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2023.08.19
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テーマ: 戦争反対(1190)
カテゴリ: 戦争と平和
近いうちにプロバイダを変更するのに伴い、 ホームページ を閉鎖することになりそうです。
古い文章ばかりですし、中には現在では考えの変わっているものも皆無ではありませんが、内容に資料的価値のあるものもあるので、すべてではありませんが、順次ブログに転載していこうと思います。

※最高裁判決は短いので(いわゆる門前払い)、本記事の末尾に付け加えます。

---

東京高裁判決文

平成18年5月24日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成17年(ネ)第4611号 謝罪広告等請求事件(原審・東京地方裁判所平成15年(ワ)第9281号)
平成18年2月22日 口頭弁論終結

判 決


控訴人          エミコ・クーパー
控訴人          野田マサ
上記3名訴訟代理人弁護士 12名
              高池勝彦
              荒木田修
              稲田朋美
             (以下氏名略)

被控訴人        本多勝一
上記訴訟代理人弁護士   8名(氏名略)

被控訴人        柏書房株式会社
上記代表者代表取締役   高木凡子


被控訴人        株式会社朝日新聞社
上記代表者代表取締役   秋山耿太郎
上記訴訟代理人弁護士   2名(氏名略)

被控訴人        株式会社毎日新聞社
上記代表者代表取締役   北村正任


主 文

本件控訴をいずれも棄却する。
控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実及び理由

第1 控訴の趣旨

1 原判決を取り消す。
2 被控訴人株式会社朝日新聞社(以下「被控訴人朝日」という。)は,原判決別紙一書籍目録一記載の各書籍(以下「本件書籍一」という。)及び原判決別紙二書籍目録二記載の各書籍(以下「本件書籍二」という。)中,原判決別表記載の各部分を出版,販売又は頒布してはならない。
3 被控訴人柏書房株式会社(以下「被控訴人柏」という。)は,原判決別紙三書籍日録三記載の各書籍(以下「本件書藷三」という。)中,原判決別表記載の部分を出版,販売又は頒布してはならない。
4 被控訴人朝日及び被控訴人本多勝一(以下「被控訴人本多」という。)は,朝日新聞産経新聞の各全国版に,原判決別紙四記載の謝罪広告を同別紙四記載の掲載条件にて各1回掲載せよ。
5 被控訴人朝日及び被控訴人本多は,控訴人らに対し,連帯して,600万円及びこれに対する平成15年7月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を各支払え(このように控訴による不服の対象を限定した。)。
6 被控訴人柏及び被控訴人本多は,朝日新聞,産経新聞の各全国版に,原判決別紙五記載の謝罪広告を同別紙五記載の掲載条件にて各1回掲載せよ。
7 被控訴人柏及び被控訴人本多は,控訴人らに対し,連帯して,300万円及びこれに対する平成15年7月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を各支払え(このように控訴による不服の対象を限定した。)。
8 被控訴人株式会社毎日新聞社(以下「被控訴人毎日」という。)は,毎日新聞の全国版に,原判決別紙六記載の訂正謝罪広告を同別紙六記載の掲載条件にで1回掲載せよ。

9 被控訴人毎日は,控訴人らに対し,300万円及びこれに対する平成15年7月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え(このように控訴による不服の対象を限定した。)。

