パトリック 「他人の死体だっったぞWrong fucking corpse!」 葬儀会社の女性「確かです?やり直しだOh are you sure?」 「変わり果てた姿とはいえユダヤ人はないDeath transforms us all, but it's not so powerful as to turn my father into a small jew. Try again!」 「ですがパーティは一件だけで」 「パーティじゃなくてメルローズと対面に来た」
今度は本物だ。 「棺に入ってなにやってる」 こわごわ顔を触るパトリック。 「これは何だ?You didn't want to go, did you? You knew you were going to die and you were right. What did that feel like? Pain or rage? Were you scared? Christ, I hope so!逝きたくなかったろ?自分が死ぬとわかってた 何を感じた?苦痛?怒り?い恐ろしかった?そうならいい気味だ」 「だめだ だめだ」 棺を何度も殴るパトリック。 「父さんは悲しい男だったよな 僕まで悲しませる気だな そうはいくかYou were so fucking sad, Dad, man. And now you're trying to make me sad too. Boo hoo!Well bad luck.」 部屋を出るパトリック。
レストランで飲みまくるパトリック。 「アカバを攻略した お変わりとサーモンタルタル タルタルステーキ タルタルは辛目で ワインリストも」 レストランのウェイター「後からお連れ様が?Will anyone be joining you? 」 パトリック「Fucking hell, I hope not!いや 勘弁だね 一級品以外は必要ない よし覚せい剤が聞いて全て順調 ヘロインが恋しい ヘロインを断ち 時差ボケで鎮静剤と覚せい剤をやると食欲を失う だが私は職への情熱から食べるのだ 黙れよ 君じゃない」 レストランのウェイター「デザートはいかが? Would sir care for a dessert?」 パトリック「“いかが”?休日に訪ねて機嫌を伺えと? Care for it? How do you care for a dessert? Feed it? Visit it on Sundays?クレームブリュレとマールを でもヘロインなしじゃ愛を失ったも同然 電話一本でオーケー 黙れっての!」 レストランのウェイタ「問題でも?Is everything alright?」 パトリック「そう聞くがこの世の中に問題のない奴がHow can everything be alright? It's simply too much to hope for.」 「苦情が出ておりますIt's just that there've been some complaints.」 「頭の中の声が漏れて?You mean the voices aren't just in my head?じゃあそろそろ 電話代の小銭をくれる?よし 決めた 彼が電話に出たら眠れる分だけ買おう 賢明だ555の1726」 留守電になる。 「運なんかくそくらえ」電話器をぶつけるパトリック。車の中で苦しそうな表情を浮かべる。
井戸の上に立つ少年時代のパトリック。電話が鳴る。 母「パトリック 報せを受けた 言葉がない」 母かと思ったらデビーからの電話だった。 デビー「暇そうな声ね もしかして起こした?やだ ごめん ごめん 時差ボケで起きてるかと 今ホテル?私ね 心配で眠れなかったの」 「薬の心配?You mean have I taken any drugs?」 「何よ やったの?No. Not just that. Why? Have you?」 「“コカインとヘロインを一晩中”は数に入る?Well, I've been shooting cocaine and heroin all night. Does that count?」 「それって賢明? Was that a good idea?」 「 またそれを聞く?賢明なわけないだろIn the future, can we agree that, no, it is not a good idea?」 「今度こそ変われると思ったのに」 「僕もね でも違うらしい」 「一人はだめ ディナーをセッティングした」 「今は誰かとディナーって状況じゃないよ 気分的に無理」 「あなたを気遣ってくれる人 マリアンヌよ」 「マリアンヌ?」 「あなた 彼女の家で失神した 忘れた?19時以降よ 住所は送る」 「ディナーは考えとく」 「忘れないで あなたを愛してるわ」
