「殿下は異文化の中で他の言語を学んでいるだけ 時が来たら殿下は戻ってきます 人を見極める際の物差しとなる過去の悪さは強みに変わります My gracious lord, you look beyond him quite. The Prince but studies his companions Like a strange tongue, wherein, to gain the language, 'Tis needful that the most immodest word Be look'd upon and learnt; which once attain'd, Your Highness knows, comes to no further use But to be known and hated. So, like gross terms, The Prince will, in the perfectness of time, Cast off his followers; and their memoryShall as a pattern or a measure live By which his Grace must mete the lives of other, Turning past evils to advantages.」 しかし王の気は晴れない。 「巣をつくった蜂はめったに離れない 腐肉の味を忘れんのだ 'Tis seldom when the bee doth leave her comb In the dead carrion. 」
屋根裏でフォルスタッフがハル王子の事を 「中身はうすっぺら 料理番くらいしかできんA good shallow young fellow: a' would have made a good pantler, a' would ha' chipp'd bread well.」 「王子が奴とつるむのは王子も同類だからさ」 と散々こき下ろしているのを聞いて、いざ、フォルスタッフの前に現れた時。
「お前俺のこと散々言ってくれたよなNot to dispraise me, and call me pantier and bread-chipper and I know not what?」 と言うと、当然フォルスタッフは弁明する。本気ではないと。好きな女が王子に惚れるのを止めようとしただけで本心は違うんだと。 「ハル 本当に違うんだ 信じてくれ」 そう言ったフォルスタッフを、ハル王子がじーっと見つめる。で、何も言わずに去っていく。 後々の事を考えると、ハル王子がフォルスタッフを見切ろうと決めたのは、この時だったのかも。
マクベスなどシェークスピアにつきものの王と眠りの台詞をヘンリー4世はたったひとり、回廊を彷徨いながら口にする。ここはジェレミー・アイアンズの独壇場です。音楽も聞こえません。 「もっとも貧しい臣民さえ寝静まる時間だ 安らかな眠りよ 大自然の優しい乳母よ 私が怖いのか 瞼の幕を下ろしてくれず五感を忘却に渡してもくれないO sleep! O gentle sleep! Nature's soft nurse, how have I frighted thee, That thou no more wilt weigh my eyelids down, And steep my senses in forgetfulness? 眠りよ なぜあばら屋に眠りは訪れる?居心地の悪い寝どこだろうと 飛び回る蚊の群れも気にしないくせに 香をたいた王の寝室の天蓋付きの寝台に眠りは来ない たとえ優しい調べに包まれていても 愚鈍な眠りの神よ 下品で汚れた寝床には寝る癖に なぜ王の寝台は夜警のように不眠にする?マストで居眠りをする少年水夫でさえ荒波をゆりかごにして眠りで目を閉じる その国は海を揺さぶり大波を立てその大波は怪物のようにうねり使者すら目覚めそうな轟音を立てるというのに 不公平な眠りよ 嵐の中ですら少年水夫に眠りを与えるではないか なのにこの静かなこの飢えなく静かな夜にお前を誘うためにあらゆる手を尽くす王は拒むのか?幸せな平民たちよ ぐっすり眠れ 王冠の頭に安眠は訪れないCan'st thou, O partial sleep! give thy reposeTo the wet sea-boy in an hour so rude; And, in the calmest and most stillest night, With all appliances and means to boot, Deny it to a king? Then, happy low, lie down!」 王位簒奪の誹りを受け自らも責めずっと眠れなかった王がやっと眠れる時が来たと思ったらそれは永遠の眠り=死だったという。 王冠の重みがわかりますね。
王が死んだと思って王冠を持って行ってしまうハル王子。 「私が王冠を受け継ぐMy due from thee is this imperial crown, Which, as immediate as thy place and blood, Derives itself to me.」 とっても感動的な場面なのにこの後一波乱が。