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『CRONOUS』~眠らない大陸の物語~追加章・第3話「-不思議の国のアイナ-」(後編)オライオンとの勝負を経てアイナはワドリーテの侍女となった「へぇ…短剣って事はクラスはスカウトだったの?」オライオンから城にある短剣を見せてもらい選んでいるアイナにワドリーテがそう聞いた「クラス?スカウト?」ワドリーテの質問が解らずアイナは首を傾げる「そっか、そっちではそう言わないのかな…こっちの世界では短剣を使うクラスの事をスカウトって呼ぶのよ」ワドリーテがアイナに補足説明をすると「あぁ…えっと短剣というか包丁を使ってたの…で、最近はカーラっていう爪みたいな武器を使ってるの」「ほ、包丁?…ま、まぁ武器と言えば武器だが…」オライオンは苦笑いでそうつぶやく「うん、コレにします♪…本当にもらっちゃっていいんですか?」「いいのよ、私に仕えるのだから♪」ワドリーテはアイナに微笑んで答える「マッスムか、確かに包丁っぽいな…クセがなく扱いやすい短剣だな…それよりも貴公はどうやってあのような素早さを身に付けたのですかな?差し支えなければ教えて頂きたい」オライオンはそう言ってアイナに頭を下げる「どうやってって言われてもなぁ…すっごく重たい甲羅を背負って走り回ってたんですよ…最初は避けるのも大変でw」「なるほど…それは良いなぁ、さっそく我が騎士団の鍛錬に加えよう」オライオンはアイナの言葉を聞いてポンと手を打ったその時、ひとり会話の外にいる大臣にワドリーテが「あら…まだ不服の様ねw」嫌味っぽく声をかける「不服だがしかたあるまい…姫様の事を頼みましたぞ」大臣はそう言ってアイナに頭を下げたアイナもそれに対して深々と頭を下げるそしてまたなにやら思案し始める「もう…なぁに、また何か企もうとしてるの?」「違いますぞ!その者が口にしたクロノスという言葉が妙に引っかかってるだけでな…」「クロノス…彼女はクロノス大陸から来たのですか?」大臣の言葉を聞いたアルベルトが大臣にそう聞き返す「アルベルト、そなたはクロノス大陸を知っているの?」ワドリーテがそう聞き返すとアイナも身を乗り出す「いや…直接は…ただ数ヶ月前にイグルー殿が街のBARで酔いつぶれているのを回収しに行った際に一緒に飲んでいた御仁がそのような事を言っていた様な…」アルベルトがそう言うと「大臣…あなたは街のBARに行ってるの?それも回収されないといけないほど酔いつぶれるだなんて」ワドリーテは冷ややかな目で大臣を見る「い、いや…それはですな…国の民がどのような暮らしをしているのか心配になって見に行ったまでで」大臣は言い訳をしつつアルベルトを睨む「確かにあの御仁は変わった風体をしてましたし…それにある種異様とまで言えるような気配を持ってましたからねよく覚えてます」アルベルトはそう言ってフッと笑った「異様な気配?」ワドリーテが不可思議な顔で聞き返す「ええ…ある種、人の上に立つ気風と申しますかただ単に強いとか単純な物ではない感じですね」説明をしたアルベルトの言葉はどこか歯切れの悪い物だった「良く解らないわね…」ワドリーテは眉間にしわを寄せてつぶやく「まぁ…例えていうならライル卿に近い掴み所のない大きな気風…とでも言いましょうか…」アルベルトは苦笑いで補足した「あの者とあんな愚者とを一緒にするでない!」アルベルトが口にしたライルの名が癇に障ったのか大臣は声を荒げた「愚者って…その言い方は…そこまで言われるならどのような方だったのか覚えているのでしょう?」ワドリーテは冷ややかな目で大臣を問い詰める「い、いや…薄ぼんやりとしか覚えてないのですがなぁ」「はぁ?