戻って来た時は明らかにとろんとした目つきのパトリック。 「何で食べないの?」 「マティーニは最高だよ 」 「“親は意図せずとも子をだめにする”They fuck you up, your mom and your dad. They don't mean to but they do.」 「“意図せず“だって?Who says they don't mean to?」 「気持ちを伝えたことある?Tell me, did you ever tell your dad what you felt about him?」 「生前はない それでよかったNot while he was alive. Probably for the best.」 「 でもなんて言いたかった?What would you have said to him?」 「こう言ったかな 人にそんなことをするべきじゃ I would have said... I would have told him... "Nobody should do that to anyone else."」 ウェイターが飲み物を持ってくる。 「どうも」 「真面目に答えてごめん」 「いいのよ 聴くわ」 「その いいんだ」諦めた表情のパトリック。 「私もう帰らなきゃ」 「だめだよ マリアンヌ 僕らは気が合うよね」 「そうねあなたを好きだし デビーも」 「鎮静剤欲しくない?」
店を出るマリアンヌ 「ごめん 酔っちゃって」 マリアンヌ「仕方ないわ タクシー!おやすみ」 「そうだね おやすみ 時々思うんだよね 僕に意見できる賢い女性と出会えたら軌道修正できるかも」 「やめて みっともないわよ」 「頼むよ 行かないで 誰かといないと」 「離して 自堕落なクズ どうかしてる」 「バカだよね 待って 一人になりたくない 一緒にいるだけでいい 一人にしないで」 「一人じゃない 出して」 車が出ていく。 「彼女の言う通りお前は一人じゃない 決して一人にはならない 死と破壊 恥辱と暴力 どうにもならない恥辱と暴力 あっち行けよ!」 遺灰の入った箱を壊そうとするが頑丈で壊れない。 「便所に流してワニのいる下水に送ってやる なんでだよ!I'm going to flush you down the loo! Send you to sewers with the alligators and the shit!HOW?」 窓を叩くパトリック。だが防音で声は聞こえない。 「飛び降りられないならなぜ窓がある?What's the point of a fucking window if you can't throw yourself out of it?」 少年のパトリックと大人のパトリックのクロスカット。 「死にたい 死にたいI want to die... I want to die..」 「飛ぶ以外に方法はあるだろ 違う パトリック ここなら安全 見つからない 誰も探せなかったら?」
クスリをすりつぶすパトリック。「人生はクソの詰まった鞄 しかも穴が開いてるLife's not just a bag of shit, but a leaky one. You can't help but be touched by it.どう思う?」 ボーイ「誰もがそう感じております」 「“血の川が流れると悪人どもは溺れ高き所も飲み込まれ橋は押し流される そして人々は言う「世界の終わりが来た」と“」「それは間違いない まさにその通りだ」
ブリジット「どんな人たち?」 ニコラス「デヴィッドは無一文だ 酷い親父に勘当されてね」 「なぜ?」 「医者を目指したからさ その前の夢は作曲家で才能もあった エレノアはアメリカの富豪の娘だ ドライクリーニングの特許で財を築いた成金だがとにかく金はある 南仏の家はデヴィッドが彼女に買わせた 初めて夏を過ごした時熟れたイチジクが落ちていてエレノアがぼやいた “飢えてる人も多いのに”と するとデヴィッドは彼女を這いつくばらせ地面のイチジクを食わせたThe house was the first thing he persuaded her to buy. First summer there, we were all sitting on the terrace, and she complained about the dreadful waste of figs that fell from the tree onto the ground and rotted, while there were other people starving in the world. And David did this amazing thing. He told Eleanor to get down on all fours and eat every fig off the ground.」 ブリジット「人前で?In front of you?」 「彼女は抵抗もせず全部食ったよYes. She didn't protest though. She ate every single one.」 「いかれてるKinky.」
「パトリック 何してるの そんな所でこそこそと ごめんね すごく驚いたからつい」 抱き着くパトリック。 「I have to get back to my writing.さあ 用事を終えないと」 「What are you writing?用事って?」 「 A cheque for charity. For Save The Children. Because it's important when one has so much, to give something back.子供たちを助けるため寄付をするの 大切なことよ たくさん持っている人は何かを返さないとね ママたちがいなくなった後もそれを忘れないで あなたにも贈り物を OK牧場で買ったの そんな目で見ないで 似合うわよ 素敵な子 お父様とはどうだった?遊んだりお散歩に行ったりした?パトリック どうしたの?答えて」 「グラスを変えようか?新しいのと」
