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『Fantasy Earth Zero』~メルファリア大陸の物語~序章・第5話「-ネツァワル-」『ネツァワル国・首都 ベインワット』「それにしても…でかい斧だな…」焔はこの街のシンボルでもある大きな戦斧を見上げるそしてしばらく街を徘徊するどれくらい徘徊したのか…すでに日も沈みかけていた「ここの王様はどこぞの皇帝のように街をフラフラしてくれそうもないしな…強攻策か捕まるか…城に入る手立てはそれだけか」焔はため息をついてそんな声を漏らしたこのネツァワル王国の現国王ヒュンケルは獅子の姿をした半獣人だったなぜ半獣人なのかは、呪いだとか罰だとか噂が数々あり定かではないただ、全ての国民から支持されているとは言わないまでも信頼は厚く崩壊しかけた国を見事にまとめているヒュンケル自身も屈強な戦士であるせいか軍勢に戦士タイプの猛者たちが多い「もうじき日も落ちるか…うん?BARか…情報収集の基本は人の集まる場所…か」焔はそうつぶやきながらBARの中に入って行った「いらっしゃいませ~♪」店内に入るとそんな声がかかる時間がまだ早いせいか…店内はそれほど混み合ってないようだった焔は店内の様子が見える隅のテーブル席に座る「いらっしゃいませ♪黒猫屋へようこそ♪ご注文はお決まりですか?」そう言って銀色の髪を無造作に後で束ねたメイド服のウェイトレスが声をかけて来た「ミズキ!勝手に店の名前を変えるな!お前の店じゃないんだ!」キッチンの奥からそんな怒鳴り声が聞こえてくるウェイトレスはそれを聞いて舌を出して微笑んだ「あら…見ない顔ね…旅の商人さんってとこかしら?」ウェイトレスは焔をパッと見てそう聞いてきた「え?あぁ…まぁそんなところかな」「ふ~ん…でご注文はどうしましょ?」「そうだな…」焔はテーブルに置かれたメニューを眺めて考える「バーボンのロック…ダブルで…あとチェイサーで炭酸水…軽く…」焔がそう言いかけるとウェイトレスは「バーボンのロック…で炭酸水に軽く岩塩を飛ばせばいいのかな?」そう聞き返して微笑む焔はうなずいて返事をした「ロゼス、ブレット、ブッカーズ、ベイカーズ、ターキーがありますけど…どうします?」「任せる…」「では…スモールバッチが入ったのでロゼスにしておきますね♪」「へぇ…手馴れてるな…」「これでも一応プロですから♪」ウェイトレスはそう言ってニコっと微笑むとカウンターの内側に入り手際よく酒を用意しはじめるよく見るとカウンターの内側にはかなり色々な種類の酒が豊富に用意されている「本格的だなぁ…」焔がそうつぶやくと通りかかった別のウェイトレスが「ヤマ…じゃなかった、ミズキの趣味で置いてるの…おかげで仕入れが増してその分私達がタダ働きさせられてるけどね…」そんな事をため息混じりにつぶやく「フネちゃん!余計な事は言わないの!それに…働いてるのはココの2階に無料で住めるからでしょ♪衣食住の保障とおいしいお酒…これがあれば世界は安泰よ♪」最初にオーダーを取りにきたウェイトレスが注文したお酒をテーブルに置きながら愚痴を言ったウェイトレスにウインクする「お待たせしましたロゼスのスモールバッチのダブルと炭酸水ね♪ごゆっくりどうぞ…またご注文があったら声をかけてね♪」ミズキと呼ばれていたウェイトレスは微笑みながらそう言うとカウンターの内側に戻っていった焔は一口酒を含んで店内を見渡す…時間的にはそろそろ混んできそうな頃合だが店内はまだ閑散としていたそんな焔の様子を見たフネと呼ばれたウェイトレスがカウンターの内側でグラスを拭いているミズキに「ねぇ…アレってほんとに商人?」「なわけ無いでしょ…良くて傭兵…悪けりゃスパイってとこでしょw」「ち、ちょ…スパイっていいのココで飲ませておいて!」「いいんじゃない?ダメそうなら殺っちゃえばいいんだしw」「はぁ…」ミズキのあっけらかんとした答えにフネはため息をついた「いい飲みっぷりじゃない…ちょっと行ってくるね♪商売繁盛…売り上げ立てなきゃ追い出されちゃうからねぇ♪」ミズキは鼻歌を歌いながら焔のテーブルに向かう「おかわりどうします?」