島流れ者 - 悪意なき本音

島流れ者 - 悪意なき本音

2004.04.28
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ずいぶんと日記を書いていなかったので、楽天様から追い出されてしまうと思っていましたが、彼?彼女?は辛抱強う御座いますね。ちょっと怠慢して家族にあてた手紙でも載せてみませう。

四月二十八日二千四年

お元気ですか?お久しぶりでござんす。たぶん、最後に手紙での近況報告したのは、去年の暮れだったと思います。丁度新しい仕事が見つかったばかりの頃...実はこの会社を四月十六日付けで辞めました。せっかく見つけた仕事をたったの三ヶ月で止めてしまうとは、と嘆いてるかもしれませんが、それには深~い訳がありまして。屋外のベンチやサイン、街灯を、また室内の照明器具、手すり、エレベーターの内装等を作っている会社で、このところの不景気のあおりで経済困難な状態が一年以上続いていました。ほぼ全ての取引先に対する支払いが滞っており、毎日のようにあちこちから支払い催促の電話ががんがん掛かってきていました。私の仕事は主に請求書処理というものだったので、当然この影響を十分受けていました。そのために、かなり精神的に参っていたのに加え、経営が後手な為に発生する仕事量の増加がそのストレスをよりいっそう大きくしていました。

またしてもこの時期に家で仕事探しの毎日ですが、この最後の会社で働く前から経理の仕事をすることに不満を持ち始めていたので、これを機会に全く違った仕事をしてみようと思っています。もっと人と接する仕事、例えば、カスタマーサービスや、セールスといったことを考えています。何しろ日本に居たときの経験は長いのですが、アルバイトのウエイトレスの仕事を除いてはこの国に来てからこういった仕事をやったことがありません。今までのように机に向かってもくもくと数字に取り組んでいたのが、まだまだ未熟な英語を使って人と接するとなると、かなり勇気がいります。なぜ経理の仕事を選んだのかと言うと、こうした理由にくわえ、何処に行っても仕事にありつけると言うこと。しかしオフィスでじっとしていることは私の性に合わないわけであって、何とか三年ほど経理の仕事をしていましたが、本来の出たがりの性格が頭をもたげてきたというわけです。

この国は特に、採用の際の重要な決定ポイントがどれだけそのポジションに見合った経験を積んできたかということで、先ほど言ったように、かなり間が空いているということとアメリカでの経験が殆どないという私にとって、面接にこぎつけるまでにはかなり沢山の会社に応募する必要があるわけです。多分全く違った仕事を見つけるには時間が掛かると思うので、とりあえず、今までやっていた経理の仕事で何とか穴埋めして、その間に転職するという作戦で行くほかはないでしょう。というのは、去年は仕事を探している間に失業手当が出たのですが、今回は、その後殆ど働いていないと言う理由でそれもありません。それに加えてルームメイトが出て行ってしまい、まだ新しい人が見つかっていないと言うタイミングの悪さ。家庭の収入が激減した為住宅ローンが払えずに家を手放さなくてはいけないと言う危機を避けなくてはいけないので。

暗い話はこれくらいにして、最近楽しかったことといえば、私の誕生日が過ぎたすぐ後の週末、四月二十四日と二十五日にキャンプに行きました。今まで何度も車ですぐに乗り付けられるキャンプをしたことがありますが、場所によってはすぐ隣に来た良識のない団体が来て大きな音で音楽を掛けたり、子供がぎゃーぎゃーと騒ぎまくる家族であったりして、せっかくの楽しいはずのキャンプを台無しにされたので、今回は、全ての荷物を大きなバックパックに詰め込んで、歩いてしか行けないキャンプ地に行くことにしました。初めはそんなの重たすぎるから嫌だと駄々をこねていましたが、ジャックいわく、“三十後半になった君がこれから若返っていくわけではないから、出来るときにやっとかなくちゃ!”と全くもっとな事を言われて説得され、しぶしぶこの案に賛成したのでした。

一週間ほどあれこれ計画を練った場所は、私たちの住むヴェンチュラから車でたったの三十分ほどの山で、車を降りてからなんとたったの一時間ハイキングをしたところのキャンプ場でした。そこから見える景色は絶景で、何万年にも渡って重ねられた地層がむき出しにされた山肌を背に、とても澄んだ川から聞こえる音が私たちの心を静め、また、潤してくれました。

私たちのキャンプにカップルの友達、エリザベスとマットが参加してくれました。一旦荷物を降ろしてテントを張り、寝床路を確保した私たちは昼食を済ませ、さらに上に向かってハイキングを始めました。週末であった為いろんな人たちがハイキングをしていましたが、何よりも驚いたのは、ボーイスカウトの大きな団体の中に、足の不自由な子供が混じっていたのです。ある子供たちは、この子の軽量小型の車椅子を運ぶのを手伝い、ある子供はゆっくり歩くその子の支えになって少しずつ少しずつ上っていました。さすがにここアメリカ、どんな人であろうとも個人の権利と自由を尊重する姿勢はこんなところにも現れていたのです。市バスに車椅子の人が乗るときの運転手の対応の機敏さ、行き届いた設備は何度となく見かけて感心しますが、こういった障害を持った人が、なんとハイキングにも参加できるような環境を作っているこの国の素晴らしさに本当に感動しました。

三時間ほどのハイキングからキャンプ地に帰ってきた私たちは早速夕食の支度に取り掛かりました。幸いなことに、エリザベスとマットは何度かこうしたバックパックキャンプを経験しているために、私たちの持っていないバックパック用の超軽量の調理道具や浄水器などの道具を一式持ってきてくれて、とても助かりました。その夜はパスタに彼らの自家製のペストソースを掛けて食べました。そしてお楽しみのキャンプファイヤーを囲んでのデザートは、このアメリカでキャンプデザートとして慣例となっている、“サムモア”(Some More)を食べました。これはマシュマロをまだ青い枝の先に突き刺して、樋上でしばらくあおるとぷーっと膨れて大きくなります。それをチョコレートを乗せたグラムクラッカー(黒砂糖のような甘さの四角いクラッカ-に乗せ、チョコが溶けた頃にバクっと頂くという単純かつ美味なデザートで、ひとつ食べたらもっと欲しくなると言うことからこの名前がついたそうです。



楽しかったキャンプ地を昼頃に後にして、その帰りには、ハーレーデイビットソンを乗り回すバイク連中などの多く集まるバー兼レストランでバッファローハンバーガーを食べて37回目の誕生日を祝うイベントを締めくくりました。あれほど嫌がっていたバックパックキャンプでしたが、ジャックの愛情こもった綿密な計画により、とても楽しいものになり、次にいつ行くのかと楽しみになるほど好きになりました。

37歳の誕生日にして学んだこと:
常に新鮮な目を持ち、食べず嫌いにならずに、新しいことにチャレンジすることによって若さを保つことが出来る。

と言うわけで、今回はこの辺で。お体にお気を付けあそばれ。





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最終更新日  2004.04.29 02:12:03
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