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鈴ノ木ユウ「竜馬がゆく 7 」(文藝春秋社) 愉快な仲間のトラキチクンが毎月運んでくれる「マンガ便」ですが、2024年の3月の「マンガ便」に入っていたのは鈴ノ木ユウ「竜馬がゆく 7 」(文藝春秋社)でした。 江戸で剣術修業をしていた竜馬の、土佐への帰国途上のエピソードが描かれていて、幕末の風雲急な時代の始まりを予告する、「竜馬がゆく」という物語の節目の第7巻でした。 ところで、このマンガの原作は司馬遼太郎の「竜馬がゆく」(文春文庫・全8巻)ですが、実は1962年から1966年にかけて産経新聞の夕刊に連載された新聞小説なのですね。思えば半世紀も昔の作品ですが、作家を、時代を越えた流行作家にした出発点になった作品ですね。 で、もう一つの特徴ですが、一般には、この作品が「歴史事実」に対して「ウソ」=「作りごと」のない「歴史小説」であるかのように読まれてきているのですが、実は「ウソ、偽り」で面白さを担保した「時代小説」 ということですね。 たしかに、歴史上の人物の伝記的事実を柱に描かれていて、いかにも歴史事実を忠実にたどっているかに見えるのですが、実は、司馬遼太郎流といえばいいのでしょうか、想像上の人物を登場させたり、こうであっただろうという、まあ、想像を書き込むことで新聞小説の読者を喜ばせる、あるいは、飽きさせないことを狙ったのだろうと思われる「ウソ」が随所にはめ込まれていて、作家の思惑通り、だから面白いのですね。 この第7巻で、竜馬の一の子分として活躍する寝待の藤兵衛は、司馬遼太郎の創作した最も優れたキャラクターの一人でしょうね。「このろくでなしが」「・・・・」「・・・・」「竜馬どの」「旦那だって人殺しの術を使う剣客でしょうが」「盗賊の人殺しと一緒にするな」「武士の剣は千年の・・・考えぬかれた義と理と法とがある武士道じゃ 武士はその道によって人を斬り時には己も斬る」「な~に勝手なことを言ってんだい 殺しは殺し…一緒だろ」 このシーンそのものが、かなり作り話的だと思うのですが、藤兵衛はもちろんのこと、同席しているのが、三条家で見習いをしている、土佐藩の家老だかの娘お田鶴というのもすごいのですね(笑)。 で、司馬遼太郎のえらいところは、まあ、会話をお読みください、この席で、やがて、「武士道」を相対化して新しい世界を作り出してゆく坂本龍馬誕生! の、産婆役として藤兵衛に「殺しは殺し、一緒だろ」とと、実の重要な発言させているのです。坂本龍馬という歴史上の人物の、歴史的改心、あるいは、武士からの脱皮の瞬間をこうして描いてみせるのが「司馬史観」に特有のテクニックですね。 さて、この巻後半、68話から、70話、土佐に帰った竜馬が出会うのはアメリカです。まだ出てきていませんが、この時代の土佐には、あの、ジョン万次郎がいるのですね。楽しみです。 追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)
2024.03.21
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原泰久「キングダム 71」(集英社) 愉快な仲間のトラキチクンの2024年、2月のマンガ便に入っていたのが原泰久の「キングダム71」(集英社)です。もちろん最新号です。 宜安の戦いで敗北をきっし、六大将軍に名を連ねる桓騎を失った秦が、いよいよ、王翦を総大将に押し立て、総力を結集して趙の李牧に、再度、挑む戦いの始まりです。 このマンガの主人公の一人である、李信こと、信が率いる飛信隊も、今や、、なんと、3万の大群です。 戦いの名は「番吾の戦い」、もちろん、「史記」にも記述されている紀元前232年にあった史実です。 久しぶりに、山の民を率いる楊端和も登場します。しかし、敵国、趙の国内における諜報戦において、若干の遅れをとっている秦ですが、出陣の様子はこうです。 戦いの前夜、ともに戦う王翦の子、王賁にたいして問いかける李信の言葉が耳に(いや、目かな)残ります。「大丈夫なんだろーな」「・・・・・」「お前の父ちゃんは」「・・・・・」「当然だ。父は勝つ戦しかせぬ人だ。」 二人とも、何か、いやな予感 を感じているようですよね。 で、戦いが始まるや否や、自国内での李牧のたくらみが、序盤、早々から炸裂し、窮地に陥るの、意気揚々、3万の大軍を率いる信その人でした。 というわけで、あとはマンガをお読みください。史実を知っている人には、本巻71巻に続き次巻の72巻も、相当、辛い展開になりそうですね。 ボクは、楽しみですけどね(笑)。 追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)
2024.03.06
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鈴ノ木ユウ「竜馬がゆく(6)」(文藝春秋社) 2024年、1月、トラキチクンのマンガ便は絶好調! 鈴ノ木ユウ君の「竜馬がゆく」(文藝春秋社)第6巻です。2023年11月30日新刊です。 開巻早々、まあ、前号からの続きですが、土佐藩主、山之内容堂公主催の剣術大会で、長州の俊才桂小五郎を頭突きに次ぐ、突き一本見事に決めて倒すというかっこいいシーンがこの場面です。「郷士の子には惜しい腕でござりまする。」「うむ 上士ならばさっそく予のそばで話の相手にでもさせるのだがの。だが、郷士の子は郷士・・・一生虫けら以下じゃ」 試合を見物していた容堂と、そのおつきの者の会話です。「予のそば」は「余のそば」が正しいのじゃないかとか、「話の相手にでもさせる」という言い回しが、ちょっと変な気がするとか、まあ、小さなことですね(笑) 郷士というのは、土佐藩の場合、関ケ原の合戦まで治めていた長曾我部家の旧臣ですね。関ヶ原の結果、土佐の国主は、それまで掛川藩主だった山内一豊の山内家になりますが、長曾我部に仕えていた武士たちが半農半兵の郷士として残りました。農民武士ですね。上士、下士と身分を区切る場合は下士のことで、くっきりと身分が分けられていたようです。 というわけで、藩主山之内容堂に「郷士の子は郷士、虫けら以下」 といわれた土佐郷士、才谷屋の坂本龍馬が、二度目の江戸剣術修行を終えて帰国するわけですが、時は安政5年、1858年ですね。幕府大老井伊直弼が勅許なしで日米修好通商条約を結んだのが、この年の6月ですね。安政の大獄の始まりです。まあ、いいかえれば尊王攘夷の始まりでもあるわけで、いよいよ、波乱万丈の幕末の始まりです。 もっとも、龍馬が歴史の表舞台に登場するには、もう少しかかるはずです。 で、江戸遊学を終えた竜馬は土佐に帰国です。千葉道場のお嬢さんであるさな子さんとの関係は史実のようですが、北辰一刀流、無双の使い手というのは、チョット眉唾ですね。 なかなか捨てがたいキャラで、竜馬の子分を自称する寝待の藤兵衛という登場人物は、多分、司馬遼太郎の造りだした人物でしょうね。 司馬遼太郎は、調べつくした歴史に沿って「時代小説」を書いたわけで、史実を書いたわけではありませんね。「竜馬がゆく」は小説であって、歴史研究ではありません。だから、鈴ノ木くんの空中で激突する剣術試合も面白いわけですね(笑) どうも、ジジ臭いことをいって申し訳ありませんね。中岡慎太郎、岡田以蔵、桂小五郎、武市半平太、井伊直弼、山内容堂、いよいよ、役者も出てき始めましたね。ここから、もっと面白くなりますよ(笑)
2024.01.11
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原泰久「キングダム(70)」(集英社) 久しぶりにマンガ便がやって来ました。2023年12月のマンガ便は原泰久の「キングダム」(集英社)、第70巻でした。 65巻から始まった秦対趙の宜安の決戦で趙の名将李牧の罠の前に屈し、奇将桓騎を失って敗走した秦軍でしたが、逃げ帰った信をまっていたのは、次の展開で、中国思想史上、名高い法家の天才韓非子の登場だったことは69巻の「マンガ便」で紹介しました。 上の表紙をご覧ください、中央に描かれいるのが韓非子ですが、そのまえに、腰巻のキャッチコピーの文句です。 一億部突破‼ 契約金が10000億円を超えるという途方もない話で盛り上がった2023年でしたが、この国の人口が1億2千万人くらいだそうですから、このマンガがどんな流行り方をしているのか、チョット想像がつきませんね(笑)。結構、面倒くさいマンガだと思うのですがね(笑) で、今回の70巻ですが、秦王、政、後の始皇帝にして、マンガ「キングダム」のここまでの主人公李信の莫逆の友ですが、法治国家をめざす秦王に招かれた韓非子が、秦都咸陽で悲劇の死を遂げる物語でした。 咸陽には韓非子とともに荀子の門人として雌雄を競った李斯がいます。かつての学友李斯と対面したシーンがこれです。 韓非子はドモリ、吃音だったことがいわれていますが、その彼が秦王に仕える李斯に語る最後の言葉です。「し、しっかりやって、その名を歴史に刻め。わが友李斯」「その時が来たら法家の力をみせつけてやれ「・・・・・・」 この会見の直後、韓非子は謎の死を遂げますが、世に名高い始皇帝の法治主義、焚書坑儒の始まりを告げるセリフです。 孔子の教えは孟子の性善説と荀子の性悪説の二つに分かれて受け継がれますが、荀子の思想を引き継ぐ韓非子の「法治主義」が、焚書坑儒へと展開するあたりを、このマンガが描くのはいつになるのでしょうかね。 とりあえず、次号では「番吾(はんご)の戦い」という、再び、趙対秦の決戦ですね。楽しみです。
2023.12.31
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原泰久「キングダム(69)」(集英社) 2023年、夏のマンガ便で届いていた原泰久「キングダム」(集英社)の69巻の感想が、なかなか書けませんでした。65巻から始まった秦対趙の戦いは67巻で「どうせ。最後はおれが勝つ!」とうそぶいた秦六将の雄であり、異能の嫌われ者、桓騎将軍が秦軍の総大将として戦ってきたわけですが、69巻に至り、宜司平野の決戦で趙将李牧の術策にはまり壮絶な最期を遂げてしまいます。 大群のぶつかり合いと、その中での個々の戦闘シーンを描いていくのは、さぞかしご苦労様なお仕事だろうと思いますが、この桓騎の最後のシーンは、実に感動的でした。「三年、秦攻赤麗・宜安。李牧率師、與戦肥下、却之。(幽繆(ゆうぼく)王三年、秦赤麗・宜安を攻む。李牧師を率い、興に肥下に戦い、之を却く。)」(史記)「李牧數破走秦軍、殺秦将桓騎。(李牧数々破り秦軍を走らしめ、秦将桓騎を殺す。)」(戦国策) 「史記」、「戦国策」に残されている記事が詞書されたこのシーンは、ボクの中では「キングダム名シーン」の一つとして記憶に残りそうです。 さて、69巻の後半では、総大将桓騎の死によって、総崩れとなった秦軍の中にあって、この作品の主人公である「信」こと、飛信隊隊長、李信と、彼のライバル楽華・蒙恬(もうてん)という二人の若武者は命からがら敗走し、秦都咸陽にたどり着きます。 帰り着いた都咸陽では、趙に大敗した秦の方針転換が始まっていました。戦い続けてきた趙との最終決戦を迂回し、もう一つの隣国、韓の王族である、あの韓非子の招聘という新展開です。 中国の思想史には老子、荘子で知られる道家、性善説を主張し、孔子の教えを信じる儒家、荀子の性悪説に従い、法治を目指す法家という三通りの流れがありますが、その中で、法家の天才として名高い韓非子の登場です。 法治による国家経営を目指している秦王政が、夢に見る統一王朝のブレーンとして、儒教国家である韓にはいどころのない、法家の思想者韓非子に目を付けたというわけです。 その、韓非子招聘使節団の警護が帰国した李信の初仕事でした。まあ、そこからの顛末は70巻に続きますが、まあ、なによりも韓非子登場! に唖然としました。作者である原泰久の気合というか、重層化して流れている歴史を、少年マンガと言えども、手抜きなし! で描こうとする意欲ですね、そこにカンドーしました(笑)。戦いに次ぐ戦いの中で69巻までやってきた「キングダム」ですが、統治の思想家韓非子がどう描かれるのか、ワクワクします。それでは次は70巻です。また覗いてくださいね(笑)。
