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再び、ゾイロが来訪する。「お受けいただける、ということでよろしいんでしょうか?」「えぇ、そのつもりではありますが、その前に確認したいことがございまして」確認したいこととは、バフタールからも兵を出すのか?ということ。共闘というからには、多少なりとも出てくるという認識ではあるが、「あくまで依頼しているのは島攻略であって、共闘依頼ではありません。 援軍を出せというのであれば、見返りも見直さなければなりませんが・・・」想定内の返答にうなずきつつ、それから期間について尋ねる。「3年をめどに」という。「3年」のうちに船数を整えて攻め取りに行くというのは、思っているよりも短いものである。その意向を伝えるが、「無理なのであれば、話はここまで。あとは、こちらでやっていくだけです。 思い浮かべている作戦もあるにはありますから」と思わせぶりなことを口にする。「参考になるかわかりませんが、お教えしましょう」「現時点では、すべてを調べ上げたわけではなく、不確定要素も多い。 それを乗り越えるためには、数で押し込むのが一番。 となれば、国のために土台となってもらうことも必要となりましょう」淡々とした口調が、余計に惨劇を想像しやすくする。ゾイロの言う、土台とは間違いなく元フューリッド兵だと想像できる。「ちょっと待ってください!兵士を無駄死にさせる気ですか」「我々の兵士についてとやかく言われる筋合いはないはずですが? それに無駄死にではなく、名誉ある死。とご理解いただきたい」このままでは助け出す前にほとんどの仲間を死なせてしまう。「わかりました。依頼の件、お受けいたします」ゾイロはレイトの返事を受けて、満面の笑みで喜んだ。このあとは細かい話が進められていく。「それでは最後に、一筆お願いしたいのですが」一筆とは、元フューリッド兵に対する説明と士気の向上を図るもの。当然、それを読み上げるのはバフタールの者なのだから、文言は制御される。「承知しました。しばし、お待ちいただけますか」ゾイロを見送り、一息ついたところで、「まさかあのような狙いを考えていたとは・・・。 我々への恨みつらみはまだまだなくなっていないということですか」「もしそうなら、こっちに話を持ってくる必要はないだろう。 それ以上にあの島は危険だ、という認識があるのでは」「何かあるのは間違いないでしょうな。そのためにも調査方法を練らなければ」「調査方法についてはひとつあります。一定間隔で船を送り、 危険を感じるようなことがあれば、後続の船に避難する」こうすれば、生きて帰れる可能性が増える。
2018/03/25
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聞きたいことはまだある。フューリッドがイグリスの許可なしに動くわけにはいかない。「それについては問題ないのでは?イグリスの者がここにもおられるはず」と言われて自然と皆がゲイドモールのほうを見る。ゾイロもそれに気づいて、「貴殿がそうですか。どうです?イグリスにとっても悪くはないとも思いますが」今まで黙っていたゲイドモールは、「報告はさせてもらいます」と前置きしたうえで、「私個人としては、どちらでも」とだけで終わらせた。この場での結論は出さず、ゾイロたちはいったん帰ることになる。二人だけになったところで二人は笑い始める。「兵を帰すって聞いたときのあいつらの顔といったら、笑えるっ」「イグリスのあいつを除いては、な」と何かを考えこんでいる。「そういや、イグリスから来たのはあいつだけなんすかね?」周りの反応からして、あのゲイドモールとかいう者ひとりだけだろう。ゾイロにしてみれば、イグリスの情報も得たいところではあったが。「あいつひとりなら、(フューリッドの奴らが)殺せるんじゃないすか?」「そこまでバカじゃないだろ。殺したところで代わりが来るだけだ」「あれ?てっきり、けしかけて火種作るつもりだったんじゃ」「そのつもりだった。けど、デジャ島がタダでもらえるならそれもアリだろ」「その島キツイんすか?俺、よく知らないんすけど」「あの島は・・・」ゾイロたちが帰ったあとも、熟考は続いている。バフタールの狙いが何なのか。あれだけの報酬を条件にするくらいなのだから、相当の狙いが隠れているはずだが、見つけ出すのは至難の業だ。(仲間が帰ってくるなら、どんな罠があろうと乗り越えてやる)とは思うものの、ゲイドモールとの関係を悪化させるわけにはいかない。「実際のところはどうお考えなのです?」否定の言葉が来ることを覚悟して尋ねる。「先ほども申した通り。無理やり否定して士気を下げるのも嫌ですし。 問題はどうやって未知の島を攻略するか」軍艦とまではいかないまでも、それなりの船が頭数、必要になってくる。その前に、島の情報も独自に集めなければならない。「バフタールからの情報ですべてを知りうることはできないでしょう。 そもそもその情報自体、真実なのかどうかも・・・」「もしそうなら、元から返すつもりなどないということではないですか!?」「それが狙いならやるべきではない。それを見定めるための独自調査だ」とにもかくにも共闘依頼を受けておいて、作戦を練り続けていく。万が一、攻め手が見つからなければ犠牲を生まないように失敗で終わらせるしかない。