…つまり覚えてないのでしょう?」「しかしですな姫…いくら酒を口にしていたとはいえこのイグルー、断じて怪しい者に軽はずみに気を許したりはしませんぞ!」「はいはい…わかりました…」ワドリーテはそう言って苦笑いを浮かべる「まるで昔からの知り合いとも受け取れるような打ち解けぶりでしたから…正直私も驚きました」「うむ、あの者はなかなか見所のある男だったからな」「あら?ではどのような方で?」ワドリーテは又も冷ややかな表情で大臣に聞き返す「で、ですから…記憶があいまいでしてなぁ…」大臣はワドリーテから視線を外して口ごもる「確か…旅をしていると…真っ赤な髪で名を…ホムラと申していましたかな」アルベルトの口にした言葉に3人のやり取りを苦笑いで傍観していたアイナが目を見開く「アルベルト!今なんと?もう少し詳しく教えて!」ワドリーテも驚きの表情で食いつくように聞き返した「そうですね、髪は真っ赤な短髪で身長はオライオンくらいありましたので180くらいですか…それでいて細身の青年…年の頃は20前後といった感じですかね」オライオンの口にしたホムラという者の風体を聞いたアイナはしばし考え込んだ「同じ大陸…同じ髪の色…そして同じ名前…気になるわね」ワドリーテのつぶやきにアイナはうなずいて答えるその時、オライオンが部屋に飛び込んできた「姫様、セノビア荒地に敵襲です!」「どこ?」「ゲブランドです!」「わかったすぐ準備します」ワドリーテはそう言うとアイナを連れて自室に戻った「戦争…なの?」「うん…このメルファリアはね…こうして日々争いが絶えないのよ…」ワドリーテはどこか悲しげな目でそうつぶやいたアイナの憂いの目を勘違いして受け取ったワドリーテは「大丈夫よ…戦場には行くけど私達のいる本陣が直接襲撃される事はめったにないんだから」そうアイナに微笑んだ「い、いえ…はい」アイナは思いを飲み込んで返事をしたそれを見たワドリーテはアイナに優しく微笑んだその後アイナはワドリーテの身支度を手伝いながらワドリーテが徐々にさっきまで見せていた表情から王たる者の表情に変わっていくのを見て対モンスターではなく人と人が争う事…アイナの経験した事のない戦い…例える事のできない思いを感じたそして準備の整ったワドリーデと共に戦場の本陣へと赴いた「戦況は?」「領域、戦況…共に我が軍が優勢ですな」ワドリーテの問いかけに大臣がそう答えた主戦場は遠いのか時折砲撃音が聞こえる程度で辺りは静まり返っていたしかしその静けさが逆に怖くもあった「アイナさん…愚かとお思いでしょ?」「え?」ワドリーテの突然の問いかけにアイナは答えに戸惑った「このメルファリアという世界を平和に導くためとはいえ日夜こうして争いを続ける…愚かよね」ワドリーテはそうつぶやいて悲しげな笑顔を浮かべる「正直に言ってしまえば…そうですね…でも、上手く言えないんですけどその先に平和があるのであるなら…」(「それは違うな…戦いの先に平和などないよ…あるのはさらなる争いだけさ…」)アイナがそう言い掛けた時…どこかでそんな声が聞こえアイナは辺りを見回したしかし近くにはワドリーテ以外誰もいなかった「どうしたの?何か?」アイナの突然の行動にワドリーテも辺りを見回す「い、いえ…たぶん空耳かな…」アイナは苦笑いを浮かべるその時、2人のもとに大臣が駆け込んできた「姫様!キマイラです!北の壁を越えて直接本陣に向かってます」「対応は出来て?」ワドリーテは親指の爪をかみながら聞き返した「主戦から遊撃を回しておりますのでおそらくは止められるかと」大臣がそう答えた時かなり近くで人の叫び声が聞こえる「姫様!いったん退避を!キマイラと共に上って来た敵兵が奇襲をかけてきました!」「いいえ!退きません!迎撃しましょう!」