2023.12.08
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鈴ノ木ユウ「竜馬がゆく 5 」(文藝春秋社) 2023年、10月のマンガ便です。司馬遼太郎の原作を鈴ノ木ユウがマンガ化している「竜馬がゆく」(文藝春秋社)、第5巻です。2023年8月30日の新刊です。ヤサイクンもはまっているようですね。そりゃあそうですね、マンガの展開も面白いのですが、原作が面白いのは、今更いうまでもないわけですからね。 今回の山場は二つ、一つは土佐、井口村の地下浪人、岩崎弥太郎との出逢いです。地下浪人というのは士分を売ってしまって、一応、身分は武士なのですが、藩士ではないというか、そういう最下層の武士ですね。 この方ですね。明治の政商、三菱の創始者になる人で、ここで坂本龍馬と出会ったことは歴史的事件でした。「すべては金じゃ」「物も人間も政ですら金で動かんもんはないき」 司馬遼太郎が作ったセリフなのか、実話なのかわかりませんが、なかなか味わい深い(笑)セリフですね。もっとも、彼は、この時、獄中の人ですけどね。このあたりで、とりあえず、登場することは、もちろん知っていましたが、さて、どんな顔の人物にするのか、興味津々でしたが、まあ、悪人面もいい所で、笑ってしまいました。 さて、第5巻のもう一つ読みどころというか、見所は、江戸の剣術大会ですね。幕末の江戸には、神道無念流の斎藤道場、桃井道場の鏡心明智流、千葉周作、千葉定吉兄弟の北辰一刀流、というのが、まあ、三大剣術指南所というわけで、そこで名を挙げた幕末の有名人では、4巻で龍馬が出会った、長州の桂小五郎が斎藤道場の、竜馬の同郷の先輩武市半平太が桃井道場の、それぞれ塾頭、そして、主人公龍馬が、当時、実力の小千葉と呼ばれていたらしい、北辰一刀流の千葉定吉道場の免許皆伝ですね。 戦いの描写はこんな感じで、剣術マンガですね。結構な迫力で、面白いですよ。こういう場面は、原作を読んだ記憶には全く残っていませんが、上に書いた千葉定吉道場の話とかは、原作からの知識以外にあり得ませんから、原作も、そういう剣術小説の面があったのでしょうかね。 今回の剣術大会に武市半平太は出場しませんが、桂小五郎と坂本龍馬の決戦は第5巻後半の山場ですね。まあ、お読みください。鈴ノ木ユウ君、絶好調! まあ、そういう感じですよ。
2023.10.02
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佐藤信介「キングダム 運命の炎」 ( ̄∇ ̄😉ハッハッハ!見ちゃいました(笑) 佐藤信介監督の「キングダム 運命の炎」です。 8月11日のお昼ごろ、映画友達の独身・子育て・看護士Sさんからメールがありました。「今日、久しぶりに、完全フリーなのですが、シマクマさんはおヒマ?」「おヒマ!」「映画など、いかがでしょう?」「109ハット、キングダム、午後3時25分!」「了解しました。灘駅でお迎えします。この炎天下、シマクマさんのお年で、あそこから日陰のない道はキケンですから(笑)。」「わーっ!ありがとう。到着したらメールします。」 というわけで、同伴鑑賞(笑)でした。「末のお嬢さんは、夏休みで帰って来てるんじゃないの?」「はい、受験準備とかで、毎日、京都の芸大に通っています。」「推薦かなんかで合格しているとか?」「いえ、いえ、なんか、興味のある企画があったらしくて。 まあ、そういう、お出会いするといつもの調子のおしゃべりしていると始まりました。 ははは、とても笑えて、面白かった! まあ、誰かにすすめる気はしませんが、原作がお好きで、「キングダム」、「キングダム2 遥かなる大地へ」とご覧になってきた方にはおススメです(笑)。笑えます。 ボクは羌瘣を演じる清野菜名さんが「蚩尤」という伝説の暗殺者一族の扮装で画面に現れたときに、思わず涙してしまいました。ジジイのうれし泣きです。かわいい! まあ、「マンガの実写」ということで人気らしいのですが、「実写のマンガ」とでも言った方がいい映画です。登場人物が、みんなマンガ化して、演技がどうのなんてどうでもよい面白さです。 見終えてのおしゃべりです。「あの、橋本環奈ちゃんの役って、なんなんですか?」「Sさん、原作は読んでますか?河了貂という人物はね、信が、今回、飛信隊の隊長になったでしょ。その部隊の、参謀になるんですが、今回はまだ外にいるんですね。次の展開くらいから重要な役どころなの。」「殷、周、秦、漢って、丸暗記した覚えがありますけど。これっていつ頃?」「うん、それの周の終わり、戦国の七雄の秦が、政という若い王さんで全国統一する時の話。今回は趙で人質暮らしの政が、秦に帰国するエピソードが前半の山だったでしょ。」「ああ、杏さんが吉沢君を助ける話ですね。」「ああ、あの女優さん、杏っていう人なんだね。」「メイキャップで、あれ?って思うんですけど杏ですね。東出君と別れた人。」「で、今日のお話は紀元前240年くらいだから、政が始皇帝になるまで、まだ20年あるの。今日、小栗旬君がちらっと出て来たでしょ。趙と秦の戦いは始まったばっかりで、趙の主役は小栗君が演じていた李牧だから、彼の顔出しは次回の予告だね。」「そういえば、シマクマさんの好きな長澤まさみさんも今回は顔出しだけでしたね。」「まあ、でも、大沢たかおとか、笑えるでしょ。ぼくは清野菜名ちゃんが、原作マンガそっくりでよかったけど(笑)。」「じゃあ、まだまだ続くんですね。」「そうだよ。原作は60巻越えているけど、それでも、お話は紀元前235年くらいのところだから、全国統一には程遠いし、原作者の原泰久は、たぶん50歳くらいだけど、連載をはじめたの2006年くらいで、今日の映画の飛信隊結成の話は第10巻くらいだからね。」「原さんて、そんなお年なんですか。」「そんなお年って、あなたたちくらいでしょ(笑)。もう、15年以上連載していて、完成させるにはもう10年以上かかるんじゃないかな?」「大変ですね。」「いや、でも、原作もおもしろいよ。」 というわけで、やっぱり、羌瘣の清野菜名ちゃんと、人質少年政を救い出す紫夏を演じて、壮烈な最期を遂げた杏ちゃんに、拍手!でした。監督 佐藤信介原作 原泰久脚本 黒岩勉 原泰久を演じて、撮影 佐光朗照明 加瀬弘行美術 小澤秀高編集 今井剛音楽 やまだ豊主題歌 宇多田ヒカル中国史監修 鶴間和幸キャスト山崎賢人(李信)吉沢亮(政)橋本環奈(河了貂)清野菜名(羌瘣)杏(紫夏)高嶋政宏(昌文君)長澤まさみ(楊端和)玉木宏(昌平君)佐藤浩市(呂不韋)大沢たかお(王騎)萩原利久(蒙毅)2023年・129分・G・日本2023・08・11・no104・109シネマズ・ハットno32
2023.08.12
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鈴ノ木ユウ「竜馬がゆく 4 」(文藝春秋社) 2023年7月のマンガ便です。鈴ノ木ユウ「竜馬がゆく4」(文藝春秋社)です。第31話から始まります。 時は1954年、嘉永6年です。所は伊豆半島の東、三浦半島の長州藩が海防基地の海岸あたりです。僧なんです、ペリーがやってきているんです。で、長州藩の陣地を偵察していた北辰一刀流の剣豪坂本龍馬と、長州藩士で神道無念流の達人桂小五郎の一騎打ちで開巻です。 というわけで、表紙の人物は桂小五郎君です。吉田松陰門下の俊才の一人です。維新の有名人の中では、珍しく、1877年、明治10年、43歳くらいまで生き延びて、維新の三傑とかいわれた人です。ちなみに、三傑の残りの二人は西郷隆盛と大久保利通です。 この第4巻33話は吉田松陰の「下田渡海」、伊豆半島の下田港沖に停泊中のペリーの船に、金子重助という、弟子だった足軽の青年と二人で乗りつけてアメリカに連れて行ってもらおうと談判した有名な事件があるのですが、そこが描かれていて感無量でした。 あのー、実は、シマクマ君は40年前の卒業レポートで(まあ、卒論ともいいますが)、吉田松陰の詩と真実とでもいいますか、そのあたりをあれこれ調べたことがあるのです。だから、まあ、やたらなつかしいわけですね。 で、桂小五郎ですが、彼は松下村塾ではなくて、藩校の明倫館で、天才少年と言われた松陰、吉田寅次郎から山鹿流の兵学講義を受けた人で、歳は松陰の三つ年下に過ぎません。ただ、残された肖像画の松陰がえらくオジサンに描かれていて、誤解されるのですが、松陰という人は1859年、安政6年に処刑さた時、29歳なんですね。ついでに言えば、このマンガの主人公坂本龍馬も30歳くらいで亡くなっていますし、高杉晋作は27歳で病死、先ほどの金子重助は25歳で獄死です。 70歳になろうかという、馬齢を重ねている目から見ると、異様な若さですね。で、1954年が舞台の本巻では、まあ、20歳そこそこの龍馬とか小五郎とか、松陰が、今、まさに幕末の志士へと変貌せん! とする、その時が描かれていて、なかなか、感無量ですね。「同じ国の藩同士がそれを隠したり隠されたりするようでは日本はもう守れんよ」「……」「面白い」「坂本くん・・・・キミに長州陣地の全てを教える」 31話の最後のページです。小五郎が龍馬を知ったシーンです。まあ、事実か創作かはわかりませんが、司馬遼太郎らしい演出です(笑)。 なにはともあれ、幕末の始まりですね。ここから、いよいよ面白くなるはずですが、この時、「日本」を揺るがしたのはペリーだけではありませんでした。 もう一つの大事件が繰り返し「日本」を襲います。 本巻36話に描かれた「安政東海地震」(1954・M8.4)、この巻ではまだ触れられていませんが「安政江戸地震」(1955・M6.9)という、二つの巨大地震ですね。 「安政東海地震」は、所謂、南海トラフ型、「安政江戸地震」は直下型で、地震としてのタイプは違いますが、後者が大都市江戸を直撃したことが、決定的だったわけです。まあ、そのあたりは次巻以降の話題でしょうね。楽しみです。 というわけで、鈴ノ木版「竜馬がゆく」快調です。面白いですよ(笑)。
2023.08.05