ニコラス「市場の露店で買ったような服だ」 ブリジット「市場の露店で買ったの」 パトリックを見つけて「こんばんは 不思議な坊や」 「魔女に見えるYou look like a medieval witch.」 「あなたはどう?退屈な老いぼれって感じAnd you look like an old fart. A stuffy conventional old fart!」 エレノア「あなたにお電話よ」 ブリジット「バリー助かった 誰かと話したかったの」
ヴィクター「職業を聞くのもだめ 使用人と話すのもデヴィッドを怒らせるのもだ」 アン「私も一つお願いがWill you do one thing for me?」 「何だい?」 「機嫌を取り侮辱を許し迎合するのはやめて Don't suck up to them. Don't let them bully you. Don't try to fit in.」 「3つあるWell isn't that three things?」 「関連してるのよThey're all connected.あなたは彼等より立派だわ 情があるもの」
「大学教授は他人の理念にけちをつけたがる でも役に立つ」 「治療になるかもな」 「やあ こんばんは エレノア君はピンクがよく似合う 瞳の色とも合うしなEleanor, I do like you in pink. It matches your eyes.」 アン「あなたが医師だったなんて想像できないわ」 「私自身もだよ 医師という柄ではなかった 幸い妻の財力のおかげで医師をやめることができた 素晴らしい恩恵だ 空港への迎えありがとう」 「楽しかったわ 心が満たされる」 「私の一日も特別なものだったよ」 ブリジット「デイヴ 派手な黄色の室内履きが素敵」 「褒められて嬉しいよ ウォッカは?」 「コーラある?酔っ払うのは下品だわ」 「食事にしよう」 「ヴィクター あの席に」 「席が決まるまで話をしよう アン 皇帝ガルバをどう思う?」 「素晴らしい すごい人よ」 ヴィクター「アンはカリギュラに夢中でね」 アン「ヴィクターは彼の擁護を」 デヴィッド「ブリジット 私の隣へ カリギュラは家族を殺された 虐げられた者が虐げる者になるのは当然だ」 アン「イートン校も?」 ヴィクター「アンはパブリックスクールに否定的でね」 ニコラス「そのようだ」 アン「As for his obsession with screwing his sister...カリギュラは妹たちと寝た」 ニコラス「Ah, well you know what they say: "Vice is nice, but incest is best." Now I'm sure I would have liked the chap. He did exactly what he wanted to do, with no nonsense about ethics.”背徳は快楽”っていうしな 倫理に囚われずやりたいことをやっただけさ」 アン「不道徳な方がいいの?Why do you think it's superior to be amoral?」 ニコラス「そうじゃなくて"退屈は嫌だ"ってこと It's not a question of being superior; it's a question of not being a bore or a prig.」 デヴィッド「"アンニュイ"を目指すとしようWhat one aims for is ennui.」
パトリックの部屋に入って来るデヴィッド。 「 Can't sleep? No, me neither. Must be all the excitement. Al these people.Here, that better? I'll leave you now. But know one thing. If you ever tell your mother or anyone else about today, I will snap you in two.眠れないか?私もだ 人が大勢いたから気持ちが高ぶってる さあ よくなったか?父さんは行くが 一つ言っておく 今日のことを母親や誰かに一言でも話せばお前を真っ二つに切り裂いてやる」
ニコラスが訪ねて来る。 「ブリジットに返事をしてないな 開けなさい 苦労して招待者名簿にねじこんだのに」 「有難いがまだ社交は無理」 「カーテンを開けろ とりあえず精神科病棟よりはいい 酒が欲しい あるかな?Better than a psychiatric ward, I suppose. Theoretically. I need a drink. Do you have drink, a proper drink?」 「悪習は入院して断ち切ったよ ハーブティは?No, that's one of the reasons I was on the psychiatric ward. I can offer you herbal teas.」 「冗談はよせDon't be absurd..せめて窓を開けるか表へ出てみたらどうだ お母さんも姿を見せない」 「母にはパーティ以外の生きがいがある」 「確かに変わり者だ 今どこに?」 「一万本の注射器をポーランドに運んでる その慈愛と注射器を世界の人でなく僕に届けて惜しい」 「そういうのとは決別したんだろ」 「決別か 惜別か」 「やけに感傷的だ」 「再スタートのめどが立たない」 「法律で生計を立ててるんだろ?」 「それは治療費を払うためで人生そのものは」 「もういい 座れ」 「はい?」 「すわりなさい 私は励ますという行為が嫌いだがやるしかない このままじゃいかん 父上のために君を社交界で再び泳がせる」 「でも溺れる心配があるよ」 「ばかな しゃんとして身なりを整えろ 人生の話ならパーティでしろ 誰かが聞くさ とはいえパーティだ 楽しむためのものではない And, remember. it's a party; you're not meant to enjoy it.」 「まいったな」