「姫様!」「私には彼女がついてます…大至急兵を集めて!」ワドリーテはそう言ってアイナにウインクをして微笑んだ「ふぅ…しかたないですな」大臣はため息をつくとワドリーテに頭を下げて指示をしながら立ち去った「では行きましょう!」ワドリーテがそう行った時「残念ながら…行かせるわけにはいかないんですよ…」2人の背後でそんな声がする振り返るとそこには真っ赤な髪の青年が立っていた「何者!」赤髪の青年はワドリーテの問いかけを手の平を突き出して止めるとアイナを見てため息をついた「まったく…人には、関係のない争い事には手を出すな!と言っておきながら…」青年はそう言うと顔をしかめて頭を掻いたアイナとワドリーテはこの青年の言ってる事の意味が理解できず顔を見合わせる「あなたがこの世界でどこかの国に付けばバランスを修復できなくなります…という事でクロノス大陸に戻ってください」青年はそう言うと一気にアイナとの間合いをつめて当身を入れるワドリーテはその動きを察知する事は愚か剣に手をかける事すら出来なかったアイナは青年にもたれ掛かるように崩れ落ちる「あなたの能力は使い方を誤れば世界を崩壊させかねない…それを忘れないで下さいね…母さん」青年は意識が朦朧としているアイナの耳元でそうささやくと魔法を唱え始めるするとアイナの周囲を魔法式が取り囲み輝きと共にアイナを消し去った「あ、あなた…今、彼女に母さん…って…」ワドリーテが赤髪の青年にそう問いかける「申し送れました…私はクロノス大陸より参りました焔と申します…いずれ日を改めて謁見させて頂きますので今日はこれにて」焔と名乗った青年はワドリーテに深々と頭を下げると呪文を唱えながら羽織を翻したすると焔の周囲にいくつもの魔法式が展開される「待って!話なら今ここで…」ワドリーテがそう言い掛けると「あ…そうだ、この世界の戦争に手を出さないのがルールでしたが今日の所はここに向かっているキマイラだけ連れて行きますので…では」焔はそれだけ言ってワドリーテの前から姿を消した「あ…消えた…なんだったの今のは…」ワドリーテがそうつぶやいた時、大臣が駆け込んでくる「キマイラが消失したようです…同時に強襲をかけて来た輩も撤退したようで…ってアイナ殿は?」「いいのよ…彼女なら居るべき所に帰ったわ…」ワドリーテはそう大臣に言うと微笑んだ大臣はその微笑みの影に悲しさを感じたため言いかけた言葉を止めた『クロノス城 ホテル・ラピス』「焔!!!」アイナはそう叫んでロビーのソファーから飛び起きるそして辺りを見回す「はぁ…まったく、また愛しのダーリンの夢?アレだけ毎晩愛してあげてるのだからたまには私の名前を呼んでよね」カウンターに頬杖をついた凛がそう嫌味っぽくアイナに言い放った「違うの!私の…子…」凛は取り乱しているアイナの唇をキスで塞ぎ言葉を止める「はいはい…シャワーでも浴びてシャキッとしてくださいね…マスター」そして優しく微笑むとアイナの背中を押して部屋に連れて行った時はあの戦いから10日ほどたった頃…まだ自分の体内に新たな生命が宿ってる事すら気がついていない頃アイナが夢で体験したメルファリアという世界…出逢ったワドリーテや大臣…そしてアイナの事を「母さん」と呼んだ真っ赤な髪の青年…全ては本当に夢だったのか……『To Be Continued?』
2011/02/13