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鈴ノ木ユウ「竜馬がゆく 3」(文藝春秋社) 2023年、3月の末に届いたマンガ便です。鈴ノ木ユウの「竜馬がゆく」(文藝春秋社)、第3巻です。シマクマ君はこのところ松本大洋くんに取りつかれていますが、マンガ便を届けてくれるヤサイクンは、こっちのようです。「あんな、幕末とかの偉い人の名前出して、説教する人おるやろ。キライやねん!」「ふーん、あんた、名前、シンサクやねんけど。」「知らんがな。つけたん、あんたらや。」「幕末でね、リョウマとシンサクは図抜けてカッコええねんけどな。」「長州と土佐で、ちがうんやろ。」「うん、でも、時代こえてたんは、その二人ちゃうか。」「そやから、そういういい方がわからへんいうてんねん。」「アンナ、武士って、兵隊やん。戦争するのんが仕事やろ。で、何のために人殺すかいうたら、殿さんとか将軍とかのためやん。百姓とか町人とか、戦争しててもよらんでええわけ。で、そういう身分とかなしで、みんなが戦争によるようになるには誰の国ということが変わらんとアカンねん。それが、まあ、明治維新やな。」「ほんで、リョウマとシンサクがどうやねん。」「二人とも、理想はナポレオンやったというのが共通してんねん。」「それが、どうしてん?」「ナポレオンは、ヨーロッパで初めて、『フランスはおまえらの国や』言うて、身分すっとばして、みんな兵隊にして、勝ちに勝ったわけ。」「ナポレオンは皇帝ちゃうの?」「うん、皇帝になるけど、『お前らの国や』いうたんがそれまでの皇帝とは違うんねんな。」「フーン、それとリョウマは関係あんの?」「うん、説明しようおもたらなごなるな。このマンガ読んでたら、そのうちわかるかもやな(笑)。」 そんな、話をしながら裏表紙を見ると「わしは自分自身と‥‥大切な人のためにしか戦えん」 と、ありました。国民国家の燭光が差し始めているセリフですね。まあ、勝手な推測ですが、このきめ台詞は、原作者の司馬遼太郎のもののような気がしますね。 今回の第3巻は、竜馬の江戸遊学のエピソードですが、桂小五郎、のちの木戸孝允との出会いが描かれています。実は坂本龍馬は北辰一刀流、桂小五郎は神道無念流の、それぞれ、免許皆伝というチャンバラの達人なのです。ボクは40年前に原作を読んだ時に知って驚きました。で、その、明治維新のトップスターの二人がチャンバラの試合で出会うというのが、マンガみたいなのですが事実のようで、だから、マンガも面白くなるわけですが、今回は、その桂小五郎のエピソードに、吉田寅次郎、若き日の吉田松蔭が出てきます。うれしいですね。えーっと、フーテンの寅さんとは関係ありませんよ(笑)。 原作の「竜馬がゆく」(文春文庫)もそうなのですが、司馬遼太郎の歴史小説、時代小説は登場人物たちの肖像をかなり丁寧に書く、群像劇であるところが魅力だと思いますが、この作品も、そこはわかっているようで飽きさせませんね。 さて、桂小五郎と坂本龍馬という二人の剣豪の戦いシーンは次号におあずけですが、鈴ノ木ユウさん、なかなか快調です。楽しみですね。
2023.03.31
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鈴ノ木ユウ「竜馬がゆく 2」(文藝春秋社) 2022年の12月のマンガ便です。鈴ノ木ユウ「竜馬がゆく」(文藝春秋社)の第2巻です。11月30日の新刊です。表紙のリョウマが、まあ、ぼくのリョウマのイメージとあまりに違うので、ちょっと引きましたが、1巻、2巻と読み終えると、鈴ノ木流のキャラクター総出演という感じで頑張っていて、すっかり、はまり続けています。 第1巻では土佐を出発した竜馬でした。というわけで、ここからは、マンガとか、小説とか、映画とかで、もう、何度も出会ってきた幕末の有名人との出会いです。「人切り以蔵」の呼び名で知られる土佐藩の下級武士岡田以蔵とか、「月様雨が・・」の月形半平太のモデル武市半平太とかとはすでに出会っていますが、第2巻でも再会です。 初登場、一人目は、京都、伏見の寺田屋(この宿も有名です)の女将お登勢ですね。船山馨の「お登勢」(講談社文庫)が僕たちの世代の定番ですが、幕末きっての女傑です。竜馬との因縁は深くて、彼があいした「お竜」さんの義理の母のような人で、この後、このマンガにも複数回登場するはずです。 それから、北辰一刀流の千葉定吉道場の面々です。北辰一刀流といえば、神田お玉が池の千葉周作が有名ですが、桶町の小千葉と呼ばれた定吉の道場が実力は上という評判が、たぶん司馬遼太郎の原作にあったような気がしますが、坂本龍馬が入門したのはこちらです。 この辺りを読んでいて、ふと思い浮かぶのが、「武市半平太って、桃太郎侍の高橋英樹やんなあ。」とか、「寺田屋のお登勢って、森光子やったし。」というわけのわからない記憶なのですが、たいていは1968年のNHK大河ドラマ「竜馬がゆく」のキャストの皆さんのお顔なのですが、なぜか竜馬だけは北大路欣也じゃなくて、「竜馬暗殺」という別の映画で主役だった方なのですね。マア、その話は、このマンガに「おりょうさん」が登場したときのネタということで置いておきますね。 それにしても、たぶん中学生の頃に見たテレビ・ドラマなのですが、なんで、こんなに覚えているのか、それが不思議ですね。 で、第2巻の最大の出会いというか、坂本龍馬という歴史上の人物にとって、おそらく、人生最大の事件に違いない出来事はこれです。 このシーンは1853年7月8日(嘉永6年6月3日)、浦賀沖に初めてやって来た「黒船見物」のシーンです。ペリーが最初に浦賀にやって来た年が、坂本竜馬が江戸にのぼった年だったのですね。竜馬は1836年1月3日(天保6年11月15日)生まれですから、このとき、17歳くらいです。竜馬君、えらいものを見ちゃいましたね。 ここから「幕末」が始まるわけで、当然、出演者はオールスター・キャストですね。いよいよ時代の児の活躍が始まりますね。まずは、第3巻が楽しみです(笑)
2022.12.12
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鈴ノ木ユウ「コウノドリ 新型コロナウイルス編」(講談社MORNINGKC) 人気マンガ(?)「コウノドリ」の番外編です。鈴ノ木ユウ「コウノドリ 新型コロナウイルス編」(講談社MORNINGKC)を読みました。ヤサイクンの9月のマンガ便に入っていました。 新コロちゃん騒ぎが始まって3年以上もたつのですが、収まりそうもありませんね。当然ですが、ウイルスは老人も子どもも、容赦しないということを実体験したばかりなので、妊婦さんや赤ちゃんにとって の新型コロナの物語が語られるのも、まあ当然ですね。 今回の番外編は、こんな感じで始まります。今からコロナ感染者の妊婦が来るよついにですか 聖ペルソナ総合医療センターというのが「コウノドリ」の舞台ですが、当然のことながら、今回も同じ病院です。ただ、感染者を受け入れているという設定が、普段と違うわけです。 これまた当然のことですが、今回のお話も、ピアノ弾きの産婦人科医鴻鳥サクラ君が主人公で、同じく産婦人科医の下屋カエさん、助産師の小松ルミ子さんも活躍します。もちろん救急救命科医の加瀬医師は、救急車で運ばれ来るコロナ患者に大わらわです。 なぜか、故郷に帰って、「コウノドリ」の舞台からは遠ざかっていた四宮ハルキ先生も登場するところが、番外編ならではでしょうか。 出産と新型コロナという組み合わせは、結構スリリングでしたが、まあ、ぼくが男なので、そう思ったのかもしれません。我が家でも、この時期に赤ちゃんが生まれてきました。だから、出産したゆかいな仲間がいるわけですが、このマンガ読んで、初めて「ああ、不安だったろうな」とか同情している始末ですから、話になりませんね(笑)。追記2022・12・12 なんだかわからないし、思い当たる節もなにの新型コロナに感染して、自宅隔離という体験を同居人と二人でしました。幸い症状が軽かったので言えることかもしれませんが、この病気というか、感染症のというか、の特徴の一つは「不安」だということをを実感しました。 病気にかかる以前は、まあ、他人ごとだったのですが、かかったとわかった時点から、あまり経験したことのない「不安」に激しく襲われるました。そのうえ、その不安が、あんまり自覚したことのない恐怖と連動していると気付き始めることで、何とも言えない孤独感に落ち込んでいきました。 マア、気づくのが、実体験の結果というのは、何とも愚かですが、このマンガが描いている、患者さんや医療従事者の人たちの世界の実相に、ようやく、気づいたというわけですね。 健康は大切ですが、健康とか健常とかの世界でのぼせていると大切なことを見落とすことを肝に銘じた体験でしたね(笑)。
2022.09.24
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鈴ノ木ユウ「竜馬がゆく 1」(原作 司馬遼太郎・文藝春秋社) えらい小説がマンガになっていました、再び流行りそうです。2022年、9月のマンガ便に入っていました。「コウノドリ」で、ヤサイクン一家をトリコにした鈴ノ木ユウが「週刊文春」で新しく連載しはじめた「竜馬がゆく」です。 もちろん、原作はいわずと知れた司馬遼太郎です。1970年代の大人気小説です。1968年にNHKが大河ドラマに取り上げたのが記憶にあります。北大路欣也が竜馬で浅丘ルリ子がおりょう、姉の乙女は水谷良重だったことを覚えています。 文春文庫の「竜馬がゆく」は、黄色い背表紙で覚えていますが、文庫化されたのは1974年ころだったと思います。全8巻で、ぼく自身は大学1年生の頃、文庫の新刊が出るのを追いかけるようにして読みました。面白かったですね。数ある司馬遼太郎の時代小説の中でも、一番人気の作品で、文庫・単行本合わせてでしょうが、2000万部をはるかに超える、とてつもない数の本が売られたようです。昭和の終わりを、あるいは大量消費の時代を象徴する「国民文学」ということになりそうです。 その「竜馬がゆく」の、多分、初めての本格的マンガ化のようです。マンガ便が届いて、珍しくチッチキ夫人が先に読みました。「おもしろかった?」「うん、おもしろいよ、これ。竜馬も、他の人も、不細工なのがいいよ。」 で、引き継いで読み終えて確信しました。「これは、流行る!」 第1巻は、幼年時代の「寝しょんべん垂れ」が土佐の日根野道場で目録をうけ、江戸への剣術修行に出発するまでが描かれています。 坂本竜馬19歳。出発の朝のシーンはこうでした。・・・・さあ、竜馬支度せえよそろそろ夜明けじゃ うまいものですねえ。乙女の素顔や、竜馬の表情をどう描いているのかはお読みいただくほかありませんが、司馬遼太郎の原作にも、こんなシーンがあったんでしょうかねえ? 姉の乙女、岡田以蔵、家老の娘お田鶴、今後も登場するはずの主要キャストたちの登場ぶりも印象的で、ぼくにとっては懐かしい名場面、名セリフ満載です。 まあ、今の人たちが、どう評価されるの興味津々ですが、当分、マンガ便が待ち遠しいことになりそうです(笑)。
2022.09.19