パトリックはジョニーを見つける「うろついてた 他の場所で話せる?人には言えないことがあると話したろ?I've told you that there's something that I've never said out loud and now I'm going to.それは恥ずかしいからでなく君の重荷になると」 「話せよ」 「よし 両親の飲酒や暴力は話したが実は他に」 ジョニー「外してくれ」 パトリック「酒は結構だ」 ボーイ「花火が始まりますので」 「僕は8歳の時から数年にわたって父から“虐待”を受けた 最近はそう言うんだよな」 「どんな虐待?」 「それは つまり…ダメだ そんなことするべきじゃ…」 ボーイ「花火がもう」 「話してるんだからほっといてくれ 僕達が子供に見えるか?花火なんか興味ないよ どんな虐待だったか?性的虐待だ」 「つらかったな だから嫌ってたのか」 「わかったろ 何の罪かもわからず罰を受けていた まるでカフカの世界だよ」 「何て父親だ 心が二つに裂けたろ」 「その通りだ なぜわかった?」 「当然そうなる」 「それが起こってる時妙な話だが 壁にやもりがいた 緑のやもりだ そいつの中に入れば耐え抜けると思った お粗末な逃避法だろ?とにかく父親を憎むことで僕は疲れ果てた 今後はこんな所じゃなく世間に出て社会に貢献し普通の生活を送りたい それには打ち明けるしかなかったIn that moment, when it was happening, and this will sound strange, but, there was a lizard on the wall - gecko, bright green. I thought if I could somehow put myself inside... that I might be able to get through this. Not much of an escape plan I know. The point is, now I'm exhausted hating him, and it's not enough. And if I'm going to break out into the world, not just this one but the real world, and make a contribution, live rather than just survive then I am going to have to say these things out loud.」 花火があがる。 「花火を見逃したね 見たければ」 「いいよ」
ジョニー「勧誘じゃないけど前進するための唯一の手段は自分にばかり執着しないことだ 拠り所を探せ」 「趣味に走れって?」 「人だよSomeone Else」 「恋をして子供を持つ」 「悪かない」 「恋には何度も挑戦してきたぞ」 「恋だったか?」 「僕は傷ついた人を癒す人を求めていたが落胆の連続だったIn my experience of love, you get excited when someone tries to mend your broken heart and disappointed when you realise they can't.」 「次はどうかな」 「それに僕は悪意 皮肉 高慢 自己嫌悪を除いたら空っぽだ」 「Perhapsかもね あるいはそこに何か入れてみたら?」 マーガレット王女「やっと女主人が来た サニーはどこ?」 出ていくブリジット「存じませんわ 殿下」
パトリック「父は不幸せだったが改心の痕跡がなければ許せない」 ジョニー「改心しないから罪を犯す」 「ちょっと君 さっきは怒鳴って悪かった デリケートな話をしてたんだ」 「仕事なので」 「そうだな 申し訳ない」 「幸せそうか?」 「ウェイターが許せるなら先に行け 眠れそうにないし宿の部屋が」 「聞けてよかったThanks for telling me.」 「 カリフォルニア的だなNo need to get Californian about it.」 「君がイギリス的すぎる 宴の終わりかNo need to be so English! It's the end of the party.」 「それ以上さ 一つの時代の終わりだ It's more than that. It's the end of an era.」 「そう願おうWell let's hope so.」