ミズキは焔のテーブルにつくなりそう声をかける「あ、ああ…じゃあもう少しガツンとしたのをもらおうかな…今はそんな気分なんだ」「そうねぇ…強さとパンチで言うとブッカーズかなぁ…あとはエヴァンの34年物がありますけどこれはビンテージ扱いになっちゃうから無理に薦めないけど重厚で深い味わいと香りでは他の比じゃないかなw」ミズキはそう言いながら焔を見る「へぇ…そんな年代物も置いてるのか…じゃあそれをシングルでもらおうかな」「わぁお!エヴァン頂いちゃいましたぁ!ありがとうございま~す♪…ではすぐにご用意しますねぇ」ミズキは嬉しそうにカウンターに戻りお酒を用意始める「だ、大丈夫なの?…支払えるのかなぁ桁が違うよ…それ」フネはそう小声でミズキに言うと焔の方を見る焔はテーブルに頬杖をついて店内の壁に貼られた手配書や仕事の依頼書を眺めている「払わせるわよw」ミズキは酒を手に持ってニヤリと笑って焔のテーブルに向かう「お待たせしましたぁ…エヴァンのシングルね♪」ミズキがテーブルに酒を置くと焔はエヴァンの入ったグラスを手に取り匂いをかぐそして一口含んで目を閉じる「いいね…まさかこんな上物に出会えるとはね…思ってもみなかったよw」「でしょw」ミズキは満面の笑顔でそう答えた「そうだ…その張り紙…あれってどういう事?」「ああ…年に1度、腕に自信のある屈強な猛者を集めてアームレスリングの大会が開かれるのよ♪…優勝者はうちの国王と勝負できちゃうからね賑わうわよ♪」「それがすごいと思ってね…でもこの国の戦士限定なんだろ?」「いちおうね…でもどうしてもって言うなら推薦状出してあげるわよ」「え?いいのか?」「だって…ずっと寝てたエヴァンを起こして下さったお客様ですもの♪」ミズキがそう言って微笑むと近くで飲んでいた3人組の戦士の1人が「がはははは!兄ちゃんやめとけよwここはネツァワルだぜ?興味本位で飛び込んだら怪我するぜw」そう言って大笑いした「例え運良くマグレで勝ち上がったとしても優勝は無理だなw」もう1人の戦士が席を立ち焔の目の前に座ってそう言った「なぜ?」焔は真顔で戦士に聞き返す「この国には大会3連覇中の伝説の戦士ヤマトがいるからだよ!まぁ…今年こそ俺様がヤマトの連覇を止めるがなwww」「ヤマト?そんなに強いのか?」焔はミズキを見てそう聞き返す「お前…ヤマトも知らねぇのか!呆れちまうなぁw」戦士はそう言って手に持っていたジョッキをテーブルに置いた「スマンな…この国に来るのは初めてだからね」「ヤマトってのはな…5年前の大戦で国王を1人で護ったこの国最強の戦士よ!」「へぇ…そいつはスゲぇな」焔はそう言ってグラスの酒を一気に飲み干す「まぁ…お前なんかヤマトすら見ずに初戦で敗退だがなw出るなら精々気張れよw」戦士はそう言うとジョッキを持って自分の席に戻っていった「ゴメンね気を悪くしないでね…大会が近くなるとみんなこんなんなのよw」ミズキは焔にウインクしながら手を合わす「ん?ああ…ぜんぜん気にしてないよ…さて、面白い話も聞けたしチェックしてもらおうかな?」焔は微笑み返してそうミズキに言ったミズキはうなずいて金額を紙に書いて焔の目の前に伏せて置いた焔はその金額を見て動じる事も無くポケット探ると金貨を数枚出してテーブルに置いた「えっと…これだともらい過ぎかなぁ」無造作にポケットから請求額以上の金貨を出されたミズキが苦笑いでそう答える「ああ…ビンテージのボトル代も入ってる…大会で優勝して飲みに来るからそれまでこれでキープしておいてくれよ」「え?本気で出るの?」「あぁ…ダメか?」「・・・・・かしこまりました。では大切にエヴァンは保管させて頂きます」ミズキは出された金貨を受け取って焔に頭を下げた「OK!俺は焔…それでエントリー出しておいてくれ…頼んだぜ!」焔はそう言って手を振りながら店を出て行った「うわぁ…あるところにはあるのね…しかもポケットから小銭出すみたいに…」「でも…これで大会が楽しみになったわねw」「そうよ!いいの?あんなどこの誰ともわからないのを推薦しちゃって」「いいのよ…ああいうのはねどんな手段を使っても目的を遂行させるのよ…だったらこっちも確実な方法でそれを阻止するんだからw」ミズキはそう言ってフネにウインクをして親指を突き立てる「なるほど…じゃあ…がんばってね…ヤマトさん♪」フネはミズキの耳元に口を寄せて周りに聞こえないような小声でそう囁いた…『To Be Continued♪』
