などのレダ・カテブが演じる。 あらすじ 「正義の声」はほかの施設で見放された子供たちも受け入れる自閉症ケア施設。ブリュノ(ヴァンサン・カッセル)が経営し、友人のマリク(レダ・カテブ)がそこで働くドロップアウトした若者たちを教育している。ある日、当局の監査が入り、無認可で赤字経営となっていた正義の声は閉鎖を迫られる。さらには、重度の自閉症があるヴァランタンが失踪してしまう。 2020年10月18日 シネマ・クレール ★★★★ 「空に住む」 両親が交通事故で死んだ後、おじさんの計らいで空の上のような部屋に住む。 「雲のような」直美は、「心があるのに嘘をつく」ような「捉え所のない」娘ではあるが、そんな女性はわりといるだろう。 スターと寝たり、主人公として可愛い顔をしていたり、直ぐにハルとのお別れが来たり、映画的な仕掛けはあるが、淡々と日常が続く。 人と人との関係は猫のように15年間じゃない。一生続く。当たり前のことに向き合う。そんないかにも文学っぽい内容を文学っぽく映画化。絶対ヒットしない。よく映画化できたなあ、と思う。 ある意味とっても青山真治っぽい作品だった。 原作では、おそらく主人公の呟きで埋められているのだろう。 「人はずっと誰かとの関連で 生きていかなくてはならないけど それは交わることはない、 でもその平行線が宇宙のずっと先まで行けば 交わることはある」 猫とは話ができない 両親とも話ができなかった でも、その話を聞いて直美は初めて涙する 号泣ではないところが、 青山真治のリアルなのだろう 松本憲人(1969-2020)って誰? 照明の人でした。8月急逝。 STORY 両親が急死した現実を受け止めきれない直実(多部未華子)は、叔父夫婦が用意してくれた都心の高層マンションで、長年の相棒である黒猫ハルと暮らすことになる。喪失感を抱えたまま日々を過ごしていたが、同じマンションに住むスター俳優・時戸森則(岩田剛典)と出会ったことで彼女の運命は一変。彼と逢瀬を重ねながら、直実は仕事や人生、そして愛について思いを巡らす。 キャスト 多部未華子、岸井ゆきの、美村里江、岩田剛典、鶴見辰吾、岩下尚史、高橋洋、大森南朋、永瀬正敏、柄本明 スタッフ 監督・脚本:青山真治 脚本:池田千尋 原作:小竹正人 2020年10月24日 MOVIX倉敷 ★★★★ https://soranisumu.jp/
2020年11月18日
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10月に観た映画は九作品でした。3回に分けて紹介します。 「ミッドナイトスワン」 LGBT告発映画かと思いきや、普通の映画ならばクライマックスに持ってくるいくつかの場面を、さらっと一瞬で済ませて一挙に数年間を描く。 いつのまにか、1人の少女の成長物語に構造を変えているという、確信犯的なエンタメ映画だった。 服部樹咲が、最初から途中まで、単なる中学生にしか見えなかった。決して演技は上手くない、というか下手、しかし、その存在感とバレエの演技だけで、見るべき映画にした。内田英治監督恐るべし。 STORY 新宿のニューハーフショークラブのステージに立っては金を稼ぐトランスジェンダーの凪沙(草なぎ剛)は、養育費を当て込んで育児放棄された少女・一果を預かる。セクシャルマイノリティーとして生きてきた凪沙は、社会の片隅に追いやられる毎日を送ってきた一果と接するうちに、今まで抱いたことのない感情が生まれていることに気付く。 キャスト 草なぎ剛、服部樹咲、田中俊介、吉村界人、真田怜臣、上野鈴華、佐藤江梨子、平山祐介、根岸季衣、水川あさみ、田口トモロヲ、真飛聖 スタッフ 企画・監督・脚本・原作:内田英治 音楽:渋谷慶一郎 2020年10月2日 MOVIX倉敷 ★★★★ 「オフシャル・シークレット」 2003年2月から3月にかけて、全世界は歴史上初めて一つの反戦のためにひとつにまとまった。日本も非常に不十分だったが全国的にデモや集会が開かれた。岡山もそうだった。忘れてはいけない。 そんな時に、就職時にはそんな組織とは思わなかった英国の諜報組織(GCHQ)員20代のキャサリン・ガンは、米国が戦争を始めるために各国の違法な盗撮をしようとしているメールを見る。これは驚くことにGHGQ全員が見ることができたが、法律によってリークは違法になる。 キャサリンは、かなり悩んだ末にある手段を頼ってこれをマスコミにリークする。数週間後にやっとマスコミに出たが、3月20日イラク侵攻は強行された。GHGQ内での犯人探しが始まり、キャサリンは自ら名乗り出るが、悪いことをしたとは思っていなかった。 「貴女は国を裏切り、国益を犯したのよ(正確ではありませんがこんな意味のことを言われて刑事に詰られる)」 「いえ、わたしは政府に仕えているのではない。国民に仕えている。間違った戦争をして不利益を被るのは国民だから、私は間違っていない」 そう堂々と言うキャサリンが眩しくて仕方ない。 キャサリンは有罪を認めて情状酌量を求める方法もあった(半年の服役と予想)。しかし、そうなると前科がつくと言ってキャサリンは闘う決心をする。弁護士団も国を相手に、圧倒的に不利だと予想される裁判の準備をする。起訴されれば、国を負かすのは一つしか手段はない。イラク戦争が間違っていることを証明すること。2004年段階では、非常に厳しい、政府高官に出頭させて真実を喋らせるしか手はなかった。 キャサリンは、1人孤独に裁判所の階段を上がる。とこ、が、裁判では逆転する。 内部告発は違法ではあるが、公務員は政府に仕えているのではなく、政府に間違いを犯さないように国民に仕えている。その信念を若いキャサリンが持ち、弁護士団だサポートし、国が負けを認める。 翻って日本はどうか?その反対のことが、この数年間で文字通り起きたのではなかったか?マスコミはそれを明らかに出来なかった。国は居直った。官僚は忖度し、黙り、嘘をついた。なんという国なのか!この映画は、イラク戦争への国民の不信感をベースに作られている。不信感を持つだけ正常なのだ。少なくとも日本よりは。 (解説) 2003年イラク開戦前夜、 英米政府を揺るがせた告発記事。 その記事は 英国女性諜報職員のリークだった。 実話に基づく 政府VS告発者のポリティカル・サスペンス。 2001年9月11日、同時多発テロ事件が発生して以降、米国政府はテロへの報復感情からフセイン大統領が大量破壊兵器を開発していると喧伝し、イラク戦争開戦に向けあらゆる手段を講じていた。米国と共同歩調を取る英国の諜報機関GCHQ(政府通信本部)に勤務するキャサリン・ガンはある日、米国の諜報機関NSA(国家安全保障局)から、驚くべきメールを受け取る。イラクを攻撃するための違法な工作活動を促すそのメールに彼女は強い憤りを感じ、メールをマスコミにリークする。しかし、彼女の危険な賭けも虚しく、イラク戦争は開戦し、キャサリンは公務秘密法違反で起訴された。 ところが、裁判の土壇場で、誰もが予想もしなかった驚きの展開となる。政府職員のキャサリンをリークに突き動かした感情は何だったのか? ひとりの女性の告発が多くの勇気と行動を生み出した現象は、いまなお現代社会への警鐘となり続ける。社会派作品を世に送り続けるギャヴィン・フッド監督が、後にキャサリン・ガン事件として大きな政治問題となった実話をそれぞれの当事者の立場から描き、サスペンスタッチで心揺さぶる人間ドラマに仕上げた。 キャサリン・ガンについて 1974年、イギリス生まれ。 台湾で育つ。日本へ留学。広島で英語を教えていた時に原爆の恐ろしさを知る。言語学者としての就職が難しく、たまたまGCHQ(英政府通信本部)の新聞広告を見て応募する。翻訳分析官として勤務していたが、2003年2月GCHQに送られてきたメールの内容をリークした罪で解雇される。国家機密を漏洩した疑いで一時は逮捕されるが、2004年2月に起訴取り下げとなる。2003年、サム・アダムス賞受賞。この賞は毎年誠実さと倫理を擁護した情報専門家に授与される。ベトナム戦争中のCIA内部告発者であるサミュエル・A・アダムスにちなんで名づけられた。現在は夫の出身地トルコとイギリスを拠点としている。 2020年10月6日 シネマ・クレール ★★★★ 「はりぼて」 かつてわたしは優れたドキュメンタリーの条件を3点指摘した。 (1)それまでの常識をくつがえす事実が提示できていること (2)フィルムの中で、想定外の映像が撮れていること (3)監督の明確な主張があること。コレだと思います。 この映画は(1)(2)についての映像に溢れている。 事実を指摘されて、最初市議はすっとぼける。 やがて記者会見を開いてなんらかの進退を決める。 ポロリと本音を喋る。市長は一貫して無責任を決め込む。市議は忖度し、慣習から当然だと思い、昔の話は責任ない、或いは情で見逃してくれという。ここにミニ日本がある。 しかし、マスコミの責任を言って退職した五百旗頭幸男の言葉は映像の中で宙に浮いている。(3)がない。正に、このままだと、出てくるのは「政治不信」だけでしかない。実際選挙は、かつてない投票率だったらしい。ミニ日本というべき、政治構造を明らかにして、何処にメスを入れるべきか、そこまで展望を明らかにしてやっとこのドキュメンタリーが公開されなければならない。 このままだと公開しないほうが良かった。 (解説) 有権者に占める自民党員の割合が10年連続日本一である保守王国、富山県。2016年8月、平成に開局した若いローカル局「チューリップテレビ」のニュース番組が「自民党会派の富山市議 政務活動費事実と異なる報告」とスクープ報道をした。この市議は「富山市議会のドン」といわれていた自民党の重鎮で、その後、自らの不正を認め議員辞職。 これを皮切りに議員たちの不正が次々と発覚し、半年の間に14人の議員が辞職していった。その反省をもとに、富山市議会は政務活動費の使い方について「全国一厳しい」といわれる条例を制定したが、3年半が経過した2020年、不正が発覚しても議員たちは辞職せず居座るようになっていった。記者たちは議員たちを取材するにつれ、政治家の非常識な姿や人間味のある滑稽さ、「はりぼて」を目のあたりにしていく。しかし、「はりぼて」は記者たちのそばにもあった。 本作は、テレビ番組放送後の議会のさらなる腐敗と議員たちの開き直りともいえるその後を追った政治ドキュメンタリー。 あっけなく辞職する議員たちの滑稽な振る舞いは、観る者の笑いを誘わずにいられない。追及する記者を含めた私たちは、腐敗した議会や議員たちを笑うことしかできないのだろうか。果たして「はりぼて」は誰なのか?地方からこの国のあり方を問うドキュメンタリーが誕生した! 監督の言葉 五百旗頭幸男 いおきべ ゆきお 兵庫県生まれ。スポーツ記者や警察担当などの記者経験を積み、2016年から2020年3月まで夕方のニュース番組キャスターを兼務。見た目は穏やかだが、舌鋒鋭く、これまで数々の社会問題について不正を追及してきた。趣味は休日に子どもとスキーに行くこと。 かつて、議会をチェックし不正を暴き続けた私たちメディアは、期せずしてその姿を見失いました。 不正が発覚しても、責任を取らなくなった市議たち。彼らにぶつけた厳しい言葉の数々が宙をさまよい、無力感となって戻ってきました。「はりぼて」があぶり出すのは、議会と当局の姿だけではありません。それらを許し、受け入れてきたメディアと市民を含む、4年間の実相です。 私が退職を告げたシーンをめぐっては、制作陣で数日間の議論になりました。口を挟まず結論を委ねました。 「自分たちのかっこいい姿だけを描いても信頼は得られない。それこそ、はりぼてだ」 「弱さを隠さずに見せることは強さを示すことでもあり、再生につながる」 信頼を寄せる人たちを傷つけ、彼らの覚悟と信念に背中を押され、この映画は生まれました。胸に広がった鈍い痛みは消えそうにありません。「はりぼて」の矛先は、実は自分自身にも向けられていたのです。 五百旗頭幸男 砂沢智史 すなざわ さとし 富山県生まれ。営業や編成のデスク勤務を経て2015年春から報道記者に。まじめで素直でとにかくしつこい。コンピューターに精通し、数字にめっぽう強い。変化球が投げられず、取材も人付き合いも常に直球勝負する。趣味はバスケットボール。 富山市議会の不正問題は発覚から4年が過ぎました。 辞職した市議は裁判をへて、新たな人生をスタートしています。 そんな中、今これを映画として世に出し、彼らの過去を掘り返すことは許されるのか? その悩みは今も抱えています。 富山県は全国一の自民党王国。県内の市町村議会や県議会においては自民党単独での議案の可決が可能で、その勢力は圧倒的です。それは、「1強他弱」と呼ばれる国政を表す縮図と言えます。 「はりぼて」で描いたのは「人間の弱さ」です。絶大な権力を振るった市議会の「ドン」は、辞職後に自らの不正を告白します。「遊ぶ金が欲しかった」その告白は生々しいものでした。 高い志を持って政治家になっても、組織の論理に押し流されてしまう現実もある。市民から見られている緊張感がなければ心は緩み、甘えや驕りを生む。 地方議会への関心を高め、市民生活の向上につなげたい。 この映画がそのきっかけになればと願っています。 砂沢 智史 2020年10月8日 シネマ・クレール ★★★
2020年11月17日
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「松本清張傑作短編集(上)」文春文庫 宮部みゆき責任編集 古本を紐解いた。先月、朝井まかて「類」を読んでいると、森鴎外の末子の類が昭和26年に母親が箪笥の中に仕舞い込んでいた鴎外の「小倉日記」を発見するくだりがある。その後、松本清張が「或る「小倉日記」伝」で芥川賞を獲ったことを知った時に、類は「どうして私はこのことを小説にしなかったのだろう」と悔やむのである。それで途端にこの清張出世作を再読したくなった。 改めて、純文学であると思った。後のエンタメ作家としての欲望を克己心で押さえ込み、宮部みゆきも云う様に、誰に認められなくとも「自分自身の拠り所」を明らかにせざるを得なかったおのれを、容貌劣るが賢かった田上耕作に託して描き切っている。正直、類に勝ち目はなかった。 今回の収穫は幾つかあるが、一つは途中挫折していた「削除の復元」を読み切ったことである。松本清張のもう一つの「或る小倉日記伝」である。出世作から39年後の晩年になって書かれている。内容をほとんど覚えていなかったのは、あまりにも細かいところを調査するの清張の分身たる2人の主人公に辟易したからだと思う。しかし、後半になって本作は俄然面白くなっていたのだ。「果たして小倉時代、森鴎外宅の辞めた女中の元は、鴎外の隠し子を産んでいたのか」ということを、何処から事実なのか不明なぐらい非常な詳細さでもって記している。結論は出していない。ただし、知的サスペンスになっていて、円熟したエンタメ作品だった。のちに機会あれば、研究本を紐解きたいとは思うのだけど、現在の感想を言えば、私もひとつ小説内で語られていること以外で「小倉日記」に疑問がある。森鴎外の妻志げは、おそらくわざと箪笥の奥深く、所在不確かになっていた「小倉日記」を隠したのだと思う。それか、森鴎外自身か?どちらにせよ、日記の存在は知られていたのだから、隠す理由が見つからない。だとすれば、やはり「怪しい想像」をしてしまうのである。 宮部みゆきがひとつひとつの作品を前口上で解説している。とっても楽しそうだ。好きな作家のアンソロジーを、こんなにも尺を取って編むことは、ファン冥利に尽きるんだろうと思う。私ならばどんな作家の短編アンソロジーを編みたいだろうか。やはり「藤沢周平」だろうな。最近発掘されたデビュー前の短編、句作、そして次第と変わってゆく作風を順番に並べたら楽しいだろうな、などと妄想してしまった。
2020年11月16日
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「まじないの文化史」新潟県立博物館監修 河出書房新社 「呪い」と書いて「のろい」とも「まじない」とも読む。奈良時代から現代までの様々な「呪い」の遺物解説を中心に、ビジュアルで紐解く「呪術」の曼荼羅本である。新潟県立博物館企画展の図録を「のろい」の部分を充実させて書籍化(呪い(のろい)は展示には不向きだったかららしい)。 この本ではやはり出てこなかったが、縄文・弥生時代にも、おそらく同じ概念の「呪い(まじない)遺物」がある。吉備地域を中心に広く出土している分銅型土製品というもの。初期には模様、後期には赤ちゃんのような顔が描かれていて、分銅のような形の真ん中からポキッと折れた形で出土する。そうやって赤ちゃんの早逝を予防していたのかもしれない。人形(ひとかた)や人面墨書土器は、低湿地や溝跡から出土することが多いらしい。川や水に流して、災いを取り除く呪い(まじない)が行われた可能性が高いと思う。雛流しも同じ思想だろう。(京都府向日市文化資料館には、長岡京跡地から出土した人形、墨書土器、ミニチュア竈門、土馬などがあった) 呪い(のろい)に関しては、一章を設けて文献に現れた「事件」をたくさん紹介している。現代では「呪いによる殺人」は成立しないが、養老律令(757年成立)では禁じているのだから、成立もしている。「厭魅蠱毒(えんみこどく)」と言われ、蠱毒は毒殺だからのろいとは言い切れないが、厭魅は予備や未遂であっても罰される。現代でいう共謀罪よりもタチが悪い。結果的に政敵追い落としのための手段として使われることが多かった。具体的方法については不明だが養老律令の中の「賊盗律」には「符書を作って呪詛を行う」とあり何らかの文字や記号の書かれたお札を用いていたと考えられる。これにより「事件」が起きていたのは確かなのではあるが、具体的殺害方法などは「説話」などにしかなくて、客観的証拠に弱いのが実情だろう。陰陽師なども、必要に応じて大活躍していたようだ。 本書は今年2月後書き、5月の発刊ではあるが、図らずも「アマビエ」の記述もある(1846年肥後国での言い伝え)。アマビエとまるきり同じ話なのに、何故か今年流行らなかった「亀女」の話の方を、本書は詳しく紹介している。‥‥寛文9年(1669年)佐渡の海から現れた亀女が「5年の間豊作だが、悪風邪のために多くの人が死ぬ。しかし我が姿を描いて見せれば難を免れるぞ」として福島潟に現れた姿を描いて家内において朝夕に見たら悪病を避けることが出来たそうだ。亀女だと異様だから、アマビエが採用されたのか?今からでも亀女をプロデュースするべきではないか? 少し似通っているもので、「蘇民将来と茅の輪」信仰がある。一夜の宿を求めた者(神)に親切にした兄(蘇民将来)と、神の言う通り茅の輪を腰につけた妹が難を逃れたらしい。そこから、自ら「蘇民将来の子孫」を唱え茅の輪を持てば疫病を逃れることになった。蘇民将来とは人の名前だったのである。これが8世紀後半を最古にして、やがて「蘇民将来のお札」「茅の輪を潜る夏のお祓い」そして祇園祭に京都の玄関戸につけられる「厄除け粽」に変化している。これらは現代にも綿々と続いている。そう言う意味では、七夕の短冊や絵馬も現代では生き生きと息づいてる。因みに先日京都吉田神社で引いた御神籤は「吉」でした!