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佐藤信介「キングダム2 遥かなる大地へ」109シネマズハット 原泰久の人気マンガ「キングダム」が実写映画化されたのが2019年でした。マンガのファンであるシマクマ君はもちろん見ましたが、面白いというよりも、少々のけぞり気味で、現代の日本映画のありさまに、まあ、良くも悪くカンドー!?したのですが、その続編「キングダム2 遥かなる大地へ」が、今年2022年の夏に公開されました。 で、さっそく出かけました。やっぱり「キングダム」ですからね(笑)。まあ、マンガに関しては「これって史記のどこ?」とか、ちょっと気になってしまうこともあるのですが、映画に関しては歴史的考証とかについては端から期待していません。どっちかというとファンタジーのノリで見ないと、至る所でのけぞってしまうことになるのは前回で織り込みずみです(笑)。 お話は、原作の第10巻くらいまでの展開、大将軍を夢見る信少年(山崎賢人くん)が戦場で初手柄をあげる蛇甘(だかん)平原の戦いを描いたドラマでした。王位についた秦王政(吉沢亮くん)の初仕事でもありますが、魏軍相手に苦戦に次ぐ苦戦で、あわやの大逆転勝利の立役者の一人が信というわけでした。 前作で、圧倒的にのけぞらせていただいた長澤まさみさんの楊端和(ようたんわ)との再会に期待していたのですが、今回は出番なしで、期待は空振りでしたが、今回は、羌瘣(きょうかい)の清野菜名さんに涙涙でした(笑)。 原作マンガをお読みの方はよくご存じでしょうが、謎の暗殺一族である蚩尤(しゆう)の末裔ので、トーン・タン・タン、トーン・タン・タンという繰り返しのリズムに乗りながら巫舞という不思議な呼吸法の殺人剣を操る少女です。 原作マンガそっくりの顔立ちと奇異な装束に見入っていると、冷血で、ニヒルで孤独な少女羌瘣が、熱血少年信との出会いで、その「熱血」の仲間へと変貌していくわけですが、下の絵がそのクライマックス・シーンでした。「だってお前はまだ生きているじゃないか!!」 多勢に無勢、絶望的な戦場で、倒れている戦友に必死の形相で声をかける羌瘣こと清野奈々さんに拍手!拍手!でした。名セリフだと思いませんか。ここまで、クールを通してきた清野奈々さんの「熱血」が爆発して、カンドー!でした。 上に貼ったのは入場者に配られた、原作者原泰久による本作の解説集「キングダム伍」という冊子の名場面解説というか、絵コンテ紹介のページです。 これが配布された冊子ですが、表紙中央が、もちろん、信、後ろに立っているのが羌瘣です。まあ、こういうマンガの美少女のような顔立ちの方が実在することに驚きましたが、すっかりファンになってしまいました(笑)。 ちなみに冊子の巻数「伍」というのは、当時の軍隊での最小単位だった5人組のことを「伍」と呼び慣わしていたようで、ここでは、信の最初の仲間の5人をあらわしていると思います。「伍長」とかいう階級がありますが、5人小隊の長でしょうね、あれの始まりですね。 総じて、高校の文化祭の演劇を見ているような印象はぬぐえませんでしたが、まあ、見ている方の年のせいでしょうね。そういえば、ベテラン俳優の佐藤浩市が秦の丞相呂不韋という、歴史的には有名な人物として登場していましたが、彼の普通の演技が、かえって浮いているように見えたのが、ちょっとおかしかったですね。 前作が大ヒットだったせいですかね、冊子を配るとか、サービスも手厚くなっています。小学生くらいを連れた家族連れもたくさんで、人込みを避けたい老人にはちょっと危険な109ハットでした。監督 佐藤信介原作 原泰久脚本 黒岩勉 原泰久撮影 佐光朗照明 加瀬弘行美術 小澤秀高編集 今井剛音楽 やまだ豊主題歌 Mr.Childrenキャスト山崎賢人(李信)吉沢亮(秦王政)橋本環奈(河了貂)清野菜名(羌瘣)豊川悦司(麃公・秦将)高嶋政宏(昌文君・秦王側近)小澤征悦(呉慶・魏将)佐藤浩市(呂不韋・秦丞相)大沢たかお(王騎・秦六大将軍)2022年・134分・G・日本配給 東宝・ソニー・ピクチャーズエンタテインメント2022・08・17-99・109シネマズno14
2022.08.21
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週刊 マンガ便 原泰久「キングダム(64)」(集英社) 3月のマンガ便に入っていました。「キングダム」(集英社)64巻です。「なあ、このまま秦の統一までまじめに書いていったら、もう十年ぐらいかかりそうやねんけど。」「どっかで端折るんちゃウか。いちいちマジメには無理やろ。」「今回は、まだ趙やろ?戦国の七雄ていうねんで、趙が滅んでも、まだ五つも残っとるやん。」「そうやな、趙にもまだ李牧がおるからなあ。あんな、今回はな、秦の政が6大将軍とか決めたやろ。その中の桓騎いう奴が奇策で趙を負かすねんけど、捕虜10万人を皆殺しにする話やねん。」 まあ、そんな会話があったような、なかったような。 今回の「キングダム」64巻は趙の領土、武城・平陽に攻め入った秦の中央軍を率いる桓騎将軍と、これを迎え撃たんとする趙の総大将扈輒(こちょう)将軍との戦いで始まります。 この裏表紙の方が扈輒(こちょう)さんです。顔にボタンみたいなものを埋め込んでいらっしゃいますが、何なのかよく分かりません。で、表紙の中央の方が桓騎さんですが、桓騎将軍の秦軍は苦戦に苦戦を重ねますが、本陣を孤立させ、おとりにするという奇策で、敵将扈輒を誘い出し、見事に逆転勝利します。ここまでが、本巻の最初の読みどころですが、そこからがメインでした。桓騎将軍による捕虜10万人に虐殺です。 これが武城・平陽の戦いの結論のページですが、秦軍六大将軍に選ばれたほどの大将軍による暴挙がなぜ行われたのか、その後、どのような決着を見たのか。そのあたりは本作をお読みになっていただくほかありません。 実は、この作品がよりどころにしているであろう、司馬遷の「史記」の中には「坑(穴)にす」とか「斬首」という言葉は結構、頻繁に出てきます。「焚書坑儒」という言葉がありますが、坑儒とは儒者を生き埋めにすることですね。ただ、多くても何百人単位の出来事なのですが、今回は10万ですから、桁が違います。 後の将軍李信である「信」少年と、後の始皇帝である「政」少年のビルドゥングスの物語である「キングダム」ですが、この事件に「政」少年、この時点では、すでに秦王嬴政(えいせい)がどう対処するのか、あるいは、作者の原さんがどう対処させるのか、そこが本巻の読みどころでした。まあ、読んでみてください。なかなか読みごたえがあると思いましたよ。 さて、いよいよ、次巻は趙の名将李牧の再登場なのでしょうかね。待ち遠しいことですね。
2022.03.24
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週刊 マンガ便 原泰久「キングダム(63)」(集英社) 12月のマンガ便です。「キングダム 63」(集英社)、2021年11月24日発売の最新刊です。 「桓騎攻趙平陽 史記・始皇本紀」始皇13年、西暦BC234年、秦対趙の戦いが始まっています。趙の要衝平陽攻略をもくろむ秦の六大将軍の一人桓騎(かんき)に対して、迎え撃つのは趙の猛将扈輒(こちょう)です。62巻で始まっていましたが、秦軍は苦戦、苦戦、苦戦の連続です。 63巻のトピックは桓騎の部下雷土(らいど)将軍の戦いです。裏表紙のこの人です。 一見いかついキャラですが、筋の通った至誠の人でした。捕虜になったこの雷土に扈輒が加えるすさまじい拷問シーンには目を瞠ります。 もう一つは、もちろん飛信隊の活躍です。影丘という崖の上にそびえる趙軍右翼の陣地を巡る攻防での、絶壁をよじ登る飛信隊の歩兵軍団の凄まじい気迫あふれる戦いです。 このマンガ、時々、小学生の運動会の騎馬戦のような、素直な躍動を戦場シーンで描くところがぼくは好きです。 もう一つ忘れられないのが信と趙軍の近衛兵団の「妖将」岳白との一騎打ちでした。久々に信のスピード感あふれる戦闘シーンは見モノでした。岳白は表紙の中央のへんな髪形の男ですが、デカイ体からは想像できない不思議な体術の使い手でした。 さて、平陽の戦いは、実は始まったばかりですが、飛信隊が戦う影丘の戦いの帰趨はというのは読んでいただくほかありません。キングダムは戦いのシーンが、やっぱり面白いですね。
2021.12.06
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週刊 マンガ便 原泰久「キングダム(62)」(集英社) 2021年11月のマンガ便で届きました。原泰久「キングダム62巻」(集英社)です。 61巻で登場した羌礼の正体が明かされます。彼女は羌瘣の妹で、蚩尤(シユウ)の一族の末裔です。蚩尤というのは作者の創作ではありません。中国神話上の戦闘神の名で、姓は「羌」のようです。実在したとして、湖南省の少数民族ミャオ族は祖先神として現在も祀っているそうです。 「キングダム」の作者原泰久は、そのあたりの現況の取材と「鉄製の武器」を発明したらしいという、史記など歴史記述からの推理から創作し、キャラクターとして登場させているのでしょうね。 羌瘣は、すでに「飛信隊」にとってなくてはならない戦闘者であり、ひょっとすると信の恋人の役も担うのかもしれないという、このマンガでは重要な存在です。 前巻では、突如登場した羌礼のエピソードの中で、修業時代の羌礼が同族の羌識の胸を貫いたところで終わっていましたが、今回は羌礼・羌瘣姉妹の決着が前半の山場でした。 後半は始皇13年(紀元前234年)秦王政によって六大将軍制が制定さるところから始まります。メンバーは以下の通りです。第一将 蒙武第二将 騰第三将 王翦第四将 楊端和第五将 桓騎第六将「空席」 ここまで「キングダム」を読んできた人にはなじみの名前ですが、第六将が空席、今後の戦果によって定めるとしているところが意味深です。 もっとも、歴史的な意味で言えば、秦王政は、このとき戦国の七雄と呼ばれた群雄割拠に終止符を打つ決意を天下に公表したといってもいい事件で、紀元前221年の天下統一まで13年間にわたる、闘いの火蓋が切って落とされたということですね。 で、本巻では早速対趙戦争が開始されます。さあ、どうなることやらというわけですが、「キングダム」は現時点で62巻です。ここから13年にわたる戦場の日々なのですが、いったい何巻まで続くのでしょうね。 今は亡き横山光輝は「三国志演義」を漫画化した「三国志」を60巻で完成するのに15年かりましたが、原泰久が「キングダム」の連載を始めたのが2006年の9月です。今年でちょうど15年です。で、62巻ですから、横山光輝の「三国志」をすでに越えてしまっています。これから大変でが、無事ゴールして欲しいものすね。
2021.12.03
