音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

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bunakishike

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2018年05月11日
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カテゴリ: クラシック音楽

以前からユニークな活動で気になっていたカナダ出身のバーバラ・ハンニガンのクレージー・ガール・クレージーを聴く。
今年のグラミー賞のBest Classical Solo Vocal Album部門を受賞している。
管理人の注意を引いたのは、ガーシュインのミュージカルということもさることながら、大勢の人たちが食事中のテーブルの上に、ミニスカでハイヒールを履いて歌っているという一風変わったジャケ写だったことにある。
DVD付きのため、高くてなかなか手が出なかった。
昨日 HIGHRESAUDIO という配信サイトでこのアルバムを見つけ、値段が$15、24bit 96kHz Flacということで、取るものも取り敢えず?速攻でダウンロードした。
てっきりガーシュインのミュージカル「ガール・クレージー」を演奏したものだと思っていた。

原因は思い込みと、中身をよく確認しなかった当方に原因がある。
そもそも興味を持ったのが、このジャケ写なので、このCDには何の責任もない。
内容は、前掲の「ガール・クレージー」とベリオのセクエンツァ第三番と、ベルクのルル組曲という構成。
ベリオのセクエンツァ第三番は無伴奏の声楽曲で、旋律らしい旋律はほとんど聞かれない。
音域がとてつもなく広く、その上、つぶやき、しゃっくり、舌打ち、咳などの特殊効果?もふんだんに使われていて、舞台映えのする面白い曲だ。
現代曲として鑑賞するのは不都合はないが普通の歌と同じ姿勢で向かうと裏切られる。
管理人はアンサンブル・アンテルコンタンポランの全曲盤を持っていたが、この曲は余り印象になかった。
今回手持ちの盤(vo:ルイーザ・カステラーニ)と今回の演奏を比較してみた。
ルイーザ・カステラーニは柔らかく太めの声なので、刺激は少ない。
ハンニガンはカステラーニに比べると幾分細めの声。
表現もカステラーニに比べると派手なので、エキセントリックに聞こえる。

なので、初めて聞く分にはカステラー二のほうがいい。
なお、初演者であるキャッシー・バべリアンの演奏は未聴。
他の曲はそれほどでもないので、グラミー賞の審査員は、この曲の鬼気迫る表現に惹きつけられたのかもしれない。
バーバラ・ハンニガンは歌と指揮の両刀使いで、弾き振りならぬ歌振り?だ。
「ガール・クレージー」組曲のイントロはベルクの余韻が残っているような陰鬱さが感じられる編曲。

間奏ではマーラーの第3交響曲終楽章の主題が引用されていて笑ってしまう。
歌そのものはクラシック歌手らしく、ちょっとべとついていて、もう少し軽く歌って欲しいと思ってしまう。
こまかいビブラートも少し気になる。
ただバックを含めミュージカルの世界は十分に描かれていたと思う。
ノスタルジーを漂わせたビル・エリオットとハンニガンの編曲はストーリ性を感じさせ、とても楽しめる。
使われている曲は「But not for me」「Strike up the Band」「Embraceable You」I got rhythm」の3曲。
「Embraceable You」では合唱もはいるが、クレジットは見当たらない。
昔ながらのミュージカルのテイストが濃厚で、とても楽しめた。
ベルクはハンニガンの指揮者としての力量が相当なものだということを感じさせる。
ベルク特有の退廃的なカラーが濃厚に出ていて、同曲の演奏の中でも目立つ。
こういう濃厚な音楽を志向すると、フットワークが悪くなるものだが、機敏でシャープな音楽だ。
それに、聴き手の心をざわざわさせる力もかなりある。
参考までにブーレーズやアバドの演奏を聴いてみた。
半眼の音楽は彼らよりもメリハリがついていて、インパクトが強い音楽だった。
第4曲のバスドラの音からして、遥かにでかい音だ。
第5曲は他の演奏よりも1分から2分ほど長いが、遅い感じはしない。
ルルの叫びは省かれている。
指揮をしながら叫ぶというのは、さすがに無理だったのかもしれない。
とてもいい出来なので、いつの日か全曲を録音してほしい。

ludwig orchestra はベートーヴェンの名前を関したオーケストラ。
2012年に現在の主流のオーケストラに飽き足らない6人のオランダのミュージシャンによって結成された革新的な団体。
具体的にどういう音楽を志向しているのかはよく分からない。
今回のCDは彼らのデビューアルバムでもある。

2014年にアムステルダム・コンセルトヘボウでのライブのうち「ガール・クレージー組曲」全曲ががアップされているが、これがなかなかの見ものだ。
このコンサートとは de Ovatie という賞を受賞している。
youtube

Barbara Hannigan:Crazy Girl Crazy

1.Berio:Sequenza III for voice (1965)
2.Berg:Lulu Suite (1934)
3.Gershwin:Girl Crazy Suite
arranged by Bill Elliott and Barbara Hannigan; Orchestrated by Bill Elliott

Barbara Hannigan(vo,cond)
LUDWIG Orchestra

Recorded in August 2016 at Muziekcentrum van de Omroep,Netherlands





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Last updated  2022年03月10日 23時18分06秒
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