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『CRONOUS』~眠らない大陸の物語~追加章・第3話「-不思議の国のアイナ-」(中編)ワドリーテの命で部屋に通されたアイナではあったが落ち着く気分にはなれなかったしかたなく広い部屋の片隅に座ってワドリーテが来るのを待った豪華な装飾品や家具天蓋のついた大きなベット独りでは持て余すほど広い部屋「広いなぁ私は寂しくてこんなとこやだなぁ…でも、いい匂い…香水かなぁ?」アイナは部屋を見回しつつこの部屋に通された時から感じていたとても良い香りが気になった思わず香りの元を探す香りはすぐ近くにあるドレッサーから漂ってきているアイナはドレッサーに膝をついたまま歩み寄るさすがは女性といったところだろうかドレッサーの上には数々の化粧品類が並んでいるその時、化粧品に紛れて伏せられた小さな額のような物が目に入る勝手に触ったらダメだと思いつつも思わず手に取ってしまった写真には長身で長い銀髪の男性とその男性に寄り添って微笑むワドリーテが写っていた「ライル・ク・ベルダ・ゲブランド…ゲブランド帝国の皇帝よ」背後でワドリーテの声がして振り返った「ご、ゴメンなさい…いい匂いがしてそれが何か探してたら」「いいのよ…それを捨てられずいつまでも持っていたのは私だから」ワドリーテそう言ってアイナに微笑んだアイナはワドリーテに写真を返しながら「ゲブランド帝国?」と首をかしげて聞いたワドリーテは受け取った写真をチラッと見て、またドレッサーに伏せて置いた「そういえば…この世界の情勢をまだ話してなかったわね」そう言ってワドリーテはアイナにこの世界の事を話して聞かせた「つまり5つの国で戦争してるって事ですか?」「そう…お互いの最前線となるエスセティア大陸は常に乱戦状態で日々刻々と状況は変わってるの」ワドリーテはアイナから視線を外して窓の外を見た「1つ聞いてもいいですか?」「ライルの事かしら?」ワドリーテはそう言って微笑んだアイナは黙ってうなずく「ライルとは…昔、ちょっとね」ワドリーテは苦笑いでそう言うとそこで言葉を止めた「ゴメンなさい」「もう過ぎた日の事…でも、アレを捨てられずにいるって事は…過ぎた日じゃないのかな」ワドリーテはドレッサーの上の写真たてを見つめてそう言ったアイナが言葉に詰まってるのを見たワドリーテは「子供って事は結婚してるって事?」ワドリーテはアイナにそう聞いたアイナは視線を天井に移して首を横に振ったワドリーテは訝しげに顔をしかめる首を傾げる「私が愛した人は…死んだの…クロノス大陸を守るために」アイナの口から出た言葉を聞いたワドリーテは愕然としたしばらく重苦しい空気が流れる「ねぇ…これからどうするの?」ワドリーテはアイナにそう質問したアイナはしばらく考えたのち「何でこの世界に来ちゃったかわからないけど…とりあえず焔を見つけないと」「焔っていうの?子供」「うん、私が愛した人と同じ名前」アイナは微笑んでそう答えた「なら、焔ちゃんが見つかるまで…ううん、この世界にいる間…私の侍女にならない?」「侍女?」「まぁいわゆる私に仕える人って事だけど…ダメかな?」「この世界ではどこに行く当てもないから、それはありがたいですけど…いいんですか?私なんかで」「いいわよ♪」こうしてアイナはこの世界にいる間ワドリーテに使える事になったとはいえ…これは2人で決めた事翌日、ワドリーテが大臣に話すと猛反対をくらってしまった「よいですかな姫様…侍女という者はですな、あなた様の身辺の世話をする者でして氏素性の判らぬ輩を置くなど言語道断!」大臣のお小言が延々と続く…ワドリーテは頬杖をついてむくれていた「アルベルト…貴公もそう思うであろう?」大臣はすぐ近くにいた金髪の男に同意を求める「確かに侍女となれば誰でも…というわけにはいけませんなぁ」アルベルトと呼ばれた男がそう言うとワドリーテは頬杖をついたままうつむいた「しかし以前より私は姫の『人を見る目』には驚かされています」「貴公まで何を申すか!」