2018/03/18
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リグラーたちは城に着くと広間で待たされる。「この前は門前で止められたんすけど、今日は中に入れましたね」「この前とは状況が違うんだ。当然の対応だろ」ほどなくして二人が通された部屋には、見覚えのあるレイトと数人が待ち構えている。「突然のご訪問にも関わらず、お会いいただき感謝いたします。 私はゾイロと申します。以後、お見知りおきを」「今は手を携えているわけですから、当然のことです。それで、ご用件は?」ゾイロは襟を正して言い放つ。「この度はお願いがございまして。その前に東の海に島があることはご存知ですか?」その島はデジャ島と呼ばれていて、大きさはそれほどでもない、ということ以外の情報は得られていない。「単刀直入に申し上げます。この島を攻めとっていただきたい」「攻めとる!?わざわざお願いに来るほどのことなのですか? 貴国自身では攻めとれないほどの島なのですか?」次々と質問をするが、ゾイロは飄々と、「いやぁ、そうしたいところなのですが、なんせ人手が足りないもので。 もちろん、お礼はさせてもらいます」だが、フューリッドにも戦に駆り出せる人員はいない。そのことを伝えると、「では、元・フューリッド兵をお貸ししましょう。 それで成功した暁には、そのまま連れて帰っていただいて構いませんよ」ゾイロの言葉に一同は驚く。たったひとりを除いて。レイトたちは冷静を装いながらも、言葉の中には震えが刻まれていく。「先ほどは人手が足りないと・・・」「恥ずかしながら、足りないのは指揮官の方で。 無暗に格を上げることはしないほうがいいという見解に至りまして」「なるほど、我々にやらせておいて漁夫の利を得るということですか。 今までの関係を踏まえたうえでの発言とは思えませんね」「それが今すべきだと感じればこそ。過去に囚われていては前には進めませんよ?」ゾイロは嫌味のある顔で返した。そして、さらに続ける。「さすがに今すぐ行けとは申しません。期間は長めに設けさせていただきます。 つまりはどういうことか、おわかりいただけますね?」「仮初めの平和が長くなる」「仮初め、は余計ですが。これはお互いにとって利益になるかと」「それで、デジャ島についてどのくらいわかっておられるのですか?」しかし、その質問には答えることなく、「このあとの情報は国益となります。聞いてからやはり止めるでは、困りますから」だからといって、今すぐ決めるわけにはいかない。「待つのは全然かまいませんよ。日を改めて話に来させていただきます」
2018/03/11
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現状では情報が何もない以上、トワール自身で何とかしてもらうしかなく、「あいつなら生きて帰ってこれる。お前もわかってるとは思うけど」「それでも、こっちから助け出す方法は?」「どうすることもできないんだ。残念だけど・・・」クイントは噛みしめるように答える。バフタールとの諍いを生むことは、どうあっても避けなければならない。ましてや、国境線から離れれば、それだけ手を出すことも難しくなる。「バフタールも兵力を欲しがってるからな、潰されることはないだろうが。 ・・・遠くに行かされることは十分にあり得る」バフタールに引き渡されたフューリッド兵は、イグリスとの国境線に配属される。その代わり今まで配属されていた者たちは東の前線へと送られる。東地区の中のとある町。「どうした?なんか不満げな顔だな」「少しくらい俺んとこに振り分けてくれたっていいんじゃないっすか?」「ここに置いたら脱走されるかもしれねぇ。そんときはお前が責任取らされるんだぞ」なだめられるものの、納得はいかないようで、「んなヘマしませんよ。きっちり管理してやりますよ」「お前、いたぶりたいだけだろ。余計なもめ事を増やすな」核心を突かれて息を呑むが、食い下がる。「俺の成果に対する評価、低くないすか!?」「お前に対する評価は妥当だ。だからこそ、ここはお前に任せてるんだろうが。 これ以上文句あるなら、殺すぞ。リグラー」最後の言葉が低く重く響いた。リグラーは気迫に圧されて押し黙る。再び口を開いたときには、いつもの口調に戻っている。「南が何してるかわかったか?」「・・・あ、はい。城にいた奴らの多くがどこかへ向かっていったことは確認してて、 なんかを造ろうとしてんじゃないかって」「ふーん、大人数を注ぎ込んでるとこをみると、そうだろうな」「俺たちの武器を早く完成させて、ぶっ壊してやりましょう」「武器製造はそんな簡単なことじゃねぇ。専門外の俺らにできることもねぇし」リグラーはそんな様子を見て、また悪ふざけが出る。「南の邪魔ならできるんじゃないすか?」「どうやって?」と言いながら、考え始める。そうして数分経ち、おもむろに含み笑いをしはじめる。「くくく・・・。案外いけるかもしれねぇな。おい、リグラー。南に行くぞ、今すぐ準備しろ」リグラーは驚きつつも、笑いが込み上げてくる。「俺も行っていいんすか?いったい、何が思い浮かんだんすか?」「行ったときのお楽しみだ。向こうの出方次第なところもあるからな」
2018/03/04
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