2020年11月15日
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「梁塵秘抄」後白河法皇編纂 川村湊訳 光文社古典新訳文庫 あなたの 約束 忘れない 信じて 信じて 待っている あなたの 名前を呼ぶだけで ほんとの 幸せ やってくる 誰が歌っている演歌だろうか?いや、そうじゃない。今から900年ほど前、京の都を中心に流行した「今様」という歌謡の歌詞を川村湊さんが今様に訳したものです。 本歌はこうです。 阿弥陀仏の誓願ぞ 返す返すも頼もしき ひとたび御名を称うれば 仏になるとぞ説い給う 大嘘じゃないか!百歩ゆずって意訳のし過ぎじゃないか!と思うだろうか?私はそうは思わない。当時、庶民にとっては阿弥陀仏は単なる仏様ではなかった。仏像や歌い手は時にはアイドルそのものだった(参考 五木寛之「親鸞」)。庶民がこの歌を歌うとき、おそらく意味合いは上の歌詞そのものだった、と私は思う。 それにしても素晴らしい訳業だと思う。そのまま、誰か曲をつけて売り出して貰いたいものだと本気で思う。もちろん出来不出来はあります。 また、今から900年前に、既に庶民の間では歌謡曲の条件が揃っていたということが、生き生きとわかる素晴らしい「古典」だと思う。ここでの訳業は全体の1/5も無い。また、歌謡曲だけでなくて、「前口上」「ピン芸人」「風刺」「阿保芸」等々、凡ゆる娯楽の素地が生まれている可能性がある。しかも「梁塵秘抄」はたまたま近代に見つかったもので、全体の一部に過ぎないらしい。ホントの全体像は未だ謎なのです。後白河法皇が、まるで憑かれたようにカラオケボックスに籠っていたのがわかる気がする。録音機が無いのを法皇は残念がっていたが、せめて歌詞だけでも纏めてみたいと思い、精力傾けて編纂したのもわかる気がする。おそらく居たはずのスーパースターの歌声と曲調は如何なものだったのだろうか?庶民文化史の燦然と輝く裾野を見せ、想像させる面白い訳業でした。
2020年11月14日
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京都旅3日目の3話目にして、最後のレポート。 五塚原古墳は、なんと台風で通行止になっていた。残念。諦める。 そこから元稲荷を目指す途中、桜の園の道に出会う。写真はその一部だが、説明を読んで欲しい。素晴らしいところだと思う。桜の季節に来たいけど、無理だろうなぁ。 元稲荷古墳。向日丘陵の先端に位置する古墳時代前期の乙訓地域で最初に築かれた全長92mの全国的にも数少ない前方後方墳。なんと、特殊器台型埴輪や壺型埴輪などが出ている。3世紀の築造だと予想されている。 登るとものすごく高い。木々はなかったら、伏見まで見えていたらしい。 そこから隣に向日神社がある。奈良時代、718年創建と伝えられている。1422年上棟された本殿は三間社流造で国の重要文化財。 その隣に北山遺跡がある。 弥生時代の高地性集落で方形周溝墓もある。天文館を作る時に発見された。 そこからの眺めが最も素晴らしい!パラノマ式にご想像ください。ニ枚目遠くに見える山は、天下分け目の天王山。山崎の戦いの場だと思う。 長岡京跡の太極殿、小安殿跡に行く。 更には朝堂院跡に行き、そこで昼食の場を聞く。少し遠回りだけど、キッチンタロウを教えてもらう。流石地元の人だ。美味しかった。800円。 西国街道に入ると、古い建物があった。 その家の右手に折り畳み式の縁台がある。これは、前回でも見たが、この地域でしか見たことがない。 また、いかにも京都らしい屋根の形。 愛宕山式灯籠が至る所にあった。火事を防ぐ願いを込めた灯籠らしい。 森本遺跡。 向陽小学校庭にある。職員室への声かけがめんどくさくて、遠くから眺めただけ。 実物は向日文化資料館にあったが、極めて珍しい人面付き壺型土器が出土した。祭祀に使われたと予測されている。弥生時代にしては、あまりにも表情がある。良いのか? 人面土器は後期(紀元前後)の水路から発見された。森本遺跡の人々は、住居を台地に集め、耕作地を低湿地だけでなくやや乾燥した半湿田へも拡大したので、米の収穫量は大変増加したらしい。対策として用水路を作り、そのための矢板は一万本以上用意したという。水路で人面土器が発見されたということは、悪魔をはらい豊作を祈念する祭祀をしていたのか? 弥生時代の遺跡地図。正に長岡京に被るように、延々と弥生時代の遺跡がある。この辺りは、弥生都市とも言って良いほどの人口密度だったのではないか?そうやって、やがて数百年後のに都に選ばれたのである。ここで、今回の旅は終わる。 歩数は2万9千歩を超えた。
2020年11月13日
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向井市文化資料館の展示を、後々写真を見ながら「そうだったのか!」と感心しながら見ている。少し詳しく載せる。 交通の結節点である、この地域でさまざまな「乱」があったことは想像に難くないだろう。 弥生中期の下植野南遺跡の方形周溝墓において、武器制石器が多数出土している。 神足遺跡と硲(はざま)遺跡も中期から後期にかけて発達する。 年表と弥生遺跡地図を見ていると、今回踏破したのは、地図の真ん中辺り、ほんの一部であるとわかる。森本遺跡から稲元古墳にかけてのぐるっと回った辺りである。 南の雲宮遺跡辺りからは、青銅器製作の遺物も出土している。 森本遺跡出土の丸木弓の解説が面白い。坂下克美氏所蔵の弓らしい。他の出土品は直ぐに腐ったのに、素人の坂下さんは丁寧に扱い残ったそうだ。それを正直に書いている。さぞかし本人も本望だろう。 鉄製品も比較的早い時期に使われ始めたようだ。 ちょうど特別展示「乙訓古墳群出現前夜」をやっていて、今日のテーマにぴったり。しかも2日前に行った山城の遺物がたくさん展示され比較されていて勉強になった。 長岡京の展示も充実している。 長岡京から出土した「呪い」土器の数々。 古墳巡りの行き方を尋ねたら親切に教えてくれた。諦めていた寺戸大塚古墳も15分で行けるとわかり行くことにした。行けてよかった。その途中にある、桓武天皇皇后陵。 長岡京を築いた桓武天皇の皇后・藤原乙牟漏の墓らしい。まだわりと大きい。直径70m、高さ7mの円墳。 そこから竹の小径が整備されている。 途中に寺戸大塚古墳がある。古墳時代前期。全長95mの前方後円墳。後円部は54m。 後円部から三角縁獣神鏡、勾玉、菅玉、刀剣や農工具が出ている。前方部からは円筒埴輪や朝顔型埴輪が出ている。 元きた道を戻る。途中の見晴らしいいところから、五塚原古墳や元稲荷古墳がある鎮守森がよく見える。あのように、山上の飛び出た見晴らしのいいところに前期古墳は作られる。つまり、その時までは古墳は「純粋にひとつの共同体を守るため、見守るための役割」があり、共同体だけがその場所を知っていればよかった。もちろん旅人もその山を仰いで「素晴らしいですね」ぐらいは言ったかもしれない。その後物集女(もずめ)車塚古墳のように平地に場が移る。その時は、既に古墳は共同体だけのものではなく、遠くからやってきて遠くへ伝える旅人にこの国の姿を伝えるシンボルマーク的な役割をになっていただろう。よって、ある程度の大きさ高さが必要とされた。 また、資料館で買った「向日丘陵の前期古墳」を見ると、都出比呂志の説が全面に書かれていて、元稲荷古墳と寺戸大塚、五塚原古墳は、ひとつの系譜の元に作られており、それは箸墓古墳系譜とでも言うべき大和政権と対応しているらしい。やがて乙訓古墳群は長岡系譜にうつり、それは応神天皇陵に連なるところと対応する。そして物集女車塚古墳は継体天皇に対応するらしい。地方豪族と天皇の関係は、ここではそんな風に盛り上がっている。吉備では、また別の風が吹いていることだろう。
2020年11月12日
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京都旅最後。なんやかんやあって3回に分けます!ホテルから見た烏丸の屋根波。 2020年11月3日(火)晴れ 朝のモーニング。8時20分出発。 ある所へ行くために駅まで歩く。何か発見あるかな。 西本願寺前の亀屋陸奥という菓子店に着く。9時前でもちゃんと開いていた。「京都深ぼりさんぽ」に書いていた「切り落とし入り松風徳用袋」を買うためだ。 これのお得用(端片を集める)である。1000円より250円安い。松風は、織田信長と戦った石山本願寺の兵士のために、お店の3代目が兵糧代わりにと考え出したモノらしい。ということは高カロリーなのか。1人じゃ食べられないな。(←家に帰って4回ぐらいに分けて食べている。何故かほとんど切り落とし部分はまずなくて、完成品ばかり。ホントお買い得です!カステラと固菓子の中間、もちもちっとした食感がクセになる) 駅前にある道祖神神社。仲睦まじい彫刻が目印。 京都タワー。顧みるに、こんな朝の天気良い日にタワーを写すのは初めてかも。 京都駅で情報集めて、向日駅に行く。辛い料理で町おこしをしている。 洛外のこんなところでもお地蔵様信仰は続いている。花もお供えも新しい。かえって、盛んな感じさえする。 そのあと歩いていると、祠とは言えないほと、集合お地蔵様があった。 お地蔵様信仰は、此処まで真剣に祀る風習は岡山にはない。関西には多い。何が違うのだろうか。 物集女(もずめ)車塚古墳にたどり着いた。全長43-48mの古墳時代後期の前方後円墳。 築造期に作られた排水溝が、未だ現役で役に立っている。古代人の丁寧で知恵のある仕事である。これを見て以前来たことを思い出した!そうだ、あの時は桂川駅から歩いて、ここから北を踏破したのだ。今回は、ここから南を回る。 後円部に残っている杉の木は、淳和天皇時のものらしい。 横穴式石棺。きちんと発掘している。金銅製の馬具や冠、太刀などが出土。継体天皇に仕えていた有力者の墓だと言われている。 後円部に登ってみた。高い。そして眺めが素晴らしい! 今日は乙訓古墳群という、向日市にある主な古墳を巡ったのであるが、3世紀から始まり物集女車塚古墳の6世紀に終わる、古墳時代の変遷図を巡ったことになった。車塚から南に歩いて行く途中、右手に竹林が見える。あそこにあるのが4世紀の寺戸大塚古墳なんだなと思った。 向日市文化資料館にたどり着く。結果的に、この資料館が今回の旅で1番まともな博物館だった。何度もいうが、「資料館」とか、名前に惑わされてはいけない。 この後に行く元稲荷古墳の石棺蓋が展示されていた。 これは旧石器時代の上野遺跡の遺物展示。最近の発掘の成果らしい。
2020年11月11日
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千本中立売ぶらぶらをする。そこの停車場でとにかく降りる。 いったい何処なのか。この通りなのか? どう見ても此処は夜の街だ。おゝいかにもという店。 極楽湯という家の佇まい。 地図アプリ見てもピンとこないけど、とりあえずおばあちゃんに千本中立売商店街の場所を聞く。名前は違うけど、コレらしい。 うーむ、古い佇まいだけど、そんなに面白いところはない。 出雲阿国関連の土地はたくさんあるけど、此処にもあった。 それよりも同じところが、宮本武蔵吉岡一門との決闘場だったこと。おゝこの辺りか! この喫茶店がなんとも昭和の佇まいで、ランチを800円というので、入ることにした。 おゝ中も素晴らしい。お客さんがいないのも良い。 ランチが予想に反して素晴らしかった。完全京都のお昼ご飯だった。炊き込みご飯にニュー麺、そしておばんざい小皿二つ。お水を入れたコップも素晴らしい。 この後、なんとなく此処が怪しいと細い路地に入ってゆく。当たった。昔の遊郭の匂いがする。そしたら聞いたような店構えがあった。「江畑」。 コレは「京都深掘りさんぽ」じゃない。その前に読んだ「遊郭に泊まる」に載っていた、元遊郭の焼肉屋さんだ。当たりだ。この辺りが映画「五番町夕霧楼」の舞台だ。 この店の構えには、まだまだ遊郭の名残りがある。 まだ店を開けていない。けれども、暖簾越しに中を少し写させてもらった。あの本には、この奥に座敷牢のや名残りがあるらしい。この店は四番町ではあるが、では周りはどうなっているんだろ。 「さんぽ」にも載っていた千本日活もちゃんとあった。今でも現役だ。それだけで凄い。 しかも安い。 そして五番町を物色すると、明らかに遊郭名残りの「意匠」があった。 遊女或いは弁天様の鏝絵に鍾馗?の鏝絵。どういう願いがかけられて、どういう想いで見られてきたのか? こういうディープな千ブラが出来た一方で、ホテルに帰って「深掘りさんぽ」を見れば、「嗚呼!あそこも面白そうだったのに!」という店が山ほどあった(例えば、千ぶら内の古本屋さん、様々な謎の店、京都伝統産業ミュージアム)。これだけで午後が潰れた筈だ。でも、もう行けない。旅とは、たいていはこういうモノなのだ。 雨も降っているし、トイレも近くなったし、京都のローソンでは「トイレは使わせない」と言われたし、ホテルに帰ることにした。バスで四条烏丸に降りる。急いでマクドに寄ってトイレ休憩を済まして、ホテル前に来ると、「京都芸術センター」という博物館らしきモノが、なんと月曜日なのに開いていた。 中にはいると、若い芸術家たちがなんかワークショップをしていたり、相談会をしていたり、本を読んでいたりした。おゝこんな処があるんだ! どうやら、元小学校らしい。 しかもかなり古い小学校だ。 外に出ると、謂れの碑があった。元明倫小学校だったのね。 更にその小学校前の碑があった。なんと、石田心学の発祥地だったようだ。 40-50人の若い芸術家がいた。流石京都だと思う。 夕食は、goto eatでwebで予約して行ってみた。果たしてポイントは付くのか?地図アプリで検索したら、どうやっても見当違いの場所になる。京都府京都市中京区柳馬場通六角六角下ル井筒屋町400の「刻シラズ」という創作料理屋でした。 ワインを飲みたいのだが、実際にはビールを飲む処らしい。わたしはワインを飲む! デリ三種盛り合わせと白ワインを頼んでみる。 ワインはかなりフルーティ。 盛り合わせは思ったよりもボリュームあった。 サバ南蛮漬け?ラタトゥイユ、そして生ハム、ミニピザまでついていた。白ワインが案外合う。 少し足りないけど、お店飲みはこれで終わり。あとは部屋飲み! 1日の歩数19964歩。
2020年11月10日
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2020年11月2日(月)雨 朝から雨。ローソンで傘を買って、直ぐ近くの烏丸綾小路遺跡であろう所を写真に撮る。これは図書館で探してもらった京都古代巡りのための本「京を発掘!出土品から見た歴史」(京都市埋蔵文化財センター編)に載っていたもの。 この辺りの弥生遺跡(中期)から、唐古・鍵遺跡と同じような楼閣が描かれた土器が出土したらしい。「この辺りは弥生時代でもかなり田舎だろうに何故なんだろ」とは著者の疑問。つまり、この楼閣は現代で言うファッションビルではない、祭祀を行う場所としてシンボルとして知られていたのでは?と推測していました。 もう少し離れた綾小路遺跡も探したのですが、場所を特定できなかった。 これは菊水井戸跡。 与謝蕪村の終焉の地もあった。 説明書は以上の通り。 地下鉄で二条城へ行く。駅出口看板。お堀周りには、城周りを作業する町人の町があったようだ。今も少しだけ趣が残っている。 二条城に入城。東南隅櫓。火事でも焼け残って昔の姿を留めている。 東大手門。寛永年間に、天皇の二条城御幸二階から見下ろさないようにと、一度一階に建て替えられ、また二階建てに戻している。 国宝、二の丸御殿。ともかく豪華な造り。中は撮影禁止のために写真はないが、「京都深ぼりさんぽ」(以下「さんぽ」)に書かれていた豪華な豪華な餝(かざり)金具はしっかり見させてもらった。ひとつひとつの鍵隠しなどの餝金具はその作業だけではなくて、その数に圧倒される。全ての柱に上下三つくらいあるから、もしかしてその数は数千を数えるのではないか?(「さんぽ」には大型は数百枚と書いていた)気の遠くなるような作業だったのではないか?欄干彫刻もすごかった。もちろん、狩野派の障壁図の多さにも腹がいっぱいになる。大広間での慶喜の大政奉還の人形などもまぁ面白かった。よく考えたら一度来ている。おそらく小学校の修学旅行できた。鶯張りのキュッキュッと鳴る廊下のことしか覚えていなかったけど。あの頃はよく鳴ったけど、今日は雨のせいかほとんど鳴らなかった。 小堀遠州作の庭に回る。小堀遠州は、岩や遠景を景色に見立てる庭を作る。 アプリの説明場面を動かしたけど、上手くいかない。 二条城の紅葉は素晴らしい、と何処かに書いていた。まだ最盛期ではないのか、それほどでも、だった。 唐門の彫金、透かし彫りはホント職人技だ。長寿を意味する「松竹梅に鶴」聖域を守る「唐獅子や竜」を極彩色に彫って飾っている。あまりにも色鮮やかだと思ったら2013年に修復したばかりらしい。ともかく、名前の残らない職人たちの独壇場ではある。 (「さんぽ」には「瓦は瓦職人、檜の樹皮を使った屋根は檜皮葺職人、その下の唐破風に塗られた漆は漆職人、彫刻は木彫師、そして餝金具は金具職人が手がけとるんや!」と紹介していた) 京都には未だこれだけの職人が生きている。しかし次の修復の時には、これが可能な保証は何処にもない。 本丸御殿は修復中だった。天守閣跡に登って西橋を撮る。 後でそこを回ると、カクカクと入る(いわゆる防御のための)通路になっていた。 ここの紅葉(もみじ)は素晴らしい。 ひとしきりまわって清流園というお庭に出る。桜の木が美しい。これも、ここ数十年の植木だと思う。毎日職人たちが手入れしている成果なのだと思う。 それでも二条城だけで午前中を使ってしまった。この後、「さんぽ」を使って京都ぶらぶらをするつもりだったが、ウエストカバンの中身を見て愕然とする。今日1番の失敗である。「さんぽ」と思っていたが、同じ書店のカバーをかけた他の文庫本だった。何やっているんだか!そうは言っても、行くべき場所だけは知っている。千本中立売ぶらぶらである。バスを待って、そこの停車場でとにかく降りる。 いったい何処なのか。この通りなのか?どう見ても此処は夜の街だ。 おゝいかにもという店。 極楽湯という家の佇まい。 地図アプリ見てもピンとこないけど、とりあえずおばあちゃんに千本中立売商店街の場所を聞く。名前は違うけど、コレらしい。
2020年11月09日
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城陽歴史民俗博物館に着いた!たくさん写真撮りました。 森山遺跡出土の遺物も展示されていた。 芝原古墳群、久津川車塚古墳、森山遺跡の遺物が展示している。しかしちょっと貧相な展示だった。 城陽市の隣の京田辺の同志社大学田辺キャンパス近くが継体天皇が建てた筒城宮の伝承地らしい。歴代天皇との関係は深かったようだ。 車塚古墳の長持形石棺は兵庫の龍山石で作られている。5世紀前半、山城は1番栄えたということだ。石棺は未盗掘だった。しかし、明治27年の工事中の発見ということもあり、十分な科学的調査ができていない。 図録も貧相な割には割高になっていたが、もう来れないと思って買った。昼食はマルシェで買ったパンで済ませた。 長池駅のそばの森山遺跡に急ぐ。もう椿井大塚山古墳には間に合わない。今回は直ぐに道沿いの標識にも気がついた。 綺麗な公園として整備されている。縄文から古墳時代にかけての複合遺跡。弥生後期、古墳時代後期の竪穴式住居もいくつか発見されている。 方形台の遺構は、お墓ではなくて古墳時代豪族の住居跡らしい。ここからは、綺麗に山城地区が見えたことだろう。 長池駅から京都大学総合博物館へ。ルートは写真の通り。 出町柳駅到着。お地蔵さんを祀っているのを2年ぶりに見る。洛内に来たんだ。百万遍交差点の南側に目当ての博物館があった。 京都大学総合博物館。この博物館は、3回目の挑戦。この博物館は通常の博物館の休館日と異なっていていつも見損なっていた。今度こそ、と入ると‥‥ 「ダメ」と言われた! コロナ禍で、予約者しか入れない。しかも、閉館時間を1時間早めたのだという。 「えー!これで三回目の挑戦なんですよ。岡山から来たんです!」 と散々悔しがって、ミュージアムショップだけ入ることを了承させた! なんとかカードが使えたので、散財した。 考古学図録も買えたので、もうここには来ない! 京都大学を散策。 時計台の下の大学の歴史を展示している資料館に入る。 吉田神社を散策。 バスで烏丸四条へ。河原町は人で溢れていた。ただし、以前見た半分は外国人というのと違って、多分ほとんど日本人で溢れていた。 ホテルに入り、地域共通クーポン券2000円分をもらう。これでホテル代は約半分になった。この時期の京都としては、ビジネスホテルだけど2泊で5000円台で泊まれるのだから御の字だろう。ただし、今回交通費は割引は全然使えなかったし、何よりも図録代がかなり高くつく予定なので、今年の旅の総決算的な予算とはなっている。 夕食はここ。お好み焼きでワインを置いているのと、京焼というのを試したくて入る。 京風お好み焼き。新鮮!まるでお好み焼きの皮を被った、茶碗蒸し?或いはシチュー?美味しく頂きました。ワインも良くあっていた。 1日の歩数28824歩。
2020年11月08日
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11月1日(日)腫れ 6時半に家を出て、8時半に京都に着。 久しぶりに新幹線に乗った。(写真は他の日に撮った岡山駅に入ろうとする新幹線) 実は山城(山代・山背)は、京都の北洛と勘違いしていた。平城京(奈良)の山背でした!よって京都駅から近鉄に乗って久津川駅に下りる。そこから順番に遺跡巡りをするのではあるが、 実は時代順に並べるとこうなる。 森山遺跡(弥生−古墳) 芝が原古墳(弥生晩期?) 行けるかわからないが、 椿井大塚山古墳(4c初め) 丸塚古墳(5c前半) 久津川車塚古墳(5c前半) 芭蕉塚古墳(5c半ば) となる。その途中で城陽歴史民俗資料館に立ち寄る。 どちらにせよ、 木津川沿のこの道は京都・近江・日本海に向かう交通の要所であり、奈良からは淀川にも通じている。有力な首長が勃興していては、消えていったところだと思う。 京都駅着。早速乗り換えを誤解して、15分浪費。できた隙間時間で以上をメモした。 芭蕉塚古墳、思ったよりも大きい。 ハンサムのキャラ絵の看板で説明している。こういうのは初めて見る。 墳丘に登頂できた。竹藪の中に、思ったよりもハッキリ古墳の形が残っていた。 そこから少し歩くと、京都府最大級の久津川車塚古墳が見えてくる。 この古墳はJR奈良線を敷いている時に発見された。よって前方部が少し削られいる。この奈良線は、椿井大塚山古墳を丸々削ったことでも有名。しかも重要な古墳ばかり削っている。もっとも、この地域には重要な古墳ばかりなのではあるが。 丸塚古墳はやめて、まだ時間があるので、車塚古墳よりも前の古墳群になる上大谷古墳群を探して、広大な新興住宅地を歩くことにした。この判断が裏目に出る。 しかし、最初は良かった。 この車塚古墳の周りには、非常に緩やかな丘陵が広がっている。洪水を避けるために、古代の人々はこういうところに住居を建てるだろう。遺跡はないが、おそらく近代に人々が住んで破壊尽くされているのだろう。その証拠に、この1番見晴らしがいいところに上大谷古墳群が造営された。と、古墳群を見つけた後に思った。 ところが、古墳群の場所がわからない。 新興住宅を散歩する人2人に道を聞いた。 「最近越してきたのでよくわかりません」 とは、普通は古代に詳しいはずのおじいさん。 越してきたと言っても一年以内なの? 「さア知らない」 とは、30代の男性。 おいおい、この町は貴方たちが住んでいるところなんでしょ? いつも、たとえ自分の家の数メートル先にあっても遺跡の場所を知らない。いつものことなのではあるが、改めて、自分の住居地域の「歴史」に無関心な市民の実態に憤りを感じる。 どうも違うみたいなので、来た道を引き返す。やっと地図を見つけた。そうか、あそこで道を曲がるんだっんだ。30代男性に道を聞いた所から近道があったじゃないか! 古墳公園は三つあり、そのうちの二つに行くことにする。古墳群ではあるが、古墳の名前しか無い。説明板を置いていない。出土品はないのか、少し怒りながら次に行こうとすると、今日最大級の悲劇が起きた。 ベルトの留め具か外れたのである。 もう15年以上使っているからなあ。 小さなネジなので、見つけてまた嵌めれば使える。 ところが、目を皿のようにして地面に這いつくばって、おそらく20-30分探したけど見つからない。 溝の中に落ちたのならば、もう見つけようがない。 たまたまその時持っていたUSBケーブルをまとめる小さな針金を使って応急処置が出来た。これであと三日間凌ぐしか無い。 上大谷古墳群は、古墳時代の墳丘を中心に、丘陵の1番見晴らしがいいところに保存措置をしていた。 17号墳は移築して石室を公開。6世紀後半の円墳らしい。 想像以上の時間を食った。今日は予定では、2時半までには山城地域の古墳巡りを終えなくてはならない。急いで新興住宅地を降りる。駅前で、地域の人たちが感染防止措置(消毒液の設置、体温測定)をしながら、マルシェを開催していた。古代米も、売っていた。 「写真撮って良いですか」 「いいですよ」 「岡山の吉備から来たのですが、赤米や黒米は見たことがあるのですが、みどり米は初めてです。」 「幻の米と言われているらしいですよ」 とのこと。因みに、流石に、各古墳の位置はご存知でした。みどり米180g500円を買う。 芝が原古墳を迷いながら突き止めました。 前方後方墳です。なんと庄内式土器が出てきたことで、弥生末期の築造では無いか?といわれ国指定遺跡になっています。時間がないので、さっさと写真を撮って次に行きます。この時点で、18,000歩の歩数。3万歩超えるかなあ。 柿本人麻呂の「山城の久世の鷺坂 神代より 春ははりつつ 秋は散りけり」の碑が、丘陵をおりた辺りの神社(久世廃寺跡)の前にあった。7世紀後半では、既にこの辺りは「神代から栄えた地域」になっていたのである。 城陽歴史民俗博物館にあったジオラマ。右上が車塚。左が芝原古墳群。下方の更に奥に上大谷古墳群がある。この辺りを歩いた。 城陽歴史民俗資料館を目指す。やはり迷った。大回りしてたどり着く。京都府で、数少ない考古学博物館である。遠くに見える市民センターの4階にそれはある。