2011/04/24
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『Fantasy Earth Zero』~メルファリア大陸の物語~序章・第4話「-カセドリア-」『カセドリア連邦国家・首都付近』赤い髪の青年…焔はカセドリアの首都であるアズルウッドの近辺に居た「1人…のようだな」焔は辺りを警戒しつつそうつぶやいた実はカセドリアの領土に入ってからずっと何者かの気配を感じていた「なんとか振り切ったみたいだが…どうだろう…」焔はそうつぶやいてため息をついたこのカセドリアはいくつもの小さな国家が集まった連邦国家であり連邦国家ならでは多種多様な文化から生まれる独特な強さがあるしかし反面、その結束が崩れると脆いという危うさも持っている焔は懐からタバコを取り出して咥えた…その時何かが真横から咥えたタバコを吹き飛ばした焔は身構えながら足元を見る…「矢か…振り切れては居なかったみたいだな…しかも気配は感じなかった」タバコを狙ったのか…それとも外れてタバコに当たったのかどちらにしても歓迎されて無い事だけははっきりした「林か…」気配がわからない以上、焔は弓にとって不利な林に向かったしかし1歩踏み出した足先に矢が突き刺さる「なるほど…こっちの考えは見透かされてる…いつでも殺れますって事ね…」焔はため息をついて両手を挙げて1歩前に進んだ次の瞬間背後で弓を引き絞る音がする「武器は持ってない!…といって俺は殺せないと思うけど」焔は背後の気配にそう言葉を投げかけた背後の気配は弓を引き絞ったまま回り込んで焔の正面に立った黒く艶めく長い髪…スラっとした細身でとても美しい女性だったそしてその姿を見た焔は愕然として声を漏らす「あ、アル…さん?…まさか…そんな事…」「!!!」焔のつぶやきを聞いた女性は眉間にしわを寄せてさっきよりも鋭い視線で焔を睨み返した(「堕ちた魂が集まる場所ならば…アルさんの魂がここに居ても不思議ではない…しかし姿までこうも似てるとは…」)「お前は誰だ?」弓を構えた女性は焔にそう質問した「焔」焔は名前を名乗ったが反応は無かった…しかし確実に『アル』という言葉には反応があった「あなたは…アルテミスさんでは?」焔がそう口にすると女性は矢を放ち矢が頬をかすめる「立場を考えろ…無駄口を叩けば次は外さない」女性は強い口調で焔にそう言った焔は手を上げたままうなずいて返事をした「お前は…なぜ私の名を知っている?…私の名を知る者は将軍ウィンビーン卿と私をこの地に召喚したティファリス様だけのはずだが?」女性は焔にそう告げた「し、召喚?…そんなバカな!」「信じようと信じまいが構わない…だが、真実は私がここに居るという事実だけだ」(「確かに…召喚ともなれば姿は変わらなくても不思議は無い…しかし『ヒト』を召喚したなんて話は聞いたことが無い」)焔が思案しながら黙ったままで居ると「さぁ答えよ!なぜお前は私の名を知っている?」「俺がこの地に来る前に居た世界にあなたは居た…我が師匠、悲魔のよき理解者であり片腕…そして我が母アイナの友にして憧れの人…」焔がそう話すとアルテミスは笑い出した「人?…私が人だと言うか?戦神であるこの私を?」「戦神…ならば合点がいく…どういう経緯かはわからないがあなたの魂はそうなったのでしょう…そしてこの地に呼ばれた…俺や悲魔、アイナ…そしてクロノスという名に覚えが無いのも理解できる…俺の目的はこの国の統治者であるティファリス様に会い真意を問う事…お目通りが叶わないならば今日は退きます。この場で貴女と対峙しても構いませんがそれでは事が進みません…この地の創造主が会いたいと申していたとお伝えください」焔は挙げていた両手を下ろしてアルテミスにそう言った「創造主?…お前が?だが…今日はお前をこの先に進ませるわけにはいかない…今の言葉、主に伝えよう…」アルテミスの返答を聞いた焔はうなずいて返事をすると羽織を翻してその場から消えたアルテミスは焔の気配が消えたのを確認してから弓を下ろし首都へと帰還した『カセドリア連邦国家・王城』「アルテミス…どちらに行っていたのですか?」