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原泰久「キングダム(60)」(集英社) いつもの書き出しでなのですが、ヤサイクンの2021年1月のマンガ便、第2便で届きました。「キングダム(60)」(集英社)、もちろん最新号です。「あのなキングダム60巻が出てるんやけど、59巻ある?」「ああ、あるよ。もう読んだんやろ。」「あのな、あのマンガな、前の号から読み直さなようわかれへんねん。すぐわかる?」「ああ、そういうことか。ぼくは筋より書き込みの字が小さすぎて、そっちが問題やな。」「そんなこまかいとことばすやろ。」「いやいや、読むやろ。」 2021年、1月第1便を届けくれたのが、お正月の三が日だったのですが、その時の会話で、ヤサイクンは59巻を持ち帰りましたが、読み終わったようで第2便で届きました。 で、「キングダム(60巻)」です。表紙を開くと「羌瘣」の美しいカラー挿絵があって、その次のページこれです。 「おっ!」と思いましたね。今まで気付かなかっただけかもしれませんが、「キングダム本紀」の表記が踊っていますね、ついに登場しました「紀伝体」表記です。 このマンガのネタ本が司馬遷の「史記」であることは間違いないと思いますが、ついに、このマンガの年代表記に「本紀」、すなわち「皇帝の歴史」という、「史記」に由来する歴史カテゴリーが使用され、マンガの現在が「始皇十一年(紀元前236年)」と記されているのです。 「始皇十一年」という表記は、「信」の親友、若き「嬴政」が秦王に即位した紀元前247年という所から数えていますが、まあ、「戦国の七雄」の一つであった秦の王「政」が、中国を統一し、アジアで初めて皇帝を名乗るのは紀元前221年で、そこからが「始皇元年」なはずなわけで、マンガの今の表記は「秦王政十一年」とされるべきところなのですが、なにせ「キングダム本紀」なわけですから、こういう表記もありなわけでしょうね。 マンガは、前号の59巻で、強敵「趙」との決戦が終わったかの印象ですが、下の年表をご覧ください。前259 政(後の始皇帝)生誕前256 周(東周)を滅ぼす。周の王統絶える前247 「秦王政」即位前237 元宰相「呂不韋」を退け親政する。(このあたりが「60巻」の現在です)前233 「韓非子」を捕らえ、自殺せしめる。前230 「韓」を滅ぼす前228 「趙」を滅ぼす前227 刺客荊軻(けいか)による秦王暗殺未遂事件前225 「魏」を滅ぼす前223 「楚」を滅ぼす前222「燕」を滅ぼす前221 「斉」を滅ぼし中国統一を完成する。皇帝号を用い、郡県制を全国に施行。兵器を没収。度量衡、貨幣、文字を統一する。 大雑把な年表ですが、ご覧の通り、実際に「趙」を滅ぼすまでにあと10年かかるのです。「60巻」で新たに戦いを挑んだ「楚」や、同盟した「魏」との戦いも、まだ十年以上続きます。 本巻では「楚」との戦いが始まり、新たな登場人物が登場します。 ここから、当分続くであろう闘いの武将たちです。 こっちが「楚」、「魏」、「秦」の軍師たちですね。 そのうえ、この巻では、かつては「秦」国の宰相を務め、王位に就いた「政」に蟄居を命じられていた呂不韋の死をめぐる面白いエピソードも語られています。このマンガでは触れられてはいませんが、「史記」が読まれ続けてきた長い歴史のなかで、秦王「政」の実父ではないかという、うわさの絶えない人物が呂不韋です。彼の死が、このマンガでどう扱われているか、そのあたりも読みどころですよ。 さて、原泰久さん、「キングダム本紀」と記したかぎりは、ここからの長い統一への道、書き上げる覚悟が定まったようですね。イヤ、それにしても何巻まで書くつもりでしょうか。興味津々ですね。 「キングダム」59巻の感想はこちらをクリックして下さい。
2021.01.17
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鈴ノ木ユウ「コウノドリ 32 最終回」(講談社) 表紙で鴻鳥サクラくんが笑って、手を振っていますね。今回の「コウノドリ(32巻)」が最終巻だそうです。ザンネンですね。 ぼくはこのマンガに登場する若い医療従事者たちの、前向きな生き方が、まあ、もちろんマンガではあるのですが、いや、マンガであるからこそかもしれません、好きでした。 産婦人科のお医者さんのサクラくんや、四宮くん、そして、下屋カエさん。助産師さんの小松ルミ子さん。ああ、それから、救急医の加瀬さんもいいキャラでしたね。聖ペルソナ総合医療センター院長の存在も忘れられません。 彼らが、危機一髪の悪戦苦闘をなんとか乗り越えていくたびに、涙しながら読んでいる65歳を越えた徘徊老人というのも、ちょっと、大丈夫かという気もしますが、新しい命が生まれてくる現場をまじめに描き続けてきた鈴ノ木ユウさんに拍手したい気分ですね。 今回は最終回ということもあるのでしょうね、助産師の小松さんに「恋の季節」が巡ってきました。「おお、仕事をとるか、男をとるか。小松さん、どうするのでしょうね?」 と、引っぱられていると、なんと、主人公鴻鳥サクラくんの前に、彼を生んですぐにに亡くなったお母さんの面影を宿した女性が登場します。 サクラくんが育った「ママの家」のケイコママが、その女性を見かけて、サクラの母、幸子を思い出したところです。 女性はサクラくんが通うデンタルクリニックの歯科医片平ミユキさんです。 さあ、どうなるのか?と期待したのですが、シングル・マザーとして出産を決意した彼女は、急性白血病の妊婦としてサクラくんの患者さんになってしまうのでした。 場面は、ほとんど命懸けで赤ちゃんを産み終えた片平さんが、自らも生き抜きたいと泣き叫ぶところです。 ぼくですか?もちろん、泣きましたよ。そのために読んでいるのですから、トーゼンですね。(笑) 左のページは、別れた男性との間にできた、おなかの子どもを産むことについて、片平さんが苦しんだ時のシーンですね。「出産って、誰のものなんだろう・・・・」 これが、おそらく、鈴ノ木ユウさんが、このマンガを描き続けながら、考え続けてきたことでしょうね。簡単なようで、重い問いですね。 さて、大団円、小松さんの恋の行方はいかに?果たして、片平みゆきさんは助かるのか。助かったとして、サクラくんとなんとかなるのでしょうか?ああ、それよりも、なによりも、この病院の仲間たちはどうなるのでしょう。 まあ、そのあたりは、本書を読んでいただくしかありませんね。というわけで、これが裏表紙でした。オシマイ!ボタン押してね!ボタン押してね!
2020.11.20
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原泰久「キングダム(59)」(集英社) ヤサイクンが2020年10月のマンガ便を届けてくれました。おっ、ありましたよ。「キングダム」最新号、59巻です。 表紙は「秦」軍の大将軍王翦です。朱海平原の戦いを制した「秦」軍を率いる王翦は、趙の要衝「鄴」を占領しますが、敵地のど真ん中に陣取った「秦」軍には大きな落とし穴が待っていました。 「食料補給」の輜重線を、包囲する「趙」軍に分断されてしまったのです。知将王翦が、この大ピンチをどう切り抜けるのか、というのが本書の前半の読みどころですね。 結果は歴史的事実が語っていますが、なかなかハラハラドキドキの展開で、読みごたえがあります。 後半の読みどころは、趙の王都「邯鄲」に巣喰っている悪臣「郭開」と趙軍の俊才「李牧」の戦いですが、「李牧」の運命やいかに。戦国時代の強国「趙」が滅びの坂を転げ落ち始める挿話ですが、やがて、天下統一を成し遂げた「秦」がたどる道でもあるところが面白いですね。 まあ、とはいいながら59巻、人間ならば還暦を迎えるところです。主人公「信」が、遂に姓を拝領し「李信」を名乗ることになるメデタイ巻でもあります。 将軍「李信」の誕生です。キャラ的には、それほど成長したわけではありませんが、夢見る少年だった第1巻が懐かしいですね。 さて、このあと何巻がかりで「大将軍」へ成長するのでしょうね。まだまだ、戦国の雄国は健在です。秦王政が「始皇帝」と名乗るまで、マンガ家の原泰久さんは無事描き上げることができるのでしょうか。ちょっと心配になったりもするのですが、何はともあれ、頑張っていただきたいものですね。追記2020・10・17「キングダム」55巻・56巻・57巻・58巻の感想はそれぞれ番号をクリックしてみてください。にほんブログ村にほんブログ村
2020.10.17
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野田サトル「ゴールデン・カムイ(22)」(集英社) 「ゴールデン・カムイ」の単行本を一冊づつ紹介してやろうという「野望」に燃えていましたが第4巻であえなくダウンしているうちに話はどんどん進んでしまいました。 登場人物たちが北海道から樺太へ移動するという展開になってしまって、ロシア革命の話から、アリシバちゃんのお父さんの出生の話から、もうてんやわんやなんですよね。 で、6月の末にマンガを届けてくれたヤサイクンがこう言いました。「もうわけわからへんな。新しいのが出たらそこまで読み直さんと付いて行かれへんやんな。」「まあ、そのうち読み直すということで、何となくついていけてるぐらいの感じでええんとちゃうの。」「そういうけど、なんで樺太に行ったか、覚えてるか?」「ええっと?覚えてません。」「ホラ!」というわけで6月の「マンガ便」です。届いたのが最新号、野田サトル「ゴールデン・カムイ22巻」でした。 このマンガの面白さは不死身の男杉元とアイヌの天才少女アリシバちゃんの二人三脚に、アホの白石君が絡み、「北方の文化」、「自然」、そして「食卓」をあれこれ紹介する珍道中だと思うのです。 ところが「樺太」編の間は、とても三人組の珍道中というわけにはいかない「しっちゃかめっちゃか」の状態だったように思いました。 作者には「物語」の着地点は見えているのでしょうが、「どうなるのか」の予想が立たない「おろかな」読者である、まあ、ボクも含めた「ゆかいな仲間」たちには、ほとんど、お手上げの展開が続いてきました。 エピソードが単行本ごとに独立しているわけではないので、その巻だけ読んでも「わけがわからん」ということになってしまっていて、「固め読み」をするとか、「フィードバック読み」をするとかしないと、いや、そうしても話の筋についていけないという感じでした。 で、22巻ですが、この巻の冒頭で、くだんの3人組が帝国陸軍第7師団鶴見中尉の追及から逃れ、ついに北海道に帰還します。 そこからは、以前の「ゴールデン・カムイ」調を取り戻したようで、なかなか楽しく読めました。 最初が流氷の上のシロクマとの対決です。 アシリバちゃんが白い「キムンカムイ」の神聖さと毛皮の価値を講義し、杉元と白石のドタバタです。これを待っていました。 二つ目が「砂金掘り」です。 もともと「アイヌの黄金」がこのマンガのお宝なわけですから、この話がどこかで出てこないはずはなかったのですが、ついに出てきました。 もっとも、「お宝」に目のない白石君の道化話かと思いきや、新たな「入れ墨男」の登場でした。久しぶりの登場です。そのあたりは本冊でどうぞ。 さて、22巻で気付いたことですが、アリシバちゃんの表情が少し変わり始めていますね。 いかがですか。表紙の彼女もそうなのですが、少し「大人っぽく」なってきていませんでしょうか。 樺太での、自らの出生の秘密と使命を自覚する体験の中で成長してきたのでしょうね。子どもっポイあどけなさ魅力の少女だったのですが、「地獄へ落ちる覚悟」を決めたようです。 果たしてアシリバちゃん、「女性」に変貌するときがやってくるのでしょうか。 やっぱり次号が楽しみですね。ボタン押してね!ボタン押してね!