第2 事案の概要

本件事案の概要は,次のとおり補正するほかは,原判決の「事夷及び理由」中「第2 事案の概要」に記載のとおりであるから,これを引用する。

1 原判決4頁8行目の「1」の次に「(1)を,5頁6行目の次に行を改めて次のようにそれぞれ加える。

「(2)原審は,要旨次のと恵り認定判断し,控訴人らの被控訴人らに対する上記各請求をいずれも棄却した。

ア 本件各書籍(本件書籍一~三)の記載について
① 被控訴人本多執筆,被控訴人朝日の出版に係る本件書籍一(1『中国の旅』単行本,2『中国の旅』文庫本,3『本多勝一集 第14巻 中国の旅』)の中の番号一の1~3の記事(原判決別表記事番号一の1~3の各1・2)は,両少尉(向井少尉及び野田少尉。ただし,匿名処理がされた本件書籍一の2の第16刷以降及び本件書籍一の3においては「M」「N」の二少尉)が,上官から,100人の中国人を先に殺した方に賞を出すという殺人ゲームをけしかけられ,それをいわゆる「百人斬り」「百五十人斬り」の殺人競争として実行に移し,捕虜兵を中心として多数の中国人を殺害したこと,その結果,両少尉(「M」「N」の二少尉)が南京軍事裁判にかけられ,死刑に処せられたことを事実として摘示したものである。
② 被控訴人本多執筆,被控訴人朝日の出版に係る本件書籍二(1『南京への道』単行本,2『南京への道』文庫本,3『本多勝一集第23巻 南京大虐殺』)の中の番号二の1~3の記事(原判決別表記事番号二の1~3の各1・2)は,本件日日記事(庶判決別紙七~十の東京日日新聞の記事)に掲載された「百人斬り競争」が虚偽ではないこと,両少尉(ただし,本件書籍二の2,3においては匿名表記され,「M」「N」の二少尉)による本件日日記事記載の行為がいわゆる「据えもの斬り」であり,描虜虐殺競争を行づたものであること,その結果,両少尉(「M」「N」の二少尉)が南京軍事裁判で死刑に処せられたことを事実として摘示したものである。
③ 本件書籍二のうち,原判決別表記事番号二の2の2及び同二の3の2の記事においては,「M」「N」の二少尉が,本件日日記事掲載の契機に関し,その遺書等において,Mは「Nが言った」と書きNは「Mが言った」と書いていることを事実として摘示し,「一種なすりあいをしている」と記述し,責任のなすり合いをしている旨の論評(本件論評)が記載されている。
⑳ 被控訴人柏の出版に係る本件書籍三(『南京大虐琴否定論13のウソ』)の中の被控訴人本多執筆部分(番号三の記事.原判決別表記事番号三)は,本件日日記事に掲載された「M」「N」の二少尉による「百人斬り競争」が虚偽ではないこと,二少尉による本件日日記事記載の行為がいわゆる「据えもの斬り」であり,捕虜虐殺競争であったことを事実として摘示するとともに,本件日日記事掲載の契機に関し,二少尉がその遺書等において責任のなすり合いをしている旨の本件論評をしたものである。                                         1
イ 両少尉の名誉毀損について
 私法上,死者の名誉等を毀損する行為は独立の人格権侵害を構成しないから,両少尉各固有の名誉が毀損されたとする控訴人らの主張は理由がない。                                         l
ウ 控訴人らの名誉毀損及びプライバシー権の侵害について
 本件各書籍は,控訴人らの生活状況や控訴人らの経歴,行状などについては何ら言及していないから,控訴人らの名誉やプライバシーの権利を侵害しているものとは認めることができない。

エ 控訴人らの両少尉に対する敬愛追慕の情の侵害について歴史的事実に閑する表現行為を違法と評価すべき判断基準を述べた上(原判決109頁7~14行目),次のとおり判断した。
① 本件摘示事実について両少尉の社会的評価の低下にかかわる摘示事実の重要な部分,すなわち,両少尉が「百人斬り」と称される殺人競争において捕虜兵を中心とした多数の中国人をいわゆる「据えもの斬り」にするなどして殺害したとの本件摘示事実は,一見して明白に虚偽であるとまでは認めるに足りない。
② 本件論評について
両少尉の社会的評価の低下にかかわる論評の基礎事実の重要な部分,すなわち,両少尉が本件日日記事掲載の契機に関しその遺言書等において互いに相反する事実を述べていること自体は真実であると認めることができ,そのような状態を「一種のなすりあい」とした本件論評を論評の範囲を逸脱したものということはできない。

オ したがって,控訴入らの被控訴人本多,被控訴人朝日及び被控訴人柏に対する請求は,いずれも理由がない.