かつて麻薬を売ったチリ―・ウィリーを見かけて声をかけるパトリック。パーティで演奏していたのだ。 「NYのチリ―を知ってるがまさか」 「10番街だ 彼は通りで商売をしてた ありえないよな」 「コートか コートを脱がないイギリス人」 「パトリックだ」 「驚いたな 見違えたよ しらなかったな」 「俺は音楽の道一筋できた ただちょっと…分かるだろ?」 「奥さんが売ってくれたでかい注射器」 「過剰摂取で死んだ」 「それは気の毒に 君が生きてるのは奇跡だIt's a miracle you're alive.」 「おたくもね 俺たちの日常全てが奇跡だ 風呂で石鹸みたいに溶けないのもYou too. But then, everything's a miracle, man. It's a miracle we don't melt in the bath like a piece of soap.」 去っていくチリー。
「打つ手なし?あなた弁護士でしょ」 「母親失格の愚か者だが自分の財産をどうしようと僕に文句は言えない」 「霊能者のふりをして居座ったら?」 「僕はヒーリングとかをまるで信じてない」 ジュリアが子供たちに「二人で一緒に遊びなさいよ ほら」 「それに家族で手一杯だ 世界は救えない」 「子供を育てるってある意味自分を諦めることよ 子供はいい人間になり深酒はせず離婚もしない 心だって病まない だけど子供を守るのに必死になりすぎて自分は衰え滅入ってしまうYou spend so much time guarding your children against decay and depression that you become decayed and depressed. ごめん 落ち込んでるの 離婚して以来時々思ってしまう “自分はいない”って」 ロバート「僕分かる」 ジュリア「子供のくせによく言うわ」 「ほんとだもん」 パトリック「でも哀しくならないだろ?」 「時々は悲しくなる」 歩いて行ってしまうロバート。
パトリック「 I suppose I should be more careful.うかつだった」 ジュリア「About what?何が?」 「息子たちには悪意のない子供時代を過ごさせてやりたかった でもしくじったよ I've tried so hard not to pass on the malice and resentment, giving them a different sort of childhood. But they're just fresh mistakes.ロバートは気づいてる 昨夜君の部屋へ行った」 「なぜ私の部屋へ?」 「会いたかったから 入ったら喜んだ?」 キスするジュリア。 「次は入って」 「次があるの?」 「あなたも私も退屈だし孤独でしょ」 「同じ部屋にいたら“退屈“と“孤独“が渦巻く」 「“電荷“みたいに打ち消しあうかもよ」 「それじゃ実験してみるか」 「状況管理の下でね」 「退屈が消えるか 孤独がオーバーロードするか」 再びキスする二人。 「戻らなきゃ 情事を疑われる」
「いろいろ心の整理をしないと」 「前にここでの出来事を話してくれた 話せば楽にならない?」 「そうかもなPerhaps 母さんは僕を守ってくれなかった この場所が守ってくれた それが奪われることになり逆上したんだ でも同時にここと縁が切れるのは嬉しいIf I didn't have my mother's protection, at least I had the protection of this place. Now that's being taken away too, I fear I might go mad. At the same time, part of me can't wait to get rid of the fucking place.」 「ロンドンへ戻ろう」 「それか別の場所へ 休暇をやり直さなきゃ」 「どこへ行くの?」
パトリック「何だよ ヘンリーもいる ナンシーの親戚で莫大な遺産を相続 政治の話をするな 彼は超タカ派だ」 メアリー「そう」 「富豪は嫌いだChrist I hate the rich!」 「やっかみねEspecially now that you're not going to become one.」 「特に今は Especially now.」
ナンシー「ゲーム室にシアター プールもあるわ」 「ご親切に」 「姉さんがした仕打ちの埋め合わせよ あなた働き始めたそうね」 「前から出版の仕事を」 「あの子たち家の中を走り回る?」 「いいえ まさか」 「叫ぶとかは?」 ヘンリー「自由奔放なのが子供だ」 「だけど森には入らないでね ライム病に感染するしうるしも生えてる 見た目はよくても沼地みたいな所だから危険に囲まれてると思ってBest to assume you're always in danger.」 パトリック「人生哲学だなA rule to live by.」 メアリー「二人とも!泳がない?」 「水着を出すよ」
