貴方の仮面を身に着けて

貴方の仮面を身に着けて

2010/11/28
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「さて、どこから話そうか」
詩織は堅い顔で身構えた。朱雀は微笑した。
「私の事も、信用してもらえないのかね?」
詩織は強い目をして黙って朱雀を見ていた。朱雀も”盾”である事は聞いていた。朱雀は百合枝の従妹である自分を、身内として温かく向かい入れてくれた。そして何くれとなく世話を焼いてくれた。だが肉親と”盾”の掟を守る者と、彼がどちらの立場でここにいるのか、詩織には判断がつきかねた。

詩織は鍬見の容態が気になっていた。金谷は無事だと言った。彼には鍬見を気遣う気配が見えた。だが彼は鍬見に関して話す事を禁じられていた。朱雀なら教えてくれるだろうか。詩織は思い切って聞いた。
「鍬見さんは、どうなったのですか?」
「危機は脱した。快方に向かっている」
朱雀は即答した。詩織は少し気が楽になった。


「キミと鍬見の事は、百合枝からも頼まれている。二人を引き裂かぬようにと」
ようやく詩織の表情が和らいだ。
「百合枝さんが?」
「キミ達には、私も不幸にはなって欲しくない」
朱雀と百合枝は自分の味方になってくれる。詩織は心強く思った。とはいえ、不可解な事ばかりである。何故、自分が襲われたのかも解らなかった。朱雀は詩織の混乱を感じ取っていた。
「鍬見の罪は、キミと必要以上に係わった事にある」
「必要以上に?」
「我らは、戦いの中にいる」
「『奴等』との?」
「そうだ。だから部外者との深い係わりは避けている」
「私は、百合枝さんの従妹です」


朱雀は片手で自分の首のあたりを触った。
「喉が渇いたな。珈琲でもどうかね?腹は減っていないかね?」
「少し」
朱雀が立ち上がった。扉を細く開けて、朱雀は誰かと短く言葉を交わした。戻って来て椅子にどっかりと腰を下ろすと、朱雀は言った。
「ルームサービスを頼んだ。ホテル並とはいかないがね」


扉を軽く叩く音がした。朱雀が応じると、一人の青年が銀色の盆を手に入って来た。器用に片手に載せた盆の上には珈琲と白い陶器のスープボウル等が並んでいた。黒髪の青年に、詩織は何かを感じた。親近感に似た感情を。青年は微笑した。その微笑に、詩織の胸が泡立った。詩織は青年の名を思い出した。
「寒露(かんろ)さん」
「やあ、弟が世話になったな」
あっと詩織は心の内で叫んだ。寒露の顔は、眼鏡をはずした鍬見に瓜二つだったのだ。

(つづく)






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Last updated  2010/11/28 06:17:47 AM
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龍5777 @ Re:白衣の盾・叫ぶ瞳(3)(03/24) おはようございます。 「この歳で 色香に…
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