名優アンソニー・ホプキンスが認知症の父親役を演じ、「羊たちの沈黙」以来、2度目のアカデミー主演男優賞を受賞。日本を含め世界30カ国以上で上演された舞台「Le Pere 父」を基に、老いによる喪失と親子の揺れる絆を、記憶と時間が混迷していく父親の視点から描き出す。原作者フロリアン・ゼレールが自らメガホンをとり、「危険な関係」の脚本家クリストファー・ハンプトンとゼレール監督が共同脚本を手がけた。第93回アカデミー賞で作品賞、主演男優賞、助演女優賞など計6部門にノミネート。80歳を越えた高齢の老人アンソニーは、実質的にアンソニー・ホプキンスその人。名前だけでなく、誕生日もホプキンス本人と同じ日(=1937年12月31日)にし、そうすることで観客が、作中のアンソニーをアンソニー・ホプキンスのことと誤認してもおかしくはない物語構造にわざわざ設えている。