カ 被控訴人毎日に対する請求について
 現時点において本件日日記事が虚偽であることが明らかになったとまでは認めることができないから,その余の点について検討するまでもなく,控訴人らの主張は理由がない.さらに,昭和12年11月30日から同年12月13日までの間に掲載された本件日日記事に関しては,本件訴訟提起の時点である平成15年4月28日において民法724条後段の除斥期間が経過している.したがって,控訴人らの被控訴人毎日に知する請求は,   いずれも理由がない。

(3)そこで,控訴人らが,上記原審の認定判断を不服として控訴した。」

2 原判決6頁1行目の次に行を改めて次のように,2行目の「なお,」の次に「歩兵連隊には3個の大隊が置かれ、」をそれぞれ加える。
「 昭和12年12月1日,中支那方面軍の戦闘序列(中支那方面車司令部,上海派遣軍、第十軍から成る。)が令せられ,同日,中支那方面軍(方面軍司令官松井石根大将)に南京攻略の命令が下った(丁20)。上海派遣軍(以下,軍司令官」は同軍司令官を,「軍司令部」は同軍司令部を指す。)のうち,南京に向かう追撃戦で第十六師団と戦闘地域が近かったのは第九師団であり(T19~21),本件に関する資料にはこの両師由の部隊名がよく出てくる。
 両師団に属する旅団及び歩兵連隊の編成は次のとおりであり,師団には4個の歩兵連隊と各2個の歩兵連隊をたばねる旅団が置かれていた(甲84・括弧内は衛戌地.なお,第十六師団については,歩兵連隊以外の部隊名も掲げておく。)。

師 団      旅 団       連 隊
第十六(京都)  歩兵第十九(京都) 歩兵第九(京都)
                   歩兵第二十(福知山)
         歩兵第三十(津)  歩兵第三十三(津)
                   歩兵第三十入(奈良)
         騎兵第二十連隊,野砲兵第二十二連隊,工兵第十六連隊,
         輜重兵第十六連隊ほか
第九(金沢)   歩兵第六(金沢)  歩兵第七(金沢)
                   歩兵第三十五(富山)
         歩兵第十八(敦賀) 歩兵第十九(敦賀〉
                   歩兵第三十六(鯖江)」

3 原判決6頁10行目の「らによる」の前に「及び鈴木二郎(以下「鈴木記者」という。)」を加える。

4 原判決7頁3行目の次に行を改めて次めように加える。
「なお,両少尉を実名で表記していた本件書籍一の1は平成7年3月31日までに,同じく本件書籍二の1は平成6年9月30日までに,それぞれその最終刷である第30刷及び第7刷の出庫をすべて終了し出庫終了の精算処理がされており,現在出庫されている本件書薄一の2の第24刷,本件書籍一の3の第1刷,本件書籍二の2の第6刷,本件書籍二の3の第2刷及び本件書籍三の後記各記事は,すべて両少尉について匿名処理がされている(丁29,弁論の全趣旨)。」

5 原判決11頁14行目末尾に「なお,本件各書籍の記載が控訴人らについて言及したものではないとしても,本件各書籍の両少尉に対する言及が「殺人ゲーム」の実行者,「捕虜虐殺競争」の実行者等と名指しするという甚だしい名誉毀損表現であるため,近親者である控訴人らは,その親族に付いてまわる社会的評価の低下という被害を現に受けているのであるから,被控訴人らには控訴人らの受けた精神的損害を賠償する義務がある。」を加える。

6 原判決12頁14行目の次に行を改めて次のように加える。
「なお,歴史的事実であっても,死者の名誉に関する表現行為に「一見して明白に虚偽であるにもかかわらず,あえてこれを摘示した場合」などという原判決のような基準を適用すべきではない。このような基準は,事実上被害者に不可能を強いるものであり,被害者の法的権利を奪うことになるからである。
 もっとも,本件においては,控訴人らにおいて,被控訴人本多が検証もなく「殺人ゲーム」の記事を書いたこと,志々目彰,望月五三郎,鵜野晋太郎らの文章が、根拠のないものであるか,少なくとも両少尉とは無関係であることを証明すれば,上記の記事が「一見して明白に虚偽である」と認定されてしかるべきである。」