2020.07.06
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原泰久「キングダム(58)」(集英社) 6月のヤサイクン「マンガ便」です。「キングダム58巻」、6月24日発売の最新刊です。「57巻」で李牧率いる「趙」軍の最後の切り札として現れた、趙軍三大天、怪物「龐煖(ほうけん)」に挑むのは、「飛信隊」を率いる「信」でした。 この巻が届く数日前、松山の「サカナクン」から電話がありました。彼は「週刊ヤングジャンプ」の読者なので、単行本になる前に、二人の戦いの行方を読み終わっています。「キングダムやけど、信の友達の羌瘣は死ぬの?ホラ、妖術使う美人。」「死なへん。」「李牧は。」「死なへん。」「誰も死なへんの?」「死ぬっちゃア、信も龐煖も死ぬ。」「ええーっ、お話し終っちゃうやん。」「朱海平原の戦いの決着はつくけど、マンガは終わらへん。」 知らない人が聞いても何のことかわからない会話ですが、「キングダム」を読み続けてきた読者には、気がかりだけを残した電話でした。まあ、実に「アホ」で「ノンキ」な気がかりではあるのですが。 で、6月も末の土曜日の夜「マンガ便」を届けてくれたヤサイクンに、思わず聞いてしまいました。「飛信隊の信が死ぬの?」「ああ、羌瘣も信も龐煖も死ぬで。ここからはドラゴンボールやな。」 いつものように調子乗っていい加減な返事をしているようです。結果、ますます意味不明です。しようがないので、さっそく読み始めました。 マンガの世界では「信」対「龐煖」の死闘がクライマックスを迎えています。 武神を目指して「人」と「人」を縛り付ける鎖を打ち砕き続けてきた「龐煖」が、打ち砕いた先にある「人」と「人」の繋がりに遭遇し、自らの「武の道」の行きついた矛盾の頂点での、最後の逡巡のシーンです。 相手は、「人」と「人」の繋がりからパワーを充填し続ける「信」です。なるほど「ドラゴンボール」ですね。 この次のシーンこそがクライマックスですが、それは本書を手に取ってお楽しみください。 「李信」対「龐煖」の戦いは、本書の前半の三分の一で終ります。そこから中盤三分の一でヤサイクンのいう「キングダム」の「ドラゴンボール化」が描かれるというわけです。「信」も「羌瘣」も死ぬという、奇妙な発言の謎も解かれるわけです。 さて、物語は「秦」対「趙」の、最終決着に向けて動き始めました。「59巻」、やっぱり楽しみですね。ボタン押してね!ボタン押してね!
2020.06.29
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原泰久「キングダム 57巻」集英社 おなじみヤサイクンの4月のマンガ便です。お待ちかね「キングダム57巻」が届きました。2020年3月24日発売の最新刊ですね。秦対趙の、最終決戦、「朱海平原の戦い」15日目、いよいよ結末の日だと思うのですが、55巻から始まって、これで3巻目、決着はつくのでしょうか。 表紙の二人は「飛信隊」を率いる「信」と、その盟友、妖術まがいの剣の使い手、「羌瘣(きょうかい)」ですね。そうです、「朱海平原の戦い」最終日の戦いは一進一退、刻々と形勢を変化させながら、随所に見どころを生み出してゆく57巻ですが、最後は「羌瘣(きょうかい)」と「信」それぞれの必死の戦いがメインです。読みどころの一つ目は、形勢不利の中、最後に残った騎馬隊に秦軍の総大将王騎将軍の首を直接狙わせるという大胆不敵な突貫攻撃を命じた李牧の作戦で趙軍が盛り返すまでの展開です。 原泰久の絵は、誰が誰なのかよくわからなところが面倒ですが、戦場全体の展開の、俯瞰的な描写の面白さが際立っています。 二つ目は「飛信隊」の参謀河了貂(かりょうてん)の存在の重要性に気付いた趙軍の武将金毛と河了貂の戦いのシーン、これです。 勇将金毛の襲撃に河了貂は絶体絶命、さて、それを一撃で救うのは誰なのか。大きな流れに、小さなドラマをかみ合わせていくことで、物語にナイーヴな印象を施しているところが、実に面白い。まあ、ありがちな方法ですが。 三つ目は、突如現れた趙軍の怪物「龐煖(ほうけん)」と飛信隊の妖術剣士、「羌瘣」の一騎打ちです。果たして、美少女剣士は怪物相手のどんな戦いを演じたのでしょうか。 しかし、実際、羌瘣は大丈夫だったのか、ファンとしては気になるところですが、「信」に火をつけたことは間違いありません。 そして四つ目には「飛信隊」を率いる「信」が、いよいよ武神「龐煖(ほうけん)」と激突です。 緒戦では怪物「龐煖(ほうけん)」に叩きのめされる「信」ですが、死んでも、死んでも生き返る「飛信隊」です。さあ、勝負の行くへはと固唾をのんだところで、58巻をお楽しみにという結末でした。ヤレヤレ。 まあ、それにして次号では決着がつくのではないでしょうか。テレビアニメも始まるそうですが、ぼくは見ませんね。こんな、派手で分かりにくいシーンに音が入って、動き出したりしたら、ちょっとシラケるじゃないですか、ねえ。追記2020・04・05「キングダム」(55巻)・(56巻)の感想は、ここをクリックしてみてください。 ボタン押してね!ボタン押してね!
2020.04.06
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野田サトル「ゴールデン・カムイ(5)」(集英社) 第5巻です。 表紙の人物は谷垣源次郎一等卒です。秋田のマタギの出身。日露戦争に従軍し、第七師団、鶴見中尉の部下だった男ですが、「不死身の杉元」を追跡する中で負傷し、アシリパちゃんの村で、おバーちゃんに看病してもらい、軍を捨ててしまいます。 第5巻は、ちょうど村の生活になじんできて、「マタギ」の暮らしに戻る谷垣のもとに、第七師団の追手がやってくる展開です。 谷垣の所持する武器がこれです。大日本帝国陸軍初の制式銃である村田銃ですね。第3巻、第4巻で登場した、網走監獄を脱獄した刺青の「悪夢の熊撃ち」二瓶鉄造が持っていた銃ですが連射できないところが特徴です。谷垣は、この巻ではまだ使っていません。 話が進むにしたがって、おバーちゃんに依頼され、主人公アシリパちゃんを護衛するという重要な役どころを担う登場人物です。 というわけで、今回の「今日の料理・アイヌ・北海道編」です。「北海道編」と追記しているのは、料理がだんだん「アイヌ」の民俗では説明しきれないものを含みはじめたからです。 「ニシン漬け」ですね。身欠きニシンとキャベツ、大根、ニンジンをこめ麹で発酵させた、発酵食品です。これなんかは,まあ、よくわかっているわけではありませんが「アイヌ」の食品とは言えないんじゃないかと思いますね。 今回も、カンドーの動物が登場しました。 「レプン・カムイ」、「沖にいる神」という意味だそうですが、「シャチ(鯱)」ですね。 「シャチ」の皮下脂肪を煎って油を作っていますね。さて、この油で作る料理といえば、揚げ物ですね。 「鯱の竜田揚げ」です。醤油で下味をつけて、粉をまぶして揚げています。うまいでしょうねえ。でも、これは食材以外は普通の料理ですね。漫画家さんが好きなものを描いている気がしますね。もう一つ、旨そうなものを揚げています。 「子持ち昆布の串揚げ」です。いいですねえ(笑)。 昆布にニシンが卵を産みつけたものが「子持ち昆布」ですね。魚卵付き生昆布を串揚げにしています。ちょっと食べてみたいですね。 これは海辺の幸のお料理でしたが、川の幸のお料理もあります。 これもカンドーの動物ですね。幻の巨大魚、イトウです。実際に2メートルを超えるイトウが捕獲された記録もあるらしいのですが、鮭の仲間のようです。「イワンオンネチェプカムイ」というそうです。 そのイトウに咥えられたアホの白石君は今や絶体絶命ですが、新たな登場人物、アシリパちゃんのおとーさんのお友達、キロランケに助けられて事なきを得ました。 アイヌの生活では「イトウ」は、その皮が「チェプウル(魚皮衣)」という服の生地に使われたり、靴や小刀の鞘、膠(にかわ)がわりの接着剤にまで使われるらしい。しかし、ここではお料理です。「あ刺身」でした。最近「トロ・サーモン」とか呼ばれてはやっているあのお刺身ののような感じでしょうか。。マンガでは「ヒンナ、ヒンナ」を連発して、やはり目玉を、しゃぶって食べています。茹でダコの味だそうです。 だんだん、お料理教室のネタが減ってきましたが、この先どうなるのでしょうね。では第6巻もお楽しみに。追記2020・03・01「ゴールデン・カムイ」(第1巻)・(第4巻)の感想はこちらからどうぞ。ボタン押してね!ボタン押してね!
2020.03.01
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野田サトル「ゴールデン・カムイ(4)」(集英社) さて、第4巻です。表紙の人物は「大日本帝国陸軍・第七師団」所属する情報将校、鶴見篤四郎(つるみ とくしろう)陸軍中尉です。 容貌魁偉というのはこういうのでしょうかね。仮面のような額当てをしていますが、日露戦争の戦場で頭を吹き飛ばされても生き残った男で、今でも目の周囲の皮膚は剥がれていますし、吹き飛ばされた頭蓋骨にホーロー製のカバーを当てているのですが、時々脳漿のがにじみ出てくるという、恐るべき状態なのです。とはいいながら、その活躍ぶりは、なかなか、どうして、半病人などではありません。 土方歳三の刀のことを言いましたので、彼が手にしている拳銃についてちょっと。この銃はボーチャード・ピストルというそうです。ドイツで開発された、最初の軍用自動ピストルです。戦争映画などでナチスの将校が手にしている軍用拳銃ルガーP08というピストルの原型だそうです。 さて、この男が、アイヌの埋蔵金を狙う「三つ巴」の一角を担う、いわば、副主人公なのです。そして、彼の周りには狙撃の名手・尾形上等兵、マタギの末裔・谷垣一等兵、死神鶴見中尉の右腕・月島軍曹といった、後々、大活躍の人物が勢揃いしているのですが、それぞれの人物がクローズアップされる「巻」が待っています。紹介はその「巻」で、ということで。いやー先は長いんですよ、話の展開も一筋縄ではいかないようですし。 というわけで、「きょうの料理・アイヌ編 第4巻」ですね。 「鹿肉の鍋」です。「ユㇰオハウ」というそうです。プクサキナ(ニリンソウ)とプクサ(行者ニンニク)が入っているそうですが、なんと、アシリパちゃんが「味噌」をねだるようになっています。 「鮭のルイペ」。生肉や魚を立木にぶら下げて凍らせたものを「ルイペ」というそうで、とけた食べ物という意味だそうです。「鮭」は「カムイチェプ」というそうです。 さて、今回のカンドーは「大鷲」です。「カパチㇼカムイ」と呼ぶのだそうです。 見開き2ページを使った姿です。翼を広げると2メートルを超えるそうです。羽が矢羽根に使われます。モチロン肉は煮て食べます(笑)。 脚を齧っています。残念ながら「鍋」のシーンはありません。この後、おバカの白石くんは鷲の羽根を売りに行って、事件に巻き込まれます。 そのあたりは読んでいただくとして、次号では「クジラ」と、北海道といえば「ニシン」が出てきそうです。お楽しみに。追記2020・02・11「ゴールデンカムイ」(一巻)・(二巻)・(三巻)・(五巻)の感想はこちらをクリックしてみてください。先は長いですね。にほんブログ村にほんブログ村ゴールデンカムイ 杉元が持っている 食べていい オソマ (味噌) 140g(株)北都 企画販売 ダイアモンドヘッド
2020.02.12
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野田サトル「ゴールデン・カムイ(3)」(集英社) 「ゴールデン・カムイ」第三巻ですね。まだ、話の全体の姿は見えてきません。しかし、役者がそろい始めました。 表紙をご覧ください。この殺気にみちた老人、手にしている銃はウィンチェスター・ライフルM1892、腰に差している刀は「和泉守兼定」ですね。そうなるとこの人物は明治2年、函館、五稜郭で狙撃された「燃えよ剣」のあの人、土方歳三です。 マンガの舞台は日露戦争直後、明治40年代の北海道ですから、史実としては享年34歳で死んだはずのこの男は70歳をこえた老人というわけです。どうして土方がこのドラマに登場するのでしょう。そのあたりは作品で確認いただくとして、土方歳三の相方として登場するのが元新撰組随一と称された剣の達人永倉新八です。 永倉新八という人は、沖田総司(紹介するまでもない人気キャラですね)や斎藤一(マンガですが「るろうに剣心」で敵役をした人)よりも強い使い手だったことは有名ですが、もともと松前藩の出身で、大正年間まで北海道で生きていたそうです。月形町の「樺戸集治監」とのかかわりが、この「ゴールデン・カムイ」に出てきますが事実のようですね。看守に剣術を教えていたそうです。ネットでお調べになると写真もあります。マンガの絵は、それによく似ていますよ。 ついでに土方が手にしているウィンチェスター銃ですが、「ライフル・マン」とか「ララミー牧場」で育った世代には懐かしいですね。その銃が何故ここに登場するのでしょう。 維新戦争を戦った双方が手にしていた銃器は基本的に輸入製品ですね。アメリカの南北戦争が終わったのが1865年ですが、その結果、余ったり、使い古したりした大量の銃や大砲が誰に売られたのか、海の向こうで国内戦争はじめた人たちですね。だから、ここでこの銃がでてくるのは、結構リアルなんです。 日本の国産の銃の始まりは「悪夢の熊撃ち」としてこのマンガに登場する二瓶鉄造の愛用する「村田銃」ですが、軍用銃としては「杉元君」が手にしている「三十式小銃」ですね。この銃が日露戦争後、改良され旧日本陸軍の「三八式歩兵銃」へと進化?)するわけです。 余談が長引きましたが、話を戻しますが、元新撰組のこの二人が、「不死身の杉元」君、「アシリパ」ちゃん、エゾオオカミ「レタラ」君と「脱獄王・白石由竹」君たちの対抗馬(その一)というわけです。対抗馬(その二)については第4巻で紹介しますね。 さて今回の「お料理講座」です。「サクラ鍋」ですね。馬肉料理。ここではアシリパちゃんが新しい味に挑みます。 そうです、ついに「オソマ(ウンコ)味」を克服する瞬間ですね(笑)。「サクラ鍋」はみそ味に限るというのが杉元君と白石君の意見ですが、異文化理解はいつの時代でも、どこかの舞台から飛び降りる勇気がいるようです。それにしても可愛らしく描いていますね。 これはエゾシカ、鹿肉の食べ方です。ステーキというか「ディア・ロースト」というか、うまいに決まっているでしょうね。 三巻は「お料理シーン」が少なかったですね。代わりに鉄砲のお話でした。では次号をお楽しみに。追記2020・01・30「ゴールデン・カムイ」(第一巻)・(第二巻)・(第四巻)の感想はそれぞれクリックしてみてください。追記2020・10・30最新刊まで、一巻ずつ感想と案内を書こう答という目論見は頓挫しています。続けることは、なかなか、むずかしいですが、本編は今、23巻進行中です。ボタン押してね!ボタン押してね!
