森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2013.02.09
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カテゴリ: 行動のポイント
会社に出入りしている職人さんで魚つりの名人がいました。
仮にAさんとしておこう。Aさんは、磯釣り中心で、主としてクロダイをよく釣り上げる。クロダイは魚釣りの中でも難しい魚とされている。それは、クロダイそのものが頭がよく、一旦食べたエサをすぐ吐き出して安全を確かめてから、改めて食べるほど用心深いところからきているという。

Aさんに誘われて魚釣りに行った。その時は、釣果が悪かったが、それでも8枚のクロダイを釣り上げた。両隣の人は1枚ずつだった。近くで同じように釣りをしながらどうしてこんなにこんなに差がつくのだろう。
そういえば以前、Aさんの作ってくれた仕掛けで、タナゴを10枚ほど釣り上げたことがある。近く釣っていた人は、1枚も釣れなかった。Aさん曰く「仕掛けが大きすぎる。いくらねばっても多分釣れないだろう。」その通りになった。隣の人は、私が銀色に輝くタナゴを釣り上げるたびにうらやましそうに見ていたのである。

話を聞けば聞くほど、また釣りの様子を見れば見るほどその奥の深さに感銘をうけるのである。
まずAさんは、釣れるポイントを重要視している。誰よりも早く出かけてそのポイントを確保しなければならない。他のつり名人といわれる人とポイントの奪いあいに負けては戦う前に勝負がついたも同然であるという。その日は5時すぎにポイントを確保した。

Aさんは釣れる時間帯に休んだり、パンなどを食ったりしているとすごく怒るのである。
「釣れる時間はほんの少しだ。その時は寝食を忘れて釣りに集中せよ。それを逃すと次に釣れる保障はないのだから。」また仕草や動作にも手厳しい。素人くさい竿さばきやコマセで竿を汚すのはもってのほかだ。釣れるときにもたもたしてエサをつけているのを見るとイライラするようである。

大潮、小潮を見極めて出動するのは釣り人の常識である。Aさんは1年のうちでもいつどこでどんな魚が釣れるか、よく知っているし、他の釣り仲間と絶えず情報交換をしているのである。またここの海底の地形がどうなっているのか、どこで根がかりしやすいか、水深はどれくらいか、クロダイの性質、習性とか、動き回っている範囲など研究に研究を重ねているのである。見たところ学問には縁のなさそうな人であるが、こと魚釣りの本はたくさん持っているそうである。


Aさんは、団子を遠くへ投げるヒシャクは自分に使いやすいように手作りである。
仕掛けは狙う魚に応じて、海の状況に応じて常に変えていく。使うハリや、ウキや重りにいたるまで芸が細かいのである。クロダイは特に動くエサがよいという。魚を呼び寄せるコマセは独自に配合して、風味の良いものを作っている。Aさんは投げ釣りは性に合わないという。自分が工夫して作った仕掛けと魚との知恵比べの格闘がないから面白味がないのである。

Aさんは、自分の気に入った道具で、最高の仕掛けを作り、クロダイの状況を詳しく知り、そしてなによりも燃えるような情熱をもっていたのである。はた目にはよく分からないが、釣れるには釣れるだけの理由があったのである。そうした姿勢は周りの人に計り知れない好影響を与えている。





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Last updated  2013.02.10 08:21:55
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