2003年06月18日
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昨日は「センスのない人」について書いた。
今日は「肝のすわっていない人」について書こう。

昨日の「センスのない人」もそうだったが、
これも実は彼女の会社の人の話だ。
そして、その人は彼女にとっては、上司である。
彼のことは、私もよく知っているが、
センスのある/なしで言えば、センスはあり、
比較的、センスはいいほうだと思う。
そんな彼なのだが、僕から見ても

それは彼の部下たちにも気づかれてしまうような
ところで、センスを疑われるようなことをしてしまう。
結果、彼は部下から信頼されていないのだが、
これはいったいどうして起こるのだろうか?

カンタンだ。
自分のセンスで感じたことを信じる度胸がないのだ。
誰からも干渉されない比較的自由な状況でなら、
彼の言うことはわりと的を得ているのだが、
多くの場合、彼はさらに自分の上役から
何か言われると、とたんに理性を失ったかのように、
上役が言うことを鵜呑みにする。

彼は中途半端に上役の言葉を、言葉のまま(真意を無視して)理解する。
結果、やっても意味のない施策を無理に部下に強いることになる。
しかも、「命令です」という言葉をつけくわえて。
さらに彼の悪いところは、肝がすわっていないために、
自分の部署が指摘された問題をすべて部下のせいにしてしまうところだ。

部下たちに「君たちがまったく提案をしてこないから僕が怒られる」という。
実際には部下たちは目指すべき指針がないため、提案を示すことができないし、
仮に提案した場合でも、彼が上役に通す力がないので、
そもそも提案するモチベーションがもてないでいるのだ。
これでは、彼が部下の信頼を得られないのは当たり前である。
そして、彼は部下に対してさえ、怯えがあり、
まともに部下の話を聞くことができない。
部下を信頼し、部下を人間として尊重できないため、
本来、部下の仕事であるディテールにばかり踏み込み、
本来、彼自身の仕事であるリーダーシップとしてのマネジメントを行なわない。
とうぜん、部としての目的は一向として達せられないし、
部下もモチベーションが維持できず、育たない。
究極の悪循環がそこには発生する。

だが、繰り返すが、彼は決してセンスがない人ではないし、
むしろ、センスはいいほうである。
頭も決して悪くはないし、いろんなアイデアの出せる人だ。
彼の問題は「肝がすわっていない」点、度胸のない点のみに集中する。
度胸のなさが彼のセンス、彼の判断力をことごとく無力化してしまうのだ。
これは極端な話、センスがないことより手に負えないのかもしれない。

肝がすわるとは、単純に自分を知るということなのだろう。
自分を知れば、適切に謝ることができるし、適切に人を褒めることができる。
適切に自分の責任を負うことができるし、なにより適切に好きなことができる。
それは自信がないというのとは話が違う。
自信がない人はたくさんいるが、
自信がなくても自信をもとうと努力を怠らない人とそうでない人には雲泥の差がある。
そして、実際、肝をすわらせることは、自信のあるなしには関係ない。
自分のために、人のために、何か事を起こそうとしたら、自信のあるなしに関わらず、
肝をすわらせて、やるしかない。
でなければ、中途半端な行動になるだろうし、期待した結果を得ることはできない。
また、そのことで、自分もまわりも傷つけることになるかもしれない。

自分を輝かせたいと思うなら、なによりまず、
必要な時、いつでも肝をすわらせられるようになることだ。





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最終更新日  2003年06月18日 11時09分39秒
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