ナンシー「パトリック!来て 素晴らしい品々が全て盗まれた 莫大な財産が消えたわ これはうちの物だった だけど義理の弟が150万ドルで売ってしまった」 パトリック「あなたは今でも十分に裕福でしょ」 「この家?本来はこんなもんじゃない」 「母さんのことだけど 回復が望めないのを悟って“殺して”と言ったんだ」 「パトリック そんな事聞いちゃだめよ」 「でも死なせてやるのが親孝行じゃないかな」 「じゃ救急車を手配して姉さんをオランダへ」 「行くだけでは安楽死できない」 「こんな不愉快な話はやめましょうよ」 「メアリーには話してない」 「どうして?」 「その方がいいかと」 メアリー「水着は?皆喜んでるわ」 「良かった でも絨毯をぬらさないで」 「夕食前に飲む? I don't suppose you'd like a drink before dinner?」 「父がお酒で人生を潰したから私は飲まないけどOh I don't drink, didn't you know? I watched it destroy Daddy's life. But you help yourself.あなたはお好きに」 「また後で」
ナンシー「警察に通報しようかと思ってたのよ」 パトリック「考え事だよ 思う所あってね」 「子供たちも外遊びで疲れたみたい」 「私のおじい様の代にはロングアイランドに150エーカーの庭があった もちろんその他に」 パトリック「ねえ 別の話にしない?」 メアリー「ヘンリーの“中東”に戻る?」 「やっぱ”庭”で」 トーマス「ママ 壊れた」 「”大人といる時子供は黙らせる”よHave you ever heard the phrase children should be seen not heard?」 「有名なしつけだけど馬鹿げてるYes. I think it's nonsense.」 「私はむしろ寛大すぎると思うわWell for my part, I've always found it to be entirely too liberal.」 「同席も許さない?So you'd rather not see Thomas?」 パトリック「叔母さん 僕の父親みたいだJesus Christ, Nancy you sound like my father.」 ナンシー「あなた方をもてなそうとしてるのよPatrick, we're trying to extend some hospitality.」 パトリック「アメリカの親類が僕らに施しをしてくれるのかAnd we're just poor white trash throwin' ourselves on the American kin.」 ヘンリー「受けなくても結構だよYou don't have to be accepted if you don't want to.」 パトリック「願い下げだYou're right. We don't.」 メアリー「ありがたいわBut we'd like to.」 「黙ってろSpeak for yourself.」 「子供のためにも言ってるのI do. I'm also trying to speak for our children.」 「誰のためにもならない どいつもこいつも引っ込んでろYou're not even speaking for yourself! Entirely too liberal? Come on! Fuck off!」
一人で家のみするパトリック。 「お母さまを想ってる?アネットよ フランスで会った」 「そうだね 僕の家の居心地は?」 「快適だわ 今シェイマスがあなたの部屋に 執筆中で参列できなかったの おつらいでしょ?」 「人生を物語るのは当人が目を向けたことだけだI was thinking how life is just the history of things we pay attention to. The rest is just packaging.」 「マヤ・アンジェルーいわく他者に影響を与えてこそ人生に意義がある他者の気分を害したとしてもね Maya Angelou says the meaning of life is the impact we have on other people, whether we make them feel good or not.エレノアは周囲を明るくした」 「挨拶に使っても?」 「どうぞ 私からあなたへの贈り物」 「アンジェルーのファンがいる あそこの老紳士 名前はニックだ」 「話すわ こんにちは ニック」 ナンシー「皇太子の結婚式の日に葬式なんて」 「そっちが楽しそうなら潜望鏡と国旗を持って行けば?」
ジョニー「大丈夫か?いい所だLovely venue.」 パトリック「僕も火葬して欲しいYes, I'm thinking of getting cremated here myself.」 「Well, no need to rush.そう急ぐなよ」 「 I was going to wait until I die.死んでからの話さ」 「How are you bearing up?辛いだろ」 「Weirdly elated. I think my mother's death is the best thing to have happened to me since,well, my father's death.妙に高揚してる 母の死は父の死以来最高の出来事だ」 「I'm sure it's a little more complicated than that.もう少し複雑だろ?」 「You're the psychiatrist. 精神科医だな」 「 Psychotherapist.心理療法士」 「Oh, whatever.