7 原判決12頁18行目の次に行を改めて次のように加える。
「なお,本件日日記事の「百人斬り競争」をその記事のとおり事実というためには,①戦闘中の行為であること,②昭和12年11月29日から同年12月12日までの行為であること,③無錫から(佐藤記者の証言によれば常州から)南京までの行為であること,④日本刀を使用して敵兵を斬ることによって殺害したものであること,⑤多数の中国兵を殺害したことの各事実が必要であり,特に①の戦闘中の行為であるということこそ本件日日記事において最も重要なものである。したがって,本件日日記事の根拠として「捕虜据えもの斬り」の文章を挙げ,「捕虜据えもの斬り」の根拠として本件日日記事を挙げるのは誤っている。」

8 原判決30頁末行の「西本記者」を「西元記者」に改める。

第3 当裁判所の判断

1 当裁判所も,控訴人らの被控訴人らに対する本件請求はいずれも理由かないものと判断する。その理由は,次のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」中「第3 争点に対する当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,
これを引用する。

(1) 原判決46頁3行目の「以下の事実が認められる。」を次のように改める。
「次のとおり,アからネ(原判決107頁〉までの事実を認めることができる。この認定事実は多岐にわたることになるので,はじめに,目次的にその概要を掲げておくこととする.括弧内は原判決の頁を指す。
 ① ア,イ(46~48頁)は,昭和12年11月22日ころから同年12月13日ころまでの第十六師団の行軍経路,戦闘状況
 ② ウ(48,49頁)は,向井少尉の直属の部下であった田中金平の戦闘状況に関する記述
 ③ エ(50~52頁)は,歩兵第十九旅団の通信班長であった犬飼総一郎の戦闘状況に関する記述
 ④ オ(52,53貢)は,昭和12年12月14日付けジャパン・アドバ タイザー紙の記事及びこれを「南京“殺人競争”」として紹介したティンバレーの「日軍暴行紀実」
 ⑤ カ(53~58頁)は,昭和12年12月~同13年1月の両少尉に関する新聞記事
 ⑥ キ(58~60頁)は,昭和13年3月に野田少尉が帰郷した際の新聞記事
 ⑦ク(60,61頁)は,昭和14年5月19日付け東京日日新聞に掲載された向井少尉(中尉に昇進後)のインタピュ」記事
 ⑧ ケ(61~68頁)は,昭和21年6月15日,米国のバーキンソン検事が浅海記者及び鈴木記者に対して行った尋問調書の概略
 ⑨ コ(68頁)は,向井少尉が昭和21,22年ころ東京裁判の国際検事団から召喚を受けて尋問されたこと
 ⑩ サ(68~75頁)は,両少尉が,昭和22年ころ,巣鴨戦犯拘置所から南京軍事裁判所に押送され,同年11月,同裁判所の検察官に対し提出した各答弁書(野田少尉の同月15日及び同月21日付け,向井少尉の同月6白の審問後及び同月15。の審問後に各提出のもの)の内容
 ⑪ シ(75~78頁)は,一昭和22年12月4日,南京軍事裁判所に起訴された両少尉の「犯罪事実」及びこれに対する両少尉の反論(各同月15日付け申弁書)の内容
 ⑫ ス(78,79頁)は,昭和22年12月18日に開廷された南京軍事裁判法廷における両少尉の最終陳述
 ⑬ セ(79,80頁)は,両少尉に対し上記公判期日において言い渡された死刑判決の理由
 ⑭ ソ(80,81頁)は,富山大隊長の昭和22年10月21日付け証明書及び同日付け受傷証明書並びに浅海記者の同年12月10日付け証明書の内容と野田少尉の上訴申弁書の修正案の内容
 ⑮ 夕(81,82頁)は,富山大隊本部書記竹村政弘の昭和22年12月
17日付け証明書及び向井少尉の弟向井猛の同月22日付け書簡の内容
 ⑯ チ(82,83頁)は,昭和23年1月28日に死刑を執行された両少尉の遺書等の内容
 ⑰ ツ(83,84頁)は,大森実の著書(昭和41年)中の「百人斬り競争」の記載
 ⑱ テ(84,85頁)は,昭和46年8月ころから12月ころにかけて朝日新聞紙上に「中国の旅」が連載されるなどした後の「百人斬り競争」に関する肯定論と否定論の論争状況
 ⑲ ト(85~91頁)は,上記論争の過程で公表された「百人斬り競争」に関する書籍及び論稿の概要((ア)鈴木明,山本七平,(イ)阿羅健一,(ウ)北村稔,(エ)中山隆志,犬飼総一郎,(オ)鵜野晋太郎,(カ)洞富雄,田中正俊らの論述の要旨)
 ⑳ ナ(91~106頁)は,「百人斬り競争」に関する記事,資料等の概要((ア)浅海記者に対する政材記事,(イ)鈴木記者に対する取材記事,(ウ)佐藤記者に対する取材記垂並びに証人佐藤の陳述書及び供述,(エ)志々目彰の論稿,(オ)志々月彰の論稿に関する関係者の陳述等,(カ)宮村書代治,市川治平の陳述,(キ)徳永秀義の陳述,(ク)帝京軍事裁判の裁判長石美穂に対するインタビュー記事,(ケ)六車政次郎の著作等,(コ)望月五三郎の論稿の内容)
 21 ニ,ヌ及びネ(106,107頁)は,控訴人千恵子,同エミコ及び同野田の各心情等」 