2020年11月07日
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「ホワイトラビット」伊坂幸太郎 新潮文庫 黒澤の役割を完璧に間違えていた。もちろん彼が泥棒だということは知っている。そして単なる泥棒ではない。という記憶が、(笑わないでね)彼がタイムリーブ出来る能力を持っているという記憶にすり替わっていた。 どうしてそうなったのか、聞かないで欲しい。ともかくわたしは読み始めて暫くしてから時系列表を作っていた。ラストはわたしが推理する。そういう自負のもとにである。伊坂幸太郎には、いつも時間軸ずらしで騙されてきた(ストーリーテラーとして魅了されてきた)という記憶があるので、ラストを予測しようとしたのである。 先走って言ってしまえば、既に「ホワイトラビット」を読了の皆さんは「惜しいなあ」と思っていることだろう。「よく頑張ったよ、でも意味なかったよね」とかね。 「おいおい、はやく物語そのものへの感想を書けよ」 と貴方は思っているかもしれない。 いやこういう回り道、「無駄なところが物語を豊かにしている」と、「物語そのもの」の中で誰かが言っているんですよ。 「でも、お前、そうやって本来のレビューを誤魔化して終わらす気だろ?」 ギク。 でも、罪を犯したことなんてない、と言い切れる人間はむしろ、嘘だ! この小説の面白さは、読んでみなくちゃわからない。 ‥‥だから、これで終わらせてください。
2020年11月06日
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「武器としての「資本論」」白井聡 東洋経済新聞社 「資本論」は古くなっていない。今こそ読まれなければならない。と著者は熱く語ります。難しい言葉をできるだけ避けて、そのエッセンスから導かれる「現代の課題」を明らかにして、その「処方箋へのヒント」を書こうとしています。経済学者ではなく、政治・社会学者としての「資本論入門書」でした。 例えば、「商品によって商品の生産」がなされるようになった近代以降の現代では、やがては「優秀な遺伝子が欲しい」という欲望に勝てなくなり、そういう「商品」をつくるだろうと予測しています。倫理とか、愛とか、がそれにブレーキをかけるだろうというのは幻想だというのです。 例えば、新自由主義が蔓延している現代では既に「寅さんがわからない」若者が増えているといいます。「資本による包摂の深化」により、『資本論』は「私たちの知性と感性、魂までもが資本主義のシステムによって呑み込まれてゆく事態を見通していた」というのです。(←わかりにくよね。わかりやすく解説していますが、うまくまとめられない。でも、寅さん映画に共感出来ないという人が万が一これを読んでいたならば、是非本書を読んで反論を試みて欲しい) 「 AIが働いてくれるから、人はもう働かなくてよくなる」のか いや、「資本主義のもとでは絶対そうはならない」 と、おそらくマルクスは言うだろう。これは現代の若者も同意できるのではないか。 その仕組みは「商品と労働の二重性」「特別剰余価値の獲得」から来る。 それに関連するのですが、「本源的蓄積の持続性」もそこからやってきます。必ず資本家は労働価値のダンピングを行う。脱正規化、アウトソーシング、外国人労働力の受け入れ等々がそれに当たります。「働き方改革」も「資本」の要請です。ここまで来て「人口の再生産」ができなくなってきているから唱えられた訳です。 マルクスは「資本は、増えることによって人々が豊かになることが目的ではない」と喝破します。「増えることそのものが資本の目的なのです」。つまり資本主義は、人々を豊かにすることが目的ではない、というのです。 「だって、うちの社長さんは社員の幸福を願っているし、社会への利益還元活動にも積極的だよ」 と、異論を唱えても、マルクスは「それは貴方の幻想だよ」とバッサリするでしょう。マルクスさん、そんなに敵を作らない方がいいよ、と私は心配しますが、結果的にはその「厳しさ」が必要だったと私は思っています。反対に言えば、未だにこういう反論があること自体が、現代にマルクスが必要とされている証左なのかもしれない。 処方箋は何か。 現代は新自由主義の時代だと、白井さんは言います。 「新自由主義とは、実は「上から下へ」の階級闘争なのだ」(デヴィッド・ハーヴェイ) わたしたちは、知らないうちに「上から」の階級闘争を仕掛けられて負けていた、とのことです。 マルクスは革命を失敗して、ロンドンで「資本主義とは何か」を明らかにするために「資本論」を書き始めました。よって「資本論」に「階級闘争」の具体的記述はありません。 決して、資本家を全員牢屋に入れたら革命が成就するわけではありません。でも、ロンドンに来る前は革命の闘志であり指導者だったので、それ以前のマルクスを読んできた人は、暴力革命がマルキストの資格みたいに考えている人もいました。 現代は、革命を起こすべき労組も選挙も暴力革命も難しくなっています。上からの階級闘争の成果ですね。どうすればいいのか?結局、労働者階級による階級闘争の成功しかない。ただこれもダメ、これもダメ、と書いていて、全然明らかになっていない。 それがかえってホッとします。秘密の言葉を見つけたらゲームオーバーになるなんて、夢物語です。資本論には、現代も通用する「世界の構造を理解するための処方箋」があります。そうやって努力して、世界を理解するための技術を磨いた後にこそ、労働者階級の勝利を導くための処方箋があるのかもしれない。
2020年11月05日
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「図書 2020年11月号」 面白いんだけど、少しだけ異論がある。いつも表紙の絵を解説している司修さんは、自分の見た夢の解題として書いているのだけど、それを読んだ時には内容には共感するのだけど、それが表紙の絵とどうしても結びつかない。「それが抽象絵画の面白さなんだよ」と言われれば、そうなのかなぁと思うのだけど。因みに今号は、「わたしの身体は、七、八個のブロックに解体されていて、それぞれがひとつの部屋になっていた」そうです。 同様に、ラサール石井「子どもの頃の日曜日の朝」。彼の子どもの頃の読書体験をつらつらと書いている。わたしよりも5歳ほど歳上だし、東京の子どもだったので、共感できるところも多いけど、違いもある(貸本屋で借りるか、小学校図書館で借りるか)。ラサールさんのように江戸川乱歩「少年探偵団」シリーズの「大金塊」の暗号を「今でも空で暗唱できる」ほどには貪り読んではいなかったけど、「ジャングル大帝」の数場面は、今でも空で再現できる。 同様に、畑中章宏さんのシリーズ1回目「らしさについて考える」の「女らしさ」。うーむ、改めて「母性保護論争」の与謝野晶子や宮本百合子の紹介と、柳田國男、山川菊栄などの「女性叢書」を結びつけたのは嬉しかったが、最初のあたりが冗長すぎる。また、同意できないところもある。これを機会に「女らしさ」論争でも起きれば良いんだけど、そこまでの影響力は無いだろうしなぁ。映画「82年生まれ、キム・ジヨン」は、韓国ほどには観客動員数を獲得できなかったようだ。夫が一見良い人に描かれていて、主張が散漫になったからかもしれない。 同様に、笠井献一「SFとウイルスと黒幕のはなし」。生命科学者によるウイルス話。とてもわかりやすい。ところが、最後の段で「黒幕」の言葉。え?黒幕って、何だったの? 同様に、じゃない。時枝正さんの「あかちゃんトキメキ言行録」は、連載5回目にしてやっと時枝正さんの専門の数式が出てきた。一歳9ヶ月の日々のことを具体的に記しているけど、確か智ちゃんは既にすっかり大きくなっているはず。よくもまぁこんなにあかちゃんの眼から見た世界を記録していたのだと思う。面白い部分しかない。
2020年11月02日
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いわゆる「呪い」には、科学的根拠のないものも多いが、何千年もつかられたのだから!当然「ある」ものもある。それを科学的に説明できている、数少ない「呪い(のろい、ではなくて、まじない、と読みます!)」のひとつだろう。 のろい、と、まじない、を同じ読み方をするのを今回初めて知った! 昨晩の満月 「痛いの痛いの飛んでけ~」でホントに飛んでくワケ 10/2(金) 12:22 読売新聞(ヨミドクター) 森本昌宏「痛みの医学事典」 世の中は痛みにあふれている。多くの方々を長期間にわたって悩ませ続けている慢性痛、切り傷、やけど、打撲などの急性痛……と枚挙にいとまがない。痛みを引き起こす危険は、あちこちで息を潜めて待ち構えている。私たちは、物心がついた頃から、ドアで指を挟んだり、転んだりする度に痛みの存在を知り、その危険から身を守るすべを学習してきた。痛みを数え切れないほど経験して大人になったわけだ。 痛みの伝達には“門番”がいる 「痛いの痛いの飛んでけ~」でホントに飛んでくワケ さて、幼い頃、頭を机の角にぶつけ、母親に「痛いの痛いの飛んでけ~」のおまじないとともに頭をさすってもらっていると、目から火が出るくらいだった痛みが不思議と楽になった――そんな経験をお持ちの方も少なくはないだろう。私は、痛みの診療を専門としているものの、向う脛(ずね)を打ちつけた時などには、今でも思わず「痛いの痛いの飛んでけ~」と心につぶやきながら脛をさすってしまう。 この痛い部位をさする、圧迫するといった無意識の動作は、実は理にかなっている。こうした“おまじない”は、痛みの情報が脳へ伝わることを抑えるのだ。 1965年に、メルザックとウォールが発表した学説「ゲートコントロール説」がこの不思議を解き明かした。頭をぶつけた、向う脛を打ちつけたことによる刺激は、侵害受容器(末梢(まっしょう)神経の端に露出している痛みの受け皿)を興奮させる。その興奮は末梢神経によって脊髄の入り口(脊髄後角)へと運ばれ、さらには脊髄を通って脳の痛みの中枢である視床、大脳皮質へと伝えられる。しかし、すべての情報が脳に伝わるわけではない。 脊髄後角には門番が待ち構えていて、ゲートの開け閉めをしている。この門番とは、膠様(こうよう)質細胞と呼ばれる神経細胞で、痛み情報の脊髄への伝達を調節している。通常は、脊髄後角のT細胞の興奮がある強さに達し、痛み情報の受け渡しが行われるのだが、膠様質細胞がT細胞の興奮を静めると、この受け渡しにストップがかかる(シナプス前抑制と呼ぶ)。門番によってストップをかけられた痛み情報は、脳の痛み中枢には伝わらなくなる。 その仕組みを説明するとこうなる。侵害受容器が受け取った痛み情報は、末梢神経のAデルタ線維、C線維と呼ばれる細い神経線維によって脳へと伝えられる。一方で、「さすられている」「圧迫されている」との感覚は、Aベータ線維と呼ばれる太い線維によって伝えられる。Aベータ線維が刺激されると、門番は、「いっぱい働いたから、もうゲートを閉めちゃおっかな」と、痛みを伝える細い線維からの情報に対して門を閉じてしまうのである。 刺激の強さと痛みは必ずしも相関しない 17世紀、フランスの哲学者・デカルトは、刺激の強さと痛みの強さが比例することを唱えた。以降、これは「教会の鐘理論」と呼ばれ、支持されてきた。しかし、このデカルトの理論に反する臨床的、または生理学的事実も多く存在した。その問題を解明したのがゲートコントロール説である。たとえば、神経障害性疼痛(とうつう)の一つである「複合性局所疼痛症候群」では、末梢神経が障害を受けることにより、Aベータ線維からの情報量が少なくなって膠様質細胞の活動が低下する。その一方で、Aデルタ線維、C線維からの情報がT細胞を盛んに興奮させるため、強い痛みが生じる。つまり、この場合の痛みは、刺激の強さとは相関しないことになる。 いろいろな部位に門番が なお、慢性痛に悩まされている方は、何か別なことに集中していると痛みが軽くなることを、知らず知らずのうちに体得されているだろう。このことは、脊髄の入り口以外にも、中枢神経系のいろいろな部位に門番が存在することを示唆している。つまり、精神活動や記憶などによって、多くの門番が痛みを変化させているのである。 その他にもさまざまな痛みを和らげるシステム(生体内疼痛制御機構)が存在する。その一つに「下行性抑制系」と呼ばれる脊髄の伝達経路がある。この経路は「痛みを和らげなさい」との命令を、脳の痛み中枢から末梢に向かって逆行性に伝えているのである。また、体内には痛みを軽減する化学物質であるエンドルフィンやエンケファリンといった内因性オピオイド(モルヒネのような物質)が存在している。これらの分泌により“ランナーズハイ”がもたらされることは有名だ。 痛ければ、まずはその部位をさすってみよう。 どうしても治せぬ痛みに矢も尽きて「痛いの痛いの飛んでけ」となる 馬左宏 森本昌宏 大阪なんばクリニック本部長・痛みの治療センター長。 1989年、大阪医科大学大学院修了。医学博士。同大学講師などを経て、2010年、近畿大学医学部麻酔科教授。19年4月から現職。日本ペインクリニック学会専門医、名誉会員。日本東洋医学会指導医。著書に『ペインクリニックと東洋医学』『痛いところに手が届く本』ほか多数。現在、大阪市北区の祐斎堂森本クリニックでも診療中。 縄文時代のもので、ジンジャークッキーのような人形が複数出たが、手や足が折れていて、その破片が見つからなかったが、遠く離れた遺跡で、その破片が見つかった。 怪我や病気をしたところと人形の同じところを折って遠くのお山に捨てたと思われる。 縄文時代から「痛いの痛いの、遠くのお山へ飛んで行け。」が受け継がれてるんだなぁって思った。
2020年11月01日
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めちゃくちゃ面白い「ツイートまとめ」があります。写真付きがホントの面白さなので、そちらに飛んでいただけたらと思います。雰囲気だけは、以下です! 縄文人と弥生人の口喧嘩。時々古墳、旧石器、続縄文。 愛知県陶磁美術館の『YAYOI』展の煽り文句「縄文はもう古い!これからはやよいだ!」に端を発した縄文人と弥生人の口喧嘩、口汚くののしり合いながらなんとなくわかり合うという、そんなまとめ。途中からは古墳時代、旧石器時代、続縄文人がやってきて喧嘩に参加したり、なだめたり、旧石器人はだいたいいじけたり。混沌とするも何とか仲直り。 焼失住居と時代喧嘩は考古の華とばかりに野次馬たちも大盛り上がり! 企画展 古墳 先輩 縄文 議論 考古学 歴史 弥生 - 目次 - 愛知県陶磁美術館の宣伝ツイートに、ならず者「縄文ZINE」が絡んでいき、それに弥生の代弁者「ヤミラ」が応戦。喧嘩が始まる - 古墳王子が縄文人と弥生人をなだめようと参戦。 - 野次馬たちの様子 愛知県陶磁美術館の宣伝ツイートに、ならず者「縄文ZINE」が絡んでいき、それに弥生の代弁者「ヤミラ」が応戦。喧嘩が始まる 愛知県陶磁美術館 @toujibijutsukan 縄文はもう古い!これからは弥生だ! 縄文ブームに弥生時代のスタイリッシュさで一石を投じようとする超意欲的特別展「YAYOI ・モダンデザインーニッポンの美、ここに始まるー」ついに情報解禁!実りの秋は弥生の秋!パレススタイルのように赤く染まるこの季節。君はYAYOIインパクトについて来れるか!? pic.twitter.com/kRyUllpvHy 2020-09-17 14:16:39 縄文ZINE @jomonzine おうおう威勢がいいじゃねえか脱穀野郎!モダンデザインならこっちも負けねえぞ! twitter.com/toujibijutsuka… 2020-09-19 10:14:02 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi うるせえ米くってみろ、飛ぶぞ! twitter.com/jomonzine/stat… 2020-09-19 19:34:54 縄文ZINE @jomonzine 握ったり炒めたり、海産物乗っけたりしやがって、全然うらやましくねえし! twitter.com/yummy_okashi/s… 2020-09-19 19:48:40 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi 栄養価高くて香ばしいどんぐりはその辺でころころしてやがれ! twitter.com/jomonzine/stat… 2020-09-20 12:00:11 縄文ZINE @jomonzine は?だいたい東日本の弥生はほとんど縄文と変わらないですけど、おあいにく様。 twitter.com/yummy_okashi/s… 2020-09-20 13:28:50 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi なんだ仲間じゃねーか!このウスラトンカチ! twitter.com/jomonzine/stat… 2020-09-20 13:30:31 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi @fujimicho @feetpull 大人なので、付加条三種とか言いません。 2020-09-20 16:16:58 縄文ZINE @jomonzine だいたいモダンデザインってなんだよ!文様少ないだけじゃねえが!この唐変木!手抜いてんじゃねえ!田おこしでもして寝ろ! twitter.com/yummy_okashi/s… 2020-09-20 16:56:38 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi やれやれ、火焔土器の文様みたいにしつこいやろうだぜ。銅鐸の音でも聴いて落ち着きやがれ! twitter.com/jomonzine/stat… 2020-09-20 17:14:16 縄文ZINE @jomonzine いくら金属の音が良くてもよぉ、結局土鈴の乾いた音が一番落ち着くんだよ!馬鹿野郎!銅鐸に下手な絵描きやがって! twitter.com/yummy_okashi/s… 2020-09-20 18:28:31 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi 下手な絵ってなんだい、なんだかよくわかんない文様つけやがって。意味深過ぎるわ! twitter.com/jomonzine/stat… 2020-09-20 19:31:19 縄文ZINE @jomonzine お前んところの、三角なんとか獣なんとか、すげえカッコいいじゃねえか、コメばっか作ってると思ったら生意気じゃねえか! twitter.com/yummy_okashi/s… 2020-09-20 21:16:49 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi 三角縁神獣鏡だよ!漢字見たことないくせにうろ覚えで褒めるんじゃねえ!照れるんだよ!石包丁なげるぞ! twitter.com/jomonzine/stat… 2020-09-20 22:39:17 縄文ZINE @jomonzine は?文字がないのはお互い様じゃねえか(使いはじめてたかも知れねえけど)!偉そうにすんじゃねえ!打製石斧投げるぞ! twitter.com/yummy_okashi/s… 2020-09-21 07:46:04 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi ちょっと石器作りうまいからって、そっちこそ偉そうにすんじゃねえ!旧石器先輩には敵わないんだよ!この野生の豚野郎! twitter.com/jomonzine/stat… 2020-09-21 08:54:02 縄文ZINE @jomonzine 簡単に鉄器に心奪われやがって、この尻軽文化野郎! twitter.com/yummy_okashi/s… 2020-09-21 10:29:45 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi 古墳に嫉妬してんじゃねーよ!いいものはいいんだよ!この一万年保守野郎! twitter.com/jomonzine/stat… 2020-09-21 12:11:10 縄文ZINE @jomonzine 嫉妬なんてしてねえよ!でかい墓作りやがって、邪魔なんだよ!この一重まぶた!まあ弥生のお墓は控えめで好感持てるけどな。長生きしろよ。 twitter.com/yummy_okashi/s… 2020-09-21 13:41:51 縄文ZINE @jomonzine 敬老の日ということで 2020-09-21 15:48:13 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi お前ほど長生きできないっつーの!ていうか、これいつまで続くんだよ!ついにお母さん心配してLINEしてきたじゃねーか、どうにかしろよ!! twitter.com/jomonzine/stat… 2020-09-21 17:58:02 縄文ZINE @jomonzine お母さん安心してください本当のケンカじゃなく楽しんでいるだけですので。って縄文と弥生のケンカに親を出してくんじゃねえ!実家の玄関前に落とし穴掘るぞ!この高床式! twitter.com/yummy_okashi/s… 2020-09-21 18:47:51 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi うちの家族をイノシシかシカみたいに扱うんじゃねえ!ほんとにネズミみたいにしつこい奴だな。森へ帰れ! twitter.com/jomonzine/stat… 2020-09-21 19:07:43 縄文ZINE @jomonzine ネズミ返しすな! twitter.com/yummy_okashi/s… 2020-09-21 19:19:58 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi ネズミくらいでびびんな!縄文人だろ! twitter.com/jomonzine/stat… 2020-09-21 20:07:49 縄文ZINE @jomonzine ネズミにビビってネズミ返し考えたのはおまえらだろう!集落も環壕集落だし、人生守りに入ってるんじゃねえ!この腰抜け野郎! twitter.com/yummy_okashi/s… 2020-09-22 08:44:50 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi まだ続けるのかよ!まったく持続的な社会とか言われてるだけあるよな。1000年単位ってなんだよ、こっちは100年単位だわ!のんびりしやがって! twitter.com/jomonzine/stat… 2020-09-22 11:41:25 縄文ZINE @jomonzine そういえば夕日に照らされた水田とか海に面した棚田とか、めちゃくちゃきれいで、よく日本の原風景とか言われるけど、縄文時代にそんな風景ありませんけど!残念でした! twitter.com/yummy_okashi/s… 2020-09-22 12:16:08 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi それはそれは残念でしたっ!青銅鏡みたいにキラキラ反射してそれはそれはきれいで神秘的なんですよーだ。一回見に来てみろやアンポンタン!! twitter.com/jomonzine/stat… 2020-09-22 15:44:27 縄文ZINE @jomonzine そりゃあ綺麗でしょうね。オレンジから紫のグラデーションや、やがて夜空一面に埋め尽くされる星の瞬きまで水田に反射するんでしょうね!しょうがねえからその風景も日本の原風景の一つだと認めてやるよ!ありがたく思え!このおむすび野郎!転がって穴に落ちろ! twitter.com/yummy_okashi/s… 2020-09-22 16:22:32 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi なんだよ結局羨ましいだけじゃねえか!どんぐりはお池にはまって困ってろ! twitter.com/jomonzine/stat… 2020-09-22 16:24:12 縄文ZINE @jomonzine どじょうが出てきてこんにちは、ってそんなわけねえだろ!それに食べてたのはどんぐりだけじゃねえからな!海なら海の山なら山の夏なら夏の食生活してたんだからな!弥生の食卓も教えろバカやろう! twitter.com/yummy_okashi/s… 2020-09-22 21:09:58 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi 突撃で食卓に上がってくんな!ヨネスケか!まあ、種類で言ったら、実は米以外おまえらとそんなには違わねえけどな。貝塚だって作るわ!ただし、ちいさいけどな。狩りだってそんなにはうまくねえわ!言わせんじゃねえ! twitter.com/jomonzine/stat… 2020-09-23 09:28:39 縄文ZINE @jomonzine 声がちいせえぞ!コメばっかり食って、食のバリエーションがなくなって元気が出ねえんじゃねえか?