大臣がこめかみに血管を浮かせてアルベルトを怒鳴るとアルベルトは大臣に何かを耳打ちしたすると大臣は不敵な笑みを浮かべて何度もうなずく「姫様…私は姫の『人を見る目』を試してみたいのです」アルベルトはワドリーテの前に片膝をつくとそう言って頭を下げる「試す?」ワドリーテはアルベルトの言葉の真意が解らず聞き返す「はい…その者が姫に仕えるに値するか…オライオンと勝負するのです」「そ、そんな無茶な!オライオンは我が国の近衛騎士団を束ねる男ぞ!」アルベルトの言葉を聞いたワドリーテはそう叫ぶとイスから立ち上がりアルベルトの元に駆け寄るアルベルトはすかさずワドリーテに近づくと「姫…無理は承知…オライオンには打診します…こうでもしないと大臣は首を縦には振りませんぞ」大臣に気付かれないようにそう耳打ちをしたワドリーテはしばらく親指の爪を噛みながら考えたのち「いいわ…その代わり彼女が私に仕えるに値すると証明できたあかつきには文句を言わせないから」ワドリーテは大臣を睨んでそう言うとアイナの元に歩み寄る「ゴメンね…という事であなたの腕前を見せる事になっちゃった」ワドリーテは手を合わせながら苦笑いでアイナにそう告げるそれを聞いたアイナは呆然とするそんなアイナを見たワドリーテは小声で「アルベルトはあなたを侍女にする事には協力的なのオライオンには打診をしてくれるって」アイナの耳元で告げるとウインクしたアイナはただ苦笑いを浮かべるその後…城の訓練所に移動しアイナは近衛騎士団長のオライオンと対峙したアルベルトはオライオンの元に駆け寄るとなにやら耳打ちをする「姫のわがままにも困りますなぁ…まぁ元よりあんな小娘相手に本気を出す気は無いが…立場上負けるわけには」オライオンがそう返答すると「負ける必要はない…ただ、いい勝負になるように振舞ってくれればいい」「難儀だな…まぁ出来る範囲でやるよ」オライオンはアルベルトにそう告げると木刀をアイナに投げ渡すアイナは受け取った木刀を構える「剣を持った経験は?」オライオンにそう聞かれたアイナは首を横に振る「だろうな…持ち手が逆だ…それでは剣は振れん」オライオンはそうアイナに言うとため息をついたアイナは慌てて剣を持ち直す(「どうしよう…こんなの持って戦った事ないよ騎士団長さんでしょ勝てるわけないし」)「準備はいいか?」(「とりあえず教わった事を思い出して…」)「準備はいいのか?」(「相手をよく見る…ギリギリまで引き寄せる…」)「準備はいいのか?と聞いているんだが」オライオンは半ばイライラしながらアイナにそう言い放つ「あ!ゴメンなさい大丈夫です」(「相手を見る…呼吸を感じ取る…リズムを合わせる」)アイナは頭を下げて答えた「ならば…参る!」オライオンはそう言うと木刀を下段に構えてアイナに突っ込んだそして切先がギリギリ届くベストな間合いで振り上げたアイナはギリギリまで相手の動きを見て最小限の動きで切先を避ける相手の腕が解らないのでアイナは少し後退した(「避けたか…偶然か否か」)オライオンは剣を水平に構え一気に間合いをつめて剣を振りぬくアイナは数歩下がって切先を避ける…目の前で空気が斬れる音がする剣をかわされたオライオンはすかさず剣を返して1歩踏み出して振りぬくアイナはまたもその切先を数歩下がって避ける次は剣を振り上げて一気に振り下ろすアイナは数歩横に移動して剣をかわすオライオンは避けられるのが計算に入っていたのか「もらった!」そう言うと振り下ろした剣を瞬時に引き上げて水平に振り抜くアイナはそれをしゃがんで避けるとオライオンの足を払うオライオンはバランスを崩すも転倒は堪えアイナの反撃に備えるしかしアイナは反撃せずにまた後退して間合いを取った(「我が太刀筋が読まれている…まさかな」)「小娘相手と加減をしたが茶番はここまでだ!」