(2)原判決46頁9行目の「命じた(丁19,20)」を「命じ,次いで同月25日,第九師団に対し,主力をもって常州に追撃するよう命じた(なお,第十一師団は,その後他に転用されるため上海に集結した。丁19,20)」に改め,13行目から14行目にかけての「これを追った。」の次に「この間の同月27日,第十六師団から軍司令部に,「二十六日ノ無錫ノ戦闘二於テ敵ノ遺棄屍体ノミニテ三千ヲ下ラス」との報告があった(丁19)。」を加え,17行目の「南京攻略の命令が下り,」を「大陸命第8号をもって中支那方面軍に南京攻略の命令が下り,同方面軍は,同日,南京攻略作戦のための命令を下達し,」に改める。

(3) 原判決47頁1行目及び4行目の各「敵」をいずれも「中国軍」に,7行目の「同月10日」を「同月10日午前2時30分」に,11行目の「追撃隊を左翼隊とした」を「草場旅団(片桐連隊第二大隊欠)を左翼隊とした」に,13行目の「同日」を「同日午後10時」に,16行目の「歩兵第九連隊」を「歩兵第九連隊(片桐連隊)」にそれぞれ改める。

(4)原判決48頁2行目の次に行を改めて次のように加える。
「歩兵第二十連隊は,同日(12月13日)早朝中山門を占領した。そして,中山門近くの城壁の破壊地点から同連隊(第一,第二大隊)と片桐連隊(第二大隊,富山大隊)が入城した。次いで,第十六師団は中山末路以北,中山北路以東の地区を「掃蕩」し,第九師団(歩兵第三十五連隊)は中山東路以南の地区の「掃蕩」を担当した。(丁21.本判決別紙「南京城とその近郊」甲3)
 なお,第十六師団長中島今朝吾の日記の同日の箇所には,「本日正午高山剣士来着ス時恰モ 捕虜七名アリ直二試斬ヲ為サシム 小生ノ刀モ亦此時彼ヲシテ試斬セシメ頭ニツヲ見込[事〕斬りタリ」とか,「大体捕虜ハセヌ方針ナレバ片端ヨリ之ヲ片付クルコトトナシクルモ・‥」などの記載がある(丁19)。」

(5)原判決83頁24行目の「記載した」の次に「(被控訴人本多の平成17年5月18日付け準備書面2頁)」を加える。

(6)原判決100頁20行目から21行目にかけての「昭和14年春ころ」の次に「(野田少尉は,前記キ(原判決58~60頁)の翌年の昭和14年にも休暇を利用して帰郷し,鹿児島一中,鹿児島県立師範学校附属小学校,田代村尋常高等小学校で講演した。丁6)」を加える。