どっちでも」 ニコラス「バカなことを言うんじゃない」 ジョニー「勘弁しろ ニコラスか」 「“いずれ逝く定めなら君が先で喜ばしい” それが私の精神だ “心の道具箱“にでも入れとけ」 アネット「面白い方だわ 宇宙が我々を愛してると知らない 愛されてるのよ ニック」 「君の方がましだな」 ナンシー「あのへんな人達は誰?なぜいるのよ」 「過激派か呪術医か」 「誰でもない うちの娘の精神分析医だ つまり悪魔だよ」 「いつでも開始できます」 「10分くれ まだ参列者が来る」 ジュリアがやって来る。 「キックオフの時間だよ この言葉であってるの?久しぶり」 「一年ぶりかしら また断酒してるの?」 「そう きっぱり」 「大変な時なのに偉いわね」 「むしろ幸いだ 順調な時ほど足をすくわれる」 「皮肉は健在Still not given up irony, then?」 「断つのが一番難しい 皮肉は二つの意味を同時に言えるHardest addiction of all. Forget heroine, that need to mean two things at once...」 「 私はニコチンパッチつけて喫煙中よ 辛辣さがやめられないI'm having enough trouble wearing nicotine patches and smoking at the same time. Don't take my irony, leave me with a little sarcasm!」 「辛辣さには一つしか意味がないSarcasm doesn't count. That only means one thing.」 「 こだわり派ねQuality freak.」 「入ろう 死体が列をなしてる」 「楽しみ 出席者は?」 「さあね メアリーが仕切った」 「かいがいしいわね 母親みたい」 「そうさ 子供ができて僕を夫だと気付いた とにかく母の残骸を焼却しないと」 「会えて嬉しい もう会わないかと」
外でタバコを吸うパトリック。 「母が無垢だっただと?」 「違ったとしても今は死を悼む時で」 「やめてくれ この感情は悲しみじゃない 怒りだよThis isn't grief or mourning. This is rage and my heart is racing with it!母は知ってたんだ 父が何をしてたか知ってたはずだ 親として失格だ 子供を守らなかったんだから 僕はだめな父親で夫だ 悪いと思ってる でも僕の子供を傷つけるのは許さない 愛する者は守らなきゃ 母はどうだ?だから父は母といたんだ 大勢の子供や息子がおまけでついてくる 幸運だと思ったろうな 父は何年も僕のことを想うがままにいたぶった あんなことをするべきじゃ…やめてくれ メアリー よくなったと思ったがこのざまだI thought I was getting better but I'm such a fucking mess.」
「パトリック あなたなの?アネットよ ニックは搬送中に亡くなった 残念だわ」 「いや 息切れ もちろんすごく悲しい」 「得難い人だったわAmazing man, completely unique.」 「そう願う ニコラスだらけの村は怖そうだLet's hope so. The idea of a whole village full of Nicolas Pratts is rather terrifying.」 「パトリック?」 「今日は君の話を聞けて良かった」 「彼女は母親として欠点もあった でも責めを負うべき人ほど憐れみが必要な時もあるShe might not have been the perfect mother. That must anger you. But sometimes those who deserve the most blame also deserve the most compassion.さよなら パトリック」
「パトリック そこにいるのか?」どこからか父の声が聞こえる。 パトリック「もしもし パトリックだ 亡霊の相手はやめて人間に会おうと思ってI've decided I'm bored of ghosts. I want to see people instead.」 メアリー「あらOh, I see. OK.」 「気を変えるには早すぎた?Or is it too late to change my mind?」 「いいえ 気は変えるためにあるものだから 子供達が喜ぶわNot at all. After all, that's what it's for. The boys will be delighted to see you.」 電話を切るパトリック。
父の過去。 「トイレに行く」 「すぐ戻れ」 「パトリック そこにいるのか?パトリック!ここに座れ」 「嫌だ 言うことは聴かない」 「大好きな父さんにそんな口のききかたはよせ」 「あんな事すべきじゃないNobody should do that to anyone else」 口を開けるデヴィッド。そして泣き出す。 「そうだな」 黙って父を見つめる少年パトリック。
上着を着て部屋を出るパトリック。
生前の父に言えなかった言葉「Nobody should do that to anyone else」を幻とはいえやっとぶつけることができたパトリック。よしながふみ漫画「西洋骨董洋菓子店」 で誘拐された過去を持つ橘の独白「せめて教えてくれ何も俺に返してはくれないなら」とどことなく響き合う。