戻ってきたアルテミスに玉座に座った細身の少女がか細い声でたずねたこの少女が現カセドリア連邦国家を束ねる女王ティファリスである腰まである金色に輝く美しい髪、種族独特のとがった耳…そう、ティファリスはエルフの女王でもあったさらに、かつて世界が五つの国に分かれる遥か前…「支配の指輪」のもとに世界を統一したと言われるマルクティス王の後継と称されている「ティファリス様…勝手な行動をとって申し訳ありませんでした…ただならぬ気を感じたものですから」「ただならぬ気?」ティファリスの横に仕えていた大柄な男がアルテミスの言葉を聞いて顔をしかませ聞き返した「いや、問題は解決しました…時にビーン卿、ホムラと言う名に聞き覚えは?」アルテミスは質問をしてきた大柄な男に逆に聞き返すアルテミスにビーン卿と呼ばれた大柄な男が手であごを触りながら考えるこの男こそ世界一の弓の使い手と言われ語られるウィンビーンであるゲブランドからの独立戦争の折、獅子奮迅の活躍をした功績から人は彼の事を「傭兵将軍」と呼んでいる「心当たりは無いが…その者が何か?」「いえ、ティファリス様に謁見を願い出ておりまして…そう伝えてくれ…と」アルテミスはなぜかこの時、焔の口から出た『創造主』や自分の知らない自分を知っている者といった事は口にしなかった「それが『ただならぬ気』の正体だったのか?」「ええ」「わかりました…その名、記憶しておきましょう」ティファリスはアルテミスに微笑んでそう答えた「では、アルテミス殿が戻られたので私は兵の訓練に戻ります」ウィンビーンはそう言ってティファリスとアルテミスにお辞儀をして部屋を立ち去った「で…その方は他になんと申していたのですか?」ティファリスはアルテミスにそうたずねたそう、まるでウィンビーンが部屋を去ったのを確認したかのようなタイミングだった「なぜそのような事を聞かれるのですか?」アルテミスはティファリスにそう聞き返した「うふふ…だってあなたの心が『この事は伏せておこう…』そう言ってる気がしましたので」ティファリスは屈託の無い笑顔でアルテミスにそう答えたアルテミスは見透かされている事に苦笑いを浮かべると先程の話を全てティファリスに話した「創造主…その方はそう言われたのですか?…私の真意が聞きたいと…」「はい」「わかりました…次にその方がこの地に参られた際はお会いする事にしましょう」「よ、よろしいのですか?一存で決められてしまわれて」「ええ…その方は私に会いたいと申しているのですから…私にはアルテミス…あなたが付いています」ティファリスはそう言って微笑んだ「かしこまりました…その際は身命をとしてティファリス様をお護りします」「はい、よろしくお願いします」ティファリスはアルテミスにそう微笑んで告げた「でも…正直驚きました…まったく躊躇されなかったので」あまりに決断が早く…恐れを微塵も感じさせないティファリスにアルテミスが苦笑を浮かべた「あら…だってあなたの心が私に安全だと言ってますから」「隠し事も出来ないとは…困った物ですね」いたずらっぽく笑うティファリスにアルテミスはそう言ってため息をついた…『To Be Continued♪』
2011/04/17
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『Fantasy Earth Zero』~メルファリア大陸の物語~序章・第3話「-エルソード-」『エルソード王国・王城』「ナイアス様…」空を飛ぶ小さな妖精のような生き物が玉座に座った者に背後から声をかけた「わかっておる…客人じゃなぁ」ナイアスは玉座に座り読んでいた書物を閉じてそうつぶやきながら顎にたくわえた髭をいじったこの者が現エルソード国王ナイアス・エルソードであるナイアスは齢102歳と言われているが見る限りその姿はとてもその歳とは思えない姿である一説には延命の秘術とも身体だけ若い身体にしているとも言われているが…事実は不明そして先程、ナイアスに声をかけている妖精のような生き物は名をエラといい妖精などではないナイアスが作り出したホムルンクスであるこのエラ以外にも他にミレとナヤの2体のホムルンクスが存在するが…人の言葉を話せるのはこのエラのみであるナイアスは賢人王とも呼ばれるほどで現在大陸で使われている魔法や練金術を日々探求しているキマイラの生成の成功やホムルンクスを作り上げた事から年齢にまつわる逸話が出るのも不思議ではない「エラ…もてなしの支度をせい…チェスの出来る者だといいがな」ナイアスは周囲を飛来するエラにそう言うとニヤリと笑った『エルソード王国・首都 』「さて…さすがにいきなり城には行けないか」赤い髪の青年は街から城を見上げてそうつぶやいたその時…「我が国の方ではありませんよね?