(7)原判決101頁6行目の「大阪陸軍幼年学校の同期生」を「小学校の同級生」に改める。

(8)原判決108頁3行目の「死者の名誉等」から12行目末尾までを次のように改める。
 「刑法230条2項,刑訴法233条,著作権法60条,116条のように,死者の名誉及び著作者の死後におけるその人格的利益について,実定法が,その法的保嘗の必要性を認めて一定の構成要件を定め,かつ,その告訴権者であるとか著作権法上の請求権を行使し得る者を親定している場合にのみ,その限度で死者の名誉等が一つの法的利益として保護されることになるものと解するのが相当である。
 ところで,上記刑法及び著作権法の規定に照らせば,人の名誉等についてはその死後においてもなお守るべきものがあると考える道徳観念がこれらの立法の基底にあることを否定することはできない。しかし,人の尊厳を守り死者をも名誉等の主体と考えることが,死者に権利主体性を認めたり法的人格権を認めることになるものでないことも明らかであって,不法行為法上,死者が生前有していた名誉等の人格権について,その一身専属性を否定するような実定法規が存在するものと認めることはできない上,死者の親族等一定の関係を有する者に対し故人のために何らかの請求権を行使し得べきことを定めた規定が存在するものと認あることもできない。そうすると,死者に対しては,故人がこの世に在るとしたならばその名誉を侵害するような行為がされたとしても,これをもって,不法行為法上当該故人の人格権を侵害する違法行為を構成するものということはできないから,本件各書籍の記載によって両少尉の名誉が毀損されたとする控訴人らの主張は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。」

(9)原判決108頁17行目末尾に「控訴人らは,本件各書籍の記載が控訴人らについて言及したものではないとしても,本件各書籍の両少尉に対する言及が「殺人ゲーム」の実行者,「捕虜虐殺競争」の実行者等と名指しするという甚だしい)名誉毀損表現であるため,近親者である控訴人らがその社会的評価の低下という被害を現に受けている旨主張するが,本件各書籍の記載は両少尉に子や妹がいることなどについて何も触れてはいないのであるから,本件各書籍の記載によって控訴人らが両少尉の子や妹であると周りから認識されたり,その社会的地位を低下きせられるということはあり得ず,控訴人らを両少尉の子や妹であると知る者が,個人的に控訴人らに対し何かの関心を向けることがあるとしても,そのことのゆえに本件各書籍の記載が控訴人らの固有の名誉を毀損したり,プライバシーの権利を侵害するものということはできない。」を加える。

(10) 原判決109頁7行目冒頭から14行目末尾までを次のように改める。
「そして,前記認定の事実によれば,「百人斬り競争」については,本件日日記事や昭和12年12月1日付け大阪毎日新開鹿児島沖縄版など日本国内の新聞記事ほか,ジャパン・アドバタイザー紙の記事やティンバレーによる日軍暴行紀実の記事が存在し,他方,両少尉については,南京軍事裁判における死刑判決の宣告及び南京雨花台における死刑執行の事実が存在するのであるから,これらの記事や事実が素材となって,両少尉の生前の行為の実像が歴史的事実探求の対象として様々な視点から取り上げちれることになることは不可避のことというべきであり,また,被控訴人本多執筆の記事「争う二人の少尉」が朝日新聞紙上に掲載された昭和46年より5年前の大森実の著書『天安門炎上す』(昭和41年)に“南京百人斬り”の記述があったことは先に見たとおりであって(前記(1)ツ,テ),中国でこの種の話が相当に広まっていたことをうかがうこともできる。
それゆえ,上記のような事件として比較的広く知られ,かつ,何が真実かをめぐって論争を呼ぶような歴史的事実に閑する表現行為について,当該行為(故人の生前の行為に関する事実摘示又は論評)が故人に対する遺族の敬愛追慕の情を違法に侵害する不法行為に該当するものというためには,その前提として,少なくとも,故人の社会的評価を低下させることとなる摘示事実又は論評若しくはその基礎事実の重要な部分が全くの虚偽であることを要するものと解するのが相当であり,その上で,当該行為の属性及びこれがされた状況(時,場所,方法等)などを総合的に考慮し,当該行為が故人の遺族の敬愛追慕の情を受忍し難い程度に害するものといい得る場合に,当該行為について不法行為の成立を認めるのが相当である。」