だいたいヨネスケはおまえらじゃねえかこの米助!まあ縄文にも雑穀あったからな、ヒエは栽培もしてたかも知れないしな。とにかく栄養はバランス良くとって長生きしろよ!弥生人! twitter.com/yummy_okashi/s… 2020-09-23 10:04:42 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi 声がちいさくても銅鐸鳴らせばみんなにハートは伝わるからいいんだよ!そっちこそ温暖化とか寒冷化に気を付けて、たまには移住しろよ! twitter.com/jomonzine/stat… 2020-09-23 14:14:30 縄文ZINE @jomonzine 自慢じゃねえけど日本の歴史の中でがっつり気候変動体験しているのオレらと旧石器先輩だけだからな。とにかく寒冷化のつらさったらなかっだぜ…。まあ現代の温暖化もどうかしてるけどな…って、ちょっとしんみりしちゃうじゃねえか馬鹿野郎! twitter.com/yummy_okashi/s… 2020-09-23 19:24:39 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi なに勝手に旧石器先輩と肩ならべてんだよ。最終氷期なめてんじゃねえぞ、この土器エジソンが!! twitter.com/jomonzine/stat… 2020-09-24 09:45:43 縄文ZINE @jomonzine 縄文後期の寒冷化はけっこうキツかったんだよ!そりゃあ氷期とは言わねえけどな!おまえらこそ古墳後輩とオレたち縄文人の影に隠れて、存在感が足りてないんじゃねえか!本当はもっと面白いことやってんだろ!なんか見せてみろよこのすっとこどっこい! twitter.com/yummy_okashi/s… 2020-09-24 10:25:40 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi だったら、おまえがもともと文句つけたこの愛知県陶磁美術館さんの企画展ぜってえ見に行けよな!弥生時代の魅力満載っぽいぞ。って、なんかステマみたいになっちゃったじゃないかよバカやろう! twitter.com/toujibijutsuka…twitter.com/jomonzine/stat… 2020-09-24 12:08:16 縄文ZINE @jomonzine 見に行くのを楽しみにしてるよバカヤロウ!でも流石に弥生さんとこには縄文土器のこういうユニークさはないんじゃないか?弥生時代の土器ってどんな感じだよ!見せてみろよ、この薄毛野郎! twitter.com/yummy_okashi/s… pic.twitter.com/wHf5dzXHyt 2020-09-24 17:35:22 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi 無駄にぽよんぽよんしてるし、変な手ついてるし、とにかくおまえらの土器は情報量が多過ぎなんだよ!せめてこれくらいに抑えろっつーの! twitter.com/jomonzine/stat… pic.twitter.com/DtK876evIW 2020-09-25 13:14:00 縄文ZINE @jomonzine は?土器に情報量が多くて何が悪いんだよ!メッセージのない土器なんて土器じゃねえし!って、この土器なんか縄文も入ってるし、親近感湧きすぎじゃねえか!他にもなんか見せろっつーの! こっちももう一個見せてやるよ!どうだ、見ろこのミニ四駆のコースみたいな文様を! twitter.com/yummy_okashi/s…pic.twitter.com/iCkqk9np6K 2020-09-25 22:02:39 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi くそう…たしかにレッツ&ゴーもびっくりのミニ四駆文様だな…。だがしかし、このドレスのようなおしゃれ土器の完成度を見やがれ!くびれのボタンでカジュアルダウンしてるのめちゃくちゃおしゃれ過ぎるだろうが!所詮、深鉢が壺に勝てるわけないんだよ! twitter.com/jomonzine/stat… pic.twitter.com/81iM9Cxr4E 2020-09-26 01:22:13 縄文ZINE @jomonzine なんだよ、すげえの作ってんじゃねえか、出し惜しみするんじゃねえ!これなら縄文人も使いたいよ! でも縄文時代にもドレスのような土器あるからな、はっきり言って着たいのはこっちだ! twitter.com/yummy_okashi/s…pic.twitter.com/yjSljeyvqg 2020-09-26 11:33:58 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi 出し惜しみしてんのは、おめえと古墳さんが目立ち過ぎて、注目してもらえねえからだよ!日本中の弥生ラバーズ萎縮しちゃってんじゃねえか。少しは空気読めよ、鼻の穴にトチの実詰まってんじゃねえのか!? ちなみにこれはパレススタイルとかいう高貴な名前の土器だ!赤使いのセンスが斬新過ぎるだろ! twitter.com/jomonzine/stat…pic.twitter.com/FpIgvBXhUi 2020-09-26 11:55:44 縄文ZINE @jomonzine ずいぶんな名前つけてやがるな、パレスって、まあでも確かにエーゲ海の波の音が聞こえそうな素敵な土器なのは認めるよ!それに「赤」はオレたちのテーマカラーでもあるからな。意外と趣味が合うな。ところで弥生ラバーズってどこにいるんだ?存在するのか?米櫃の底あたりにいるのか? twitter.com/yummy_okashi/s… 2020-09-26 14:34:25 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi 弥生ラバーズはTwitterのどっかにいるよ!!わたしが友達少ないだけだよ!凹ますんじゃねえよ!あと、趣味が合うのは、当たり前といえば当たり前かもな。おまえらはいわば、うちらのおじいちゃん・おばあちゃんだからな。敬老の日過ぎちゃったけど、一応いつもありがとうよ! twitter.com/jomonzine/stat… 2020-09-26 15:00:47 縄文ZINE @jomonzine 友達が少ないって、あれ、おかしいな。たしか弥生からだろ、クニという概念が生まれたの。それともあれか、「都会の孤独」みたいなやつか?気取ってんじゃねえよ! あと!ジジイみたいにいたわるんじゃねえよ!でもまあありがとよ、お前らもコメばかりじゃなくて野菜も食えよ。 twitter.com/yummy_okashi/s… 2020-09-26 17:53:37 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi クニとクニ同士の争いが嫌になって自分のまわりに環壕掘っちゃった!…ってそんなわけねえだろが!ソーシャルディスタンスとり過ぎだわ! でも、都会の近畿とか九州に比べたら、ぶっちゃけ関東にいると友達作りづらいとこはあるよな… twitter.com/jomonzine/stat… 縄文ZINE @jomonzine せやな、関西は笑いの本場の前に弥生の本場やからな、って、関東弥生人の誇りを持てよ!それか引っ越せ! まあオレらの時代は逆に東日本に偏ってたから気持ちはわかるよ。 twitter.com/yummy_okashi/s… 2020-09-27 09:46:52 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi そんなに簡単に引っ越せないんだっつーの!農耕民の気持ちちょっとはわかれ!イノシシ追って宇宙の果てまで行ってしまえ! twitter.com/jomonzine/stat… 2020-09-27 13:46:25 縄文ZINE @jomonzine 「動かざること農耕民族」って、だからお前らはダメなんだよ!この引きこもり民族!フィールドに出ろ!旧石器先輩を少しは見習え!あの人たちすぐ移動するからな。 twitter.com/yummy_okashi/s… pic.twitter.com/cKSLqcugkR 2020-09-28 09:55:00 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi 引きこもりとか言うな!お米の農家さんに失礼だろうが!土下座して謝れ! twitter.com/jomonzine/stat… 2020-09-28 12:00:20 縄文ZINE @jomonzine 大変申し訳ございません。つい口がすべりました。いつもお世話になっております。てゆうかお前こそ猟師さんにあやまれ!コメでもくらえ! twitter.com/yummy_okashi/s… 2020-09-28 12:17:51 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi 土下座はこうやるんだよ!こっちこそ申し訳ございませんでしたーっ!! まあでも、山の上でも弥生土器出てきたりするからな。狩猟が得意な弥生人もいたと思うんだよ。何にせよ、まあおまえらの血ひいちゃってるからな。クサレ縁てやつだよな。 twitter.com/jomonzine/stat… 2020-09-28 14:01:08 縄文ZINE @jomonzine くされ縁だと!まったく出来の悪い子孫だな。縁もちゃんと血抜きと内臓の処理をすればくされないかもな! 時代は変わっても少しはオレたちの守ってきたものを残してくれよ! twitter.com/yummy_okashi/s… 2020-09-28 18:18:16 古墳王子が縄文人と弥生人をなだめようと参戦。 古墳王子 @kotetu2019 まぁまぁ、縄文先輩も弥生先輩もちょっと落ち着いて一緒に登り窯で須恵器でも焼きましょう。 ときどき自然釉がかかって美しいですよ twitter.com/jomonzine/stat…pic.twitter.com/NQRvJTvs0G 2020-09-28 22:46:21 縄文ZINE @jomonzine 出たな古墳野郎!高見の見物しやがって、須恵器とかいうすえた土器作って、だいたい日本の歴史の中で名前が墓なのお前だけだぞ! twitter.com/kotetu2019/sta… 2020-09-28 23:00:22 古墳王子 @kotetu2019 世界最大級で世界遺産にも認定された墳墓なんだから名前にもするだろ! びっくりして腰抜かしたのか? 今の季節、弥生先輩は稲刈りとか企画展とかミュージアムのオープン準備で忙しいんだからジャマしないであげてくださいよ! #愛知県陶磁美術館 #朝日遺跡ミュージアムtwitter.com/jomonzine/stat…pic.twitter.com/HAsBBjnGWv 2020-09-29 07:32:09 縄文ZINE @jomonzine デカさを誇示する発想がロクなもんじゃねえんだよ!本当に大切なのは大きさじゃねえぞ!確かに腰抜かすほどデカくてビビるけどな!弥生野郎は何やってんだ、ミュージアムのオープンと企画展の開催おめでとうじゃねえか! twitter.com/kotetu2019/sta… 2020-09-29 08:48:37 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi ちょ、気付いたら、おまえ、古墳王子になんて口のきき方を…!王子、ご無礼お許しを!こんなやつ、古墳の葺石めっちゃ運ばせて、最後に埴輪にでもしちまってくだせえ。 twitter.com/jomonzine/stat… 2020-09-29 15:11:16 縄文ZINE @jomonzine おい!弥生人のプライドをどうした!簡単にヤマト王権に平伏しやがって、まったく。見ろ、おんなじ人間じゃないか。 あと、陶磁美術館!弥生もいいけど今度は縄文でやってくれよな! twitter.com/yummy_okashi/s… 2020-09-29 19:31:53 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi しょうがないじゃんか!こっちの立場もわかれよ!古墳さんには強く言えない事情があんだよ。中間管理職の気分だわ。あと、陶磁美術館さんに気安く声かけるんじゃねえ!素焼きなのに弥生土器扱ってくれただけでも感謝しろっての。 twitter.com/jomonzine/stat… 2020-09-29 20:55:00 縄文ZINE @jomonzine 中間管理職弥生課長ですか、クスクス twitter.com/yummy_okashi/s… 2020-09-29 21:49:54 古墳王子 @kotetu2019 狩猟じゃないんですから、しつこく弥生先輩につきまとうのやめてもらえますか! そんなにケンカしたいなら火の国に送り込みますよ! 筑紫君磐井さんとやり合ってください! twitter.com/jomonzine/stat… 2020-09-30 07:43:59 縄文ZINE @jomonzine ちょっと弥生は離脱だよ!お前こそ落ち着け!古墳にコーフンしてんじゃねえ! でもな、九州の古墳は嫌いじゃねえからな。石人とか装飾古墳とか、嫌いどころか大好きだよ馬鹿野郎! twitter.com/kotetu2019/sta… 2020-09-30 10:13:23 T_Toki @toki1_ta まあうちの続縄文土器についてたくまさんズでも見てなごみなよ君たち twitter.com/jomonzine/stat… pic.twitter.com/sFLY1JGpWs 2020-09-30 10:31:59 縄文ZINE @jomonzine これは北海道北斗市のクマさんず!諸磯式のイノシシと仲良くしてください! twitter.com/toki1_ta/statu… 2020-09-30 10:50:23 T_Toki @toki1_ta @jomonzine ふだん使うものだからこそかわいいもので飾りたくなる…これは時代を越えた真理ですね… 2020-09-30 10:58:34 古墳王子 @kotetu2019 これは確かにかわいいですね! 縄文時代も弥生時代も小さくて可愛い土製品がたくさんあるから好きなんです! 可愛いものを愛でる気持ちは古墳時代でも埴輪や須恵器で受け継いでいますよ 時代は変わっても心はひとつです! twitter.com/jomonzine/stat…pic.twitter.com/6bEUmg9JJY 2020-09-30 15:27:49 縄文ZINE @jomonzine なにこれかわゆい。動物がついてるとたいがいほっこりしちゃうね。って、これ復元しすぎじゃ…。 twitter.com/kotetu2019/sta… 2020-09-30 15:35:32 古墳王子 @kotetu2019 縄文先輩、そこは古代妄想ということで夢がある復元にしてみました ちなみに動物じゃないけど弥生先輩のところの朝日遺跡からは銅鐸土製品とかあって、超可愛いんですよ! #朝日遺跡 #弥生twitter.com/jomonzine/stat…pic.twitter.com/B9IUA43y3D 2020-09-30 18:25:59 縄文ZINE @jomonzine なんだよ、土器で銅鐸作るとか意味わからねえよ!なんか小さくて可愛いし、弥生のこと好きになっちゃうからこういうの見せるのやめろよ古墳小僧! あとかわいいと言えば縄文だからな。見ろこのカエルちゃんと骨人間。どっちも超ちっちゃいんだから。 twitter.com/kotetu2019/sta…pic.twitter.com/0yfSEx2MkZ 2020-09-30 20:03:12 古墳王子 @kotetu2019 何これ可愛い、欲しい、買いたい! でも古墳時代にお金の概念はまだないから、渡来人から手に入れたハサミと交換したい! twitter.com/jomonzine/stat…pic.twitter.com/Yew4USIRDP 2020-10-01 06:23:39 縄文ZINE @jomonzine ハサミ…鉄…お金…オレたちにはわけがわからないことばっかり言いやがるぜ。多分便利なんだろう。でもそれだけでいいのかと古墳君に問いたい。 でも交換はする。この便利の対極にある道具。一見ヤジリのようでも先が丸く尖りのない誰も傷つけない石器、トロトロ石器と交換だ! twitter.com/kotetu2019/sta…pic.twitter.com/InuQmNbltJ 2020-10-01 08:39:55 古墳王子 @kotetu2019 トロトロ〜!! 石器なのに癒されます 縄文先輩のとこは発想が大胆でそれでいてほのぼのしてたり、なんか自由でいいですね! ぼくたちは便利と引き換えにいろいろ失うものも大きいかもしれません。 視野を広げて海の向こうの大陸と付き合うようになると戦に巻き込まれそうになる予感大 twitter.com/jomonzine/stat… 2020-10-01 14:35:25 縄文ZINE @jomonzine 古墳くん、それが時代ってもんさ。やれやれだぜ。 ってついつい後輩の時代にカッコつけてしまった。 なんだか古墳くんと話していると荒ぶっていた気持ちがどこかに行ってしまったよ。 やれやれだぜ。 twitter.com/kotetu2019/sta… 2020-10-01 19:28:38 古墳王子 @kotetu2019 ぼくも税とかの関係で弥生先輩を守らなくちゃいけなくてつい熱くなってすみませんでした! せっかくだし弥生先輩の復活を願って祭祀やりませんか? ぼくは国宝級の童女を3人連れて行くんで、縄文先輩も女神を何人か呼んでください! twitter.com/jomonzine/stat…pic.twitter.com/0gB08iRKjp 2020-10-01 21:22:24 縄文ZINE @jomonzine よしわかった。縄文からはこの3人だ! 6人で祈ろう。 イナサク…イナサク… twitter.com/kotetu2019/sta…pic.twitter.com/XNJ06WIYeW 2020-10-02 09:02:37 古墳王子 @kotetu2019 え、ちょ、縄文先輩 女神をお願いしたのにおばあちゃ… なんでもないです! 早く弥生先輩が復活しますよーに! twitter.com/jomonzine/stat…pic.twitter.com/FUmUhhuIqZ 2020-10-02 16:43:07 縄文ZINE @jomonzine イナサク…イナサク…帰ってこい弥生人… 弥生時代と縄文時代のハイブリットな土偶と一緒に祈ろう。 twitter.com/kotetu2019/sta…pic.twitter.com/4f2jlaKjru 2020-10-02 21:41:12 古墳王子 @kotetu2019 ハイブリット! いいですね! ぼくも3世代ハイブリット装身具持ってきました! 縄文先輩が翡翠で作ってた勾玉を弥生先輩やぼくたち古墳でも瑪瑙やガラス玉で作り続けたんです! これはもう、みんなまとめて勾玉時代でもいいんじゃないでしょうか! twitter.com/jomonzine/stat…pic.twitter.com/Y9CZSYCCUW 2020-10-03 10:14:00 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi 戻ってきたら、王子が争いを鎮めていた…。勾玉時代とは!王子さすがです!わたしは墳丘墓までしか作れませんが、王子の終活の際にはぜひお手伝いさせてください! なんて素晴らしいオチ! twitter.com/kotetu2019/sta… 2020-10-03 12:34:20 atsushi_noguchi @fujimicho また仲間外れ... いつものことだから気にしないけど... #旧石器おじさん twitter.com/yummy_okashi/s… 2020-10-03 12:55:59 縄文ZINE @jomonzine おかえり弥生人。王子のおかげで気持ちがおさまったよ。 脱穀野郎とか言ってごめん。みんなでおにぎりと鹿肉持って、古墳にピクニックしに行こう。 twitter.com/yummy_okashi/s… 2020-10-03 15:54:08 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi 旧石器おじ…先輩にも声かけようぜ。 ナウマンゾウの陰で泣いてたぜ。 twitter.com/fujimicho/stat…twitter.com/jomonzine/stat… 2020-10-03 16:40:03 縄文ZINE @jomonzine もちろん旧石器のパイセンも一緒に行こうよ!みんなで火起こし競争だ! twitter.com/yummy_okashi/s… 2020-10-03 18:34:24 古墳王子 @kotetu2019 縄文先輩と弥生先輩が仲直りできて嬉しいです! ぼく最近大陸から来た馬を飼い始めたんで、旧石器先輩と続縄文先輩を呼びに行ってきます! @fujimicho @toki1_tatwitter.com/jomonzine/stat…pic.twitter.com/IG8nNp8KKa 2020-10-03 18:40:02 縄文ZINE @jomonzine @yummy_okashi ということで、突発的に始まってしまった縄文と弥生の喧嘩は古墳君の仲裁で無事仲直りということで一旦おしまいです。好きな時代は違ってもお互いにつながっている連続した一つの歴史ですからね。でも、理解できないこと、文句言いたいことがあったらこれからも仲良く喧嘩できればいいな twitter.com/kotetu2019/sta… 2020-10-04 09:49:46 訳あって一時的に匿名 @yummy_okashi 大団円! きっかけになった陶磁美術館さん( @toujibijutsukan )お騒がせしましたー! twitter.com/jomonzine/stat… 2020-10-04 10:16:28 野次馬たちの様子 ももたん @momotan_miffy @hakucho_kyodai @yummy_okashi そうだ!いっそ、縄文ZINEさんとディスり合いイベントなんてどうだろう? 白鳥さんには、情勢に応じて土偶になったり埴輪になったりしてもらうとか。(白鳥さんの埴輪が見てみたい一心) 2020-09-26 17:01:35 YoshiHR @YoshiHR2 @jomonzine 出た~!大木式はやはりカッコ良い 2020-09-25 22:33:14 かぶ @pinekyou @jomonzine 海だったのに干上がっちゃたりして 2020-09-23 19:31:09 かぶ @pinekyou @yummy_okashi 私も最初はケンカだと思ってました 2020-09-23 00:29:02 まーてぃん @myoukei @jomonzine この掛け合いが流れてくるたび「まだやりあってる!」とうけております。 御先祖さま〜 2020-09-23 15:58:42 山本鷹生 Yamamoto Takao @YamamotoTakao3 @yummy_okashi おにぎり vs どんぐりのラップバトルや 2020-09-22 19:09:15 YoshiHR @YoshiHR2 @pinekyou @jomonzine 縄文ZINE 12に収録してほしい。 かぶ @pinekyou @jomonzine 縄文時代と弥生時代の違いがよくわかりますね 2020-09-22 16:26:57 雪うさぎ @VrJQQQDQJKmiLzY @tspfvl @jomonzine テレビで話題になりそうですね ホント、良い。 2020-09-22 02:56:54 オサーン@歩く灯台 @tatsuro_G @jomonzine 毒マムシ系ですな 2020-09-21 23:55:18 ぽにお @ponyo_love191 @jomonzine あーかわいい 2020-09-21 21:11:43 残念蔵之助 @zannankura @jomonzine 縄文太郎「ちょっと高床式したからって褒められるってなんなの」 弥生さん「シンプルすぎるアイデアに文句有る?」 みたいな感じかな 2020-09-21 20:28:53 村松家 @QmWKAbiZaZEMPNC @jomonzine もう目が離せない。 できればずっと見ていたい 2020-09-21 20:10:12 かぶ @pinekyou @jomonzine いつまでも見てられそう 2020-09-21 19:55:49 たーtspfvl @tspfvl @jomonzine うん、このやりとり何? と楽しませてもらってます これも本になりそうですね。 2020-09-21 19:42:07 雪うさぎ @VrJQQQDQJKmiLzY @ponyo_love191 @pinekyou @jomonzine おもしろ過ぎる 2020-09-21 12:29:28 ぽにお @ponyo_love191 @pinekyou @jomonzine 同感 何ならもう愛おしい 2020-09-21 11:15:30 ねこ さん @Neko3_29Q @jomonzine これ、楽しい ずっとわらって見てます 2020-09-21 19:24:03 中津市歴史博物館 @nakahaku_ @yummy_okashi (面白すぎるんで見てる方はいいけど、たしかに永遠に続くわけにもいかず ) 2020-09-21 19:32:38 かぶ @pinekyou @jomonzine 楽しいなー。このやり取り 2020-09-21 10:47:39 雪うさぎ @VrJQQQDQJKmiLzY @yummy_okashi 登場人物が増え、話題が複雑交叉して面白いが、置いてけぼりギャラリーが出始めたか 2020-09-29 21:11:18 怪奇ういろう男 @52915291toru @jomonzine 新しいキャラクターも参入してきて、益々盛り上がって来ました もう、ワクワクが止まらん\(^o^)/ 2020-09-30 07:33:11 YoshiHR @YoshiHR2 @jomonzine 続縄文のT_Toki( @toki1_ta )さん、そろそろ出番では? 2020-09-30 10:19:24 SO-SO @SOSO68464278 @kotetu2019 税… 2020-10-02 12:15:15 古墳王子 @kotetu2019 @SOSO68464278 皆様に税を納めていただいて国造りを進めております 2020-10-02 16:41:35 極東爆音愛好会第弐師団長 @kyokuto_bakuon @kotetu2019 自分が2年前に発掘に参加した遺跡でも非常に小さな勾玉が出土しました。「よくこんな小さいのを見つけられたなあ。」と周りの発掘員も感心するほどの小さな勾玉でした。 2020-10-03 10:25:28 アクアマリン(Aquamarine) @suou2020 @jomonzine 素敵なフィギュア デザインを見ているともっと知りたくなる どこのどちら様? pic.twitter.com/V4JZZWSCip 2020-10-03 10:30:58 古墳王子 @kotetu2019 @kyokuto_bakuon きっと古代の人の宝物だったんですね 2020-10-03 10:54:21 土師はに @hasihaniii @kotetu2019 勾玉時代!よき呼び名…素敵ですね 2020-10-03 11:28:32 atsushi_noguchi @fujimicho ヒスイじゃないけど、勾玉みたいなかたちのルーツは旧石器時代にもあると思うのですよね。東ヨーロッパの後期旧石器時代の事例。湾曲しているのはキツネ、オオカミの犬歯。 出典:Boric and Christiani 2019 Taking Beads Seriously. Paleoanthropology, 2019: 208−23. doi:10.4207/PA.2019.ART132 pic.twitter.com/DQwwYdGbzL 2020-10-03 12:58:40 DD @kimunkamuida262 @jomonzine @yummy_okashi (^^) でもって・・・ 「仲良く喧嘩」で「トムとジェリー」を思い出す私ゃオッさんです(^^;)ゞ 2020-10-04 18:54:43 YoshiHR @YoshiHR2 @kotetu2019 @yummy_okashi @fujimicho @toki1_ta 火お越しのあとは是非皆さんでキャンプファイヤーを。 twitter.com/YoshiHR2/statu… 2020-10-04 09:29:10