ご同行願えますか?」衛兵と思われる3人の兵士が青年にそう声をかけた(「そう目立った行動はとってないつもりだったが…こうも早くに衛兵に見つかるとは油断したな…まぁ、このまま連行されて城に入るのも手か…」)「わかった…従います」「よかった、我々も手荒な事は避けたかったので」兵士は青年を左右と後方から囲むように城へと連行した『エルソード王国・王城 謁見の間』青年は牢獄ではなく謁見の間に連行された事に驚いていた「もうしばらくここでお待ちください」兵士はそう言うと青年から離れた位置で待機したよく考えれば連行される際も体の自由を奪われる事も無く今も手すら縛られてはいないそしてナイアス直々の登場でさらに驚かされ言葉を失った青年はナイアスに対して頭を下げた「よいよい、かしこまらんとて…むしろかしこまるのはわしの方かもしれんしのぉ」ナイアスはそう言いながら右手で玉座の肘掛に頬杖をつき左手で顎髭をいじりながら青年を見つめた青年はしばらくの後に頭を上げるとナイアスを見つめ返す「良い目をしている…時に今日は何用かな?」ナイアスはまるで過去からの知り合いかのような口調で青年に質問した「今日は、ナイアス王のお考えと…目指すところを聞きに参りました」青年はナイアスの瞳から目を逸らす事なくそう返した「ふむ…それはまた難儀な質問だな…」ナイアスは髭をいじりながら考え込んだ「ところで…なぜ素性のわからない私をここへ?…そして私の素性を聞かないのはなぜ?」青年は考え込んでいるナイアスにそう尋ねた「それならば簡単な話…素性がわからないという事は善か悪かもわからん、故に己が目で見極める…それが知るという事だ。加えてお主の素性を聞かんのは…どうでもいい事だからだよ」「どうでもいい事?」「そうだ…お主がワシに話す素性など信じるに値する確証はない…己が目で肌で知った事が全てじゃよ」まるで全てを見透かすかのような視線でナイアスは答えた「では、ワシからも1つ質問するとするかのぉ…お主はチェスは出来るか?」「ち、チェスですか?…ルールや駒の動かし方などが私の知る物と同じであれば…出来ます」「ほぅ…面白い回答だな…まるで自分はこの世界の者ではない…そう聞こえる」青年はそのつぶやきに対しては何も答えなかった「まぁよい…出来るのであれば一興…また今度遊びに来るとよい…先の質問はそれまでに考えておこう」青年はナイアスの回答に対して頭を下げた「とは言え…いつまでも『お主』などと呼ぶのもあれだからな…名前くらいは聞いておこう」「焔と申します」「ふむ…ならばその名で覚えておくとしよう…ネツの獣王殿の動きも気になるてな…ここらで開きとしよう…焔よまた訪ねてくるが良い」ナイアスはそれだけ言うと謁見の間を立ち去った焔も周囲の衛兵に頭を下げて謁見の間を後にした「会えただけでも良し…とするか…いや、全て仕組まれていたのかもな」焔は城門を出たところでそうつぶやきながら空を見上げた…『To Be Continued♪』
2011/04/10
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『Fantasy Earth Zero』~メルファリア大陸の物語~序章・第2話「-ゲブランド-」『ゲブランド帝国・首都ルーンワール 平民区』今も貧富の差が激しく、情景にもその色が隠せない平民区の裏通りを肩にかかる銀色の髪の毛を風にそよがせてラフな格好で歩く青年がいた「あ!ライル様!」「ライル様だ!」その青年を見つけた数人の子供達が口々にそう言って駆け寄る青年は「静かに!」