2020.01.29
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野田サトル「ゴールデン・カムイ(2)」(集英社) まず、表紙をご覧ください。「不死身」の杉元君とアシㇼパちゃんの二人連れの守護神ホロケウカムイ「レタラ」君登場ですね。現在では絶滅したエゾオオカミが三人目、いや、二人と一匹めか?の仲間ですね。かっこいいですよ。 今回はアシリパちゃんの「コタン(村)」に二人で立ち寄るというストーリーなので、アイヌ民俗学講義のおもむきの展開なのですが、それは読んでいただくとして、とりあえずは「お料理」の紹介です。 今回のお料理講座はまず「イセポ(エゾウサギ)のチタタプ汁」です。「イセポ」というのは「イーッと鳴く小さなもの」という意味だそうで、エゾウサギのことだそうですが、鍋にするようですね。 目玉が珍味らしいのですが、杉元君は困っています。ああ、それから「おいしい」は「ヒンナ」というそうです。 つづいてカジカ汁ですね。カジカは冬の川で獲れるものがおいしいそうです。「キナオハウ」(野菜たっぷりの汁物)というのだそうです。塩焼きもおいしそうですね。 ところで、こうした鍋物には「味噌」という調味料(?)が思い浮かんできませんか?杉元君も携行している「味噌」を取り出すのですがアシリパちゃんは、杉元君が差し出す「味噌」を「オソマ」と呼んで拒否します。「オソマ」というのはアイヌ語で「うんこ」という意味だそうです。 このマンガ家さんは、基本的にこのタイプの下ネタが好きです。 余談ですが、この魚の絵を見て思い出しました。カジカのことを、兵庫県の北部の田舎の子供たちは「グズババ」と呼んでいたように思います。一応、断っておきますが、但馬方言では「ババ」には、どこかの方言のように「オソマ」の意味はありません(笑)。 さて次は「カワウソのオハウ(汁物)」です。一番うまいのが頭の丸ごと煮なんだそうですが、これは、ちょっと大変そうですね。ウサギにしても、カジカにしても、カワウソにしても、獲り方から描かれていますから、なかなか興味をそそられます。やはり、このマンガの面白さの一つはこの辺りにあると、ぼくは思います。 話の筋に戻ります。とりあえずこのページを見てください。 丸刈りの男が、上で紹介した、エゾオオカミの「レタラ」君に咬まれていますね。今回から三人目の仲間として、杉元君とアシリパちゃんの二人に同行し始めるのが、この男、「脱獄王」白石由竹君です。 こう見えて、この男、日本国中の監獄を脱獄してきた強者で、背中に妙な刺青を背負っています。 第一巻で、少し触れましたが、二人がお宝として探し始めた「金塊」の隠し場所は網走監獄を脱獄した24人の囚人の背中に分けて彫られた地図を、すべて集めると見つけられるだろうというお話なのですが、その一枚を背負っているわけです。 次回からも、一人ずつ紹介してゆきますね。では第四巻・第三巻・第一巻は、ここをクリックして見てくださいね。ボタン押してね!ボタン押してね!
2020.01.23
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野田サトル「ゴールデン・カムイ(1)」(集英社) ついに到着しました。ヤサイクンの「マンガ宅急便」、2020年第二弾。待ち焦がれていた「ゴールデン・カムイ」(集英社・ヤン・ジャン・コミック)です。 今さら、何を騒いでいるのだとおっしゃる向きもあるかとは思いますが、何しろ噂だけはあちらこちらから聞くものの、ヤサイクンからは、どなたか別の方に貸し出し中などという無情な返事が返ってくるばかりで、昨年の秋のあいだずっと待ち続けていた作品です。同じ紙袋には「コウノドリ」の最新刊も入っていたのですが、迷うことなく、さっそく読み始めたというわけです。 表紙を飾るのは、「不死身の杉元」こと、日露戦争の激戦地、「203高地」から生きて帰還した杉元佐一元一等兵が銃剣付き「三十年式小銃」を構えているところです。モチロン彼が主人公の一人です。 なぜか舞台は酷寒の北海道の森の中、「不死身の杉元」の本領を発揮し、巨大なヒグマとの死闘を制して名乗る主人公、それを称える、おそらくは、もう一人の主人公、アイヌの少女アシリパちゃんの登場です。 図抜けた武闘派ですが、お調子者で、少々おバカな杉元君と、登場早々、アイヌ式の弓の凄腕を披露し、森の生き物について、これはもう、知恵の塊というべきなのでしょうか、鮮やかな罠や狩猟の技術を駆使し、その上、エゾオオカミまで従えている少女アリシパちゃんのコンビです。 この辺り、キャラクターとしても好みですね。その上こんなシーンもあるのです。 リスのつみれ鍋です。アイヌ語では「チタタㇷ゚ オハウ」というらしいですね。まあ、人によっては、それは…という方もいらっしゃるでしょうが、シマクマくんは興味津々ですね。 今後、巻を追うに従ってがって、いったい、どんなものを食べるのか。今回、見事にヒグマを倒しましたが、食べませんでしたからね、次は何を食べるんでしょうね。 というわけで、この二人が何故、明治の末年、冬の北海道の山中で出会い、ここから何を探して戦いの旅を始めるのか。大きな枠組みは、この第一巻で暗示されています。 お宝は金塊らしいのです。しかし、当面の探し物は網走監獄を脱獄した24人の脱獄囚です。このお宝をめぐる争奪戦は、どうも、紹介した二人、陸軍の軍人、そして監獄で生き延びている謎の男の一味による三つ巴のようですね。そのあたりは、次号以降で少しづつということで、今回はここまで。 ぼくはアイヌ料理の旅が続けばいいのにな、というのが次号への期待ですね。追記2020・01・23第二巻(ここをクリック)はアイヌ民俗学、郷土料理特集ですね。面白くて、やめられません。第三巻・第四巻ここをクリック。追記2022・09・25 全巻、感想、完走を目指しましていましたが、あえなく挫折してしまった「ゴールデン・カムイ」でしたが、最近完結したようです。「完結したらしいけど、まだ買わないの?」「どこまで、読んだか、うん、買ったかわからなくなったから。」「ええー、うちに来てるのは、ええっと、23巻かなあ?」「話がややこしなり過ぎて、読み直し読み直しせな前に進まんからなあ。」「書いてる当人も、わからんようになったんちゃうの?」 まあ、わからんようになっているのは、しゃべっているご当人のお二人なのですが、というわけで、我が家では最終巻の31巻にはまだ届きません。多分、28巻くらいまでは読んだと思うのですが。まあ、とりあえず、第1巻から復習し始めています。追記2022・11・12「ゴールデン・カムイ(全31巻)」(集英社)を読み終えましました。拍手! 途中から、北海道・自然派グルメ・マンガの面白さが消えて、歴史バイオレンス・マンガになっていましたが、最終巻では、主人公のお二人が「干し柿」を食べながら、「ヒンナ!ヒンナ!」と喜んでいました。ほぼ3年がかりの全巻読破ですが、各巻の案内はまだまだですね(笑)。筋がややこしすぎて説明しきれないのです。いずれゆっくりと・・・。今日は、とりあえず、最初の巻の修繕でした。ボタン押してね!ボタン押してね!ゴールデンカムイ 食べていいオソマ 山椒みそ 140g (株)北都集英社 野田サトル 蝦夷 おかず
2020.01.20
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鈴ノ木ユウ「 コウノドリ 19 」(講談社) ヤサイクンがクリスマスの「マンガ宅急便」を届けにやってきました。「あと何巻あるの?」「28巻かな?最新は。うちには20何巻やったかな?コユちゃん姫が読んでるから、読み終わったら持ってくるわ。」「エエー、小学生が読んでるの?」「テレビでやってたやろ、知らん?19巻の腰巻になってるやん。下の二人が出産ごっこしてんの見たやろ、チビ二人で。あれ、テレビ見て、やってんねん。」ポカーン!? テレビを見ないシマクマ君とチッチキ夫人は、一年生と保育園のチビラ2号、3号の二人が、ぬいぐるみをスカートの中から引っ張り出す、その遊びにはおぼえがあります。 それにしても、「どうして、そんなことを知っているのか?」と思っていたわけなのですが、なんともはや、今ごろ言うのもなんなんですが、テレビの教育力はすごいですね。 一方で、四年生のオネーちゃん、チビラ一号は読み仮名を振っているわけではない、ちょっと大人向けの、この「産婦人科」マンガを、65歳のジージと(この程度の漢字なら、一応、軽く読める)競い合って読んでいるというのも、考えようによれば、かなり「???」という感じがしないわけでもありません。 さて、19巻。このマンガの面白さの一つは、病院内の人間関係の描き方にあるんじゃないでしょうか。鴻鳥サクラくんを中心に、巻毎にそれぞれの人間模様が描かれる。今回のお話は二つ。 54話「NICU part12」は白川先生の成長譚。何巻か前に壁にぶつかって「救急救命」にいってった下屋カエさんと同期の自信家ですが、彼がぶつかる壁は「医療ミス」の危機でした。 自分の診断を過信するとはどういうことか。たぶん、教育の現場なんかでもありがちな、一生懸命やっている自分に対する過信。適当な人はぶつからないかもしれない壁ですね。「ここ(NICU)のスタッフが何か変だと思ったときは何か変なんです」「白川先生はその助言をないがしろにしました」「それは明らかにあなたのミスであり・・・実力を過信したに過ぎない」 先輩今橋先生の厳しい一言。なんか、40年前に学年の主任の先生に言われたことばを思い出しましたね。「シマクマさん、あなただけで働いているわけでもないんですよ。」 微妙なニュアンスなんですが、けっこう記憶に残ってますね。 55話「羊水塞栓症」は助産師小松ルミ子さんと親友の助産師武田陽子さんの究極の友情の物語でした。大げさな言い方で申し訳ないが、ちょっと究極でした。 小松さんが武田さんと出会ったのは助産師免許を取る学校ですね。 回想シーンのお若いとき、(多分お二人は十代ですね)と、ちょっと高齢出産の年齢になられたお二人に、絵柄上ほとんど差がないのが、このマンガ家さんの特徴ですね。普通、へたくそって言うんですが、あんまり気にはなりません。 小松さん、悩んでたんですね、助産師になるかどうか。背中を押してくれたのが武田さん。いい友達ですね。その武田さんが、、親友小松さんの病院で、無事、出産、めでたしのはずが、出産直後「羊水塞栓症」という、よく知らないんですが、読んでると分かる症状を発症するんです。 帝王切開の手術室が、命がけの現場になってしまっています。 小松さんは、武田さんが出産した赤ちゃんを、約束どおり取り上げて、保育器の部屋に運んだあと、手術室に走ります。そこでは心肺停止した武田さんに「除細動」の電気ショックが施されようとしています。勝負がかかっています。ボー然と立ち尽くす小松さんが祈ります。「武田・・・ちゃんといるぞ。」「私はちゃんとそばにいるぞ!」 ね、読者はここで、やっぱり泣くと思うんです。「心拍再開!」にじゃなくて、小松さんが、そこに駆け戻って、祈りながら、呼びかけることにね。祈るなんてどこにも書いてないんですが、読んでるとわかるんです。小松さんは心から祈っていました。 「赤ちゃん」が誕生する漫画を描き続けている鈴ノ木ユウさんは、テレビドラマ化もされ、きっと人気者になっているに違いないんですが、このシーンで、このセリフがでてきて、こんなふうに描けるかぎり読者は読み続けるでしょうね。 思うに、このマンガは、始めっから、わたしはあなたのそばにいるぞ! という、「祈り」の話なんですよね。相手が「赤ちゃん」なんですから。追記2019・12・27「コウノドリ1」はここをクリックしてください。ボタン押してね!にほんブログ村