2020年10月31日
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「図書学辞典」長澤規矩也編著 三省堂 後書き(跋とも言うらしい)を見ると、著者の喜寿を記念した復刻版らしき説明。しかしながら、昭和何年刊行の本を復刻したのかわからない。著者の序文(編者や出版の次第を記した文章)を見る限りは、この時のために大幅に書き直したように見える。だとすると、昭和54年段階の新刊本となろう。だとすると、現代利用する辞典としては、いろいろ不満が出てくる。 例えば、我々が通常使用する言葉が出てこない。「新刊本」という言葉はない。「新印本」「新本」として書いている。「新書判」「文庫判」とあり「新書」や「文庫」という言い方はしていないし(もっとも「新書」は、元々は古い綴り本に対応した西洋式装訂本らしい)、「文庫」の場合は「鴎外文庫」というような、個人の蔵書のことを言っている使い方も紹介されていない(「きたきた捕物帖」において北一は本箱たる文庫を売っていたが、この辞典ではその意味は紹介されていなかった。宮部みゆきの造語の可能性はある。辞典では「書函」とか「本箱」が載っていた)。「重版出来」も無かった。ごく最近の使い方なのかもしれない。「出来(しゅったい)」は出てこなかった。「コピー」という項目もない。 悪いことばかり書いているけど、斜め上から読むのは私の性分なので仕方ない。もちろん、参考になったところ多々あった。図書館に返却するまでのあと2週間、手元に置いておこうと思っている。 参考になったのは、以下の部分。 「類」の書評で類の著作を「再販して欲しい」と書いたが、間違いでした。「再販本」は「2度目に出版された」本のことであり、もう一度作り直さなくてはならない。「重版」のほうが正しい。 中国を「シナ」としているのは、著者の見識だろうから私は良いと思う。 「図書」は、書籍の意味の他に、「史記」において「絵図と書類をまとめたもの」という意味で使っていたらしい。書類に絵図をつけるのは、二千年前からの伝統だったことに改めて感動する。 「篇」(もと簡策。まとめをいう語、後世は、一部の書物中の大きなひとまとめをいうことば。)なので、一般に「鬼滅の刃」の「無限列車へん」をいうときに「編」を使っているが、「篇」の方が正しそうだ。 古本コレクターは「稀覯本(きこうぼん)」という難しい漢字をよく使うが、「稀本」のことであり、さらにいえば「珍本」(世間で珍しい本、めったにない本)と同語なので、珍本といえば良いと思う。 因みに古書は(東洋古来の装丁による本)という意味なので、これからは古本を使っていきたい。 「蒟蒻版・ゼラチン版・寒天版」という、とても面白い印刷(コピー)のされ方があった。すべて(紫色の特殊インクで、すべすべした用紙に書いたものを原稿とし、これをゼラチンに水とグリセリンを加えて煮て固めたものに転写し、すべすべした用紙に印刷した本。明治・大正のころ、設計図などはよくこの方法で印刷された)である。青写真版とよく似ているが、青写真版の説明は(青地に白色で文字や図表を表す複写印刷法)と、とっても素っ気ない。ゼラチン版て、いったいどんな印刷に仕上がるのか?とっても気になる。(調べたら、「坊ちゃん」の中で「蒟蒻版」が出て来ているらしい) 現代では失われた語句が多数入れられていて、戦中か戦後直ぐの図書学の本としては、コンパクトで良いのかもしない。中国古典、江戸時代や近代の本を調べる時の語彙については、非常に細やかで調べやすいと思います。
2020年10月30日
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「グリンゴ 最強の悪運男」 (注意。後半ネタバレに言及しています。シャーリーズ・セロン様繋がりで観た。「グリンゴ」とは、手塚治虫の遺作の題名にもなったけど、「よそ者」ということ。メキシコでは、アメリカ人がよそ者になる。‥‥ネタバレとはいったが、題名自体が既にネタバレなんですけど!) これを観て、信心深い黒人が増えるのかもしれない。ハロルドとミッチの聖書論争がこの作品の肝。 「ペテロは3回キリストを否定した。しかし、ユダは良心が咎めて自殺した。それなのに、一方を聖人にした。新訳を俺は認めない」 「いいか、ペテロは信仰が揺らいでいた、ユダは金でキリストを売った。どちらが悪いかは明瞭だ」 なるほど、アメリカではこういう論争があるんだ! この作品には、いろんな有名な「例え話」が出てくる。面白い脚本だった。例え話で人を説得する文化。ある意味、アメリカの一面を見せている。 結局物語は、神を信じるものは救われるという話に行き着いた。二転三転、社会派の顔をしていてクライムサスペンスの映像になっているが、結局は「おとぎ話」でした。 シャーリーズ・セロン様は小悪党の女狐を演じていて流石。お咎めなしになったのは、彼女のプロデュースだったからなのね。とりあえず、セロン様出演作のコンプリート鑑賞はこれで果たしたと思う。 ところで、今、日本の映画館ではかつてないことが起きています。コロナ禍で洋画配給が次々と延期を決定して、ほぼ邦画しか上映作品がないという事態が起きています。「浅田家!」予告編では、なんと11作品も予告がかかって、それが全て邦画! 他の邦画もほぼ同じ。もう2度とこんな予告編は見られないと思います。 後々まで語り草にするために是非映画館に足を運ぼう! さて、洋画が懐かしくなったので、例外的にここに載せました。暫くはDVD映画を載せることはないと思う。 (解説) 正直者でお人よしな性格から貧乏くじばかり引いている男の逆転劇を痛快に描いた、シャーリーズ・セロン製作&出演のエンタテインメントドラマ。朝から晩までまじめに働いていたハロルド。会社からクビを言い渡され、友人だと思っていた経営者にだまされ、最愛の妻まで横取りされてしまう。人生のどん底に突き落とされたハロルドは上司のリチャードと性悪女のエレーンへの復讐のため、出張先のメキシコで偽装誘拐を企て身代金5億円を奪う作戦を実行する。しかし、ハロルドが死ねば会社に保険金が入ることに気づいたリチャードは殺し屋を雇い、ハロルド殺害をもくろむが……。「グローリー 明日への行進」でゴールデングローブ賞にノミネートされたデビッド・オイェロウォが主人公ハロルド役を演じるほか、リチャード役をジョエル・エドガートン、エレーン役をセロンがそれぞれ演じる。 (キャスト) デビッド・オイェロウォ ハロルド シャーリーズ・セロン エレーン ジョエル・エドガートン リチャード タンディ・ニュートン ボニー ユール・バスケス エンジェル シャルト・コプリー ミッチ アマンダ・セイフライド サニー (監督) ナッシュ・エドガートン 2020年10月27日 DVD鑑賞 ★★★★
2020年10月29日
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「ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋」 いやあ、まさかこんな作品とはおもわなかった。 ブッシュ似の俳優出身の大統領と、トランプ似のメディア王に挟まれた、国務長官であり時期大統領候補(シャーリーズ・セロン様)、そして恋人になるマイケル・ムーア似のジャーナリスト。まるで、現代版「ローマの休日」のコミカライズではあるが、まるでハッピーなラストに向かう。 ラストで、つい「彼」は口を滑らせる。「JFK事件の犯人は誰か、知ったら驚くぜ」やっぱり政府は知ってるんだ! いやあ、シャーリーズ・セロン様、時には片腕の反乱者、時にはクールな極悪人、そして遂には女性大統領候補に!しかも今度はプロデューサーも!素晴らしい!一生ついていきます! (解説) 才能あふれる国務長官とさえないジャーナリストが織り成すラブコメディー。『タリーと私の秘密の時間』などのシャーリーズ・セロンふんする高嶺の花に恋するジャーナリストを『スモーキング・ハイ』などのセス・ローゲンが演じるほか、『猿の惑星』シリーズなどのアンディ・サーキス、『ターザン:REBORN』などのアレキサンダー・スカルスガルドらが共演。『50 / 50 フィフティ・フィフティ』などのジョナサン・レヴィンがメガホンを取った。 あらすじ アメリカの国務長官として世界中を駆け回るシャーロット(シャーリーズ・セロン)は、大統領選への出馬に向けて、選挙のスピーチ原稿をジャーナリストのフレッド(セス・ローゲン)に依頼する。フレッドは、常にその動向が注目されるシャーロットと行動するうちに、自分とは不釣り合いと知りながら彼女のことを好きになるが、その先には幾多の難関があった。 (キャスト) シャーリーズ・セロン(シャーロット・フィールド) セス・ローゲン(フレッド・フラスキー) オシェア・ジャクソン・Jr(ランス) アンディ・サーキス(パーカー・ウェンブリー) ジューン・ダイアン・ラファエル(マギー・ミリキン) ラヴィ・パテル(トム) ボブ・オデンカーク(チェンバーズ大統領) アレキサンダー・スカルスガルド(ジェームズ・スチュワート首相) (スタッフ) 監督 ジョナサン・レヴィン 脚本・原案 ダン・スターリング 脚本 リズ・ハンナ 製作 シャーリーズ・セロン A・J・ディックス 2020年10月17日 DVD鑑賞 ★★★★
2020年10月28日
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「本 森に帰る」吉津耕一 農文協 古本コレクターには有名書店なのかもしれないが、わたしはweb記事で最近になって知った。 福島県南会津の不便な山奥・只見町に、日本一の蔵書を持つ古本屋さんがある。どうしてそんなことが成り立つのか。それは、経営力の高さというよりも、志の高さによって実現した夢の古本屋である。 「古本で地域おこしをしよう!本には吸引力がある!」 現代の状況については以下のサイトを見てもらいたい。 蔵書150万冊を誇る古書の聖地「たもかぶ本の店」で、本の森の賢者はかく語りき – Michino http://michino.jp/travel/1841 わたしは、この古本屋が軌道に乗った直後に仕掛け人の吉津耕一さんが書いた「この古本」(1995年刊行)を読んで感想を述べる。 16年前の時点で35万冊の本が集まり、日々増えているらしい(2018年は150万冊)。「都会の狭くて高い空間に眠っている本引き取ります」。値段は付けない、「交換」する。条件は、一般書籍・コミック・文庫・選書・ファミコンソフトを定価の一割で、CD・LDを定価の2割で引き取り、代価が、1670円になれば「たかもく」所有の雑木林一坪と交換する。実際には登記料に2万円かかるので、300坪に増えた後に登記を勧める。山林の利用は、家を建てるとか、キャンプするとかは向いて無くて、材木伐採や山菜狩とかに利用するのを勧めている。 ‥‥私ならば、300坪は死ぬ間際かな。50坪ならば今すぐにでもできそうだ。 自分の土地を持てば、年に一回は行ってみようかな、と思える。キノコ狩りなんかして、帰りに150万冊から「お宝」を探して持って帰って‥‥ 本書には、古本屋を始めるきっかけから、始めて一年余りのことが、まるで日記のように詳しく語られている。文章力はあるんだけど、若干構成が散漫。でも面白かった。
2020年10月27日
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「類」朝井まかて 集英社 森鴎外を知れば知るほど巨大な人物に見えてくる。作家としても、思想家としても、政府要人としても大きな足跡を残した。そして森鴎外は一方で類稀(たぐいまれ)なる家庭人だった。於菟(オト)、茉莉(マリ)、杏奴(アンヌ)、類(ルイ)の兄弟姉妹は、その海外でも通用する名前をもらって、愛情もって育てられる。二章目で森鴎外は亡くなり、そのあとは戦後のずっと先までの彼ら家族の物語になる。 類が森鴎外の才能を受け継いだわけではない。むしろ(言及は一切ないけど)軽度の発達障害だったかもしれない。知能に障害があるわけではないが、成績が上がらない。凡ゆることに集中が続かず不器用だ。遂には中学校を中退する。ただ、遺産相続があり、一家は一生困らない生活ができると思っていた。 底辺にいる末弟の類を通して華族的な森一家を見れば、森一族の世界が立体的に見えるだろう。というのが、作者の「狙い」だったのではないか? 現在我々が簡単にその著作を手にすることができるのは、長女・森茉莉の作品だけである。しかし、次女の小堀杏奴の才能も素晴らしかった。4人兄妹や鴎外の妻や叔母の金井美恵子さえも本を出している。森類「鴎外の子供たち」(ちくま文庫)は、本書を機会に是非とも再販して欲しいものだ。 一転、戦後家族人となった後の貧乏生活。世間一般の極貧とは違うが、初めての会社勤めをして類は1か月後に丁寧に追い払われる。後に同僚から言われた「役に立つ、立たないじゃないんですよ。あなたのような人が生きること自体が、現代では無理なんです」との指摘がキツい。類がそのホントの意味を分かり得ていないのもキツい。 それでも、類たちには貴重な「体験」という資産があり、類は姉以上の記憶力を活かしてなんとかモノになる本を書く。尚且つ僅かばかりの本物の資産もあり、最後まで落ちぶれず(姉の茉莉は「贅沢貧乏」という形で精神の華族を表現した)彼ら森一族は昭和を生き延びてゆく。 森一族という狭い眼鏡から観た昭和史。森鴎外という巨人の影からどうしても自由になれなかった芸術家の子供たちという「運命」。でも決して不幸ではなかった。それは彼らにあった「森鴎外の名前を汚しててはならぬ」という使命感が、彼らの顔を上に向かせていたからではないか?偉大な「パッパ」を持った一族史という「小説」だったと思う(同様の一族で、私は手塚治虫の子供たちを思う)。 表紙は類の絵だ。観潮楼(団子坂の鴎外邸)の、鴎外が手入れした花畑に違いないと思う。 ※細かいところまで神経が行き届いている。観潮楼に生えている郁子を見ては「郁子なるかな」と祖母が呟いているエピソード。「むべなるかな」の元ネタを踏まえてのことだけど、それ以上の説明はない。ウィキにさえ載っていないモノネタである。 森一族への直接取材も可能だったらしい。恐ろしいほどの取材を経て綴られた。約500頁、読み応えのある「小説」だった。
2020年10月25日
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「進撃の巨人」24-32巻 諌山創 講談社 平成の漫画の象徴(代表作ではない)を、ひとつだけ選べと言われれば、発行数・影響力ともにこれを選ばざるを得ないだろう。今まで17、23巻の時にレビューし、「あと5巻以内に終わるだろう」と言ってしまった。ごめんなさい。令和になっても刊行は続いている。一回でまとめる自信がなくなった。次次回ぐらいに終わる可能性があるが、ここらあたりで一度書いておきたい。 こういう話で、私の関心は、キャラがどうのこうのという風には向かない。いつも物語の構造に関心が行く。物語は未来譚なのか、過去譚なのか。始原の巨人は何故出現したのか。よって、作者は「何故」これを描き始めたのか?だから、そういうことに関心がない方は以下は読まなくて良いと思う。 舞台は、小さなパラディ島「閉じられた世界」から大陸含む「開かれた世界」に移った。1900年代ぐらいの文明を保っている。日本みたいな国もある。日本人じゃなくてアズマビトと呼び名が違う。飛行機は開発されたばかりで、連合艦隊が最新鋭の軍隊である。完全パラレルワールドであり、どうやら現代世界の過去譚でも未来譚でもないようだ(私はその可能性も考えていた)。 どう考えてもエレンの目的は常軌を逸している。エレンの観た未来とは何だったのか? 32巻の冒頭で繰り広げられる、復讐の連鎖についての「対話」は、非常に象徴的で重要な場面だった。けれども繰り返し予定調和を否定する。それがそのまま現代の平和情勢を反映しているように思える。 生まれた時から「世界は残酷」だった。油断すると食われてしまう。マーレ人はエルディア人について「世界の火薬庫であり、かつての歴史的災厄をもたらした呪われた人類の巣窟であり、ほとんど人間ではない」と教育している。エリートの少女は、何巻もかけて、実はマーレ人もエルディア人も同じ人間であることに気がつく。それは平成時代から日本人が持っている世界認識の課題かもしれない。一方でエルディア人たちは、仲間内の絆をホントに大切にする。ところが、その仲間内でさえ、大きな裏切りが存在した。いったん仲違いした、それらの仲間たちが32巻でまた共闘を組むのは、思うに、作者の狙いだろう。 「鬼滅の刃」よりも遥かに複雑なストーリー。二重三重のカラクリ箱を作って結論という中身を見せようとしている。カラクリの鍵を押したり引いたり、行ったり来たりしないと次のステージに行けない。カラクリは読ませるための技術である。わたしは箱の中身が気になる。結論を何処に持ってゆくのか。それを見ないことには、わたしも軽々(けいけい)に評価を下せない。
2020年10月25日
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「鬼滅の刃」1-11巻 吾峠呼世晴 集英社コミックス 話題の作品をとりあえず11巻まで一気読み。次は完結した後に読み終えるつもり。映画になっている「無限列車」篇を通り過ぎて、「遊郭」篇まで行った。 ジャンプ伝統の王道バトル漫画である。相手はどんどんレベルアップしていき、それに対抗して主人公たちもどんどんレベルアップしていく。 「頑張れ炭治郎頑張れ!俺は今までよくやってきた!俺はできる奴だ!そして今日も!これからも!折れていても!俺が挫けることは絶対にない!」 泣きたくなるような真面目でそして優しい男・炭治郎。(3巻) 「善逸、極めろ。泣いていい、逃げていい、ただ諦めるな。信じるんだ、地獄のような鍛錬に耐えた日々を。お前は必ず報われる。極限まで叩き上げ、誰よりも強靭な刃になれ!一つのことを極めろ」 極めた先の希望の男・善逸。(4巻) 才能を罵倒された者。 DVで苦しんできた者。 両親に愛されていないと勘違いした者。 「醜い化け物なんかじゃない。鬼は虚しい生き物だ。悲しい生き物だ」(那田蜘蛛山篇)(5巻) そして、「無惨」のあまりものパワハラ! 遂には、 アニメ「鬼滅の刃」社会現象化 ボス鬼が「菅首相そっくり」とウワサ…セリフにも類似点 https://news.yahoo.co.jp/articles/d5606f1e8ef56dd88445118a8ffb79cd90424b47 という「記事」まで登場した。 「人にされて嫌だったこと、苦しかった事を、人にやって返して取り立てる。自分が不幸だった分は、幸せな奴から取り立ててねぇと取り返せねえ」(10巻・鬼の中間幹部・上弦の陸のセリフ) ←これはそのまま相模原事件・死刑囚植松のセリフのような気がする。 わたしは、「鬼滅の刃」は時代の産物だと思う。生まれた時から「就職氷河期」「格差の拡大」「いじめの日常化」「ブラック企業の増大」が当たり前の世の中になっている平成に生きた作者だから作られた作品だと思う。今の若者には信じられないかもしれないが、これらのことは昭和の中頃から終わりには(社会問題化できるほど洗練されて)起きていなかったのだよ、ホントです。でも一方で、「清らかなもの」も信じていられる。ずっと平和は続いてきたから、だ。平成生まれは絶望はしていないのである。その象徴が「炭治郎」であり、鬼の血を受けても人間でいられる「禰豆子」なのだろう。 かなり難しい漢字を使っている。それでも拒否されずに受け入れられるのは、やはりマンガの力なのだろう。 上弦の鬼たちになると、もはや鬼の幹部なので、中間管理職の悲哀がにじみ出ている。 ストーリーのメリハリは、8巻ごろから濃度が薄くなっているかもしれない。ここまで来れば、最終巻までもう止まらない。 ※ミヤネ屋の宮根誠治が「泣いた、泣いた」とはしゃいでいるのを見ると醜悪さを感じる。ブームに乗っかろう、或いはブームを作ってやろうという「大人の思惑」を感じるし、こういう鬼が出てきてもおかしくはないな、と「臭う」。
2020年10月23日
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1か月以上前にたまたま見つけたサイトで予約したのだけど、高級ホテルに泊まってフランス料理コースを食べた。 フランス料理付き宿泊が約1/3になっただけでなくて、二つのクーポンが4000円分ついて、実質18900円が1000円ほどの負担になった。多分生涯で1番のお得旅だと思う。 突き出しみたいな感じで、セロリの「ブイヨン展ド・レギューム」要は野菜の煮詰め液。普通に美味しい。 赤白ワインセットを頼む。先ずは白ワイン(ブルゴーニュ・シャルドネ・ハイ・ジャド・ド・バッカス2016 グラス2000円相当) 白ワインが美味い。ほんのり甘み。ブルゴーニュのシャルドネ、やはりこうでないと。パンはさつまいもパンとフランスパン。アミューズは、豚足のコロッケと南蛮漬け。 鯛のタルタルと赤大根のサラダ仕立てと海老のムースのキャビア添えという大仰な料理。腹に入った気がしない。これぞフランス料理の真髄か。白ワインの甘みが際立つ。 フォアグラの濃厚なあぶらみ。白ワインでの飲むと辛味が強調されるけど、赤ワイン(ジェイコブ・スクリーク・ダブルバレルシラーズ・オーストリア グラス1600円相当)で飲むとタンニンとうまく調和した。白と合わすときは甘いワインを選んでくださいとのこと。猪豚のラヴィオリ包も美味しかった。 鯛のカダイフ包み。香草マスタードのソース。と帆立貝添え。しっかり食べさせてくれた。このぐるぐる巻きがカダイフ?香草仕立てと言われなければ気がつかないほどの繊細さ。フランス料理は、味がハッキリしない。日本料理みたい。 シラーって、しっかりタンニンがあるんだ。 りんごのシャーベット(お口直し)! なぎ牛の網焼き。発芽マスタードのソース。美味しい牛は、こんなにも脂を中に入れているんだ!しっかりワインが受け止める。もう少し複雑なワインでもよかった。 チーズ盛り合わせ。右から白カビ、青カビ、ゴーダチーズ。白カビは初めてかも。甘い。 砂糖入れはこんなスプーンを使うんだ! デザートはモンブランアマファソン(モンブラン自家製)。栗のアイスクリームとカシスのソース。 カシスって、少し酸味があるんだ。 ミアルディード(お茶菓子)。 良い経験をさせてもらった。
2020年10月20日