(11) 原判決109頁15行目の「死者」から19行目の「ものは,」までを「両少尉の社会的評価を低下させることとなる事実の摘示又は論評がされているかどうかについて検討するに,本件各書籍のうち,本件書籍一の1と本件書籍二の1の各単行本及び本件書籍二の2(文庫本)の第15刷以前のもの以外は,」に改める。

(12) 原判決111頁4行目の一見して明白に虚偽」を「全くの虚偽」に改め,20行目の「宮村喜代治は,」の次に「向井少尉が,」を加え,21行目の「南京攻略戦」から末行の「前記認定事実によれば,」までを次のように改める。
 「南京攻略戦当時の戦闘の実態や両少尉の軍隊における任務,1本の日本刀の剛性ないし近代戦争における戦闘武器としての有用性等に照らしても,本件日日記事にある「百人斬り競争」の実体及びその殺傷数について,同記事の内容を信じることはできないのであって,同記事の「百人斬り」の戦闘戦果は甚だ疑わしいものと考えるのが合理的である。
 しかしながら,その競争の内実が本件日日記事の内容とは異なるものであったとしても,次の諸点に照らせば,両少尉が,南京攻略戦において軍務に服する過程で,当時としては,「百人斬り貌争」として新聞報道されることに違和感を持たない競争をした事実自体を否定することはできず,本件日日記事の「百人斬り競争」を新聞記者の創作記事であり,全くの虚偽であると認めることはできないというべきである。
 前記認定事実によれば,」

(13)原判決112頁10行目から11行目にかけての「本件日日記事の内容が真実である旨」を「本件日日記事に事実として書かれていることが虚偽ではなく真実である旨(両少尉から取材した事実に粉飾を加えていないという趣旨であると理解される。)を」に改める。

(14) 原判決113頁17行目の「両少尉とも紫金山へは行っていない」を「富山大隊は紫金山を攻撃していない」に,22行目から23行目にかけての「本件日日記事第四報」から25行目末尾までを「本件日日記事第四報が「中山陵を眼下に見下す紫金山で敗残兵狩眞最中の向井少尉」と報じている点などをとらえて,本件日日記事を虚偽の創作記事であるということはできない。」に改める。

(15)原判決115頁12行目の「大阪陸軍幼年学校の同期生」を「小学校の同級生」に改める。

(16) 原判決116頁15行目から16行目にかけての「本件摘示事実か,一見して明白に虚偽であるとまでは認あるに足りない。」を「本件事実摘示に含まれる両少尉の社会的評価を低下させることとなる本件摘示事実が,その重要な部分において全くの虚偽であると認めることはできないというべきである。以上と異なる前提に立つ控訴人らの主張は,いずれも採用することができない。」に改める。
2 以上によれば,控訴人らの本件請求は,その余の点について判断するまでもなく,いずれも理由がないから棄却すべきであり,これと同旨の原判決は相当である。
 よって,本件控訴はいずれも理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。

東京高等裁判所第22民事部
裁判長裁判官 石川善則
裁判官 井上繁規

---

最高裁判決

平成18年(オ)第1299号
平成18年(受)第1504号

決定

当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり

上記当事者間の東京高等裁判所平成17年(ネ)第4611号謝罪広告等請求事件について、同裁判所が平成18年5月24日に言い渡した判決に対し、上告人兼申立人らから上告及び上告受理の申立があった。よって、当裁判所は、次のとおり決定する。

主文

本件上告を棄却する。
本件を上告審として受理しない。
上告費用及び申立費用は上告人兼申立人らの負担とする。

理由

1 上告について

民事事件について最高裁判所に上告することが許されるのは、民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、本件上告理由は、違憲をいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。

2 上告受理申立について

本件申立の理由によれば、本件は、民訴法318条1項により受理すべきものとは認められない。
よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

平成18年12月22日

裁判長裁判官 今井 功
裁判官 津野 修
裁判官 中川了滋
裁判官 古田佑紀





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最終更新日  2023.08.19 15:54:42コメント(0) | コメントを書く


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