2019.12.28
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鈴ノ木ユウ「コウノドリ(1)」(講談社) 十二月に入って、留守中にやって来たヤサイクンの「マンガ宅急便」ですが、なかなか、アタリ!が多かったですね。小林まことの「女子柔道部物語」、原泰久「キングダム」最新号、そして、これ、鈴ノ木ユウ「コウノドリ」と山盛りです。 主人公は産科のお医者さんでジャズ・ピアニスト。2013年に連載開始で、ただ今、28巻、進行中だそうです。この間、テレビドラマにもなって、世間では、世の中のことを何にも知らないとシマクマ君が思っている女子大生でも知っている、当たり前の人気漫画であるらしいのですが、テレビも見ないし世間様との付き合いも、ほぼ、無い徘徊老人は知らなかったというわけです。なにげなく手に取って、ちょっと引きました。 「なんですか、これは?」 「鴻鳥サクラ」、名前がまず、「はてな?」でしょ?絵は微妙なので、イケメンなのかどうかはともかく、ジャズピアニスト「ベイビィ」がアンコールで舞台から突然消えるんですね。病院で緊急出産手術というわけなんです。フツーは、ここで終るのですが、次のページでこんな展開。 「でも未受診なのは母親のせいで、お腹の赤ちゃんは何も悪くないだろ」 これが、最初の「あれっ?」 最近、産婦人科の医師である増崎英明さんに最相葉月さんがインタビューした「胎児のはなし」(ミシマ社)という本を読んで、いたく感動して、あちこちで「付け刃」を振り回しているのですが、その「付け刃」に、このマンガが繰り出してくる「妊娠」と「出産」の話題が次々とジャストミートし始めるんですよね。 こう言っては何ですが、私こと、自称徘徊老人シマクマ君は65歳を越えています。ここからの人生で、誰が考えても、まず、関係のない出来事が、妊娠・出産なんですね。なのにどうして? 「胎児のはなし」を読んだ、一番大きな収穫というか、なるほどそうか!というのが、いま生きている人間にとって、死んだらどうなるかと、これから生まれる赤ちゃんは、どうやってこの世にやってくるのかという二つの領域は、相変わらず神秘の領域として残されているということだったんですよね。 まあ、とはいいながら、死んだらどうなるかは、個人的にはですが、ただの「死にッきり」で結論が出ているわけで、やっぱり、興味がわくのは、「赤ちゃん」の神秘ですね、というわけなのです、きっと。 ページを繰っていくと、下手をすると、きわどいというか、人間のエゴが噴出しかねないこのテーマに対する、マンガ家のスタンスというのでしょうか、構えという方がいいのかな、に、どうも、ちょっとほっておけない独特なものがあるのですね。そこのところに惹かれてしまったようです。止まらなくなりました。 というわけで、たとえば、第1巻の名場面はこれです。 妊娠23週の超早産児と父親との対面のシーンです。 この二人のの出会いまでの経緯が、母親と胎児、妻と夫、そして、担当医師と先輩医師という関係を三本の、少し太い経糸(たていと)にして描かれています。そこに、それぞれの家族、産科病棟職員、患者と医者、医療技術など、様々な横糸が張り巡らされ、破水、切迫流産、帝王切開と畳みかけるように出産へと緊張の展開です。読んでいて息つくひまもない印象です。 そして、このシーンなんですね。ここまで、けっこう緊張しながら読んできた徘徊老人は、マンガの登場人物の涙に、思わずもらい泣きというわけでした。「胎児のはなし」の中で、増崎先生は出産に立ち会った男性は泣くものだとおっしゃっていましたが、年のせいでしょうか、やたら涙もろくなっていることは認めますが、マンガの対面シーンで泣くとはねえ、困ったものです。 第二巻以降については、おいおい、名場面をご案内しよう目論んでおります。ああ、それから「胎児のはなし」(ミシマ社)・「女子柔道部物語」・「キングダム 56巻」はそれぞれ題名をクリックしてみてください。追記2022・09・24「コロナ編」を読みました。で、昔の感想を修繕しています。追記2020・01・23「コウノドリ19」の感想書きました。クリックしてみてください。ボタン押してね!ボタン押してね!【あす楽/即出荷可】【新品】コウノドリ (1-28巻 最新刊) 全巻セット
2019.12.19
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原泰久「キングダム 56巻」(集英社) 待ちに待った「キングダム56巻」、総大将「王翦」率いる「秦」VS決死の覚悟を決めた「李牧」率いる「趙」防衛軍の激突、「朱海平原の決戦」も兵站と用兵をめぐって、一進一退の攻防戦も、15日目が始まりました。 表紙は、「李牧」とその配下の名将たちです。 今回の名場面の一つは瀕死の重傷を負っている、貴公子「王蕡」がかつての三大天、藺相如の十傑中、最後に、ただ一人残っていた「堯雲」に挑む場面ですね。 堯雲の偃月刀が一閃し、辛くもそれを受けた王蕡の手槍が堯雲を刺し貫きますが、いまわのきわの堯雲は師であり主人であった藺相如の言葉を、その場にいた王蕡と信に伝えます。「中華を一つにする刃たらんと願うならば、何があろうと、必ず、振り上げた刃ば、必ず、最後まで振り下ろせ」 この戦いで、形勢は一気に「秦」に傾いたかに見えますが、さすがは「李牧」、奥の手を放ったようで、ここから、総大将同士の決戦が始まるようですが、ザンネン!57巻に続く、でした。 ああ、また、待ち遠しい日々が続くようです。(「55巻」・「57巻」の感想はここをクリックしてみてください。)ボタン押してね!ボタン押してね!
2019.12.18
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原泰久「キングダム 55巻」(集英社) ヤサイクンのマンガ便に「キングダム」の最新巻(2019年・11月現在)が入っていました。ヤサイクン家の「愉快な仲間たち」のチビラ1号ことコユちゃん姫もハマっているらしくて、彼女はまだ小学4年生だったはずですが、ついていけるのでしょうか。 もっとも、愉快な仲間のヤサイクンの従妹には、小学生の分際で「池波正太郎」先生の時代劇に読みふけっていた少女もいたような記憶がありますから、大丈夫なんでしょう。なんといっても「キングダム」には「絵」がありますからね。 さて、最新刊、「秦」対「趙」の決戦の最中です。「朱海平原の闘い」ですね。「李牧」率いる十二万の趙軍と、「王翦」を総大将とする八万八千の秦軍の闘いが十四日目を迎えているところです。 趙軍左翼では、「趙峩龍」の軍が「飛信隊」と戦っています。「趙峩龍」は「信」との一騎打ちのさなかに、かつて「馬丘の戦い」で「王騎」と相まみえた、今は亡き宰相「藺相如」の言葉を思い浮かべながら、「信」に打ちかかります。「争いにうんざりしている中華は一つになりたがっている。」 そう語り始めた藺相如は、こういったのです。「中華を一つにする剣がある。その剣を手にする『敵』に出会ったときはー」「全てをかけてそいつを殺せ」 受けて立つ「飛信隊」隊長「信」、のちに「李信」として、歴史に名をのこす男ですが、「ファーストエンペラー」=始皇帝、秦王「嬴政」の莫逆の友ですね。「俺は中華を統一する王、嬴政の、金剛の杖だ。」「そして俺は、俺はっ・・・」「天下の大将軍になる男だっ!!」 これで、趙軍左翼に大きな穴が開き、歴史が動き始めたようです。 しかし、それにしても、この後どんなドラマを描き続けるつもりなのでしょう。はたして原泰久は生きているうちに、秦王、嬴政(えいせい)に「中華統一」を果たさせることはできるのでしょうか? まあ、それはともかく、次回はいよいよ「朱海平原の戦い」、決着に向かって動き出しそうです。楽しみですね。(記事中の画像は、手元にある五十五巻の写真です)追記2019・11・12映画「キングダム」・「キングダム」(56巻)・(57巻)の感想は、それぞれをクリックしてください。追記2022・08・18 実写の映画化がすすめられて、この夏「キングダム2 遥かなる大地へ」が封切られています。第1作の「キングダム」が封切られたのは2019年ですが、ファンとしては観ないわけにいかないわけで、まあ、見てしまうと不満はあるものの、しっかりはまってしまって、「キングダム2 遥かなる大地へ」も観てきました。マンガなら10巻あたりの進行ですが、なかなか、面白かったですね。感想はいずれ書くのですが、「キングダム」の感想は、この題名をクリックしてみてください。にほんブログ村ボタン押してね!キングダム 54 (ヤングジャンプコミックス) [ 原 泰久 ]
2019.10.01
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