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「この国の不寛容の果てに」雨宮処凛その他 大月書店 「障害者は不幸を作ることしかできません」と言って障害者施設で19人を殺害した相模原事件。一報を聞いて、雨宮処凛は「とうとう起きてしまった」と思ったという。 2000年代に始まった、自己責任論の蔓延、ヘイトデモ、嫌韓嫌中ブーム、生活保護や貧困パッシング、2018年に杉田水脈の「LGBTには生産性がない」発言。 実はその前には公務員パッシングもあった。「いい給料をもらい、安定した雇用のもとに楽をしている。」と。 ←このように並べると、政治家はこれらの意見に乗ってその後の悪法や経済政策、外交を進めたのだと気がつく。まさか、内閣調査室が仕掛けた!? 「公務員を通り越して、生活保護利用者や障害者が「特権」とみなされるなんて、この国の人々の生活はどこまで地番沈下してしまったのだろう」 (11p)と雨宮処凛は嘆く。 ←学術会議任用拒否問題に対しても、同じ構図が広がっている。「彼らは特権階級なのに、何を守ってあげる必要があるのか」。 この序章の「問い」から発して、雨宮処凛は6人の識者と対談をして、昨年9月に発刊した。基本的に彼らの意見に9割方賛成する。問題点はかなり整理されて提示されている。が、紹介しない。 「事実はなぜ人の意見を変えられないのか」ではないが、世界の片隅でひっそりと語られた会話では、その流れは止められない、止まらない。 彼らの幾人かは植松被告と直接対話を試みたが、もはや植松被告に聞く耳は無かったようだ。 加藤周一は、世界を変えるのは「科学」ではなく「文学」だと言った。それは狭義の意味ではなく、かなり広い意味であることは明らかである。文学といい、哲学といい、歌といい、体験といい、世界観が変わるためには特別なモノが必要なのだが、正解はない。わたしはずっと「体験」が必要だと思っていた。生活保護問題にしても、貧困問題にしても、パッシングしている人は、彼らと「直に」関わっていなかったからだと思っていた。けれども植松被告は、「やまゆり園」そのものに勤めていたのだ。予め殺すべきだ、と思って勤め出したとしても、直に接することでその世界観に揺らぎは起こらなかったのか?わたしは自説を修正せざるを得ない。 どうして、バブル時代は公務員パッシングが生まれなかったのか?植松被告はこのまま「借金が膨らむと大変なことになる」と犯行に及んだが、どうしてステルス戦闘機F35を6.2兆円で147機購入(維持費含む)することに、大きな非難の声が上がらないのか? いかん、ダラダラ言葉を並べ出した。何の意味もないのに。 植松被告については、それから一年後死刑が確定し、これ以上の事件の解明は難しくなった。 ※テレビで「鬼滅の刃」を見ていると、なぜか植松被告が、悲しい運命を持つ鬼たちの姿と重なった。アニメもこの事件も、時代が作っていることでは共通性がある。
2020年10月18日
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「読みなおす一冊」朝日新聞学芸部編 朝日新聞社 「読みなおす一冊」という書評集を読む視点を、わたしは「紹介される本」というものではなく、「わたしならばどう書評を書くか」という視点で読んでしまった。よって、150人ほどいる評者の中から、わたしは、知っている作家で、かつ知っている(必ずしも読んでいない)本を中心に見てゆく。 参りました、が★★★。 良いんじゃないの、が★★。 わたしとどっこいどっこい、が★。 ⚫︎瀬戸内寂聴「にごりえ」 未読。寂聴は「樋口一葉は処女では無い。半井桃水だけでなく、久佐賀義孝にも身をまかせただろう」と推察している。作品の中にある「女の子に肉の秘密」。寂聴の真骨頂。★★★ ⚫︎石牟礼道子「黒い雨」 石牟礼道子にかかると、わたしの読んだ「黒い雨」とまるで違う世界が広がる。広島の町を遡上するウナギの幼生。「やあ、のぼるのぼる。水の匂いがするようだ」★★★ ⚫︎水木しげる「雨月物語」 水木しげるは「上田秋成センセイ」と呼んでいるんだ!唯一、わたしにも書けそうな書評だった(^_^;)。でもわたしには水木しげるのような「体験」はない。★ ⚫︎つかこうへい「リア王」 全くの新解釈!楽しい!★★★ ⚫︎開高健「嘔吐」 わたしは「嘔吐」は未読だったが、サルトルについては1家言あった。開高健の書評の密度と精度には感服しかない。★★★ ⚫︎樋口敬二「雪」 中谷宇吉郎の「科学のすすめ」的な性格を書いているが、学者の文章で、感情に訴えるように書いていない。★★ ⚫︎都筑道夫「日和下駄」 未読。永井荷風の東京散歩らしい。歩けば今でもほんの少し面影があるらしい。‥‥それから35年。現在はどうなっているか。歩いてみたい。★★ ⚫︎寿岳章子「第二の性」 中学生の時に「いやらしいことを書いているのに違いない」と思ってドキドキしながら買ったわたしのエピソードとは真反対の真面目な書評でした。「82年生まれ、キム・ジヨン」と比較をしたら面白いかもしれない。★★★ ⚫︎前登志夫「遠野物語」 文章は素晴らしいのだけど、ほとんど遠野物語の力かもしれない。でも選択と紹介順番は良かった。★★★ ⚫︎梅原猛「ツァラトストラかく語りき」 途中本。哲学者が人生で最も影響を受けた本を語るのに、3000文字も要らない。脱線を含めて、面白く見事に纏めていた。★★★ ⚫︎中島梓「モンテ・クリスト伯」 未読。簡易版は読んだが、それは原作とは似ても似つかないものだと「書評家」中島梓はバッサリ。彼女の生涯ベストワンという作品。「私はこの本を読んだから小説家になったのだし、私の書きたいのはこういう小説だけなのだ」と100巻にも渡る世界最長の小説を書いた栗本薫の言葉も飛び出した。★★★ ⚫︎駒田信二「吶喊」 駒田信二がこんなにも魯迅の労働者性に寄り添って書くとは!★★★ ⚫︎手塚治虫「銀河鉄道の夜」 長くなります。結論部分の「ジョバンニは狂言回し、性格的にも描写的にもカムパネルラが賢治自身」については、説得力はない。狂言回しは手塚自身がよく使った創作作法だし、全ての登場人物に作者自身が投影されるのは理の当然。問題は何故書いたか、だろう。カムパネルラで描きたかったかのは、やはり妹の行末だろう、と私は思う。手塚はあまりにも忙しくて思いつきを書いたと思う。それよりも、注目すべき言葉がある。(1)作品は、かなり難解だが映像化と音の時代の現代になって、世代が受け入れることになった。と手塚はいう。←だとすれば、VR時代の今こそ理解される作品だろう。(2)「ひたすら書きつづって忘れてしまう種類の作品がけっこうあるのだ。ぼくの資料戸棚の引き出しを開けると、未完成原稿がぞろぞろ出てくる」←おいおい、聞いてないぞ(「ロストワールド」以外にもぞろぞろあるのか?)!遺族が隠し持ってるのか?★★ ⚫︎常盤新平「ゴッドファーザー」 原作は未読だが、あの長い映画は三作を三度観た。過不足なくあの世界を評価して凄い。原作を読みたくなった。★★★ ⚫︎松谷みよ子「せみと蓮の花」 未読。しかし、老齢の童話作家が、故人の童話作家・坪田譲治が書いた、老いと死をテーマにした作品の書評をしている。しかも坪田譲治は松谷みよ子に賢治の「春と修羅」を渡して「およみなさい」と言ったらしい。何か深淵の謎がある。★★★ ⚫︎曽野綾子「夜と霧」 未読。しかし、何故か内容は承知している、と思っていた。曽野綾子は、そういう賢しらな認識を覆す。★★★ ⚫︎結城昌治「きけ わだつみのこえ」 「若い人たちに、今こそ読んでもらいたいと思うのである。新婚旅行でハワイやグアムへゆくのも結構、ゴルフや野球見物をたのしむのも結構だが、現在の経済的繁栄がいつひっくり返るかわからない時代がしのび寄っていることにも気づいていいころなのだ」中曽根の「戦後政治の総決算」について語っているが、もはや手遅れ?戦中生き残りの貴重な言葉。★★★ ⚫︎杉本苑子「枕草子」 現代語訳を終えて彼女は約35年前に、巷に広まる「定子中宮を庇った」説を退け「本来非政治的な女性なのだ」と自説を覆す。通常3000文字の書評が、ここだけ倍化している。現代の枕草子研究者は、この杉本説をどう評価しているのか?★★★ ⚫︎中村真一郎「風立ちぬ」 師弟関係にあった弟子が、読みなおす書評。何をか言わんや。「80年代の現在では、既に失われてしまったものばかりによって成立している」★★★ ⚫︎淀川長治「チャップリン自伝(前半)」 未読。淀川さんは未だ全部読み切れていないらしい。チャップリンをあまりにも好き過ぎて、少しずつしか読めないからだ。よくわかる。私にもそういう本が1、2冊ある。★★★ ⚫︎大岡信「東西遊記」 未読。江戸時代寛政年間に刊行、橘南谿の紀行文。中国・九州・四国・関東・東北・北陸で、風俗習慣、珍談奇談の聞き取り、天明大飢饉の描写。「奥の細道」等々の人墨客趣味の紀行文とは真反対、現在のノンフィクションに近い本。流石大岡信、文章発掘の達人。★★★ ⚫︎河合隼雄「グリム童話集」 子どもの時の「何故そうなるのか」を、後年心理学者として見事に解き明かした半生を書く。★★★ ⚫︎堀田善衛「山家集」 書評というよりか、評伝。しかも、現代にも根深い遁世者としての西行ではなく、「怪異にして、巨人」の姿を顕にする。定家にあまりにも力を入れ過ぎた。西行についても書いて欲しかった。★★★ ⚫︎佐藤忠男「トリスタンとイゾルデ」 書評というよりか、文化批評。近松心中物語と中世騎士物語の大きな違いは、青二才か、剛気な騎士か。上原謙、佐田啓二はラブシーンを演じるが、三船敏郎や仲代達矢は演じない。しかし、西洋ではジョン・ウェインやスティーヴ・マックイーンは演じる。★★★ ⚫︎加藤周一「渋江抽斎」 途中本。「探偵小説以上に面白い」。つかみから入って、森鴎外の、この無名の人物の評伝の魅力を余すことなく伝える。思うに、書評のお手本のような書評。★★★ ⚫︎岡野弘彦「死者の書」 愛弟子のお師匠さん(折口信夫)の代表作の書評にしては、愛が足りないと思うのは、私の無い物ねだりか。★★ ⚫︎中野孝次「測量船」 未読。あゝそうだ、三好達治という詩人が居た、戦中も軍歌を書かず、「平明さのなかにある深さ」。★★★ ⚫︎眉村卓「聊斎志異」 途中本。子どもの頃からずっと読み続け手元に置いている。この積み重ねが、最晩年の妻への短編集に繋がったのかも。★★★ ⚫︎大岡昇平「山月記」 「構成の緊密さと簡潔硬質な文体」それはそのまま大岡昇平にも言える。★★★ ⚫︎山下洋輔「裸のサル」 ちょうど山下洋輔さんと同じ頃(74年)、わたしも読んだ。本のインパクトは巨大で、現代はいろんな面で発展、或いは批判されている。流石山下さん、硬軟織り混ぜて優しく書いている。★★ ⚫︎尾崎秀樹「大菩薩峠」 未読。えっ?宮沢賢治が「二十日づき、かざす刃は、音なしの、虚空も二つと、きりさぐる、その竜之介」と詠ったの?大逆事件の2年後から連載された、この大長編小説のインパクトを解説して大変面白かった。★★★ ⚫︎澤地久枝「アンネの日記」 アンネより1歳下らしい澤地久枝は、50歳代になってやっと紐解いたらしい。未だこの時は完全版は出ていない。当然、歴史的責任に筆が傾く。★★★ ⚫︎井出孫六「夜明け前」 未読。島崎藤村の本書が、昭和4年から6年間書き続けられたことを知り、夜明け前の希望が暗いままで終わるのは、時代を反映している可能性を知った。俄然読みたくなった。★★★ ⚫︎米倉斉加年「鶏の卵ほどの穀物」 未読。1番脂が乗り切った頃の俳優が、トルストイ舞台化の舞台裏を書いた。★★ ⚫︎副田義也「忍者武芸帳」 おそらく何度目かの書評だと思う。4度目の読み直しらしいが、こんなことぐらいしか書けないのか、と思う。★★ ⚫︎篠田正浩「曽根崎心中」 近松門左衛門は、事件を知って1ヶ月後に上演に漕ぎ着けたらしい。現代週刊誌並みの早さではあるが、監督はその現代性を余すことなく語る。映画化して欲しかった(なぜ「鑓の権三」の方を映画化してしまったんだろ)。★★★ ⚫︎紀田順一郎「奇巌城」 ルパンものの魅力を説得力持って書いた。★★★ ⚫︎近藤芳美「野菊の墓」 歌人の伊藤左千夫が、なぜ純愛小説を書いたか。★★★ ⚫︎伊藤比呂美「シートン動物記」 この頃彼女は未だ20代だったはず。「わたしは、思いっきり動物を殺してみたい」若さに溢れた書評。★★★ ⚫︎椎名誠「さまよえる湖」 未読。椎名誠の生涯ベストワン。何故かというと、奥さんと知り合ったキッカケを作った本だから。いかにも!という書評。★★★ やはり物書きの専門家には敵わないという結論に至った。1984年から1987年にかけての書評集。現代まで生きている人を探す方が易しいほど。しかも、これを書いて3年以内に亡くなった方があまりにも多い。そういう意味で、豪華で貴重な書評集。
2020年10月17日
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県労機関紙に投稿した今月の映画評です。 「沖縄スパイ戦史」 2018年に観た97本の中で、マイベストワンに選んでいた作品を紹介します。なぜ今になったかというと、あまりにもマイナーなドキュメンタリー作品なので、レンタルはおろか、未だ販売さえされていなかったからです。半分紹介は諦めていたところ、なんと先月25日にDVDが売り出されました。是非観て欲しい。直ぐ返してくれるならば、私がお貸ししてもいい。 優れたドキュメンタリーの条件はなんでしょうか? (1)それまでの常識をくつがえす事実が提示できていること(2)フィルムの中で、想定外の映像が撮れていること(3)監督の明確な主張があること。コレだと思います。 十数回沖縄に行ってきた私でも、知らなかったことばかりの映像でした。 沖縄戦と言えば、米軍との戦闘で二十万人も犠牲になった「表の戦争」を思い浮かべますが、ここで記録されているのは秘密裏に展開された「裏の戦争」です。 作戦を担ったのはスパイ養成で有名な陸軍中野学校を卒業し沖縄に送り込まれた軍人たちで、彼らは沖縄北部で15-17才の少年兵を組織して千人の「護郷隊」をつくりゲリラ戦をやらせ、負傷兵を殺し、住民たちには住民同士を監視させ「スパイ虐殺」を演出しました。さらには八重山諸島の島々では、食料確保、情報漏洩阻止のために島民が危険視していたマラリア有病地帯へわざわざ強制疎開させて波照間島民の1/3にあたる477人が発病、殺したのです。コレが(1)に当たります。 (2)として、インタビューの中で、ある住民が「敵と通じているかもしれないから殺す」と言って住民をスパイとして見殺したと告白した場面があります。戦後75年目にして、関係者は次々と亡くなってゆき、証言する人が居なくなる今だからこそ撮れた決定的証言でした。 貴重な映像を撮った監督2人とも(3)の明確な問題意識を持っていました。「沖縄で行われた事は本土決戦が行われたら全て実現されていた。民を守るためではなく、国体を守るためだった。過去の話ではない。現代の自衛隊法にもその伝統は生きている。現在沖縄諸島に次々と作られているミサイル基地は、再び民を犠牲にする施設になろうとしている」 (2018年三上智恵・大矢英代監督作品、定価4180円+送料、アマゾンプライム会員価格3218円、特典映像も凄く充実していました)
2020年10月16日
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「そして、バトンは渡された」瀬尾まいこ 文春文庫 そして、レビューのバトンは渡された。 一周回って、今の時期に読んで、 「暖かな気持ちになった」「最後のシーンに涙した」「みんな愛に溢れている」 と書いても二番煎じな気がする。 わたしはひねくれているので それに、本屋大賞受賞作はたいてい映画化されるので プロデューサー目線で書きたいと思う。 本来そろそろ映画化発表ニュースが流れてもいいのに 何故未だグズグズしているのか それは、これが映画化がとても難しい作品だからである 17歳の時点で母親2人、父親3人、名字は4回変わったけど 「困った。全然不幸ではないのだ。少しでも厄介なことや困難を抱えていればいいのだけど、適当なものは見当たらない。いつものことながら、この状況に申し訳なくなってしまう」 と呟いてしまう優子ちゃんが主人公である。 小説ならば、彼女の心理はその度ごとに描かれるので 問題はない 映画ならば、本来ならば理不尽な行動をしてしまう 親たちを許してしまう主人公に 鑑賞者は、果たして共感できるだろうか いくら親たちが真から優子ちゃんを愛していて 名優がそれらしき演技をしても それを信じてしまうためには、 17歳と10歳の少女に かなり説得力ある演技をしてもらわなくてはならない そんな俳優が果たしているのか 人選に困っていると思う。 確かにみんな良い人たちばかりで みんな愛に溢れている から、こんな奇跡が起きたのだと思う。 でも、リアルに映像化すれば (リアル感のない映像化は考えられない) 小説の中で言葉にされていないことを 表現しなければいけない 優子視点で語られた物語は、 梨花さん視点、水戸さん視点、泉ヶ原さん視点、森宮さん視点が必ず入る。 すると全く違った景色になる それでも愛の奇跡を起こせるのか 優子は自覚していなかったけど、 普通の子供よりも遥かに強くなり そしてホントは傷ついていた それを描かないとホントの感動は取れないと思う 一つの可能性は、17歳役は(既に20歳近いけど)「義母と娘のブルース」で好演した上白石萌歌。でももう一皮剥ける必要がある。 少女役は思いつかない。 親たち役は上手い役者が多いからなんとでもなる 難しいのは脚本家と監督だ。 頭が痛い。やっぱり映画化は無理かな。 というわけで、誰かにバトンを(^_^;)。
2020年10月14日
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「消えた映画館を探して〜おかやま、昭和の記憶〜」鷹取洋二 吉備人出版 かつて昭和という時代があり、どの市町村にも必ず映画館の一つや二つは存在した時代があった。そこが地域の娯楽の殿堂として確かにあったはずなのに、その映画館の場所も名前も、いまや覚えている人はどのくらいいるだろうか?現在は駐車場や民家になって当時の面影は一つもないとなれば、名前を失念しても仕方ないのかも知れない(←私のことです)。しかし、果たしてあの目眩く銀幕の世界の記憶を失くしてしまって良いのか? 鷹取洋二さんは、岡山県下の消えた映画館なんと147館を、諸資料や新聞記事、直接訪問しての地域住民に聞き取りなどの取材を経て、当時の様子や過去と現在の写真、映画最盛期の上映作品、最終日の上映作品などを突き止め記事にしています。恐るべき労作といえるでしょう。 実は私の参加する映画鑑賞サークルのことが、少し紹介されています。先輩たちが平成10年度に作成した「岡山映画100年映画館変遷史記録集」が、主な参照資料として使われていいるからです。先輩たちは苦労して岡山市の昔の映画館があったところを突き止めました。ただしそれは岡山市内の映画館に限られていました。 本書は岡山市や倉敷市の全ての映画館を網羅しているのは当然のこと、市或いは郡の、例えば真庭郡「勝山東映」などの小さな映画館の場所と開館閉館時期を特定しているのです。これが如何に大変なことかは、私たちは先輩の苦労話を聞いているだけによくわかります。そして、ホントに貴重な資料ができました。本書「おわりに」に書いているように、これは「昭和の記憶遺産として岡山の映画館史を後世に残す」取り組みです。 記憶遺産だと、ホントに思います。 わたしの感想を述べるならば、忘れつつあった「映画館の名前」「閉館時期」「場所の地図」「最後の上映作品」を読むことで、まざまざと多くを思い出しました。 初めて子供だけで見に行ったのは、倉敷駅の東側にあった「三友館」でした。そうそう、「三友館」だった!「ポセイドン・アドベンチャー」にビックリしました。その驚きは現代のVRの比ではないと思います(VRは仕組みはすごいけど、中身の作り込みがちゃちいのです)。高校生になった時に、今度は友人とこっそり三島由紀夫原作、フランス映画「午後の曳航」を見に行きました。裸が出るという軽い興味で観に行ったのですが、そのあまりにも生々しい描写にお互い何も言えずに映画館を出たのをよく覚えています。今見るとそんなに大した描写ではないですし、エッチ場面は一瞬だったのですが、世界の秘密を垣間見た気がしました。「倉敷東映」の最終日に、わたしは「仁義なき戦い特別編集版」を観たという記憶だったのですが、それは閉館月直前のプログラムだったようです。「水島プラザ」の最終上映作品も勘違いしていました。「岡山松竹」最終日の賑わいは、ついこの前のようです。寅さんの岡山舞台版が上映されていました。開館事情と閉館日を、今回初めて知ることが出来て良かったです。 この本を読んで、「記憶遺産」を確かなものにする人は、非常に多いだろうと確信します。
2020年10月12日
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「考古学への誘い」むきばんだ応援団編集 今井出版 佐原眞さんの講演録があるので、てっきり古い本だと思って取り寄せたら昨年出版の最新本だった。「むきばんだ弥生塾」の20年間の講座の中から珠玉の講演録を収めた第一弾。 佐原眞さんは、私を考古学へ誘(いざな)った直接の恩人である。その最晩年の講演録を二本聴けて大満足。佐原さんは「戦争は人間が始めた。人類の歴史から言えば始めたのは直近。人間が始めたのだから人間が終わらすことができる」と、日本で初めて学者の立場からハッキリ言ってくれた人だった。その言葉に感動して、私は、縄文でも古墳時代でもない、戦争を始めた弥生時代を中心にして、考古学を学んでいくことを決めた。 99年、当時としては日本最大の弥生の国邑妻木晩田遺跡の国指定化が決定し、その勢いのまま、99年の8月、鳥取県米子市の講演で初めて佐原眞さんの声を聞いた(記録を紛失しているので大体の記憶を頼りに書いている。間違っていたならごめんなさい)。笑いが絶えず、しかもとても興味深い内容で一気にファンになり著書を読み漁った。99年9月にむきばんだ弥生塾開講。その1番バッターとしての講演を此処に載せている。2001年8月、また大きな記念講演が米子市であり、私は2時間以上かけて中国山地を越えた。佐原眞さんは短い講演をしただけであり声も張りがあって元気そうだったのだが、その姿を見て胸が潰れた。膵臓癌の闘病で別人かと思うほど痩せていたのである。表紙の写真がそうだ。本来は恵比寿さまのようにふくよかだった。2002年に泉下の人となる。最後まで妻木晩田遺跡をはじめとする遺跡の保存活用に生命を削って助力した人だった。 金関恕さん(故人)も、初代むきばんだ弥生塾塾長として助力を惜しまなかった人である。講座ブックレット第一弾としては、最良の人選だと思う。 当時(たぶん今も)考古学の講座は、ちょっと勉強した者しかついていけない専門用語が横行していた。佐原眞さんは、「むつかしいことをわかりやすく伝える」ことを考古学会に広めた張本人である。博物館も、地域の文化発信施設として、わかりやすさに務めた。そして金関さんは、橋下大阪府知事が大阪府立弥生博物館の閉館を画策していたときに、それを阻止させた意義についても語っている。貴重である。 以下はマイメモ。 佐原眞。 〈古代人の心に触れる実例〉 ・赤ちゃんの手形の粘土版の裏に、大人の指の跡が残っていた。どれくらいの「力の加減」したかを見ることで、赤ちゃんへの心がわかる。 ・縄文中期の土器のカケラに裏から孔を開けようとして、表の帯があり途中止めにしている。4000年前の「しまった!」がわかる。 ・奈良時代の瓦職人は、軒丸瓦を現在とは違い人に見えない所も飾っている。 〈倭人の弓について〉 ・弥生時代以降の弓は、「短下長上」。根っこ部分を下にして梢を上につくる。弾性の関係で中央より下で弓をつがえる。しかし、アイヌ、沖縄は仕掛け弓の関係で中央につがえる。中国もそれ(弩)。英語もクロスボウ(十字架弓)なので中央。しかし日本は現代までこの作り方。←もしかして、日本史上大量殺人を伴う戦争は信長の長篠の戦い以前まではなかったので、発達しなかったからかもしれない。 ・竹の矢柄は、九州山陰では使われていた。 ・骨の矢尻は、石矢尻よりも強力で鉄以外の甲を通す。 〈食べ物について〉 ・日本の食習慣は世界的にも異常。血をほとんど食べない。イスラム教・ユダヤ教は神聖だから食べないが、日本は汚いと思うから食べない。 ・動物脂を食べないのも、世界的に珍しい食習慣。 〈皇族の民俗学的研究を進めて欲しい〉 ・奈良時代のことがいまだに生きて行われている例がある。 金関恕さん 〈都市の定義を巡って〉 ・ハードだけでなく、ソフトを考える必要。 中国の春秋時代、古代メソポタミア、ハンムラピ法典、旧約聖書、コーランにも、プラトン「プラタゴラス」にも、「寡婦・孤児のような社会的弱者に援助を」が描かれている。 妻木晩田遺跡が、ハードが揃ってもやがて衰退したのは、ソフトが揃わなかったからかもしれない。 〈遺跡・博物館はなぜ必要か〉 ・「ただそれを楽しむというだけのものではなくて、絶えず疑問を持ち、あるいは悩みを抱えながら、そういう施設に相談し、そういう遺跡に相談しながら、自分のあり方というものを考えていく。そういう存在になって欲しい」 ※今井出版は、鳥取の代表的な地方出版社である。昨年第一弾が出て、まだ第二弾が出版されていない。応援したい。
2020年10月11日