と言わんばかりに人差し指を口元に当てたそれに気付いた子供達は慌てて口を両手で押さえて周囲を見回す「元気そうだな…お前たち」子供達にライルと呼ばれた青年はそう言ってしゃがんで子供達に笑みを送る何を隠そう…この男こそ現在のゲブランド帝国皇帝ライル・ク・ベルダ・ゲブランドその人である皇帝の座に着くまではライルもこのスラム化した平民区で暮らしていたとはいえライルも前皇帝と平民である母親との間に生まれており皇族の血は引いているそして前皇帝の死後、混乱する帝国をまとめ上げて現皇帝となる奪われた領土奪還を旗印に帝国をまとめたものの帝国内では貧富の差をなくす政治を進めるため平民からの支持の厚さの割りに特権的な優遇を受けていた貴族達からは疎まれているため難儀していたそのせいか時折「息抜き」と称してこうやって平民区をふらつく事がある「ライル様!…お話聞かせてよ!」「聞かせて聞かせて!」子供達は目を輝かせてライルに話をせがんだ「悪いな俺はそういうの苦手なんだ…今度はケイも連れてくるからよ」(「なんかザワついたんで来てみたが…変わりは…ナシか…」)ライルは苦笑いで子供達の頭を撫でながら辺りの様子をうかがった「ライル様…どうしたの?」ライルの様子を見た1人の子が首をかしげてそう尋ねた「なんでもない…変わった事はないかな…ってねw」ライルは微笑んでその子の頭を撫でた「そうだ!そう言えば…さっきライル様の事を真っ赤な髪のお兄ちゃんに聞かれたよ?」1人の子供がそう言うと隣にいた子も同意してうなずいた「真っ赤な髪…誰だ…」ライルは口元に手をやって少し考え込む「はじめて見る人だったよ」「うんはじめて見るお兄ちゃんだったね」「うんで…また来るって言ってどっか行っちゃったの」「お友達?」思案しているライルを子供たちが心配そうな顔で見ているそれに気がついたライルは「ああ…友達だぜ!…じゃあよ、今度また来たら少し待ってれば来るかもよって伝えてくれよ」ライルは満面の笑みで子供たちにそう言った子供たちはうなずいて返事をするそしてライルは立ち上がると「今日は忙しくてな…今度はケイの奴も連れてくるからよ!また来るぜ」そう言って子供たちの前から立ち去った子供たちに背を向けた後…ライルは険しい表情でまた思案した「誰だ…いったい」『ゲブランド帝国・王城』「ライル様…お帰りなさいませ」玉座の間に戻ったライルにケイが声をかけた「おう…悪かったな…変わりはないか?」「はい…特にこれといって」ライルはケイの言葉を聞いてうなずきながら玉座に座る「陛下!困ります…こう度々出て行かれては」玉座の間にそう言いながら家臣が飛び込んでくる「いいだろちょっとくらい…その間ケイがいるんだから」ライルは指で耳をいじりながらそう答える「そうはいきません!もしも陛下の身に何かあれば…」「重々気をつける!…以上」ライルは家臣の言葉に耳を傾ける事なく足を組んで玉座にもたれ掛かる「それと…今日中に裏に積み上げた書類の山に目を通して下さい!」「はぁ…どうせ貴族共の苦情だろ?…燃やしちまえ」「そうはいきません!たとえ気に入らない事であれ彼らはこの国を支える者達なのですから」「わかってるよ…見ておく」ライルはそう言って家臣を手で追い払う「ケイ…他国の状況は?」「現在はネツァワルとエルソードが小競り合いを…ホルデインは現状のままですね」ライルに聞かれたケイは状況を報告し始める「カセドリアはこの前の一戦からは大きく動いていませんが国境付近の警備はかなり厚くなってるようです」「豆野郎が…小賢しい」「加えて未確認の情報ですがカセドリアの前線でかなり腕の立つ弓兵がいるようです」「豆野郎の弟子か?w」「さぁ?…ただ腕で言ったらウィンビーン卿をしのぐとも聞いていますが」「へぇ…あの豆野郎を超えるのか…会ってみてぇなw」ライルはそう言って笑った「そう言えば…赤い髪の男に心当たりはあるか?」「それはまた大雑把な質問ですね…ただ、面識のある範囲では心当たりはないですが…それが何か?」ライルはケイの答えを聞いて苦笑いを浮かべた「いや…たいした事じゃない…悪かったな変な事を聞いて、忘れてくれ」ライルはそれ以上はその件については口にしなかったしケイもまた特に追求もせずにいたライルが赤い髪の青年と出会うのはもう少し先の話……『To Be Continued♪』
2011/04/03
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