オライオンはそう叫ぶとまた下段に木刀を構えアイナを見据えてにじり寄る「ゴホン!アルベルトどういう事かな?」オライオンの言葉を聞いた大臣は咳払いをしてアルベルトを見る「いや…相手は小娘、故にほどほどにしろよ…と助言しただけです」アルベルトの言葉を聞いた大臣は黙ってうなずいた(「やっぱり手加減してくれてたんだ」)アイナは苦笑いを浮かべると一瞬目を閉じて集中する「う…なんか寒気が」ワドリーテは一瞬感じた寒気に身震いする「ぬはははは…勝負は見えましたからな」ワドリーテのつぶやきを弱気の証と思った大臣が笑うワドリーテは大臣を見る事なく口を尖らしたそしてオライオンがまたも打って出る先程とは比べ物にならない様な剣捌きで連続に切っ先をアイナに撃ち込むアイナはその剣を木刀で受ける事なく全て最小の動きでリズミカルに避ける(「なるほど…まぐれなどではない様だな」)オライオンは攻撃を繰り出しながらアイナの視線が確実に自分の動きを捉えている事を察知するそしてさらに攻撃のスピードを上げて徐々にアイナを追い詰めるアイナはリズムを崩してついに木刀でオライオンの攻撃を受け止めるしかし使った事がない武器ゆえか…その衝撃を受け流せずに弾き飛ばされるバランスを崩しつつもアイナは着地と同時に全力で一気に後退して間合いを取り直すオライオンは手ごたえを感じたのかあえて追撃はせずにまた木刀を下段に構えて待機する(「使いにくいなぁせめて包丁くらいの長さなら…そうか!」)アイナは突然オライオンに手を突き出して『待った』を要求したそして切っ先を左足で押さえ木刀の中ほどに右足を置くと渾身の力で木刀をへし折る一同はアイナの行動に唖然とするアイナは折れた木刀をそれぞれ両手に持って数回振ると満足気にうなずく「ほぉ…そう来たか…しかしそれでは我が間合いに入り込まねば何も出来ぬぞ」オライオンは木刀を構えなおしてそうアイナに言ったアイナは両手に持った木刀を数回振り、身構えると目を閉じて重心を落とす辺りの気温が一気に下がるそしてアイナが目を見開くと今度はアイナから仕掛けたオライオンへの距離を詰める度に1人、2人…4人と分身をかけるそれを見た大臣とワドリーテ、アルベルトは驚きの表情をする四方からオライオンに連続で攻撃を仕掛けるもオライオンは巧みな剣捌きで応戦するその攻防は数分続き…途中何度かアイナは距離を取りその都度分身の数が増える最終的に6人まで増えてオライオンを追い詰めるさすがのオライオンも防戦に徹する他なく攻撃に転じる事ができずにいた攻防が10分を超えた頃…一瞬アイナの攻撃のペースが落ちるオライオンはその期を見逃さず体当たりでアイナを弾き飛ばすアイナは転倒を踏み止まりはしたがその場に両膝をついて座り込んだ握力も限界で両手から木刀が転がり落ちるオライオンはアイナに歩み寄ると「勝負あったな…」そう言って木刀をアイナの頭に乗せた大臣が満面の笑みでワドリーテの顔を覗き込むワドリーテは悔しそうに下唇を噛むその時、オライオンは「先程はそなたの事を『小娘』などと罵った非礼を心からお詫びします」そう言ってアイナに頭を下げると今度は大臣とワドリーテの元に駆け寄り片膝をつく「近衛騎士団長オライオン…彼女を姫様の侍女として値すると判断し推挙いたします」「な、何を申すか!お前は勝負に勝ったのだぞ!」大臣はオライオンを怒鳴りつける「確かに勝ちはしました…しかし私が知る限り彼女をおいて姫様に仕える者などこの国にはおりますまい」オライオンは大臣をまっすぐ見てそう答えたその真っ直ぐな目に大臣は言葉を失った…『To Be Continued?』
2011/02/06
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