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「ファンタジーの世界地図」ヒュー・ルイス=ジョーンズ編 東京堂出版 さあ借り出したぞ! 定価は12000円だ。図書館様々である。 いろんな作家がファンタジー地図への思いを書いているけど、 知らないおじさんばっかなので多くは無視する。 たくさんの地図のキャンプションを読むだけで楽しい。 西洋における、 この500年ほどのファンタジー受容史 とも捉えれる。 地図だけを見ていると、 40幾つの作品のうちしっかり「読んだ」のは なんと「宝島」と「指輪物語」だけ、 という私の体たらくもあり、 ほとんどの地図になかなかのめり込めない。 だって、物語の地図って、 知っているだけの人にはよくわからない よく読んで本の隅々の記載が気になっている人だけに 地図の書き込みが輝いて見えると思う。 一方、トールキン自筆の方眼紙「中つ国」地図は、 興奮した。 ゴンドール、ローハン、モルドールの位置関係は分かったが、 その他の細かい書き込みの意味がわからない、 もどかしい! 私はやはり日本のファンタジー地図を読みたい。 「十二国シリーズ」「守り人シリーズ」「獣の奏者」「鹿の王」「ナウシカ」「もののけ姫」「北方謙三水滸伝」「藤沢周平海坂藩」は現代もの、 「怪人二十面相シリーズ」「鉄腕アトム」の昭和もの、 「南宋里見八犬伝」「東海道中膝栗毛」などの江戸もの 絵巻物は、そのままファンタジー地図だし、 或いは「古事記」まで行ってもいい カラーじゃなくていいから、 このような大判で、 名編集長さま、 作ってくれないかしら
2020年10月10日
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「遺品博物館」太田忠司 東京創元社 わたしは時々やってしまうのですが、申し訳ありません、長い前フリをします。純粋な本の感想を読みたい方は、後半部分に飛んでください。 考古学を趣味にしていると、博物館における遺物の展示説明には玉石混交があります。なるほど、「考古学は事実で歴史を語る学問だから、自分の思いなど書くべきでない」と言う学者もいます。でも下の説明書(せつめいがき)を見てください。これは、大洲城内にある中世末期の湯築城から出土した土師器皿(かわらけ)の説明書です。 「猫の足あとのある皿」 「この土師質土器の皿は、丘陵西側からまとまって出土した中の一点です。皿の内底部に猫の足あとがくっきり残っている、大変珍しいものです。おそらく、製作の過程で偶然足あとがついたものだと推定されますが、城内から出土したということは、製品として持ち込まれて使用されたと考えられます。当時もさぞかし話題になったことでしょう。」 普通の説明書では、「大変珍しいものです」で止めています。そこまでならば、「そうか、この頃も猫は身近だったんだ。肉球可愛い!」ぐらいの感想しか生みません。ところが、後の説明を読むことで、想像力豊かな人は、一冊の本さえ書けるでしょう。「城内から出土」という「事実」から「城内で製品として使用されていた」という「事実」が浮かび上がります。一見不良品の皿を、わざわざ貴人が使用する城内に持っていこうと決意した製作者の気持ちは何だったのか?それを受け入れた者(おそらく姫←わたしの想像)の気持ちは何だったのか?それに気がついた周りの人たちの反応はどうだったのか? ‥‥ここからもわかるように、本来「遺物」には、すべからく「物語」があるのです。それを掬い取って語るべきは、考古学者の務めであるとわたしは主張したい。 「遺品」には「物語」がある。 何も有名なお城から出土しなくてもいい。普通の人の遺品は、多少なりとも人生の物語を内包しているはずです。ならば、その遺品を中心にしてミステリが書けるはず。なおかつ、遺品を収集し、研究し、いつの日か展示する「遺品博物館」があってもおかしくはない。著者の想いに大いに賛同します。 ここに出てくる人たちはみんな無名の人たちです(創作話だから当然である)。けれども、万が一パラレルワールドで彼らが実在していたとして、遠い将来「遺品博物館」で「研究者」が遺品の価値を品定めしたとしたら、彼らの「死因」の多くは伝えられているものとは違うものになってしまい、その世界の「文化史」の幾つかは「書き替え」が迫られるでしょう。まぁ何人かは、既に誰かか暴露本を書いていて、この「遺品」の存在が伝説と化している場合もあるでしょうけれど。 ミステリとしては、途中で小出しに事実の暴露が行われるので、まぁ普通に楽しめました。設定だけが面白い作品です。こんな八篇の短編集にするのではなくて、緊密な構造を持った長編こそが相応しいとわたしは思います。
2020年10月08日
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残りの2作品を紹介する。 「喜劇 愛妻物語」 足立紳の初めての監督作品だということだけで観た。「喜劇」と冠している。冠しているが、これはリアル夫婦物語、かつ下ネタ映画であった。 まさか終始これで通すとは、最後はもっと凄い展開があると期待していた。 確かに最後の泣笑い演技は良かった。また、水沢あさみの赤パンツを何度も大画面で拝めたのは、男としてありがたかった。でも、それだけの映画を、初監督作品で作っちゃダメでしょ?そんなに生活切羽詰まっちゃってんの?もう女房孝行しているでしょ?と足立紳が心配になってきた。 【ストーリー】 映画『百円の恋』(2014年)の足立紳が、自身初の自伝的小説「喜劇 愛妻物語」を原作に自らメガホンをとり映画化。売れない脚本家・豪太(濱田岳)とその妻チカ(水川あさみ)は倦怠期の夫婦で、娘のアキ(新津ちせ)と3人で暮らしている。豪太はセックスレスに苛まれ、日々妻の機嫌を取ろうとするが、チカはろくな稼ぎがない夫に冷たい。そんなある日、豪太のもとに“ものすごい速さでうどんを打つ女子高生”の話を脚本にしないかという話が。豪太はもともと自分が考えていたこの企画を実現させ、あわよくば夫婦仲を取り戻すために香川への取材を兼ねた家族旅行を提案する。しぶしぶ豪太の取材旅行に付き合うチカ。しかしその取材対象には、既に別の映画企画が決まってしまっていた。大喧嘩の後、学生時代の友人・由美(夏帆)の家を訪れるチカ。一方豪太はアキを連れて海にやってくるが、スマホに夢中でアキを見失ってしまう。 【公開日】 2020年9月11日 【映倫情報】 PG12 【上映時間】 115分 【配給】 キュー・テック/バンダイナムコアーツ 【監督】 原作・脚本・監督:足立 紳 【出演】 濱田岳/水川あさみ/新津ちせ/夏帆/大久保佳代子/ふせ えり/光石研 ほか 2020年9月28日 岡山イオンシネマ ★★★ 「映像研には手を出すな!」 まぁ出来は8割くらいかな。 プロローグに浜辺美波を起用しておどろおどろらしさを思いっきり演出したのに、その回収がとうとう出来なかった。ピュー子の役割って、もしかしてアレだけのため?最初の大仰な大生徒会の臨時会議の内容と結果は、結局何だったの?その繋がりをきちんと作れば、アニメ版とは全く違う傑作が出来たのかもしれない。監督は、途中で何や何やらわからなくなった?それとも厨二病が落ち入る袋小路に入った? でもまぁ、若い子たちが、一生懸命「キャラ」を演じていて、みんなそれなりになりきっていた。監督、もうちょっとどうにかして! STORY アニメ好きで想像力豊かだが人見知りの浅草みどり(齋藤飛鳥)と、彼女の友人で金もうけが好きな金森さやか(梅澤美波)が入学した芝浜高校では、413の部活動と72の研究会・学生組織を大・生徒会が運営していた。そこで彼女たちは、カリスマ読者モデルでアニメーター志望の新入生・水崎ツバメ(山下美月)と出会う。意気投合した三人はアニメで最強の世界を作り上げるため、映像研を設立しようとする。 キャスト 齋藤飛鳥、山下美月、梅澤美波、小西桜子、グレイス・エマ、福本莉子、松崎亮、桜田ひより、板垣瑞生、赤楚衛二、鈴之助、出合正幸、松本若菜、山中聡、浜辺美波、高嶋政宏 スタッフ 原作:大童澄瞳 監督:英勉 上映時間 113分 2020年9月30日 MOVIX倉敷 ★★★★
2020年10月07日
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9月に観た映画、中盤の3作。 「TENET テネット」 わからないことだらけ。 そもそもオペラハウステロは必要だったのか? テストって何? オペラハウスで既に重要なモノがあったのだから、終盤あの事件が舞台にならないのはおかしい。 そもそも、テネット機器の使い方は、誰がどうやって導入したのか? ニールの初登場は、おかしい。 ケネス・ブラナーの狂気で簡単に世界が滅びるのならば、世界はこれまで直ぐに滅びているだろう。もうちょっと世界を信頼してもいいのでは無いか? オペラハウスや空港の大掛かりなセットは、なんかものすごい。ホントにそこまでやる? 忘れ去られるべき作品だと思う。 (ストーリー) 満席の観客で賑わうウクライナのオペラハウスで、テロ事件が勃発。罪もない人々の大量虐殺を阻止するべく、特殊部隊が館内に突入する。部隊に参加していた名もなき男は、仲間を救うため身代わりとなって捕えられ、毒薬を飲まされてしまう…しかし、その薬は何故か鎮痛剤にすり替えられていた。昏睡状態から目覚めた名もなき男は、フェイと名乗る男から“あるミッション”を命じられる。それは、未来からやってきた敵と戦い、世界を救うというもの。未来では、“時間の逆行”と呼ばれる装置が開発され、人や物が過去へと移動できるようになっていた。 ミッションのキーワードは<TENET テネット>。「その言葉の使い方次第で、未来が決まる」。 監督 クリストファー・ノーラン 出演 ジョン・デヴィッド・ワシントン、ロバート・パティンソン、エリザベス・デビッキ、ディンプル・カパディア、アーロン・テイラー=ジョンソン、クレマンス・ポエジー、マイケル・ケイン、ケネス・ブラナー 2020年9月20日 TOHOシネマズ岡南 ★★★ 「宇宙でいちばんあかるい屋根」 清原果耶の堂々とした主演映画。また、藤井道人監督アカデミー受賞第1作としても、堂々とした若者賛歌だった。ともすると、単なる荒唐無稽のいい話に終わるところを、清原果耶の顔のアップに耐えうるあらゆる感情の演技と、桃井かおりの存在感によって、きちんと都会の自立した女性への第一歩の話に着地させた。 コロナ禍で、あまり注目されていないが、今年の佳作である。清原果耶も、なかなかいい声で歌うじゃん! STORY 14歳のつばめ(清原果耶)は、父親と血のつながらない母親との3人暮らし。両親に子供ができたことから生まれる疎外感とともに幼なじみの大学生への恋心も抱いていた。ある日、つばめは唯一の心休まる場所だった書道教室の屋上で派手な老婆がキックボードに乗って空を飛んでいる姿を見かける。つばめは「星ばあ」と呼ぶことになったその老女に恋や家族の話をするようになり……。 キャスト 清原果耶、桃井かおり、伊藤健太郎、水野美紀、山中崇、醍醐虎汰朗、坂井真紀、吉岡秀隆 スタッフ 監督・脚本:藤井道人 主題歌:清原果耶 作詞・作曲・プロデュース:Cocco 原作:野中ともそ 上映時間 115分 2020年9月26日 MOVIX倉敷 ★★★★ 「パブリック図書館の奇跡」 図書館職員のマイラが、さらっと検察官に嫌味を言う言葉「修正4条に引っかかるような事態にはなっていないから大丈夫よ」 それってなんだろう、と思ったらこう言う文言だった。 修正第4条 不合理な捜索及び逮捕押収に対し、身体、住居、書類及び所有物の安全を保障される人民の権利は、これを侵害してはならない。令状はすべて、宣誓又は確約によって支持される相当な根拠に基づいていない限り、また捜索する場所及び逮捕押収する人又は物が明示されていない限り、これを発してはならない。 また、館長のアンダーソンも「生涯、図書館の自由と権利を守ることに費やしてきたんだ。それを侵害するようなことは我慢ならない」と叫んで、立てこもりの外から中に入る。 原題は「パブリック」公共(施設)である。図書館ということだけがテーマでは無い。公共のあり方は、どうなのか。力で、法と秩序を守ろうとする検察官に対して、それに本来の役割を思い出せようとするお話。 冒頭、図書館職員は「本が好きなこと、人間が好きなこと、それがあればなれます」というおそらく60年台の募集CMを流す。その原点を思いださせようとするお話。 なかなか味わい深い作品だった。 (解説) 実際の記事から着想。突然“命の避難所”となった公共図書館を舞台に、サプライズ満載の人間模様と奇跡の瞬間を映し出す笑いと涙のフィールグッドな名作が誕生 ある公共図書館の元副理事がロサンゼルス・タイムズに寄稿したエッセイにインスピレーションを得て、完成までに11年を費やし監督したのは名優エミリオ・エステベス。米オハイオ州シンシナティ。記録的な大寒波により、緊急シェルターがいっぱいで行き場がないホームレスの集団が図書館を占拠した。突如勃発した大騒動に巻き込まれたひとりの図書館員の奮闘を軸に、笑いと涙たっぷり、予測不可能なサプライズも盛り込まれた感動作。 名優エミリオ・エステベスの監督最高傑作!明日を生きるために声を上げた彼らと、図書館員の勇気ある行動があなたに届ける希望とは。 約70人のホームレスの苦境を察したスチュアート(エミリオ・エステベス)は、彼らと共に図書館に立てこもることに。しかし、図書館館長、刑事と検察官、マスコミなどそれぞれの思惑が交錯。やがて警察の機動隊が出動し、追いつめられたスチュアートとホームレスは驚愕の行動を決断する…。エミリオ・エステベス監督のもとにアレック・ボールドウィン、クリスチャン・スレイター、『ネオン・デーモン』のジェナ・マローン、Netflix「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」のテイラー・シリングなど実力派揃いのキャストが集結。 主人公の勇気ある行動は、今を生きる私たちにそっと語りかけてくるような問いかけであり、あらゆる観客の胸に響くに違いない。 STORY 米オハイオ州シンシナティの公共図書館で、実直な図書館員スチュアート(エミリオ・エステベス)が常連の利用者であるホームレスから思わぬことを告げられる。「今夜は帰らない。ここを占拠する」。大寒波の影響により路上で凍死者が続出しているのに、市の緊急シェルターが満杯で、行き場がないというのがその理由だった。 約70人のホームレスの苦境を察したスチュアートは、3階に立てこもった彼らと行動を共にし、出入り口を封鎖する。それは“代わりの避難場所”を求める平和的なデモだったが、政治的なイメージアップをもくろむ検察官の偏った主張やメディアのセンセーショナルな報道によって、スチュアートは心に問題を抱えた“アブない容疑者”に仕立てられてしまう。やがて警察の機動隊が出動し、追いつめられたスチュアートとホームレスたちが決断した驚愕の行動とは……。 DIRECTOR 製作・監督・脚本・主演 スチュアート・グッドソン エミリオ・エステベス 1962年、アメリカ、ニューヨーク州ニューヨーク市出身。マーティン・シーンの長男で、チャーリー・シーンを弟にもつ。『アウトサイダー』(83)、『セント・エルモス・ファイアー』(85)、『ブレックファスト・クラブ』(85)といった80年代の青春映画立て続けに出演、ヤング・スターの一団の総称“ブラット・パック”の中心人物として一斉を風靡する。23歳の時に『ウィズダム/夢のかけら』で監督デビュー。その後も監督としてのキャリアを積み重ね、ロバート・F・ケネディ暗殺事件を題材にした歴史群像ドラマ『ボビー』(06)はゴールデン・グローブ賞作品賞と全米映画俳優組合賞アンサンブルキャスト賞にノミネート。聖地巡礼の旅を描いたロードムービー『星の旅人たち』(10)では、円熟味すら感じさせる作風を披露した。本作は監督7作品目となる。また、主な映画出演作に、『レポマン』(84)、『張り込み』シリーズ(87,93)、『ヤングガン』シリーズ(88,90)、『ミッション:インポッシブル』(96)、『飛べないアヒル』(マイティ・ダック)シリーズ(92,94,96)などがある。 CAST ビル・ラムステッド アレック・ボールドウィン 1958年、アメリカ、ニューヨーク州ロングアイランド出身。1980年以降、舞台、映画、TVで数多くの作品に出演。『レッド・オクトーバーを追え!』(90)で一躍注目され、92年のブロードウェイ劇「欲望という名の電車」でトニー賞ノミネート、95年のTV映画版でも主演を務める。『The Cooler(原題)』(03・未)でアカデミー賞助演男優賞にノミネート、TVシリーズ「30 ROCK/サーティー・ロック」(06-13)ではゴールデン・グローブ賞を3度、エミー賞を3度、全米映画俳優組合賞の主演男優賞を7度受賞している。近年の出演作に、『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(15)、『ボス・ベイビー』(17)などがある。 マイラ ジェナ・マローン 1984年、アメリカ、ネバダ州スパークス出身。子役として『コンタクト』(97)でジョディ・フォスターの少女時代を、『グッドナイト・ムーン』(98)でスーザン・サランドンの娘役を演じ注目される。その後、『ドニー・ダーコ』(01)、『16歳の合衆国』(03)などでキャリアを重ね、『セイブド!』(04・未)で初主演。近年の出演作に『ハンガー・ゲーム』シリーズ、『ラブソングに乾杯』(16)、『ネオン・デーモン』(16)、Amazon製作のドラマシリーズ「トゥー・オールド・トゥー・ダイ・ヤング」(19)などがある。 アンジェラ テイラー・シリング 1984年、アメリカ、マサチューセッツ州ボストン出身。Netflix製作の人気ドラマシリーズ「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」(13-19)の主人公パイパー・チャップマン役で知られ、同作でエミー賞、2度のゴールデン・グローブ賞ノミネートを果たしている。主な出演作に、『一枚のめぐり逢い』(12)、『アルゴ』(12)、Netflix製作『タイタン』(18・未)、『プロディッジー』(19・未)などがある。 ジョシュ・デイヴィス クリスチャン・スレイター 1969年、アメリカ、ニューヨーク州ニューヨーク出身。16歳のとき『ビリージーンの伝説』(85・未)で映画デビュー。『ヘザース/ベロニカの熱い日』(89)、『トゥルー・ロマンス』(93)、『ブロークン・アロー』(96)、『ベリー・バッド・ウェディング』(98)、『ウインドトーカーズ』(02)など、ジャンルを問わず様々な作品に出演。若手実力派スターとしての地位を確立する。近年では、TVシリーズ「MR. ROBOT/ミスター・ロボット」(15-19)でゴールデン・グローブ賞助演男優賞を受賞、さらに2度のノミネートを果たしている。その他の出演作に、『ニンフォマニアック』(13)、『天才作家の妻 -40年目の真実- 』(17)などがある。 レベッカ・パークス ガブリエル・ユニオン 1972年、アメリカ、ネブラスカ州オマハ出身。NAACPイメージ・アワードに5度ノミネートされており、2014年にはTVシリーズ「Being Mary Jane(原題)」(13-19)でドラマ部門主演女優賞を獲得。主な出演作に、『チアーズ!』(00)、『バッドボーイズ2バッド』(03)、『キャデラック・レコード ~音楽でアメリカを変えた人々の物語~』(08)、『スリープレス・ナイト』(17)などがある。 エルネスト・ラミレス ジェイコブ・バルガス 1971年、メキシコ、ミチョアカン州出身。近年の出演作に、『チリ33人 希望の軌跡』(15)、Netflixとマーベル製作のドラマシリーズ「Marvel ルーク・ケイジ」(16)、TVシリーズ「モザイク~誰がオリヴィア・レイクを殺したか」(17-18)、Netflix製作のドラマシリーズ「Mr.イグレシアス」(19)などがある。 ジャクソン マイケル・ケネス・ウィリアムズ 1966年、アメリカ、ニューヨーク州ブルックリン出身。TVシリーズ「THE WIRE/ザ・ワイヤー」(02-08)や、「ボードウォーク・エンパイア 欲望の街」(10-14) で知られる。近年の出演作に、『それでも夜は明ける』(13)、『ロボコップ』(14)、『インヒアレント・ヴァイス』(14)、『アサシン クリード』(16)、Netflix製作のドラマシリーズ「ボクらを見る目」(19)などがある。 アンダーソン ジェフリー・ライト 1965年、アメリカ、ワシントン州出身。1994年にブロードウェイ作品「エンジェルス・イン・アメリカ」でトニー賞を受賞。2003年にTVドラマ化された同作では、ゴールデン・グローブ賞とエミー賞を受賞する。『007/カジノ・ロワイヤル』(06)からはボンドの盟友でCIA捜査官のフェリックス・ライター役、『ハンガー・ゲーム』シリーズではビーティー役としても知られる。TVシリーズの出演作に、「ボードウォーク・エンパイア 欲望の街」(10-14)、エミー賞に2年連続ノミネートされた「ウエストワールド」(16-20) などがある。 ビッグ・ジョージ チェ・“ライムフェスト”・スミス 1977年、アメリカ、イリノイ州シカゴ出身。ステージ名「ライムフェスト」で知られるMC・ラッパー。同郷のカニエ・ウェストのグラミー受賞曲「Jesus Walk」を共作、2006年にアルバム「Blue Collar」でメジャーデビューを果たした。2015年には映画『グローリー -明日への行進-』の主題歌「Glory」をジョン・レジェンド、コモンと共作し、アカデミー賞とゴールデン・グローブ賞、グラミー賞を受賞。同年、自身とホームレスでアルコール依存症の父親との関係を描いたドキュメンタリー映画『In My Father's House(原題)』に出演する。俳優として長編映画に出演するのは本作が初。 2020年9月27日 シネマ・クレール ★★★★
2020年10月06日
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9月に観た映画は8作品でした。徐々にペースが戻りつつあります。3回に分けて紹介します。 「糸」 文字が出来る随分前から、「歌」は人と共にあったといわれている。私は音楽オンチで、カラオケは拒否しているけれども、それでもこれが流れると、様々な感情が去来する歌というものは持っている。歌謡曲・流行歌というのは、そういう場面を作りやすい歌だと思う。主役は、「歌謡曲」である。 食堂でたまたま流れ始めた「糸」を聴きながら、まずいカツ丼を掻っ込む小松菜奈、かつては香(榮倉奈々)が歌った「ファイト」を、成田凌が歌い漣(菅田将暉)が唱和するのも、歌は繰り返し歌われるものだ、エンドクレジットで流されるべきものではないことを主張している。 その他、象徴的な2つの「繰り返される行為」が、世代を繋げて、「普通の生活をしたいだけ」の庶民の願いを表していた。 短い場面を繋げて、平成31年間を駆け抜けていた。小松菜奈は、短いショットで感情を説得力持って表す良い女優になったと思う。菅田将暉は「MIU40」で共感能力のないサイコパスを演じているとは思えないほど、共感しまくりで涙もろくて誠実な青年を違和感なく演じた。 (STORY) 北海道で暮らす13歳の高橋漣(菅田将暉)と園田葵(小松菜奈)は、互いに初めての恋に落ちるが、ある日突然葵の行方がわからなくなる。彼女が養父の虐待から逃れるために町を出たことを知った漣は、夢中で葵を捜し出し駆け落ちしようとする。だがすぐに警察に保護され、葵は母親と一緒に北海道から出て行ってしまう。それから8年、漣は地元のチーズ工房に勤務していた。 (キャスト) 菅田将暉、小松菜奈、山本美月、高杉真宙、馬場ふみか、倍賞美津子、永島敏行、竹原ピストル、二階堂ふみ、松重豊、田中美佐子、山口紗弥加、成田凌、斎藤工、榮倉奈々 (スタッフ) Inspired by:中島みゆき 原案・企画プロデュース:平野隆 脚本:林民夫 監督:瀬々敬久 2020年9月3日 TOHOシネマズ岡南 ★★★★★ 「8日で死んだ怪獣の12日の物語」 映画を観た人しか買えないカプセル怪獣買いました(550円)。3日目に、一つの卵から孵った怪獣が、その次の日には3つに分かれていたという衝撃の展開の時のフィギュアでした!樋口真嗣監督は、これをウルトラセブンのカプセル怪獣と断定し、実はホントはまた2つカプセル怪獣はいるんだよね〜などと蘊蓄を語るのですが、その次の日には何故か怪獣は一つになっていて、一つが2つを食べたのか?疑問は膨らみます。その度に樋口真嗣監督の解説は場当たり的ないい加減なことで、遂には恐ろしい怪獣になりそうなところで、「殺処分」を進言することになるのです。サトウタクミは、仕方なくそれに従いますが、実は怪獣は更なる進化を遂げて、もっと危険なものになっていきます。その途中で、コロナ禍のもとに定期連絡しているオカモトソウは、無職になって二千円のホテル暮らしでやっていかなくなっている。後輩の丸戸のんは、宇宙人を買っている。YouTubeを見ていると、もえかすが順調に怪獣を育てているけど、だんだん形ができてきて怖くなったのか、途中でいなくなる。死んじゃったと彼女は言うけど、ストーリー的には空を飛ぶ巨大なこの形の怪獣の姿も写ることから「捨てた」ことは明らかである。コロナをやっつけるヒーローを育てると言う最初の目標は何処かにいって、彼らは迷走する。のんちゃんは、「大人は何もしない!」と急に目覚めて、宇宙留学すると言って連絡を断つ。やがてタクミの怪獣はマスクの形をして死んでしまう。もえかすは新たな怪獣を育て始める。のんは両親に反対されたと言って、宇宙人と別れてしまう。映画の所々に、現実の人の居なくなった都会の風景をドローン撮影したものが流れて、怪獣の顔をしたダンサーが踊りまくる。そんなシュールな作品でしたが、退屈せずに観ることができました。そんなに、凄い、突き刺さるような作品ではなくて、コロナ禍のもとに、こんな作品も観れて良かったんじゃないの?と言うような作品でした。 (解説) SNSにて樋口真嗣監督ら5人の監督が発動した「カプセル怪獣計画」の番外編であり、全編ほぼリモートで撮影された本作。 主人公のサトウタクミを演じるのは、ミニシアターパークの活動などを通して積極的にミニシアターを支援している斎藤工。俳優としてだけでなく、監督やプロデュースまでもこなすそのバイタリティをリモート撮影という特殊な状況下でも発揮し、主演を務めます。 そして、のんが演じるのは、通販で宇宙人を買ったという丸戸のん。 「この役を演じられるのはのんしかいない」という岩井監督からのラブコールに応え、岩井組に初参加します。サトウタクミの先輩オカモトソウを演じるのは武井壮。 そして、話題作への出演が続く穂志もえかがYouTuber“もえかす”を演じ、これまでとは違った一面を見せます。個性豊かな岩井組初参加の面々に加え、原案の樋口真嗣も登場し、フィクションなのにドキュメンタリーのようなちょっと不思議で優しい世界へと導いてくれます。 世界中が今も直面している新型コロナウイルスとの戦い。このような状況下だからこその岩井俊二のクリエイティブ力が光る、2020年の今を切り取る作品がここに誕生しました。 STORY 通販サイトでコロナと戦ってくれるというカプセル怪獣を買ったサトウタクミ(斎藤工)。毎日怪獣の成長を配信しているタクミの元には、通販で宇宙人を買ったという後輩の丸戸のん(のん)や、コロナの影響で無職になってしまった先輩のオカモトソウ(武井壮)など、色々な人から連絡がくる。日に日に怪獣は成長していくが、どうもYouTuberもえかす(穂志もえか)が育てる怪獣とは種類が違うようだ。怪獣に詳しい知り合いの樋口監督(樋口真嗣)にノウハウを聞きながら、日々怪獣を育てていくタクミ。果たしてタクミはきちんと怪獣を育てることができるのか? そして、この怪獣はコロナをやっつけてくれるのか? 2020年9月13日 シネマ・クレール ★★★★ 「ティファの手紙」 「ラストレター」とほぼ同じ。それでも、俳優が適材適所で、こうも違うのか。本来そんなに美人でない妹役を、諸般の事情で松たか子と森七菜にしたせいで、邦画の方は説得力を欠いてしまった。また、高校時代を少しだけあっさりつくり、老いらくの恋もあっさりつくり、現代を丁寧につくり、特に下の男の子の危うさを描いたことで全体のトーンが決まった。コメディ部分は形(なり)を潜めた。伊川の2度目の真相を聞いた時の反応が説得力あるモノであり、あれは大根の福山雅治では決して出来なかった演技で、安心して見ていれた。うん、それだけだ。これが本来の「ラストレター」だ。 STORY 姉のチーナンを亡くしたチィファ(ジョウ・シュン)は、姉の死を知らせるために彼女の同窓会に参加する。ところが姉の同級生に姉本人と勘違いされ、初恋の相手のチュアン(チン・ハオ)と再会。姉ではないことを言い出せないまま、姉のふりをして文通を始める。 キャスト ジョウ・シュン、チン・ハオ、ドゥー・ジアン、チャン・ツーフォン、ダン・アンシー、タン・ジュオ、フー・ゴー スタッフ 監督・脚本・原作・音楽・プロデューサー:岩井俊二 プロデューサー:ピーター・チャン 音楽:ikire 2020年9月18日 MOVIX倉敷 ★★★★
2020年10月05日
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「図書2020年10月号」 今回は、最後にWebからコピペして編集後記をそのまま載せる。編集長の言うには「もはや電子化、Web化の流れは加速することはあれ、止めることはできない趨勢といえるでしょう。」ということだから、そういう紹介の仕方もアリでしょ。 このコロナ禍のなか、書籍の販売額は2.6%も伸びた。偏に書店販売ではなく、コミックと電子書籍の伸びに依るところが大きいという。むべなるかな。それでもよく伸ばしたものだ。 だから、現代は活字離れではないのだ。 若者含めて、人々は膨大な量の活字を読んでいる。Webで読む量は膨大である。 では、そこから「読書の喜び」を知らしめるのはどうすればいいのか。わたしたちの知恵にかかっている。 「こぼればなし(編集後記)」 ◎ 出版科学研究所がことし一月から六月までの出版市場規模について発表しました(『出版月報』七月号)。 ◎ それによりますと、紙と電子をあわせた出版物の推定販売金額は、前年の同期より二〇二億円多い七九四五億円(前年比一〇二・六パーセント)でした。 ◎ 内訳をみてみますと、書籍と雑誌をあわせた紙の出版物の推定販売金額は六一八三億円(九七・一パーセント)。そのうち、書籍は三五一七億円(九七パーセント)、雑誌は二六六七億円(九七・一パーセント)となっています。 ◎ 新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言によって多くの書店が休業となった影響もあって、書籍では感染症に関連して売上を伸ばすものもありましたが、文芸書、文庫、新書、実用書といった主要ジャンルはいずれも前年比でマイナスとなりました。その一方、学校が臨時休校に入ったため、家庭学習用の学習参考書や問題集、児童書が売上を伸ばしたと報告されています。 ◎ 雑誌に目を転じてみますと、コロナ禍のため取材ができなくなるなど、制作が困難になったことから二五〇誌以上が合併号や刊行延期に追い込まれたほか、休刊も相次ぎ、月刊誌は前年比九八・四パーセント、週刊誌は九一・五パーセントと落ち込みました。 ◎ 書籍、雑誌とも厳しい状況ではありましたが、コミックスだけは別だったようです。書籍では『鬼滅の刃』(集英社)が爆発的な大ヒット。月刊誌でもコミックスだけは前年比で三〇パーセント近い伸びを示していますから、コロナ禍のなか、紙による出版物の売上減を二・九パーセントに押しとどめたのはコミックスのおかげ、ということになるでしょう。 ◎ では、電子出版はどうだったのか。一月から六月までの推定販売金額は一七六二億円。前年同期比で一二八・四パーセントという大幅な伸びを示しています。 ◎ 内訳は、電子コミックが一五一一億円(一三三・四パーセント)、電子書籍が一九一億円(一一五・一パーセンが、全体としてみても、このコロナ禍が出版市場の、延いては出版の在り方に急速な変化を促している、ということでしょう。 ◎ 出版市場全体における電子出版の占有率は二二・二パーセント、全体の◎ 以上の規模となり、「文春オンライン」(文藝春秋)など雑誌から生まれたWebサイトのPV数も大きく伸びていると報告されています。また、公共図書館における電子書籍貸出サービスも拡大しています。もはや電子化、Web化の流れは加速することはあれ、止めることはできない趨勢といえるでしょう。 ◎ 中川裕さん「アイヌユカラ 「 虎杖丸いたどりまるの曲」 を読む」がスタートです。英雄叙事詩の読み解きに、ご期待ください。
2020年10月03日
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「三体」劉慈欣 大森望、光吉さくら、ワン・チャイ訳 早川書房 中国のSF小説である。現代の中国。ある時、エリート科学者3人が2ヶ月の間に、立て続けに自殺した。その背後には、宇宙で起きているとてつも無い秘密が隠されていた。 現代科学では立証できないことは非常に多い。残念ながら非立証性事実の存在は小説内のことではなく、現代世界の厳然たる事実である。しかし「SF小説」は、易々とその背後関係を説得力もって(時には力づくに)説明する。宇宙の秘密は、一冊の本の中に閉じ込められる。これこそがSFである。読者はそこから、さまざまな想像を掻き立てる。それこそがSF体験である。 「三体」について私の感想を五割増専門的にしたものを、訳者の大森望さんが「訳者あとがき」の前半2pで書いてしまっていた。同じ感想なので省略する。そういうわけで、大変面白かったとだけ書いておく。 その他、つれづれ思うことを付け足す。 ・現代の中国エンタメ文学(つまり2100万部も売れた小説)で、ここまで文革批判が自由に出来るのか、と少し意外だった。それは即ち毛沢東をはじめとした、当時の政権幹部全てを批判することと同じなのだが、彼らはみんな鬼籍に入っているからいいのか?中国四千年の歴史の中では、それぐらいどうってことはないのかもしれない。 ・実は1番心に残ったのは、「SF体験」ではない。知識人と庶民から見た文革の顛末を、全く新しい視点から読ませせてもらったところである。特に父親を殺した元紅衛兵元少女たちのとの邂逅場面は面白かった。エンタメ小説の醍醐味だ。わたしの観た中国は文革終了15年後の北京と20年後の上海だった。あの時も、中国四千年の歴史と変化の速さにおののいたものではあるが、それから更に15年後の中国がどんな化物になっているのか、また観たくなった。 ・既に発動しているが、長編ドラマ化は大変愉しみだ。それ以外にも、現代中国ならば映画化も必然だろう、と思う。このような無駄な文化的娯楽が、おそらく三体人には脅威だと思われるからである。 それでは、またのログインをお待ちしています。
2020年10月02日
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「眩(くらら)」朝井まかて 新潮文庫 藤沢周平の次の時代小説の担い手は朝井まかてかもしれない。 私はまかてのファンでは無い。読了もこれが3冊目だ。1冊目は、直木賞受賞直前で、「恋歌」の読者モニターで感想を送ってサイン本さえ頂いてはいるが、ファンにはならなかった。もちろん傑作だったが、女性の情念には私はのめり込めない。 それでも、これは「恋歌」よりも更に一歩踏み込んだ傑作だと思う。一頁一頁の書き込みが、そんじゃそこらの他の作家の比では無い。「自分は親父どの(北斎)の才能を引き継いでいない」と自覚しながら、のめり込まざるを得ない美の世界への執着を、これでもかと描いている。ドラマでは美人の宮崎あおいが力演していたのだが、私は北斎美術館のリアルなジオラマのお栄を見ている。痩せていて顎がしゃくれてお世辞にも美人とは言えなかった。コンプレックスを情熱に換えて、彼女は焔の見せる緋色と闇の中の光と影に美を見出す。それを表現する。その過程の描写にやはり、私は藤沢周平を想起した。 冨獄三十六景。小説では、お栄は失恋し、北斎は孫の時太郎の不良化に悩み、板元の西村屋は大火事で焼け出され、それらが末の逆転劇として描かれている。大判錦絵。 「景色に金子を出す物好きなんぞ、いやしねぇよ。三代目は自前で打ってでるらしい」 「正気の沙汰じゃねぇな。葛飾親父も三つ巴印の泥舟に乗せられなすって、気の毒なこった。情に流されてとうとう一緒に沈みなさるか。なんまいだぶ」 事前の評判は最悪だ。けれど北斎が提示した10枚に魅力されて彫り師も、摺し師も、当時の名人が集った。西村屋はそれを見て三十六景を提案する。 最初の刷りは、神奈川沖浪裏。今や、北斎のアイコンである。錦絵は、版木は8枚使われる。北斎も、8枚に色指定をしながら描かなくてはならない。それを寸分違わず彫り、寸分違わず摺る。それを三十六景仕上げる。全て富士山の絵で、趣向を全て変えて。今でこそ、我々は文庫本(岩波文庫)で観ることはできるが、当時としては大博打で、しかし、北斎の天才がなければ無理の趣向だったことは間違いない。初板摺が二百枚だった「冨獄三十六景(実際は四十六景)」は、5年後には軽く万を超えたらしい(とは言っても重版出来で潤ったのは西村屋だけらしいが、北斎の名前は売れた)。そして、細かいところはお栄が描いた。 文庫表紙にもなっているお栄の代表作「吉原格子先之図」。安政の大地震で浅草の山之宿町に移った、新吉原の図とは知らなかった。西洋画の陰影も取り入れながら、浮世絵しか描けない真実を描く。「命が見せる束の間の賑わいをこそ、光と影に託すのだ」くらくらするような傑作である。
2020年09月30日
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生活クラブ生協が、この前紹介した大矢英代さんの「沖縄「戦争マラリア」」の自著紹介寄稿を載せていた。わたしの書評よりもよっぽど分かりやすい。そのまま載せる。 https://seikatsuclub.coop/news/detail.html?NTC=1000000840 【寄稿】私たちが国家の "捨て駒" にされる時 ―沖縄戦から75年、いま何を学ぶべきか― ジャーナリスト・ドキュメンタリー監督 大矢英代 75年前、沖縄は激しい地上戦の渦中にあった。軍民合わせて約20万人が死亡し、沖縄県民の4人に1人が命を落とした地獄のような戦争だ。そのさなか、戦闘ではなく、日本軍の作戦によって病死した住民たちが3,600人以上もいたことはほとんど知られていない。 それは沖縄本島から南西に約400キロの海を超えた八重山諸島で起きた。この石垣島や波照間島などの島々からなる地域には、米軍が上陸せず、地上戦もなかった。にもかかわらず3,647人もの住民(総人口の1割相当)が死亡した原因は、日本軍が住民たちを風土病・マラリアの有病地に強制的に移住させたからである。これが沖縄で「もうひとつの沖縄戦」と呼ばれてきた「戦争マラリア」だ。 私が戦争マラリアを初めて知ったのは、2009年夏。ジャーナリストを目指す大学院生だった私は、石垣島の地元新聞社のインターンシップに参加していた。その際、米軍ではなく、味方であったはずの日本軍によって強いられた犠牲の歴史を知り、衝撃を受けた。すでに戦争マラリアの発生から64年の歳月が経過していた。体験者たちに直接会えるのは今が最後の機会なのではないか。彼らの肉声を映像で伝え残したい。そんな思いで一人、ビデオカメラを抱えて戦争体験者の家々を訪ねてまわるようになった。 西表島、南風見田の海岸。波照間島民が強制移住させられたかつてのマラリア有病地だ。海岸に広がるジャングル地帯に住民たちは粗末な小屋を建てて生活していた 「思い出したくもない。他を当たってくれないか」 そう玄関口で断られることも多々あった。なんとか口を開いてくれた体験者も、時に涙を流し、時に苦しみを浮かべ、言葉を絞り出すように記憶を語った。 「戦争マラリアはまだ終わっていない。それどころか、戦争の苦しみは体験者に一生付きまとい、苦しめ続けている。彼らの心に終戦はまだ訪れていないんだ……。」 体験者から話を聞くたびに、沖縄戦を過去の出来事だと思っていた自分を恥じた。現場に腰を据えて取材をしたいという思いから、2010年冬、大学院を休学し、日本最南端の有人島・波照間島に移り住んだ。戦争マラリアで当時の人口の3分の1にあたる約500人が死亡した。八重山諸島の中で最も大きな被害を受けた島だ。体験者たちとひとつ屋根の下で衣食住を共にし、サトウキビ畑で朝から晩まで一緒に汗水を流し、人間関係を築きながら、8ヶ月間ゆっくりと取材を重ねた。「本当は言いたくないが、あんたのためなら……」と体験者たちは苦しい記憶を紐解いてくれた。 戦争マラリアの取材を始めてから10年がたった今年2月、ルポ『沖縄「戦争マラリア」―強制疎開死3600人の真相に迫る』(あけび書房)を出版した。 あれから75年がたった今、どうしてもこの本を社会に届けなければならないという危機感をもって書き上げた。それは戦争マラリアの犠牲が、今再び起きようとしているからだ。 波照間島の自宅で私を8ヶ月間受け入れてくれた浦仲孝子さん。サトウキビ農家の孝子さんと夫・浩さんとは、ほぼ毎日一緒に畑仕事で汗を流し、ゆっくりと強制移住の体験を聞き取りしていった。 住民は日本軍にとって「危険な存在」となった マラリアとは、マラリア原虫をもった蚊に刺されることで感染する熱病だ。発病すると40度以上の高熱と悪寒に襲われ、悪化すれば死に至る。八重山諸島の人たちにとって「山に入ればマラリアにかかる」ことは周知の事実だった。駐留していた日本軍も、有病・無病地の場所を独自に調査、地図を作成するほど徹底した対策をとっていた。それにかかわらず、なぜ日本軍はマラリア有病地へと住民たちを追いやったのだろうか。 当時12歳、石垣島で強制移住を経験した潮平正道さんは、背景に日本軍の駐留と同時に始まった監視社会があったと話した。 「敵が来て爆弾を落されるのも怖い。でも戦争で一番怖いのは、国民同士がお互いに見張り合うこと。憲兵が住民を見張ること。兵隊はね、自分がいるところが敵に知られてしまえば、自分が殺されるという恐怖感をみんな背負っていたわけですよ。それが悲惨な事を起こしたわけ。戦争マラリアは極限の精神状態の中で起きたんです」 事の起こりは沖縄戦開戦の1年ほど前、大本営が沖縄を皇土防衛のための「不沈空母」と位置づけた頃にさかのぼる。圧倒的な戦力をもつ米軍に対し、敗退を重ねていた日本軍は、本土防衛の最後の砦として沖縄全土の要塞化を目指し、県内各地に日本軍の配備と基地建設を急ピッチで進めていった。 物資も人力も乏しい日本軍にとって頼れるのは地元住民だった。住民たちは、基地建設に欠かせない労働者となり、「現地自活」を基本としていた軍隊のための食糧供給を担う生産者になった。八重山諸島一帯を統括していた第45旅団司令部が置かれた石垣島では、比較的大きな民家には将校クラスの軍人たちが寝泊まりするなど、軍隊と住民の生活が混在する「軍民雑居」状況になっていく。 住民たちにとって、日本軍は「友軍」であり、尊敬と信頼の対象だった。 しかし、沖縄戦が近づくにつれ、石垣島では日本軍の航空基地を狙って昼夜を問わない空襲が頻発する。「いよいよ石垣島にも米軍が上陸するのではないか」と住民の間では、戦々恐々とした雰囲気が生まれはじめていた。 一方、日本軍基地が空襲を受けるたびに日本軍は住民に対する疑いを強めていった。「島内に米軍の手先がいる」「日本軍の配置情報を漏らしている」などの理由でスパイ探しが始まり、憲兵たちが住民の行動に目を光らせるようになっていく。 日本軍にとって軍事基地は防衛上の極秘施設。その建設を総がかりで担い、公私ともに軍隊と生活していたのは、石垣島をはじめ八重山諸島の各地から駆り出された一般住民たちだったからだ。日本軍にとって便利な労働者・生産者に過ぎなかった住民たちは、戦況の悪化とともに、敵に情報を漏らす可能性がある危険な存在と見なされていった。 当時、住民たちは四方を海に囲まれた島という逃げも隠れもできない環境下で、「敵に捕まれば、男は八つ裂きにされ、女はごう姦されてから殺される」と島外から攻めてくる米軍に怯え、島内では敵に情報を漏らすスパイを恐れ、住民同士が互いを見張り合うようになっていった。なによりも自分自身がスパイだと疑われるのではないかという恐怖感に襲われていた。 そして1945年6月、八重山諸島の住民たちは「友軍」と呼び親しんでいた日本軍によってマラリア蚊が蔓延する山奥に押し込められ、高熱に苦しみながら次々と絶命していった。 かつての強制移住地、白水を案内する潮平正道さん。絵はマラリアで死亡した孫を墓地に運ぶ男性。潮平さんが記憶を元に描いた絵だ 「戦争マラリア」が問いかけるのは―― 果たしてそれは75年前の昔話なのだろうか。 沖縄の地図を広げて見ると、ここ数年で新たな自衛隊基地が次々と建設されている。西から与那国島にレーダー基地(2016年3月配備完了)、石垣島ではミサイル基地の工事が進み、宮古島でもすでに存在する航空自衛隊基地に加えて新たに陸上自衛隊ミサイル基地が建設され、今年3月には部隊が配備された。さらに沖縄本島では既存の米軍基地32施設に加えて、辺野古新基地の建設が進められている。琉球列島の北に位置する奄美大島にも新たな自衛隊基地が建設された。それぞれの場所で反対の声をあげる地元住民たちを切り捨てながら、日米両政府による琉球列島全体の軍事基地化が強行されている。 2009年からの10年間、私が戦争マラリアの取材の中で出会った戦争体験者たちは、八重山諸島への自衛隊配備について誰もが危機感を持ち、反対の声をあげていた。 波照間島出身の玉城功一さんは「戦前と今は似ている」と語った。 「戦前は南から米国が攻めてくると言われました。今は西から中国が攻めてくる。あるいは北朝鮮が核で攻撃してくる危険があると。危機を煽っておって、それに対抗する武器や軍隊を持たないといけないんだと言う。そういう考え方だったらね、何のために日本国憲法9条があるのか。軍隊も戦争も、人殺しのためですよ」 与那国島に2016年3月に配備された陸上自衛隊レーダー部隊。配備をめぐり、島民は賛成、反対で二分され、地域に深い傷を残した。配備後も電磁波や弾薬配備などの懸念を抱える。 石垣島で強制移住を経験した潮平正道さんは、経済発展を理由に自衛隊に賛成する石垣市民について「軍隊と一緒に生活することがどういう状況になるのか、認識が甘すぎる」と憤った。 「秘密を持っている軍隊と、秘密を持たない住民とが同じ島で生活する。当然、住民は監視されますよ。『誰が情報を漏らしたんだ』と責められる。そんな恐怖感から、事実じゃないことがバーッと広まっていく。通常の生活などできなくなる」 「国防」の名の下に琉球列島を覆っていく軍事基地。それは「皇土防衛のための不沈空母」の名の下に、沖縄に日本軍基地が急ピッチで建設されていった沖縄戦前夜の光景と酷似している。戦争マラリアから今現在へと繋がるレールの上を私たちはもうとっくに歩き出しているのではないか。民よりも国体を優先した沖縄戦当時の国家のシステムは、今現在も地下水脈のように私たちの足元に脈々と続いているのではないか。 軍隊と住民が雑居した時に起きた悲劇。75年前の戦争マラリアの歴史が証明した教訓は、いまだ全く学ばれないままだ。 危うい時代である今こそ、沖縄戦を学び直そうと声を大にして伝えたい。それは「沖縄戦は残酷だった」と涙を流すことでも、「沖縄県民はいつも可哀想だ」と同情することでもない。問われているのは、75年前と同じ手段でまたも騙されつつある日本国民全員だ。私たちにとって、最後の砦は、歴史から教訓を得ることであり、今の時代を見極める知恵を得ることであると思う。いつの時代も国家の捨て駒にされるのは、私たち国民なのだ。 『沖縄「戦争マラリア」―強制疎開死3600人の真相に迫る』(あけび書房) おおや はなよ 1987年千葉県出身。明治学院大学文学部卒業、早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズム修士課程修了。2012年より琉球朝日放送にて報道記者として米軍がらみの事件事故、米軍基地問題、自衛隊配備問題などを取材。ドキュメンタリー番組『テロリストは僕だった~沖縄基地建設反対に立ち上がった元米兵たち~』(2016年・琉球朝日放送)で2017年プログレス賞最優秀賞など受賞。2017年フリーランスに。ドキュメンタリー映画『沖縄スパイ戦史』(2018年・三上智恵との共同監督)で文化庁映画賞文化記録映画部門優秀賞、第92回キネマ旬報ベストテン文化映画部門1位など多数受賞。 2018年、フルブライト奨学金制度で渡米。カリフォルニア大学バークレー校客員研究員として、米国を拠点に軍隊・国家の構造的暴力をテーマに取材を続ける。 2020年2月、10年にわたる「戦争マラリア」の取材成果をまとめた最新著書・ルポルタージュ『沖縄「戦争マラリア」―強制疎開死3600人の真相に迫る』(あけび書房)を上梓。本書で第7回山本美香記念国際ジャーナリスト賞奨励賞。
2020年09月29日
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「ひねもすのたり日記2」ちばてつや 小学館 毎回4Pのたり連載だから、ゆっくりと読んでゆくと決心してからいつのまにか2年半近く経ってしまった。図書館にもネットカフェにも置いていないので、これは買うことにしている。 おそらく、ちばてつやの代表作のひとつになると思う。老齢の漫画家が、何処まで描けるのか、その一つの典型を、ちばてつやは、史上初めて我々に見せてくれつつある(杉浦茂は例外)。老齢だからこそ描ける世界があることを、本書で我々は初めて知るのである。葛飾北斎は88歳まで現役だった。ちばてつやは、あと7年は頑張ってもらいたい。 とは言いながら、1話目は高井研一郎の生前葬の葬儀委員長をやった時の思い出で、2回目の委員長をやろうとしたら本葬になったというエピソードだった。そうだった。山口六平太の新しい話はもう読めないんだ、と突然寂しくなった。ちばてつやも、いつ亡くなってもおかしくはない。 実弟のちばあきおの話も、全て器用になんでもこなす弟が、漫画を描いてみると四苦八苦して半年もかけて一作描いたというエピソードだった。兄からすると、漫画家になったことが弟の命を縮めたのではないか?という想いは(書いて無いけど)あったのかもしれない。「あの時引き止めなかったことに、少々悔いが残ります」と呟いている。でも、ちばあきおの描いた「キャプテン」「プレイボール」「チャンプ」などは、全て一つのテーマを「不器用に」追ったもので、作者の方はスポーツも勉強もそんなにも優秀だったとは、私は思いもしなかった。兄は書いている。「でも(略)多くの人々に長く愛される作品をたくさん描きあげたよ。‥‥ごくろうさま。」 その他、心にじんわりと響くエピソードがいっぱい。 前作は満洲からの引き揚げ体験がメインで、あれ以上のとっておきの話はないかも、と心配していたのだが、そうではなかった。今回の主な話は、漫画に初めて出会って、描き出して、初めて貸本屋から原稿料を貰ったところまで。ひとつひとつを丁寧に描くことで、此処まで読ませる漫画になるのか、と感心する。もしかしたら、ショートコミック形態で、テーマはなんでもあり、時々思いついたようにストーリーが流れるという形式が、ちばてつやには1番合っている形式なのかもしれない。全面カラーなので、アシも使っているはずだけど、色使いも目配りが届いている。アマゾン川で観た満天の星空の描写は、肉筆を展覧会に出したならば、必ず人々の足を止めることだろう。そして何よりも殆どの登場人物に生命が宿っている。特に父親、母親、兄弟、全部の登場シーンをその歳ごとに描き分けて、しかも何を考えているのか想像できるように描いているのは凄いと思う。 それから、小学3年で木内くんに勧められて初めて描いた漫画や、小学6年の時の漫画を見せてくれている(←物持ちが良い)。私は私の小学5年の時の漫画を持っているが、それとのレベルの違いをまざまざと見せつけられて、改めて漫画家にならなくて良かったと思った。
2020年09月28日
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